◆−桜舞−T−HOPE(4/27-23:00)No.2948 ┗さくらサクラ♪−飛来 鳳(4/28-00:53)No.2949 ┗時節からずれましたが(^^;)−T−HOPE(4/28-23:00)No.2950
2948 | 桜舞 | T−HOPE E-mail URL | 4/27-23:00 |
時節からちょ〜〜〜っっと外れてしまったような気がしますが。 まぁ、北の方ではまだ……かなということで、お許し頂ければ幸いな、桜のゼロリナです。 ……一応(^^;) というか、キャラ名出てない上に、パラレルなんで、何処ら辺がどぉゼロリナなのかは謎ですが〜〜〜(笑) **************** 桜舞 月が輝いていた。 春特有の、朧な月の光。僅かに漂う花の香りが、甘い春の宵を生む。 栄えを生みし京の都。その栄華を極めし宮城にも、暖かな春は須く訪れる。 「…………」 殆ど音も立てず歩を進めていた影は、ふと、ひらりと己の肩に舞い降りたそれを手に取り、小さく唇の端を上げた。 ――薄紅の、優しい色。 晴れた昼の空の下ならば、それをはっきりと見て取れただろう。 「桜…………」 そう呟いた、その時だった。 ……――シャラン。 何処からか、鈴の音が響いた。 影の足が、ぴたりと止まる。 「…………?」 ……――シャラン……シャラン。 まるで、リズムを取るように楽しげに、鈴の音は続いている。 影は、それに誘われるように、一歩、木々の落とす濃い影へと足を進めた。 そして。 「…………!」 足を、止めた。 桜が、舞っていた。 あちこちで灯されている、篝火。 その照り返しを遠く受けて、朧な月の元、ひらひらと花びらを降らせるのは、どっしりとした根を持ち枝を広げた大きな桜。 それ一本で一つの演舞台と為すにふさわしいその華やかな花木は、木の存在感とは裏腹に、儚げな色を宿す華奢な飾りを、ふわふわと落としていた。 ……淡い光の下、白にも見える柔らかい色。 妖艶に、けれど、清楚に。 ……その下で、花精が舞っていた。 ひらりと上げた袖が、零れる花枝のように揺れる。 その先から慎ましやかにのぞく細い指が、誘うように返され、白さを残像のように目に焼き付けた。 くいと上げられた細い顎。白く華奢なうなじが、なよやかに傾げられる。 艶やかな長い髪が、ふわりと舞い、重ねられた衣の上を滑った。 ……シャラン。 また、鈴の音がした。 誘われるようにまた一歩、影は前へ出る。 ――パキリと、袖を引き留めるようにかかった木の枝が、鳴った。 「……っ」 「……!」 ふと、瞳が絡まった。 一瞬の、間。 そうして……。 「……あの」 「…………?」 引き留めるように影のあげた声が、身を翻した舞姫の足を、止めた。 不思議そうに首を傾げるその相手に、影は、緩やかに近づいた。 「……お見事な、舞でしたね」 柔らかく滑らかで、何処か朧な……まるで今宵の月のような、若い、男性の声。 染みわたるように響いたそれを、まるで楽の音のように聞いて、舞姫はくすりと笑った。 「ありがと」 意外に幼く響いたその声に、青年は、僅かな驚きとともに、しげしげとその姿を見やった。 長い艶やかな髪に惑わされるが、微笑むその顔は、まだ稚い少女のもの。 「…………花精殿がこのように愛らしいとは、思いもよりませんでした」 触れれば零れる満開の花を見るように、愛でる瞳で賛嘆の言葉を捧げれば、少女はまたも、くすくすと鈴の転がるような声で笑った。 「そう言うあなたは、花を散らす風の精? それとも月からの使者殿なの?」 愛らしい声と言葉に、青年も僅かに笑み……そうして、一瞬、笑みを消した。 「……鬼、かもしれませんよ?」 「…………」 低い声で、そっと囁かれた台詞に、少女はきょとんと目を見張った。 零れそうに大きな瞳が、まじまじと青年を見つめる。 「鬼?」 「えぇ……昨今の都を騒がすは、人を食らう恐ろしい鬼とか。よしんば僕がそれならば、あなたはいったい、どうなさいます?」 試すように手を伸べ、少女の滑らかな頬に触れる寸前に止めて、青年は続けた。 ……が。 「面白そうじゃない!」 