◆−モレッカは鈴の音と共に−CANARU(3/6-20:11)No.2763
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2763モレッカは鈴の音と共にCANARU 3/6-20:11


強烈な眠気が襲いかかる。
「リナさん!!」
隣の席のアメリアが何か言っているが・・知った事ではない。
「と、言う訳でって・・・。聞いてませんね!!リナさん!!」
若き教師その一・・じゃなかった。ゼロス教師がリナを名指しで叱る。
「聞いちゃいなけど、分かってます。クィーン・メアリーは無分別にも
スペイン王フェリペ二世と結婚してイングランドに恐怖政治を強いた・・・。
さらにその後を継いだクィーンエリザベス1世はフェリペに面従反腹。
海賊に「ナイト」の位をぬけぬけと与えてかの「アマルダ」無敵艦隊を撃破。
ま、もっとも・・スペインは海外植民地から算出される銀であっという間にスペインは
経済は回復したのよね?」
「・・・・。最後の一言は余計でしたが・・・。良く出来ました・・・。」
再び居眠りにつくリナに呆れつつもそう言う教師、ゼロス。
「まったく・・。これがハノーヴァー王朝の血を引くお方なんですかネエ・・・。」
更にゼロスはやる気の無い「レディ」位を持つ生徒に投げやりな視線を送る。
「リナさ〜〜〜ん!!あああ〜〜もう!!」
さしものアメリアもここまでぐっすり眠られては仕方が無いのだった・・・。


時代は1910年、イギリス。
場所はスコットランドに位置するエディンバラの女子大学。
「まったく・・。リナさん。本当にハノーヴァー王家の血を引いてるんですか?」
呆れ顔でアメリアが言う。
「自信ないし・・。興味も無い・・・・。」
これまた半分寝ぼけながらリナが言う。
これで成績優秀と言うのだから世の中分からない。
「ああ〜〜〜〜!!まあ〜〜ったピアスが増えてる!!校則違反です!!悪です!!」
「いいじゃないの!!だって〜〜!ピアス穴開けてれば献血しなくっても済むでしょ?
痛いし気持ち悪くなるからイヤなのよ!!それに・・。ど〜せあと1週間で卒業でしょ?」
「そりゃあまあ・・そうですけど・・。悪ですよ!!愛の献血を嫌がるなんて・・・。」
「い〜のい〜の。元々貧血気味のアタシから血を搾り取ろうって方がよっぽども
悪よ。じゃ、アタシは鍵持って書庫に行かなきゃなんないから〜♪」
「・・・。まったく・・・。わかりました☆」
そんなリナに諦めた微笑を送り、アメリアは見送るのだった。


『L'AMOUR EST UN OISEAU REBELL QUE NUL PEUT APPRIVOISER…』
あ・・・・・。
ビゼーの歌劇、『カルメン』の『ハバネラ』・・・?
歌ってるのは男性・・・かあ・・・。
なかなかの綺麗な声である・・・。
無意識に鍵のキーホルダーを指に絡めてジャラジャラと振りまわす。
『ET C’EST〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(以下、不協和音??)・・・・。」
ずべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
「いでえええ〜〜〜〜!!」「このド音痴〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
歌を歌ってたであろう人物の声とリナの叫びが見事にハモる!!
って・・・・「いでえええ〜〜〜・・・」って・・・・?
あ・・・・・・・・・。
見事に・・さっきまで指で振りまわされていた鍵が失踪していた・・・・・・。


