◆−赤の竜神の騎士−R.オーナーシェフ(10/11-19:44)No.2322


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2322赤の竜神の騎士R.オーナーシェフ 10/11-19:44


ひさびさの書きこみです。この小説は一応、他のHPで自分が書いたやつの1話分
を抜き出し、修正したものです。

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神殿は不気味なほど静まり返っていた。真っ白なエンタシスの数え切れないほどの
はしらが、高く、高くそびえる。夏なのに空気は冷え、動かず、シーンと、物音
一つしない。虫の声さえも。
 広い神殿の薄暗い奥、日の光が届かないため、淡いライティングの・・いや、
何か別の魔法の明かりが灯されていた。やがて動かなかった空気がゆっくり流れ出
し・・・・・・・・
「!」
突然空間がゆがむ。
4体か。アストラルのこの大きさ。間違い無いわね。
そこに空間からいきなりあらわれたのは、ブロンドの美女、下半身魚で冷たい瞳の
女、彫りの深い中年男、女の子のような美少年。おそらく皆、かりそめの姿だ。
一人たりないあいつは『あれ』と行動を共にしているのだろう。読みどうりの
ようだ。
『中年男』が口を開く。
「ようは破壊を撒き散らせば良いのだな。我らの最も得意とするところではない
か。」
「待て!」
『少年』が制した。見た目によらず、するどく。
ふっ。さすがは『五人の腹心の筆頭』ってとこかしら。
あたしは柱の影からゆっくり姿をあらわした。
「へえ。驚いたよ。人間でいえば16、7の綺麗なお姉ちゃんってとこだけど、
違うようだね。竜族でもなさそうだ。」
「失礼ね。あたしは人間よ。冥王フィブリゾ。」
冥王は驚嘆し、しかしバカにした様子で、
「こんなとこへ何の用だい?お姉ちゃん。」
「何こんな娘にかまってるのよ。どうせ人間の勇者ふぜいでしょ。身のほど知らずの。」
前に出たブロンドの女ー獣王は手をかざし光を灯した。
腹心相手だし、油断できないか。よし!あれを呼び出そう。
あたしは右手をゆっくり前に出す。同時に、それが異空間を渡りあたしのもとへ来るのが『みえた』。右手は赤い光を発し片刃の長剣の形をとる。
あたしのなかにある『かけら』と同時にこの世にのこったあたしの剣。
「赤竜の剣」だ。
「何を見せてくれるのかしら?お嬢ちゃん。」
獣王はかまわずエネルギー塊をほうる。
シュ  ズーン
ばらばらばら   どす どす
すさまじい閃光があたりを包む。頑丈なはずの柱や天井が崩れ落ちてきた。が、
「ゼラス!よけろ!!」
ヘルマスターが叫んだときはもう遅い。獣王のはなったすさまじい光の中、さらに
明るい、赤い光が走る!!!!!
超神速の抜刀術だって? 違うな。光速の抜刀術よ!!
考えるより早く獣王は横へ飛び、しかし、衝撃に弾き飛ばされる!!!
「くっ!」
ふりかえり、あたしはゆっくり剣を構えなおした。
片腕をあたしに切り飛ばされ、肩をおさえながら獣王は立ち上がった。
「い、今の光はまさか・・・そんなはずは無い!!スイーフィードは滅びたはずよ!!」下半身魚の女ー海王が言った。
フィブリゾが口をひらく。
「・・・まさかね。確かルビーアイ様が封印される寸前こう言ってた。『やつはどうや
ら己の分身の他にも何か残すつもりのようだ。』残せるとすればあいつ自身を構成
していた、いわば『神のかけら』しかない。」
「ご名答。それが眠ってるのがあたしの中。そうね、こう名乗りましょうか。
あたしは、赤の竜神の騎士スイーフィードナイト!!
最近になってデーモンが続出、みーんな怒りっぽくなって、しまいには戦争はじめ
ちゃうわ、しりあいのレイ・マグナスが言動がおかしくなって行方不明になるわ、
もう最低!!あんたたちがここへ来たってことは勘があたったみたいね。一匹たり
ないのは『あれ』といっしょってことかしら?あたしは人間だし、もう神も魔族も無いといやあそれまでだけど、水竜王はねえ、あたしはラグラディアだからラグ
ちゃんっていってるけどあたしのダチなのよ。ここの竜族も、ミルガズィアといい
いいやつだし。このままほっとくわけにはいかないかんね。」
刹那、四人が消える!!!
アストラルからくるか!!だが・・・・あたしには通用しない!!!!
「はあっ!!」
気合一発、あたしのまわりの空間がゆがみ、
「ぐあああっ!」
苦しみながら現れた。
低く、鋭く、かつて竜神が魔王に襲い掛かったように雷のごとく走り
「えやあああっ!!」
中年男ー覇王をもってた剣ごとたち斬り、スピードを解散せず・・・違う。スピードを落とさず獣王の額をつらぬく。
「!」
瞬間、しゃがんだあたしの頭上を『ひれ』が通りすぎた。
あたしは高くジャンプする!!体をひねり、回転、ねらいは海王!
「かかと落し!!!」
「ぎゃう!!」
着地し、赤竜剣をかまえなおす、が・・・・・・・・・・・・・・
「冥王(あいつ)がいない!?」
ふりかえると、あたしの視界に重なり見えるおかしな空間―アストラルサイドで
そうとうダメージをうけながらもしっかり間合いをとりあたしと対じする3人。
海王が真っ赤な唇の端をゆがめ、ふてきに笑ったかと思ったその瞬間!!

ズドドドドドドドドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

水竜王の神殿は爆煙に包まれた。




「はっ!?・・・・・・ゆめ・・か。」
またあのいやな夢だ。はっきりとは覚えていない。が、たまに前世の夢を見ること
がある。
 あたたかい日の光がふりそそぎ、ここちよい風がとおりすぎる。
ここはゼフィーリアのおおむね平和な田舎。草にねそべったあたしは眠いめをこす
り、ふと、頭上の青いそらを、悠然と白竜が飛んで行く。
「あ!ドラゴンだああ!わああああああい!!」
「こら!リナ!!そっちへ走ったら・・・」
ドテッ
「・・・・・・・・ぷっ!!ふっふっふっふっふっふ・・・ふわっはっはっはっは
っはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!うーっ!おなか痛い!!
やーい、すっ転んでやんの。」
もっていた駄菓子をおもいっきりあたりにばらまいてしまったリナは涙目でゆっく
りたちあがり、遠くの白竜をキッとにらみ中指おったてたのだった。
  生まれ変わる前のあたしの行動は、世の人々にとってみれば、自分で言うのも
なんだがそれは立派な英雄だろう。伝説。だがあたし自身にとっては屈辱の記憶
でしかない。魔族の陰謀にきずきながら、結局は『神封じの結界』の形成を阻止
できず、ラグラディアを助けられなかったのだ。
 無邪気なリナをみるとあたしはなぜか落ち着く。おもいっきしスパルタ教育やっるやんけというそこの君!愛のムチってやつだ。
 あたしからみても恐ろしいほどの潜在能力をもつリナ。おそらく将来、間違い
なく魔族の陰謀にまきこまれてゆくことだろう。だが、大切なものを失うのは
もうごめんだ。あんな思いは2度としたくない。 

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いかがでした?シリアスな郷里の姉ちゃん。
このルナ姉ちゃんは、自分で小説を読んだ上での解釈で書いています。
つまり、「ラルタークくらいなら笑ってど突き倒せる」→神官・将軍クラスより
もケタが上。すくなくとも腹心クラス以上。でも「かけら」だから神・魔王より
下。「竜破斬を普通の剣で斬る」「純魔族を麺棒だかすりこぎだかでどつく」
→呪文・魔力剣で増幅する必要のないくらい意思力が桁外れ。多分、アストラル
からの攻撃も気合で跳ね返す。
そして赤竜剣はスーフィードナイトの剣(エンサイクロペディアスレイヤーズより
桁外れの意思力で使えば当然すごいというわけです。

予告
しばらく前に「魔を滅するもの その後」というやつを書きこんでいたんですけど
身のほど知らずにもその続編です。
  シリアス編 魔を滅するもの その後E 沿岸危機
  ギャグ編  魔を滅するもの その後F 悪役ファイト・りべんじ 
おもいっきしガウリナです。子持ちのミセスリナちゃん大暴れ。
おそらく時間かかりますのでご了承の程を。