◆−シンデレラ1−羅紗(6/4-11:20)No.3117
 ┣シンデレラ2−羅紗(6/5-15:33)No.3121
 ┃┣うふふ♪−律(6/5-19:53)No.3122
 ┃┃┗おへんじぃ−羅紗(6/6-18:24)No.3125
 ┃┗はじめまして−目の病気再発な一坪(6/5-23:16)No.3123
 ┃ ┗Re:はじめまして−羅紗(6/6-18:26)No.3126
 ┣シンデレラ3−羅紗(6/6-18:29)No.3127
 ┣シンデレラ4−羅紗(6/6-18:33)No.3128
 ┣シンデレラ5−羅紗(6/7-19:32)No.3135
 ┣シンデレラ6−羅紗(6/8-15:38)No.3139
 ┃┗はじめまして♪−Yu-ko(6/9-14:44)No.3144
 ┃ ┗こちらこそ…。−羅紗(6/9-17:28)No.3145
 ┣シンデレラ7−羅紗(6/9-17:31)No.3146
 ┗シンデレラ8−羅紗(6/9-17:34)No.3147
  ┣読みましたよ〜−律(6/9-18:33)No.3148
  ┃┗読まれましたか−羅紗(6/10-08:58)No.3153
  ┣Re:ガウリイ王子・・・V−風和(6/11-05:18)No.3160
  ┃┗初めまして!−羅紗(6/11-10:57)No.3162
  ┗完結おめでと〜♪ございます。−Yu-ko(6/12-13:53)No.3179
   ┗ありがと〜ございます♪−羅紗(6/12-14:42)No.3180


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3117シンデレラ1羅紗 6/4-11:20


はじめまして!
ずっと読み専門だったのですが、みなさんの投稿を読んでいるうちに、私も投稿したくなってしまいました。
まだまだつたない文章ですが、よろしくお願いします。
えっと、基本的に、私が書く文章はガウリナですが、ギャグ&シュガーレスを掲げています。

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

 昔々あるところに、ちょっと胸はないけどかわいらしい娘が親子三人で暮らしていました。
 ところがある日、母親が流行病にかかり、あっさりと逝ってしまったのです。
 あまりのことに父親はただただ嘆くばかり。そして、おそらくそのショックが強すぎたのでしょう。ある女に引っかかり再婚してしまったのです。
 新しい母親はバツイチで2人の連れ子がいました。三人は狡猾で、その美しい顔を武器に次々と父親にいろいろな要求をのませました。おかげで娘は肩身の狭い思いをしなければなりません。
 しかも悪いことは続くものです。今度は父親が通りすがりの覆面馬車にひき逃げされ、逝ってしまったのです。
 哀れ、その娘は服も家具も部屋もあらゆる財産全てを継母に取り上げられ、屋根裏部屋に押し込まれ、汚い服を着せられ、継母達にいいようにこき使われるようになってしまいました。
 名前も、「シンデレラ(灰かぶり)」と呼ばれすぎたため、本人でさえ忘れてしまいました。
 そして、今日も……。

「シンデレラ!この部屋を掃除しなさいって言ったじゃない!」
 シンデレラが振り返ると、マルチナ継母がこちらを指して言いました。
「ちゃんとやりました。」
 シンデレラはバケツを抱えながら答えました。
 マルチナ継母はそばの壁を指ですぅっとなでました。指先についたほこりを見て頷きます。
「まだこんなに汚れてるじゃない!」
「そこまで知るかぁっ!」
 思わず絶叫したシンデレラに、マルチナ継母は近くにあった『ぞあめる・ぐすたぁ』のバッチを突きつけました。
「いいことシンデレラ。たとえ天が許しても、このぞあめる・ぐすたぁ様は見過ごさなくてよ。
 さっさと部屋を綺麗にする!ちゃんとしない限り、今晩の夕食はなしよ!わかったわね!!」
 勝ち誇ったように高笑いをあげながら去っていくマルチナ継母の後ろ姿をシンデレラは睨み付けました。しかし、立場が弱いのはどうしようもありません。
「シンデレラ、ワタシのドレス、ちゃんと洗濯したの!?」
「あのぅ、シンデレラ。お茶の葉、替えました?」
「だぁぁぁぁぁぁぁっ!なんだってあたしがあんたのドレス洗濯しなきゃなんないのよ!
 第一、あんた男でしょ、ヴルムグン!!」
 おかっぱに可愛いリボンを付け、ひらひらのドレスを着たヴルムグンは、ふっと目を逸らしました。
「言わないで。
 ともかく、ワタシのドレスぐらい洗えるでしょ。はやくしなさい。」
「い・や・よ!」
「そう。言うことがきけないのなら……。」
 ヴルムグンはさっと印をくみました。
「氷の矢(フリーズ・アロー)!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
 シンデレラは悲鳴を上げて逃げまどいました。そしていつの間にか張られていたひもに引っかかり、派手にコケ、顔面をもろにぶつけてしまいました。
「痛い目に遭いたくなかったら、言うことを聞きなさい。さ、行きましょう、シルフィール。」
「え…ええ。リナ…じゃなかった。シンデレラ、お茶の葉、お願いしますね。
 あと、私たちの言うこと、なるべく聞いておいた方がいいですよ。」
 シルフィールはそう言うと、握っていたひもの端っこを放しヴルムグンと一緒にでていきました。
「くっそぉ……いつもなら…いつもならあんな攻撃やあんな奴らなんか叩きのめしてやれるのにぃっ!!」
 悔しさのあまり、シンデレラはギリギリと歯ぎしりをします。
 そこへ。
「すみませーん。王宮からの使いなんですけどー。」


