◆−さう゛ぁいばる・だんす[その1]−makoto(9/25-23:46)No.2248
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2248さう゛ぁいばる・だんす[その1]makoto 9/25-23:46




さう゛ぁいばる・だんす[その1]


「へへへっ、もう逃げられんねーぜ」
「観念するんだな、姐ちゃん」
使い古された脅し文句を、ねちっとした口調で言い放ち、男たちは、また一歩、歩を進めてきた
そして、それに合わせるかのように、一歩下がった女の背中に、木の幹が当たった
追いつめられた女はとしの頃なら二十歳くらい、黒い髪の、どこかおっとりとした感じの美人であるが、なぜかこんな状況でも落ち着いた態度を取っている
「けっ、いつまでもすましてられると思うなよっ!!」
そう叫んで女に一気に近づこうとしたその瞬間!

「そこまでよっ!!」
木々の間に声が響いた
「だ、誰だっ!?」
「どこにいるんだ!?」
男たちはあわててまわりを見回す
「あ、あそこに人影が!」
そう叫んで、男たちの一人が一つの木の頂上を指さす
・・・なかなか基本に忠実な連中ではある

「影あるところに光があるように、悪あるところに正義あり!
 天地の道理に背くものを、わたしはけっして許さない!!
 罪なき人々を恐怖に陥れるものたちよ、 
 今こそ正義の裁きを受けよ!!」
朗々とした口上が辺りにこだます

「とうっ!!」
というかけ声とともに

ぼきっ

と、にぶい音がした
思わずお互いの立場を忘れ、呆然とする男たちと女
「――子供!?」
男たちの一人が驚きながら、言った
そう、全員の目の前に落ちてきたのは一人の少女だった
白いマントに白い服、肩でそろえた黒い髪、としの頃なら一三、四といったところであろう
「こりゃまた、変わったもんが落ちてきたなー」
「俺としては、もっと変なやつを期待してたんだが・・・」
「ですよねぇ〜」
勝手なことを言う男たちに、いつのまにか襲われていたはずの女も加わってたりする
あまりに予想外の展開に、このスキに逃げる、というアイデアが女には浮かばなかったようである

しばらくして、がばっと少女は起き上がった
「大丈夫ですかぁ〜?」
女が少女に声を掛ける
「大丈夫!この程度でわたしの正義は揺らぎません!!」
「・・・首、変な方向に曲がってるみたいですけどぉ〜?」
「そんなことより!!」
少女はびしっっ!と男たちを指さす
「悪を倒すことが先決ですっ!!」
一瞬の沈黙を置いて、
『・・・・・・・・・ぶ、ぶはははははははははっ!!』
男たちは爆笑した
「くくくっ、お嬢ちゃんが俺らを『成敗』してくれるってか?
こりゃいいや・・・」
「火炎球(ファイヤー・ボール)!!」

づどむっ!

少女は、呪文と爆発で返事を返した
その一撃で立っているのは、少女と女だけであった
「あら〜、けっこうお強いんですねぇ〜」
悲鳴を上げる間もなく、黒コゲになってぴくぴくしている男たちを見て、女は言った
「正義はかならず勝つのですっ!
では、そーゆーことでっ!!」
「あ、待ってください〜」
とっとと去ろうとする少女のマントをさりげなくひっつかみ、女は待ったをかけた
「――よかったら〜、私の依頼を受けて頂けませんかぁ〜?」
「・・・依頼、ですか?」
少女はあまり気の進まない顔をした
女は顔を隠すように手を当てて(それでもマントをつかむ手は離さず)
「実は、・・・悪人さんたちに無実の罪で追われているんですぅ〜」
少女はまともに顔色を変え、
「なんですってっ!?本当ですか?!」
「・・・・はい〜」
女は顔を下に向けて、言った
「か弱き乙女になんという悪業!許せません!!」
女は顔を上げて、
「引き受けてくださいますか〜?」
どこか芝居がかったしぐさであるが、少女は気づいていないようだった
「そーゆーことなら、是非ともやらせてもらいますっ!!」
ガッツポーズをとったその背中には、炎が燃え上がっているように見えるのは気のせいなのであろうか
「では、しばらくお願いしますね〜
あ、まだ私の名前言ってませんでしたねぇ〜、メディナと申しますぅ〜」
と言って右手を差し出す
「わたしのことは――」
少女も右手を差し出し、握手しながら言った
「アメリアと呼んでくださいっ!!」


                              続く

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あとがき


こんにちは、makotoです
前にもここで作品を作ったことのある私、
調子に乗ってまた書いてしまいました(笑)
前と違い、今回はちょっとシリアスな展開なので、
前の作品を読まれた方は、そこのところをご了承お願いします
ぜひ、お暇な方は気が向いたら読んでやってくださいm(__)m


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2359さう゛ぁいばる・だんす[その2]makoto 10/17-18:20
記事番号2248へのコメント





さう゛ぁいばる・だんす[その2]








――街に近い、人気のない夜の街道で、
アメリアに声を掛けてきたのは、どこにでもいそうなゴロツキ風の男だった
「よー、お嬢ちゃん、かわいいねぇー」
と、言って、アメリアの肩に手を置こうとする

ごづっ!

