◆−LONELY WAY−中田 珂南(5/26-19:04)No.3053
 ┗Re:LONELY WAY−狐胡乱(5/27-00:16)No.3057
  ┗Re:LONELY WAY−中田 珂南(5/27-02:11)No.3059


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3053LONELY WAY中田 珂南 E-mail URL5/26-19:04


はじめまして。または、お久し振りです。
こちらに投稿させて頂くのは、一体いつ以来のことでしょうか(^^;

いつもはガウリナを書いているんですが、今回は何故かゼルアメです。
……書いたのは初めてなんで、いつもより多少(かなり?)変かもしれない(爆)

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「LONELY WAY」


果てしなく広がる夜空を見つめ、彼は思う。
今、通りすぎていったあの蒼い流星は。まるで銀河をすべり行くようだと。

明日にはもう、この地を発つ。
向かう先は、遥か彼方の見知らぬ大地。
かつては“冥王”と呼ばれた魔が支配した、あの「滅びの砂漠」を越えて。
僅かな手がかりさえもないけれど。かすかな希望に賭けて旅立つ。

昨日まで共に旅を続けた、あの勝ち気な魔道士と剣士の二人は。
新たに抱いた目的のために、既にこの地を旅立った。
だが、彼は。どうしても、この地を去りがたい衝動にかられて。
あと1日だけ、とここに留まっていた。

その理由は。
今、自分の隣で星を眺める、この純粋な少女の存在。
そして。彼女の傍らにあることを求めてしまう、自分自身の偽らざる気持ち。
……ただ、それだけ。

だけど。
今の自分には、果たすべき目的が残されている。

『元の身体に戻る』

大いなる魔との戦いは終わっても。
この目的が果たされない限り、彼自身の旅は終わらない。
終わりの見えない、長い道のりではあるけれど。
まだ、諦めることはしたくないから。



と、その時。

「ゼルガディスさん。やっぱり…行くんですね」

傍らにいた黒髪の少女が、言う。
だけど。
瞳に押し込められた悲しみは、いつも明るく元気な彼女を、儚く頼りなげに見せて。
さしもの魔剣士も、一瞬心が揺れる。

「このままセイルーンに残る…訳には、やっぱりいかないんですよね」
「……ああ」

沈黙が重い。
だけど。この場で、何が言えるというのだろう。
どんなに言葉を捜しても、残される彼女にかけられるものがない。

こんな時に。
言葉とは、極めて不自由なものだと痛感する。
どんなに言葉を連ねても、気持ちの片鱗さえ伝えきれないから。

共に生きたい。
他の誰でもない、この少女と共に。

だけど。
この忌々しい身体では、その望みも叶えられない。
身分だとか、地位だとか。そんなものにこだわる彼ではないけれど。
自分のために、彼女が周囲に傷つけられるなど。決してあって欲しくないことだから。

「セイルーンの情報網を駆使すれば、何か見つけられるかも知れません。
 もし、どうしても新しい大地の情報が欲しいなら、調査団を派遣して……」
「………アメリア」
「自分の立場を利用するなんて、正義に反するかも知れません。
 だけどっ…………!」

判っているのだ。彼女も。
そんなことをしても、決して彼は喜ばないと。
そうしてまで引き止めるのは、ただの自分のわがままだと。

でも。
自分と彼の間には、確かなものが何もないから。

彼と離れる事が、何よりも怖いから。

「………って。だめですね、私がそんな事を言っちゃ。
 ゼルガディスさんには、どうしても叶えたい望みがあるんですから。
 私なんかが、邪魔しちゃいけませんね」

悲しみに張り裂けそうな心を、懸命に抑えて。彼女は何とか、笑う努力をする。
だけど。
努力は、叶うこともなく。その大きな瞳から、また涙があふれ出す。

そして。
そんな彼女の悲しい笑顔に、彼は目が離せなくなり。
思わず、その細い肩を抱きしめる。

「………すまない」

こう言うのが、精一杯だった。
他には、何も言えなかった。

“ここで待っていて欲しい”

