◆−月夜の幻影−いしまかや(12/8-18:38)No.2532
2532 | 月夜の幻影 | いしまかや | 12/8-18:38 |
久しぶりでっす。いしまかやでーす。 テストも、一応終わって、やっと、これましたよぉ。 今回、オレ的、珍しく長めな話で、ガウリナです。 中身は、ぶっこわれ、ガウリイです。 そういうの苦手な人は、回れ右して下さい。 月夜の幻影(イリュージョン)(あるいは、湖のある風景) ぱちんっ。 木の爆(は)ぜる音で、ガウリイは、目を覚ました。 寄りかかっていた木から体を起こす。 少し、汗で頬に張り付いた長い金髪を後ろに払って前を見た。 焚き火の向こうでは、ゼルガディスが剣を抱えて座っている。 そのすぐ近くには、アメリアが横になって寝ている。 「よう、旦那。交代までは、まだだぜ。」 ガウリイが起きたのを気配で察したのだろう、ゼルが話しかけてきた。 ガウリイは、それには答えずあたりを軽く見渡す。 焚き火の近くには、彼の保護する人物、リナの姿はなかった。 「・・・・リナ、は?」 ガウリイは、近くにリナの姿がないことをゼルに問いかける。 「リナだったら、俺と交代してすぐに散歩してくるって言って、出かけていったが。」 「・・・ちょっと、リナを探しに行ってくる。」 ゼルの言葉に、ガウリイは剣を手にして起きあがり、歩き出す。 「・・・おい、リナの行方が分かるのか?」 ゼルは、予想通りの行動だ、と少しあきれながらも、ガウリイに問いかける。 「ゼル、どっちの方へ行ったか分かるか?」 「そっちの方に歩いていったな。まあ、爆発音なんぞもしてないし、 盗賊いぢめなんぞということはないだろう。ここら辺は、平和みたいだしな。」 その方向を指さしながら、少し呆れを含んだ声で言うゼルに、 「そっか、ありがとな。」 とガウリイは手を振って、指さされた方へ早足で歩いていった。 「旦那の過保護には、まったく呆れるね・・・。」 ぽつりとゼルは呟くと、焚き火に小枝を投げ入れた。 ガウリイは、指を刺された方へ、リナを求めて足を進める。 月が上から足下を照らし、特に明かりがなくても、問題はなかった。 ぱしゃん。 少し離れたところで、水音がした。 ガウリイは、その音に惹かれるように、足を進める。 そっちの方に、リナがいるような気がした。 確証はなかった。 だが、大して手がかりもなかったので、ガウリイは己のカンに従うことにした。 ぱしゃん。ぱしゃん。 次第に、水音が大きくなる。 ガウリイは、それに惹かれるように足を早める。 不意に森が開け、そこには湖があった。 昼間通ったところだったが、ガウリイはそんなことはどうでもよかった。 ぱしゃん。ぱしゃん。ぱしゃん。 水音をたてて、湖の縁で、誰かがこちらに背を向けて水浴びをしている。 天使、妖精、精霊、そんな綺麗だけど、近づいてはいけないような、雰囲気で。 月をバックに、光を浴び、淡く輝く。 水しぶきが、宝石のように、煌めく。 白い肌が、淡く光を発しているようで。 夜の闇の中、そこだけ淡白く光るような肌。 華奢な肢体。 水をしたたらせた、栗色の艶やかな髪。 水の玉が、宝石のように彼女を飾る。 それがリナだと、不意に理解した。 彼女は、こちらに気づかない。 ゆっくりと、ガウリイはその景色に心奪われたまま足を踏み出した。 そのまま、捕まえてしまいたかった。 この腕の中に。 その美しさを。 誰にも、見せることなく。 自分だけのものに。 足を進める。 気づかない。 手を伸ばす。 気づかない。 触れる直前。 振り向いた。 ぱしゃんと、水音が、一際大きく、たった。 湖に、二人に影が、揺れる。 止まらない。 止まれない。 止まりたくない。 手を伸ばす。 抱きしめる。 