◆−BLUE:アメリアサイド ご挨拶−UMI(1/24-14:24)No.2662 ┣BLUE:窓を開けて−UMI(1/24-14:27)No.2663 ┃┗Re:BLUE:窓を開けて− 小野道風(1/27-03:16)No.2671 ┃ ┗こんにちは−UMI(1/27-12:51)No.2672 ┗BLUE:揺れる月のもとで−UMI(1/24-14:31)No.2664 ┣お待ちしてました−わかば(1/25-03:54)No.2665 ┃┗ほっとしました−UMI(1/26-12:23)No.2666 ┗Re:BLUE:揺れる月のもとで−小野道風(1/26-14:04)No.2667 ┗両方にありがとうございます−UMI(1/27-12:59)No.2673
2662 | BLUE:アメリアサイド ご挨拶 | UMI | 1/24-14:24 |
こんにちは。BLUE:アメリアサイドをお届けします。BLUEにはゼルガディスサイドの話もありますので、よかったらそちらの方も読んでみて下さい。 ゼルガディスサイドの話が二本立てでしたのでアメリアサイドの話も二本立てとなりました。(いらんことを・・・)ゼル編も短いものでしたがアメリア編は更に短いものとなりました(とほほ・・・) そしてゼル編以上に輪をかけてかゆいものになったと思われます(笑) では、少しでも楽しんでいただけることを祈って。 |
2663 | BLUE:窓を開けて | UMI | 1/24-14:27 |
記事番号2662へのコメント 窓は未知なる世界への入口 忘れないで その窓の向こうには青い空があることを・・・ どん!! 「それが終わりましたら次はこれをお願いします」 どん!! 「その次はこれです」 どん!! 「それから・・・」 次から次へと目の前に積み上げられる書類の山にうんざりしてアメリアは口を開いた。 「あのう・・・」 「なんですか?」 「まだ、あるのですか・・・」 「何をおっしゃるのですか」 あきれたような口調で大臣は答えた。 「まだ、半分も終わってないのですよ」 「・・・は、半分・・・!」 大臣の無常な言葉に一瞬目の前が真っ暗になったような気がした。 「これ程長い間ここ(セイルーン)を離れておられたのですから当然です」 「・・・うっうっ・・・」 思わず涙がにじんでくるが。 「泣いても仕事は片付きません」 大臣の言葉は情け容赦ない。 「少し休みたいのですが・・・」 アメリアはおずおずと切り出した。 「先ほどお昼をすまされたばかりでしょう」 予想どうりの返答にアメリアはがっくりとうなだれた。その様子を見て仕方がないといった感じで大臣はため息をついた。 「仕方ありませんね。メイドにお茶でも持ってこさせましょう」 「本当!?」 顔を上げて大臣に尋ねる。 「その代わり、今日中にこれだけはやっていただきますよ」 書類の山を指差しながら大臣は有無を言わせない口調で言うと、くるりとアメリアに背を向けて扉を開けると部屋を出ていった。 大臣の気配が遠ざかるのを確かめるとアメリアは大きくため息をついた。薄茶色の書類の山を見ながら右手をぷるぷると振る。書類への連日のサイン漬けのため、アメリアは右手首に鈍い痛みを感じていた。その細い指にはペンだこができている。はあ、と本日何度目かのため息をつくと、アメリアはこてんと机につっぷした。 (皆さんといっしょに旅をしていたのは夢だったのでしょうか) 毎日毎日することといえば薄茶色の羊皮紙の束との格闘。書類に目を通しサインをする。これの繰り返しである。こんな日々を過ごしているとあの冒険が嘘のように思えてくる。そしてあの人と共に過ごした日々さえも・・・ そんなことを思いつつアメリアはのろのろと書類に手をやった、その時である。 ばさばさっと音をたてて目の前の書類が部屋中に舞い上がる。 (いけない!窓を開けたままにしていたんだっけ) 今の部屋の惨状をみたら、あの大臣が何を言うのかわかったものではない。アメリアはあわてていすから立ち上がり窓へと駆け寄った。激しく揺れるカーテンをかき分け窓を閉めようとして手を伸ばした時。 ふいに真っ青な空と目が合う。唖然としてアメリアは目を見開いた。 