◆−クラヴィスくん家のお家事情5−ねんねこ(9/20-18:25)No.4365 ┣Re:クラヴィスくん家のお家事情5−桜井 ゆかり(9/20-19:11)No.4368 ┃┗あああ、返事遅くてごめんにょ(涙)−ねんねこ(9/22-15:07)No.4387 ┣クラヴィスくん家のお家事情6−ねんねこ(9/20-21:35)No.4370 ┃┣パパりん・・・v−雫石彼方(9/21-04:15)No.4378 ┃┃┗気がつけば、パパりん呼び方定着してるし(笑)−ねんねこ(9/22-15:08)No.4388 ┃┗Re:クラヴィスくん家のお家事情6−笹森 明日香(9/22-19:11)No.4400 ┃ ┗遅れてごめんなさい。でも、小話のおまけつきvv−ねんねこ(9/26-13:56)NEWNo.4447 ┣クラヴィスくん家のお家事情7−ねんねこ(9/26-20:15)NEWNo.4450 ┗クラヴィスくん家のお家事情8−ねんねこ(9/27-18:13)NEWNo.4464
4365 | クラヴィスくん家のお家事情5 | ねんねこ E-mail | 9/20-18:25 |
ねんねこです。続きです。途中からの方は過去の記事か著作別で初めから読んでいただけると嬉しいです。今までのあらすじは書けません(涙)書けって言われても無理です(死)というわけで、どーぞ。 「もう絶交だ、絶交っ! 誰が何をどう言おうとあいつとはもう絶交だっ! 泣いて謝ってきたって、土下座して、崖っぷちから命綱なしバンジージャンプするまで絶対許さねぇっ!」 どすどすと音が聞こえてきそうなくらい強く足を地面に打ちつけて、ゼルガディスはディルス王国領に向かう街道を歩いてきた。 「だいたい『足手まとい』だっ!? お前だって似たようなもんじゃねぇかっ! いかに辛い訓練から逃げ出そうかに命かけてたくせによく言いやがるっ!」 隣では、アメリアがゆっくりとした足取りでついてきていたが、その顔には苦笑いが刻まれていた。 (命綱なしバンジージャンプって……クラヴィスさんに『死ね』って言ってるのよね……きっと……) セイルーン・シティから旅立って、半日。 棚からボタモチ、かくまってもらっていたシルフィールの伯父から『レゾの研究所がシグムーンにあると聞いたことがある』と偶然にも情報を手に入れたゼルガディスとアメリアはそこに向かって旅をしていた。が、いつもは『レゾの研究所』と言うだけで自分を無視したすごい速さの足取りが、今回に限っては遅い。ゼルガディス自身は気付いていないようだったが。 (素直じゃないんだから) 半日中、何かの鬱憤を晴らすがごとくにクラヴィスの秘密を大声で暴露しまくっているゼルガディスにアメリアはくすりと笑った。 と。 隣のゼルガディスが急に静かになり、ぴたりと止まった。急に止まったので、隣にいたアメリアは彼より数歩先で止まり、彼の方に振り返った。苦虫を噛み潰したような顔をして、ゼルガディスはシグムーン・シティがある方を見た。 彼が何を言おうとしているのかはわかっている。アメリアは思わず声に出して笑って、とりあえず声をかけてみる。 「どうしたんですか? ゼルガディスさん」 「……なんかやけに嬉しそうだな、お前……」 「にゃは。出会って3年目にしてようやくゼルガディスさんの行動パターンが掴めてきました」 「……お前の行動パターンは全く掴めないがな」 ゼルガディスは皮肉交じりに呟いた。正確には、『肝心なところの行動パターンが掴めない』だが。普段の彼女の行動パターンは異常なほどに単純だ。ゼルガディスには3日もあれば完全に網羅できた。 深くため息をついて、ゼルガディスが言った。 「忘れ物をした」 「はいはい」 アメリアは笑って、元来た道を引き返した。 マードック=ヴァレンタインが『その事』に気付いたのは、正当なるヴァレンタインの血をひいた妻が遺した日記を読んだときだった。全身の血がひいていくのが、自分でも分かった。 『どうか。どうか、ヴァレンタインの血を絶やさないで。どうかヴァレンタインの誇りをなくさないで』 最後の一文と共にその日記にはすべての真実が書かれていた。 マードックは頭の中で何かが崩れる音を聞いた。 自分の完全なる計画が崩れる音。 (冗談じゃない。折角ここまで来たのだ!) 邪魔されてなるものか。 マードックは日記を暖炉に放り込むとそのまま暖炉に火を入れた。 あっけなく燃えていく隠された真実を見つめながらマードックは笑った。 それを廊下のドアの隙間から見つめて―― ウィルフレッドは懐から封筒を取り出した。 『たった一人の愛する息子へ』 あの日記にはさまれていた自分宛ての手紙を抱きしめて、ウィルフレッドは心に誓った。 あの男に天罰を―― 頭痛は時間が経てば経つほどに酷くなっていった。 火照った顔を冷ますために顔を洗っては見たが、あんまり効果はなかった。柄もなく泣いたせいで腫れ上がった目のしたは何とか誤魔化すことは出来たが。 ふらふらとした足つきで、クラヴィスは自分の部屋に戻り、ベッドに寝っ転がえろうとして――窓の外にいる人影に足を止めた。 見覚えのある巫女姿の女性。 シルフィールだった。 彼女は、クラヴィスにぱたぱたと手招きすると、敷地を囲む柵の間に封筒をはさんだ。そのまま彼女は会釈して、自分の家の方へ小走りしていった。 「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいね」 などと独り言をもらしつつ、再び部屋を出てやはりふらふらとした足つきで一階に降りていく――途中、階段で転げ落ちそうにもなったが。 なぜかいつも玄関で花を生けているウィルフレッドの横をすり抜け、玄関から裏庭の方へ回って手紙を取りに行く。自分の部屋の窓からとりに行くことも可能だが、いまそれをすることは自殺行為だろう。 手紙を手にとり、封筒を見てみる。が、封筒には何もかかれてはいなかった。 封筒から手紙を取り出してみれば、そこには、かわいらしい丁寧な字でこう書かれてある。 『全てが終わり次第、ディルス王国シグムーン・シティに来られたし。 昨夜、王宮で捕まった黒ずくめさんは牢獄の中にいます。素直に聞きたいことを話してくれるとは思えないので、問答無用という手も可。ちなみにその場合、貴方の立場を悪くすること間違いなしなので、お忍びで来ることをお勧めします。 追伸。もう二度と彼の思考回路を麻痺させるような真似しないで下さいね。親友なら素直に本音を言うべし』 (気付かれないと思ってたんだけどな……何でわかったんだ? アメリアちゃんは) 本音を言いたくなくて、ゼルガディスを怒らせたのに。 クラヴィスは嘆息した。もう一度手紙を読み返す。 『昨夜、王宮で捕まった黒ずくめさんは牢獄の中にいます』 王女暗殺未遂で捕まった、ということはこの暗殺者も近いうちに処刑されるのだろう。聞きたいことがあるなら、今のうちに聞いておけ、そういう意味だろう。 もたれかかっていた柵から背中をはずし、柵に手をかけて、小さく息を吐く。 そのまま、一気にジャンプして、柵を飛び越えようとしたその瞬間―― 「その身体じゃあ無理なんじゃない? クラヴィスくん」 「――っ!?」 後ろからかかった声にクラヴィスが慌てて振り返る。 「いつからそこにっ! ……いたんですか? 父上」 「……そこまでして自分を隠し通すとはいい根性だね――いつもゼルガディスくんたちと話している口調でいいよ」 肩をすくめてウィルフレッドが言う。 その父親を睨みつけながら、クラヴィスは言った。柵を飛び越えようとしたためか、意識が朦朧としてくる。何とか倒れるのを堪えようと声をあげた。 「……言っとくが、オレはあんたを許すつもりはない。あんたを信用してもないからな。暗殺者を雇ったのはあんただという可能性もあることだし……な……」 「クラヴィスくん!?」 言うだけ言って倒れこんだクラヴィスを慌てて受け止めて、ウィルフレッドは息子の手から離れた手紙を拾い上げた。 それに目を通して、呟く。 「……シグムーン……」 「あなたって本当に間が悪いのねぇ」 呆れた表情で言ってきたノエルにクラヴィスは真っ赤な顔をして反論した。 「いいか!? 風邪の菌っつーもんは年がら年中うにょうにょいるものなんだぞっ! つーわけで、風邪をひいたのはオレのせいじゃないっ!」 「はいはい、つまんない言い訳はいいから寝てなさいな。婚姻届はあたし一人で出してくるから」 「ううううう」 「ほーら泣かない泣かない」 「からかうなっ! だいたいオレの風邪が治るまで待とうとかそーいう気がおきないのか!?」 「おきるわけないじゃない」 ふふん、と鼻を鳴らしてノエルはきっぱりと言った。 「別にいいじゃない、二人で出しに行かなくたって。帰りになんか買ってきてあげるからちゃんと寝てなさいな。あ、それとも何か作ってあげよっか?」 「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」 はっきり言って、ノエルの家事能力は最低だった。よく今まで一人で生活してこれたな、と言えるくらいに。 クラヴィスは嫌味たっぷりで言うと、嘆息した。 「病気って一人で治すもんだと思ってたよ」 「一人で治すに決まってんじゃない。何言ってんの。他人様が治してくれると思ってたの?」 「……病気になった時は部屋に隔離されてたんだ。誰も来ないし、誰も看病してくれない。ただ、ひたすら一人で苦しむんだ。病気ってそういうもんだと思ってた」 ノエルの顔が曇った。クラヴィスの家族――話は少しは聞いているが、そんなに酷い家族だったのだろうか……だが、彼が大げさに言っているとは思えなかった。ノエルは少し考え込んで、言った。 「……ちゃんと誰か来てたと思うわよ。何にも食べなかったわけじゃないんでしょ? 誰かご飯持ってきてくれただろうし……寝てた時にこっそりといたとかあるかもしれないし……あたしもそうだったわよ。だいたい人がいると寝れないじゃない」 「……そーなのかね。