◆−スクール・フェスティバル=ゼロフィリ学園物語番外編=−葵 芹香(9/16-00:34)No.4317 ┣かっくいい〜v−大原 支矢(9/17-15:18)No.4334 ┃┗えへvどうもです。−葵 芹香(9/18-22:43)NEWNo.4347 ┣Re:学園祭〜っv−日和夕那(9/17-19:18)No.4336 ┃┗学園祭も過ぎて。−葵 芹香(9/18-22:33)NEWNo.4346 ┣男は甲斐性!!−アガサ(9/17-22:07)No.4338 ┃┗ナイトの称号。−葵 芹香(9/18-23:00)NEWNo.4348 ┗うん、長いお話でしたね。−珠捕ヶ 九音(9/19-23:39)NEWNo.4358 ┗そう、気付くと長かったんですね。−葵 芹香(9/20-00:33)NEWNo.4359
4317 | スクール・フェスティバル=ゼロフィリ学園物語番外編= | 葵 芹香 E-mail URL | 9/16-00:34 |
どうも、葵芹香です。 さんざん言ってきたゼロフィリ学園祭編です。 乗りに乗って書いてたら(笑)、こんなに長くなっちゃいました。 自分の中で最長記録?たぶん。 それでは、本編へ♪ ===================================== 『スクール・フェスティバル』 ドーンドーンドーン… 澄み渡った秋空に、花火の音が響き渡る。そう、今日・明日はスレイヤーズ学園の学園祭なのだ。 「フィリアさ〜ん!!」 自分の名を呼ばれたこの学園の生徒会長は美しいブロンドヘアを揺らしながら振り向く。 「あ、アメリアさん!」 嬉しそうに駆け寄ってくる黒髪の少女。 「いい天気になってよかったですねっ♪寒くないし、かといって暑くもないし。」 「そうですね。明日もこのままだといいんですけど…あら、アメリアさんの浴衣は花火の柄?」 そうフィリアに聞かれた彼女はクルリ、と一回りしてみせ、 「そうなんですv黄色地に花火は合わないかな、と思ったんですけど。」 アメリアが着ていた浴衣はオレンジがかった黄色で、裾のほうで鮮やかな花火が上がっていた。 「そんなことないです、すごく合ってますよv」 「ありがとうございます♪フィリアさんのも綺麗ですぅ〜v」 フィリアの浴衣はオーソドックスな藍色で、大輪の百合の花が咲き誇っていた。彼女らが浴衣を着ていたのはやはり、駄菓子屋は浴衣、というイメージがあったからだろうか…クラスの女子全員が浴衣を羽織っていた。 「ちょっと、あ・ん・た・達〜っ、んな喜んでる場合じゃないでしょ〜〜っ。」 そこへずぉぉぉん、と現われたリナ。 「あ、リナさんも似合ってますよv」 リナの浴衣は水色、そこに真っ赤な金魚たちが泳いでいた。 「とーぜんっ!…ってそうじゃなくてっ、あんなことした犯人がまだ見つかってないでしょうがぁぁっ!!」 『あんなこと』とは先日、ライブのための楽譜とMDをグチャグチャにされたこと、である。その後、担任教師から学園祭ライブに参加するバンドを聞き出し、ヴァルの目撃情報に当てはまる人物たちを探し出していったのだが…当てはまりそうな人物が多すぎるのだ。 「大体、茶髪の優男と緑のツンツンヘアな男なんてどこにでもいるじゃない!!」 犯人が特定できず、ヴァルにやつ当たりしたのは昨日のこと。 「まぁまぁ…あれから何もしてきませんし、もう気が済んだのかもしれませんよ?」 「甘いわね、アメリア。ああいうことする輩は絶対次も何か仕掛けてくるのよ。」 「そうなんですか…?」 心配気味にフィリアが尋ねる。 「まぁ、ライブは明日だから今日は平気かもしんないけど…一応、気をつけといてよね。」 「大丈夫ですよ、フィリアさんは僕が護りますしvリナさんもアメリアさんもナイトがいるでしょう?」 ―――… 「…ゼロスせんせぇ……。」 「何です、リナさん。」 「その、いきなり登場するのをやめろ〜〜っ!!」 仮にも担任の首を遠慮なく締め上げる。アメリアが慌てて、 「リナさぁんっ、教師への暴力はよくないですぅ〜っ!」 と止めようとするが、リナは更に腕に力をこめて小声で囁く。 「それに普通、教師って生徒全員を護るとかって言わない?」 「僕はフィリアさんが無事なら他のことなんて知ったこっちゃないですねっ!……あぁ、ちょっと苦しくなってきたかも……。」 ようやく解放されたゼロスだったが、視線をふとフィリアにやるといつの間にか現われていたヴァルと楽しそうに話しているのが目に映った。 「浴衣…綺麗だな……。」 「ありがとうございますvヴァルさんもハッピが似合ってますよ♪」 たわいない会話…だが彼には許せなかった、今ヴァルが口にした言葉は自分が一番に言うはずの台詞だったから。…だから、 「今更出てきても、フィリアさんのナイト役は僕がキープしたんですからねっ、ヴァル君?」 彼女を後ろから抱きしめ、敵意ムキだしでヴァルを睨む。 「ナイト役って何だよ…。それから毎回言ってるが…いっつもフィリアに抱き付いてんじゃねぇぇっ!!」 またいつものように口ゲンカが始まるか、と思いきや。 「ヴァルーッ!こっち手伝ってくれーっ!!」 クラスメートからの声がかかり、チッと舌打ちして教室へ入っていく。 邪魔者がいなくなったところでゼロスは抱きしめていたフィリアを自分の方に向かせ、本当は一番に言いたかった言葉を告げる。 「フィリアさん…その浴衣、すごく似合ってますよ…。」 かぁぁっ… あっという間に真っ赤に染まるフィリアの頬。ヴァルに言われた時は何ともなかったのに、どうしてこの人に言われるといつもこうなってしまうんだろう。 「あっ、あ、ありがとう…ございます……ゼロスッ、先生…も…」 「はい?」 さっきは簡単に言えたのに、なかなかその短い台詞が出てこない。彼が着ているのは深緑…よりはカーキ色に近い、横縞模様のはいったった浴衣で、紫の髪とのコントラストも相成って、よく似合っていた。フィリアはやっとのことで、 「その浴衣、とっても似合って…ます……。」 朱に染まった頬で上目遣いに自分を見る少女に、たまらない愛おしさを感じたゼロス。 (ああ…浴衣持っててよかった……。) 「はーい、いいところで悪いんだけど〜。」 リナとアメリアは、ジーンときてるゼロスと赤くなってるフィリアの間に割って入り、 「私達もう店番終わりましたから、これからガウリィさんとゼルガディスさんが出る(脅して出させた)、女装コンテストを見に行くんです。もちろんフィリアさんも行くんですけど…ゼロス先生はどうするんですか?」 「あ、僕もそれに参加してるんで、会場まで一緒に行きますv」 「「はぁぁっ?!」」 「チャイナドレスでして…結構似合ってると思うんですけど?」 自分で似合ってると言うあたりがふてぶてしい…。 「先生メチャメチャ乗り気…。」 「ゼルガディスさん達は嫌々だったのに…。」 「頑張ってください、ゼロス先生…。」 最初の2人のつぶやきは耳に入らなかったらしく、フィリアの声にだけ反応する。 「フィリアさん…僕頑張ります、応援しててくださいねっ!」 しっかり手を握って見詰め合う。 「おーい、人の話聞いてるかー?」 どうやらリナの呼びかけも聞こえてないらしかった。 ちなみに、コンテストはガウリィとゼルガディス、ゼロスがかなり競り合ったのだが、まだとりあえずフリーのゼロス先生が女子生徒の票を多く獲得して優勝した。 クラス出店の駄菓子屋の方も好評のようで、ひっきりなしに人が出入りしていた。宣伝効果も兼ねてわたあめを食べながら歩いていたリナ達は、ふと気付いてある店(教室)に入った。 「何のお店ですか?」 フィリアがリナに尋ねると、オリジナルのデザインをTシャツに施して売ってくれる店だった。 「ここで同じデザインのTシャツ5枚作ってさ、明日のライブにみんなで着ない?」 「お、いいなぁ。どんなデザインにするんだ?」 「カッコよくて正義感溢れるのがいいですぅ〜!」 「カッコイイはともかく、正義感溢れるは絶対却下されるぞ、アメリア…。」 キャイキャイ騒いでいる4人の後ろで、ゼロスがフィリアに耳打ちする。 「フィリアさん、リナさん達には…もちろんヴァルにも内緒でおそろいのペアTシャツ作りません?」 「え……えっ?」 「モチロン、僕と貴女の。」 「ええぇぇぇっ?!」 「お嫌ですか?」 「ヤ…じゃないですけど……。」 いくら鈍いフィリアにだってそれくらいの知識はある、『ペア』と名のつくものは大抵、恋人やごく親密な仲の者同士が身につけるものであると。 「でも、私でいいんですか…?」 「貴女が、いいんです。」 再び真っ赤になって俯いてしまうフィリア。ゼロスは微笑みながら見つめていた…が。 「ゼ・ロ・ス・ちゃ〜ん…何ドサクサに紛れてフィリア口説いてんのかしら〜?」 「リナさんっ!いいじゃないですか、僕は本…」 「で、デザイン案がこんな感じになったんだけどフィリア、いい?」 「ああ、いいんじゃないでしょうか、カッコイイし、可愛いしv」 「んじゃオッケーね。すいませ〜ん、このデザインをさっき言ったサイズで5枚お願いしま〜すっ!!」 本気なのに〜〜っ!…言おうとした言葉は口から出る機会を失い、担任教師は静かに涙するのだった。 何はともあれ、学園祭1日目は無事に終了していくのだった…。 2日目、一般公開日―― この日もよく晴れ渡った秋空が広がっていた。一般公開で外来客が多いものだから、フィリア達の駄菓子屋も忙しさ2倍増しだった。 学園祭ライブは午後からの予定なので、リナ達は店番を午前中に終わすことにした。 「ったくガウリィったら少しぐらい手伝ったっていいじゃないよ、も〜っ!!」 そうつぶやくのは、一足先に自分の当番が終わったのでさっさと他を見にいった某クラゲ殿に向けての言葉だった。 「そういってリナさん、ガウリィさん達が当番のとき自分だって手伝ってなかったじゃないですか。」 アメリアがラムネを氷水から取り出しながら。 「だっていろいろ見たかったんだも〜んっ!」 「クスクス…お互い様ですね。」 彼女らが談笑しながら店番をしている頃、ガウリィとゼルガディスは、廊下を歩いていた。とあるポスターの前に男子生徒の人溜まりが出来ていたので、近寄っていってみると、ミス・スレイヤーズ学園にエントリーされている女子生徒達の写真だった。…そして誰が推薦したのか、リナやアメリア、フィリアもエントリーされていた。 「C組のこの娘、可愛くねぇ?」 「でも、こっちの赤い髪の娘もなかなか…」 「やっぱり生徒会長がいいよな…。」 (リナが一番だろっ♪) (アメリアだよな…) 投票こそはしないものの、やはり自分の彼女が一番だと心の中で確認する。 「おい、生徒会長にしておくか…」 「ああ、そうだな…」 (リナだって!) (アメリアだな。) 勝手に心の中でのろけながらその場を去った彼らは気付かなかった、フィリアについて話していた2人組が、例の犯人の容貌にピッタリ当てはまっていることに。 リナ達の駄菓子屋は大盛況中で目も回る忙しさだった。水ヨーヨーの数を増やしたり、わたあめを作ったり、駄菓子を新しく並べたりと、てんてこ舞いだった。 「あー、忙しかったぁ!」 「でも、もう次の当番と交代ですね。」 「そうね。じゃ、そろそろライブの準備しよっか…って、あれ、フィリアは?」 先程まで飲み物を売っていた生徒会長が見当たらない。 「あ、さっきラムネの新しいケースを取りに行きました。」 「そう、じゃあフィリア戻ってきたら先にライブの準備に行ってるって、伝えてくれる〜?」 「うん、わかったー!」 リナ達と入れ替えで当番にやってきたクラスメートにそう告げて、教室を去る2人。そこからが事件の幕開けだった――。 「はい、ラムネの新しいのです。…あら、リナさん達は?」 「先にライブの準備に行ってるって言ってたよ。そろそろ向かったら?」 「はい、わかりました…ありがとう。」 クラスメートからリナ達の伝言を聞き、自分も準備に行こうとしたところに、 「誰かー、倉庫にイスを一脚取りに行ってくれないかー?」 フィリアは教室をグルリ、と見回す。フィリア達が当番のときから引き続き、皆とても忙しそうだった。 「みなさん忙しそう…まだライブまで時間があるし……わかりました、私が行って来まーす!」 誰が頼んだのかは分からないが、そう返事をしてフィリアは裏庭にある倉庫へと足を向けた。彼女もまた気付いていなかった、声の主が同じクラスの生徒のものではなかった、ということに。 ―――… 「えーっと、イスは…折りたたみでいいのかしら?」 倉庫のある場所は校舎の方の賑やかさとは打って変わって、誰もいないひっそりとした所だった。 フィリアは薄暗い倉庫の中に足を一歩踏み入れた。 「イスは…あ、あった。」 ガラガラガラガラ……ガシャンッ! 突然、一つしかない出入り口が勢いよくしまった。 「えっ?!あ、あの中にいるんですけどーっ!!」 彼女の呼びかけにも答えず、ガチャガチャと鍵をかけている音がする。 「あのーっ?!」 ドンドンドンッ、と扉を叩いて外に存在を知らせようとする。 「すいません…」 外から掛けられた声に反応してフィリアは叩くのを止める。 「あなたは誰ですか?ここを開けてくださいっ!私は…」 「すいません会長…ライブが終わるまでここにいてください。」 「ちょっとっ?!」 フィリアの呼びかけも空しく、遠ざかっていく足音。 「どうしましょう…。」 フィリアの焦りと裏腹に、刻々とライブ本番の時間は迫っていた。 ――――… 「フィリア見つかったっ?!」 「それが、どこにもいないんですっ!!」 すでにライブは始まっていると言うのに、一向に現われないフィリアを必死になって探すリナ達。知らぬ間に犯人の罠にはまっている…こうして混乱をさせておいて、実力を発揮できずにライブを終わらせる――フィリアはそのためのターゲットにされたのだった。 「どうです、みなさん準備の方は?」 外来客などがあって、今日初めて彼らの前に姿を見せた担任教師の首をユサユサ揺さぶり、 「あんたがどっかに拉致ったんじゃないでしょうねぇ〜〜っ?!」 「何をです〜〜っ?!」 突然攻撃されて訳の分からないゼロス。アメリアが泣きそうな声で、 「フィリアさんがいなくなっちゃったんですぅ〜〜っ!!」 その言葉を聞いたとたんに顔色を変えるゼロス。 「いなくなったって…いつからっ?!」 「お昼…ライブが始まる前あたりからですぅっ!」 「わかりました…リナさん達のバンドはいつからですかっ?」 足早に扉の方に向かいながら、 「あと30分よっ!!」 「フィリアさんは僕が必ず探して来ます!あなた達は心の準備をしててくださいっ!!」 そう言って部屋から飛び出していった。廊下でヴァルとすれ違う。 「お、おいゼロス?何そんなに急いでんだよっ?」 「…フィリアさんがいなくなりました。」 「何だとおぉ?!」 ヴァルの反応など無視してゼロスは走り去ろうとする。 