◆−「The Back」その1−中田 珂南(9/12-06:47)No.2197
 ┣「The Back」その2−中田 珂南(9/12-07:54)No.2198
 ┃┗「The Back」その3−中田 珂南(9/12-08:38)No.2199
 ┃ ┗王道頑張れ!−P.I(9/12-18:00)No.2200
 ┃  ┗ありがとう!オレ、頑張るよ!(笑)−中田 珂南(9/13-21:14)No.2203
 ┗ちょっと訳ありで再掲示です(汗)「Revolution」−中田 珂南(9/16-04:44)No.2210
  ┗これは書き下ろし。「Half Soul −Sword−」−中田 珂南(9/16-04:50)No.2211
   ┗「Half Soul −Magic−」−中田 珂南(9/16-04:56)No.2212
    ┣Re:「Half Soul −Magic−」−P.I(9/16-21:14)No.2214
    ┃┗またまたありがとうございます。−中田 珂南(9/17-00:09)No.2215
    ┗うれしいですぅぅ−もり(10/9-13:54)No.2300
     ┗ありがとうございます♪−中田 珂南(10/16-05:40)No.2352


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2197「The Back」その1中田 珂南 E-mail 9/12-06:47


・・・・いきなり送信ミスというボケをかましてしまいましたが(^^;
ご無沙汰しております。“自他共に認める駄文書き(笑)”珂南です。
(私の名刺には、本当にそう書いてある・笑)

最近少ねえぞガウリナ〜〜〜!!!

・・・・・・・てな訳で(笑)久々に書いてみました。
今回は続き物ではなく、ひとつの話を分割しただけ(殴)
ちなみに「The Back」は、「背中」って意味です。

:::::::::::::::::::::

「The Back」

1.His Back

ーーー彼は、あたしに背を向けて座っていた。
長い金髪と、とりあえず黙ってれば、非の打ち所のない端正な横顔が、焚き火の炎に照らされて、昼とは違った印象を与える。
そして。
じっと星空を見上げながら・・・本当は何も見てない、その瞳に。その背中に。
あたしは、本気で言葉を失う。

草むらに寝っ転がるあたしの傍で、火の番をしているこの金髪の傭兵。
最近知り合った旅の連れで、名をガウリイという。
あたしを子供扱いすることと、頭の中身はさておいて、なかなか頼れるにーちゃんではある。
剣の腕前は絶品だし。何たってあの伝説の「光の剣」持ってるし。
こんな野宿なんかしてる時に、交代だけど火の番をしてもらえるのもありがたい。
・・・いつかその剣を貰うまで、せいぜい利用しようと思ってることは、勿論絶対に秘密である。

だけど。
こんな夜には、彼は別人みたいな顔をする。
ちょうど、今のこの顔のような。

そして。
昼間は頼もしく思えるその背中が。
・・・・・・何故か、もの凄く遠くに感じる。

こんなにすぐ傍にいるのに。
ちょっと手を伸ばせば、簡単に触れられるくらいなのに。
-----そんな僅かな距離が、無限に思えるくらい遠い。

・・・・・・・・・・胸が痛い。

その背を見てるのが嫌になって、あたしはごろん、と寝返りをうつ。
すると。
ガウリイはそっと手を伸ばし、あたしの頭を優しく撫でた。

あ。
あたしの知ってる、ガウリイの顔に戻った。

「・・・何だ。起きてたのか。」

あたしのタヌキ寝入りに気が付いて、ガウリイは小さく苦笑した。

::::::::::::::::::::::::

一旦切ります。
・・・・・しかし、これ・・・・・・誰?(滝汗)

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2198「The Back」その2中田 珂南 E-mail 9/12-07:54
記事番号2197へのコメント

・・・・ごめんなさい。
これ、普通に一続きな話ではなく、断片的なイメージの羅列みたいなもんです。
喩えて言うなら、ジグソーパズルのピースみたいなもんかな。
一つ一つは意味わからんけど、組み合わされれば、さらに分からん、と。
・・・・・・・・あかんやん!!(独りツッコミ)

::::::::::::::::::::::::