少女はにっと微笑むと、問答無用でそんな青年の手をひっつかみ、きらりと大きな瞳を瞬かせた。 ……シャランと、また、その拍子に鈴の音が響く。 「…………あの?」 「鬼でも何でも、面白いことはイイコトよ。 ……でも残念ね……。……あなたは、妖かもしれないけど、きっと、鬼ではないのね」 「……何故、判ります?」 深い夜に溶けた瞳で、少女の光を宿す瞳をのぞきこんで、青年は問いかけた。 それに対し、少女は笑んだまま胸を張った。 「見れば判るわよ! ……でもあなた、本当は、何なの?」 興味津々とでも言いたげな様子が、青年の微笑を誘った。 「……そうですね。教えて差し上げてもよろしいのですが……」 「是非そうして」 「その前に。 ……あなたが、何処の花精殿かを、お教えいただかなくては……」 少女は眉を上げ、むっと唇を尖らせた。 「あたしは、あたしよ?」 「では、僕は僕です」 むぅぅぅっっっ、と、愛らしい顔が、しかめっ面に変わった。 「けち!」 「あなたもね?」 妙に楽しくなった青年は、少女にとられていない方の手でそっと、包み込むように相手の頬に触れ、優しくのぞき込んだ。 途端、白い頬を八重の桜のように染め、少女は手をもぎ離して、とととっ、と逃げるように桜へと駆け寄った。 シャンシャンと、鈴の音が響く。 「……綺麗な音色ですね」 「母上様の形見だもの」 得意げに肩をそびやかし、腕につけられた鈴をさらすその一瞬に、哀しげな表情が垣間見え、青年はそっと、少女へと歩み寄った。 「愛らしいあなたにはふさわしい……ですね」 「宮中の男の人は口ばかりは上手だから、信用するなって、姉上様が言ったわね」 「ひどいですねぇ、本当にそう思ったんですけど……」 「妖のくせに口が上手い男の人だなんて、どう信用しろっての?」 つんっとそっぽを向くつれないその様子に、青年は、くすくすと笑いだした。 「おやおや。 ……では、妖らしく、心のままに動きましょうか? そう……たとえばここで、風とともにあなたを浚っていく、とか……」 そぉっと耳元で囁くと、少女はさらに頬を染めた。 「人のことからかってっ!」 ……シャラン、と、また鈴が鳴る。 「…………あ」 ひらりと身をかわすようにして青年の側から駆け出した少女は、僅かにこぼれた青年の声に、足を止めてゆるりと振り返った。 ――花灯り。 ひらひらと舞うのは、桜の花びら。 降る雪のようなそれが、艶やかな少女の髪を飾る。 一夜の夢か幻か。惑うようなその光景に、青年は、僅かに痛みを交えた笑みを浮かべた。 「なぁに?」 青年のその笑みに気づいたのか気づかなかったのか。少女はことんと首を傾げた。 「また……お会いできますか?」 光を抱いた瞳が、迷うように揺れた。 ……そして。 「…………。 ……桜が綺麗だもの」 ふわりと笑ってそう言うと、くるりとまた身を翻した。 ……シャラン、シャランと、鈴の音は遠くなる。 その音を追うように瞳を閉じて……青年は、小さく笑んだ。 「では、桜の花が全て散る前に、あなたのお名前をうかがうことにしましょうか?」 見上げる空には、薄紅の花。 ひらりひらりと舞う花びらに、己の気紛れにも似た心を重ねると、青年は、静かに踵を返した。 **************** え〜と、ということで、桜に絡めた平安風ゼロリナ。 あくまで、“風”です(^^;) 大体において、何か桜がソメイヨシノですが、この種類、平安時代にあってたまるか状態ですし(笑) ちなみにいうなら、昨今発売された某ゲームは、あんまし関係してないです。やってますけど〜。 ……元々は、ずぅぅぅぅっっっっっと昔にリクエストというかご提案いただいた、平安風ゼロリナの冒頭場面。 ということで、実は続きがあったりなかったり……まぁ、書けるかどうかも謎ですけどね(^^;) それでは、わけ判らない上にちょい時節外れるかもしれない話ですが、読んでいただけた方に感謝、です(^^) |
2949 | さくらサクラ♪ | 飛来 鳳 | 4/28-00:53 |