そーには思えないけど……」 クラヴィスはぽつりと呟いた。 『あの人は私を愛してなどいなかった。 あの人が愛していたのは私の地位、権力、財産。 だから、私はあの人を裏切ったの。 あの人の子供と偽って、別の男の子供を産んだの。 それが――あなた。 あの人を毛嫌いしていたあなたに『あなたはあの人の子供じゃない』と言ったら、あなたは喜ぶかしら? ウィルフレッド。 ヴァレンタイン家の唯一の血を受け継いだ私のたった一人の愛する子供。 お願い。ヴァレンタイン家を守って。あの人を――マードックを止めて』 彼の母親が彼に当てた手紙はそんな内容だった。 「ウィルフレッド、彼女が今日から君の妻になる」 母親が死んでから一ヵ月後。 ウィルフレッドの18の誕生日。自分の妻だと言われて連れてこられた女性は見覚えがあった。 家に仕えていた家政婦の一人。 自分の母親――つまり、マードックの妻が死ぬ前から、この女性とこの男が不倫の関係にあったことはウィルフレッドも何となく感づいていた。 「よろしく、ウィルフレッド様」 微笑んでくる彼女を無視して、ウィルフレッドは無言で自室に戻って行った。 一度も手を触れていないどころか、会話したのも数えるほどしかない彼女が『ウィルフレッドの長男』を産んだのは、それから約7ヵ月後のことだった。 そして、それからさらに2年後。 『ウィルフレッドの次男』を彼女が産んだ大雨の日。 彼は彼女と出会うことになる。 シルヴィア=ルシオンと―― 気がつけば、ベッドの上だった。 クラヴィスはゆっくりと目を開けた。 さっきまであんなに痛かった頭からはすっかり痛みはなくなり、顔も熱くない。 額に手を置いて、クラヴィスはなにがあったのか、しばし頭の中を整理した。 (……気が遠くなったのは覚えてるんだけど……) 視線を移動させ、部屋を見回す。 間違いなく自分の部屋。自分以外は誰もいない。 (当然だけどな) 病気になっても誰も何もしてくれなかった。ノエルは『ちゃんと来ていたはずだ』と言ってはいたが、クラヴィスはそれを否定していた。来るわけがない。 ――と。 静かに扉の開く音がした。 暗殺者だと思って、クラヴィスは飛び起きた――が、入ってきたウィルフレッドは目を見開いて彼を凝視した。 「あ、え、えー……と、大丈夫……みたいだね。とりあえず、すごい熱だったから魔法で治してみたんだけど……本当は寝て治した方がいいんだろうけど、そうも言ってられない状況になったから」 「……? どういう意味だ?」 クラヴィスが尋ねるとウィルフレッドは困ったように頬を掻いた。 「王宮から暗殺者が脱走したらしい。数人の兵士を殺してね。昨日のマヌケな暗殺者の片割れだから、大した事はないと思ってたけど……」 「昨日のマヌケ……つーことはあんたも会ったのか?」 「んーまあ一応。依頼主が誰か聞こうとしたんだけど、交渉が決裂しちゃってね。とりあえず、倒したんだけど」 その言葉にクラヴィスは疑わしげな眼差しをウィルフレッドに向けた。 この父親が、マヌケとはいえ暗殺者を殺せるような力量があるとは思えなかったからだ。 もともと神官と言うものは神に仕える聖職者であるため、無意味な殺傷はしない。故に、護身術くらいは学ぶものの本格的な戦闘術を学ぶことなどないのだ。 自分の場合、幼い頃に赤法師レゾに見初められ、それなりの訓練を彼に教わったため、だいたいの戦闘術は身につけているが―― 「……本当に倒したのか? だいたいあんたが雇い主じゃない、ってどうやって証明するんだ?」 「だって、僕クラヴィスくんのパパりんだもん。クラヴィスくんを殺そうなんて思わないもん」 ぶう、と子供のように頬を膨らませて、ウィルフレッドは言った。が、すぐに真面目な顔つきになると、あごに手を当て言ってくる。 「……クラヴィスくんはどう思ってる? 今回のこと」 問われてクラヴィスは嘆息した。 「アメリアちゃんとオレが同時に狙われたと言うことは依頼主が同じである確率が高い。でもって、アメリアちゃんに狙われる理由がないとすれば、まあ原因はオレなわけだ」 「うんうん」 ウィルフレッドの相槌にクラヴィスは先を続けた。 「まあ、オレが死んで喜ぶのはこの家の人間くらいなもんだからな。ハージェスかエドかあんたか」 「……僕は違うって」 「知ってる。もしあんたが犯人だとしたら、オレが寝てる間に殺しているだろうからな」 「……もしかして今までからかってたの?」 「ついさっきまで疑っていたのは本当だ。で、ハージェスとエドのどちらかに絞られるわけだが」 クラヴィスはうめいた。どうしてもそこで推理が止まる。 彼はどちらの兄にも疎まれている。自分を殺す理由が二人ともあるのだ。 「……だけど、何でアメリアちゃんまで狙われる理由があったんだ?」 「一緒に旅してたからじゃない?」 「だとしたら、ゼルも狙われてるだろ。アメリアちゃん限定なんて絶対ヘンだ……」 「んー……クラヴィスくんと仲がよさそうだったから? でも、それでもゼルガディスくんも範囲に入っちゃうよね」 ウィルフレッドが困った顔をする。その言葉を適当に聞き流そうとして―― (アメリアちゃんと……仲がよさそうだった?) 思わず聞きとがめて、クラヴィスはウィルフレッドを見た。 「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 「違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から見ると!」 「……クラヴィスくん……まさか……」 何かを思い当たったようにウィルフレッドがうめくように言葉を吐き出した。 やはり苦い顔をしてクラヴィスが頷いた。 「多分、勘違いしたんだ……アメリアちゃんと一緒にいたから婚約者として連れて来たんじゃないかって」 ≪続く≫ |
4368 | Re:クラヴィスくん家のお家事情5 | 桜井 ゆかり E-mail | 9/20-19:11 |
記事番号4365へのコメント こんばんわ。ゆかりがメールアドレスを引っさげて参上いたしました!! > 深くため息をついて、ゼルガディスが言った。 >「忘れ物をした」 >「はいはい」 > アメリアは笑って、元来た道を引き返した。 素直じゃないですねぇ〜。ゼルガディスさん。 > シルフィールだった。 > 彼女は、クラヴィスにぱたぱたと手招きすると、敷地を囲む柵の間に封筒をはさんだ。そのまま彼女は会釈して、自分の家の方へ小走りしていった。 >「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいね」 一人は、寂しいですね。やっぱり・・・・ >「別にいいじゃない、二人で出しに行かなくたって。帰りになんか買ってきてあげるからちゃんと寝てなさいな。あ、それとも何か作ってあげよっか?」 >「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」 お、お粥の中に砂糖・・・? そんな簡単な物を間違える人もいるんですね。 >「病気って一人で治すもんだと思ってたよ」 >「一人で治すに決まってんじゃない。何言ってんの。他人様が治してくれると思ってたの?」 誰かに移す。風邪を。 >「……だけど、何でアメリアちゃんまで狙われる理由があったんだ?」 >「一緒に旅してたからじゃない?」 >「だとしたら、ゼルも狙われてるだろ。アメリアちゃん限定なんて絶対ヘンだ……」 >「んー……クラヴィスくんと仲がよさそうだったから? でも、それでもゼルガディスくんも範囲に入っちゃうよね」 > ウィルフレッドが困った顔をする。その言葉を適当に聞き流そうとして―― >(アメリアちゃんと……仲がよさそうだった?) > 思わず聞きとがめて、クラヴィスはウィルフレッドを見た。 >「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 >「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 私も絶対殺されると思うなぁ・・・・・ ゼルガディスさん怒ると恐いですし・・・・ ↑ 違うって言っているのに話が耳に入ってない人。ゆかり。 まぁ、色々と書きましたが、ゆかりでした。 |
4387 | あああ、返事遅くてごめんにょ(涙) | ねんねこ E-mail | 9/22-15:07 |
記事番号4368へのコメント 桜井 ゆかりさんは No.4368「Re:クラヴィスくん家のお家事情5」で書きました。 > > >こんばんわ。ゆかりがメールアドレスを引っさげて参上いたしました!! どーもっ! いいんですか? ねんねこにメルアド見せると問答無用でメール届くよ? それの餌食になった人、結構いるし…… でもまあもう遅いです。運のツキだと思って諦めてメール受け取ってくださいな(死) ちなみにねんねこもメルアド変えました。自分のメルアドです。ひゃっほう! >> 深くため息をついて、ゼルガディスが言った。 >>「忘れ物をした」 >>「はいはい」 >> アメリアは笑って、元来た道を引き返した。 >素直じゃないですねぇ〜。ゼルガディスさん。 人間の姿で素直だったらまだ許せるけど、あの姿で素直になられた日にゃ泣く。 あああ、想像してしまった! >> シルフィールだった。 >> 彼女は、クラヴィスにぱたぱたと手招きすると、敷地を囲む柵の間に封筒をはさんだ。そのまま彼女は会釈して、自分の家の方へ小走りしていった。 >>「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいね」 >一人は、寂しいですね。やっぱり・・・・ よくねんねこも一人でボケとツッコミを独り言のように言ってます。 すごく寂しい。けど周りに誰もいないっ! >>「別にいいじゃない、二人で出しに行かなくたって。帰りになんか買ってきてあげるからちゃんと寝てなさいな。あ、それとも何か作ってあげよっか?」 >>「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」 >お、お粥の中に砂糖・・・? >そんな簡単な物を間違える人もいるんですね。 ある意味すごく嫌がらせ。 ちなみにねんねこの友人が兄に対してそれをやり(無論間違った)全快した後、兄にしこたま殴られたと言う微笑ましいエピソードが残っています。さすがに泣いてたけど…… >>「病気って一人で治すもんだと思ってたよ」 >>「一人で治すに決まってんじゃない。何言ってんの。他人様が治してくれると思ってたの?」 >誰かに移す。風邪を。 邪道だぁぁぁぁぁっ! 風邪ひいた時やるけど、よくっ! >>「……だけど、何でアメリアちゃんまで狙われる理由があったんだ?」 >>「一緒に旅してたからじゃない?」 >>「だとしたら、ゼルも狙われてるだろ。アメリアちゃん限定なんて絶対ヘンだ……」 >>「んー……クラヴィスくんと仲がよさそうだったから? でも、それでもゼルガディスくんも範囲に入っちゃうよね」 >> ウィルフレッドが困った顔をする。その言葉を適当に聞き流そうとして―― >>(アメリアちゃんと……仲がよさそうだった?) >> 思わず聞きとがめて、クラヴィスはウィルフレッドを見た。 >>「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 >>「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 >私も絶対殺されると思うなぁ・・・・・ >ゼルガディスさん怒ると恐いですし・・・・ >↑ >違うって言っているのに話が耳に入ってない人。ゆかり。 再度ボケかますのも再度ツッコミ入れるのもオッケー。 即座に言い返してくださいな(はぁと) >まぁ、色々と書きましたが、ゆかりでした。 いつも感想ありがたうね。お互いがんばろふ。ではでは。 |
4370 | クラヴィスくん家のお家事情6 | ねんねこ E-mail | 9/20-21:35 |
記事番号4365へのコメント 出会いがあれば、別れもある。 誰が言ったのかは知らないが、確かにその通りだとウィルフレッドは思った。 「クラヴィスは僕が引き取る――君は別のいい人を探して幸せになるんだ」 シルヴィアはウィルフレッドのことをただじっと見つめるだけだった。彼はその視線を逃れるように顔をそむけた。 「き……君のことが……君のことが嫌いになったんだ。顔も……見たくない」 「……ウィル……」 彼の言葉が嘘なのはすぐにわかった。 シルヴィアは微笑んで、彼の震える身体を抱きしめた。 「……父に言われたのね……ありがとう」 「違う……僕は……」 言いかけて開いた口をシルヴィアは人差し指で塞いだ。 「大丈夫よ、私のことは心配しないで。ちゃんと生きていく」 にっこりと微笑んだ。 「これでも結構強いんだから」 「シルヴィア……ごめん……」 最後にもう一度だけ、ウィルフレッドは彼女をしっかりと抱きしめた。 ウィルフレッドは嘆息して、窓の外を見た。 昔のことを思い出していても仕方ないのだ。 (もう彼女はいないんだ……今はクラヴィスくんのことを考えなくちゃ……) 「父上、どうなされたのですか?」 ハージェスの声に彼は振り返った。 自分の執務机の向こう側にはハージェスとエドワードが立っていた。 ウィルフレッドは交互に二人を見た。 「……君たち、昨日はどこに行っていたんだい? 夕食後、姿が見えなかったけれど」 二人の息子は怪訝な顔をした。 「何かあったのですか?」 「クラヴィスが殺されかけた。あの子はとっても気が弱い子だからね、また殺されるんじゃないかって部屋でびくびくしてるんだよ。 僕は君たちのどちらかが彼を殺すように命令したと思っているんだけど」 『なっ!?』 ハージェスとエドワードが同時に声をあげた。 ウィルフレッドが淡々と続ける。 「何を考えているのかは知らないけどね、もし万が一僕の予想が当たってて、君たちのどちらかが犯人だとしたら、僕は迷わず、その人の継承権を抹消します。いいね?」 ウィルフレッドの言葉にハージェスとエドワードはただ顔を見合わせるだけだった。 それはまさに悪夢と言っても良かった。 買い物を頼まれて、ほんの少しの時間だけ彼女を一人にして―― 一週間前、正式に家族になったノエルの異変にクラヴィスが気付いたのは、彼女の悲鳴が聞こえてきた時だった。 慌てて荷物を放り出し、駆けつけた時にはもう彼女は虫の息だった。 彼女は自分に微笑んで、静かに息を引き取った。 彼女を埋葬してから、数日。 どこにも行く当てがなくて、ほんの数日前までは確かに彼女が生きていた部屋でクラヴィスはただ何もせずに時間を過ごしていた。 ここで死んでもいい。 そう思ったくらいだった。 そんな時、セイルーンの自宅から一通の手紙が届いた。 それは、祖父からの帰宅命令だった。 クラヴィスはため息をつくと、そのまま家に帰る準備をし始めた。 なんとなくここにはいたくなかった。 嬉しいこともたくさんここであったけれど。楽しいこともあったけれど。 掃除しても掃除しても微かに残る血の匂いが、彼女が死んだ、という事実を自分に突きつけてくるような気がして。 彼はセイルーンに旅立った。 何も知らずに。 「死んだ娘のことなど忘れてしまえ、クラヴィス」 数年ぶりの再会の祖父の開口一番がその台詞だった。 『お帰り』でも『久しぶり』でもなくて。 そんな言葉をかけてくれるとは思ってはいなかったが。 だが。 クラヴィスにとって、その祖父の言葉は聞き逃すことの出来ない言葉だった。 「……なんで……知ってんだよ? ノエルのこと……」 祖父の部屋でクラヴィスは押し殺すように言葉を吐いた。 祖父――マードックは嘲り交じりで笑った。 「お前の行動をわしが把握していなかったと思うか? ヴァレンタイン家の人間に得体の知れない血を入れることは許さん」 「……今まで、オレをヴァレンタインの人間どころか孫とも思わなかった人間の言う言葉か? それが!?」 「思っとったとも。お前が生まれたときからな」 全く『思っていない』口調で言うマードックにクラヴィスは黙って、部屋を立ち去った。 (殺したんだ……あいつが殺したんだ……!!) 拳を握り締めて、クラヴィスは自分の部屋に戻った。 あんなに元気だったマードック=ヴァレンタインが、『病気』で『急死』したのは、それから数日後のことだった。 祖父を失ったことで落胆している二人の兄とは別に、クラヴィスは祖父の遺品を整理することを買って出た。ウィルフレッドは何かをいいたそうだったが、結局何も言わなかった。 クラヴィスは再び家を出た。 マードックがノエルを殺すために雇った男達に自分と同じ思いをさせるために。 「ったく上手く言うよなー。誰が部屋でびくびくしてんだ?」 「でも、これで彼はもう一度狙ってくるね。今度は僕を殺しに」 ウィルフレッドが言った。 クラヴィスが肩をすくめる。 「だけど証拠がないからって、こういう事するか? 普通」 「疑わしきは罰せず、だよ。相手を追い詰めた時、『証拠は?』なんて言われるのは推理小説では十八番じゃないか」 「……いつもどういう本を読んでいるのかが一目瞭然だな……少しは真面目に仕事しろよ、親父」 「あ、今初めて僕のこと親父って言ったね! きゃ、やったねウィル君♪」 一人が勝手に盛り上がっている父親に、クラヴィスは深いため息をついた。 自分がアメリアと最後に一緒にいたのは、セイルーンの街の中だった。そこから屋敷まではだいぶ離れている。 そして、ウィルフレッドも自分も自分が今まで誰とどこを旅していたかなど誰にも話していない。 なのに何故犯人はアメリアと自分が一緒にいたのを知っているのか。 答えは簡単だった。 その犯人も見ていたから。 「でもなんで今さら狙われたんだ? いつでも殺そうと思えば殺せたわけだろ?」 「それは――」 クラヴィスの問いにウィルフレッドは言いかけて、頭を振った。 「それは、今回のことが終わったらすべて話すよ。クラヴィスくんにも言わなきゃいけないことだから」 怪訝な顔で自分を見るクラヴィスにウィルフレッドは微笑んだ。 「片割れが死んだ」 「だが、二人とも死んでいない。能無しだな」 男の言葉に黒ずくめは黙った。彼は嘆息して、続けた。 「まあいい。王女はクラヴィスをおいて出てったそうだ。殺さなくていい」 「目標はクラヴィス=ヴァレンタインのみ、ということか?」 「ウィルフレッド=ヴァレンタインもだ。あの男、私が黒幕だと気付きやがった」 「はっ、大根役者だったんじゃないのか?」 黒ずくめの言葉に男は顔をしかめた。 「そんな口が叩けるんだったら、さっさと二人を殺してこい。そうすれば、すべての真実を闇の中に葬ることができるのだから」 ウィルフレッドと別れてセイルーンを離れたシルヴィアがその男に出会ったのは、ウィルフレッドと別れてから3ヶ月経った時だった。ディルス王国領シグムーン・シティで暮らしているというその男はウィルフレッドと雰囲気が良く似ていた。 別に彼に未練が残っているわけではなかったが。 いつの間にか、自分がウィルフレッドを探していることに彼女は薄々気付いていた。 ウィルフレッドとよく似たその男はアレスといった。 シルヴィアは彼にすべてのことを話した。 ウィルフレッドのこと――そして、子供のこと。 アレスはすべてを聞いてくれた。 その上で―― 「結婚してくれないか? シルヴィア」 突然のプロポーズは、彼女が彼と出会って、1ヶ月経つか経たないかの時だった。 「え?」 突然のことで、何を言われたのか理解できず、シルヴィアはアレスを見た。彼の漆黒の瞳が真剣にこちらを見つめていた。 「愛してるんだ、君を。君さえ良かったら――一緒に暮らそう、ずっと」 正直言って。 その言葉は嬉しかった。 ウィルフレッドのことは愛していた。だが、アレスのことも愛していた。ウィルフレッドと同じくらい。であってからは間もなかったけれど。 だけど―― シルヴィアはぎこちなく視線をずらした。 