2.Her Back

-----微かに聞こえる静かな寝息が、オレを辛うじて現実に繋ぎ止める。
・・・・・もし、それがなければ。
オレはまた、終わりのない悪夢に囚われただろうか。

独りで空を見上げる夜は。
別れた沢山の人たちの面影を、星の中に見つけ出す。

その中には。
オレの手で命を絶った奴も、結構居たりするんだけれど。

無限に浴び続けた血。未だ手に残る感触。
それでも何も思わない、どこか神経の麻痺したオレ自身。

それらの全部が嫌で。たまに、自分をやめたくなったりするけれど。
そんなことも出来なくて、結局今日も生きている。

だけど。
最近は、もーちょっとこのままでもいいかと、思えるようにもなってきている。
・・・オレのすぐ隣で眠る、こいつのせいで。

傍らに眠るのは、最近知り合ったばかりの少女。
まだまだ子供にしか見えないが、結構な実力の魔道士で。名をリナという。
笑い話みたいな出会いをして、何だかなし崩しに一緒にいる。
・・・・これでもーちょっと色気があれば。おいしい事も期待できただろうが。
そいつは無理な話だし。「それでもいい」と言える程、オレも節操なしじゃない。

だけど。
こうして一緒に居ると、何故だか妙に安心する。
・・・「自分の傍に誰かが居る」ただそれだけのことなのに。

いや。
「誰か」じゃなくて「リナ」だから、オレは安心してるのか?
・・・・現にオレは、こいつに背を向けてるけれど。
今まで危機感なんて持ってなかったし、気付いた今でさえも、危険なんて微塵も感じない。

相手がどこの誰だって、ここまで安心しきることは、絶対なかったってのに。

と、その時、

「う・・・・・・ん。」

唐突に、リナが寝返りをうってーオレに、背中を向けた。
ぱさりと落ちる長い髪。いつもはショルダーガードに覆われた、線の細い肩。
あまりに小さいその背中に、オレは妙な気持ちになる。
・・・・・・変な意味は抜きにして。

「・・・しょーがねえなあ。」

そっとその髪に触れて、オレは小さな呟きを漏らす。

オレに背中向けたまま、呑気に眠ってるなんて。
・・・・・・幾らなんでも、ちょっと無用心過ぎるぞ。
一応オレも男なんだし。この手だって相当汚れてんのに。

でも。
何か、悪い気はしないな。

:::::::::::::::::::::::

・・・・・・・・何か、ガウリイの頭がまともですね(笑)
まあ、原作1〜2巻くらいのイメージで書いてるんで、これくらいはいいかな?
駄文はしつこく続きます。

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2199「The Back」その3中田 珂南 E-mail 9/12-08:38
記事番号2198へのコメント

・・・・・たいてい意味のない話ですね、これ(苦笑)
何が書きたいんだ、私?(殴)

:::::::::::::::::::::