記事番号2948へのコメント こんばんは。TーHOPEさま(^^)いつも楽しみにお待ちしております。 桜の下でのゼロリナ、良いですねぇ♪桜の花の華やかであでやかだけど、その下に埋まっているという ものの持つイメージや散るのが早く潔い姿は、物語の舞台として自分的にかな〜りお気に入りです(^^) それを背景にゼロリナの醍醐味・2人の言葉遊びを書いていただければもう言うことはありませんっ(>ワ<)○゛ とっても良かったです。(前に書かれた他の桜のお話と同様に♪) そういえば、つい染井吉野のイメージでお話を読んでしまいましたが、この時代にはまだないんですよね。 でも「きょうここのえに にほいぬるかな」のイメージではないですね>リナちゃんが舞っていた桜 物語において雰囲気作りは大切かと思いますから。あまり時代考証はお気になさらなくてもよろしいのでは ないかと思います(^^) 今回のツボ。 > そう……たとえばここで、風とともにあなたを浚っていく、とか……」 ぜひぜひさらっていちゃって下さいませ〜(〃^・^〃)という感じです。 と、いうわけで。リナ姫がさらわれる姿が見たいので続き書いて下さい(はぁと) ああ、もちろん某ゲームが終わってからで結構ですから♪ヾ(^^;) それでは。またの御投稿を楽しみにいたしております(^-^) |
2950 | 時節からずれましたが(^^;) | T−HOPE E-mail URL | 4/28-23:00 |
記事番号2949へのコメント > こんばんは。TーHOPEさま(^^)いつも楽しみにお待ちしております。 こちらこそ、いつも感想ありがとうございます〜〜〜(^^) > 桜の下でのゼロリナ、良いですねぇ♪桜の花の華やかであでやかだけど、その下に埋まっているという >ものの持つイメージや散るのが早く潔い姿は、物語の舞台として自分的にかな〜りお気に入りです(^^) >それを背景にゼロリナの醍醐味・2人の言葉遊びを書いていただければもう言うことはありませんっ(>ワ<)○゛ >とっても良かったです。(前に書かれた他の桜のお話と同様に♪) やっぱりこの季節(にはちょい遅いんですが(^^;)、桜はいいですよね〜。 ……しかし……えぇと、言葉遊びになってました?(笑) まぁ、相変わらずすっぱり言いたいこと言わないゼロス君のせいで、回りくどくはなるのですが……。 いえでも、気に入っていただければ何よりです〜(^^) > そういえば、つい染井吉野のイメージでお話を読んでしまいましたが、この時代にはまだないんですよね。 >でも「きょうここのえに にほいぬるかな」のイメージではないですね>リナちゃんが舞っていた桜 >物語において雰囲気作りは大切かと思いますから。あまり時代考証はお気になさらなくてもよろしいのでは >ないかと思います(^^) えぇ、もぉ、完璧“パラレル”ですので。平安なんて何処に行った状態……。 深く詰めて書こうとすると、頭ぐるぐるになるんです。……下手に知識が中途半端なもので(^^;) それに、基本的に夜に見るなら染井吉野のあの微妙なピンクが好きなもので。 イメージとしては、そっちに行ってしまうのでした……。 >今回のツボ。 >> そう……たとえばここで、風とともにあなたを浚っていく、とか……」 >ぜひぜひさらっていちゃって下さいませ〜(〃^・^〃)という感じです。 > >と、いうわけで。リナ姫がさらわれる姿が見たいので続き書いて下さい(はぁと) >ああ、もちろん某ゲームが終わってからで結構ですから♪ヾ(^^;) はうぅぅぅ……アレ、殆ど言ってるだけ、です(笑) 実際はリナちゃんさらうのは別の人で〜ゼロス君は救助に行く人、に、なる筈……です。 いや、いちおーアレでゼロス君、宮仕えしてますし……何故でしょうねぇ(^^;) あ、でも、ゼロリナなのは変わりませんし〜。パラレルなだけにハッピーエンドになるとは思うんですけどねぇ……。 ……にしても、某ゲームは……終わるまで待ってたらいつになるか判らないので現在半分中断中(笑) あぁぁ、石田さんの声のキャラまだ完璧に落としてないっっっ(((^^;) >それでは。またの御投稿を楽しみにいたしております(^-^) 有り難うございます〜〜〜(^^) また、お暇でしたら目を通してやって下さいませ〜m(_)m |