「ちょっと待てよっ、オレも探すぜっ!!」 遠くなるゼロスの背中に一声かけて、彼とは反対の方向へ向かう。2人とも、フィリアを見つけ出すために。 ――――… 「もう、30分前…。」 窓一つない倉庫の中でフィリアは座りこんでいた。誰もやって来るような気配はない。 (ごめんなさい、みなさん…私行けそうにありません。ああ、やっぱり私の事探してるかしら…。) 何かを考えていないと、自分の状況が嫌というほど身にしみてくる。 薄暗く、狭い倉庫の中…彼女の頬から涙が零れた。 (暗いのは嫌、狭いのは嫌…暗いのも狭いのも恐いの!誰か私を見つけて、ここから連れ出して…。) 「…せ……」 無意識に彼女の口から零れ落ちた名は。 「ゼロスせんせぇ……。」 「―――?」 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 (フィリアさん…?) ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 「フィリアさん…。」 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 「ふっ…え…っ……」 フィリアはすでにパニック寸前だった。閉所恐怖症という魔物は、確実に彼女から平常心を奪っていった。 「暗・いっ、の恐い…っ・・っふ…」 自分がいつからこうなってしまったのかは分からない。けど、恐いものは恐いもので仕方がないのだ。 ドンドンドンドンッ!! 突然、外から扉を激しく叩く音が鳴り響き、フィリアはビクッとなって顔を上げる。 「フィリアさんっ?そこにいるんですかっ?!」 続いて聞き慣れた声が響いてくる…彼女は弱々しく口を開く。 「ゼッ、ロス…せんせっ、い…?」 中から聞こえてくる、か細い…だけど何よりも愛しい声に確信を持つ。 「フィリアさん、離れててくださいっ!」 ドンッ!ドンッ!と体当たりして扉を打ち破ろうとするが、意外にも扉は頑強だった。 「くっ、やはり鍵じゃないと無理か…フィリアさん?」 「は…い……」 「すぐに戻りますから、もうしばらく辛抱できますか?」 「はい…」 消え入りそうな、弱々しい声。今すぐにでも抱きしめたいとゼロスは思ったが、唇を噛み締め、その場を後にした…職員室に、予備の鍵を取りに行くために。 「おいゼロスッ!フィリア見つかったのかっ?!ライブまであと15分だぞっ!」 「裏庭の倉庫ですよっ!!」 すれ違い様にヴァルと言葉を交わす。 「倉庫かよ…わかったっ!」 ほとんどゼロスと入れ違いで倉庫の前に着くヴァル。 「おい、フィリアッ?いるのかっ?!」 「せんせ…い、ゼロス先生・・・?」 「オレだ…ヴァルだよ。ゼロスは鍵を取りに行った、すぐに戻ってくるから…」 「ゼロスッ、先生…、助け…て……。」 目の前にいるのはオレなのに、呼ぶのはアイツ…か。これで自分の気持ちに気付いてないってのはどういうことなんだか…。 「フィリアさんっ!!」 ヴァルが自嘲気味の笑みを浮かべていたところに、ゼロスが鍵を持って戻ってくる。 コイツもコイツで鈍いよな…だから、邪魔のしがいがあるってもんだ。真剣な表情で鍵を開ける担任教師を眺めながら。 やがて扉が開き、外の眩しい光がフィリアに降り注ぐ。 「フィリアさんっ!!」 「フィリアッ!!」 見慣れた教師とクラスメートが自分の名を呼ぶ。フィリアは迷うことなく、担任教師の胸に飛び込んだ。 「フィリアさんっ!」 ゼロスは少し驚きながら、それでもしっかり彼女を抱き止める。 「恐かっ……ふっ…」 カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる。 「――いい加減オレを無視しないで欲しいんだが…。」 横から掛けられた声にゼロスの胸元からバッと飛びのくフィリア。 「あ…ヴァルさん……。」 「いたんですか?」 チッと舌打ちするゼロスを無視して、フィリアに話しかける。 「ライブまであと7分だぞ?」 「きゃあぁぁっ、大変っ!!」 スクッと立ちあがろうとしたが、少しよろめきかけたところをゼロスに支えられる。 「大丈夫ですか?」 「はい…平気です。」 走りながら、いつもの笑顔を浮かべる…がゼロスにはわかっていた、少し無理した笑顔を作っていることを。 「フィリアッ!!」 「遅れてすみません、みなさん!」 「詳しいことは後で聞くとして、行くわよみんなっ!」 「おうっ!」 「フィリアさんっ。」 ゼロスはステージへ向かおうとしているフィリアを呼びとめる。 「絶対大丈夫、なおまじないしてあげますよ。」 「おまじない?」 ええvと微笑むとあっという間にフィリアを引き寄せ、頬に口付けする。 「なっ?!ななななっ…!」 「頑張ってらっしゃいv」 「……はいっ!」 鮮やかな…“本物”の笑顔を浮かべて舞台へ消えていく彼女を見送り。 「さてと…僕は観客席に移りましょうかね。」 そうつぶやいたところで後ろからどす黒いオーラを自分に送る者がいるのに気付く。 「おやどうしました、ヴァル君?」 「てっ、テメェッ!何どさくさに紛れてフィリアにキ…」 「さ〜、早く行かないとフィリアさんの番になっちゃいますよっ!」 「あ、コラ待ちやがれっ!!」 適当に誤魔化してヴァルの追求から逃れ、観客席へ移動する。 ―――I believe again たとえ命が大地に倒れ燃え尽きても 何度でも生まれ変わるよ私の意味を見つけるために――― 彼らがほぼ満席に近い中からようやく空いているイスを見つけて席に着いた時、ちょうどフィリアが歌い始めていた。ゼロス達の姿を見つけると、うれしそうな笑顔を向けて歌っていた。 「何で生徒会長がここに…っ?!」 「そんな、鍵はちゃんと…っ!」 脇の方にいた2人組が、動揺しながら小声で話しているのがゼロスの耳に入った。ちらりと視線を向けると茶髪の優男と緑の髪のツンツン男…。 (やはりあなた達でしたか…。) ギュッと拳を握り締める。それは犯人に対する怒り、犯人像が何となく浮かんではいたものの護りきれなかった自分自身に対する怒り、であった。 ドーンドーンドーン 始まったときと同じように花火が鳴り響き、学園祭が終わりであることを告げた。 ライブは当然のことながらリナ達のバンドが優勝し、理事長からキング・オブ・スレイヤーズの称号と山ほどの記念品をもらって、もう祭りの後片付けも済んだ教室へ戻る。 「…で、あんたを閉じ込めた奴らの姿は見てないのね?」 「はい…倉庫に入ったらいきなり閉められたんで…。」 「くうぅぅぅっ!!許せませんっ!ここはやはり見つけ出して制裁を加えなければっ!!」 「まあまあ、フィリアさんが無事だったんですからいいじゃないですか。」 メラメラ燃えてるアメリアとリナの間に割って入り、なだめる。 「…ずいぶん穏やかね。」 リナの問いかけにニッコリと微笑むゼロス。 「2日間おつかれさまでした。さあみなさん、いつものもんじゃ焼き屋で打ち上げでしょ?僕も後から向かいますんで、先に行っててくださいな。」 「ゼロス先生・・・あんたまさか…?」 教室を出ようとしているゼロスにリナが声をかける。 「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 そう言い残して出ていった。リナは一筋の汗をつつーと流しながらフィリアに向かい、 「あんたもホントに…」 (末恐ろしいナイトを持ったもんね…。) 告げようとした言葉はまだ言うべきではないと悟ったのか、そこで押し留めたリナ。 「ん?何ですか、リナさん?」 「…何でもないわ。さ、みんなもんじゃ焼き屋へGOよっ!!」 「あ…リナさん、私―――…」 ダンッ!! 人影のない校舎裏で、壁に拳をぶつけている男子生徒。 「ちくしょうっ!結局キング・オブ・スレイヤーズの称号獲れなかった…っ!!」 「絶対あの倉庫なら誰にも見つからないと思ったのに…何故会長はあそこから出てこられたんだっ?!」 「知るかよっ!分かることは、俺達は負けたってことだ…!」 「ほう、そんな勝負事のためだけに生徒会長を拉致監禁したりしたんですね?」 ザッ… 突然割りこんできた自分達以外の声の主の方に顔を向ける。 「ゼロス…先生……。」 「うちのクラスの、あるバンドの所有物を破損させ、メンバーである生徒会長を拉致監禁したのはあなた達ですね?…アルフレッドさん、カンヅェルさん?」 「な、…何のことですか、ゼロス先生…僕達はただ、優勝できなくて悔しいねって話をしてただけです。」 一瞬慌てた様子も見せたが、冷静な返答に証拠のないこちらとしては更に問い詰めることは出来ない。 「ふむ…それでは、話を別件に移しましょう。」 「別件?」 瞳に怪しげな光をたたえながら、静かに口を開く。 「はい。アルフレッドさん、カンヅェルさん…あなた方は今週を持って、退学処分とされます。」 見せ付けられた、自分達の名前が書かれた退学処分書に、 「た、退学っ?!」 「なぜ…っ?!」 ゼロスは残酷な笑みを浮かべながら、 「先日あった、何の抵抗も出来ないホームレスに暴力を振るって逃走した若い二人組…実は写真に取られていた方がいましてね。これは…あなた達ですね?」 差し出された写真には、紛れもない自分達の顔。 「おそらくもうすぐ警察の方が事情聴取にいらっしゃるでしょう。今までこんな大きな事件はありませんでしたし…あなた方は100年の歴史を持つスレイヤーズ学園の名に傷をつけた、として理事長自ら退学処分命令を下されました。」 「そ、そんな…。」 「何とかならないんですか、先生っ?!」 「何ともなりませんね。…自業自得でしょう?」 普段、生徒には絶対見せることのない冷酷な瞳…それほどに、彼女を傷つけた罪は重い。 本当は社会的立場すら奪い取ってやろうかとも考えたが…まだ未成年である彼らの社会的立場といっても、大したことはないので諦めることにした。 「せいぜい、一生懸命償ってください。」 呆然と立ち尽くす2人を残し、その場を立ち去る。ネクタイを緩めながら溜め息一つ。 (久々にやっちゃいましたね…。もうこういう事はしないつもりでいたんですけど――。) 秋風が彼の髪をなびいていく…何となく、もの悲しい気分になった。 「ゼロス先生っ!」 ふいに自分の名を呼ぶ、何よりも愛しい声が。ゼロスは立ち止まって前方を見た。 「フィリアさん…。どうなさったんですか?打ち上げには…」 「はいっ、ゼロス先生と行こうと思って待ってたんです。」 笑顔で走り寄ってくるフィリアを見て、急に壊してしまいたいほどに抱きしめたくなった。 ギュウゥゥ…ッ 次の瞬間、彼の身体は正直だった。今までにないほどに強く彼女を抱きしめる。 「ゼ、ゼロス先生…?」 いつもと違う抱かれ方に少し異変を感じはしたが、それでも大人しく彼の腕の中におさまっているフィリア。 「フィリアさんは…温かいですね……。」 「ゼロス先生も十分あったかいですよ?」 フィリアは担任教師のアメジスト色の瞳を見上げた。 言いたいことがある…この人に。とっても簡単な言葉だけど、どうしても伝えたい事が。 ジーッと見つめられているのに気付いたのか、もともと近くにあった顔をさらに近づけて問いかける。 「僕の顔に何か付いてますか?」 「え?あ、ああああ、あの…えっと…ゼロス先生……」 「はい?」 間近でその瞳に見つめられてドギマギしながらも、フィリアは小さく息を吸い、 「あのとき…助けに来てくれて、本当に…本当にありがとうございました。」 頬を真っ赤にして自分を見上げる様は、何度見ても可愛らしいものがあり…。 「当然のことをしたまでですよ、僕は貴女のナイトですから。」 ギュッと抱きしめ、耳元で囁く。 今ではもう、貴女が僕の世界の全てですから。 貴女を失う以上の怖さなんて、僕にはありません。 「それじゃ、打ち上げ行きましょうかっ」 「はいっ!!」 気づいた事が、あるんです。 あの狭い、薄暗い場所に閉じ込められていたとき、何よりも、誰よりも強く思っていたのは、今目の前にいるこの人でした――。 2人を繋いでいる手の温もりが、彼らのありのままの気持ちだった。 互いの想いに気付くまで、今はこの温もりを大切にしたいと―――。 ===================================== ふぅ。長かったにょ〜っ! まだまだくっつかないところがまどろっこしいっ!(←自分で書いてるくせに…) ホントはあの犯人たち、アルフレッドとカンヅェルじゃなくて、カンヅェルとマゼンダにしようかと思ったんですけど…マゼンダさんには別のところで活躍していただくということで(笑)。 それでは、次の番外編は…体育祭っ!(いやっ、何コイツしつこいっ!!) 気長に付き合ってくれる人いつでも待ってますvv 葵 芹香 |
4334 | かっくいい〜v | 大原 支矢 E-mail | 9/17-15:18 |
記事番号4317へのコメント すばらしい!!! 私も公表してない自作小説作ってるんですが、 どうしても、 ゼロス君をかっこよく仕立てることが出来んのですよぉ・・・。 応援してます! 頑張ってください! (人のコメント書いたのは、これが初めてなんで、間違ってても許してやって下さいなっ!) |
4347 | えへvどうもです。 | 葵 芹香 E-mail URL | 9/18-22:43 |
記事番号4334へのコメント 大原 支矢さんは No.4334「かっくいい〜v」で書きました。 > >すばらしい!!! >私も公表してない自作小説作ってるんですが、 >どうしても、 >ゼロス君をかっこよく仕立てることが出来んのですよぉ・・・。 >応援してます! >頑張ってください! >(人のコメント書いたのは、これが初めてなんで、間違ってても許してやって下さいなっ!) 初めまして大原支矢さん、葵芹香と申す者です。レスありがとうございました♪ そんな、うちのゼロス君がかっこいいだなんて・・・っ!隙あらばフィリアさんを抱きしめまくってるあの先生が…。 ああ、初めてのコメントにこんな私のを選んでくれて…(泣)。全然変なところはありませんでしたよ、本当にありがとうございますv それでは、この辺で。 葵 芹香 |
4336 | Re:学園祭〜っv | 日和夕那 E-mail | 9/17-19:18 |
