◆−昔の短編をまとめてお届けー☆−一姫都(8/3-20:38)No.3805 ┣思い人・思う人−一姫都(8/3-20:41)No.3806 ┣+−の距離−一姫都(8/3-20:43)No.3807 ┗強く儚い者たち−一姫都(8/3-20:45)No.3808
3805 | 昔の短編をまとめてお届けー☆ | 一姫都 E-mail | 8/3-20:38 |
どもども、一姫都です。 結構前にこちらにお世話になっていて、最近1のほうに出現させて いただいてます☆ 昔の短編がごろごろっと出てきたので、せっかくだから・・・と思い、 こうして投稿させていただきましたっ もしお暇であればよんでくださいな。 あ、あと今1の方に、「フェアリーティルの子守唄」を、再々掲示させて いただいております。 まったくのゼロリナ作品デス。 その上、100ページもございます・・・たはは。 けど、読んで損なし!!(の・・・ハズ・・・汗)なので、お時間と根性のおありの 方は読んでやってくださいね(はぁと) ではでは。 |
3806 | 思い人・思う人 | 一姫都 E-mail | 8/3-20:41 |
記事番号3805へのコメント 思い人・思う人 いつも 目で追ってしまう人がいる 気がつくと 探してしまっている そんな人がいる 人で溢れ返ったその路地を、リナとガウリィは歩いていた。 ――いや、前に進もうと賢明にもがいていた。 それぐらい、今日の人の出と言えば半端なものではなく、そしてそれはこの祭りがこの街でも、特に盛大な物であるという事を証明していた。 「あああっっ、もうっっ、なんでこんなに人が多いのよっっっ」 苛立ちを押さえきれずに、リナは叫んだ。 「しょ、しょーがないだろう。今日は盛大な祭り事みたいだから…とっとっっ」 押し寄せる人の波に、足を取られそうになり、あわてて体勢を立て直すガウリィ。 それでも、この人の多さといったら……… あまりの人の多さに酔ってしまいそうである。 路地の両脇には、数百とも言える露店がひしめき合い、各々商売に勤しんでいる。 「おっ、リナっっクラゲスープだってよっっ、食ってみよーーぜっっ」 「共食いしてどーするっ」 言ったその時には、もうすでに彼は走り出していた。 やれやれ……。あの元気はどこから生まれてくるんだか……。 露店へ向かうガウリィを一回確認して、あたしは辺りを見回した。ずっとこの人混みの中にいたせいで すこぶる気分が悪い。どこか、腰かけることの出来る場所は無いのだろうか……。 「…っっ」 リナは息をのんだ。 見回した、人混みの果てに、思いがけない人物を見たからである…… 「ゼ…ロス?」 闇の法衣を身にまとい、その人物は、流れるようにいともたやすく、その人混みをすり抜けていった。 っ……まってっ……… 呪文を唱え、空へ飛び出そうとした、その瞬間。 「どうした、リナ?」 「……え、……ああ」 片手にスープを持ち、それをこぼさないようにと、慎重に歩いてくるガウリィ。 「……なんでもない」 何かの拍子に ふと思い出してしまう 面影を 探し求めている そんな人がいる 「姫っっ、もうそろそろ…お戻りにならないと…」 「はぁーいっっ、けど、クレープ食べたら…でいい?」 可愛らしく、静かにそう切り出したアメリアに、しょうがない…といった顔で呟くばあや。 「…それだけですよっ」 「わーーいっっ」 その言葉に、人混みなど気にもならない様子で、ちょこまかと動き、店へと駆け出すアメリア。 「姫っっ、おまちくださいいっっっ」 置いて行かれまいと、賢明に追いかけてくるばあや。 うーん…まってても大丈夫なのにぃ…。 しかし…、ばあやの心配性にも困ったものね。 アメリアがこの国へ着いたのは、昨日の夕刻過ぎの事であった。長旅の疲れで、国王の話しなどろくに耳に入っていなかったが、それでも、明日盛大な祭りが行われるという事だけは、事前調査済みだった。とりあえず、その日はすぐさま就寝し、明日を待った。 朝が来て、まってましたとばかりに、城を抜け出そうとした、その瞬間…… ばあやに見つかってしまったのである。 