「……私には子供がいる。それでもいいの?」 「構わない。君のすべてを愛してる」 アレスはシルヴィアを抱きしめた。シルヴィアはそれを受け入れた。 しばらくして、シルヴィアは身体を離して、彼にまっすぐ視線を送った。 「1つだけ――1つだけお願いがあるの」 ウィルフレッドが彼らの結婚のことを聞いたのは、それからまもなくのことだった。 彼は、それを聞くと、何のわだかまりもなく微笑んで祝福した。 「でもさー、わざわざ暗殺者をおびき寄せるのにこれはないだろ、これは」 半眼で父親を睨みつけながらクラヴィスは言った。 「だって、暗殺者って、普通外に相手がいるときに殺すもんでしょ……まあ、あの人たちにそういう暗殺者的常識があるかどうかを考えると難しいところだけど……」 彼らは暗い夜道をてこてこ歩いていた。 「だいたいなんでついてきたんだよ。足手まといになる。帰れ」 「……クラヴィスくん、僕の実力信じてないでしょ……」 「たかが一神官に何ができるってんだよ。戦闘術もろくに習ってなさそうだし。昨日倒した暗殺者ってのもマヌケの極みだよなー。こんな奴に負けるなんてさ」 「一応色々手ほどきは受けたんだよ。クラヴィスくんのお爺さんに」 「マードック?」 「ううん、お母さんの方。すっごくお茶目な人なんだけど、強いんだ、これがまた。非常識なくらいに」 言って、何かを思い出したように身体を震わせた。大方、その祖父とやらにこっぴどくやられたのだろう。 ふと。 クラヴィスとウィルフレッドは同時に立ち止まった。 「あんたは一応常識人だったらしいな」 「にょへぇぇぇぇ。この人がたこ殴りの刑に処された人かぁぁぁぁ」 「……たこ殴り?」 「あれ? ゼルガディスくんから聞いてないの? どうやって捕まえたか」 「聞いてないけど……なんでそんなこと知ってんだ?」 「んー、だからお爺さんにてほどきうけたんだってば」 「……和んでいるところを悪いが……」 殺気を混じらせて、目の前に立っていた男がうめいた。 その言葉にクラヴィスが鼻で笑った。 「『お前達の命を貰いに来た』ってか? やっぱり三流は三流並みの言葉しか口に出せないんだなー。 もう少し気の聞いた台詞を言えよ。例えば……何がいっかな……あ、そうだなー、『三途の川の向こう側で、あなたの家族がお待ちです』とかさ」 「ま、まークラヴィスくんの台詞が一流かどうかのコメントはあえて避けるけど……ちょっと聞きたいことがあるんだよね」 ウィルフレッドが一歩前に出る。 「雇い主の名前、教えてくれたら金貨110枚あげちゃう。ああ、優しいな。昨日よか5枚も多い」 「ふざけるなっ!」 黒ずくめがウィルフレッドに向かってナイフを投げた。それをあっさり避けて、ウィルフレッドはクラヴィスを見た。 「だって。どーする?」 「……無理にでも聞いとかないと証拠がないんだろ、証拠が」 「うみゅ」 ウィルフレッドが頷いて、黒ずくめのほうに向き直る。 「どうする? もう一度だけ聞いてあげる。金貨102枚もらって雇い主を言うか、拷問受けるか……さあ、どっち!?」 「まあ待てよ、親父。三流さんには三流さんなりのポリシーとプライドがあるんだから、そーいう物で釣るようなことしたらかわいそーだろ?」 ウィルフレッドを押しのけて、クラヴィスが前に出た。 「いいか? 今の状況を良く考えろ。2対1、どう考えてもお前が不利だ。でもって、お前さんは王女暗殺未遂で追われている。 セイルーンは敵に回すにゃ手強いぞ。お前ももう少し人生を楽しみたいだろ? 名前は言わなくていい。確認と証拠が必要なんだ。なんか証拠になるようなもの、持ってないか?」 「あると思うか? 依頼主を証明するようなものが?」 その答えにクラヴィスは肩をすくめた。 「だろーなー。ま、お前の所持品見せつければ相手も動揺して何か喋ってくれるだろうし―― なあ、暗殺者としていいことを教えてやろうか? 一流の暗殺者ってぇのはなあ……」 言いながら、一気に黒ずくめとの間合いを詰め、そのまま黒ずくめのあごに向かって、足を蹴り上げた。 まともに入って倒れる黒ずくめを嘲り交じりで笑いながらクラヴィスは続けた。 「勝てねぇ相手にはさっさと逃げるもんなんだよ」 「をを、強い強い」 ぱちぱち拍手しながらウィルフレッドが言う。 「でも、こんな真っ暗闇で大の男二人が一人の男に追いはぎのようなことするのはちょっと気が引けるねえ」 そのまま流れるように呪文を唱え―― 「ブラスト・アッシュ」 呪文を唱えると、倒れこんでいた男の姿が消えた。ただ、身につけていたものだけが残り、男自身は灰と化したのだ。 クラヴィスがうめく。 「ひどいことするねー」 「だってクラヴィスくんのパパりんだもん」 「……なんでこーいうシリアスな場面があんたといるとこんなにも和やかになってしまうんだと思う?」 「そういうツッコミ入れないでぷりーず」 ウィルフレッドはうめきながら残ったものの物色をし始めた。 ≪続く≫ |
4378 | パパりん・・・v | 雫石彼方 E-mail | 9/21-04:15 |
記事番号4370へのコメント アンケートに答えてから、こちらにやって来ました。 いやあ、パパりん飛ばしてますねぇ(笑) クラヴィスとパパりんの会話がナイスで好きです(^^) 特に >「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 >「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 >「違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から見ると!」 のところ。クラヴィスくんは気付いてないけど傍から見るとけっこう仲良さげですよね、この二人(^^) なんかいろんな人達の思いが交錯してて、しかもクラヴィスのお爺さんの代から現在にいたるまでいろんな事情が絡み合ってて、目が離せません!クラヴィスくんには是非とも ”が〜んばれ〜 まけ〜んな〜 ち〜から〜の〜かぎ〜り い〜きて〜やれ〜” って感じです(笑)(←びみょ〜に古いですかね?) |
4388 | 気がつけば、パパりん呼び方定着してるし(笑) | ねんねこ E-mail | 9/22-15:08 |
記事番号4378へのコメント 雫石彼方さんは No.4378「パパりん・・・v」で書きました。 > >アンケートに答えてから、こちらにやって来ました。 アンケートご回答頂きまことにありがとうございました。(デパートのエレベーター姉ちゃんの口調で・笑) ねんねこです。 >いやあ、パパりん飛ばしてますねぇ(笑) >クラヴィスとパパりんの会話がナイスで好きです(^^) >特に > >>「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 >>「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 >>「違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から見ると!」 > >のところ。クラヴィスくんは気付いてないけど傍から見るとけっこう仲良さげですよね、この二人(^^) すっかりパパりんのペースにはまり込んでるんですね……クラヴィス…… お前、信用してなかったんだろ……(汗) と言うかクラヴィスツッコミしてるぅぅぅぅぅぅぅっ!? ねんねこの中じゃあボケ役だと思ってたのにっ! いやこの頃全員ボケとツッコミ両方やってるけど……(汗) >なんかいろんな人達の思いが交錯してて、しかもクラヴィスのお爺さんの代から現在にいたるまでいろんな事情が絡み合ってて、目が離せません!クラヴィスくんには是非とも ”が〜んばれ〜 まけ〜んな〜 ち〜から〜の〜かぎ〜り い〜きて〜やれ〜” って感じです(笑)(←びみょ〜に古いですかね?) オッケーです。古くありません(……多分) ではではねんねこでした。 |
4400 | Re:クラヴィスくん家のお家事情6 | 笹森 明日香 E-mail | 9/22-19:11 |
記事番号4370へのコメント こんにちは。遅れました。笹森明日香です。 ねんねこさんは No.4365「クラヴィスくん家のお家事情5」で書きました。 >「もう絶交だ、絶交っ! 誰が何をどう言おうとあいつとはもう絶交だっ! 泣いて謝ってきたって、土下座して、崖っぷちから命綱なしバンジージャンプするまで絶対許さねぇっ!」 ゼルガディスとの友情と己のプライド。クラヴィスはどっちを取るでしょうね。 >「だいたい『足手まとい』だっ!? お前だって似たようなもんじゃねぇかっ! いかに辛い訓練から逃げ出そうかに命かけてたくせによく言いやがるっ!」 師匠がレゾならば命もかかりますよね。お仕置きに精神攻撃とか。 > 半日中、何かの鬱憤を晴らすがごとくにクラヴィスの秘密を大声で暴露しまくっているゼルガディスにアメリアはくすりと笑った。 クラヴィスの知っているゼルの秘密ならきっと半日じゃ終わらない。 > ゼルガディスは皮肉交じりに呟いた。正確には、『肝心なところの行動パターンが掴めない』だが。普段の彼女の行動パターンは異常なほどに単純だ。ゼルガディスには3日もあれば完全に網羅できた。 素直でいいじゃないですか。ゼルガディスも昔はそうだったのでしょう。 >「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいね」 彼女には、ちゃんと思い人がいますよ。・・・くらげ・・・ > なぜかいつも玄関で花を生けているウィルフレッドの横をすり抜け、玄関から裏庭の方へ回って手紙を取りに行く。自分の部屋の窓からとりに行くことも可能だが、いまそれをすることは自殺行為だろう。 まぁ、広い家ですから花瓶を置く場所には困らないでしょうけど・・・こういう人が暗殺者をたこ殴りにするのですね。 > 昨夜、王宮で捕まった黒ずくめさんは牢獄の中にいます。