3.Back to back

「・・・・・何だ、起きてたのか。」

彼のその一言に、二人の距離はぐっと縮まる。
心が生み出す長い距離でない、あるがままの位置に。

「何か、目が覚めちゃってね。」
「・・・・そっか。」

もそもそと近づく少女に、優しい笑みを浮かべて。
彼はまた、目の前の焚き火に木ぎれを放り込む。

「でも、もーちょっと寝たほうがいいぞ。朝まで、まだ間があるから。」
「ガウリイは寝ないの?」
「適当にうとうとやってるさ。それに、体力は自信あるからな。」

ごくごく当たり前のように、彼はそう言って笑う。
そんな笑みに、彼女の頬が何故か少し染まる。

「・・・・・・寝てくれたら、その隙に光の剣かっぱらうのに。」
「おいおい、そーいうこと言うか、お前?」

ぷいっとそっぽを向いた彼女のその言葉は、本気なのかどうなのか?
特に追求されることもないまま、再び沈黙が場を占める。

やがて。

「じゃ、・・・・お言葉に甘えて。」

またまた彼女は、もそもそと動き出し・・・彼の真後ろに、自分の位置を定める。
あまりに唐突なその行動に、今度は彼の方が驚いた。

「おい、リ、リナ?」
「地面に寝っ転がってたから、ちょっと身体が痛いのよ。
 それに、あんたなら・・・別にあたし一人がもたれたって、大したことないでしょ?」

平然と言ってのける彼女に、彼は心の底から呆れる。
しかし。
彼女の今の表情は、勿論彼には見えやしない。

「・・・ったく・・・。」

小さく肩をすくめる彼の、今の表情も。
勿論、彼女には見えない。

「おやすみ、リナ。」
「・・・・・おやすみ。」

短い言葉だけを交わして。
二人は背中合わせのまま、再び浅い眠りにつく。
・・・お互いのぬくもりを、より近くに感じながら。

今、胸を占める感情は、一体何というものだろう?
ふと、そんな疑問が湧き上がるが。答えなんてどこにもない。
・・・・・・まだ、今は。

「・・・何か、いい気分。」

一瞬、そんな呟きがもれた。
が、どちらの唇から零れたものかは、追及されることはなかった。

互いの背中に、安らぎを与え受け止めて。
静かな夜の闇の中に、二人はそっと眠りにつく。
------明日もまた、一緒に歩き出すために。

:::::::::::::::::::::::

全然らぶらぶじゃないけれど、こんなのもたまにはよいでしょ?
・・・・・・・・・なんて言ったら、ブーイングの嵐かしら(^^;

すんません、本気でイメージの羅列だから、文体さえもバラバラで・・・あう。
こーなったら、いつものとーり私しゃ逃げますっ!ではっ!
しゅたたたたたたたたた・・・・。(<地平線の彼方まで走っていく足音)

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2200王道頑張れ!P.I E-mail 9/12-18:00
記事番号2199へのコメント

中田珂南さんへ
はじめまして、P.Iと申します。
「The Back」とても良かったです。
らぶらぶ未満だけど、向け合った背中にただのらぶらぶより深い
二人の信頼を感じました。
それにガウリイがすごく大人ですね〜(はぁと)

確かに最近少ないですよね、ガウリナ!
貴重な王道小説のご投稿、ありがとうございました(^0^)
また読ませてください!
それでは。

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2203ありがとう!オレ、頑張るよ!(笑)中田 珂南 E-mail 9/13-21:14
記事番号2200へのコメント

こんな訳の分からん駄文にご感想を寄せて頂き、本当にありがとうございました。
・・・・・・タイトルふざけててすみません(^_^;

>らぶらぶ未満だけど、向け合った背中にただのらぶらぶより深い
>二人の信頼を感じました。

2人とも、それまでこんなに信頼しきった(背中を預け合える)相手なんて、
全然いなかったんじゃないか・・・って(勝手に)思って書きました。
たまにはこーいうのもいかがでしょう?(笑)

最近(ここでは)押され気味なガウリナですが、やっぱリナの隣にいる男は
ガウリイだけ!と固く信じておりますんで(^^)
これからも、機会とネタがあれば書きたいと思っております。
ご感想、本当にありがとうございました。

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2210ちょっと訳ありで再掲示です(汗)「Revolution」中田 珂南 E-mail 9/16-04:44
記事番号2197へのコメント

この「Revolution」は、以前ここに挙げたお話なんですが・・・
次にupする話(勿論書き下ろし)のために、あえて再掲示しました。

・・・これがないと、訳分かんなくなりかねないんです(滝汗)

:::::::::::::::::::::::::::::

「Revolution」

「・・・何を笑っておられますか、我が王よ?」
深紅の闇を従えし魔王が、目の前に在る唯一の主−全ての存在の母でもある−の
意味深な笑みを見、訝しげな視線を向ける。
・・・が、金色の王はただただ笑いつづけるのみで、そんな部下の視線にも、
一向に気に留める様子は無い。

−金色と深紅の二つの闇は。
 先ほどから、何度もこんなことを繰り返している。

やがて、こんな状態に辟易した紅い魔王が、退場しようとしたその時。

「・・・私は、そろそろ変化が欲しいのだよ。」

美しき金色の王が、悪戯っぽく笑って見せる。
−そんな主の真意が判らずに、紅い魔王はさらに首を傾げる。
が、金色の王はずっと合わせていた両手を開くと、さらに意味深な笑みを浮かべた。

「見るがいい。この輝きを。
 今、作り出されたばかりの、・・・この、小さな魂を。」

総てのものの母の手に在るは、小さな、本当に小さな二つの魂。

「これは、人間・・・ですか。」
「そう。命短く、己の儚さに気づく知恵も持ち合わせぬ、小さく愚かなものたち。
 ・・・しかし、こういう者達こそが、私の望む“変化”をもたらすのだよ。」

