◆−ぶもっ☆−二月(1/6-02:20)No.2609


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2609ぶもっ☆二月 URL1/6-02:20



 こんばんわです。
 一応友人にチェックしてもらって大丈夫だろう判定(謎)をいただけたので投稿しようと思います。でも妖しかったら削除ねがいまする。
 ファイルに保存したっきりすっかり存在を忘れてた話です(笑)。
 ガウリナガウリナガウリナ☆

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『Magic』
  ・・・いわゆる一つの悪夢(笑)・・・


 ふと、目が醒めた。格子の模様の天井・・・・・・。身体を動かそうとして痛みに眉をひそめた。
「ガウリイ・・・・・・・。ガウリイっ!」
 小さな衝撃を伴って抱き付いてきた、
「リナ!!?」
 突然のことに驚く。こんなふうに抱き付かれたことなどなかったから。痛みもどこかにぶっ飛んでいくような、そんな衝撃が身体を突き抜けていった。
 これは・・・・・・・抱きしめかえしていいものなのか、それとも・・・。
「あ、ごめんっ。身体、まだ痛いでしょ?」
 抱き返そうとしていたガウリイの腕からすりぬけるようにしてリナが離れた。
 あう・・・逃げられた(;;)。
「あ?・・・身体??」
 抱きしめ損ねたあげくにリナを逃がしてしまった俺は適当な返事を返していた。
「もお。それも覚えてないの?あたしをかばって・・・むちゃしないでよ」
 ベッドのそばに膝をつき覗き込むようにしながらリナが言った。おっきな眸に涙が溢れかけて俺は身体を起した。引き寄せて抱きしめる。縋りつくように身を預けてくるリナが可愛かった。多分、何度泣かれてもきっと同じふうにリナを守るだろう。その方が楽で幸せだから。今、こうして俺のために泣いてくれるリナを見て幸せ、無傷の彼女を抱きしめる腕の力を加減しなくてもいいという幸せを感じてしまうのは止めれそうにない。この温かさを失わないためなら他のなにを引き換えにしても構わない。
 リナの唇にそっとふれた。
「ガウリイ・・・・・・」
 涙を止めてやるつもりだったのに一層泣いてしまった。
 ちぇっ。せっかくいい雰囲気なのにこれ以上手が出せねえよ、これじゃ。
「ガウリイ・ガウリイ・ガウリイ・・・・・・」
 名を呼んでぎゅっと抱き付いてくる。その感触を隅々で感じて俺は苦笑を浮かべる。
 まあ、いいか、こーいうのでも。
「・・・・・・ガウリイ?」
 俺は目を覚ました。格子模様の天井が見える。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 俺はため息を付いた。
 いい夢だったなあ、ちくしょお。ぼんやりと、心配そうに覗き込んできているリナを見ながら思っていると、ぽたりと涙が頬に降ってきた。
 雨のようだ、まるで・・・・・・。
 思った途端、窓をうつ雨の音が耳についた。今の時期だけに限られた蒸し暑さ。この季節だけの濡れてもすぐには寒さを感じない雨は嫌いじゃない。だけど、こっちの雨は堪えるな。ガウリイは身体を起してリナの頬に手を伸ばした。音もなくこぼすリナの涙はひどく切なくて。
「・・・・・・・泣くなよ」
「泣くわよ!あた、あたしの・・・・・・」
 ひいっくと変な鳴咽を漏らして言葉を詰まらせてしまった。引き寄せて抱きしめる。
「あたしの、せいで、怪我したんだもん・・・・・・やめてよね、そういう事」
 きっと睨みながら言う。だけど、その眸からは涙が次々に溢れてる。
 思わず俺はその様に笑みをこぼしてしまった。
 夢でみたリナの方が素直だったな。これはこれで可愛いけど。
「なんで笑うの、そこで」
 声に刺が生えた。
「可愛いから」
 リナの顔が真っ赤に染まった。慌てて俯いて膝の上から降りようとリナが身体をずらそうとした。
「リナ」
 呼ばれて反射的にあげた唇にそっとキスをする。
「なっ・・・・・・」
 言葉にならない声。
「リナ」
 目を閉じたままのリナの唇が、
「・・・ガウリイ・・・・・・」
 優しく、俺の名を呼ぶ。
 と、いうところで目が醒めた。いい加減にして欲しい。見えるのはまたしても格子模様の天井。
「・・・リナ、そこにいるか?」
 ため息とともに名前を呼ぶ。寝起きにしては我ながらはっきりした声だ。と、いうよりは不機嫌そうな声。
「ガウリイ、目が醒めた?」
 そばに寄ってきてリナが言う。
「お医者さんに見てもらったら、いちおう全治2週間ってとこらしいわよ」
 どさりとベッドの縁にリナが腰を下ろし、その柔らかな反動でベッドのスプリングが小さく撥ねた。甘えも抱き付きも泣きもしない。かわりにそっと俺の髪を梳くようにリナの手が動いた。気持いい・・・・・。その手を掴んでひきよせた。
「ちょっ・・・ガウ・・・んっ」
「呼ぶな・・・・・・また、目が醒める・・・」
 囁くために少しだけ離した唇をもう一度重ねる。リナは一瞬だけ不思議そうな表情をしてみせて・・・・・・だけど結局は俺の勢いに流される形で受け入れた。リナがあがった息の中で声を漏らす。
「・・・・・・・ガウリイ、もうやめ・・・・・・」
 で、目が醒めた。・・・だから、呼ぶなっていったのに・・・・・・。
 
「ガウリイ・・・」
 呼ぶな。

 格子の天井。
 リナを呼ぶ。

 呼ぶな。リナの髪がベッドの上に孔雀の羽根のように広がり俺を誘う・

「リナ」
 格子の天井。

「ガウリイ、ガウリイ・・・」
 雨の音。リナの涙。それに格子の天井。

 繰り返し繰り返し。夢も現実も区別がつかない。


「きゃっ」
 リナの紅い瞳が大きく見開かれ、俺を睨みつけた。ベッドに押し付けられたまま身動き一つできないはずだろうになんなんだ、この堂々とした態度は。
 俺は苦笑を浮べる。
「俺の質問に答えて。ただしその間、俺の名前は呼ぶな」
 命令口調にリナがむっとしたように身体を跳ね起そうとするがそれは無理というものだ。
「俺は、怪我をしてるな?」
「そうよ」
「リナをかばって怪我をしたんだろ?」
「・・・・・・そう」
 リナが辛そうな表情をさっとあらわにした。
「全治は二週間」
「何で知ってるの?」
 何度も夢に見たからな。そして、また夢の中。
「リナ」
 もういい。夢も現実も。区別する必要はない。この際だから楽しむことにしよう。
「なに?」
 リナの着衣のボタンを一つ二つと外し、顕わになった首筋から胸にかけての肌に唇を落とす。
 途端。
 ばしっという痛そうな音が鳴り響き・・・その結果、真実俺の頬はひりひりと痛んだ。
「ったぁ・・・・・・」
 あれ・・・。
 冷や汗が頬をつたう。
 も、しかして・・・・・・・・・・今度こそ夢じゃなかったり・・・・・・・・・。
「あはは、じゃない。な、何考えてんのよ!!?」
 リナが目に一杯涙をためて、低い声で言った。

 悪夢・・・・・・その真髄は目覚めた後かもしれない・・・。


 *おわし*

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 ここまで読んでくださってありがとうございました☆
 であ、また・・・・・・なにか書きあがりましたならば。