◆−太陽の獅子心王−CANARU(5/18-19:18)No.3004 ┗お兄ちゃんカッコイイ!−P.I(5/19-22:00)No.3006 ┗たははは〜♪−CANARU(5/20-10:52)No.3010
3004 | 太陽の獅子心王 | CANARU | 5/18-19:18 |
ども〜〜〜〜!! よ〜〜やっとラムセスでガウリナプロジェクト始動!! ですうううううう!! うう〜〜ん・・・・スランプ続きで長かった〜〜〜〜〜♪ 今回はかな〜り・・小説、関連文献からの影響を勝手によそから借りた 伝説含めたでたらめ話しです・・・。 間に受けないでください〜〜〜〜〜(汗) **************************** 「あ・・・・・・・。」 似ている・・・あの人に。だが・・・まるっきり違う「何か」が彼に その事実を告げる事を拒んでいた。 甘い・・・イリスの香であろうか・・・?微かに鼻をくすぐる。 「・・・・・・。剣か毒かで・・。死を選べと言われるかと言われるかと思ったわ。」 「だとしたら・・・・?」 声のトーンは・・全然「あの人」に似ていない・・・。 「剣を選ぶわ・・・。毒なんて・・弱い真似はしたくないもの・・・。」 学友達が今日も集まる。 皆同じ大学の貴族、平民を問わない優秀な物達ばかりである。 「じゃ〜〜〜ん!!今回のくじ引きのびりっかすは〜♪毎度おなじみガウリイ 王子でした〜〜〜♪」 「ったく・・・。見え透いた罠に引っかかってカスクジを引くとはなあ・・・。」 親友のゼルが呆れ果てた様に言う。 こっそり不良宜しく集まって飲み会を開いた町場の酒場。 宴たけなわ、恒例のバツゲームクジを引いたのは・・・・。 ここエジプトの国王セティの息子にして王子のガウリイだった。 「さ〜〜〜ってっと・・・。今日は何をしてもらおっかな〜〜♪」 意地の悪い声で同輩ドモはガウリイを困らせる事を画策している。 「勘弁してくれ・・・。この前なんて・・大通りを通りかかる女全員を軟派しろって・・。」 ブツブツ言いながらガウリイは抗議をそれなりにする。 「今日は〜〜あの森の迷宮に冒険に出てもらいましょうかネエ〜〜」 言って悪友の一人はさっさとガウリイに糸紡ぎの糸を何故か短剣を渡して さっさと去って行く。 「ったく・・・・・。」 監視している事はあからさまである・・・。 「しゃ〜〜ねえ・・・。さっさと済ましちゃおっと・・・。」 なおもブツブツ言いながらガウリイは俗称「迷宮の森」の方へと向かっていた。 「ムワタッシュア兄上・・・・・・。」 良く見知った物憂げな金髪。すらしとした長身。 そして・・・その美しい顔の額には僅かに向こう傷の痕跡が残っている。 リナよりも15歳も年上の異母兄である。 「リナか・・・・。眠そうだな・・・・。」 「まあ、ね。」 苦笑しながらリナは答える。 母親は違えども二人ともエジプトの血をひいたヒッタイト王国の王子に王女である。 「疲れているのか?」 「大丈夫よ・・・・・。」 技と明るい声でリナは言う。 無論・・かなり無理している事は事実である。 昨夜は一晩中泣き明かしたし・・・その為に眠れなかったし・・・。 かなり疲れていた。幸い親友のアメリアが調合してくれた薬のおかげでなきあとの 貼れと目の赤みは残らなかったが・・・・・。 「真坂・・ゼロスの提案をお前が飲んでくれるとは・・。思わなかった。」 「兄上こそ・・。あの馬鹿家臣の提案。あたしに言ってくれなかったじゃない? 別、アタシはそれくらいの事でへこたれないけど?」 勿論嘘。泣き喚いたなんて・・この兄にだけは知られたくない。 「・・・・・・・・・・・・・・。そうか・・・。」 金色の髪に深い目の色・・・・・。 どこと無く寂しげな眼差しのこの兄・・・・。リナから目をそらして去っていう兄。 