言葉を進める度に、主の真意はますます判らなくなる。
金色の王の深くなる笑みに、深紅の闇は本気で困惑した。

「お前も、・・・1000年の平安には、そろそろ飽きた頃であろう?」

言って金色の王は、二つの輝きを虚空に放り投げる。

「光を、闇をも呼び寄せる炎の如き女と。常にさ迷う魂を秘める、風の如き男と。
 ・・・この二人が共に歩む時、どんな“変化”が訪れるであろうな?」

・・・完全に、楽しんでいる。
主の、この悪戯好きな性質を知る僕(しもべ)は、ただ黙ってため息をつく。

「命に限り有るもの故の、他に並ぶ種(もの)のない激しさ。
 これがどれだけ私を楽しませてくれるか、ああ、待ち遠しいのお。」
「・・・すぐに「時」は訪れましょうぞ。我が王よ。」

心底呆れきった顔で、深紅の闇はそう答える。
・・・その魂たちに、自分の魂の一部と、腹心たちを滅ぼされるとも知らずに。
そして。
金色の美しき王は、地上に生まれ行く魂たちの行く末を、飽きることなくみつめていた。

そして。

「炎の如き」と称された娘は、時折破壊を撒き散らしながら、笑顔を道連れに歩み続け。
「風の如き」と称された男は、修羅の如く血を浴びながら、さ迷える心を引きずり歩く。
−−−己の半身たるものに出会う、その「時」まで。

そして−−−

:::::::::::::::::::::::::

次の短編(書き下ろし)に続けるために、あえて最後の一文をカットしました。
・・・といっても、純粋な続き物ではなく、「The Back」のように
単なるイメージの羅列に過ぎないんですが(さらに滝汗)

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2211これは書き下ろし。「Half Soul −Sword−」中田 珂南 E-mail 9/16-04:50
記事番号2210へのコメント

ばかばかしい話を一丁。これまたガウリナです。
・・・これのために、「再掲示」なんてしたんだな(滝汗)

:::::::::::::::::::::::::

「Half Soul −Sword−」

「・・・そこの男。そなた、これが欲しくはないか?」
「ふえ?」

いきなり話し掛けてき、長い金髪の女の言葉に、ガウリイはふと立ち止まる。
そして。
女が差し出した一本の剣に、その蒼い目が驚きで見開かれる。

「・・・・・・おい、こ、これは・・・・・・!」
「どうだ、欲しくはないか?」

女が差し出したのは、ずっと前に手放したはずの、あの「光の剣」。
自分が昔つけてしまった小さな傷も、薄汚れたテーピングもそのままに。
剣はーーー彼が手放したあの時のままで、女の手に収まっていた。

「・・・な、なんでお前さんがこれを・・・!?」
「そんなことはどうでも良い。
 それよりも、答えはどうした?これが欲しいのか、欲しくないのか?」

女の問いかけに、ガウリイはしばし考える。
・・・・・しばし沈黙。
そして。

「いや。・・・・・・やっぱ、いい。」

短く一言、そう答える。

「何故、要らぬ?かつて、あれ程力を欲しておったというのに。」

返された答えに、女はさらに問いを重ねる。
すると、

「光の剣(そいつ)も、確かにいいヤツだったけどな。・・・でも。」
「でも?」
「今は、こいつがある。」

言って彼は、腰に差した斬妖剣(ブラスト・ソード)をちらりと見せて、
迷いのない笑みを浮かべる。

「斬妖剣(こいつ)は、リナを護るためだけの剣だから。」

そう。
かつて「光の剣」は、常に自分と共にあった。
独りで生きる悲しみも怒りも、虚しささえも共有して。
どんな激戦でも、魔族と対峙した時でも、剣は主たる自分を護り、
天下無双な威力を誇った。
その力ゆえに、輝きゆえに−周囲には、羨望と諍いが絶えなかったけれど。

でも。
今、共にあるこの剣−「斬妖剣(ブラスト・ソード)」は。
まだめぐり逢ったばかりだけれど。その力も輝きも、未知数のものだれど。
・・・大切な彼女と一緒に見つけた、彼女を護るためだけの剣。