それでも、なんとか口説き倒し、今日半日だけ、この祭りに参加することを許されたのである。 ただし、ばあやを同行させる…という条件付き…で。 「あ、クレープ発見っっっ」 店の前に立ち、数種類あるクレープの中から、二つを選びだす。 「うー…んと………」 「おじょーさんっっ」 ふいに声を掛けられ、そちらへと視線を向ける。 それは、隣の店…と、いえるのだろうか? なにやら、椅子が一つと数種類の絵と、使い込まれた画材があるだけの似顔絵屋だった。 「どうっっ、お嬢さん、かわいいから半額にしちゃうよっっ」 「え…いやー、せっかくだけど時間ないんです…………っっ!」 ふいに向けた視線の先に、思いがけない人物の肖像画を見つけた。 「これ……」 「ああ、それね。 さっきそこにいた人なんだ。なんか、妙に頭に残る人でねー。なかなか美形だろう」 「……そうですね」 言って、笑みを漏らすアメリア。 そこに描かれていたのは、かつて自分と一緒に旅をしていた、一人の男。 「ゼルガディスさん…、変わってない…なあ……」 いつも 目で追ってしまう人がいる 気がつくと 探してしまっている人がいる 何かの拍子に ふと思い出してしまう 面影を 探し求めている そんな…人がいる END なかなかテンポよく書けた作品でした。 ゼロリナゼロリナーーーーーーーーー!!! ってかんじで意気込んでたとおもいます(笑) けどこの感じってトライの最初のほうに似てますねぇ。 その前に書いたのに・・・・・ううむ。 |
3807 | +−の距離 | 一姫都 E-mail | 8/3-20:43 |
記事番号3805へのコメント +−の距離 わたしはあなたの何でしょう 恋人でしょうか 親友でしょうか それとも 他人なのですか? と、ある昼下がりの午後。あたし達は依頼を受けたその街で、遅い昼食をとっていた。 「ふーん。じゃあ…ほっちの図書館には、 あてひなる情報はなはったのね、ゼル」 口にめいっぱいの、パスタやらサラダやらを詰めているせいで、リナの言葉は、 とっても聴きずらい。 「まあな」 「ふーん…じゃあ、これからどうしようか? アメリア」 「そうですねえ…」 デザートのプリンを口に運びつつ、 考える素振りをするあたし。 「とりあえずまた二組に分かれて、今度は街の人に、聞き込みでもしてみましょうか」 「オッケイ」 「じゃあ、集合場所は…」 言おうとした瞬間、 どんっっっっ 「あきゃっっっ」 「あっごめんなさい」 旅の剣士らしい男が、勢いよくぶつかり、あたしはいすから滑りおちる。 「大丈夫か!?」 誰よりも先に、ゼルガディスさんが声を上げる。 「だ…だいじょうぶです」 あたしはゆっくりと立ち上がり、再びいすに座る。 「痛いところは?」 「ない…です」 「なら、いい」 ゼルガティスさんとあたしの会話を、目でおい、意味ありげな顔をするリナ。 …なんだろう。 「やけに心配するじゃない、ゼル」 「………」 コーヒーを口に運び、目を閉じ、無反応のゼルガディスさん。 「答えはなし…か。まあいいわ。 とりあえず、あたしとアメリア、ガウリィとゼルガディスの二組に分かれて、聞き込み、開始しましょう。」 「わかった」 「よかったんですか? りなさん」 「何が?」 聞き込みも一段落し、噴水の前のベンチで一休みしているあたし達。 「いや、だってリナさんは、ガウリィさんと一緒じゃないと…」 「はあ?」 あたしの言葉に、首を傾け、眉を潜めるリナさん。 「え、だって…」 「…あ、はいはいはいはい。 解った、解った。」 何が解ったんだか、リナさんは首を数回縦に振る。 「あいつはあたしの自称保護者。 それ以上でも、それ以下でもないわよ」 「…でも」 「それより、アメリアはどうなのよ」 「はい?」 「ゼルガディスと、一緒じゃなくってよかったの?」 「なっ…!」 リナさんは、からかうようにこっちを見る。 そんなんじゃないですってばぁ…。 「あたしと…ゼルガディスさんは、 兄と妹みたいなもんです」 「…兄と妹ぉ?」 納得いかないって顔で、聞き返すリナさん。 「そうです。