「・・・・・・・・・・・・・。ムワタッシュあに・・・。」 「リナさん。」 言いかけたリナの背後から不意に見知った声が聞こえる。 「・・・・・・・・・・。馬鹿家臣ゼロス。何の用事よ?」 更にリナは冷たく言い放つ。 「ご挨拶ですねえ・・。貴方の『最愛の人』とのお別れは済みましたか?」 「すっげ〜〜嫌味・・・・・・。」 不機嫌にリナは更に言う。 「ま・・・。異母兄弟とは言え・・・実兄を・・・。」 「黙って。『慕ってる』だけよ。明日は・・・・。アタシはエジプト行きよ。」 「ヒッタイトとエジプト不可侵条約のため。貴方は人質に出される。けど・・。 実のお兄様に対する感情を立ち切れるんですよ?悪い話じゃ無いとは思いますけどね。」 「嫌味言うんじゃね〜よ。この馬鹿家臣。」 不機嫌になるととことん言葉遣いが悪くなる。 「ま・・・。今に・・驚く事が起こりますよ。」 意味深の言葉を言って去って行く馬鹿家臣をリナは憎らしげに見送った。 「ったく・・・。ナンで俺がこんな目に・・・。」 馬鹿馬鹿しい気持ちを堪えながらガウリイは迷宮で迷わない様に・・・。 入り口から括りつけた糸を転がした道しるべを辿りながら進んで行く。 「この迷宮・・。処刑場に繋がってるとも・・。牢屋にも繋がっているとも 言うんだよな・・・。見えた建物に入っていかなくちゃなんね〜のかなあ・・。」 不満たらたらでガウリイ。 実際に建物が見える・・・。とても牢獄には思えないが・・・・・。 「貴方は・・・・・??」 其処にいるのは・・・栗色の髪、赤い瞳・・・・・・。 胸元にはエジプトのと、ある貴族の一門のペンダントが掛かっている。 「ああ・・・。俺は・・・。」 ふっとその少女の目がガウリイの手元と腰の短剣に注がれる・・・。 「私を・・・・・・。殺しに来たの・・・・・?」 暫し・・絡み合う視線。が・・・。 相手は突如、弾けるように笑い出した。 「・・・・・・。剣か毒かで・・。死を選べと言われるかと言われるかと思ったわ。」 「だとしたら・・・・?」 声のトーンは・・全然「あの人」に似ていない・・・。 「剣を選ぶわ・・・。毒なんて・・弱い真似はしたくないもの・・・。」 「なるほど・・・・・・。」 見れば・・・エジプト貴族の紋章とペンダントの裏面にはヒッタイト王家の紋章が 刻み込まれている。 「あ・・・・・・・・・・・・・・・。」 父王がつい最近・・ヒッタイトの娘を人質とした・・と言う事実は聞かされていた。 真坂・・・・・・・・・・・・・・・。 「そうよ・・・。アタシはヒッタイト王国の王女リナ・・・。エジプトの名前では ネフィルタリと呼ばれているわ。あんたは?」 屈託も無くリナは自己紹介をする。 「ああ〜〜・・。ラムセスっていう先祖代々の名前もあるけど・・・。普段は 母の・・トーヤ王妃がつけてくれた名前・・ガウリイって呼ばれている。」 「そ。アンタがココの王子様なんだ。」 遠い目をしながらリナは言う。 そっか・・・ならば・・そうでも当然かもしれない。 「どした?」 不意に思いに耽ったリナの顔をガウリイが覗き込んでくる。 「ん・・・。」 思わずリナもガウリイの瞳を覗き込み返す。 其処には・・・憂いの色が無い・・・。なるほどね・・・。 違和感が分かったような気がする。 「変わった奴だな〜〜。お前。俺の事怒ってもしょ〜がね〜立場だろう?」 その一言にリナはさらにくすくすと笑い始める。 が・・・・それも束の間。不意に鬱の気分に陥ったのだろうか・・・。 瞳に暗い影を落とし・・・顔を俯かせ物思いに耽る。 「ごめん・・・。ホームシックって奴かな・・・。貴方ってね。にいさまにそっくり なのよ。でね・・・・。」 なんだ・・・。 大人びている様でもまだまだ子供・・・か・・・。 「分かった。