記事番号4317へのコメント 葵 芹香さんは No.4317「スクール・フェスティバル=ゼロフィリ学園物語番外編=」で書きました。 > >どうも、葵芹香です。 >さんざん言ってきたゼロフィリ学園祭編です。 >乗りに乗って書いてたら(笑)、こんなに長くなっちゃいました。 >自分の中で最長記録?たぶん。 >それでは、本編へ♪ どぉもっ!日和夕那です〜 わ〜いっvノリノリですねっv(謎…) 長いと私的に嬉しかったり☆ >===================================== > >『スクール・フェスティバル』 >「そうですね。明日もこのままだといいんですけど…あら、アメリアさんの浴衣は花火の柄?」 > そうフィリアに聞かれた彼女はクルリ、と一回りしてみせ、 >「そうなんですv黄色地に花火は合わないかな、と思ったんですけど。」 > アメリアが着ていた浴衣はオレンジがかった黄色で、裾のほうで鮮やかな花火が上がっていた。 >「そんなことないです、すごく合ってますよv」 >「ありがとうございます♪フィリアさんのも綺麗ですぅ〜v」 > フィリアの浴衣はオーソドックスな藍色で、大輪の百合の花が咲き誇っていた。彼女らが浴衣を着ていたのはやはり、駄菓子屋は浴衣、というイメージがあったからだろうか…クラスの女子全員が浴衣を羽織っていた。 >「ちょっと、あ・ん・た・達〜っ、んな喜んでる場合じゃないでしょ〜〜っ。」 > そこへずぉぉぉん、と現われたリナ。 >「あ、リナさんも似合ってますよv」 > リナの浴衣は水色、そこに真っ赤な金魚たちが泳いでいた。 きゃぁあぁっv浴衣v浴衣っv実はキリ番リクエストの小説は最初、花火大会物で、フィリアさんの浴衣姿ってのをリクエストしようかと思ったんですよ〜 思わぬ所で見れてうれしかったりv フィリアさん藍色に白い百合…私のイメージしたのと同じだったりv アメリアは黄色に花火…元気な感じが、とってもピッタリ☆ リナは水色に赤い金魚…リナっぽいですねぇvかわいいv >「大体、茶髪の優男と緑のツンツンヘアな男なんてどこにでもいるじゃない!!」 前回のを読ませて頂いたとき、茶髪に優男=アルフレッド。緑色のツンツンヘア=カンヅェルかにゃぁ…なんて思いました。 >「大丈夫ですよ、フィリアさんは僕が護りますしvリナさんもアメリアさんもナイトがいるでしょう?」 >―――… >「…ゼロスせんせぇ……。」 >「何です、リナさん。」 >「その、いきなり登場するのをやめろ〜〜っ!!」 > 仮にも担任の首を遠慮なく締め上げる。アメリアが慌てて、 >「リナさぁんっ、教師への暴力はよくないですぅ〜っ!」 > と止めようとするが、リナは更に腕に力をこめて小声で囁く。 >「それに普通、教師って生徒全員を護るとかって言わない?」 >「僕はフィリアさんが無事なら他のことなんて知ったこっちゃないですねっ!……あぁ、ちょっと苦しくなってきたかも……。」 あははっvゼロス先生可愛いですね〜 > ようやく解放されたゼロスだったが、視線をふとフィリアにやるといつの間にか現われていたヴァルと楽しそうに話しているのが目に映った。 >「浴衣…綺麗だな……。」 >「ありがとうございますvヴァルさんもハッピが似合ってますよ♪」 > たわいない会話…だが彼には許せなかった、今ヴァルが口にした言葉は自分が一番に言うはずの台詞だったから。…だから、 >「今更出てきても、フィリアさんのナイト役は僕がキープしたんですからねっ、ヴァル君?」 > 彼女を後ろから抱きしめ、敵意ムキだしでヴァルを睨む。 …ほんとに何か可愛いなぁっv >「ナイト役って何だよ…。それから毎回言ってるが…いっつもフィリアに抱き付いてんじゃねぇぇっ!!」 > またいつものように口ゲンカが始まるか、と思いきや。 >「ヴァルーッ!こっち手伝ってくれーっ!!」 > クラスメートからの声がかかり、チッと舌打ちして教室へ入っていく。 > 邪魔者がいなくなったところでゼロスは抱きしめていたフィリアを自分の方に向かせ、本当は一番に言いたかった言葉を告げる。 >「フィリアさん…その浴衣、すごく似合ってますよ…。」 >かぁぁっ… > あっという間に真っ赤に染まるフィリアの頬。ヴァルに言われた時は何ともなかったのに、どうしてこの人に言われるといつもこうなってしまうんだろう。 >「あっ、あ、ありがとう…ございます……ゼロスッ、先生…も…」 >「はい?」 > さっきは簡単に言えたのに、なかなかその短い台詞が出てこない。彼が着ているのは深緑…よりはカーキ色に近い、横縞模様のはいったった浴衣で、紫の髪とのコントラストも相成って、よく似合っていた。フィリアはやっとのことで、 >「その浴衣、とっても似合って…ます……。」 > 朱に染まった頬で上目遣いに自分を見る少女に、たまらない愛おしさを感じたゼロス。 >(ああ…浴衣持っててよかった……。) あぁなんてラブラブなんだvフィリアさんも可愛いなぁっv ゼロス先生も浴衣だったんですね〜カーキ色に横縞…格好いいだろうなぁv 芹香さんってナニゲにスタイリスト!?センスいいですよね♪ >「私達もう店番終わりましたから、これからガウリィさんとゼルガディスさんが出る(脅して出させた)、女装コンテストを見に行くんです。もちろんフィリアさんも行くんですけど…ゼロス先生はどうするんですか?」 >「あ、僕もそれに参加してるんで、会場まで一緒に行きますv」 出てるのかぁっ!?Σ( ̄□ ̄; >「「はぁぁっ?!」」 >「チャイナドレスでして…結構似合ってると思うんですけど?」 > 自分で似合ってると言うあたりがふてぶてしい…。 >「先生メチャメチャ乗り気…。」 ……乗り気…ゼロス先生らしいや…(´д`;) >「ゼルガディスさん達は嫌々だったのに…。」 >「頑張ってください、ゼロス先生…。」 > 最初の2人のつぶやきは耳に入らなかったらしく、フィリアの声にだけ反応する。 >「フィリアさん…僕頑張ります、応援しててくださいねっ!」 > しっかり手を握って見詰め合う。 >「おーい、人の話聞いてるかー?」 > どうやらリナの呼びかけも聞こえてないらしかった。 > ちなみに、コンテストはガウリィとゼルガディス、ゼロスがかなり競り合ったのだが、まだとりあえずフリーのゼロス先生が女子生徒の票を多く獲得して優勝した。 …流石です(笑) とりあえず。フリーですねv予約済みですが♪ >フィリアがリナに尋ねると、オリジナルのデザインをTシャツに施して売ってくれる店だった。 >「ここで同じデザインのTシャツ5枚作ってさ、明日のライブにみんなで着ない?」 >「お、いいなぁ。どんなデザインにするんだ?」 >「カッコよくて正義感溢れるのがいいですぅ〜!」 >「カッコイイはともかく、正義感溢れるは絶対却下されるぞ、アメリア…。」 > キャイキャイ騒いでいる4人の後ろで、ゼロスがフィリアに耳打ちする。 >「フィリアさん、リナさん達には…もちろんヴァルにも内緒でおそろいのペアTシャツ作りません?」 わぁっvゼロス先生だっいたぁんv >「え……えっ?」 >「モチロン、僕と貴女の。」 >「ええぇぇぇっ?!」 >「お嫌ですか?」 >「ヤ…じゃないですけど……。」 ヤじゃないっv > いくら鈍いフィリアにだってそれくらいの知識はある、『ペア』と名のつくものは大抵、恋人やごく親密な仲の者同士が身につけるものであると。 >「でも、私でいいんですか…?」 >「貴女が、いいんです。」 > 再び真っ赤になって俯いてしまうフィリア。ゼロスは微笑みながら見つめていた…が。 相当かわいいんでしょうねぇv >「ゼ・ロ・ス・ちゃ〜ん…何ドサクサに紛れてフィリア口説いてんのかしら〜?」 そのとぉりだ〜(笑) > > > > 彼女らが談笑しながら店番をしている頃、ガウリィとゼルガディスは、廊下を歩いていた。とあるポスターの前に男子生徒の人溜まりが出来ていたので、近寄っていってみると、ミス・スレイヤーズ学園にエントリーされている女子生徒達の写真だった。…そして誰が推薦したのか、リナやアメリア、フィリアもエントリーされていた。 おぉっ☆ミス・コンですね!やはり目立つ人はエントリーされるもんですv >「C組のこの娘、可愛くねぇ?」 >「でも、こっちの赤い髪の娘もなかなか…」 >「やっぱり生徒会長がいいよな…。」 >(リナが一番だろっ♪) >(アメリアだよな…) (フィリアさんに決まってるじゃないですかっv)byゼロス先生 …(笑) > フィリアは薄暗い倉庫の中に足を一歩踏み入れた。 >「イスは…あ、あった。」 >ガラガラガラガラ……ガシャンッ! > 突然、一つしかない出入り口が勢いよくしまった。 >「えっ?!あ、あの中にいるんですけどーっ!!」 > 彼女の呼びかけにも答えず、ガチャガチャと鍵をかけている音がする。 >「あのーっ?!」 > ドンドンドンッ、と扉を叩いて外に存在を知らせようとする。 >「すいません…」 > 外から掛けられた声に反応してフィリアは叩くのを止める。 >「あなたは誰ですか?ここを開けてくださいっ!私は…」 >「すいません会長…ライブが終わるまでここにいてください。」 >「ちょっとっ?!」 > フィリアの呼びかけも空しく、遠ざかっていく足音。 >「どうしましょう…。」 > フィリアの焦りと裏腹に、刻々とライブ本番の時間は迫っていた。 >あぁっ!フィリアさん閉所恐怖症なのにぃ(´д`;) >「フィリアさんは僕が必ず探して来ます!あなた達は心の準備をしててくださいっ!!」 > そう言って部屋から飛び出していった。廊下でヴァルとすれ違う。 >「お、おいゼロス?何そんなに急いでんだよっ?」 >「…フィリアさんがいなくなりました。」 >「何だとおぉ?!」 > ヴァルの反応など無視してゼロスは走り去ろうとする。 >「ちょっと待てよっ、オレも探すぜっ!!」 > 遠くなるゼロスの背中に一声かけて、彼とは反対の方向へ向かう。2人とも、フィリアを見つけ出すために。 フィリアさんにはナイトが2人も控えてるんですね〜 >――――… >「もう、30分前…。」 > 窓一つない倉庫の中でフィリアは座りこんでいた。誰もやって来るような気配はない。 >(ごめんなさい、みなさん…私行けそうにありません。ああ、やっぱり私の事探してるかしら…。) > 何かを考えていないと、自分の状況が嫌というほど身にしみてくる。 > 薄暗く、狭い倉庫の中…彼女の頬から涙が零れた。 >(暗いのは嫌、狭いのは嫌…暗いのも狭いのも恐いの!誰か私を見つけて、ここから連れ出して…。) >「…せ……」 > 無意識に彼女の口から零れ落ちた名は。 >「ゼロスせんせぇ……。」 > >「―――?」 > 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >(フィリアさん…?) > ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >「フィリアさん…。」 > 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 わv愛の力ねっv >「ふっ…え…っ……」 > フィリアはすでにパニック寸前だった。閉所恐怖症という魔物は、確実に彼女から平常心を奪っていった。 >「暗・いっ、の恐い…っ・・っふ…」 フィリアさ〜ん…不謹慎だけど、何かすっごく可愛く感じました… (><)=●)`-`)<ばき☆ > 自分がいつからこうなってしまったのかは分からない。けど、恐いものは恐いもので仕方がないのだ。 >ドンドンドンドンッ!! > 突然、外から扉を激しく叩く音が鳴り響き、フィリアはビクッとなって顔を上げる。 >「フィリアさんっ?そこにいるんですかっ?!」 > 続いて聞き慣れた声が響いてくる…彼女は弱々しく口を開く。 >「ゼッ、ロス…せんせっ、い…?」 > 中から聞こえてくる、か細い…だけど何よりも愛しい声に確信を持つ。 >「フィリアさん、離れててくださいっ!」 > ドンッ!ドンッ!と体当たりして扉を打ち破ろうとするが、意外にも扉は頑強だった。 >「くっ、やはり鍵じゃないと無理か…フィリアさん?」 >「は…い……」 >「すぐに戻りますから、もうしばらく辛抱できますか?」 >「はい…」 > 消え入りそうな、弱々しい声。今すぐにでも抱きしめたいとゼロスは思ったが、唇を噛み締め、その場を後にした…職員室に、予備の鍵を取りに行くために。 >「おいゼロスッ!フィリア見つかったのかっ?!ライブまであと15分だぞっ!」 >「裏庭の倉庫ですよっ!!」 > すれ違い様にヴァルと言葉を交わす。 >「倉庫かよ…わかったっ!」 > ほとんどゼロスと入れ違いで倉庫の前に着くヴァル。 >「おい、フィリアッ?いるのかっ?!」 >「せんせ…い、ゼロス先生・・・?」 >「オレだ…ヴァルだよ。ゼロスは鍵を取りに行った、すぐに戻ってくるから…」 >「ゼロスッ、先生…、助け…て……。」 > 目の前にいるのはオレなのに、呼ぶのはアイツ…か。これで自分の気持ちに気付いてないってのはどういうことなんだか…。 あぁ…ヴァルくんかわいそぉ… >「フィリアさんっ!!」 > ヴァルが自嘲気味の笑みを浮かべていたところに、ゼロスが鍵を持って戻ってくる。 > コイツもコイツで鈍いよな…だから、邪魔のしがいがあるってもんだ。真剣な表情で鍵を開ける担任教師を眺めながら。 > やがて扉が開き、外の眩しい光がフィリアに降り注ぐ。 >「フィリアさんっ!!」 >「フィリアッ!!」 > 見慣れた教師とクラスメートが自分の名を呼ぶ。フィリアは迷うことなく、担任教師の胸に飛び込んだ。 あぁ…トドメだぁ…ヴァル君… >「フィリアさんっ!」 > ゼロスは少し驚きながら、それでもしっかり彼女を抱き止める。 >「恐かっ……ふっ…」 > カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 > 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる。 うきゃぁぁぁっvゼロフィリスト至高のひととき♪ >「――いい加減オレを無視しないで欲しいんだが…。」 そだよねぇ(笑) > 横から掛けられた声にゼロスの胸元からバッと飛びのくフィリア。 >「あ…ヴァルさん……。」 >「いたんですか?」 ゼロス先生…ひでぇ…でもらしい。(-_-;) > チッと舌打ちするゼロスを無視して、フィリアに話しかける。 >「ライブまであと7分だぞ?」 >「きゃあぁぁっ、大変っ!!」 > スクッと立ちあがろうとしたが、少しよろめきかけたところをゼロスに支えられる。 >「大丈夫ですか?」 >「はい…平気です。」 > 走りながら、いつもの笑顔を浮かべる…がゼロスにはわかっていた、少し無理した笑顔を作っていることを。 >「フィリアさんっ。」 > ゼロスはステージへ向かおうとしているフィリアを呼びとめる。 >「絶対大丈夫、なおまじないしてあげますよ。」 >「おまじない?」 > ええvと微笑むとあっという間にフィリアを引き寄せ、頬に口付けする。 おぉぉぉぉvやりますねぇvいつもいつも隙あらば…と狙ってるんでしょうか… >「なっ?!ななななっ…!」 >「頑張ってらっしゃいv」 >「……はいっ!」 > 鮮やかな…“本物”の笑顔を浮かべて舞台へ消えていく彼女を見送り。 >「さてと…僕は観客席に移りましょうかね。」 > そうつぶやいたところで後ろからどす黒いオーラを自分に送る者がいるのに気付く。 >「おやどうしました、ヴァル君?」 >「てっ、テメェッ!何どさくさに紛れてフィリアにキ…」 ヴァル君の目の前でやったのか…わざとだったりして… >「…ずいぶん穏やかね。」 > リナの問いかけにニッコリと微笑むゼロス。 >「2日間おつかれさまでした。さあみなさん、いつものもんじゃ焼き屋で打ち上げでしょ?僕も後から向かいますんで、先に行っててくださいな。」 >「ゼロス先生・・・あんたまさか…?」 > 教室を出ようとしているゼロスにリナが声をかける。 >「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 > そう言い残して出ていった。リナは一筋の汗をつつーと流しながらフィリアに向かい、 >「あんたもホントに…」 >(末恐ろしいナイトを持ったもんね…。) うわぁ…なんか企んでそぉ〜ホントに末恐ろしいナイトだこと… >「ほう、そんな勝負事のためだけに生徒会長を拉致監禁したりしたんですね?」 >ザッ… > 突然割りこんできた自分達以外の声の主の方に顔を向ける。 >「ゼロス…先生……。」 >「うちのクラスの、あるバンドの所有物を破損させ、メンバーである生徒会長を拉致監禁したのはあなた達ですね?…アルフレッドさん、カンヅェルさん?」 >「な、…何のことですか、ゼロス先生…僕達はただ、優勝できなくて悔しいねって話をしてただけです。」 > 一瞬慌てた様子も見せたが、冷静な返答に証拠のないこちらとしては更に問い詰めることは出来ない。 >「ふむ…それでは、話を別件に移しましょう。」 >「別件?」 > 瞳に怪しげな光をたたえながら、静かに口を開く。 >「はい。アルフレッドさん、カンヅェルさん…あなた方は今週を持って、退学処分とされます。」 > 見せ付けられた、自分達の名前が書かれた退学処分書に、 >「た、退学っ?!」 >「なぜ…っ?!」 > ゼロスは残酷な笑みを浮かべながら、 >「先日あった、何の抵抗も出来ないホームレスに暴力を振るって逃走した若い二人組…実は写真に取られていた方がいましてね。これは…あなた達ですね?」 > 差し出された写真には、紛れもない自分達の顔。 恐るべきゼロス先生の秘密の情報ルート…彼に知らないことはないっ!て感じですねぇ… >「おそらくもうすぐ警察の方が事情聴取にいらっしゃるでしょう。今までこんな大きな事件はありませんでしたし…あなた方は100年の歴史を持つスレイヤーズ学園の名に傷をつけた、として理事長自ら退学処分命令を下されました。」 >「そ、そんな…。」 >「何とかならないんですか、先生っ?!」 >「何ともなりませんね。…自業自得でしょう?」 > 普段、生徒には絶対見せることのない冷酷な瞳…それほどに、彼女を傷つけた罪は重い。 > 本当は社会的立場すら奪い取ってやろうかとも考えたが…まだ未成年である彼らの社会的立場といっても、大したことはないので諦めることにした。 >「せいぜい、一生懸命償ってください。」 > 呆然と立ち尽くす2人を残し、その場を立ち去る。ネクタイを緩めながら溜め息一つ。 >(久々にやっちゃいましたね…。もうこういう事はしないつもりでいたんですけど――。) > 秋風が彼の髪をなびいていく…何となく、もの悲しい気分になった。 フィリアさんを傷つけた輩には容赦ないですねっ! 愛故の暴走ですか〜 > >「ゼロス先生っ!」 > ふいに自分の名を呼ぶ、何よりも愛しい声が。ゼロスは立ち止まって前方を見た。 >「フィリアさん…。どうなさったんですか?打ち上げには…」 >「はいっ、ゼロス先生と行こうと思って待ってたんです。」 > 笑顔で走り寄ってくるフィリアを見て、急に壊してしまいたいほどに抱きしめたくなった。 >ギュウゥゥ…ッ > 次の瞬間、彼の身体は正直だった。今までにないほどに強く彼女を抱きしめる。 >「ゼ、ゼロス先生…?」 > いつもと違う抱かれ方に少し異変を感じはしたが、それでも大人しく彼の腕の中におさまっているフィリア。 >「フィリアさんは…温かいですね……。」 >「ゼロス先生も十分あったかいですよ?」 > フィリアは担任教師のアメジスト色の瞳を見上げた。 > 言いたいことがある…この人に。とっても簡単な言葉だけど、どうしても伝えたい事が。 > ジーッと見つめられているのに気付いたのか、もともと近くにあった顔をさらに近づけて問いかける。 >「僕の顔に何か付いてますか?」 >「え?あ、ああああ、あの…えっと…ゼロス先生……」 >「はい?」 > 間近でその瞳に見つめられてドギマギしながらも、フィリアは小さく息を吸い、 >「あのとき…助けに来てくれて、本当に…本当にありがとうございました。」 > 頬を真っ赤にして自分を見上げる様は、何度見ても可愛らしいものがあり…。 >「当然のことをしたまでですよ、僕は貴女のナイトですから。」 > ギュッと抱きしめ、耳元で囁く。 > > 今ではもう、貴女が僕の世界の全てですから。 > 貴女を失う以上の怖さなんて、僕にはありません。 > >「それじゃ、打ち上げ行きましょうかっ」 >「はいっ!!」 > > 気づいた事が、あるんです。 > あの狭い、薄暗い場所に閉じ込められていたとき、何よりも、誰よりも強く思っていたのは、今目の前にいるこの人でした――。 > > 2人を繋いでいる手の温もりが、彼らのありのままの気持ちだった。 > 互いの想いに気付くまで、今はこの温もりを大切にしたいと―――。 はぁぁぁぁぁっっvこのシーン大好きだったりっv ゼロフィリスト至高のひととき第2弾〜っっv二人のラブラブは読んでてとっても幸せになりますっv > >===================================== >ふぅ。長かったにょ〜っ! >まだまだくっつかないところがまどろっこしいっ!(←自分で書いてるくせに…) >ホントはあの犯人たち、アルフレッドとカンヅェルじゃなくて、カンヅェルとマゼンダにしようかと思ったんですけど…マゼンダさんには別のところで活躍していただくということで(笑)。 >それでは、次の番外編は…体育祭っ!(いやっ、何コイツしつこいっ!!) >気長に付き合ってくれる人いつでも待ってますvv ↑はいはいは〜い!!いくらでも付き合わさせて頂きまぁすっv(^.^)/ お疲れさまです〜今回も期待に違わず、素晴らしい作品で感動しましたっv そうですねvその早くくっつけよっ!てな関係が、また良かったりv くっついたらくっついたで、またゼロス先生凄そうだし…所かまわず、抱きしめちゃったりしそう。…って今もそうか(笑) きっとバカップル度はスゴイだろうなぁvそれもまた良しv←ヲイ > >葵 芹香 今から体育祭編がたのしみです♪ それでは〜日和でしたぁ(^.^)/ |
4346 | 学園祭も過ぎて。 | 葵 芹香 E-mail URL | 9/18-22:33 |
記事番号4336へのコメント 日和夕那さんは No.4336「Re:学園祭〜っv」で書きました。 >どぉもっ!日和夕那です〜 >わ〜いっvノリノリですねっv(謎…) >長いと私的に嬉しかったり☆ どうもです、夕那さん♪はい、書いてるときはやけにハイテンションでした(笑)。 短ろうと長かろうと、結局最後は強引に持っていくという葵芹香…今、自分で再確認!(悲) >>===================================== >> >>『スクール・フェスティバル』 > >>「そうですね。明日もこのままだといいんですけど…あら、アメリアさんの浴衣は花火の柄?」 >> そうフィリアに聞かれた彼女はクルリ、と一回りしてみせ、 >>「そうなんですv黄色地に花火は合わないかな、と思ったんですけど。」 >> アメリアが着ていた浴衣はオレンジがかった黄色で、裾のほうで鮮やかな花火が上がっていた。 >>「そんなことないです、すごく合ってますよv」 >>「ありがとうございます♪フィリアさんのも綺麗ですぅ〜v」 >> フィリアの浴衣はオーソドックスな藍色で、大輪の百合の花が咲き誇っていた。彼女らが浴衣を着ていたのはやはり、駄菓子屋は浴衣、というイメージがあったからだろうか…クラスの女子全員が浴衣を羽織っていた。 >>「ちょっと、あ・ん・た・達〜っ、んな喜んでる場合じゃないでしょ〜〜っ。」 >> そこへずぉぉぉん、と現われたリナ。 >>「あ、リナさんも似合ってますよv」 >> リナの浴衣は水色、そこに真っ赤な金魚たちが泳いでいた。 >きゃぁあぁっv浴衣v浴衣っv実はキリ番リクエストの小説は最初、花火大会物で、フィリアさんの浴衣姿ってのをリクエストしようかと思ったんですよ〜 >思わぬ所で見れてうれしかったりv >フィリアさん藍色に白い百合…私のイメージしたのと同じだったりv >アメリアは黄色に花火…元気な感じが、とってもピッタリ☆ >リナは水色に赤い金魚…リナっぽいですねぇvかわいいv 大体彼女たちに制服以外を着せるときは、私の中の3人娘のイメージで着せています(^^)。フィリアさんは清楚で可憐だけど可愛らしさもあり、アメリアは花でいうならヒマワリみたいな元気いっぱい娘、リナはあのまんま(笑)でキュートで可愛い子猫さんみたいな。ああ、そういえば花火大会というネタもあったんですよねぇ…。そういうのも書いてみたいかもv >>「大体、茶髪の優男と緑のツンツンヘアな男なんてどこにでもいるじゃない!!」 >前回のを読ませて頂いたとき、茶髪に優男=アルフレッド。緑色のツンツンヘア=カンヅェルかにゃぁ…なんて思いました。 アッタリ〜、でしたね。マゼンダさんにはもっと重要な役どころをしてもらうつもりでいたので、となるとカンヅェルの相方になれるのはアルフレッドかなァ…と思ったんです。 >>「フィリアさん…その浴衣、すごく似合ってますよ…。」 >>かぁぁっ… >> あっという間に真っ赤に染まるフィリアの頬。ヴァルに言われた時は何ともなかったのに、どうしてこの人に言われるといつもこうなってしまうんだろう。 >>「あっ、あ、ありがとう…ございます……ゼロスッ、先生…も…」 >>「はい?」 >> さっきは簡単に言えたのに、なかなかその短い台詞が出てこない。彼が着ているのは深緑…よりはカーキ色に近い、横縞模様のはいったった浴衣で、紫の髪とのコントラストも相成って、よく似合っていた。フィリアはやっとのことで、 >>「その浴衣、とっても似合って…ます……。」 >> 朱に染まった頬で上目遣いに自分を見る少女に、たまらない愛おしさを感じたゼロス。 >>(ああ…浴衣持っててよかった……。) >あぁなんてラブラブなんだvフィリアさんも可愛いなぁっv >ゼロス先生も浴衣だったんですね〜カーキ色に横縞…格好いいだろうなぁv >芹香さんってナニゲにスタイリスト!?センスいいですよね♪ 何だかほんわかな空気が漂っていたりして。…ゼロス先生は何気に駄菓子屋さんの歩く宣伝広告塔でした(笑)。ああっ、そんな私、全然センスよくないですぅ。フィリアさんにどれだけ可愛い服を着せたくても、できあがってみると「おやぁ…?」ってなことにいつもなってます…(泣)。 >>「私達もう店番終わりましたから、これからガウリィさんとゼルガディスさんが出る(脅して出させた)、女装コンテストを見に行くんです。もちろんフィリアさんも行くんですけど…ゼロス先生はどうするんですか?」 >>「あ、僕もそれに参加してるんで、会場まで一緒に行きますv」 >出てるのかぁっ!?Σ( ̄□ ̄; 出てるんですぅ!!(byゼロス) >>「「はぁぁっ?!」」 >>「チャイナドレスでして…結構似合ってると思うんですけど?」 >> 自分で似合ってると言うあたりがふてぶてしい…。 >>「先生メチャメチャ乗り気…。」 >……乗り気…ゼロス先生らしいや…(´д`;) そうですvちなみに、全然関係ないことですが、この(↑)絵文字がすっごく好きvv >>「ゼルガディスさん達は嫌々だったのに…。」 >>「頑張ってください、ゼロス先生…。」 >> 最初の2人のつぶやきは耳に入らなかったらしく、フィリアの声にだけ反応する。 >>「フィリアさん…僕頑張ります、応援しててくださいねっ!」 >> しっかり手を握って見詰め合う。 >>「おーい、人の話聞いてるかー?」 >> どうやらリナの呼びかけも聞こえてないらしかった。 >> ちなみに、コンテストはガウリィとゼルガディス、ゼロスがかなり競り合ったのだが、まだとりあえずフリーのゼロス先生が女子生徒の票を多く獲得して優勝した。 >…流石です(笑) >とりあえず。フリーですねv予約済みですが♪ とりあえず、ですね。フィリアさん以上に僕に似合う人なんていませんよっ!ってね。 >>フィリアがリナに尋ねると、オリジナルのデザインをTシャツに施して売ってくれる店だった。 >>「ここで同じデザインのTシャツ5枚作ってさ、明日のライブにみんなで着ない?」 >>「お、いいなぁ。どんなデザインにするんだ?」 >>「カッコよくて正義感溢れるのがいいですぅ〜!」 >>「カッコイイはともかく、正義感溢れるは絶対却下されるぞ、アメリア…。」 >> キャイキャイ騒いでいる4人の後ろで、ゼロスがフィリアに耳打ちする。 >>「フィリアさん、リナさん達には…もちろんヴァルにも内緒でおそろいのペアTシャツ作りません?」 >わぁっvゼロス先生だっいたぁんv そしてそれを着て2人でデートへと繰り出すのさ。(以上、ゼロス先生の妄想より) >>「え……えっ?」 >>「モチロン、僕と貴女の。」 >>「ええぇぇぇっ?!」 >>「お嫌ですか?」 >>「ヤ…じゃないですけど……。」 >ヤじゃないっv >> いくら鈍いフィリアにだってそれくらいの知識はある、『ペア』と名のつくものは大抵、恋人やごく親密な仲の者同士が身につけるものであると。 >>「でも、私でいいんですか…?」 >>「貴女が、いいんです。」 >> 再び真っ赤になって俯いてしまうフィリア。ゼロスは微笑みながら見つめていた…が。 >相当かわいいんでしょうねぇv かわいいです、絶対!! >>「ゼ・ロ・ス・ちゃ〜ん…何ドサクサに紛れてフィリア口説いてんのかしら〜?」 >そのとぉりだ〜(笑) じゃあドサクサに紛れてないなら口説いてもいいんですかっ?!…と言いそうになるのをおさえたゼロス先生でしたとさ☆ >> 彼女らが談笑しながら店番をしている頃、ガウリィとゼルガディスは、廊下を歩いていた。とあるポスターの前に男子生徒の人溜まりが出来ていたので、近寄っていってみると、ミス・スレイヤーズ学園にエントリーされている女子生徒達の写真だった。