−続く−

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3121シンデレラ2羅紗 E-mail 6/5-15:33
記事番号3117へのコメント

こんにちはぁ…。また来た羅紗です。
続きです。(誰も読んでない?う…)

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

 はふ。
 シンデレラは深い溜息をつきました。
 王宮からの手紙は、今夜王宮主催の舞踏会が開かれるというものでした。
 継母達はもう上を下への大騒ぎ。シンデレラをここぞとばかりにこき使い、綺麗に飾り立てて気合い充分。
「いいこと。あの人の遺産も残りわずか。このままだと我が家の財政は危機的状況を迎えるわ。それを防ぐためにはただ一つ。即ち、玉の輿よ!」
「はい!お母様!!」
 継母達はしっかりと頷きあいました。
 シンデレラの父親だけでなくこの国の財産までねらうとは、人間、欲には限りがないものです。
 当然、シンデレラは留守番を言いつけられました。
 はふ。
 シンデレラはまた深い溜息をつき、お城のほうを眺めました。
 今頃継母達は、ドレスに縫い込んである毒針で昏睡状態に陥っていることでしょう。
 「ざまあみろ」とは思うのですが、やはりそこはそれ、若き乙女です。舞踏会に行き、
「世界中の珍味、食べてみたかったなぁ……。」
 シンデレラの頭の中に、いろいろな珍味の数々が浮かびます。
 はふ。
 三度、シンデレラは溜息をつきました。悔しさのあまり、うっすらと涙が浮かびます。
「行きたかったな…。いっぱい、いっぱい美味しい物食べたかったなぁ……。」
「その願い、かなえてあげましょう!!」
 いきなり降りかかった声に、シンデレラは慌てて目元を拭いてあたりを見渡しました。
「誰!?」
「愛と!」
「正義の…。」
『魔法使い、参上!!』
 勢いよく現れたのは、二人の魔法使いでした。
 お揃いの白いマントには【正義】と黒い太字でかかれ、同じくお揃いの杖にはかわいらしいリボンが結ばれています。
 片方はびしっとあさってに向かってポーズを決め、もう片方はめちゃくちゃ恥ずかしそうに立っていました。
「ゼル……その格好……。」
「言うな。俺だって好きでやってるんじゃない。アメリアが勝手に……。」
「いいじゃないですか。それにゼルガディスさんのその格好、よく似合ってますよ。」
「あのな…。」
「まぁそれはともかく。どうしてゼルとアメリアがここにいるの?」
「違いますよ、魔法使いです!!」
こほんと咳払いをすると、アメ…もとい、女魔法使いは言いました。
「可哀想なシンデレラ。今日はあなたの願いを叶えるためにやってきました。
 これからあの舞踏会に連れて行ってあげましょう。」
「ほんと!?」
 シンデレラの瞳が輝きます。女魔法使いはにっこりと頷きました。
「もちろんです。
 それでは、次のものを用意してください。」
 男魔法使いはメモ用紙を取り出し、読み上げました。
「大きなかぼちゃ1つと、ハツカネズミ4匹 以上。」
 シンデレラは早速、家庭菜園で出来たかぼちゃとねずみ取りにかかっていたネズミを持ってきました。
「それじゃゼルガディスさん、いきますよ。」
「おぅ。」
『ホロレ・チュチュ・パレロ!!』
 白い光がほとばしり、シンデレラ達を包みます。
 光がおさまると、なんと、かぼちゃは華麗な馬車に、ハツカネズミは優美な馬に変身してしまいました。
 そして、シンデレラは。
「リナさん…綺麗……。」
 うっとりと女魔法使いが呟きました。
 栗色の髪はつやつやと輝き、純白のドレスは腰で一度ぎゅっと締まり裾に向かって広がり、ひらひらと蝶のように舞います。
 男魔法使いも呆然としましたが、すぐに我に返り懐からガラスの靴を取り出しました。
「これが最後の仕上げだ。」
 ほっそりとした靴はシンデレラの足にぴったりです。
「リナさん、本当に綺麗です…。」
「ありがとう、アメリア。」
「リナ……じゃなかったな。シンデレラ。
 俺達の魔法は今晩十二時に解け、お前はいつもの姿にもどっちまう。
 これだけは気をつけてくれ。」
「わかったわ。」
 シンデレラは神妙な顔で頷くと、馬車に乗り込みました。