「今日はこんなにいいお天気だったんですね・・・」 そういえばここしばらく空を見上げるようなことはなかったことに気がつく。 あの人達と共に旅をしていた時は毎日のように見ていた空だというのに。 アメリアは吸い込まれるかの様に空を見続けた。 「ゼルガディスさん・・・」 アメリアはある男の名を呟いた。この空の下、独り、あてのない旅をしている男の名を。 (あなたも今、この空を見上げているのでしょうか・・・?) 今自分の傍らに彼の存在はなくとも、確かに自分とあの青年は同じ空のもとにいる。 青空を見上げているとそんな想いがわき上がってくる。 (あなたに会いたくなったら私はただこうして窓を開ければいいんですね・・・) 風が優しく少女の頬を撫でていく 少しでもゼルガディスを感じたくて彼女は静かに目を閉じた ばささっと、羊皮紙がこすれる音にアメリアは後ろを振り向いた。部屋中に舞い散っている書類を見て、もうじきメイドがお茶を持ってやってくることを思い出す。 (いけない、忘れてた・・・) 彼女は閉めようとして再び窓に手をかけた。 いつかまた、旅に出ることもあるかもしれない。あの人と共に・・・ その時はこの窓から飛び出そう。未知なる世界へと向かって・・・ アメリアは高く広がる空を見ながら、今はそっと窓を閉めた。 END |
2671 | Re:BLUE:窓を開けて | 小野道風 | 1/27-03:16 |
記事番号2663へのコメント UMIさま こんばんは。 昼に時間がなくて書き損ねてしまったことがあり、やっぱりちょっと聞いていただきたかったので、またこちらに来させていただいてます。 「窓を開けて」 の風のイメージが、とても好きです。てことなんですけれど。すみません読みにくい書き方で・・・ 私には、ゼルガディスは風のような人だという印象があります。風の魔法をよく使うだとか旅人だとか、多分その辺りからできたものだと思うんですけれど、「窓を開けて」の風は、そんな私の中の印象までもっと鮮明でもっとあたたかいものにしてくれるような感じで、読んでいてとてもさわやかな気分になれました。 > いつかまた、旅に出ることもあるかもしれない。あの人と共に・・・ > その時はこの窓から飛び出そう。未知なる世界へと向かって・・・ > アメリアは高く広がる空を見ながら、今はそっと窓を閉めた。 ゼルガディスを思う心が、今この瞬間の自分を大切にする力になる。 そんなアメリアのほんとの意味での強さがまた、いつか姿を変えて彼の背を押す追い風となるのでしょう。 優しいお話をありがとうございました。 よかったら、またぜひ、UMIさまの次なるお話(ジャンルなど問わず!)も読ませてください。 楽しみに待っていますね! |
2672 | こんにちは | UMI | 1/27-12:51 |
記事番号2671へのコメント こんにちは。 リクエストまでしていただいて、 UMIはこの体たらくで、申し訳ないです。 > 私には、ゼルガディスは風のような人だという印象があります。風の魔法をよく使うだとか旅人だとか、多分その辺りからできたものだと思うんですけれど なるほど。言われてみれば確かにそうですね。(何も考えずに書いていた私・・・) > そんなアメリアのほんとの意味での強さがまた、いつか姿を変えて彼の背を押す追い風となるのでしょう。 追い風かあ。そうですね、本当にいつかそうなるでしょうね。 > 優しいお話をありがとうございました。 こちらこそ丁寧な感想ありがとうございました。 |
2664 | BLUE:揺れる月のもとで | UMI | 1/24-14:31 |
