◆−ラプンツェル(おそらく、ガウリナ)−星月夜 葛葉(10/12-19:28)No.4560
4560 | ラプンツェル(おそらく、ガウリナ) | 星月夜 葛葉 E-mail URL | 10/12-19:28 |
こんにちは、星月夜 葛葉です。なんか、久々の投稿です。ちなみに、この話はグリム童話のラプンツェルのスレイヤーズ版です。(勝手に当てはめただけですが…)それでは、どうぞ〜。 ラプンツェル 昔、とある国のある所に、一組の貧乏な夫婦が住んでいました。その夫婦の結婚生活は長かったのですが、なかなか子宝に恵まれませんでした。 そんなある日、とうとう妻のフィリアが子どもを身篭りました。ところが、子どもが出来た事によって、さらに夫婦の家は貧乏になり、夫婦はその日の食事すらも危うくなっていきました。 「ヴァル、私は裏に住んでいるゼロスさんの屋敷に生えている、青いふさふさした葉っぱラプンツェルが食べたいです」 フィリアは常に空腹で、夫のヴァルガーヴにいつも言っていました。そんなフィリアのために、ヴァルガーヴはこっそりとゼロスの屋敷に忍び込み、見事にラプンツェルを盗って来ました。 もちろん、フィリアは喜んで食べました。しかし、フィリアはプンツェルの美味しさを知ってしまったがゆえに、他の食べ物を食べれなくなってしまいました。そして、フィリアはどんどん痩せ衰えていくのでした。 「頼む、フィリア。何か食べてくれ。でないと、お前が死んでしまう。…そうだ、フィリア!何か食べたい物はあるか?」 そんなフィリアを心配したヴァルガーヴは、フィリアに尋ねました。 「また、ゼロスさんの屋敷に生えているラプンツェルが食べていたいですわ」 フィリアはそう答えました。ヴァルガーヴはフィリアのためにもう一度、ゼロスの屋敷に忍び込んでラプンツェルを盗って来る事を決意しました。 夜になって、ヴァルガーヴがゼロスの屋敷に忍び込むと、なんとゼロス本人が見張りをしていました。ゼロスに見つかってしまったヴァルガーヴは、必死でゼロスに事情を説明しました。 「分かりました。そういう事情でしたら、いくらでも僕のラプンツェルを持っていっても構いません。ただし、その生まれた子どもは僕がいただきますけどね」 事情を聞いたゼロスはそう言いました。ゼロスのいけしゃあしゃあとした言葉に、ヴァルガーヴは怒りを覚えました。が、フィリアとお腹の子どもの命には変えられないために、ヴァルガーヴは不本意ながらも仕方なく条件を飲みました。 そうして、ヴァルガーヴはフィリアのためにラプンツェルをたくさん摘み取って、フィリアが待つ家へと帰って行きました。ゼロスのいけしゃあしゃあとした微笑みに見送られて…。 そんな事がしばらく続いたある日、とうとうヴァルガーヴとフィリアの子供が生まれました。その事を知ったゼロスは早速、生まれてきた子供をヴァルガーヴとフィリアから取り上げました。そして、ゼロスはラプンツェルにちなんで、その子供をリナ=ラプンツェル(以後、リナ)と名付け、手塩にかけて大事に育てました。 リナは太陽の光を浴び、ラプンツェルを食べ、すくすくと長く綺麗な栗色の髪と紅い瞳が特徴の可愛いらしい少女に育ちました。ところが、リナが12歳になった時、ゼロスは高い塔のてっぺんの部屋にリナを閉じ込めてしまいました。出入りはゼロスのみで、その方法は…、 「リナさん、その長い髪をたらして下さい」 ゼロスがそう言い、リナが自分の長い栗色の髪をたらして、それを梯子代わりにして登るというものでした。 リナが塔に閉じ込められて、しばらくが経ちました。 ♪高い空を 鳥になって飛びたい 遥か遠い 希望を目指して♪ ある時、たまたま塔の下を通りかかったガウリィ王子の耳に、塔の上から少女の綺麗な歌声が聞こえました。それは、リナが退屈を紛らわせるのに歌っていた歌(Breeze)でした。 ガウリィはその少女を見てみたいと思い、塔に登る方法を探しました。ですが、ガウリィはその方法を見つける事が出来ませんでした。それから数日経ったある日、ガウリィはゼロスが塔に登る姿を目撃しました。そうして、ガウリィは塔に登る方法を見つけたのでした。 「リナさん、その長い髪をたらして下さい」 塔に登る方法を知ったガウリィは、早速それをやる事を決意しました。その為に、ガウリィはゼロスのしていた通りに塔の上に向かって言いました。リナはゼロスと違う声に違和感を感じたのですが、ゼロスに『この言葉が聞こえたら、必ず髪をたらすように』と言われていたので、いつも通りに髪をたらしました。こうして、ガウリィは塔の上まで登る事に成功しました。 リナは塔に登って来た人物がゼロス以外の人物だったので、たいへん驚きました。なぜなら、彼女はゼロス以外の人間を見た事が無かったのです。ですが、リナはすぐにガウリィと仲良くなりました。 ガウリィは今まで自分が見てきた外の世界の事など、覚えている限りの出来事をリナに話しました。