素直に聞きたいことを話してくれるとは思えないので、問答無用という手も可。ちなみにその場合、貴方の立場を悪くすること間違いなしなので、お忍びで来ることをお勧めします。 アメリア・・・あんた巫女でしょう?この世界にまともな”聖職者”はいないのでしょうか? > 追伸。もう二度と彼の思考回路を麻痺させるような真似しないで下さいね。親友なら素直に本音を言うべし』 アメリアも好きな人に味方してますね。・・・こう書くと、ゼロスの立場が全くなくなる。 >「ほーら泣かない泣かない」 お姉さんだー。クラヴィスが子供扱いされてる。 >「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」 オートミールってそういう味がするらしいですよ。 > 一度も手を触れていないどころか、会話したのも数えるほどしかない彼女が『ウィルフレッドの長男』を産んだのは、それから約7ヵ月後のことだった。 > そして、それからさらに2年後。 >『ウィルフレッドの次男』を彼女が産んだ大雨の日。 > 彼は彼女と出会うことになる。 > シルヴィア=ルシオンと―― ク・・・クラヴィスって凄いお坊ちゃまじゃぁ。ヴァレンタイン家の血を引く唯一の息子であり、かつお母さんのお父さんも偉大な方。 >「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 ノエルに祟られる。 >「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 >「違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から見ると!」 カドミウムを飲まされて“イタイイタイ病”に・・・(イタイイタイ病:富山県で発生した公害病の一つ。骨がもろくなり骨折が多発する) >「どうする? もう一度だけ聞いてあげる。金貨102枚もらって雇い主を言うか、拷問受けるか……さあ、どっち!?」 この二人に拷問されても黙っていれる人っているんだろうか? > なあ、暗殺者としていいことを教えてやろうか? > 一流の暗殺者ってぇのはなあ……」 > 言いながら、一気に黒ずくめとの間合いを詰め、そのまま黒ずくめのあごに向かって、足を蹴り上げた。 > まともに入って倒れる黒ずくめを嘲り交じりで笑いながらクラヴィスは続けた。 >「勝てねぇ相手にはさっさと逃げるもんなんだよ」 ズーマはゼロス相手に素直にそうしたらしいですね。(変なところで原作を読んでいる・汗) >「ひどいことするねー」 >「だってクラヴィスくんのパパりんだもん」 何でもこれで済ませられる。クラヴィスっていろいろやってるんだぁ。 それでは、すべてが終わったときクラヴィスがどうなっているのか楽しみにして待ってます。 |
4447 | 遅れてごめんなさい。でも、小話のおまけつきvv | ねんねこ E-mail | 9/26-13:56 |
記事番号4400へのコメント 笹森 明日香さんは No.4400「Re:クラヴィスくん家のお家事情6」で書きました。 > >こんにちは。遅れました。笹森明日香です。 すみません……遅れまくりました……ねんねこだす。 もう明日香さんにはご迷惑かけっぱなしで……本当に申し訳ありませんでした〜(泣) >>「もう絶交だ、絶交っ! 誰が何をどう言おうとあいつとはもう絶交だっ! 泣いて謝ってきたって、土下座して、崖っぷちから命綱なしバンジージャンプするまで絶対許さねぇっ!」 >ゼルガディスとの友情と己のプライド。クラヴィスはどっちを取るでしょうね。 ……どっちとるか以前に、友情とったら死ぬでクーちゃん…… >>「だいたい『足手まとい』だっ!? お前だって似たようなもんじゃねぇかっ! いかに辛い訓練から逃げ出そうかに命かけてたくせによく言いやがるっ!」 >師匠がレゾならば命もかかりますよね。お仕置きに精神攻撃とか。 説教だけでもうすでに精神攻撃。 しかもレゾだけじゃなくて、アドニスやノヴァ(蒼き石、赤き竜参照)がいたら…… なんかニコニコ笑いながら追いかけてきそうだ。 クラヴィスの腕をがし、と掴んで、めしめし音を立てさせながら 『こんな所で何してるのかな、クラ坊』 『いやあのちょっとゼルとかくれんぼを……』 『俺、かくれんぼやってない』 『あうあぁぁぁぁぁぁぁっ!? 裏切りものぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』 などと言う微笑ましい会話があったあと、裏庭でぐしぐし泣きながらリザレクションかけてるクラヴィスがいるんですね、きっと(笑) >> 半日中、何かの鬱憤を晴らすがごとくにクラヴィスの秘密を大声で暴露しまくっているゼルガディスにアメリアはくすりと笑った。 >クラヴィスの知っているゼルの秘密ならきっと半日じゃ終わらない。 いろいろ知ってるからなぁぁぁ。 なんかいちいち細かいことまで克明に言いそう。 『やめんかぁぁぁぁぁぁぁっ!』などと絶叫しつつ、首絞めてくるゼルをものともせずにそのまま語りつづける。で、その横でアメリアがこれまた一字一句逃さずにメモってて……リナと再会した時に、バラす。 ――結果、リナに笑い者にされてゼルがいじける。で、それをなぜか物陰からクラヴィスが見てて…… ……以下省略。 ……ねんねこはゼル好きだよ(言い訳) >> ゼルガディスは皮肉交じりに呟いた。正確には、『肝心なところの行動パターンが掴めない』だが。普段の彼女の行動パターンは異常なほどに単純だ。ゼルガディスには3日もあれば完全に網羅できた。 >素直でいいじゃないですか。ゼルガディスも昔はそうだったのでしょう。 いや、ゼルは一日。 ……単純過ぎだって……けど、単純・純粋だったからこそ、レゾに裏切られた時のショックは強かった、と。 >>「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいね」 >彼女には、ちゃんと思い人がいますよ。・・・くらげ・・・ しかももう失恋決定的。 >> なぜかいつも玄関で花を生けているウィルフレッドの横をすり抜け、玄関から裏庭の方へ回って手紙を取りに行く。自分の部屋の窓からとりに行くことも可能だが、いまそれをすることは自殺行為だろう。 >まぁ、広い家ですから花瓶を置く場所には困らないでしょうけど・・・こういう人が暗殺者をたこ殴りにするのですね。 笑いながらたこ殴りにする分、クラヴィスよかタチ悪いでパパりん…… >> 昨夜、王宮で捕まった黒ずくめさんは牢獄の中にいます。素直に聞きたいことを話してくれるとは思えないので、問答無用という手も可。ちなみにその場合、貴方の立場を悪くすること間違いなしなので、お忍びで来ることをお勧めします。 >アメリア・・・あんた巫女でしょう?この世界にまともな”聖職者”はいないのでしょうか? いないでしょう(きっぱり) と言うか、アメリアをまともな聖職者と見るのは無理な気が……なんつーか……問答無用で悪人張り倒してるし……何より黒魔術使うなよ……アメリア……シルフィールのこと言えないって。 >> 追伸。もう二度と彼の思考回路を麻痺させるような真似しないで下さいね。親友なら素直に本音を言うべし』 >アメリアも好きな人に味方してますね。・・・こう書くと、ゼロスの立場が全くなくなる。 いや、実はゼルが激怒して、一番迷惑こうむったのはアメリアで…… 没ネタなんですけど…… ゼルガディスがクラヴィスの家に向かってから、アメリアはシルフィールの部屋でお互い別れてから今までのことをかいつまんで話していた。 ――と。 どすどすどすどすどすどす、ばだんっ! 聞こえてきたものすごい音にアメリアはぎょっとした。 なんとなく原因かなんであるのか予想した彼女は、ゼルガディスが置いていった荷物をがさごそと漁り、あるものを取り出す。 そして、彼女が扉に手をかけた瞬間。 ばだんっ! べしっ! 「ぶにっ!?」 「アメリアっ! 今すぐセイルーンから出てくぞっ!」 乱暴に扉を開ける音と何かがぶつかる音。さらに、小さなうめき声とアメリアを呼ぶゼルガディスの声がほぼ同時に起こった。 勢いよく扉を全開にしたままのポーズでゼルガディスは固まる。 「……シルフィール。アメリアは?」 部屋を見回しても彼女の姿が見えない。部屋の主に声をかけると、青ざめた表情でこちらを凝視していたシルフィールが、はっと我に返った。 「へ!? あ、はい。アメリアさんなら……」 「何するんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 ばべしっ! 「のわっ!?」 開けていた扉が自分に向かって勢いよく向かってきて、ゼルガディスは慌てて、ドアの部から手を離し、回避する。勢いよく扉が閉まり、廊下に取り残されて、ゼルガディスが困ったように頬を掻いていると、すぐにアメリアがドアを開け、こちらを睨んできた。 全体的に顔を真っ赤にしている――何故かは知らないが怒っているのだろう。だが、鼻の辺りだけは……怒っているだけでは説明しようがないほど赤くなっていた。 「何するんですかっ!? ゼルガディスさんっ!」 「な……何って?」 片手に自分の愛用のハリセンを握り締め、すごい形相で迫ってくるアメリアにゼルガディスは思わず体の重心を後ろにずらした。いつでも逃げれるように。 「いきなり扉開けるなんて酷いじゃないですかっ!? 思いっきり鼻ぶつけちゃったんですよっ!? 鼻つぶれたらどーするんですかっ!?」 「……元からつぶれてるじゃないか……」 「なぁぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇぇぇっ!?」 「のうわっ!? アメリア、何故にハリセンが赤くなってるんだっ!? ていうかそんな物騒なもん振り回すなぁぁぁぁっ!」 ……などというネタがありまして…… あまりにくだらない内容だったので、破棄しました。 