記事番号2662へのコメント 漆黒の闇の中に 青白く輝く月 けれどその表情は見るもの次第・・・ ごろり・・・ ころん・・・ ころころ・・・ 「・・・う〜〜ん・・・」 アメリアは眠れず幾度となくベッドの中で寝返りをうっていた。 連日の激務に身体も心も疲れきっているのにもかかわらず、その夜はなぜか眠ることができなかった。 (・・・どうしてだろう・・・?) シーツをすっぽりと頭からかぶり、もう一度眠ることを試みてみる。 「はあ・・・」 しかし、結局その努力は徒労に終わってしまった。 (仕方ないなあ・・・) 彼女は眠るのをあきらめて、身体を起こした。 目を開け、薄暗い部屋を眺める。もう真夜中だというのに部屋の中は真っ暗ではなく、うっすらとではあるが調度品の輪郭を見ることができた。 (・・・なんでだろう・・・?) アメリアは不思議に思い首をかしげた時、ふいにレースのカーテンが揺れた、ように見えた。 (えっ!?窓は閉めたはずなのに・・・) 閉め忘れていたのだろうかと思い、ベッドから降りると窓へと近づいた。 (変だなあ?) 窓はちゃんと閉まっており鍵もかけられていた。不思議に思いつつもベッドへと戻ろうとした時だった。 さあっ、と月の光がアメリアを包み込んだ。 (あっ・・・月・・・) 天空にはほぼ満月に近い月が浮んでいた。 (これだったんですね) おそらく雲間から差し込んだ月の光がカーテンの様に見えたのであろうと、彼女は理解した。 しかし、彼女は月の光が本当にカーテンを揺らしたのではないのかと考えていた。 (お月様というのはいたずら好きなんですね) 眠れなかったのはきっと月のせいだったのだ。 『・・・こっちへ来て・・・』 そう、月はアメリアを呼んでいた。彼女はそう考えて、鍵をはずし窓を開けるとバルコニーへと出た。 「浮遊(レビテーション)」 アメリアの身体が魔法の力でふわりと中に浮いた。そのまま月の浮んでいる方向へ飛んでいく。 アメリアの絹のネグリジェが羽のように揺れる。もし、今彼女の姿を見る者がいたら月の妖精だと信じて疑わないだろう。 すとんと塔の屋根の上に降り立つ。ここは昔からアメリアが大臣や神官達の目を盗んではよく息抜きに来ていた場所であった。だが、夜に来るのはこれが初めてだった。 (夜の散歩もいいものですね) 「よいしょっと」 その場に座り、月を眺める。薄い灰色の雲をかぶり、淡い青い光を静かに放ち続けている。 月は微かに揺れているように見えた。 その冴えた月の姿は誰かの横顔を彼女に思い出させた。 「・・・ゼルガディスさん・・・」 アメリアは消え入りそうな小さな声でその名を呟いた。 この月よりも冴え冴えと輝き、闇の中で独り立ちつくしているあの青年の名を。 寂しくて、寂しくて、たった独り・・・・・・ そして、今も・・・・・・ そこまで考えて、アメリアはぶんぶんと頭を振った。 (違う!違う!昔はともかく今は違う!違うんです!) 例え一人で今、旅の空のもとにいようとも彼は独りじゃない。 孤独ではない。そして自分も・・・ そう自分に言い聞かせてアメリアは再び月に目をやった。 だが、その月とゼルガディスの姿を重ねあわせるのをアメリアは止めることができなかった。 少女は何かにとりつかれたかの様にじっと月を見続けた。 ふいに彼女は口を開いた。 「・・・奇麗・・・」 どんなに冷たくとも寂しくともやはりその姿は美しいとアメリアは思った。 今自分の影を照らしているように、この月は彼の影を照らして出しているのだろうか。 アメリアは少しの間目をつぶり、ゆっくりと開いた。 「・・・月が奇麗ですね、ゼルガディスさん」 まるで傍らにかの青年がいるかのようにアメリアは言った。 自分が見ているこの月を今、彼が見ていないと誰が言えるだろうか。 そう考えてアメリアは繰り返した。 「月が奇麗ですね、ゼルガディスさん」 アメリアはまっすぐに月を見る。 月は変わらずに淡く青白い光を放ち続けていた。冴え冴えしく・・・ けれど、今度は月は優しげに揺れたような気がした。 アメリアは月に向って幸せそうに微笑んだ。 誰が言えるだろうか。いつか彼の傍らで月を共に眺める日が来ないとは。 誰が言えるだろうか。いつか彼の傍らでこの言葉を再び言える日が来ないとは。 漆黒の闇の中、月は美しく輝き続けていた。 冷たい夜風が少女の髪をそっとすいていく。 それにアメリアは思わず身震いをする。 彼女は自分の身体がすっかり冷えきっていることに気がついた。 (そろそろ、戻らないと・・・) 明日もまた山のように国務が待っているのだ。いいかげん戻らないと仕事に差しつかえるだろう。 「とても奇麗です」 アメリアは月を見上げ、もう一度だけ呟く。 そして再び浮遊を唱えると夜空へと舞い上り、闇の中へと消えて行った。 