リナはガウリィの話を聞き、外の世界に憧れるようになりました。そんな中、リナとガウリィはお互いに惹かれていきました。そして、いつしか二人はゼロスに内緒で、愛し合うようになっていったのでした。 「なあ、リナ。ここから出て俺の国に行かないか?そこで、俺と結婚しないか?」 ある時、ガウリィはリナに求婚をしました。 「それは無理よ。だって、この塔の梯子はあたしの髪だもの。出るとしたら、代わりの梯子が必要だわ」 リナはそう答えました。そして、二人は考え込みました。 「そうだ!ガウリィ、これからここに来る度に、少しずつ布を持って来て。その布をつなぎ合わせれば、梯子になるはずだから」 突然、リナが閃いてガウリィに提案しました。 「それはいい考えだが、時間がかかるぞ」 ガウリィは、リナに言いました。 「おそらく、ゼロスはあたしを一生ここに閉じ込めるつもりよ。そんな事になるくらいなら、多少時間がかかってもここから出たいの」 リナはガウリィに、力強い口調で言いました。その時のリナの瞳は、今までのどんな時よりも輝いていました。 それから、ガウリィはリナの元へ行く度に、布を少しずつ持って行きました。時々、ガウリィが布を持って行く事を忘れたりもしましたが、だいたい順調にリナは布の梯子を作っていきました。そして、あと少しで布の梯子が完成するくらいになりました。そんな時、いつものようにゼロスが塔に登って来ました。 「ねえ、ゼロス。どうして、そんなに登って来るのが早いの?ガウリィは、もっと遅いのに…」 ゼロスが塔に登りきった後、リナはついうっかり、いつも思っていた事を口にしてしまいました。 「ガウリィさん?リナさん、僕以外の誰かをこの塔に入れましたね?」 ゼロスは酷薄な笑みで、リナに聞きました。 「さ、さあね、何の事かしら?あたしは知らないわ」 リナはゼロスの酷薄な笑みに、たじろぎながらも答えました。ゼロスはリナの答えに誰か来ていた事を確信し、リナが隠していた布の梯子を目ざとく見つけてしまいました。 その後、ゼロスはリナの長い栗色の髪を切り、リナが脱出用に作っていた布の梯子でリナを塔から下ろし、荒野に置き去りにしてしまいました。そして、ゼロスは塔の上で、リナの待っていた人物が来るのを待ちました。 「リナさん、その長い髪をたらして下さい」 そんな事が起こっていたとは何も知らないガウリィは、いつものように塔の上にいるはずのリナに向かって言いました。そして、ガウリィはいつものように、リナの髪を梯子にして塔に登りました。塔の上でガウリィを待っていたのは、リナではなくゼロスでした。 「僕のリナさんをたぶらかしたのは、貴方ですね?」 ゼロスはガウリィを見ると、ガウリィに尋ねました。内容は問いかけでしたが、口調は断定的なものでした。 「たぶらかしたとは、心外だな。俺はリナをお前から助けだそうとしただけだ」 ガウリィはその言葉に『コイツがリナを閉じ込めた』と確信し、ゼロスにきっぱり言い放ちました。 「僕から助け出すとは、ひどい言い草ですねぇ。それこそ、心外ですよ。僕はただ、リナさんを僕以外の人の目につかないよう、そして、僕だけを見て下さるよう、僕だけの物にしただけなんですけどねぇ」 対するゼロスは、いけしゃあしゃあと言い放ちました。 「貴様ぁ!!そんな自己満足のために、リナを閉じ込めたのか!?高い塔の上にたった一人きりにして!!それに、リナは今どこにいる!?」 その言葉に激怒したガウリィは、怒りに身を任せてゼロスに向かって行きました。ゼロスはガウリィをヒラリと軽くかわしました。 「リナさんは、今ごろ荒野でさまよっているでしょうねぇ。貴方のせいで」 そして、ゼロスはガウリィが無視出来ない事をさらりと言いのけました。ガウリィがその言葉に驚いている隙に、ゼロスはガウリィを塔から落としてしまいました。 運良く助かったガウリィですが、落ちた時に目をやられてしまい失明してしまいました。光を失ったガウリィは、リナを求めてあちこちをさ迷いました。 そして、ついに二人は荒野で再会しました。その時のリナには、ガウリィとの子どもが二人生まれていました。リナはガウリィの目が見えない事を悲しんで涙を流しました。その涙がガウリィの目に触れると、ガウリィの目は再び光を取り戻しました。その後、四人はガウリィの父が治める国に行って、末永く幸せに暮らしました。 それからかなりの年月が流れてから、この話が本として出版されました。この話を知った某白魔術都市の正義感溢れる熱血お姫様が、この話に出てくるゼロスに正義の鉄槌を下すため、旅に出たとか、出ないとか…。 ガウリィファンの方、ゼロスファンの方、すみません。お許し下さい。 いかがだったでしょうか?これは私が小説もどきを書き始めた頃に書き上げた話です。前に投稿し忘れていたので、今投稿しちゃいました。約半年の間、よく忘れていたなぁ…。 このような駄文を最後まで読んで下さった方、どうもありがとうございます。それでは、星月夜 葛葉でした。 |