この後、ゼルがどーなったかは推して知るべし。 >>「ほーら泣かない泣かない」 >お姉さんだー。クラヴィスが子供扱いされてる。 ……なんかこー書くと、クーって遊ばれてたんだなぁ……ノエルに…… >>「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」 > オートミールってそういう味がするらしいですよ。 食べたことないのでわからないけど……そーなんですか……食べたくないなぁ、そんなの。 そうそう、で、結局ノエルが家事が出来ないので、クラヴィスが家事をやってて……料理上手になった、と。 >> 一度も手を触れていないどころか、会話したのも数えるほどしかない彼女が『ウィルフレッドの長男』を産んだのは、それから約7ヵ月後のことだった。 >> そして、それからさらに2年後。 >>『ウィルフレッドの次男』を彼女が産んだ大雨の日。 >> 彼は彼女と出会うことになる。 >> シルヴィア=ルシオンと―― >ク・・・クラヴィスって凄いお坊ちゃまじゃぁ。ヴァレンタイン家の血を引く唯一の息子であり、かつお母さんのお父さんも偉大な方。 すごいお坊ちゃんです。ただ、そういう感じを出さないところが彼のすごいところです。 >>「……もしオレがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」 >ノエルに祟られる。 死んで天国で再会して、殴るわ蹴るわの暴行を受けるんですね。 『なぁぁぁにしてんのよっ! あんた、あたし一筋って言ってたのは嘘なわけっ!? 嘘なのねっ!? こぉぉぉの結婚詐欺師っ!』 とか言われながら。 >>「多分、て言うか絶対ゼルガディスくんに殺されると思ふ」 >>「違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から見ると!」 >カドミウムを飲まされて“イタイイタイ病”に・・・(イタイイタイ病:富山県で発生した公害病の一つ。骨がもろくなり骨折が多発する) ……何故にカドミウム…… >>「どうする? もう一度だけ聞いてあげる。金貨102枚もらって雇い主を言うか、拷問受けるか……さあ、どっち!?」 >この二人に拷問されても黙っていれる人っているんだろうか? ……いないと思うぞ。 しかも、当初金貨110枚だったのが、数十秒後に102枚まで値下がりしてるところもポイント。 お前ら金持ちだろ…… >> なあ、暗殺者としていいことを教えてやろうか? >> 一流の暗殺者ってぇのはなあ……」 >> 言いながら、一気に黒ずくめとの間合いを詰め、そのまま黒ずくめのあごに向かって、足を蹴り上げた。 >> まともに入って倒れる黒ずくめを嘲り交じりで笑いながらクラヴィスは続けた。 >>「勝てねぇ相手にはさっさと逃げるもんなんだよ」 >ズーマはゼロス相手に素直にそうしたらしいですね。(変なところで原作を読んでいる・汗) しかも原作って言うか、すぺしゃるの方のネタばらしの巨大あとがきにそれ書いてあった気が…… いや、でも、まーそうらしいですね。でも、ズーマとこいつらを一緒にすると……なんだかズーマがかわいそーだ。 >>「ひどいことするねー」 >>「だってクラヴィスくんのパパりんだもん」 >何でもこれで済ませられる。クラヴィスっていろいろやってるんだぁ。 一体なにやってるんだっ!? クーっ!!(笑) >それでは、すべてが終わったときクラヴィスがどうなっているのか楽しみにして待ってます。 はいにょ。今日これから続き書くつもりでいるので乞うご期待っ! では、ねんねこでした。 |
4450 | クラヴィスくん家のお家事情7 | ねんねこ E-mail | 9/26-20:15 |
記事番号4365へのコメント もうだめ……また明日投稿するので、今日は一話のみで勘弁…… 『僕、何かいけないことしたの?』 幼かったクラヴィスは、よく父親に泣きついていた。ウィルフレッドはただ、彼を抱きしめただけだった。 ただ、一言だけを繰り返す。 『ごめんね、クラヴィスくん。時が来たら――』 ただ、その一言だけ。 ――朝。 目が覚めて、ウィルフレッドは苦笑した。 (時は満ちた……か。ついに来ちゃったよ、シルヴィア。この日が……) 数週間前、執務机に置いておいた封筒の中身を『誰かさん』に盗み読みされてから、近いうちにこの日が来ると覚悟はしていたのだが…… (すべてを話したら、なんていうかな、クラヴィスは……) もしかしたら、軽蔑されるかもしれない。口もきいてくれないかもしれない。 ――だけど。 (言わなくちゃいけないよね……あの子にとってとても大事なことだから……) ウィルフレッドは心を決めると、静かに身を起こした。 寝相が悪いせいで(最も本人に寝相が悪い、などという自覚は全くないが)寝癖だらけの髪の毛を一生懸命直しながら、クラヴィスはため息をついた。 怒りに任せて、祖父を殺した自分の言う言葉でないのは分かっているが―― (血で血を洗う、ってのはあんまし好きじゃないんだよな) 父親の後継ぎ争い―― 自分がそれに参加をしなかったのは、『めんどくさいから』というのも一つの理由ではあるが、一番の大きな理由は『そんなくだらないもので家族と争いたくない』と言う気持ちが強かったからだ。 彼らは――父親を含めて、二人の兄は多分知らないだろう。 何故自分が家を毛嫌いしてても、家を捨てなかったか。いつまでも、ヴァレンタインの名を使っているか。 どんなに嫌な人間でも、向こうがどんなに自分を毛嫌いしてても、家族だから。 家族と言うものが欲しかったから。 名前を使っていれば、家を捨てなければ、クモの糸のように切れやすい自分と彼らの関係が、少しでも繋ぎとめられると思っていたから。 クラヴィスは再びため息をついた。 「すべてを、自分の本音を皆に言わなきゃ伝わらないんだ」 共に旅していた少女の手紙を思い出す。 『親友なら本音を言うべし』 大切な人たちだからこそ―― 自分の気持ちを素直に言わなければならない。 なんとなく、彼女はそのことを自分に教えたかったのかもしれないと、クラヴィスは思っていた。 彼はブラシをテーブルの上において、立ち上がった。 ――数年ぶりに家族と食事をとるために。 今朝の食卓は異様な雰囲気に包まれた。 いつもは一人、自室で食事をとるクラヴィスが、朝食を共に取っているためだった。 その不審な行動にハージェスは眉をひそめて、尋ねた。 「どういうつもりだ? クラヴィス?」 「ちょっとした理由がありまして。ぼくがいると何か不都合でも? ハージェス兄様」 淡々とした口調で答えるクラヴィスにハージェスは押し黙った。が、長男の隣にいたエドワードは黙っていなかった。 「不愉快だな。お前と共に食事をしているというだけで吐き気がしてきて、食事がまずくなる」 「今日は一段とご機嫌斜めだね、エド」 ウィルフレッドが持っていたナイフとフォークを皿の上において、ナプキンで口の周りを拭いた。そして、テーブルをはさんだ向かい側であからさまに不機嫌な顔をしているエドワードを見据えて言った。 「まだ僕とクラヴィスくんが死んでないのが、そんなに不愉快かな?」 「なっ!?」 エドワードが同時に小さく声をあげた。 「何を言い出すのですか? 父上。そんなわけないではないですか」 「残念だけど、あの黒ずくめだったら昨晩死んだよ、エド兄様」 言ってクラヴィスは無造作に金貨の入った袋をテーブルの上に放った。それを見て、一気に青ざめたエドワードを見ながら、続ける。 「……少し考えれば、この街に腕利きの暗殺者なんてそうそういるわけがない」 (あの王族じゃあな……) ぽつりと言って、いつも朗らか、にゃぱと満面の微笑を浮かべる少女を思い出す。あの常に“何も考えていなさそうに”笑みを浮かべている少女が、実は一番旅しているメンツの中では大物なのではなかろーか、と最近になってクラヴィスは思い始めていた。 なんていうか――可愛い子悪魔。まあ、可愛ければいい。 実害があるのは、自分ではない――ほとんどゼルガディスか、ゼロスに流れていくから。最も問答無用な時も多々あるが。 あんな少女が王族やってる国の城下町で、腕利きの暗殺者が生活するはずもない。ひょんな事から彼女が『成敗』しに来るかもしれないのに。 クラヴィスは頭を振った。 「あの黒ずくめの男が持っていたものを調べたら、家の鍵が見つかってね。何でか知らんが、親父が男の家の住所を知ってたんで、調べたんだけどな。これが出てきた」 もう、猫をかぶることもない。いつも通りの口調でクラヴィスは言った。懐からメモを取り出す。 「こういうメモもあった。『2030時、エドワード=ヴァレンタインと商談』」 「でたらめだっ! そんなものはっ! 私は21……」 言いかけて、慌ててエドワードは口を押さえた。 「『私は21時に仕事を依頼した』か? 実はこのメモ、オレが書いたものなんだ。一応暗殺者の自覚があったらしくて、何の証拠も残してなくてね。しょうがなくカマかけてみたんだが……」 血の気の失せた白い顔をしたエドワードを見つめて、クラヴィスが言った。ハージェスも、そちらを見る。 「エド……お前……」 「ち、違うっ! こんなのはでっちあげだっ! クラヴィス、お前本当はヴァレンタイン家を狙っているのだろう!? だからこんな……!」 「動機はこれかな? エドワード」 今まで沈黙を保っていたウィルフレッドが、白い封筒を自分の口元に当てて、エドワードに見せた。 「――っ!!」 「実は、これね。クラヴィスくんが戻ってくる前に書いたものなんだけど、ちょっと目を離した隙に『誰かさん』に読まれちゃったんだよね」 そこでにっこりと笑う。 「その時、僕と一緒にハージェスは外に出てたし、クラヴィスくんはこの街にすらいなかった――ねえ、誰が読んだんだと思う? エド」 エドワードの喉が鳴った。 静寂が、部屋を包み込む。 数分経って――静寂を破ったのは、エドワードだった。 