−続きます−

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3122うふふ♪6/5-19:53
記事番号3121へのコメント

こんにちわ、羅紗さん。
「シンデレラ」読ませていただきました。
さすがリナちゃん、いじめられてもただでは起きないとは。
さてさてこの後はどうなるのでしょう(笑)?
では続き、楽しみにしています。

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3125おへんじぃ羅紗 6/6-18:24
記事番号3122へのコメント

ありがとうございます!って、早速来ましたね。
リナちゃんはただでは起きません!と、私は思います。
続きもアップしますので、読んでくださいな。

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3123はじめまして目の病気再発な一坪 E-mail 6/5-23:16
記事番号3121へのコメント

投稿ありがとうございました!!

目の病気でディスプレイをまともに見れないため、
まだ読んでないので、お礼だけを。


まだ途中のようなので、続き頑張って書いて下さいね。

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3126Re:はじめまして羅紗 6/6-18:26
記事番号3123へのコメント

初めましてです。
目の方、大丈夫ですか?
がんばって続き書きます!
それでは。

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3127シンデレラ3羅紗 6/6-18:29
記事番号3117へのコメント

続き、載せます!

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

ふはぁ。
王子は大きな大きなあくびをしました。
今日の舞踏会は王子のお嫁さん探しもかねているのですが、彼には全く興味がありません。
金髪碧眼で容姿端麗なその頭の中はふやけたパスタやヨーグルトやついでにスライムが詰まっているので、
恐ろしく長い話をされると眠たくなってしまいますし。
それでも、王子様なので、若い女の子は群がってきます。
「ごきげんよう、王子様。」
「こんな所に呼んでいただけて、光栄ですわ。」
若い女の子は嫌いじゃないのですが、さすがに飽き飽きしているのです。
ただ、先ほど女装した男に言い寄られたときはすぐさま衛兵を呼んで近くにいた親子共々追い出しましたが。
本当に、本当に退屈で仕方ありません。
すると、また一人、娘が入っていきました。しかし、誰も気づきません。王子以外は。
娘は料理のおいてあるテーブルに直行し、次々と料理を制覇していきました。
周囲の人間は度肝を抜かれました。
純白のドレスに身を包んだ華奢で小柄な少女が、テーブル中の料理を─半ば食べられていましたが─全部食べてしまったからです。
しかも、
「これ、おかわりあるかな。」
等と慎ましく言うものですから、周りの人は化け物を見るかのように娘を見ます。
娘─シンデレラは周囲の視線に気づかず、すたすたと次のテーブルに移動します。
人々は、見なかったことにしました。
シンデレラは次の料理を探してうろうろしていましたが、ふと、奥に通じる通路を発見しました。
シンデレラは金銀財宝にも大変興味があったので、あたりを確認すると、純白のドレスを翻し、その奥に入っていきました。

−続く−

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3128シンデレラ4羅紗 6/6-18:33
記事番号3117へのコメント

連続で載せます!!