また来てやるよ。寂しがるなって・・・。」 言いながらガウリイはリナの頭を撫ぜてやった。 「戦争・・ですか?」 父親のセティとは何時でも会える訳ではない。 だが・・・会ったとたんにこの一言である。 「ああ・・。ガウリイ。お前も既に成人した。」 「で・・・。今度の戦地は?父上?」 「シリアだ。」 あっけなく父王は答えてガウリイに退出を命じる。このまま母王妃トーヤの 所を訪れるのも悪くは無い・・・。そう思って出陣前の挨拶を兼ねガウリイは王妃の 部屋に向かった。 「そうですか・・。シリアの出陣と言う事は・・・。」 母王妃の言おうとしている事は分かっている。 「ええ・・・。父上はヒッタイトの娘を人質に取ったそうですが・・・。 それでも開戦をなさる事は確実的でしょう。」 このシリアを巡ってエジプトとヒッタイトとの対立は絶えないのである。 「所で母上・・・・。」 「リナ王女の事ですね・・。ガウリイ。」 一言も何も告げてはいないのにずばりと母王妃はガウリイの言わんとした事を 図星を突いてくる。 「あ・・・。はい・・・・・。」 否定する理由は・・・父王にはあるやもしれないが・・・。 母王妃に対しては無い。 「彼女は・・・。異母兄にしても・・。実の兄に対して立ち切り難い思いを持っています。」 「・・・・・・・・・・・????」 「彼女を救ってあげて。ガウリイ。リナ王女をシリアに同行したあげなさい・・。 そうすれば・・・・・・。」 母王妃はここまで言って言葉を切る・・・。 「母上・・・・??」 「親の欲目かもしれないけど・・・・。貴方なら大丈夫ね・・。きっと・・。 リナ王女を・・・。守って・・救ってあげてね。」 真剣な声にガウリイは頷くしかなかった。 「何するのよ!!」 馬に座らせたリナの片足の靴をそっと取り外したガウリイにリナは文句を言う。 「ほいほい。じっとして。今からスポンジ踵と靴の間に当てるから。そうしないと・・」 「靴擦れできる・・でしょ!!ムワタッシュ・・・兄上といっつも戦場駆け巡って たんで・・知ってるわよ・・。」 「そうなのか・・・?」 口を開くたびにこの名前。あんまりいい気はしない。 「『慕ってる』だけよ・・。けどねえ・・・。余計変な気になるのよ・・。」 不意に言葉を濁しながらリナはガウリイを凝視しながら言う。 ここ・・シリアに着いてからリナのこう言った様子は日々進行している。 「何が?」 「・・・・・・・・。アンタ・・。兄上に・・・そっくりなのよ・・・・・・・。 何だか・・アタシと兄上の事・・変な風に誤解してる連中結構居るんだけど・・。 特にゼロスって言う馬鹿家臣!!本当にそ〜ゆ〜感情になってるみたいで・・。気分悪い。」 顔を横に逸らしながらリナはガウリイに言う。 「それって・・・・・・・。」 ガウリイが・・微かに歓喜した口調で言いかけたその時だった・・・・。 ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!! 不意に聞こえる凄まじい轟音!! 「シリアの軍勢か!!?」 不意にガウリイの顔が単なるニヤケた惚気男から『王の息子』と言う顔に変わった。 「違うわ・・・。」 冷徹な口調でリナが遮る・・。 「違うって・・・・。」 「兄よ・・・・・。兄が・・・・。」 すなわち・・・ヒッタイトの軍勢・・・・・・・・・・・・・・・・・??? グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンン!!!!!! 二つの馬・・更にいえば二人の指揮官クラスの男がマトモにぶつかり合う。 どちらも太陽のような黄金の髪。 目立つ長身に・・・・さらには凄まじい剣技の対決が繰り広げられる。 叩きつけられる剣と剣によってお互いの兜が叩き割られる。 