…きっと」 「ふーん…」 「なんですか、その顔は…」 「べっつにぃっ」 うう…なんだかなあ。 「ゼルがディスさんも、きっとそう思ってますよ」 「そうね。」 「え…ってまさか、リナさんっっ!?」 「…きいちゃった、昨日。 アメリアがさっき言ったのと、同じ答えだったわ」 …ふむむ。 「ショック?」 「え!? そんなことないです…」 そう言って、笑顔を取り繕うあたし。 「…アメリアのいいところは、思ってることがすぐ顔に出る事よね」 「へ…?」 「今も、がっかりした顔してるわよ」 「なっっ、そんなことっっ」 「…嘘よ。」 「え?」 何が嘘なんだろう…。 「ゼルがディスには、なんにも聞いてないわ。 だから、ゼルがディスがアメリアのこと、妹と思ってるかは知らない」 「なっっっ」 ……はめられた。 「いやー、ごめんごめん。 ただ、あんまりにもじれったいからさあ。 好きなんでしょう? ゼルのこと」 「…そ、そんなこと……」 「まーまー、 これは、あたしの独り言と思って聞いてちょうだい」 そう言って、手をぱたぱたと振るリナさん。 …そ、そんなこと言われても……。 「このままでいいのか、旦那」 ふとゼルの漏らした言葉に、訳が分からず問い返すガウリィ。 「なにがだ?」 「………お前さんから動き出さなきゃ あいつは一生気が付かないかも知れないぞ」 「…………あーーーー、 それの事か」 何かに納得したように、首を縦に振るガウリィ。 「いいんだよ。 俺はあいつの保護者だからな」 「……そんな事を言ってると いつか誰かに取られるかもしれないぜ」 「例えば?」 「………さあな・・」 意味ありげに笑みを漏らし、ゆっくり歩き出すゼル。 「……まだ、保護者でいいんだよ」 「……?」 小さく呟かれたその言葉に足を止め、振り返るゼル。 「……曖昧な関係のままで」 「…………そうだな そういう作戦も…有りだな……」 けどな………、 それもあまり長い間やってるんなら…… 「本当に……、取っちまうぞ………」 この世で一番楽しいゲーム 時と 頃合いと 運命の…… すべてを掴むその日まで… ―― +−のこの距離で……―― * END * ………なんか、みんな若いぞ! あたしの小説の一番欠けているものって、こーゆーのなんじゃないかしらん…? 熱血とか。青春とか…(うっとり) 久々に読んだらこれ結構面白い(笑) アメリアちゃんがとっても可愛いしぃっっっっ アメリアらヴっっ!!! |
3808 | 強く儚い者たち | 一姫都 E-mail | 8/3-20:45 |
記事番号3805へのコメント 強く儚い者たち 「いつの世も…、強いのは女性ですね」 その神官風の男の、気まぐれ程度に呟かれた言葉に、みな、一様に強い興味を示した。 「…なかなか頷ける言葉だな」 「同感」 宿の一室、テーブルに着いていたのは全部で4人。皆が皆、男である。 約一名だけ性別を表せないものもいたが、容姿だけを取れば男という事になるのであろう。 「うちのは…まあ、文句なしに強いな」 そう、重たしげに呟いたのは、マルチナを今回妻に娶ったザングルスである。 ゼロスが、少し間を置いて呟いた。 「いろんな意味で強い人ですよね、良くも悪くも」 「まぁ、そこがいいんだけどな」 「いい…のか?」 ゼルのつっこみなど気にもしない様子で、話しを続けるザングルス。 「あと、あの黒髪のお姫さん。 あの子は…本当の意味で強いんだろうなあ」 言って自分で頷きながら、皆に同意を求める。 「だ、そうですよ、ゼルガディスさん?」 「なぜ俺に振るっっ」 ゼロスにつっこまれ、即座に言い返すゼル。いまさら遅いが、その声は自分でも思ったより動揺を示したものだったかもしれない、と、ゼルは思った。 「いえ…別に」 何故か笑みを含んだ顔で、さらりと答えるゼロス。その言葉と態度が、自分の気持ちを見透かされたように思えて、ゼルはふいっと顔を背けた。 「やれやれ…」 「なあ…」 「なんですか、ガウリィさん?」 今の今まで、存在を忘れそうになる位話に参加していなかった彼が、おもむろに口を開いた。 「リナって…強いのか?」 その言葉に、頭を軽く押さえるようにして、呟くゼル。 