抱きしめる。 抱きしめる。 濡れるのなんか、かまわない。 後ろから、包み込むように抱きしめる。 決して、逃がさないように・・・。 当然のこと(?)ながら、リナは・・・。 「ばっ、爆煙舞(バースト・ロンド)っ!!」 「炸弾陣(ディル・ブランド)っ!!!」 「爆裂陣(メガ・ブランド)ォォ!!!!」 いきなり抱きしめられて、一も二もなく、立て続けに三つ、呪文を繰り出した。 顔が・・・赤い。 今日も夜空に、攻撃呪文の花が咲く。 「なーにやっとるんだ・・・あいつらは。また旦那が、余計なことでも言ったのか?」 これは、火の番をしながらその爆発を見ていた人の台詞。 「なっ、なななっなななななななっっっ!!!???」 顔を真っ赤に染めて、やたらと「な」を繰り返すリナ。 視線の先には、吹き飛ばしたガウリイが倒れている。 一つ深呼吸をして、息を整えようとするが、なかなか、治まらない。 近くに置いてある服を素早く身に付け、軽くタオルで水を拭き取る。 「乙女に何さらすかっ、このノーみそクラゲ男はっ!!」 まだ、起きあがらないガウリイを睨み付けながら、髪を拭く。 よほど、ドラ・スレなんぞでもかましてやろうかと思ったが、 せっかくの湖潰しちゃうのと、近くにゼルとアメリアがいるので止めた。 その代わり、ここにガウリイは、置いていこう。 そーすれば、さっきのことは、忘れてるかもしんないし。 夢か、幻って事にしておけるし。(ほんとか?) ・・・まあ、ガウリイ、ノーみそクラゲだから、すでにこの時点で。 「何で、オレ、ここに倒れてるんだ?リナ」 とか何とか言ってきそーな気もするけど。 もし、万が一、覚えていたら、フォローのしようがないじゃないの。 しょーじきに、言える訳ないし(だってはずかしーじゃない) ま、そーと決まれば、ゼルんとこ早く行きましょ。 リナは、一人納得すると、少し足音を忍ばせて、その場から逃げるように去っていった。 「・・・リナ。ガウリイの旦那には会わなかったのか? お前さん探して、森ン中探しに行ったのだがナ。」 ゼルガディスは、帰ってきたリナを見止め、開口一番にそういった。 「ガウリイ?さあ。まーた、森ン中で迷子にでもなってるんじゃないの? 全くノーみそクラゲなんっだから。」 そっぽを無向いて、リナ。 その顔は、少し赤い。 「・・・ところで、リナ。さっきの爆発、旦那と何かあったんじゃないのか?」 「・・・・何でそー思うのよ。たーだ、水浴びしてて水が冷たかったから、 ちょっと暖めてみただけよ。」 当然ながら、説得力がない。 「あの爆発で旦那が、そっちに向かわないはずがない。それにもかかわらず、 お前さん一人が戻ってくるゆーのは、なにかあった、そう考えるのが妥当だろ。」 「・・・・どーせ、湖、広かったから、見当違いなとこにでも出たか、すれ違ったんでしょ。」 リナは、そうゼルに言うとマントにくるまり横になる。 「ま、何にしても、・・・水浴びしてさっぱりしたことだし、あたし寝るから。 ガウリイのことだし、野生のカンでそのうち戻ってくると思うし。おやすみ。」 リナは、話を切ると毛布にくるまり横になって目を閉じてしまった。 ゼルは、呆れる。 都合が悪くなると、すぐ、誤魔化すんだからな、お前さんは。 ふと、夜空を見上げると、月が少し傾いていた。 「・・・・オレ・・・は・・・?」 ガウリイは頭を軽く降りながら体を起こした。 周りを見渡す。 目の前の湖を見ると、そこには何もなかったかの様に静寂が訪れていた。 誰も、いない。 改めて、自分の姿を見渡すと、擦り傷切り傷がそこここに出来ている。 誰もいない湖を見渡す。 さっきの光景は、夢、自分の望んだ幻・・・そんな思いが頭を横切る。 腕の中に感じた、柔らかい肌。 