「アンタねえ・・・。歌声は綺麗なんだから・・。もっと歌えそうな歌
歌いなさいよね・・・・。」
頭を摩っている金髪の青年にリナは呆れた様に声をかける。
「あんたこそ・・。可愛いんだからもっとお淑やかに鍵を扱えよな・・・。
ほら!!」
ポイっと投げられる鍵をいとも簡単にキャッチするリナ。
「で・・・。あそこの女子大の学生らしいが・・。なんでこんな道端に居るんだ?」
「・・・。『書庫に行く』って嘘ついて授業サボったのよ?悪い?」
「・・・・・・。いいや・・・・。」
暫く考えた様にして答える、金髪のにーちゃん。
「そ〜ゆ〜アンタは何でこんな所に居るのよ?」
「ああ・・。俺はガウリイって言うんだけどさ。1週間後にバッキンガム宮殿に
呼ばれてるんだ。何せ・・王女様にお目通りできるとか・・・。」
「それで・・・。その王女様の覚えをめでたくするためにヘッタな歌を・・・?」
「・・・・。悪っかたな!!サボり娘!!」
あ・・・。言ってくれるじゃないの・・・・・。
「忠告!!その歌はね・・・。『恋は気まぐれな野の小鳥。誰も手懐ける事など出来ない。
イヤといったら何度呼んでも来るもんか』っていう文句から始まるのよ?
王女様に捧げるには相応しくないわね!!」
「・・・・・・・・・・・。」
あ・・黙った・・。面白い・・・・・。
「所で・・。お前の名前聞いてなかったな・・・?」
今更遅いわよ。
「アタシは気まぐれ!!イヤと言ったら絶対に教えてやらないのよ〜。じゃね。」
そう言いながらリナはアッサリと去って行く。
これは・・・。
ロンドンの宮殿に帰っても退屈凌ぎが出来そうである・・・・・・。


「うう〜〜!!リナさん〜〜〜!卒業できて嬉しいです〜〜〜〜〜〜!!」
「まあ〜〜ねえん。ま、あの人が一番嬉しがってるみたいだけど・・・。」
苦笑しながらリナが指差す方向は・・・・・。
「・・・・・。ああああ〜〜〜!!嬉しいです!!あの人!!あの人から
やっと解放されるなんて〜〜〜〜〜〜〜!!」
「ゼロス先生・・・。喜んでます・・・・・。」
「誰よ・・。『あの人』って・・・・。」
半分呆れながらリナは言った。


「リナさん〜〜〜!!凄いです!!」
「ま〜ね・・・。」
半ば嫌気がさしながらリナは周囲と打ち解けない・・強いて言えば
その場を離れたい顔で居座る。
「やっぱり・・・本場ロンドンの舞踏会は違いますね〜〜。ほら!!
リナさん!!今日の主役は貴方ですよ!!」
「・・・。主役は主役でも・・。花形はもっと綺麗なおねー様方よ。」
興味なさそうに何処からとも無く持ち込んだウォッカを一気に飲み干すリナ。
「リナさ〜〜ん・・・・。あ、今日のお客様ですよ〜〜!!アメリカの富豪
の上オックスフォード大の優等生のガウリイさんですって!!」
「ガウリイ・・・・・。」
そうだった・・・。忘れてた・・・って訳でも無いけど・・・。
「綺麗な人とヴォルダを踊ってるわね・・・。」
これでは・・ますますこの場を早く切り上げたい心境になる。
「リナ!!お前、主役の出番だぞ!!」
「分かってるわよ。ゼル。曲のリクエストは効くの?」
「リナさ〜〜ん!!ワルツにしてくださいよ〜〜〜!!」
アメリアがリナにおねだりする。
「まあ・・待ちなさい。」
言いながらリナは先程まで髪に付けていた2対の鈴を両手に付ける。
「イタリアの楽隊にベースを演奏させて。誰かアタシのパートナー候補は
居ない?モレッカよ!!」
リナの一言に不意に周囲がざわめく。
「16世紀のイタリアで大流行した・・・・・。」
「そ。もともと軍団用の激しいステップのダンスよ。どう?誰かアタシの
相手をしてくれない?」
からかうように周囲を見まわすリナ。
「・・・。リナの荒荒しいステップには男でも付いては行けないしなあ・・・。」
明らかにダンスなどするつもりの無いリナの行動はあからさま・・・・。
「・・・・・。」
無言でリナの前に進み出る一人の人物・・・。
「・・・お断り・・・。」
「出来るわけ無いだろ?王女様。」
にっこり進み出るガウリイに仕方なく手を取るリナ。

「へえ・・。なかなかのものだな・・・・。」
「どっちのステップも互角ですね・・・・・。」
うっとりと眺めながらアメリアが言う。
あのリナのモレッカと言うだけで大概の人物は退くと言うのに・・・・。
先程飲み干したアルコール分の強い酒の効果もあるのだろう。
何時も以上に軽快でリナのステップは荒荒しく・・それでいて見事なものだった。
蝋燭に軽く手につけた鈴が光る。
発祥の地の軍団のステップすら髣髴とさせる。