END ========================================== はい、終わりです。読んで下さってありがとうございました。いかがでしたでしょうか? 月にゼルガディスの姿を重ねるというのはありがちだなあ、とは思ったのですがやっぱりイメージでしたので使ってしまいました(笑) これで、BLUEは無事(?)終わりました。 頑張るとか言っといてかなり情けない結果になってしまった気がします・・・ 最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。 UMI顔を洗って出直します・・・ |
2665 | お待ちしてました | わかば E-mail URL | 1/25-03:54 |
記事番号2664へのコメント アメリア編BLUEお待ちしてました。 良いですねえ。離れていても繋がっている二人。 アメリアがせつなくて、かわいらしくて。 月がとても美しく書かれていて、素敵でした。 素敵なお話しを読ませて頂きありがとうございました。 |
2666 | ほっとしました | UMI | 1/26-12:23 |
記事番号2665へのコメント こんにちはわかばさん、UMIです。 >アメリア編BLUEお待ちしてました。 お待たせしておいてこの内容です・・・ >良いですねえ。離れていても繋がっている二人。 うふふ。これがBLUEのテーマです(笑) 遠い空の下にいる恋人を想うっていうのが・・・ かゆい内容になるわけです。 >アメリアがせつなくて、かわいらしくて。 >月がとても美しく書かれていて、素敵でした。 そう言っていただけてほっとしました。 >素敵なお話しを読ませて頂きありがとうございました。 こちらこそ読んでいただいて(感想まで)ありがとうございました。 本当に嬉しいです。 よろしかったらまた遊びに来てくださいね。 |
2667 | Re:BLUE:揺れる月のもとで | 小野道風 | 1/26-14:04 |
記事番号2664へのコメント UMIさま。 こんにちは。 アメリアサイド、読ませていただいてしまいました。 > 「・・・ゼルガディスさん・・・」 > アメリアは消え入りそうな小さな声でその名を呟いた。 > この月よりも冴え冴えと輝き、闇の中で独り立ちつくしているあの青年の名を。 私はこういうのを聞くと、イメージと知りつつ思わず恥ずかしくて笑ってしまうタイプなのですけれど(すみません。悪い意味ではありません、決して)、アメリアの中のゼルガディスはこんな感じなんだろうなと思います。 ほんとにつらいのはゼルガディスよりアメリアの方なのかもしれません。ゼルのこと、旅立ちのときも自分の心の中などろくに伝えてはくれなかったでしょうから。でも信じあう心が確かに二人をつないでいる・・・月に向かって微笑むアメリアの様子が心に残りました。 > 誰が言えるだろうか。いつか彼の傍らで月を共に眺める日が来ないとは。 > 誰が言えるだろうか。いつか彼の傍らでこの言葉を再び言える日が来ないとは。 そう、そんなこと誰も言えはしないんですよね。 二人がともに月を眺められる日が、一日も早く来ますように。 願わずにはいられないお話でした。 本当にありがとうございました! |
2673 | 両方にありがとうございます | UMI | 1/27-12:59 |
記事番号2667へのコメント わざわざ両方にコメントをいただきありがとうございます。 > 私はこういうのを聞くと、イメージと知りつつ思わず恥ずかしくて笑ってしまうタイプなのですけれど 私もこの部分は書いていてとっても痒かったです・・・もう孫の手が欲しいくらいでした。 > ほんとにつらいのはゼルガディスよりアメリアの方なのかもしれません。 これは私も同意見です。ただあてもなく待つという行為は耐え難いものがあると思います。特に、アメリアの性格を考えるとそう思います。じっとしているのが嫌いでしょうから。 > 本当にありがとうございました! こちらこそです。お暇でしたらまた遊びに来てください。 小野さんのお話も楽しみにしています。(うう〜続きが気になります〜) |