濡れた、髪。 思わず手を見る。 夢や、幻にしては、生々しい。 ・・・・妖精か何かにでも、ばかされた・・・かな? ガウリイは、自分の手を見る。 幻でも・・・いい。 夢でも・・・いい。 リナがこの腕に抱けたから。 華奢な肩。 濡れた髪。 まだ、この腕に残っている錯覚さえ覚える。 ぼんやりと、湖を眺める。 ふと、淡く輝く湖の縁に、あのリナの姿が見えたような気がした。 月は、ゆっくりと、沈んでいく。 「まぁったっく、朝になっても帰ってこないんで心配して探しに来てみれば、 こんな湖の側で高いびきたあ、いいコンジョーしてるじゃないのっ! こんなとこで寝てたんじゃあ、いくらあんたが、ノーみそクラゲの体力馬鹿でも 風邪ひいちゃうか、体壊すでしょーがっ!後、ゼルに謝ンなさいよね。 ガウリイの代わりに見張りやっててくれたンだからっ。で、ここで眠りこけてた 理由は何っ?まさかとは思うけど、あたしのこと探したはいいけど 元の場所忘れて、ここで寝てたとかゆー事はないわよねっ?で、どーなの、何か言いなさいよっ!」 リナは、スリッパでガウリイの頭を叩くと、 一気に反論を許さぬまま畳みかけるように言った。 手には、ガウリイをはたき起こしたスリッパを握り、 上体を起こしたガウリイを上から睨み付けるようにして立っている。 ガウリイは、少し寝ぼけたまま、リナを見ている。 「まあまあ、リナさん。ガウリイさんも無事見つかったことですし、そこら辺で・・・。」 アメリアは、リナの後ろでおろおろと、リナとガウリイに視線を送りつつ言う。 ゼルは離れたところで、呆れながらも、このやりとりを見ている。 「ガーウーリー?」 リナは、半眼で、ガウリイをにらむ。 アメリアの言葉は耳に入っていない。 「アメリア、まだ掛かりそうだから、先に戻って朝食の準備でもしておこう。 今のリナに何を言っても無駄だからな。」 すたすたと寄ってきて、アメリアの方にぽんと手を起き、ゼルが言う。 「でも・・・ガウリイさんが・・・・。」 アメリアが、心配そうにガウリイさんの方を見る。 「まあ、あいつの場合、心配かけたんだから、自業自得だろう。 リナだって、殺すようなことはしないだろうからな。それより、 朝食でも作っておいて、この後のご機嫌取りでもしていた方が、堅実的だ。」 ゼルの言葉にアメリアもうなずく。 「そーですね。ここにいて、巻き添えくらったら大変ですし・・・。」 「そういうことだ。」 アメリアとゼルが、すたすたと野営地に帰っていく。 リナは、そのことに気づかず、ガウリイを問いつめる。 「だーかーらー、何とか言ったらどうなのっ!?ガウリイっ!」 ガウリイは、ぼーっと、リナを見上げている。 「なあ・・・リナ。」 「何よっ。」 「オレ・・・何でこんなところにいんだ?」 ガウリイの完全に呆けた台詞にリナは、再度スリッパを振り上げた。 すぱーんっ!! 「こンの、ぼけクラゲっ!それは、こっちが聞きたいわぁーっ!!」 小気味のいい音とともに、リナの怒鳴り声が、空気を揺らす。 叩かれたガウリイは、地面に撃沈された。 「・・・いちちちち・・・リぃナぁ、もー少し、手加減してくれよぉ。」 少しの後、頭を片手で押さえながら、ガウリイが上体を起こす。 「ふんっ、あんたがあたしを怒らすよーなこと言うのが悪いっ!」 そんなガウリイにリナは、噛み付くように言った。 ガウリイは立ち上がり、改めて周りを見渡す。 「・・・キレーな、トコだな。リナ。」 ガウリイは、太陽の光で水面が輝く湖に、視線を注ぐ。 「ま、そーね。けど、それはガウリイがここで寝てた理由になんないでしょうがっ。 まあ、ガウリイに記憶を求めることが間違ってるのかもしんないけどっ。」 