同時に乱れた金色の髪が大気一面に広がる。 怜悧な深い・・・憂いを含んだ青い瞳・・・。 そして・・・熱い感情を含んだ蒼い瞳が正面からマトモにぶつかり合う。 周囲に一瞬にして・・(ヒッタイトとエジプトの両軍勢の間にか?)・・・。 ざわめきが広がる。 片方が年若く熱い瞳をした男・・・。 もう片方が成熟した・・額に向こう傷のある怜悧な憂いを含んだ瞳の 人物・・・その違いが無ければどちらがどちらなのかまったくもって見当が つかない程良く似た二人の人物が対峙する。 「ガウリイ・・・・。ムワタッシュ兄上・・・。」 双方の名を知った人物・・リナはその名前を呟くしか出来ない。 「・・・・・・・・・・・・。引くぞ!!」 明らかに自分が援護を始めたシリアの軍勢が不利と見たのか? それとも・・実の妹の姿を認めてか? 少なくともガウリイに押されて・・と言う事で無いだろう。 軍勢を率いて退却する兄をリナはただ見送る事しか出来なかった。 「あの子は・・・。貴方の兄です・・・。ガウリイ。」 王妃トーヤの突然の告白はリナとガウリイを納得こそさせれども・・・・。 真意を追求せざるおえない返答であった。 「どう言う事なのです?母上?」 ガウリイはトーヤに激しく尋ねる。 「・・・・。話は本当だったんですね。アタシの父上・・・。ヒッタイト国王の先妻が・・。 エジプト王妃のトーヤ様。あなただったと言う話は・・・。」 ガウリイと母王妃の間に言葉を挟んだ人物は・・意外にもリナだった。 「ええ・・・・・・。あの子が・・ムワタッシュが産まれた翌年・・。 私はヒッタイトを去り・・エジプトの王妃となりました・・。もっともリナ『様』 私について・・『ヒッタイト王妃』と言うのは少々語弊がありますがね・・・。」 元々はトーヤはエジプトの騎士団の平民の娘である。 今でこそ国王セティの第一王妃でこそあるが・・・・。 なるほど・・海外の国王に対してまで「王妃」とは言えないだろう。 「その・・14年後です・・。父が・・正式にアタシの母を妃にしたのは。」 少々・・含むところがあるようにリナが言う。 「・・・・・・・。つまり・・・」 「つまり。ムワタッシュと言う一人の人物は・・・。 ガウリイ、アンタにとっては異父兄と言う関係で・・。アタシにとっては異母兄と 言う関係。」 ガウリイが間抜けなことを聞いてくる前にさくさくと結末だけを告げるリナ。 「じゃあ・・・俺とお前は?」 「無関係と言う関係。」 きっぱりと言い放たれた言葉に別の意味で少々不満そうな顔をするガウリイ。 「・・・。何沈んでるの?血は一滴たりとも繋がってないって意味なだけなのに・・。」 薄暗いオーラまで自覚無しで発しているガウリイにリナは少々退きながらそうと だけ言っておいてやる。 「ともあれ・・・。」 その一言に気を取りなおしたのか。はたまた単に何で沈んでいたのかすら 忘れただけだろうか・・・。 ガウリイはすっくと立ちあがって母王妃に向き直る。 「来月・・父上に従軍して再度俺も戦地・・ガデシュへ向かいます。」 「頼みましたよ・・・。ガウリイ・・・・。」 「いやあ〜〜〜。お出ででしたか!!ガウリイ様!!」 王妃の部屋から退出した直後の事。 年の頃なら30代、やったら血色の良い胡散臭そうなオッサンが二人を 出迎えた。 「ああ〜〜・・。これはこれは・・。我が家庭教師殿・・・。」 面倒くさそうな調子でガウリイはその男に答える。 「何を水臭い!!我々は家族のようなものではありませんか〜〜〜。で、貴方様の ヒッタイト出陣を・・あ、これは失礼。かの地の姫君様もいらっしゃる前で・・。」 「ベラベラ煩い口上は辞めてくれないか?さっさと用件言って・・・。」 ・・・・俺の前から失せろ・・・と出かかった言葉を止めるガウリイ。 