アメリアの裏拳を顔面にまともに受け、男はぶっ倒れた
「アメリアさん?」
「悪です!」
メディナの問いに、アメリアはそう答えると、さっと構えると、街道のしげみに目をやった
「そこにいるのはわかってます!
 正々堂々出てきて正義の裁きを受けなさい!!」
「ほぉ、よくわかったな」
しげみから一つの人影が現れる
声からして男のようだが、全身黒ずくめで、いわゆる暗殺者(アサツシン)の格好をしていた

アメリアがそちらに注意がいった瞬間

「づは・・・・」
アメリアに突っかかってきた男は苦し紛れか、アメリアの足をつかんだ
「?」
アメリアは一瞬怪訝な顔をするが、男の視線の方向を辿って、はっとした
もう一人の黒ずくめが、ふところから刃物らしきものを取り出したのだ
そして、アメリアにそれを放った!
――避けられるタイミングではない

「風裂球(エアロ・ボム)」

刃物が強風に飛ばされ、――あらぬ方向へ飛んで行く

「なっ!?」
黒ずくめが声を上げる
足首を掴んでいた男も、ショックからか、思わず手をゆるめてしまう
その隙を逃さず、アメリアは手を足で払いのけると、一気に黒ずくめとの間をつめる!
黒ずくめが気づいたときには、アメリアの間合いに入っていた

「はっ!」

ごぶぉっ!

アメリアの右のこぶしが、黒ずくめのみぞおちにめり込んでいた
悲鳴すら上げずに気絶して、黒ずくめは吹っ飛んだ!

「――ふぅ」
「片付いたみたいですねぇ〜」
息をつくアメリアに、
「あ、こっちの男のひと、ちゃんと気絶してもらいましたので〜、
大丈夫ですよぉ〜」
メディナはそう言いながら、自分の持っている角材を指差していた
「そうですか、ありがとうございます!、メディナさん!!」
「おおげさですよぉ〜、アメリアさん」
ちょっと照れているメディナに、アメリアはさらに、言った
「いいえっ!
あのときの風裂球(エアロ・ボム)の分のお礼も入ってますから、おおげさじゃありません!!」
「あ、あれですかぁ〜?
 戦闘なんて素人の私が〜、手を出していいものかどうか悩んだんですけど〜
 結果はよかったみたいですね〜
 ・・・正義は勝つってやつですかねぇ〜」
「――そう、そうです!
 きっとわたし達に正義の星が輝いたのよ!!」
夜の空を見上げ、切り株に片足をのっけて、空を指さすアメリア
「・・・・・・・・・・今日、曇りですよぉ」
と、水をさすメディナ
そんな言葉など聞かなかったかのよーに、アメリアはさらに一人で盛り上がる
「さぁ!わたしたち、正義の使者の手であなたを追う悪人たちに、
 裁きを下しましょう!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・『わたしたち』って、
 その、・・・・私も入るんですかぁ〜?」
おそるおそる聞くメディナ
「当然ですっ!!」
断言するアメリア
「そ、そーですか〜・・・」
顔の冷や汗を拭いているメディナ
「・・・で、でも〜、とりあえず先を急ぎませんか〜?
 ――またこんな方たちに襲われるかもしれませんし〜」
黒ずくめたちを目で指しつつ、メディナは言った
そう言うと、ようやくアメリアはそのポーズをやめ、
「それもそーですね!
では、街へ・・・」

「――眠り(スリーピング)」

「う・・・」
「しまっ・・・・・・・・」
二人はその場に崩れ落ちた

アメリアの前にひとつの人影がいた、が、よく顔は見えない

そして、
「フェルズシティにいる」
と言う声

それが、アメリアが眠りに落ちるときに聞こえた言葉だった





                            つづく



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あとがき


作:長らくお待たせしてすいません、読者な皆さん
  執筆ペースがあいかわらず遅いmakotoです
リ:んなこと言って、誰もみてなかったりして・・・・・
作:うっ・・・・そ、そんなことはない!・・・・かも
リ:ほーら、自信ないんでしょー、うりうり
作:だ、だれにもみられてなくても私は書きつづけるんだぁぁぁぁ!!!
  (ちょっと目に涙を貯めつつ)
リ:おぉーーー(ぱちぱち)
  ・・・・でも、そのわりにはあたしが出てないけど、どーなってんの?
作:(ちっ、気づかれたか)
  な、なにを言うんだい、ベイベー
リ:(ジト目で作者を見る)
作:・・・・あ、あんなところにニギタケ鍋が!!
リ:ごまかそーったってそーはいかないわよぉぉぉぉ〜〜〜
作:(一瞬見たくせに・・・)
リ:なんか言ったぁぁぁぁぁぁぁああ〜〜〜
作:・・・・・いえ、何でもないです、はい
リ:・・・・なんかひっかかるけど、よろしい
作:(ほっ)
リ:で、あたしの出番は?
作:・・・・・・・・・・・・・・・・
リ:・・・・・・・・・・・・・・・・
作:・・・・・・・・・・・・・(無言でダッシュする)
リ:・・・・・・・・・・・・・(無言で追いかける)


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