リナは、少しため息を付いた。 「そーそー。オレって頭脳労働って人数外だしっ。」 ガウリイは、明るくリナの言葉に続く。 「威張れる事じゃないでしょーがっ。昨日のことぐらい覚えときなさいよっ。」 リナは呆れてガウリイを見上げる。 立ち上がっているガウリイは、ちょうどリナの方を見下ろしていた。 視線が、ぶつかる。 リナは、あわてて視線を逸らした。 昨夜のことが、リナの頬を赤く染め上げる。 「どーした?リナ。いきなり黙り込んで。」 ガウリイは、不思議そうにリナを見下ろす。 「なっ、何でもないわよっ。・・・あれ?アメリアと、ゼルは・・・?」 ぷいと顔を逸らし、リナは初めて、アメリアとゼルの不在に気づいた。 「・・・お?リナ。向こうで、いい匂いがするぞ。」 ガウリイが、匂いのくる方向を指さす。 「あっちは、あたし達が野宿してた方向。・・・となると、その匂いは、 ゼルとアメリアが何か作ってる匂い・・・かな?」 「早くいこーぜ。オレ、お腹すいちまって・・・。」 リナの手を引き歩き出すガウリイ。 「あっ、ちょっと、ひっぱんないでよぉ、ガウリイ。」 少し引きずられるようになりながらリナは、抗議する。 「早く行かないと、ゼル達に全部食われちまうからナ。」 「大丈夫よ。ガウリイじゃあるまいし。んな事ないって。」 「あのなぁ・・・」 さっきまでのギスギスした雰囲気とはうって変わって ほのぼのとしたやり取りを交わすガウリイとリナ。 「ガウリイ、あたしの前行くけど、道分かってるの?」 ふと気が付いて、リナはガウリイに問う。 「匂いのする方に行けばいいんだろ?軽い軽い。」 「獣並かい・・・あんたの鼻は。」 ガウリイの答えに、リナは呆れた声を出す。 「まあ、とりあえず、食事したら、出発よ、ガウリイ。」 気を取り直して、リナは言う。 「・・・何処へだ?」 「ちったぁ、自分で考えンかぁいっ!!」 すぱーんっ!! 小気味のいい音が、緑の深い森の一角に木霊し、静かな湖の上にも響いた。 今日もいつもと変わらぬ、一日が始まり、 ただ、胸の内に残るのは、月の夜の幻影のみで・・・。 あとがき(?) ある日、頭ん中に一つのビジョンが横切りました。 夜、月をバックに水浴びをするリナの姿でした。 水は腰のあたりまであって、月の光でリナの姿は、淡白く輝いてました。 水音をたててリナが水浴びをする姿・・・。 う〜ん。絵に描きたいっ。 とか思っても、画力のなさに描いたら幻滅すること間違い無しって事で、 文書にしてみました。(誰か、描いて)・・・が、全然、その雰囲気が出てこないっ。 しかも途中で保存に失敗して、せっかく書いたトコが半分ぐらい消えちゃって書き直しだしっ。(泣き) しかも、無くなったと思って打ち直し終わったところに、 他のフロッピーに入っていたこと判明。踏んだり蹴ったりじゃのう。(大ボケ太郎) うちのがうりん(をいをい)暴走してるし・・・ま、私の頭のせーだけど。 しかも、ガウリイとリナ以外の扱いがひどいし・・・これじゃ、そっちのファンの人に刺されるぅ。 いいわけとしては、二人旅でリナが、ガウリイに断り無く湖行くわけないよなぁってことと、 焚き火ほっておいて、ガウリイふらふらしないだろってことで。 そーなると他に旅の連れがいたほーが都合がいいなってことで、ゼルとアメ。 このパーティ、好きだしね。 ガウリイのいきなりの行動は、月のせいって事で(ヲイ) 月を見ると、暴走するンだー(オオカミ男かい) まあ、私のビジョンが、これ読んだ誰かにも届くといーな。 ・・・・あ、でも苦情とかは、出来れば勘弁してもらいたいなぁ(苦笑い) それでは、こんな変な文章(駄文とも言う)を読んでくれた人へ、限りない感謝を込めて。 (いしまかや)でした。 |