そんな汚い言葉を使ったらそれこそ3時間のお説教である。 「これは失礼!!では・・・これをお納め下さい。出陣のお祝いです〜♪」 なにやら一人でベラベラ喋くって去って行く男と取り巻きの行列がリナとガウリイの 隣を通り抜けて行く。 クイクイクイクイ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 服を引っ張られる感覚にガウリイは其方を見やれば・・。 「誰・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 違う世界の生き物でも見るかのような目つきでリナは去って行く行列の一隊を 眺めている。 「ああ〜〜。俺の家庭教師にして煩い姉上の夫。アイって言うオヤジだよ。」 「・・・・・。虫酸が走るわ・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・??????????」 「つまりね・・。唾棄したくなるって言い方の悪い言葉遣いよ。」 このヒッタイトのお姫様・・・非常に上品ぶった所が無くてよろしい・・・。 などと一瞬馬鹿な事を考えるガウリイ。 「ま・・。それはともかく。あ〜ゆ〜顔かたちの人間は嫌いなのよ。 実力あれどもやり方傲慢ちき。自己中心的で目的のためなら手段を選ばない。 割と身近な人間を平気で殺したり・・逆に殺されたりするタイプよ。アガメムノン 王を思い出すわ。」 言い捨てる様にリナが言う。 「・・・・。アガメムノン王に会った事があるのか?」 今度はガウリイ・・・。 アガメムノン王とは先日(現在のトルコにある)トロイと言う一国を ギリシャの軍勢を引きつれて滅ぼした総大将である。 「ええ・・・。アタシもまだ子供で・・。かの王に抱き上げられて・・。大泣きしたって 聞き及んでるわ。」 アッサリとそ〜ゆ〜方向に真面目な話から行くリナ・・・。 ど〜も理解できない・・・。 が・・本人はソンな事一向にお構いなしで話を続ける。 「それに・・。『アイ』って名前は・・。アンタのご先祖様・・ラムセスがこの 王朝を開く前に存在したエジプト王朝の少年王を殺して王位についた宰相の名前じゃないの・・・。」 そうとだけリナは呟くのだった・・・・・。 行進を告げるラッパの音が最前列のココにまで聞こえる。 「本当に構わないのか?」 前回同様、今度の対ヒッタイト戦にも同行してきたリナにガウリイは聞く。 「ええ・・・。それに・・・・。」 思い出しかけては忘れる一つの出来事。多分・・・思い出さなければならないのだろうけど・・。 そう言った悶々とした思いを悟られたく無くてリナはガウリイに尋ねる。 「ガウリイは・・・何になりたいの?やっぱり王様?それとも・・軍人?」 唐突な質問だが・・・。 「そうだな・・。王冠も欲しければ・・。未来も欲しい。」 手には一応敬意を示す・・と言う意味で。先日アイから贈られたラピスで絢爛豪華 に飾られた黄金に光る腕輪をしている。 巨大な螢石がついている所を見ると・・夜にはかなり光って今以上に派手になるだろう。 ・・・・・ったく・・成金趣味なモン・・贈りやがって・・・。 リナに答える間にもガウリイはそんなことにまで頭を巡らせる。 「そっか・・・。じゃあさ!!剣を向けられたら・・・・・。」 「死にたくは無いが・・避けるような弱い事はしたくない。ま、こ〜なるな。」 言ってガウリイは問題の腕輪を外し・・・昔(初めて従軍したのは10歳の頃だった)受けた 腕の傷跡を産まれて初めて人前に曝す。 「・・・・・・・・・。兄は・・・その額で受けたわ。」 ・・・唐突な一言・・・。暫しの沈黙・・が・・・・。 「俺はお前の兄じゃない。」 「そうよ。アタシもアンタの妹じゃないわ。でも・・ムワタッシュはアンタの兄よ。」 ・・・・・・・・・・・俺の言った事の真意・・分かってるのか?コイツは・・。 怒りたいのやら・・しかし言ってる事の正しさに笑い出したいのやら。 ガウリイは複雑な心境で再度贈られた腕輪で傷口を隠す。 「ガデシュに到着したらお前のに〜ちゃん・・とと。俺の・・・『義兄』と話をするよ・・・。」 そう言いながらガウリイは遥か前方に進む父王セティの背中を見遣った。 戦闘は混戦を極めていた。 とてもじゃないがなかなかムワタッシュに近寄れる雰囲気ではない。 が・・・しかし。その姿は直ちに確認できる。 兜すらかぶらず・・金色の髪と向こう傷を敵軍に曝しながら突進してくる一人の人物・・。 自身、戦闘のさなかにあったガウリイにその本人が向かってきたのはその時だった。 ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!! 「な・・・・・・・。」 どうやら・・。リナの言った事は本当らしい。 臆することなく、しかも自分に不利な騎馬上の体勢でありながらムワタッシュは ガウリイの剣をかわす事無く進んでくる。 その頬には一筋のかなり深い切り傷すら出来ている。 「く・・・・・・・・・。」 見事にガウリイは向こう見ずな男の繰り出す攻撃をかわす。 「何を・・・望んでるんだよ・。お前は・・・。」 まるで『生き急ぐ』かのようなその無謀さにガウリイは思わず問いかけずにはいられなかった。 「今日の夜・・・。妹を連れて・・あの樫の木のもとまで来てくれ。」 耳元に不意に聞こえる一言。見ればかなり離れた丘の上に一本の巨大な樫の木が立っている。 「待て!!!」 言ってみるだけ言ってみたが・・・。 時既に遅し。ムワタッシュは夕暮れの戦闘終了を良い事にさっさと自軍の陣地に戻って しまったのである。 「あ〜〜!!無事でしたか〜〜ガウリイ様!!」 煩いの・・もとい。アイがガウリイのもとにここぞとばかりにやってくる。 戦闘中は怯えて隅っこにいたというのに・・・。 「ああ・・・。樫の木・・ねえ・・・・。」 「は・・・・????」 「だから・・樫のって・・ナンでもない。」 こんなのを相手にしたところで一銭の特にもならない。 「まあ・・。それはきっと、この腕輪のお守りのおかげですよ。何時も身につけて いただきたいですなあ〜〜」 「ああ・・・・・・・。」 ますます相手にしたい気分ではない・・・・・・。 「兄上!!!」 不意に暗闇に紛れてリナは駆けでして兄に抱きつく。 「・・・・・・・・・・・。」 兄とわかっていても・・自分にそっくりな人物にリナが抱きつくのは・・・。 とてつもなく複雑な心境のガウリイである。 「ホームシックだろう。気にするな。」 そんなガウリイの気持ちをアッサリと見透かしてムワタッシュはリナ越しのガウリイに言う。 「そんなんじゃないわよ!!失礼ね!!」 ムキになるとこころを見ると・・・図星らしい。 そんなリナを見ながらガウリイとムワタッシュは軽く笑う。 「他でもない。ガウリイ・・・。戦いはまだ続けねばならないだろうが・・・。 今日は今後の平和を考えて・・・。君に贈り物をしようと思ったまでだ。」 言いながらムワタッシュは・・片手でリナの手を握り締め・・・。 もう片方の手でガウリイの腕を取り・・二人の手をつなぎ合わせる。 「・・・・・・・。異存は?」 「勿論あるわけないが・・・・・・。」 リナの方を見遣りながらガウリイは言う。が・・・ 「アタシの意に染まらない事・・・。この人が強要すると思う?」 ・・・・。責任転嫁。可愛くない言いまわし。 苦笑しながらもガウリイはリナの笑いに答える。 「・・・・・・・。生憎と・・俺はコレしか今は持ってないんでな。」 言いながらガウリイは・・片手に填められた高価な腕輪を差し出す。 「人を見る目はあれども・・。