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「うわぁ、さすがにお城ね。要所はきっちりガードしてあるわ。」
柱の影で、シンデレラは思わず唸りました。
場内を廻る衛兵の目を盗んで宝物庫らしいところまでは何とかたどり着いたのですが、
その宝物庫の前は5,6人の衛兵が守っているのです。
皆、強そうで頭の固そうな人なので、中を見せてくれそうもありません。
「こんな格好じゃ……魔法も使えないし……。」
ぶつぶつと独り言を言いながらシンデレラは考え込みました。
そのとき、突然誰かに肩をたたかれました。
場所も忘れて悲鳴を上げそうになったシンデレラの口を大きな手がふさぎます。
「静かに。みつかっちまうだろ?」
おそるおそるシンデレラが振り返った先には、なんと王子がいたのです。
「ど……どうしてここに……。」
「おまえさんこそ、どうしてこんな所にいるんだ?ここは会場じゃないぞ。」
まさか『お宝を拝見してついでに駄賃代わりにめぼしいものをかすめようとしました。』なんて言えません。
ここは誤魔化すのが一番です。
「トイレに迷っちゃって。」
……ですが、限度もあります。
「結構明確な意志を持ってここまで来たように見えたんだが。」
「あ……こ、こっちかなぁ……なんて……。」
「衛兵の目までかすめて?」
「う゛………。」
シンデレラの背中に冷や汗がいくつも流れます。
王子はじっと見ていましたが、急にジト目になって言いました。
「……まさかこんなお話の中までお宝かすめようなんて考えてるんじゃないだろうな。」
ぎくぎくぅっ!
シンデレラの肩がぴくぴくっとふるえました。
「をい。」
「や、やだなー。いくらあたしでもそんなこと、これっぽちしか考えなかったわよ。」
「これっぽちは考えたのかよ。」
「それはともかく、なんであんたがここにいるの?関係者以外立入禁止でしょ?」
「だって、オレ、王子だもん。」
シンデレラは目を瞠りました。まさかこんなところで王子に会うとは
……っていうか、この男が王子様だとはつゆにも思わなかったので。
しかし、これは使えます。
シンデレラはあま〜い声でねだりました。
「ねぇねぇ王子様。あたし宝物見てみたいなぁ(はぁと)。」
「おまえなー。城の財産狙ってる奴に宝物庫見せる奴がどこにいる。」
「ここ(はぁと)。」
王子は頭を抱えました。シンデレラは気にせず王子を見上げています。
「もちろん協力してくれるわよね(はぁと)。」
にっこり笑うシンデレラの顔の裏側に何を見たのでしょうか。王子は観念し、うなずきました。
「それじゃあ、まずは王子様が出てって衛兵達を巻いてきて。
その間にあたしは宝物庫の中に入ってお宝Getしてくるから。」
「結局同じかよ……。」
「ぶつぶつ言わない。こっちは高い税金払わされてるのよ。
そのお金でこんなことして連日遊んでるんだから、少しくらい返金してもらわなきゃ割に合わないじゃないっ!」
「はいはい。」
王子はどこか遠い眼をして答えました。
「それじゃ、行く……。」
「ほーっほっほっほっ!」
どこからともなく聞こえてきた高笑いとともに、壁に一部が壊れました。
衛兵達はどよめき、もうもうと立ち上る煙の中からすっくと立ち上がる影があります。
やたらと露出度の激しい服を身にまとい豊かなバストを大きく逸らしながら高笑いをあげるその姿は、
どこから見ても悪の魔道士そのものです。
「おのれ、何やつっ!」
「フッ。名乗るのもおこがましいけど、そこまで言われたのなら黙ってもいられないわ。
史上最強の魔道士、サーペンとのナーガとはわたしのことよっ!」
ぎぎぃ。
シンデレラは近くの壁をひっかいてしまいました。王子が尋ねます。
「あれ、おまえの知り合いか?」
「いいえ、知らない人よ。」
間髪入れずシンデレラは答えました。
一方衛兵達は、はじめこそびびってましたが、やがて我に返りました。
「最強かどーかしらんが、いきなりなんのつもりだ!!」
「というか、ナーガなんて名前、知ってたか?」
「いや、初めて聞いた。その筋では有名なのか?」
「どの筋だよ。」
「たとえば……。」
「お黙り!!」
ナーガは長い黒髪をはらうと、高らかに宣言しました。
「この宮廷の財宝はわたしがすべて頂くわ!ほーっほっほっほ!」
「何を!?」
「王宮衛兵をなめるな!!」
衛兵達はいきり立ちました。まあ、目の前で堂々と窃盗を予告されれば、誰でも怒るでしょうが。
ナーガはそんな彼らを見て、不敵に笑います。
衛兵達がナーガに襲いかかります。ナーガは口の中で唱えていた呪文を解き放ちました。
「風魔咆裂弾(ボム・ディ・ウィン)!」
「あぶないっ!」
解放された風が吹き荒れ、狭い空間をなぎはらいます。
シンデレラも一緒に吹き飛ばされそうになったところを、王子がしっかりと捕まえました。
頭は空っぽでも体力には自信のある王子だったので、他人が気絶しても二人は大丈夫でした。
「大丈夫か?」
王子が優しく尋ねます。シンデレラはうなずき、今の自分の姿に気がつきました。
シンデレラはごく自然に王子にアッパーを喰らわせました。
「な…なにすんだ、いきなりっ!」
「やかましいっ!どさくさに紛れてなにしようとしてたの、あんたはっ!!」
「助けようとしただけだろっ!!」
「ううううるさい!!さっさとお宝もらって帰るわよ!!」
ほんの少し紅く頬を染め、シンデレラは自分の魔法でのびてしまったナーガをまたぎ、宝物庫の扉を開きました。