そんな言葉も、今は言えない。
自分の身体が、本当に元に戻るのか。その保証が、どこにもないから。

たとえ、二人寄り添うことが叶わなくても。
彼女だけは、幸せで在り続けて欲しいから。

他の誰にも、渡したくない。
…それが、本当の気持ちではあるけれど。

「………だから。私は、ここで正義を広めてます。
 例え人間であってもなくても、皆が平等に暮らしていけるように」

ふと。彼女が、唐突な事を言い出す。
一体、何を思って言うのかと。彼が訝しげな顔をして見つめ返すと、

「人間だからとか、そうでないからといって差別を受けるなんて、そんなの正義じゃありません。
 だから。少しでも世の中に正義が広まるように、一生懸命頑張っていきます。
 旅立っていったリナさんやガウリイさんや、ゼルガディスさんに負けないように。
 だから、……だから……っ」

“いつか、帰ってきて下さい”

最後の言葉は、涙と共に押さえ込まれたけれど。
例え口には出さなくても、その気持ちは痛いほど伝わる。

それでも。自分は、旅立たねばならぬのだ。
……ほんの少しでも、希望が残っている限りは。

だから、今は。何も言わずに行かせて欲しい。

「……高い所から落ちるのも、程々にしておけよ」

どうでもいいようなことを言って、揺れる心を懸命に抑えて。
彼女の肩を抱いたまま、彼は再び夜空を見上げる。

共に見上げた、この空の美しさを。
別れの朝が訪れるまでの、この僅かなひとときを。
心に、しっかりと刻み付けておくためにと。

どんなに遠く離れても、互いを想い続けられるようにと。

「………あ、流れ星」

再び銀河をすべる流星を見つけて、彼女が小さく声を上げる。
そして。細い指をそっと組んで、無言で何かしらの願いをかける。

その願いは、自分と同じものだろうか?
確かめたい気はするけれど、彼はあえて口には出さない。
……素直に訊けない自分の性格を、密かに恨めしく思いながらも。



夜明けが訪れる頃に、彼は新たな地へと旅立つ。
行き先は、遥か彼方の夢を探して。

今は口にも出せぬ願いを、いつか現実にするために。

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先日カラオケに行った時に、友人が歌ったあるアニメソング(結構古い・汗)が
あまりにもゼルアメしてたもんで、つい書き上げてしまいました(^^;
しかし。ゼルもアメリアも別人と化してる(撲殺)
あうあうあうあう。己の文才のなさに、ただ撃沈するのみです。。。

番組名はあえて書きませんが、サブタイトルをそのまま題にしているし、歌詞もちょっとだけ流用してるんで。
もし判ってしまった方は、いっぺんフルコーラスで聞いてみて下さい。
笑い悶える程はまりすぎて、頭から離れなくなること間違いなしです(^^;
(歌ったご本人は、狙ってた訳ではないんですが・・・汗)
某さん、ネタにしてごめんなさい(><;

っつーことで。私はここらへんで逃亡します。
では!(しゅたたたたたたたたたた・・・・・←走り去る音らしい)

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3057Re:LONELY WAY狐胡乱 E-mail 5/27-00:16
記事番号3053へのコメント

はじめまして〜、狐という名のケダモノです。

これはアノ懐かしの

ろんり〜うぇ〜こ〜の〜ぼ〜くの〜♪ですね!

エンディングではあのひとの横顔を黙って見つめてたりするやつ(笑)。
違ったかな?

楽しく拝見いたしました〜@
次回作も頑張ってくださいまし♪

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3059Re:LONELY WAY中田 珂南 E-mail URL5/27-02:11
記事番号3057へのコメント

はじめまして、でしょうか?(汗)
レスありがとうございます♪


>これはアノ懐かしの
>ろんり〜うぇ〜こ〜の〜ぼ〜くの〜♪ですね!
>エンディングではあのひとの横顔を黙って見つめてたりするやつ(笑)。
>違ったかな?


はい、元ネタはその通りでございます(笑)
先日カラオケに行った時に、偶然気が付いてしまいまして。
同席した全員が、腹よじれるくらいに笑い転げておりました。。。
・・・往年のファンの方ごめんなさい、てなところですが(^^;

しかし。原曲はすんごく素敵な歌なのに、こんなへっぽこ小説にしてしまって
己の文才の無さに涙しておりました。
それだけに、レス付けて頂いて大変感謝しております♪
機会が在りましたら、また宜しくお願いしますです。