…そして誰が推薦したのか、リナやアメリア、フィリアもエントリーされていた。 >おぉっ☆ミス・コンですね!やはり目立つ人はエントリーされるもんですv 相当、目立ってますから…あの3人娘は。 >>「C組のこの娘、可愛くねぇ?」 >>「でも、こっちの赤い髪の娘もなかなか…」 >>「やっぱり生徒会長がいいよな…。」 >>(リナが一番だろっ♪) >>(アメリアだよな…) >(フィリアさんに決まってるじゃないですかっv)byゼロス先生 …(笑) それはゼロス先生がその場にいたら口にしていたセリフ…。 >> フィリアは薄暗い倉庫の中に足を一歩踏み入れた。 >>「イスは…あ、あった。」 >>ガラガラガラガラ……ガシャンッ! >> 突然、一つしかない出入り口が勢いよくしまった。 >>「えっ?!あ、あの中にいるんですけどーっ!!」 >> 彼女の呼びかけにも答えず、ガチャガチャと鍵をかけている音がする。 >>「あのーっ?!」 >> ドンドンドンッ、と扉を叩いて外に存在を知らせようとする。 >>「すいません…」 >> 外から掛けられた声に反応してフィリアは叩くのを止める。 >>「あなたは誰ですか?ここを開けてくださいっ!私は…」 >>「すいません会長…ライブが終わるまでここにいてください。」 >>「ちょっとっ?!」 >> フィリアの呼びかけも空しく、遠ざかっていく足音。 >>「どうしましょう…。」 >> フィリアの焦りと裏腹に、刻々とライブ本番の時間は迫っていた。 >>あぁっ!フィリアさん閉所恐怖症なのにぃ(´д`;) なのにぃっ、って自分で書いといて何を言うか。恐怖症って、いろんな種類がありますよね。高所恐怖症とか、先端恐怖症とか…私は今のところ全部平気ですけどっ。 >>「フィリアさんは僕が必ず探して来ます!あなた達は心の準備をしててくださいっ!!」 >> そう言って部屋から飛び出していった。廊下でヴァルとすれ違う。 >>「お、おいゼロス?何そんなに急いでんだよっ?」 >>「…フィリアさんがいなくなりました。」 >>「何だとおぉ?!」 >> ヴァルの反応など無視してゼロスは走り去ろうとする。 >>「ちょっと待てよっ、オレも探すぜっ!!」 >> 遠くなるゼロスの背中に一声かけて、彼とは反対の方向へ向かう。2人とも、フィリアを見つけ出すために。 >フィリアさんにはナイトが2人も控えてるんですね〜 いいですね…ホントにナイトが2人もいて。でもフィリアさんが選ぶのはたった1人ですけどねvv >>――――… >>「もう、30分前…。」 >> 窓一つない倉庫の中でフィリアは座りこんでいた。誰もやって来るような気配はない。 >>(ごめんなさい、みなさん…私行けそうにありません。ああ、やっぱり私の事探してるかしら…。) >> 何かを考えていないと、自分の状況が嫌というほど身にしみてくる。 >> 薄暗く、狭い倉庫の中…彼女の頬から涙が零れた。 >>(暗いのは嫌、狭いのは嫌…暗いのも狭いのも恐いの!誰か私を見つけて、ここから連れ出して…。) >>「…せ……」 >> 無意識に彼女の口から零れ落ちた名は。 >>「ゼロスせんせぇ……。」 >> >>「―――?」 >> 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >>(フィリアさん…?) >> ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >>「フィリアさん…。」 >> 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 >わv愛の力ねっv >>「ふっ…え…っ……」 >> フィリアはすでにパニック寸前だった。閉所恐怖症という魔物は、確実に彼女から平常心を奪っていった。 >>「暗・いっ、の恐い…っ・・っふ…」 >フィリアさ〜ん…不謹慎だけど、何かすっごく可愛く感じました… >(><)=●)`-`)<ばき☆ いや、私も書きながら想像してて、「フィリアさん…ムッチャかわえぇ…v」って思ってました。(←オイ。) >> 自分がいつからこうなってしまったのかは分からない。けど、恐いものは恐いもので仕方がないのだ。 >>ドンドンドンドンッ!! >> 突然、外から扉を激しく叩く音が鳴り響き、フィリアはビクッとなって顔を上げる。 >>「フィリアさんっ?そこにいるんですかっ?!」 >> 続いて聞き慣れた声が響いてくる…彼女は弱々しく口を開く。 >>「ゼッ、ロス…せんせっ、い…?」 >> 中から聞こえてくる、か細い…だけど何よりも愛しい声に確信を持つ。 >>「フィリアさん、離れててくださいっ!」 >> ドンッ!ドンッ!と体当たりして扉を打ち破ろうとするが、意外にも扉は頑強だった。 >>「くっ、やはり鍵じゃないと無理か…フィリアさん?」 >>「は…い……」 >>「すぐに戻りますから、もうしばらく辛抱できますか?」 >>「はい…」 >> 消え入りそうな、弱々しい声。今すぐにでも抱きしめたいとゼロスは思ったが、唇を噛み締め、その場を後にした…職員室に、予備の鍵を取りに行くために。 >>「おいゼロスッ!フィリア見つかったのかっ?!ライブまであと15分だぞっ!」 >>「裏庭の倉庫ですよっ!!」 >> すれ違い様にヴァルと言葉を交わす。 >>「倉庫かよ…わかったっ!」 >> ほとんどゼロスと入れ違いで倉庫の前に着くヴァル。 >>「おい、フィリアッ?いるのかっ?!」 >>「せんせ…い、ゼロス先生・・・?」 >>「オレだ…ヴァルだよ。ゼロスは鍵を取りに行った、すぐに戻ってくるから…」 >>「ゼロスッ、先生…、助け…て……。」 >> 目の前にいるのはオレなのに、呼ぶのはアイツ…か。これで自分の気持ちに気付いてないってのはどういうことなんだか…。 >あぁ…ヴァルくんかわいそぉ… う〜ん、ヴァル君いつもこんな役まわり…ちょっとかわいそうかも(今更思ったのっ?!)。 >>「フィリアさんっ!!」 >> ヴァルが自嘲気味の笑みを浮かべていたところに、ゼロスが鍵を持って戻ってくる。 >> コイツもコイツで鈍いよな…だから、邪魔のしがいがあるってもんだ。真剣な表情で鍵を開ける担任教師を眺めながら。 >> やがて扉が開き、外の眩しい光がフィリアに降り注ぐ。 >>「フィリアさんっ!!」 >>「フィリアッ!!」 >> 見慣れた教師とクラスメートが自分の名を呼ぶ。フィリアは迷うことなく、担任教師の胸に飛び込んだ。 >あぁ…トドメだぁ…ヴァル君… グッバイ…マイラヴ… >>「フィリアさんっ!」 >> ゼロスは少し驚きながら、それでもしっかり彼女を抱き止める。 >>「恐かっ……ふっ…」 >> カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >>「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 >> 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる。 >うきゃぁぁぁっvゼロフィリスト至高のひととき♪ 本当はチューにいってほしかった…っ!(切実)でもまだそこまで行ってないからグッと我慢しました。 >>「――いい加減オレを無視しないで欲しいんだが…。」 >そだよねぇ(笑) 目の前で見せ付けられちゃあねぇ。 >> 横から掛けられた声にゼロスの胸元からバッと飛びのくフィリア。 >>「あ…ヴァルさん……。」 >>「いたんですか?」 >ゼロス先生…ひでぇ…でもらしい。(-_-;) いいところでよくも邪魔してくれましたね…?(ゴゴゴゴォ…) >> チッと舌打ちするゼロスを無視して、フィリアに話しかける。 >>「ライブまであと7分だぞ?」 >>「きゃあぁぁっ、大変っ!!」 >> スクッと立ちあがろうとしたが、少しよろめきかけたところをゼロスに支えられる。 >>「大丈夫ですか?」 >>「はい…平気です。」 >> 走りながら、いつもの笑顔を浮かべる…がゼロスにはわかっていた、少し無理した笑顔を作っていることを。 >>「フィリアさんっ。」 >> ゼロスはステージへ向かおうとしているフィリアを呼びとめる。 >>「絶対大丈夫、なおまじないしてあげますよ。」 >>「おまじない?」 >> ええvと微笑むとあっという間にフィリアを引き寄せ、頬に口付けする。 >おぉぉぉぉvやりますねぇvいつもいつも隙あらば…と狙ってるんでしょうか… はい、狙っております。 >>「なっ?!ななななっ…!」 >>「頑張ってらっしゃいv」 >>「……はいっ!」 >> 鮮やかな…“本物”の笑顔を浮かべて舞台へ消えていく彼女を見送り。 >>「さてと…僕は観客席に移りましょうかね。」 >> そうつぶやいたところで後ろからどす黒いオーラを自分に送る者がいるのに気付く。 >>「おやどうしました、ヴァル君?」 >>「てっ、テメェッ!何どさくさに紛れてフィリアにキ…」 >ヴァル君の目の前でやったのか…わざとだったりして… さっき邪魔してくれたお返しですよ。ってね☆ >>「…ずいぶん穏やかね。」 >> リナの問いかけにニッコリと微笑むゼロス。 >>「2日間おつかれさまでした。さあみなさん、いつものもんじゃ焼き屋で打ち上げでしょ?僕も後から向かいますんで、先に行っててくださいな。」 >>「ゼロス先生・・・あんたまさか…?」 >> 教室を出ようとしているゼロスにリナが声をかける。 >>「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 >> そう言い残して出ていった。リナは一筋の汗をつつーと流しながらフィリアに向かい、 >>「あんたもホントに…」 >>(末恐ろしいナイトを持ったもんね…。) >うわぁ…なんか企んでそぉ〜ホントに末恐ろしいナイトだこと… 誠に末恐ろしいです…。 >>「ほう、そんな勝負事のためだけに生徒会長を拉致監禁したりしたんですね?」 >>ザッ… >> 突然割りこんできた自分達以外の声の主の方に顔を向ける。 >>「ゼロス…先生……。」 >>「うちのクラスの、あるバンドの所有物を破損させ、メンバーである生徒会長を拉致監禁したのはあなた達ですね?…アルフレッドさん、カンヅェルさん?」 >>「な、…何のことですか、ゼロス先生…僕達はただ、優勝できなくて悔しいねって話をしてただけです。」 >> 一瞬慌てた様子も見せたが、冷静な返答に証拠のないこちらとしては更に問い詰めることは出来ない。 >>「ふむ…それでは、話を別件に移しましょう。」 >>「別件?」 >> 瞳に怪しげな光をたたえながら、静かに口を開く。 >>「はい。アルフレッドさん、カンヅェルさん…あなた方は今週を持って、退学処分とされます。」 >> 見せ付けられた、自分達の名前が書かれた退学処分書に、 >>「た、退学っ?!」 >>「なぜ…っ?!」 >> ゼロスは残酷な笑みを浮かべながら、 >>「先日あった、何の抵抗も出来ないホームレスに暴力を振るって逃走した若い二人組…実は写真に取られていた方がいましてね。これは…あなた達ですね?」 >> 差し出された写真には、紛れもない自分達の顔。 >恐るべきゼロス先生の秘密の情報ルート…彼に知らないことはないっ!て感じですねぇ… 実は裏の社会でも名の通ってる人だったりして…。 >>「おそらくもうすぐ警察の方が事情聴取にいらっしゃるでしょう。今までこんな大きな事件はありませんでしたし…あなた方は100年の歴史を持つスレイヤーズ学園の名に傷をつけた、として理事長自ら退学処分命令を下されました。」 >>「そ、そんな…。」 >>「何とかならないんですか、先生っ?!」 >>「何ともなりませんね。…自業自得でしょう?」 >> 普段、生徒には絶対見せることのない冷酷な瞳…それほどに、彼女を傷つけた罪は重い。 >> 本当は社会的立場すら奪い取ってやろうかとも考えたが…まだ未成年である彼らの社会的立場といっても、大したことはないので諦めることにした。 >>「せいぜい、一生懸命償ってください。」 >> 呆然と立ち尽くす2人を残し、その場を立ち去る。ネクタイを緩めながら溜め息一つ。 >>(久々にやっちゃいましたね…。もうこういう事はしないつもりでいたんですけど――。) >> 秋風が彼の髪をなびいていく…何となく、もの悲しい気分になった。 >フィリアさんを傷つけた輩には容赦ないですねっ! >愛故の暴走ですか〜 フィリアさんを傷つけようもんなら、暗殺でもなんでもしそうですね…このゼロスさん。 >>「ゼロス先生っ!」 >> ふいに自分の名を呼ぶ、何よりも愛しい声が。ゼロスは立ち止まって前方を見た。 >>「フィリアさん…。どうなさったんですか?打ち上げには…」 >>「はいっ、ゼロス先生と行こうと思って待ってたんです。」 >> 笑顔で走り寄ってくるフィリアを見て、急に壊してしまいたいほどに抱きしめたくなった。 >>ギュウゥゥ…ッ >> 次の瞬間、彼の身体は正直だった。今までにないほどに強く彼女を抱きしめる。 >>「ゼ、ゼロス先生…?」 >> いつもと違う抱かれ方に少し異変を感じはしたが、それでも大人しく彼の腕の中におさまっているフィリア。 >>「フィリアさんは…温かいですね……。」 >>「ゼロス先生も十分あったかいですよ?」 >> フィリアは担任教師のアメジスト色の瞳を見上げた。 >> 言いたいことがある…この人に。とっても簡単な言葉だけど、どうしても伝えたい事が。 >> ジーッと見つめられているのに気付いたのか、もともと近くにあった顔をさらに近づけて問いかける。 >>「僕の顔に何か付いてますか?」 >>「え?あ、ああああ、あの…えっと…ゼロス先生……」 >>「はい?」 >> 間近でその瞳に見つめられてドギマギしながらも、フィリアは小さく息を吸い、 >>「あのとき…助けに来てくれて、本当に…本当にありがとうございました。」 >> 頬を真っ赤にして自分を見上げる様は、何度見ても可愛らしいものがあり…。 >>「当然のことをしたまでですよ、僕は貴女のナイトですから。」 >> ギュッと抱きしめ、耳元で囁く。 >> >> 今ではもう、貴女が僕の世界の全てですから。 >> 貴女を失う以上の怖さなんて、僕にはありません。 >> >>「それじゃ、打ち上げ行きましょうかっ」 >>「はいっ!!」 >> >> 気づいた事が、あるんです。 >> あの狭い、薄暗い場所に閉じ込められていたとき、何よりも、誰よりも強く思っていたのは、今目の前にいるこの人でした――。 >> >> 2人を繋いでいる手の温もりが、彼らのありのままの気持ちだった。 >> 互いの想いに気付くまで、今はこの温もりを大切にしたいと―――。 >はぁぁぁぁぁっっvこのシーン大好きだったりっv >ゼロフィリスト至高のひととき第2弾〜っっv二人のラブラブは読んでてとっても幸せになりますっv 私も幸せv2人のイチャイチャばっかり書けるからvv(コラコラコラコラ。) >>===================================== >>ふぅ。長かったにょ〜っ! >>まだまだくっつかないところがまどろっこしいっ!(←自分で書いてるくせに…) >>ホントはあの犯人たち、アルフレッドとカンヅェルじゃなくて、カンヅェルとマゼンダにしようかと思ったんですけど…マゼンダさんには別のところで活躍していただくということで(笑)。 >>それでは、次の番外編は…体育祭っ!(いやっ、何コイツしつこいっ!!) >>気長に付き合ってくれる人いつでも待ってますvv >↑はいはいは〜い!!いくらでも付き合わさせて頂きまぁすっv(^.^)/ >お疲れさまです〜今回も期待に違わず、素晴らしい作品で感動しましたっv >そうですねvその早くくっつけよっ!てな関係が、また良かったりv >くっついたらくっついたで、またゼロス先生凄そうだし…所かまわず、抱きしめちゃったりしそう。…って今もそうか(笑) >きっとバカップル度はスゴイだろうなぁvそれもまた良しv←ヲイ ありがとうございますvvそれじゃあ、私は突っ走らせていただくことに…(コラ)。 一応生徒と教師ですからね。ゼロス先生は猛烈アプローチしてるけど、あんた仕事はちゃんとしてるのっ?ってたまに不安になります(笑)。たぶんカップルになってもゼロスはあいかわらずべっとりで、フィリアはあいかわらずのほほん…な気がします。って、今と変わらない〜っ!! >今から体育祭編がたのしみです♪ >それでは〜日和でしたぁ(^.^)/ 体育祭はやはり体育の日?十月中ごろかなぁ…。体育祭といえば肌と肌のふれあいネ、つまりはやはりふれあいまくる、ということ…。 ではでは、この辺で。葵芹香でしとゎ☆ |