「あ――あんたが悪いんだ、ウィルフレッド」 「エド!? 父上に向かってなんて口の聞き方……!」 ハージェスが顔をしかめて言ってくる。が、エドワードは椅子を蹴り倒して立ち上がると、腕を勢いよく横に広げて、ハージェスを黙らせた。 「父上だとっ!? 違うっ! この男は父親などではないんだっ! 私たちはこいつらとは血が繋がってないんだよっ!」 その言葉には、さすがのクラヴィスを眉をひそめた。母親は違えど、父親はすべて一緒のはずだ。 クラヴィスはウィルフレッドを見た。 「……どういうことだ?」 「まあ、話すとすごく長くなるんだけどね」 ウィルフレッドが肩をすくめた。 「エド、君も聞きたくはないだろうが、ま、座って聞いてよ」 エドワードに席につくよう促して、ウィルフレッドは両肘をテーブルにつき、腕を組んで言った。 「すべては30年前にさかのぼらなきゃいけない」 もともと身体の弱かった母が病死したのは、ウィルフレッドが18の誕生日を迎える1月と少し前だった。 永遠の眠りについた母親と最期の別れを済ませた夜、ウィルフレッドは彼女の遺品の整理をしていた。 そこで見つけたのは、すべての真実が書かれた彼女の日記と、自分宛ての手紙だった。 「そこには、僕は母さんとマードックの子供ではないと書いてあった。マードックは、ヴァレンタイン家が欲しくて、母さんに近づいた、ともかかれてあった」 ウィルフレッドがそれを知った直後に、マードックもそのことを知った。 「僕はね――ただの人形だったんだ――マードックのね」 自嘲のような笑みを浮かべて、ウィルフレッドは言った。 「彼は、そのあとすぐに自分の愛人を僕の妻としてこの家に引き込んだ。ヴァレンタインの血を引いていたのは母さんの方だったから、婿養子のマードックにしてみれば、元は他人の家で、後妻を娶るなんて体裁が悪すぎたんだ」 今まで自分の子供だと思ってきたウィルフレッドが自分の子供ではないと知ったマードックが相当焦っていたのは、ウィルフレッドも気付いていた。 マードックにしてみれば、大きな誤算だっただろう。 自分の血を引いた次の後継ぎがいなかったのだから。 「マードックは、ヴァレンタイン家に自分の血が流れる者を入れたかった。 彼は自分の血を引く、自分の子供が欲しかった。ただ、後を継がせるためだけに。 だから、彼は自分の愛人――僕の形だけの妻に子供を産ませた。 それが――ハージェスとエドワードだ」 その言葉にハージェスは大きく目を見開き、エドワードはただ下を向いて歯を食いしばっていた。 かすれた声でクラヴィスが言う。 「じ……じゃあ、兄貴達の父親って……」 「もしかしなくてもマードックだよ」 (いやまあ確かにくそ可愛げのない顔はあのくそじじいそっくりだけどさ……) ウィルフレッドがため息をついて、香茶を喉に流し込んだ。 にっこり笑って言う。 「だから、この手紙にそのことを書いて、『後継ぎはクラヴィスくんね』て指名したの」 あっけらかんと言ってくるウィルフレッドの言葉が理解できずにクラヴィスは一瞬固まった。彼の言葉を頭の中で反芻して、ようやくことの重大さに気付く。 クラヴィスはウィルフレッドを指差して絶叫した。 「な・にぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」 「反応遅いにょ。クラヴィスくん」 「ほっといてくれっ! だいたいなんなんだ? そのあっけらかんとした言い方は!? それはともかく、俺は絶対死んでも継がないぞっ! なに考えてやがるっ!? くそ親父っ!」 取り付く島もないようなクラヴィスの否定にウィルフレッドがいじけるように言った。 「でも僕、もう遺言書に書いちゃったもん」 「って過去形っ!? すでにっ!?」 思わずクラヴィスは叫んだ。ウィルフレッドはぺろっと舌を出して言う。 「この間ね、暇だったから書いちゃった」 その言葉にクラヴィスは脱力した。 「……じょーだんきついぞ……このくそ親父……」 「でもね、結構一生懸命まじめに書いたんだよ?」 「なんにしろオレは継ぎたくない。オレよりマシな後継ぎはいるだろ……」 言って、クラヴィスはハージェスを見た。 嘆息する。 「もしオレを後継ぎにするんだったら、オレはすべてをハージェスに任せるよ。オレが継ぐと、いろいろゴタゴタが起こること請け合いだからな」 言って、天井を見上げる。小さく深呼吸して、今まで言いたくてもいえなかったことをすべて吐き出した。 「もう嫌なんだよ。親が違うだの何だの言われたって、ン十年間も家族として一緒に過ごしてきただろ? それをたった一人、生きてる価値もねぇくそじじいがいなくなっただけで、なんで身内で争いなんかしなきゃなんねーんだ? オレはあんたらとごくごく普通に生活したい。家の肩書きも何もすべて抜きで。そーいう生活、俺たちには出来ないのか?」 「……キレイ事を言うな。どうせ心の中じゃ、私たちのことを笑っているくせに……」 エドワードが吐き出すように言い放った。真正面からクラヴィスを睨みつける。 「笑ってるんだろう!? はっ! そうだろうなっ! 子供の頃からいろいろ言われてきて――『お前らの方が汚らわしい』などと思ってるんだろう!?」 エドワードの言葉にクラヴィスは嘆息した。 「言ったろ。家柄も何も関係ないって。いくらあんたが昔オレにどんなに酷いこと言ってようが、オレにとっちゃあくそ兄貴の一人なんだよ。それでいいんじゃないか?」 「良くないに決まってるだろ!!」 テーブルに拳を叩きつけて、エドワードが叫んだ。ほとんど悲鳴に近い声で。 「今までの私の人生はなんだったと言うのだ!? 今まで、ヴァレンタインの人間だと思ってきたのに!! 今さら少しもこの家の血を引いていないといわれて、今まで馬鹿にしてきた弟に慰められて!?」 「じゃあ、こう言ったほうがいいか!?」 エドワードの声を上回るくらいの大音量でクラヴィスも叫んだ。 「この家に何の関わりもねえくそじじいの純粋培養で育てられたいい歳こいた世間知らずがっ! どーせ、外に放り出したって銅貨一枚ほども稼げねえほどの無能人間なんだから、大人しくこの家で暮らせとでも言った方が言いか!? そういう言い方してほしいってんならいくらでもしてやるぞ!? あんたらは知らねえだろーが、オレはこういう言い方にゃ慣れまくってるからな!? だいたいこんな小さいことでうじうじ悩んでいた挙句にオレの命まで狙いやがって! こっちはダチまで怒らせたんだぞ!? あのくそガキ、本気で怒らせるとすごいことするんだぞ!? 失神するまで木の枝に宙ぶらりんことか、窒息するまで水中息止めとかっ! どーしてくれんだ!?」 「……クラヴィスくん、ゼルガディスくんにそんなことされてたの……?」 ウィルフレッドがうめいた。 一気にまくし立てて、クラヴィスは荒い息を吐きながらエドワードを見た。 「今さらなに言ったってしょーがねーんだよ。それくらい判れ」 クラヴィスの言葉にエドワードは沈黙した。ひどくうな垂れて――きっと気持ちの整理が出来ていないのだろう。 クラヴィスは視線を移動させて、ハージェスを見た。 「……あんたは言いたいことないのか?」 「……思いっきりけなすのか? 今みたく?」 「……けなしたつもりないけど」 「いやすごくけなしてたように聞こえたんだが……まあ、いい。わたしは……」 そこでハージェスは嘆息した。自嘲して、言う。 「言いたいことはすべてエドが言ってくれた。言ってほしい言葉はすべてお前が言ってくれた。 わたしは……別にここの後継ぎになんて興味はないのだよ、本当は……ただ、次男が後を継ぐと長男はいろいろ言われるだろう? 『能無し』だのなんだのとな。単にそれが嫌だったんだ。 自分の親のことは……薄々気付いていた。さすがに真正面から言われるとさすがに驚いたが。 クラヴィス、お前には悪いことをしたと思っている。わたしは逃げていたんだよ――すべての事実から」 「それはみんな同じことだよ」 ウィルフレッドが肩をすくめた。 「僕もクラヴィスくんもエドも君もずっと事実から離れていた。自分が傷つかないように。 だから、みんなバラバラだった。お互いの気持ちがわからずに、お互いの腹を探り合いながら、ただひたすら自分のみを守ってきた。おかしいよね。ずっと『家族』として生きてきたのに」 ウィルフレッドはエドワードを見た。 「エド……今回のことについては、すべて水に流そう。今回は僕にも原因があるわけだし。 アメリア王女暗殺については――あの黒ずくめがすべてやった。そうでしょ?」 クラヴィスが嘆息して、ウィルフレッドを見た。 この父親は。 なんだかんだ言いながらも結局エドワードをかばうために彼が関わっているという証拠を必死になって探していたのだ。 きっと証拠が出てきたら、即座に抹消する気でいたのだろう。金貨を持って帰ってきたのもそのためだ。 「そだ、クラヴィスくん」 何かを思いついたように、ウィルフレッドが手を叩いた。 笑っていた顔を引き締め、まじめな顔になって、ウィルフレッドは言った。 「君にはもう一つ話したいことがあるんだ――母親のことで」 母親のことを言われて、クラヴィスはわずかに顔を曇らせた。 ≪続く≫ |
4464 | クラヴィスくん家のお家事情8 | ねんねこ E-mail | 9/27-18:13 |