モノを見る目は・・・。」 「そう言うな!!売れば少なくともかなりの金にはなるぜ?そんなのでも!! 俺だって出陣プレゼントで嫌々貰ったんだ・・・。いずれ・・正式な贈り物はするよ!!」 ムワタッシュの突っ込みよりも早く自己弁護を済ませるガウリイ。 予想通り・・・螢石の部分が闇に紛れてドハデに光ってやがる・・・・・。 「何か・・・変よ・・・・??」 不意にリナがガウリイの腕を握ったまま・・怯えた様に呟き丘の下を指差す。 「何・・・・・・・・・。」 リナを守る様にそっと回した腕が震えない様に渾身の努力をしてガウリイは その光景を眺める・・・。 「火・・・・・・??」 「王様の・・・セティ国王様のテントが燃えてるのよ!!」 マトモに動揺したリナの声にやはりムワタッシュも動揺した表情を隠せない。 この距離だと・・ムワタッシュ王子の目を盗んでエジプトに奇襲をかけたヒッタイトの 攻撃とは絶対に思えない・・・。 強いて言うなら・・もっとゲリラ的の・・・。 「ガウリイ!!!」 「分かってる!!」 リナがセティのテントが燃えている・・と言う以前にその事実には気がついていた。 だから・・リナを庇っている腕を震えさせないように努力させているのだから。 「謀反としか・・・・・・・・。」 ガウリイが言いかけたその時だった・・・・・・・・・・・・。 「居たぞ!!あそこだ!!」 「セティ王同様!!ガウリイ王子も亡き者に!!」 不意に聞こえる声・・・放たれる弓矢・・・・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 リナの耳元で無抵抗な悲鳴が微かに聞こえる・・・・・・・・・・・。 「リナ・・・・・・・・・・・・・・。」 「これを・・・・・・・・・・。」 リナはやおら胸元から短剣を差し出す。 「真坂・・。話し合いだと言うのに・・こんな物を持ち込んでいたとはな・・。」 そんな誉め言葉嬉しくはないわ・・と言わんばかりの視線を剣に向け・・。 話し相手には一瞥もくれずにリナは言う。 「女が武器を持ってくるのはルール違反じゃないわ。」 言いながら倒れ伏した金髪の頭をリナは震えているのを悟られないように抱き上げる。 「卑怯?」 「全然。お前は大した奴だよ。リナ。」 「馬鹿言ってるんじゃ無いわよ。あんたの腕あってこそのよ。そんなちゃちぃ剣じゃ。 お願い。『ムワタッシュ』兄上の敵を取って頂戴。ガウリイ!!!」 「おうよ!!!」 言いながらガウリイはリナから受け取った短剣を使い刺客を一人、また一人と 倒して行く。 これだけの騒ぎと松明があれば・・・いずれ生き残っていれば援軍に助けられるだろう。 既に腹心の数名が此方に向かっている気配は感じられる。 問題は・・・。 ガウリイにそっくりとは言え『ムワタッシュ』をためらい無くガウリイと決め付け 弓矢を射れた『原因』。 そして・・ガウリイとリナがココに来る・・と言う事実を知っていた『人物』 その答えは・・・。 「夜目に光って見える・・。『螢石』・・・・。」 それを贈った人物こそ・・・・・・・・・・。 松明の光がアイの顔をありありとうつしだす。 「・・・・・・。国王を暗殺し・・・。俺を殺して国王になろうとした・・と 言う腹か・・・・・。」 国王の娘の夫には王位継承権が場合によっては生じるのだ。 「沙汰はいずれする。そいつを連れて行け。」 言いながらガウリイはアイを兵士達に連行させて行く。 「ムワタッシュは・・・??」 「行方不明・・・。」 リナがヒッタイト人に兄を渡したその後の事・・・・。 兄は応急処置を受けるだけ受け・・王位継承権すら放棄して消え去ったのだ。 その行方は・・・今だ不明。 「責めないのか?」 あの腕輪のせいで・・・・ムワタッシュはガウリイの身代わりとなったのだ・・・。 