−ただ「力」だけを誇ったあの頃よりも、彼女と共に在る今を望むから。

「・・・本当に、面白い男よのう。」

彼が立ち去ったその後で、女は心底可笑しそうに笑う。
そして、

「ああ言われてしまっては、お前もまるで立場がないのう。
 しかし・・・それもまあ、仕方あるまい。」

手の内にある剣に向かい、なだめるように語り掛ける。

「“闇を撒くもの(ダークスター)”の分身たるお前には、理解できぬかも知れぬが。
 ・・・人間とは、時にそういうものなのだよ。」

 ・・・ぶおん。

語り掛ける言葉に反発するように、剣が一瞬かすかにうなる。
しかし。
女は悪戯っぽい笑みを浮かべ、こう言いきった。

「お前は、不服かも知れぬが・・・そうでなければ、面白くあるまい?」

::::::::::::::::::::::::::::::::

訳の分からん話ですみませぬ(滝汗)
でも、駄文はもう一本あったりします。
もし宜しければ、お付き合い・・・って、やっぱ嫌?(なおも滝汗)

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2212「Half Soul −Magic−」中田 珂南 E-mail 9/16-04:56
記事番号2211へのコメント

訳わからん話をもう一丁。今度はリナsideです。
・・・・・えー加減にせえよ、自分(殴)

::::::::::::::::::::::::::::

「Half Soul −Magic−」

「お前は、・・・もう一度、自分をやり直してみたいとは思わぬか?」

唐突にかけられたその問いに、リナの足がぴたりと止まる。
そして。

「・・・アンタ、一体誰よ。」
「そんなことはどうでもよかろう。・・・それより、答えはどうなのだ?」

警戒心も露わなリナの眼差しにも、しかし、問い掛けた者は動じない。
長い金髪をかすかに揺らして、にやりと意味ありげに笑う。

「身に過ぎた禁忌の力ゆえに、追われ続けることもあるまいて?」

その言葉に、リナがかすかに顔を曇らせる。

そう。
禁忌たる力−「金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)」の術を操る故に、
どれだけの戦いを重ねただろうか。
心ならずも周囲を巻き込んで、大切な人をも危険にさらして。

−こんな術など知らねば良かったと、何度思ったことだろうか?

だけど。

「・・・あたし、今の人生、捨てる気はないの。」

にやりと不敵な笑みを浮かべて、彼女ははっきりと言い切る。

「きっと何度人生やり直しても、あたしは、あたしの生き方しかできない。
 そりゃあ、沢山ムチャもしてきたし、誰かを傷つけたりもした。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「だけど、・・・あたしはあたしなりに、精一杯生きてきたつもりだから。」

生きる力に満ちた瞳に、迷いのない至高の輝きを加えて。
彼女はまっすぐ、女を見据える。

−それに、・・・どうしても、なくしたくないモンもあるし、ね。

言葉にはならない想いを、その眼差しにそっと重ねて。

「・・・・・・・本当に、面白い娘よのう。」

彼女が立ち去ったその後で、女はぽつりと呟く。
そして。

「やはり、あの男と同じ選択を望むか。」

先程交わした会話を思い起こし、心底可笑しそうに微笑んだ。

「憶えておるぞ、人間たちよ。私の手を離れたあの日から、・・・何もかも。」

−そう。あの時のことは、今でもよく憶えている。

娘は、大切な男を救うためだけに、自ら禁忌の術を唱え。
男は、大切な娘を取り戻すためだけに、自ら虚無の世界に飛び込んだ。

その行為を、愚かだというのはたやすいけれど。
・・・彼らの「想い」を否定するなど、一体誰に出来ようか?

その「想い」こそが、彼らの「強さ」そのものなのに。

「だからこそお前たちは、・・・私の望む“変化”を、世界にもたらせるのだな。」

長い金髪をかきあげて、女が呟いたちょうどその時、

「・・・ここにおられましたか、我が王よ。」

何処からか現れた深紅の闇が、人の形を成して主にかしずく。
そして。

「ここは、限りある命の者たちの世界。我等の在るべき場所ではありますまい。
 ・・・そう定めたのは、我が王よ、貴方ご自身でありましょう?」
「わかっておる。・・・しかし、な。」