−続く−

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3135シンデレラ5羅紗 6/7-19:32
記事番号3117へのコメント

こんにちは!今回はちょっとラブ入り?という状態です。
でも私にはこれが限度です。(なんつう限度だ。)

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「……っと、ちょっと少ないけど、まあこれでよしとしよう。」
「こ……これが『ちょっと』か?」
いつの間に持ってきたのか、シンデレラは特大の風呂敷を広げ、その上に次々と金銀財宝を積み上げたのです。
シンデレラはそれらを慎重に包み、きちんとした荷物にしました。といっても幅はシンデレラがぎりぎり抱え込めるぐらいでしたけど。
「なんか……目の前でやられると……。」
「気にしない、気にしない。それじゃあたし帰るから。じゃ、ね、王子様。」
王子は慌てたようにシンデレラを見ました。
「もう帰るのか?なんで?」
「いや、なんでって言われても……もう用事もないし……。」
シンデレラはぽりぽりと頭をかきました。
王子は何かを考えていましたが、不意に手を打ちました。
「踊ろう!」
「……は?」
何がなんだかわからないシンデレラの手を引いて─シンデレラはちゃんともう片方の手で風呂敷をしっかり握っていましたが─王子は誰もいない中庭に出ました。
ひっそりと静まりかえった庭に、かすかですが舞踏会の音楽が聞こえてきます。
その中で王子とシンデレラは踊り始めました。
はじめはただただ驚いていたシンデレラも、次第に笑みを浮かべ、手を取り踊ります。
つたない踊りで、あまり優雅ではありませんでしたが、月光に照らされた二人の姿はとてもとても美しいものでした。
「このまま時が止まってしまえばいい。」
そう思ったのは、果たしてどちらでしょうか?
しかし、まさにその時、お城の鐘が鳴り始めました。
シンデレラは時計を見ました。針は無情にも十二時を指していました。
「どうかしたのか?」
王子の言葉も耳に入りません。
シンデレラは王子の手を振り払うと、風呂敷を抱えて一目散に駆け出しました。
「ちょ…ちょっと待て!どこに行く気だ!!」
王子も慌てて追いかけます。
シンデレラは逃げ足には自信がありましたが、なにぶん初めての場所なので地理的に不利です。
加えて王子の運動能力は獣並です。このままでは捕まってしまいます。
(どどどどうしようっ!)
わけの分からない場所を縦横無尽に駆け回りますが、全然出口にたどり着けません。
王子はすぐそこまで迫っています。
万事休す。その時です。
「火炎球(ファイアー・ボール)!」
火の球が王子を吹き飛ばしました。
「な……。」
「り……じゃない、シンデレラ!こっちですっ!」
見れば、黒地に白く『愛と根性』とかかれたフードをかぶった女性が手招きしています。
よくよく見ると、彼女は先ほどの魔法使いでした。
「なんでここに……。」
「質問はあとだ。脱出するぞっ!」
やはり同じ格好をした男魔法使いはシンデレラを抱え、呪文を唱えました。
「翔封界(レイ・ウィング)!」
「あぁ、靴がぁっっ!」
「いいから早くしないと!」
三人は夜の闇に紛れてしまいました。
唯一残ったのは、片方だけのガラスの靴。
王子はそっとその靴を拾いました。

−続く−

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3139シンデレラ6羅紗 6/8-15:38
記事番号3117へのコメント

ほえほえ。毎日暑いです。
梅雨に入ったらもっとじめじめして暑いんでしょうね……。
ふう。
それでは続き、書きます!