「あいつが弱かったら、この世界は雑魚の集まりだな」 軽くあいづちをうち、それにまた付け加えるザングルス。 「強い…つーか、無敵?」 ゼロスだけは、何故か納得もせず、否定もせずに、その話を聞いていた。 興味をひいたのは、リナの強弱よりもむしろ、ガウリィの今の質問のほうであったようである。 「うーん…、そうかあ……」 「納得いきませんか?」 ゼロスの言葉に、やや考えながら、言葉に詰まったように口を動かすガウリィ。 「う…んゃ…、…なんつーか………」 腕を組み、答えを導きだそうとしているガウリィに、再びゼロスが声を掛ける。 「リナさんは…強くない…、と?」 「いや、そうじゃないんだ…。あいつは現に死ぬ程強いしな。 ただ………」 「ただ?」 興味深そうに、ガウリィの答えを待つゼロス。 「ただ…… 強い時と、弱い時が…、あると思うから……さ」 その言葉に、諭すようにして呟くゼル。 「そりゃあそうだろ。人間、いつでも強く…なんていられないものだからな」 「それをいったら、女も男もそうだしな」 「いや…て、いうかさ」 まだ、自分の思いを十分に言葉に出来ていないのか、眉を潜め再び何かを考え出すガウリィ。 「……彼女達…つまり女性ですが、強いのは何故だと思いますか?」 その話題をうち消すかのように、質問を促すゼロス。 しかし、考え込んでいるガウリィを抜かして二人とも、この提議に興味を持ったらしい。 「…さあなぁ…」 「昔からきまってる…とか?」 ゼロスは静かに首を振り、おもむろに否定した。 「それは、彼女達が、母親になるからですよ」 あたりまえといえばあたりまえのその言葉に、しかし、誰もが皆、やや納得していない様子だった。ゼロスは言葉を続ける。 「母親…つまり、その子供にとっては唯一無二の絶対服従の存在。 そして永遠に尊敬すべきもの。 いや、近頃は少ないかもしれませんがね、少なくとも、 母親っていうのはそれだけの力があると、いうわけです。 だから、その分強くなければいけない。 尊敬されるように、子供を育てるために」 ――子供を、そして周りのすべての者を守れるように。 「だから…強いか」 「慈母の力ですね。尊び、慈しむ」 そして、弱い者だと。 「お見受けしたところ、リナさんは慈母の力が強いようですし」 「…どこがだ?」 思いっきりジト目でゼロスを見やるザングルス。 ぽりぽりと頭をかき、なんとなしに呟くガウリィ。 「ふーん」 「なにがー?」 「うひゃあ!?」 ふいに耳元で囁かれた言葉に、ガウリィは一瞬体を動かした。 「あー、びっくりした」 「ねー、なにがつよいのー」 それは、先程までここに居ることの無かったリナが、ふいに現れたための驚きであった。 その後についで、ぞくぞくと部屋に入ってくる。 見ると、リナを含める女性達はみな頬をうっすらと紅色にそめ、髪を水滴でしたためていた。 どうやらお風呂に入っていたらしい。 「ねーねー、何が強いのよーっっっっ」 ガウリィの首を掴み、前後に揺らしながら無理矢理聞き出そうとするリナ。 その、ごくごくあたりまえの光景に、なにか嫌なものがこみ上げてくるのを感じたゼロス。 そして、自分でも気付かないうちに、そう呟いた。 「おしえてあげますよ、リナさん」 後ろを振り向けば、いつのまにかリナの隣へ立っているゼロス。 いつも通りの笑みを浮かべつつ、静かに口を動かす。 「なぁに?」 「リナさんは、いいお嫁さんになりますね…って話しですよ」 「はぁ?」 考えていたことから遠すぎた答えに、リナは一瞬呆然とした。 「そんな事を? 男ばっか4人で? 語り合ってたっつーーーーーワケ!?」 「そうだっけ?」 「違うだろ。まったく」 ザングルスとゼルのつっこみが見事にハモる。 他の女性達も、何だか不思議そうな顔でこちらを見ている。 「…でもまあ、だからこそ想うんだな」 「まあなあ」 そう、この者たちを。 愛しいと、守りたいと。 この、強く儚いものたちを。 END この四人が雑談する光景、可愛い!! とかおもいつつ書いたとおもいます…。無謀な…。 やきもちゼロちゅがかあいいっっ(はぁと) |