咎める僕(しもべ)の言葉にも、しかし女は動じない。
にやりと悪戯っぽく笑って、

「お前の分身を滅ぼした、・・・“変化”をもたらした彼の者たちが、
 今、如何なる想いを持っていようか。
 ・・・改めて確かめるも、悪くはあるまい?」

美しき主のその答えに、僕たる闇は答える術がなかった。
ただただ困惑のため息をついて、まるで人間のようにこめかみを押さえる。

「総ての母たる御方よ。どうか、虚無の玉座に戻られんことを。
 これ以上我等がここに在り続けては、世界に不都合も生じましょう。」
「・・・仕方あるまい、な。」

深紅の闇のその言葉に、女−美しき金色の闇は、いささかつまらなさそうに
踵を返す。
そして。
一瞬、にやりと笑みを浮かべると−己の玉座たる混沌の海へと還る。

「限りある命を持つ者よ。・・・“想い”ゆえの力を秘めし者たちよ。
 お前たちの行く末にあるものが、世界に如何なる“変化”をもたらすか。
 ・・・楽しみにしておるぞ。」

一言、最後にそう言い残して。

:::::::::::::::::::::::::

ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
・・・本気で訳の分からん話で、すみませんです(滝汗)
とりあえず、今回はこの辺で・・・・・・・・・・・逃げます。
(しゅたたたたたたたたたたたたたた・・・。<高速で走り去って行く音)

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2214Re:「Half Soul −Magic−」P.I E-mail 9/16-21:14
記事番号2212へのコメント

中田珂南様
また読ませていただきました。
むんず!(と捕まえて)逃げることないじゃないですか〜。
L様かっこよかったですよ!こめかみを押さえる部下Sも
いいカンジ♪(苦労してるのね ^^;)
私的にヒイキは<光の剣>ですね。L様としっかり会話なんか
しててカワイイ奴です(はぁと)
炎と風のガウリナ・・・想像しただけでも素敵!
また書いてください!
ではでは。

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2215またまたありがとうございます。中田 珂南 E-mail 9/17-00:09
記事番号2214へのコメント

またまたご感想ありがとうございます。
・・・・・・・・・でも。

>むんず!(と捕まえて)逃げることないじゃないですか〜。

きゃ、きゃああああああっ!捕まっちゃったああああっっ!!
は、は、は、離してよおおっっ!!(じたばたじたばたじたばた。)

・・・わ、私なんぞ捕まえて、どーすんですか?(汗)

>こめかみを押さえる部下Sもいいカンジ♪(苦労してるのね ^^;)

部下Sですから(笑)

>私的にヒイキは<光の剣>ですね。L様としっかり会話なんか
>しててカワイイ奴です(はぁと)

ガウリイは何故、「光の剣」を選ばなかったのか。
・・・この話の中では、「光の剣」は“過去”の象徴なのです。
生家での剣の継承問題。傭兵として生きた血まみれの日々。
強大な力を誇っていても、独りで生きるしかなかった時間の。

もっとも。
この剣があったから、リナとガウリイの旅は10日で終わらなかった訳で。
彼にして見れば、悪い記憶(・・・あったんだ・笑)ばかりではないけど。

機会とネタがあれば、また投稿させて頂きたいと思ってます。
そん時はまた宜しくです♪

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2300うれしいですぅぅもり 10/9-13:54
記事番号2212へのコメント

      
  はじめまして、こんにちは。

  やー確かに最近少ないですよねぇ、ガウリナ。

  そんな中で頑張ってくださってる貴方様に感謝です。
  
  (読み専門の悲しい人間なんです、大好きなんですけどね ガウリナ)

  久々に二人の信頼関係クローズアップって感じのですね。
 
  こーゆーの待ってました。ホンと面白かったです。

  これからも頑張ってくださいね。
  

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2352ありがとうございます♪中田 珂南 E-mail 10/16-05:40
記事番号2300へのコメント

ご感想頂き、本当にありがとうございました。
・・・レスが今頃で申し訳ないです(殴)
 
>  久々に二人の信頼関係クローズアップって感じのですね。
> 
>  こーゆーの待ってました。ホンと面白かったです。
>

「らぶらぶ」をも含めた二人の「絆」にやられてるクチなんっすよ、私(苦笑)
(人に「ストイックなもんばかり書く。」と突っ込まれましたが。)
味気ないほどそっけないかな?なんて気もしてたんで、喜んで頂けて、本当にうれしいです。
機会があれば、また書きます♪

本当に、ありがとうございました。