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

ごぉぉぉぉん……。
最後の鐘が鳴ったとたん、シンデレラの姿は元の汚い格好に戻ってしまいました。
魔法使い達はシンデレラを家の庭におろしました。
シンデレラは少し寂しそうでした。両手に抱えた風呂敷をぎゅっと抱きしめたのです。
「ところでシンデレラ。あなたが抱えてるそれ、なんですか?」
重い雰囲気を変えようと、女魔法使いが尋ねました。それに気になったのも確かです。
とたんにシンデレラは瞳を輝かせて、楽しそうに風呂敷を広げました。
魔法使い達は中身を見て仰天しました。
「こ……これは……。」
「お城の宝物じゃないですか!?なんてことしてるんですか、あなたはっ!」
「大丈夫よ、証拠を残すなんて間抜けなことしてないし。」
「そう言う問題じゃないですっ!!」
「こんな話の中でもやることは一緒か……。」
彼女らの言葉などシンデレラは全く気にしません。どこ吹く風です。
「言っとくけど、あんた達も共犯だからね。あたしの逃亡に手を貸したんだし。」
魔法使い達は呆れるやら嘆くやら。しかし知らなかったとはいえ、やってしまったことはどうしようもありません。
その時、ふと、男魔法使いが気づきました。
「おい。おまえ、靴はどうした。」
シンデレラは自分の足を見ました。ガラスの靴は片方しか履いていません。
「あ゛……そーいえば……あのとき落としたんだったぁぁぁぁっっ!!」
その場の空気が一瞬にして凍り付きました。シンデレラの顔がどんどん蒼白になっていきます。
何とも言えない雰囲気が漂いました。
すると、男魔法使いは突然、何事もなかったかのように言いました。
「帰るぞ、アメリア。」
「え?……あ、はい!ゼルガディスさん!
それではシンデレラ、お元気でっ!!」
「へ?あ、こら!ゼル!アメリア!逃げるなぁぁっ!!」
シンデレラが気づいたときにはすでに、彼らはどこかに消え去っていました。
シンデレラはしばらく呆然としていましたが、はたと我に返りました。
このままだと、シンデレラは確実に捕まってしまいます。
シンデレラは風呂敷の端を握りました。
そして、決意しました。それはズバリ。

夜逃げ。

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

えっと、感想&苦情のレス、待ってます…。

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3144はじめまして♪Yu-ko URL6/9-14:44
記事番号3139へのコメント

羅紗さん、はじめまして♪Yu-koと申します。
ずっと楽しく読ませていただいてます♪
夜逃げするシンデレラ。。。素敵です。
あんまり感想になってない気もしますが、この辺で。
それでは。Yu-koでした♪

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3145こちらこそ…。羅紗 6/9-17:28
記事番号3144へのコメント

感想、ありがとうございます!
そうです。夜逃げしました。
とんでもないシンデレラです(^^;
続き、書きました。最後まで楽しんでくださいな。

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3146シンデレラ7羅紗 6/9-17:31
記事番号3117へのコメント

はい!続きです!!