「なかなかねえ・・・・。」
「そりゃあ、ど〜も。王女様!!」
言ってにっこりと微笑むガウリイ。
「じゃね。」
そんなガウリイをアッサリとかわし、何処へとも無く去って行こうとするリナ。
「おい〜〜!!何処行くんだよ〜〜!!」
「用事が済んだら消える。それだけよ。第一、アンタを独占したら
後が怖そうですからね。」
言いながらさっさとイヤな舞踏会から逃げる事を決意するリナ。
「しょ〜がね〜〜なあ・・・・。」
モレッカの後の「蝋燭のダンス」・・・。
本命の男女が踊る舞踏が残っていると言うのに・・・。
「しょうがない・・・。逃げるか・・・。」
本命でもないのに踊っていても無意味なだけだし・・・・。



「何だかネエ・・・。」
言いながらリナは窓際に佇む。
すでに重々しいドレスから平服に着替えている。
「・・・・・・・・・・・・。」
窓ガラスに自分の姿を重ねる。
ぎぎぎ〜〜〜〜〜・・・・。手につけた水晶のブレスレットで窓ガラスに
文字を書く。
Habanera・・・・・・。
そう・・思えたらいいんだけど・・・・・・・な・・・・。
「その歌・・。あんまり良い歌じゃ無いんだろ?」
不意に聞こえるガウリイの声。
「あ・・・。」
既に彼も正装から平服に着替えを済ませている。
「『ア』じゃないだろ?せっかくの主役なのに自体か?」
「ま〜ね。ダンスはあんまり好きじゃない。」
「モレッカはすっごく上手に踊ったじゃないか?あんなすっごいステップの
女の子・・。見た事無いぞ?」
「ま〜ね。コレでいっつも踊るの断られるから・・・・。ま、言ってみれば虫除けみたいな
モンね。真坂真っ向から受けて立つ挑戦者が居るとは思わなかったわ。」
言いながらまだギ〜ギ〜と『ハバネラ』の歌詞を窓ガラスにリナは落書きする。
「あ〜あ・・・・。」
ジプシーみたいに自由ならなあ・・・・・・。
「浮かない顔だな?ど〜したんだ?らしくないぜ?」
「・・・・。ハノーヴァー王朝の血を引くのはアタシだけなのよ・・・・。」
不意にリナがそんな事を言う。
「・・・・・。ど〜ゆ〜事だ?」
「・・・・。いずれ・・女王になんなきゃいけないって事・・・。そうなると・・・。」
今のような自由は無くなる・・・・・。
「そっか・・・・・。」
ガウリイも・・もうじきアメリカに帰るんだろうな・・・・・・。
「ありがとう。楽しかったわ。」
そうとしか言えない・・・。こうなっているからは・・・・。


「良いんですか?リナさん!!」
不意に読書室で本を読んでいたリナにアメリアが声をかけてくる。
「アメリア・・・・???」
「もうじき・・。あと一日です・・。ガウリイさんがアメリカに帰っちゃうのは!!」
「何いってんの・・・?そりゃまあ・・良い人だし・・。周りが赦してくれれば
見送りには行くわよ?」
「リナさん!!」
さらにアメリアが大声で捲くし立てる。
「分かってるんですよ!!例え・・人を寄せ付けないためのダンスとは言え・・・。
普段のリナさんなら絶対に足踏んだりして・・。絶対に一緒に踊ったりなんか
しないはずですよ!!でも・・・。すっごく楽しいそうでした・・・・。
ガウリイさんと・・踊ってたときに・・・。」
・・・・・・・・・・・・・。
こればかりは何とも言えない・・・・。
「そうよ・・・・・。」
ガウリイの事は・・忘れられない。けど・・・。
「駄目よ!!」
自分の立場上・・彼を追うことは出来ない・・・・。
「ガウリイさん・・・。待ってるとは言えないんです。」
「分かってる・・・・・・・。そうね・・・・・・。もともと
考えてはいたの。けどね・・みんなは何て言うか・・分からなくて。今日ラジオ局に行くわ。」
「お供します!!リナさん!!」


「ま・・・・。」
待っていても来るわけは無いだろうな・・・。
流石に略奪も考えたが・・それこそ無謀と言う物である。
そう思いながらガウリイは船着場で帰りの船を待つ・・・。