「素っ気無い答えだけど・・。兄は多分・・アンタの身代わりにはなっからなろうと 思っていたと思うの・・・。」 「何故・・・・・・・・・・・。」 リナの幸せのため・・・・???? 「アンタは・・彼の弟なのよ?」 再度・・忘れかけていた事実をリナはガウリイにつきつける。 しかし・・今度は微笑みながら。 「そうだな・・・。後世では俺のことをこう言うだろうな・・・。」 「何て?」 リナの顔が興味を示したことを悟ってガウリイはニヤリと笑いこう言う。 「『兄を殺して王位についた男』って、な。でもって・・・。」 言いながらリナに手を差し出しながら続ける。 「王と王妃は・・永遠のカップルだ・・・てな・・・。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「馬鹿!!何恥ずかしいこと後々まで伝えようとしてんのおおおおおおおお!!!」 「照れるな〜照れるな〜〜♪別いいじゃね〜か!!第一王妃様〜♪」 そう・・・・・。 二人はまさに・・・今日国王と王妃に即位した・・・。 「まったく・・・・・。」 伝説の意味分かってるのか・・コイツは・・・・。 そう思いながらリナはガウリイと一緒に宮殿までの道のりを歩いていったのだった。 太陽の王にして・・獅子の心の王・・・と・・・。 (おしまい) ども〜〜〜!! 今回は「アリエノール・ダキターヌ」の伝説とラムセス伝説混合しちゃいました!! つ〜〜わけで〜〜!!タイトルはこ〜なりました!! |
3006 | お兄ちゃんカッコイイ! | P.I E-mail | 5/19-22:00 |
記事番号3004へのコメント CANARUさん、こんばんは〜! 久々の新作♪♪今回はラムセスですか〜! ムワタッシュ兄ちゃん、ガウリイをシブくした感じで格好良かったです(はぁと!) ちょこっと妬いてるガウリイもかわいい♪ 血がつながってなかったら、リナちんでもガウリイとの間で揺れ動いたかもですね(^^;) 獅子心王といえば全然違う国の某王様を連想してしまいますが、ラムセスと合体させてしまう大ワザはさすがですね! 史実は史実として、遊びもいっぱい盛り込むのが小説の面白いところじゃないでしょーか! また書いてください〜。 それではでは! |
3010 | たははは〜♪ | CANARU | 5/20-10:52 |
記事番号3006へのコメント >CANARUさん、こんばんは〜! >久々の新作♪♪今回はラムセスですか〜! はい〜〜♪ 一応小説はまだ1巻までしか読んでないんですけどねえ〜(汗) 早速書いてみました〜〜(汗) >ムワタッシュ兄ちゃん、ガウリイをシブくした感じで格好良かったです(はぁと!) ははは〜〜〜!! 人物像を悩んだ結果こ〜なりました!! 最初はガウくんに兄貴を投影してるリナちゃんを書きたかったので〜♪ >ちょこっと妬いてるガウリイもかわいい♪ ははは〜〜!! 「そっくり」がキーですねえ〜〜♪ >血がつながってなかったら、リナちんでもガウリイとの間で揺れ動いたかもですね(^^;) ですねえ・・・。ちなみに王妃トーヤを「アリエノール」の 前歴に置き換えてみたら・・・。と考えたら こ〜〜んな人物相関図になりました〜〜!! >獅子心王といえば全然違う国の某王様を連想してしまいますが、ラムセスと合体させてしまう大ワザはさすがですね! ううう〜〜!! どっちも書きたかった上にスランプになって・・・。こ〜してしまいますた〜〜!! >史実は史実として、遊びもいっぱい盛り込むのが小説の面白いところじゃないでしょーか! >また書いてください〜。 はい〜〜!! 今読んでる「聖戦ヴァンデ」わ参考にしてまた何か書きたいです〜〜!! >それではでは! では〜〜!! |