4338 | 男は甲斐性!! | アガサ E-mail | 9/17-22:07 |
記事番号4317へのコメント 葵 芹香さんは No.4317「スクール・フェスティバル=ゼロフィリ学園物語番外編=」で書きました。 相思相愛のゼロフィリは読むのが楽しいです。 しかし、いつもながら、葵さんの書かれるゼロスは甲斐性がありますね。 > 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >(フィリアさん…?) > ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >「フィリアさん…。」 > 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 ナイト心得@ 何処にいても危険を察知し、救い出す。 > カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 > 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる ナイト心得A 精神的フォローを忘れない。 >「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 ナイト心得B ちっきり、相手にけじめをつける。 (落とし前をつけるとも、報復をするともいう) もうこのお話では上のお約束事が全部網羅されてて、ツボにはまり過ぎてます。 次は体育祭、楽しみです。 アガサ |
4348 | ナイトの称号。 | 葵 芹香 E-mail URL | 9/18-23:00 |
記事番号4338へのコメント アガサさんは No.4338「男は甲斐性!!」で書きました。 どうも、アガサさん。葵芹香です♪ > 相思相愛のゼロフィリは読むのが楽しいです。 >しかし、いつもながら、葵さんの書かれるゼロスは甲斐性がありますね。 全てはフィリアさんに対してのみ有効なんですけどね。 >> 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >>(フィリアさん…?) >> ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >>「フィリアさん…。」 >> 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 > > ナイト心得@ > 何処にいても危険を察知し、救い出す。 何故だか、こういうときって妙に勘が冴えちゃったりするんですよね。 >> カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >>「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 >> 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる > > ナイト心得A > 精神的フォローを忘れない。 大事な貴女に壊れられたら、僕も生きていけませんから。(byゼロス) >>「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 > > ナイト心得B > ちっきり、相手にけじめをつける。 > (落とし前をつけるとも、報復をするともいう) 彼女を傷つけた罪は、その身をもって償ってもらいましょうか・・・。って、闇を暗躍する狩人のように…。 > もうこのお話では上のお約束事が全部網羅されてて、ツボにはまり過ぎてます。 今回のお話のコンセプトは、「少女マンガを読みあさってれば、絶対どこかにこんな展開のマンガはあるだろう」(長い)ということでした。お約束事が網羅されていたなら、これはOKだったということで。 > 次は体育祭、楽しみです。 体育祭はどうなることやら。やはり肌と肌のふれあい?キャッvv 2人の仲が少しは発展するといいんですけどね☆ それでは、この辺で失礼します。 葵芹香 |
4358 | うん、長いお話でしたね。 | 珠捕ヶ 九音 E-mail | 9/19-23:39 |
記事番号4317へのコメント >どうも、葵芹香です。 >さんざん言ってきたゼロフィリ学園祭編です。 >乗りに乗って書いてたら(笑)、こんなに長くなっちゃいました。 >自分の中で最長記録?たぶん。 >それでは、本編へ♪ こんばんは、九音です。 学園祭編、ですね♪ノリにノって書いたら、最長記録になりましたか? そういうことも…ありますよね。 さて、さて… >「そうですね。明日もこのままだといいんですけど…あら、アメリアさんの浴衣は花火の柄?」 > そうフィリアに聞かれた彼女はクルリ、と一回りしてみせ、 >「そうなんですv黄色地に花火は合わないかな、と思ったんですけど。」 > アメリアが着ていた浴衣はオレンジがかった黄色で、裾のほうで鮮やかな花火が上がっていた。 >「そんなことないです、すごく合ってますよv」 >「ありがとうございます♪フィリアさんのも綺麗ですぅ〜v」 > フィリアの浴衣はオーソドックスな藍色で、大輪の百合の花が咲き誇っていた。彼女らが浴衣を着ていたのはやはり、駄菓子屋は浴衣、というイメージがあったからだろうか…クラスの女子全員が浴衣を羽織っていた。 >「ちょっと、あ・ん・た・達〜っ、んな喜んでる場合じゃないでしょ〜〜っ。」 > そこへずぉぉぉん、と現われたリナ。 >「あ、リナさんも似合ってますよv」 > リナの浴衣は水色、そこに真っ赤な金魚たちが泳いでいた。 いいなぁ、女の子達の浴衣・・・すごく「和」の風情がありますね。 何だかんだ言って皆さんとっても似合っているし… >「大丈夫ですよ、フィリアさんは僕が護りますしvリナさんもアメリアさんもナイトがいるでしょう?」 >―――… >「…ゼロスせんせぇ……。」 >「何です、リナさん。」 >「その、いきなり登場するのをやめろ〜〜っ!!」 > 仮にも担任の首を遠慮なく締め上げる。アメリアが慌てて、 >「リナさぁんっ、教師への暴力はよくないですぅ〜っ!」 > と止めようとするが、リナは更に腕に力をこめて小声で囁く。 >「それに普通、教師って生徒全員を護るとかって言わない?」 >「僕はフィリアさんが無事なら他のことなんて知ったこっちゃないですねっ!……あぁ、ちょっと苦しくなってきたかも……。」 そう、いきなりなご登場は心臓に悪い(笑)。 リナの言うことももっともだよね(九音もそう思う)。 それにホラ…そーんなまぬけな(?)事やっているから― > ようやく解放されたゼロスだったが、視線をふとフィリアにやるといつの間にか現われていたヴァルと楽しそうに話しているのが目に映った。 >「浴衣…綺麗だな……。」 >「ありがとうございますvヴァルさんもハッピが似合ってますよ♪」 > たわいない会話…だが彼には許せなかった、今ヴァルが口にした言葉は自分が一番に言うはずの台詞だったから。…だから、 …ヴァル君に先を越されるんだよ(笑)。 > 邪魔者がいなくなったところでゼロスは抱きしめていたフィリアを自分の方に向かせ、本当は一番に言いたかった言葉を告げる。 >「フィリアさん…その浴衣、すごく似合ってますよ…。」 >かぁぁっ… > あっという間に真っ赤に染まるフィリアの頬。ヴァルに言われた時は何ともなかったのに、どうしてこの人に言われるといつもこうなってしまうんだろう。 >「あっ、あ、ありがとう…ございます……ゼロスッ、先生…も…」 >「はい?」 > さっきは簡単に言えたのに、なかなかその短い台詞が出てこない。彼が着ているのは深緑…よりはカーキ色に近い、横縞模様のはいったった浴衣で、紫の髪とのコントラストも相成って、よく似合っていた。フィリアはやっとのことで、 >「その浴衣、とっても似合って…ます……。」 > 朱に染まった頬で上目遣いに自分を見る少女に、たまらない愛おしさを感じたゼロス。 >(ああ…浴衣持っててよかった……。) でも、それなりに美味しい思いはするのね(笑)。 >「はーい、いいところで悪いんだけど〜。」 > リナとアメリアは、ジーンときてるゼロスと赤くなってるフィリアの間に割って入り、 >「私達もう店番終わりましたから、これからガウリィさんとゼルガディスさんが出る(脅して出させた)、女装コンテストを見に行くんです。もちろんフィリアさんも行くんですけど…ゼロス先生はどうするんですか?」 >「あ、僕もそれに参加してるんで、会場まで一緒に行きますv」 >「「はぁぁっ?!」」 >「チャイナドレスでして…結構似合ってると思うんですけど?」 > 自分で似合ってると言うあたりがふてぶてしい…。 >「先生メチャメチャ乗り気…。」 >「ゼルガディスさん達は嫌々だったのに…。」 >「頑張ってください、ゼロス先生…。」 > 最初の2人のつぶやきは耳に入らなかったらしく、フィリアの声にだけ反応する。 >「フィリアさん…僕頑張ります、応援しててくださいねっ!」 > しっかり手を握って見詰め合う。 >「おーい、人の話聞いてるかー?」 > どうやらリナの呼びかけも聞こえてないらしかった。 そうか、チャイナ・・・ゼロス先生らしいですね。 > いくら鈍いフィリアにだってそれくらいの知識はある、『ペア』と名のつくものは大抵、恋人やごく親密な仲の者同士が身につけるものであると。 >「でも、私でいいんですか…?」 >「貴女が、いいんです。」 > 再び真っ赤になって俯いてしまうフィリア。ゼロスは微笑みながら見つめていた…が。 >「ゼ・ロ・ス・ちゃ〜ん…何ドサクサに紛れてフィリア口説いてんのかしら〜?」 >「リナさんっ!いいじゃないですか、僕は本…」 >「で、デザイン案がこんな感じになったんだけどフィリア、いい?」 >「ああ、いいんじゃないでしょうか、カッコイイし、可愛いしv」 >「んじゃオッケーね。すいませ〜ん、このデザインをさっき言ったサイズで5枚お願いしま〜すっ!!」 > 本気なのに〜〜っ!…言おうとした言葉は口から出る機会を失い、担任教師は静かに涙するのだった。 せっかくいい雰囲気、だったのにね(笑)。 >「C組のこの娘、可愛くねぇ?」 >「でも、こっちの赤い髪の娘もなかなか…」 >「やっぱり生徒会長がいいよな…。」 >(リナが一番だろっ♪) >(アメリアだよな…) > 投票こそはしないものの、やはり自分の彼女が一番だと心の中で確認する。 男って…そんなもの? >「えーっと、イスは…折りたたみでいいのかしら?」 > 倉庫のある場所は校舎の方の賑やかさとは打って変わって、誰もいないひっそりとした所だった。 > フィリアは薄暗い倉庫の中に足を一歩踏み入れた。 >「イスは…あ、あった。」 >ガラガラガラガラ……ガシャンッ! > 突然、一つしかない出入り口が勢いよくしまった。 >「えっ?!あ、あの中にいるんですけどーっ!!」 > 彼女の呼びかけにも答えず、ガチャガチャと鍵をかけている音がする。 >「あのーっ?!」 > ドンドンドンッ、と扉を叩いて外に存在を知らせようとする。 >「すいません…」 > 外から掛けられた声に反応してフィリアは叩くのを止める。 >「あなたは誰ですか?ここを開けてくださいっ!私は…」 >「すいません会長…ライブが終わるまでここにいてください。」 >「ちょっとっ?!」 > フィリアの呼びかけも空しく、遠ざかっていく足音。 >「どうしましょう…。」 > フィリアの焦りと裏腹に、刻々とライブ本番の時間は迫っていた。 うわー、フィリアさん、ぴぃんちっ! >「どうです、みなさん準備の方は?」 > 外来客などがあって、今日初めて彼らの前に姿を見せた担任教師の首をユサユサ揺さぶり、 >「あんたがどっかに拉致ったんじゃないでしょうねぇ〜〜っ?!」 >「何をです〜〜っ?!」 拉致は…しないんじゃあないかと。 あー、でも普段が普段だからぷちっとキレたらどーなるかわからない? 「フィリアさんは僕が必ず探して来ます!あなた達は心の準備をしててくださいっ!!」 > そう言って部屋から飛び出していった。廊下でヴァルとすれ違う。 >「お、おいゼロス?何そんなに急いでんだよっ?」 >「…フィリアさんがいなくなりました。」 >「何だとおぉ?!」 > ヴァルの反応など無視してゼロスは走り去ろうとする。 >「ちょっと待てよっ、オレも探すぜっ!!」 > 遠くなるゼロスの背中に一声かけて、彼とは反対の方向へ向かう。2人とも、フィリアを見つけ出すために。 愛されてますねー、フィリアさん…。 > 薄暗く、狭い倉庫の中…彼女の頬から涙が零れた。 >(暗いのは嫌、狭いのは嫌…暗いのも狭いのも恐いの!誰か私を見つけて、ここから連れ出して…。) >「…せ……」 > 無意識に彼女の口から零れ落ちた名は。 >「ゼロスせんせぇ……。」 いえ…フィリアさんにとっては災難以外の何物でもないんですけど… 何だか、フィリアさんすごく可愛いんですけれど。 >「―――?」 > 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >(フィリアさん…?) > ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >「フィリアさん…。」 > 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 愛ですね(笑)。 >「おい、フィリアッ?いるのかっ?!」 >「せんせ…い、ゼロス先生・・・?」 >「オレだ…ヴァルだよ。ゼロスは鍵を取りに行った、すぐに戻ってくるから…」 >「ゼロスッ、先生…、助け…て……。」 > 目の前にいるのはオレなのに、呼ぶのはアイツ…か。これで自分の気持ちに気付いてないってのはどういうことなんだか…。 ちょっと、ヴァル君には可哀想なんだけどね。 フィリアさん本当に鈍いから… その相手も変なところで鈍いみたいだけど(笑)。 >「フィリアさんっ!!」 > ヴァルが自嘲気味の笑みを浮かべていたところに、ゼロスが鍵を持って戻ってくる。 > コイツもコイツで鈍いよな…だから、邪魔のしがいがあるってもんだ。真剣な表情で鍵を開ける担任教師を眺めながら。 邪魔、するんですか? >「フィリアさんっ!!」 >「フィリアッ!!」 > 見慣れた教師とクラスメートが自分の名を呼ぶ。フィリアは迷うことなく、担任教師の胸に飛び込んだ。 >「フィリアさんっ!」 > ゼロスは少し驚きながら、それでもしっかり彼女を抱き止める。 >「恐かっ……ふっ…」 > カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 > 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる。 >「――いい加減オレを無視しないで欲しいんだが…。」 > 横から掛けられた声にゼロスの胸元からバッと飛びのくフィリア。 >「あ…ヴァルさん……。」 >「いたんですか?」 > チッと舌打ちするゼロスを無視して、フィリアに話しかける。 今回ひたすら美味しいですよね?ゼロス先生。 ゼロフィリストな九音としては嬉しい限り! >「フィリアさんっ。」 > ゼロスはステージへ向かおうとしているフィリアを呼びとめる。 >「絶対大丈夫、なおまじないしてあげますよ。」 >「おまじない?」 > ええvと微笑むとあっという間にフィリアを引き寄せ、頬に口付けする。 >「なっ?!ななななっ…!」 >「頑張ってらっしゃいv」 >「……はいっ!」 > 鮮やかな…“本物”の笑顔を浮かべて舞台へ消えていく彼女を見送り。 とても効果覿面なおまじないなのね(笑)? > 彼らがほぼ満席に近い中からようやく空いているイスを見つけて席に着いた時、ちょうどフィリアが歌い始めていた。ゼロス達の姿を見つけると、うれしそうな笑顔を向けて歌っていた。 フィリアさんの視力も結構良いんでしょうか? >「何で生徒会長がここに…っ?!」 >「そんな、鍵はちゃんと…っ!」 > 脇の方にいた2人組が、動揺しながら小声で話しているのがゼロスの耳に入った。ちらりと視線を向けると茶髪の優男と緑の髪のツンツン男…。 >(やはりあなた達でしたか…。) > ギュッと拳を握り締める。それは犯人に対する怒り、犯人像が何となく浮かんではいたものの護りきれなかった自分自身に対する怒り、であった。 ゼロス先生ってば地獄耳? そして、このままで済ませないのが、彼ですよね? 犯人達もお気の毒なことで… >「まあまあ、フィリアさんが無事だったんですからいいじゃないですか。」 > メラメラ燃えてるアメリアとリナの間に割って入り、なだめる。 >「…ずいぶん穏やかね。」 > リナの問いかけにニッコリと微笑むゼロス。 >「2日間おつかれさまでした。さあみなさん、いつものもんじゃ焼き屋で打ち上げでしょ?僕も後から向かいますんで、先に行っててくださいな。」 >「ゼロス先生・・・あんたまさか…?」 > 教室を出ようとしているゼロスにリナが声をかける。 >「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 > そう言い残して出ていった。リナは一筋の汗をつつーと流しながらフィリアに向かい、 >「あんたもホントに…」 >(末恐ろしいナイトを持ったもんね…。) > 告げようとした言葉はまだ言うべきではないと悟ったのか、そこで押し留めたリナ。 末恐ろしいナイト、もなんですが… とにかくゼロス先生を敵に回した人は不幸ですね。 >「ふむ…それでは、話を別件に移しましょう。」 >「別件?」 > 瞳に怪しげな光をたたえながら、静かに口を開く。 >「はい。アルフレッドさん、カンヅェルさん…あなた方は今週を持って、退学処分とされます。」 > 見せ付けられた、自分達の名前が書かれた退学処分書に、 >「た、退学っ?!」 >「なぜ…っ?!」 > ゼロスは残酷な笑みを浮かべながら、 >「先日あった、何の抵抗も出来ないホームレスに暴力を振るって逃走した若い二人組…実は写真に取られていた方がいましてね。これは…あなた達ですね?」 > 差し出された写真には、紛れもない自分達の顔。 >「おそらくもうすぐ警察の方が事情聴取にいらっしゃるでしょう。今までこんな大きな事件はありませんでしたし…あなた方は100年の歴史を持つスレイヤーズ学園の名に傷をつけた、として理事長自ら退学処分命令を下されました。」 >「そ、そんな…。」 >「何とかならないんですか、先生っ?!」 >「何ともなりませんね。…自業自得でしょう?」 > 普段、生徒には絶対見せることのない冷酷な瞳…それほどに、彼女を傷つけた罪は重い。 > 本当は社会的立場すら奪い取ってやろうかとも考えたが…まだ未成年である彼らの社会的立場といっても、大したことはないので諦めることにした。 >「せいぜい、一生懸命償ってください。」 > 呆然と立ち尽くす2人を残し、その場を立ち去る。ネクタイを緩めながら溜め息一つ。 >(久々にやっちゃいましたね…。もうこういう事はしないつもりでいたんですけど――。) > 秋風が彼の髪をなびいていく…何となく、もの悲しい気分になった。 ゼロス先生ってやっぱり…得体が知れない奥の深いヒト、なんですね? >「ゼロス先生っ!」 > ふいに自分の名を呼ぶ、何よりも愛しい声が。ゼロスは立ち止まって前方を見た。 >「フィリアさん…。どうなさったんですか?打ち上げには…」 >「はいっ、ゼロス先生と行こうと思って待ってたんです。」 > 笑顔で走り寄ってくるフィリアを見て、急に壊してしまいたいほどに抱きしめたくなった。 >ギュウゥゥ…ッ > 次の瞬間、彼の身体は正直だった。今までにないほどに強く彼女を抱きしめる。 >「ゼ、ゼロス先生…?」 > いつもと違う抱かれ方に少し異変を感じはしたが、それでも大人しく彼の腕の中におさまっているフィリア。 >「フィリアさんは…温かいですね……。」 >「ゼロス先生も十分あったかいですよ?」 > フィリアは担任教師のアメジスト色の瞳を見上げた。 > 言いたいことがある…この人に。とっても簡単な言葉だけど、どうしても伝えたい事が。 > ジーッと見つめられているのに気付いたのか、もともと近くにあった顔をさらに近づけて問いかける。 >「僕の顔に何か付いてますか?」 >「え?あ、ああああ、あの…えっと…ゼロス先生……」 >「はい?」 > 間近でその瞳に見つめられてドギマギしながらも、フィリアは小さく息を吸い、 >「あのとき…助けに来てくれて、本当に…本当にありがとうございました。」 > 頬を真っ赤にして自分を見上げる様は、何度見ても可愛らしいものがあり…。 >「当然のことをしたまでですよ、僕は貴女のナイトですから。」 > ギュッと抱きしめ、耳元で囁く。 > > 今ではもう、貴女が僕の世界の全てですから。 > 貴女を失う以上の怖さなんて、僕にはありません。 > >「それじゃ、打ち上げ行きましょうかっ」 >「はいっ!!」 > > 気づいた事が、あるんです。 > あの狭い、薄暗い場所に閉じ込められていたとき、何よりも、誰よりも強く思っていたのは、今目の前にいるこの人でした――。 > > 2人を繋いでいる手の温もりが、彼らのありのままの気持ちだった。 > 互いの想いに気付くまで、今はこの温もりを大切にしたいと―――。 もう、とことんゼロフィリ、でしたね♪ 読んでいて、とても幸せでした。 次の番外編は体育祭、だそうですがその前に別な 日常生活のお話の予定はないんですか? 葵さんの次回作、気長に楽しみにお待ちしていますね。 それではこの辺で。 |
4359 | そう、気付くと長かったんですね。 | 葵 芹香 E-mail URL | 9/20-00:33 |
記事番号4358へのコメント 珠捕ヶ 九音さんは No.4358「うん、長いお話でしたね。」で書きました。 >こんばんは、九音です。 >学園祭編、ですね♪ノリにノって書いたら、最長記録になりましたか? >そういうことも…ありますよね。 どうもこんばんわ、九音さんvそう、そういうこともあるんですよ…というか、そういうことがあることを知った(←今更)。 >>「そうですね。明日もこのままだといいんですけど…あら、アメリアさんの浴衣は花火の柄?」 >> そうフィリアに聞かれた彼女はクルリ、と一回りしてみせ、 >>「そうなんですv黄色地に花火は合わないかな、と思ったんですけど。」 >> アメリアが着ていた浴衣はオレンジがかった黄色で、裾のほうで鮮やかな花火が上がっていた。 >>「そんなことないです、すごく合ってますよv」 >>「ありがとうございます♪フィリアさんのも綺麗ですぅ〜v」 >> フィリアの浴衣はオーソドックスな藍色で、大輪の百合の花が咲き誇っていた。彼女らが浴衣を着ていたのはやはり、駄菓子屋は浴衣、というイメージがあったからだろうか…クラスの女子全員が浴衣を羽織っていた。 >>「ちょっと、あ・ん・た・達〜っ、んな喜んでる場合じゃないでしょ〜〜っ。」 >> そこへずぉぉぉん、と現われたリナ。 >>「あ、リナさんも似合ってますよv」 >> リナの浴衣は水色、そこに真っ赤な金魚たちが泳いでいた。 > >いいなぁ、女の子達の浴衣・・・すごく「和」の風情がありますね。 >何だかんだ言って皆さんとっても似合っているし… ホントはそのカッコで金魚すくいして欲しかった…んだけど、学校のお祭りではちょっと無理がありまして。 >>「大丈夫ですよ、フィリアさんは僕が護りますしvリナさんもアメリアさんもナイトがいるでしょう?」 >>―――… >>「…ゼロスせんせぇ……。」 >>「何です、リナさん。」 >>「その、いきなり登場するのをやめろ〜〜っ!!」 >> 仮にも担任の首を遠慮なく締め上げる。アメリアが慌てて、 >>「リナさぁんっ、教師への暴力はよくないですぅ〜っ!」 >> と止めようとするが、リナは更に腕に力をこめて小声で囁く。 >>「それに普通、教師って生徒全員を護るとかって言わない?」 >>「僕はフィリアさんが無事なら他のことなんて知ったこっちゃないですねっ!……あぁ、ちょっと苦しくなってきたかも……。」 > >そう、いきなりなご登場は心臓に悪い(笑)。 >リナの言うことももっともだよね(九音もそう思う)。 >それにホラ…そーんなまぬけな(?)事やっているから― ここでは瞬間移動できないくせに、なぜかひょっこり現われる…やっぱりゴキブリッ?! >> ようやく解放されたゼロスだったが、視線をふとフィリアにやるといつの間にか現われていたヴァルと楽しそうに話しているのが目に映った。 >>「浴衣…綺麗だな……。」 >>「ありがとうございますvヴァルさんもハッピが似合ってますよ♪」 >> たわいない会話…だが彼には許せなかった、今ヴァルが口にした言葉は自分が一番に言うはずの台詞だったから。…だから、 > >…ヴァル君に先を越されるんだよ(笑)。 はっはっはっ。ヴァル君があんまりにもかわいそうなんで、ちょっとくらいはいい目にあわせてやろうと思ってはいるんですが、やはりかわいそうな役どころ。 >> 邪魔者がいなくなったところでゼロスは抱きしめていたフィリアを自分の方に向かせ、本当は一番に言いたかった言葉を告げる。 >>「フィリアさん…その浴衣、すごく似合ってますよ…。」 >>かぁぁっ… >> あっという間に真っ赤に染まるフィリアの頬。ヴァルに言われた時は何ともなかったのに、どうしてこの人に言われるといつもこうなってしまうんだろう。 >>「あっ、あ、ありがとう…ございます……ゼロスッ、先生…も…」 >>「はい?」 >> さっきは簡単に言えたのに、なかなかその短い台詞が出てこない。彼が着ているのは深緑…よりはカーキ色に近い、横縞模様のはいったった浴衣で、紫の髪とのコントラストも相成って、よく似合っていた。フィリアはやっとのことで、 >>「その浴衣、とっても似合って…ます……。」 >> 朱に染まった頬で上目遣いに自分を見る少女に、たまらない愛おしさを感じたゼロス。 >>(ああ…浴衣持っててよかった……。) > >でも、それなりに美味しい思いはするのね(笑)。 ええv何たってゼロス先生ですから(←?)。 >>「はーい、いいところで悪いんだけど〜。」 >> リナとアメリアは、ジーンときてるゼロスと赤くなってるフィリアの間に割って入り、 >>「私達もう店番終わりましたから、これからガウリィさんとゼルガディスさんが出る(脅して出させた)、女装コンテストを見に行くんです。もちろんフィリアさんも行くんですけど…ゼロス先生はどうするんですか?」 >>「あ、僕もそれに参加してるんで、会場まで一緒に行きますv」 >>「「はぁぁっ?!」」 >>「チャイナドレスでして…結構似合ってると思うんですけど?」 >> 自分で似合ってると言うあたりがふてぶてしい…。 >>「先生メチャメチャ乗り気…。」 >>「ゼルガディスさん達は嫌々だったのに…。」 >>「頑張ってください、ゼロス先生…。」 >> 最初の2人のつぶやきは耳に入らなかったらしく、フィリアの声にだけ反応する。 >>「フィリアさん…僕頑張ります、応援しててくださいねっ!」 >> しっかり手を握って見詰め合う。 >>「おーい、人の話聞いてるかー?」 >> どうやらリナの呼びかけも聞こえてないらしかった。 > >そうか、チャイナ・・・ゼロス先生らしいですね。 ゼロス+女装=チャイナという方程式が成り立っているあたりが…。 >> いくら鈍いフィリアにだってそれくらいの知識はある、『ペア』と名のつくものは大抵、恋人やごく親密な仲の者同士が身につけるものであると。 >>「でも、私でいいんですか…?」 >>「貴女が、いいんです。」 >> 再び真っ赤になって俯いてしまうフィリア。ゼロスは微笑みながら見つめていた…が。 >>「ゼ・ロ・ス・ちゃ〜ん…何ドサクサに紛れてフィリア口説いてんのかしら〜?」 >>「リナさんっ!いいじゃないですか、僕は本…」 >>「で、デザイン案がこんな感じになったんだけどフィリア、いい?」 >>「ああ、いいんじゃないでしょうか、カッコイイし、可愛いしv」 >>「んじゃオッケーね。すいませ〜ん、このデザインをさっき言ったサイズで5枚お願いしま〜すっ!!」 >> 本気なのに〜〜っ!…言おうとした言葉は口から出る機会を失い、担任教師は静かに涙するのだった。 > >せっかくいい雰囲気、だったのにね(笑)。 ねぇ。…ただ、そこで本気だって言ってもきっとフィリアは気付かないでしょうけど(笑)。 >>「C組のこの娘、可愛くねぇ?」 >>「でも、こっちの赤い髪の娘もなかなか…」 >>「やっぱり生徒会長がいいよな…。」 >>(リナが一番だろっ♪) >>(アメリアだよな…) >> 投票こそはしないものの、やはり自分の彼女が一番だと心の中で確認する。 > >男って…そんなもの? う〜ん…?私もあんまりわからない…。 >>「えーっと、イスは…折りたたみでいいのかしら?」 >> 倉庫のある場所は校舎の方の賑やかさとは打って変わって、誰もいないひっそりとした所だった。 >> フィリアは薄暗い倉庫の中に足を一歩踏み入れた。 >>「イスは…あ、あった。」 >>ガラガラガラガラ……ガシャンッ! >> 突然、一つしかない出入り口が勢いよくしまった。 >>「えっ?!あ、あの中にいるんですけどーっ!!」 >> 彼女の呼びかけにも答えず、ガチャガチャと鍵をかけている音がする。 >>「あのーっ?!」 >> ドンドンドンッ、と扉を叩いて外に存在を知らせようとする。 >>「すいません…」 >> 外から掛けられた声に反応してフィリアは叩くのを止める。 >>「あなたは誰ですか?ここを開けてくださいっ!私は…」 >>「すいません会長…ライブが終わるまでここにいてください。」 >>「ちょっとっ?!」 >> フィリアの呼びかけも空しく、遠ざかっていく足音。 >>「どうしましょう…。」 >> フィリアの焦りと裏腹に、刻々とライブ本番の時間は迫っていた。 > >うわー、フィリアさん、ぴぃんちっ! ピンチもピンチ、大ピーンチ!です。時間せまってるし、狭いトコ嫌だし。 >>「どうです、みなさん準備の方は?」 >> 外来客などがあって、今日初めて彼らの前に姿を見せた担任教師の首をユサユサ揺さぶり、 >>「あんたがどっかに拉致ったんじゃないでしょうねぇ〜〜っ?!」 >>「何をです〜〜っ?!」 > >拉致は…しないんじゃあないかと。 >あー、でも普段が普段だからぷちっとキレたらどーなるかわからない? そう…うちのゼロスさんって、キレると強引な手段に出る・・・そんなタイプの人です(汗)。 >>「フィリアさんは僕が必ず探して来ます!あなた達は心の準備をしててくださいっ!!」 >> そう言って部屋から飛び出していった。廊下でヴァルとすれ違う。 >>「お、おいゼロス?何そんなに急いでんだよっ?」 >>「…フィリアさんがいなくなりました。」 >>「何だとおぉ?!」 >> ヴァルの反応など無視してゼロスは走り去ろうとする。 >>「ちょっと待てよっ、オレも探すぜっ!!」 >> 遠くなるゼロスの背中に一声かけて、彼とは反対の方向へ向かう。2人とも、フィリアを見つけ出すために。 > >愛されてますねー、フィリアさん…。 いいですねー、ナイトが2人も控えてて。 >> 薄暗く、狭い倉庫の中…彼女の頬から涙が零れた。 >>(暗いのは嫌、狭いのは嫌…暗いのも狭いのも恐いの!誰か私を見つけて、ここから連れ出して…。) >>「…せ……」 >> 無意識に彼女の口から零れ落ちた名は。 >>「ゼロスせんせぇ……。」 > >いえ…フィリアさんにとっては災難以外の何物でもないんですけど… >何だか、フィリアさんすごく可愛いんですけれど。 そうですね。普段おっとりしてるところに、たまにこんな泣きじゃくるところもvv >>「―――?」 >> 校舎3階廊下を走っていたゼロスは、ふと誰かに呼ばれた気がして立ち止まる。 >>(フィリアさん…?) >> ほとんど意識せずに、窓の外に目をやる。そこに映ったのは…倉庫。 >>「フィリアさん…。」 >> 彼の足は自然と裏庭へと向いて行った。 > >愛ですね(笑)。 愛ですねv以心伝心ですか。 >>「おい、フィリアッ?いるのかっ?!」 >>「せんせ…い、ゼロス先生・・・?」 >>「オレだ…ヴァルだよ。ゼロスは鍵を取りに行った、すぐに戻ってくるから…」 >>「ゼロスッ、先生…、助け…て……。」 >> 目の前にいるのはオレなのに、呼ぶのはアイツ…か。これで自分の気持ちに気付いてないってのはどういうことなんだか…。 > >ちょっと、ヴァル君には可哀想なんだけどね。 >フィリアさん本当に鈍いから… >その相手も変なところで鈍いみたいだけど(笑)。 あ、本当にヴァル君には悪いと思ってます。…でもこういう展開を止めようとは一欠けらも思ってないので(オイ)、これからも…頑張ってください(お前は鬼か)。 ホント、いい加減気付けよっ!ってくらい2人とも鈍いんですけど、だんだんと、ちょっとずつ、進行していけてたら…いいなぁ。 >>「フィリアさんっ!!」 >> ヴァルが自嘲気味の笑みを浮かべていたところに、ゼロスが鍵を持って戻ってくる。 >> コイツもコイツで鈍いよな…だから、邪魔のしがいがあるってもんだ。真剣な表情で鍵を開ける担任教師を眺めながら。 > >邪魔、するんですか? 邪魔というか、もはやからかいというか…ひょっとしたら、最終的には2人のキューピットになっちゃうかもしれませんね。…本当に可哀想な役どころ…。 >>「フィリアさんっ!!」 >>「フィリアッ!!」 >> 見慣れた教師とクラスメートが自分の名を呼ぶ。フィリアは迷うことなく、担任教師の胸に飛び込んだ。 >>「フィリアさんっ!」 >> ゼロスは少し驚きながら、それでもしっかり彼女を抱き止める。 >>「恐かっ……ふっ…」 >> カタカタと小さく震えている少女を大層愛おしそうに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。 >>「フィリアさん、大丈夫ですよ…僕はここにいます、貴女の側にいますから――。」 >> 腕の中で、段々と落ちついていく彼女の呼吸を確かめて、涙の跡を優しく拭い、もう一度抱きしめる。 >>「――いい加減オレを無視しないで欲しいんだが…。」 >> 横から掛けられた声にゼロスの胸元からバッと飛びのくフィリア。 >>「あ…ヴァルさん……。」 >>「いたんですか?」 >> チッと舌打ちするゼロスを無視して、フィリアに話しかける。 > >今回ひたすら美味しいですよね?ゼロス先生。 >ゼロフィリストな九音としては嬉しい限り! はいっ、美味しくなるように仕向けましたからっ! >>「フィリアさんっ。」 >> ゼロスはステージへ向かおうとしているフィリアを呼びとめる。 >>「絶対大丈夫、なおまじないしてあげますよ。」 >>「おまじない?」 >> ええvと微笑むとあっという間にフィリアを引き寄せ、頬に口付けする。 >>「なっ?!ななななっ…!」 >>「頑張ってらっしゃいv」 >>「……はいっ!」 >> 鮮やかな…“本物”の笑顔を浮かべて舞台へ消えていく彼女を見送り。 > >とても効果覿面なおまじないなのね(笑)? そうみたいです(笑)。あれが唇にいってたらどうなったかはわかりませんけどっ!! >> 彼らがほぼ満席に近い中からようやく空いているイスを見つけて席に着いた時、ちょうどフィリアが歌い始めていた。ゼロス達の姿を見つけると、うれしそうな笑顔を向けて歌っていた。 > >フィリアさんの視力も結構良いんでしょうか? ん〜、どうでしょう?ああ、そうか観客席って暗いもんですよね…(今更気付く)。 >>「何で生徒会長がここに…っ?!」 >>「そんな、鍵はちゃんと…っ!」 >> 脇の方にいた2人組が、動揺しながら小声で話しているのがゼロスの耳に入った。ちらりと視線を向けると茶髪の優男と緑の髪のツンツン男…。 >>(やはりあなた達でしたか…。) >> ギュッと拳を握り締める。それは犯人に対する怒り、犯人像が何となく浮かんではいたものの護りきれなかった自分自身に対する怒り、であった。 > >ゼロス先生ってば地獄耳? >そして、このままで済ませないのが、彼ですよね? >犯人達もお気の毒なことで… …かも。悪口とか、1キロ離れてても聞こえてそう…(ヒイッ!)。そう、そうですこのままで済まさないのが彼です。まあ、人生狂わされなくて済んだみたいですけど…。 >>「まあまあ、フィリアさんが無事だったんですからいいじゃないですか。」 >> メラメラ燃えてるアメリアとリナの間に割って入り、なだめる。 >>「…ずいぶん穏やかね。」 >> リナの問いかけにニッコリと微笑むゼロス。 >>「2日間おつかれさまでした。さあみなさん、いつものもんじゃ焼き屋で打ち上げでしょ?僕も後から向かいますんで、先に行っててくださいな。」 >>「ゼロス先生・・・あんたまさか…?」 >> 教室を出ようとしているゼロスにリナが声をかける。 >>「…あとは僕に任せておいてくださいな?」 >> そう言い残して出ていった。リナは一筋の汗をつつーと流しながらフィリアに向かい、 >>「あんたもホントに…」 >>(末恐ろしいナイトを持ったもんね…。) >> 告げようとした言葉はまだ言うべきではないと悟ったのか、そこで押し留めたリナ。 > >末恐ろしいナイト、もなんですが… >とにかくゼロス先生を敵に回した人は不幸ですね。 ですね。ゼロス先生には何もしなくても、フィリアさんに何かしようもんなら、文字通り地獄を見させられちゃいますよ。 >>「ふむ…それでは、話を別件に移しましょう。」 >>「別件?」 >> 瞳に怪しげな光をたたえながら、静かに口を開く。 >>「はい。アルフレッドさん、カンヅェルさん…あなた方は今週を持って、退学処分とされます。」 >> 見せ付けられた、自分達の名前が書かれた退学処分書に、 >>「た、退学っ?!」 >>「なぜ…っ?!」 >> ゼロスは残酷な笑みを浮かべながら、 >>「先日あった、何の抵抗も出来ないホームレスに暴力を振るって逃走した若い二人組…実は写真に取られていた方がいましてね。これは…あなた達ですね?」 >> 差し出された写真には、紛れもない自分達の顔。 >>「おそらくもうすぐ警察の方が事情聴取にいらっしゃるでしょう。今までこんな大きな事件はありませんでしたし…あなた方は100年の歴史を持つスレイヤーズ学園の名に傷をつけた、として理事長自ら退学処分命令を下されました。」 >>「そ、そんな…。」 >>「何とかならないんですか、先生っ?!」 >>「何ともなりませんね。…自業自得でしょう?」 >> 普段、生徒には絶対見せることのない冷酷な瞳…それほどに、彼女を傷つけた罪は重い。 >> 本当は社会的立場すら奪い取ってやろうかとも考えたが…まだ未成年である彼らの社会的立場といっても、大したことはないので諦めることにした。 >>「せいぜい、一生懸命償ってください。」 >> 呆然と立ち尽くす2人を残し、その場を立ち去る。ネクタイを緩めながら溜め息一つ。 >>(久々にやっちゃいましたね…。もうこういう事はしないつもりでいたんですけど――。) >> 秋風が彼の髪をなびいていく…何となく、もの悲しい気分になった。 > >ゼロス先生ってやっぱり…得体が知れない奥の深いヒト、なんですね? 教師になる前に結構危険な裏の仕事してたりとか。ヒイィ、やっぱりこの先生末恐ろしいっ! >>「ゼロス先生っ!」 >> ふいに自分の名を呼ぶ、何よりも愛しい声が。ゼロスは立ち止まって前方を見た。 >>「フィリアさん…。どうなさったんですか?打ち上げには…」 >>「はいっ、ゼロス先生と行こうと思って待ってたんです。」 >> 笑顔で走り寄ってくるフィリアを見て、急に壊してしまいたいほどに抱きしめたくなった。 >>ギュウゥゥ…ッ >> 次の瞬間、彼の身体は正直だった。今までにないほどに強く彼女を抱きしめる。 >>「ゼ、ゼロス先生…?」 >> いつもと違う抱かれ方に少し異変を感じはしたが、それでも大人しく彼の腕の中におさまっているフィリア。 >>「フィリアさんは…温かいですね……。」 >>「ゼロス先生も十分あったかいですよ?」 >> フィリアは担任教師のアメジスト色の瞳を見上げた。 >> 言いたいことがある…この人に。とっても簡単な言葉だけど、どうしても伝えたい事が。 >> ジーッと見つめられているのに気付いたのか、もともと近くにあった顔をさらに近づけて問いかける。 >>「僕の顔に何か付いてますか?」 >>「え?あ、ああああ、あの…えっと…ゼロス先生……」 >>「はい?」 >> 間近でその瞳に見つめられてドギマギしながらも、フィリアは小さく息を吸い、 >>「あのとき…助けに来てくれて、本当に…本当にありがとうございました。」 >> 頬を真っ赤にして自分を見上げる様は、何度見ても可愛らしいものがあり…。 >>「当然のことをしたまでですよ、僕は貴女のナイトですから。」 >> ギュッと抱きしめ、耳元で囁く。 >> >> 今ではもう、貴女が僕の世界の全てですから。 >> 貴女を失う以上の怖さなんて、僕にはありません。 >> >>「それじゃ、打ち上げ行きましょうかっ」 >>「はいっ!!」 >> >> 気づいた事が、あるんです。 >> あの狭い、薄暗い場所に閉じ込められていたとき、何よりも、誰よりも強く思っていたのは、今目の前にいるこの人でした――。 >> >> 2人を繋いでいる手の温もりが、彼らのありのままの気持ちだった。 >> 互いの想いに気付くまで、今はこの温もりを大切にしたいと―――。 > >もう、とことんゼロフィリ、でしたね♪ >読んでいて、とても幸せでした。 とことんゼロフィリにしましたからvというか、書いてる方の私も幸せvv 何かこう、充実してるなぁ〜って気分ですね☆ >次の番外編は体育祭、だそうですがその前に別な >日常生活のお話の予定はないんですか? >葵さんの次回作、気長に楽しみにお待ちしていますね。 はい、日常生活のほうもありますよvでもとりあえずは(私信ですが)HPのほうのリクエスト、かなっ。ああ…ゼロフィリ三昧…万歳……。 >この辺で失礼させていただきます…それではまた♪ |