「号外〜〜!!号外〜〜〜!!」
言いながら一人の男が何やら紙を配っている。
何気なく・・気を紛らわせたい思いからガウリイは小銭を叩いて新聞を買う。


『ハノーヴァー王朝断絶!!新たなる王朝はウィンザー家に渡る・・・。』
王朝交代・・・・???
ガウリイが次の文字を目にしたその時だった・・・。
「王位継承者のハノーヴァー家のリナ。王位継承権放棄をラジオで告白・・・・。
だって・・・。」
その声が・・目で追った文字と重なる・・・。
「リナ・・・・・・。」
「愛する人と居ないと・・それは無意味だから・・・。それだけよ・・。
ガウリイ・・・・。」
「・・・・。良いんだな・・・??」
「馬鹿。決まってるでしょ?行こう!!ガウリイ!!」
「分かった!!じゃ、早速連れてくぞ!!リナ!!」
「はい!!」
港に船が滑り込む・・・。
二人の行き先は・・まだまだ定かではないが・・・。
これからも一緒に旅立つ・・・・。そう決まったのだった・・・。


(お終い)

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2767王冠を棄てた恋?P.I E-mail 3/7-21:48
記事番号2763へのコメント

CANARUさん、こんばんは〜!
毎度お馴染みP.Iです〜!
久しぶりの単発ガウリナ。モレッカを踊る二人が素敵でした!
リナが中座しちゃったお陰で、ガウリイ歌わずにすみましたね(笑)
あと、「これであの方と別れられる〜」のゼロス・・・お疲れ様でした(^^;)
今回のモデルはあの・・・あの・・・あ、名前が出てこない!王位継承権放棄して
アメリカ人女性と結婚した英国皇太子ですか?
お互い自分の直感を信じて飛び込んでいく勇気がカッコイイです!!

「気まま」シリーズはいよいよ兄ちゃん登場!(男リナ・・・ぷぷぷ!)
なんで自分を死んだことにしようとしたのか、なんで敵対組織にいるのか、まだま
だ謎は残ってますね。早く続きが読みたいです〜わくわく♪

スランプだなんてとんでもない!いつもいつもこの早さと量でこのレベルを維持し
ておられる力量には脱帽です!
次作も頑張ってくださいね!それではまた〜〜♪♪

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2768テレビで見ましたよ〜♪CANARU 3/8-10:27
記事番号2767へのコメント

>CANARUさん、こんばんは〜!
>毎度お馴染みP.Iです〜!
>久しぶりの単発ガウリナ。モレッカを踊る二人が素敵でした!
はい!!
やっぱり塩野さんの影響ですね〜〜!!
単に響きが好き・・と言うこともあります!!
>リナが中座しちゃったお陰で、ガウリイ歌わずにすみましたね(笑)
はい〜〜!!
ちなみにフィリッパと言う女性オペラ歌手のCDありますよ〜〜!!
なかなか素晴らしかったです!!
>あと、「これであの方と別れられる〜」のゼロス・・・お疲れ様でした(^^;)
ですね!!
よっぽどやる気の無い生徒だったんですねえ・・リナ〜〜!!
>今回のモデルはあの・・・あの・・・あ、名前が出てこない!王位継承権放棄して
>アメリカ人女性と結婚した英国皇太子ですか?
>お互い自分の直感を信じて飛び込んでいく勇気がカッコイイです!!
はい!!
確かエドワード8世だったと思います〜〜!!
テレビで見たのとちょっと某所でリクエストがありましたので〜♪
>「気まま」シリーズはいよいよ兄ちゃん登場!(男リナ・・・ぷぷぷ!)
>なんで自分を死んだことにしようとしたのか、なんで敵対組織にいるのか、まだま
>だ謎は残ってますね。早く続きが読みたいです〜わくわく♪
はい〜〜!!
今回作はちょっと寄り道なので・・もう少しお待ち下さると嬉しいです♪
>スランプだなんてとんでもない!いつもいつもこの早さと量でこのレベルを維持し
>ておられる力量には脱帽です!
>次作も頑張ってくださいね!それではまた〜〜♪♪
ありがとうです〜〜!!
近いうちに某小話もお送りしますね!!