記事番号4365へのコメント 「クラヴィスくんって香茶好きだよねぇぇぇ。こんなにいっぱい種類あるぅぅぅ」 「をい、くそ親父」 クラヴィスが半眼で、棚にしまわれた香茶の缶を珍しそうに眺めるウィルフレッドを睨みつけた。 二人きりで話したいという父親の希望で、自分の部屋に招きいれたのだが――思いっきりクラヴィスは後悔していた。 部屋に入ってから、十分近く。ウィルフレッドは部屋をぐるぐる回って、おいてあるものをものめずらしそうに見ては感嘆の声をあげるだけで、なかなか話をしようとはしなかった。 クラヴィスが嘆息する。 「……そんなに母親のことを話したくないんだったら、別に話さなくってもいいよ。こっちも聞きたくねぇし。 だいたい母親がなんだってんだ。オレをあんたに押し付けたんだろ」 「……クラヴィス」 たった一言。 ウィルフレッドがたった一言、自分の名前を呼んだだけなのに、クラヴィスは心臓を矢で貫かれたような感覚を覚えた。普段から『くん』付けされて呼ばれているので、呼び捨てにされるのに慣れていない、というのもあったが――いつもは何があっても優しい光を帯びていた瞳が、今一瞬だけ冷たい光を放ったために、恐怖を感じたのだ。 「……あ、いや……」 「君のお母さんは君を僕に押し付けたんじゃない。僕が、取りあげたんだ、彼女から」 「……取りあげた? 後を継がせるためにか?」 「マードックと一緒にしないでくれ。僕はあの男とは違う」 明らかに嫌悪の表情を浮かべて、ウィルフレッドは苦々しく吐いた。 ウィルフレッドは嘆息する。 「君にはね、本当の事を知っておいてもらいたいんだ」 「本当の……こと?」 クラヴィスの問いに、ウィルフレッドは近くの椅子に腰をかけた。 「君の母親とは、エドが生まれた日、雨の中であったんだ――なんかいろんな意味ですごい人でね。振り回されっぱなしだった」 昔のことを思い出して、ウィルフレッドは苦笑した。 「僕と彼女はそれからちょくちょく会ってた。その頃に、彼女のお父さんからいろいろ手ほどきを受けたんだ。 紛れもない真実を得るためにどうやって情報を集めたらいいか。 周りに味方がいない時、どうやって自分の身を完璧に守れるか。 どうやれば上手く人を殺せるか。 あの男――マードックを倒すために、僕は最低限のことを彼から学んだ」 「知らなかった……そんなことしてただなんて」 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは微笑んだ。 「他人に知られちゃったら、マードックにも気付かれちゃうでしょ? そうしたら、彼は僕のことを警戒するだろうからね、それだけは防がなくちゃいけなかった。 ――ま、そういうことを何年か繰り返して――クラヴィスくんが生まれた」 クラヴィスは覚えていないだろうが――生まれて1年くらいは彼は母親のもとで育った。彼女も彼女の父親もクラヴィスをたいそう可愛がってくれた。 ウィルフレッドも週に3、4回は彼女のもとへ行き、短い時間だったが、親子仲良く過ごした。 だが、幸せな時は少ししか続かなかった。 大した用事もないのに頻繁に外出するウィルフレッドを不審に思った彼の形だけの妻が、密かに後をつけたのだ。 ――そして、全てがバレた。 『ヴァレンタインの血を引く子供がいると知ったら、あの男は絶対にクラヴィスを殺すだろう』 そんなウィルフレッドの予想通り、マードックは彼女とクラヴィスに圧力をかけてきた。 嫌がらせと脅迫は、日に日に激しさを増していき―― ウィルフレッドと彼女の父親はある一つの決断を下した。 「マードックの目的はあくまでクラヴィスくんだった。 ヴァレンタイン家の正当な血を引く君が、あいつにとっては至極じゃまな存在だった。 だから、僕は君を連れて家に戻った。本当はね、みんなで遠くに逃げたかったんだけど……」 確かに逃げられるのなら逃げられる方が良かった。 だが、逃げることはマードックにとってみれば非常に都合が良いことだった。 どこかで殺された人間が、人知れず隠され、『行方不明者』として扱われることはそうそう珍しくはない。逃げれば、マードックは迷わず暗殺者を雇い、ウィルフレッドとクラヴィスを殺し、『行方不明』だと言うだろう。ならば、逆にみんなの目に触れるところに堂々といて、簡単に手を出せないようにするべきだ――それが、彼女の父親の意見だった。 ウィルフレッドは、しぶしぶながらもそれに従い―― 彼女からクラヴィスを預かった――いや、取りあげるに近かったか。 「だけど、僕たちがここの屋敷で暮らすようになってから、彼女への嫌がらせは全くなくなったらしいよ。結局、マードックの目的は僕たちだったてことだね。 彼女は、逃げたシグムーン・シティで別の男の人と結婚したよ。その人、彼女のことを本当に愛してたし、彼女もいつまでも僕に囚われていたら幸せになんてなれないでしょ? だから、僕は祝福した」 そこまでいって、ウィルフレッドは息を吐いた。 今まで隠し通してきた自分の過去。 いつか、クラヴィスが大きくなったら話そうと思っていた、彼の母親のこと。 自分が知らなかった真実を聞いて、クラヴィスは黙り込んでいたが――しばしの沈黙のあと、ぽつりと尋ねてきた。 「……母さん……今どこにいるんだ? シグムーンか?」 ウィルフレッドは首を横に振った。 「亡くなったよ。自分の息子を守るために十年以上も前に……」 「……写真とかは?」 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは、懐からロケット付きのペンダントを取り出して、クラヴィスに渡した。 「きれいな人だったよ。クラヴィスくんは思いっきり僕にだったけど……彼女のもう一人の子供は彼女の面影があったよ」 「……会ったことあるのか……要するにオレの義弟だろ……?」 「……そう……だね」 ウィルフレッドの曖昧な返事を聞きながら、クラヴィスはロケットをゆっくり開いた。 小さな枠の中で、セピア色の母親は優しく微笑んでいた。 何故だか、懐かしい気がするのは、やはり幼い頃一緒にいたためだろうか……? ウィルフレッドが言ってくる。 「彼女……シルヴィアって言うんだ。シルヴィア=ルシオン。旧姓だけどね。結婚してからは――」 そこでいったん言葉を切り、小さく深呼吸した。 彼に一番言わなければいけない言葉。 一体、息子はどんな顔をするだろうか―― 小さく深呼吸して、ウィルフレッドは絞り出すように声を出した。 「結婚してからは……シルヴィア=グレイワーズ、って名乗ってた」 ――『グレイワーズ』。 その言葉にクラヴィスは目を見開いた。 「クラヴィス、彼がゼルガディスです――ってなに泣いてるんですか、ゼルガディス?」 わけもわからず連れて来られた森の中の屋敷の裏庭。 赤い法衣を着た男は目が見えないといっていたが、きっと、しゃくりあげる声を聞いたのだろう。慌てた表情で、うずくまって泣く少年に顔を向けた。 クラヴィスは、ゼルガディスと呼ばれた少年を無表情で見つめた。 黒い髪、藍青色の瞳。背は高くない――どちらかと言えば低い方ではないだろうか。女の子のような顔をしたこの少年は、蒼い模型飛行機を片手に泣きべそをかいていた。 えぐえぐ言っているゼルガディスにクラヴィスは首をかしげた。 「……もしかして飛ばなくて泣いてるのか……?」 クラヴィスの問いにゼルガディスはこくんと頷いた。 この屋敷に来る少し前――5歳の誕生日プレゼントだといって作ってくれた父親の手本通りにプロペラ部分を一生懸命回して、手を離す――が、それは、父親がやったように大空を飛ばず、へろへろぽてり、と地面に落ちて、虚しくプロペラ部分だけが勢いよく回転した。さながら、模型飛行機が一心不乱に地面を掘っているように見えて思わずクラヴィスは吹き出して笑った。 クラヴィスに笑われたことで、彼に馬鹿にされたと思ったゼルガディスがさらに目に涙を溜めた。 「ふびぇ……」 クラヴィスはようやくプロペラが止まった模型飛行機を拾い上げると、情けない声をあげるゼルガディスに見えるようにプロペラ部分を回す。 「馬鹿だな、そうじゃなくってここをこうするのだよ。いいか、ほらっ!」 ゆっくりとクラヴィスの手を離れ、模型飛行機が空を舞い上がった。 泣いたからすがもう笑った。 ゼルガディスは、笑顔になって、クラヴィスを見る。クラヴィスも笑顔でブイサインをした。 「ぼく、ゼルガディス=グレイワーズ」 手を差し出されて、クラヴィスは自然に握り返した。 「オレはクラヴィス。クラヴィス=ヴァレンタインだ」 こうやって素直に自分の感情が出せたのは何年ぶりだろう。 素直すぎるゼルガディスにつられて、クラヴィスはつい自分の感情を表に出していた。もう、二度と自分の気持ちを外へは出さないと決めていたのに。 クラヴィスは苦笑した。 二人は、ゆっくりと地面に引き寄せられていく飛行機に目をやり、同時にそれを追いかけた。 その少し離れたところで、クラヴィスを連れてきた赤い法衣の男が優しい笑みを浮かべていた。 (やはり兄弟は兄弟で一緒にいる方が言いのかもしれませんね……ウィル) クラヴィスが数年ぶりに笑ったと聞いたら、ウィルフレッドはどんな顔をするだろう。 レゾはそんなことを考えながら、ずっと微笑んでいた。 「……冗談だろ? なんなんだよ、それ……『グレイワーズ』っていったら……」 呆然とクラヴィスは呟いた。 ウィルフレッドは静かにクラヴィスを見つめて言った。 「シルヴィアの父親――赤法師レゾが何故君をあそこに連れて行ったか考えたことがあるかい? 単にヴァレンタイン家の人間、ていう理由だったら、ハージェスでもエドでもいいわけだろう? けど、彼は君を連れて行った。それは――両親を失ったゼルガディスくんの家族だったから、レゾの孫だったから君を屋敷に連れて行ったんだ」 「……ゼルが……弟?」 クラヴィスが腰をかけていたベッドから立ち上がり、ウィルフレッドに近づいた。すごい勢いで、父親の胸倉を掴み―― 「じょぉぉぉぉぉだんだろ!? あぁの、きっと世界で一番不幸でお茶目な人は誰だコンテストってのがあったらダントツで優勝しちゃいそうなあの陰険性悪男が血のつながった弟だって言うのかっ!? ガキの頃に釣りに行こうって誘ったら『あの餌になるうにうにした虫触れないからヤダ』とかほざきまくりやがった言葉のボキャブラリーが変な所で欠如した可愛げもないよーなあの泣き虫ガキがっ!?」 ウィルフレッドの首をかっくんかっくん前後に揺らしながらクラヴィスが絶叫した。 涙目になってウィルフレッドが声をあげる。 「あうあぁぁぁぁぁぁっ! クラヴィスくんやめぇぇぇぇぇぇぇっ!」 「冗談だと言えぇぇぇぇぇぇぇっ!」 さらに激しく揺さぶりながら、クラヴィスは青筋を立てて再び絶叫した。 ≪続く≫ |