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

ガラスの靴は窃盗犯の重要な証拠品として、国中の娘達に試されました。
しかしなかなか成果が上がらないのが現状です。
そして王子には、婚約者が出来てしまいました。
娘の名はシルフィールといいました。そう、シンデレラのまま姉です。
原因不明の昏睡状態に陥っていたところを、傷心の王子が見つけ、助けたのです。
シルフィールのその美しさ、礼儀正しさに国王夫妻はいたく感銘を受けました。
シルフィールも王子にすぐ心を奪われてしまいました。話はトントン拍子に進み、来週の半ばには婚約式まで控えています。
「美男美女がそろって、さぞ絵になるだろうよ。」
御者台に座るおじさんが言いました。そしてお金を受け取ると、来た道を戻っていきました。
「婚約……ね。」
ちりりと胸に痛みが走りましたが、娘は無視して歩き始めました。
彼女の格好は長旅用のしっかりしたものです。かっぱらった財宝を売りさばいて資金にしたのです。
娘はその街のある酒場に入りました。
「おっちゃん、ビール一つっ!」
マスターは愛想良くうなずきました。
「いけないなぁ、お嬢ちゃんがこんなところで独りだなんて。お兄ちゃん達がエスコートしてやるよ。」
娘が振り返ると、お兄ちゃんと言うより、おじさんといった方がいいような酔っぱらいが三人ほど立っていました。
みんな口元に下品な笑みを浮かべています。
「わるいけど、あたし。あんたみたいな酔っぱらいの相手するほど暇じゃないの。」
娘はそう言うと彼らを無視して運ばれてきたビールを受け取りました。
「なんだとこのアマ!」
「人が下手にでりゃつけあがりやがってっ!」
(いつ出た、いつ。)
娘はこっそり胸の中でつっこみました。
とにかく、酔っぱらい達は小娘に軽くあしらわれたのでいきり立ちました。
いくら大胆不敵・電光石火を売り物にした娘でも大の男三人では少々辛いものがあります。
どうする!娘!!─その時。
「大の男が三人で女の子一人、相手するもんじゃないぜ。」
カウンターの端から若い男の声がしました。娘はその姿を見て、目を丸くしました。
「なんだぁ、兄ちゃん。やろうってのか?」
酔っぱらい達の矛先が若い男に向けられます。若い男は金髪碧眼の顔で笑いました。
「な?嬢ちゃん。」
「このやろう!!」
酔っぱらいの一人が若い男に突っかかりました。若い男はそのこぶしを難なくかわし、逆に足を引っかけました。
派手な音がし、それを合図に乱闘が始まりました。
若い男は三人の相手を楽にこなしていました。相手が酔っぱらっていたのも原因の一つですが、それ以上に彼自身の強さからでした。
さすが、野生のカンの持ち主です。
「くっそぉ……。」
やられっぱなしの男達の一人は、ついにナイフまで取り出しました。
そして完全にギャラリーの一人となっていた当事者の娘をつかまえてなんと人質にしたのです。
しかし、彼女を人質にとって何を要求するつもりなのでしょう。
「こいつの命が惜しかったら……。」
「ちょっと、なにすんのよっ!あたしには関係ないでしょっ!?」
「うそつけっ!いいからおとなしくしろ!こいつの命……。」
男は皆まで言えませんでした。なぜなら、娘の首もとにつきつけていたナイフを握っていた手に鋭い痛みを感じたのです。
思わずナイフを落とした次の瞬間に、今度は彼自身の首もとにひんやりとしたモノが突きつけられていました。
その延長線上には、若い男がいました。彼は片方の足で床に落ちたナイフを踏みつけています。
あまりの手際の良さに、ほかの二人は何も出来ません。
彼は剣を握りなおして、言いました。
「その子を放してやれ。」
男は素直に従いました。人間、長いものには巻かれろ、です。
若い男は娘を近くに引き寄せてから剣をおろしました。
酔っぱらい達は這々の体で酒場を出てゆきました。
周囲から喝采があがります。その中から、娘はぐいぐいとその若い男を連れ出しました。

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
連続でアップします!
次、最終回です!

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3147シンデレラ8羅紗 6/9-17:34
記事番号3117へのコメント

「あんた、こんなところで何やってんのよっ!」
娘はその若い男を問いだたしました。
「あんた腐っても王子様でしょ!?しかも婚約式も間近だってのにどこほっつき歩いてんのっ!!」
「ここ。」
「やかましいっ!いいからさっさとお城に帰んなさいっ!!」
「いや、オレは帰らない。」
その語尾の強さに娘はびっくりしました。まじまじとその男─王子を見ます。
「元々宮廷暮らしってのは性に合わなくてな。結構退屈だったんだ。
そんなときにおまえさんが来て、なんかめちゃくちゃなことをして、だけど楽しくて、そんな生活を毎日送りたいなーって。
だから王宮を出てきた。もう二度と戻るつもりはない。」
「そんな……だって毎日楽に暮らせるじゃない!それに……世継ぎとか……。」
「ああ、世継ぎは心配ない。オレに腹違いの弟がいるし。
それにな、おまえさんは檻の中で毎日楽に暮らすのは好きか?」
王子の瞳がきらりと光りました。
「オレはそんな生活はイヤだ。もっと刺激とかがほしい。
少なくともおまえさんと一緒にいれば刺激が足らなくなるようなことはないだろう?」
娘はしばらく呆気にとられていましたが、やがて満面の笑みを浮かべました。
王子も一緒に笑いました。
「よっしゃっ!それなら早速ご飯でも食べましょうか。こんばんはあたしがおごるわ。」
「ををををっ!
いや、なんか裏がありそうだから、いい……。」
「どーゆーいみよ。
それに心配しなくてもあたしがおごるのは一品だけ。」
「あ……そう………そーいえば、おまえさん、なんて呼べばいいんだっけ?」
「あんたはっ!……と言っても、そーね……『シンデレラ』じゃなんだし、第一あんたが覚えられるわけないもんね。
『リナ』でいいわよ、王子様。」
「……なんか違和感がするな。『ガウリイ』でいい。」
「はいはい、じゃあ、ガウリイ。行くわよ!」

こうして「灰かぶり」を捨てた娘と「王子様」を捨てた男は仲良く路地裏を歩いていきましたとさ。

end

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

えっと、いかがでしたでしょうか?
感想・苦情等々待っています!
それでは、羅紗でした。

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3148読みましたよ〜6/9-18:33
記事番号3147へのコメント

お疲れさまでした!
いいですねぇ、らぶらぶです。
路地裏を歩いていく二人・・・ふふふ・・光景が目に浮かびます。
短いけれどこの辺で。
またお話読ませて下さいね♪


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3153読まれましたか羅紗 6/10-08:58
記事番号3148へのコメント

ラブラブですか?…確かに最後の方はそーかも。
感想、ありがとうございます♪
また何か投稿するかもしれないので、その時はよろしく♪

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3160Re:ガウリイ王子・・・V風和 E-mail URL6/11-05:18
記事番号3147へのコメント

どぉもこんにちわ。
はじめまして・・・ですよね?
風和というものです。
 いちおう『シンデレラ』が終了されたよぉなので感想かかせていただきます。
・・・いままでずっと読んでたくせにずっと読み逃げ・・・(最低)

>「あんた腐っても王子様でしょ!?しかも婚約式も間近だってのにどこほっつき歩いてんのっ!!」
>「ここ。」
あはははっVV
 ガウリイ王子ってばナイスボケっ!

>それにな、おまえさんは檻の中で毎日楽に暮らすのは好きか?」
嫌い。絶対イヤ。
 ふっ!僕は自由を求める女なのさッ!!

>いや、なんか裏がありそうだから、いい……。」
・・・恐れちょる恐れちょる。


>こうして「灰かぶり」を捨てた娘と「王子様」を捨てた男は仲良く路地裏を歩いていきましたとさ。
あっ!!
 いーですねぇこの終わりかたっ!!
すっごくかっこいくてかわいいですぅっ!!

>end
>
>=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
>
>えっと、いかがでしたでしょうか?
>感想・苦情等々待っています!
>それでは、羅紗でした。
すてきでしたねぇ・・・
 ガウリイ王子・・・VVV’(それかい)
魔法使い2人組も素敵でした(笑)
 なにはともあれお疲れ様でしたV
次回作たのしみにしてますっ!!
 それでは、短くてわけわかんない感想で申し訳有りませんでした。
風和でした。






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3162初めまして!羅紗 6/11-10:57
記事番号3160へのコメント

>どぉもこんにちわ。
>はじめまして・・・ですよね?

はい、初めましてです。新参者です。

>風和というものです。
> いちおう『シンデレラ』が終了されたよぉなので感想かかせていただきます。
>・・・いままでずっと読んでたくせにずっと読み逃げ・・・(最低)

いえ、もう感想頂いただけで…。

>>「あんた腐っても王子様でしょ!?しかも婚約式も間近だってのにどこほっつき歩いてんのっ!!」
>>「ここ。」
>あはははっVV
> ガウリイ王子ってばナイスボケっ!

自分で書いてて笑ってました。

>>それにな、おまえさんは檻の中で毎日楽に暮らすのは好きか?」
>嫌い。絶対イヤ。
> ふっ!僕は自由を求める女なのさッ!!

このセリフ、ふっと出てきたんですよ。もしかしてリナと旅を始めた理由もこうなのかなぁって。

>>いや、なんか裏がありそうだから、いい……。」
>・・・恐れちょる恐れちょる。

ただより高いものはない♪

>>こうして「灰かぶり」を捨てた娘と「王子様」を捨てた男は仲良く路地裏を歩いていきましたとさ。
>あっ!!
> いーですねぇこの終わりかたっ!!
>すっごくかっこいくてかわいいですぅっ!!

ありがとうございます。スレイヤーズらしくなったでしょうか?

>>えっと、いかがでしたでしょうか?
>>感想・苦情等々待っています!
>>それでは、羅紗でした。
>すてきでしたねぇ・・・
> ガウリイ王子・・・VVV’(それかい)
>魔法使い2人組も素敵でした(笑)
> なにはともあれお疲れ様でしたV
>次回作たのしみにしてますっ!!

実は次回作もあがっていたりします……。
次はゼルアメになりそうです。
それでは。

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3179完結おめでと〜♪ございます。Yu-ko URL6/12-13:53
記事番号3147へのコメント

羅紗さんこんにちは〜。Yu-koです。
「シンデレラ」無事完結、おめでとうございますぅ〜。
とっても楽しませていただきました。
次回作、期待してます。
それでは、短いですがこの辺で。Yu-koでした。

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3180ありがと〜ございます♪羅紗 6/12-14:42
記事番号3179へのコメント

はい、無事完結しました。
次回作はこのツリーが落ちた頃に投稿しよーかな、と。
また長いです。
でもって、ギャグが二割減(当社比)です。
それでは♪