◆−楔―くさび― エピローグ−桐生あきや(10/27-02:06)No.4790
 ┣ありがとうございました(MIYA)−MIYA(10/27-12:50)No.4791
 ┃┗こちらこそありがとうございます−桐生あきや(10/27-23:39)No.4800
 ┣おめでとうございます!でも寂しいぃ(T_T)−あんでぃ(10/27-19:43)No.4797
 ┃┗アメりんとガウりんの密談(!?)ですか(笑)−桐生あきや(10/27-23:49)No.4801
 ┣え〜ん(T_T)−karin(10/28-00:01)No.4802
 ┃┗な、泣かないで(汗)−桐生あきや(10/28-00:42)No.4804
 ┣楔―くさび― サイドストーリー(ガウリイ&アメリア)−桐生あきや(10/28-00:32)No.4803
 ┗楔―くさび― サイドストーリー(リナ&ゼルガディス)−桐生あきや(10/28-01:05)No.4805
  ┣自分一人で熱い友情に感動!!煤i>o<)b−あんでぃ(10/29-15:22)No.4812
  ┃┗レスが遅れてごめんなさい!−桐生あきや(11/1-01:12)No.4832
  ┗はじめましてです〜−緑原実華(11/9-16:11)No.4870
   ┗Re:はじめましてです〜−桐生あきや(11/10-00:33)No.4877


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4790楔―くさび― エピローグ桐生あきや 10/27-02:06



 とうとうツリーが落ちてしまいました(苦笑)。
 これはもうしょうがないですね。
 いまのいままでせこせこ書いていたんです(^^;
 それでは、できたてほやほやの新ツリーのエピローグを、どうぞ。

=====================================


 あの後、やはりというか何というか、リナは熱を出して寝こんだ。
 無理しすぎです、熱ぐらい当たり前ですよ、とアメリアには言われ、ゼルガディスにはやっぱり、という顔をされ、ガウリイにはものすごく心配されて騒がれた。
 ゼロスと戦ってから、ちょうど三日が過ぎていた。
 ゼロスを滅ぼすことにはならなくて、リナは正直ホッとしている。ゼロスを倒したりしたら、獣王その人が出てきそうな気がしたのだ。
 熱は下がったものの体力がいまだ戻らず、気怠い体を持てあましながら、リナはベッドの上から開け放たれた窓に目をやった。
 空は高く青く、気持ちよく晴れている。
「いい天気ね」
「そうだな」
 ベッドの横に置かれた椅子に座っているガウリイが、のんびりと相づちをうった。
 そうしていると、ぱたぱたという軽い足音が部屋の前までやってきて、コンコンとドアがノックされる。
「リナさーん。具合どうですか?」
 元気な声とともに、アメリアがドアから顔をのぞかせる。ゼルガディスも一緒だった。
「もう平気よ………って、二人とも何その格好」
 アメリアとゼルガディスは旅装だった。
 アメリアが、にっこり笑って答える。
「私は先にセイルーンへ戻ることにしました。ゼルガディスさんが送ってくれるそうです」
「ちょ、ちょっと何もそんな急に………」
 アメリアの後ろに立っているゼルガディスに目をやると、やや憮然とした表情ながらも、アメリアの言葉を特に否定はしない。アメリアが丸めこんだのか、自分からそう言い出したのか。
 ………たぶん前者だろう。
「何もそんなに急ぐことないだろう?」
 ガウリイのセリフを、アメリアはびしっと片手を突きだして、さえぎった。
「いーんですっ。リナさんはゆっくり休ませるべきなんです。まだ体力戻ってきてないんですから! ちょうどガウリイさんもいることだしっ」
 ―――このコ、もしかしなくてもあたしとガウリイを残すために、わざと復活(リザレクション)手ぇ抜いたわね………。
 いまだ気怠い自分の体に、一も二もなくリナはそう確信した。
 ジト目でにらみつけるリナに、アメリアはだらだらと冷や汗を流す。
「えーと、じゃ、そういうことでいつかまた、会いましょう!!」
 アメリアは元気良くそう宣言すると、回れ右して部屋を飛び出そうとするが、当然ながら真後ろに立っていたゼルガディスに激突してしまう。
「あううう、痛いです〜」
「………何をやっているんだ、お前は」
 呆れはてたゼルガディスの声に、鼻をおさえたままアメリアが反論する。
「だって〜〜」
 その様子を、リナは幸せな気持ちで見つめて、笑った。
 ちょっとシャクだけれど、アメリアの策にのせられておくことにする。

 きっと、二人きりで話したいことがある。あたしにも。アメリアにも。
 男共二人はどうかわからないけど。
 あたしは、ガウリイに。
 アメリアは、ゼルに。
 伝えたい、言葉を持ってる。

「アメリア、ゼル」
 リナの言葉に、口論めいた会話をしていた二人はそっちを見る。
 二人が見たのは、最高に嬉しそうな、誇らしげなリナの笑顔。
「ちょっとさびしくなるけど、いつかまたどこかで、ね」
 いつか。また。どこかで。
 きっと。
「ああ………」
 ゼルガディスが小さく、しかしはっきりとうなずいて、ガウリイに軽く片手をあげた。ガウリイも片手をあげてそれに応える。
 部屋から出ていくゼルガディスの後を慌てて追いながら、アメリアがリナとガウリイをふり返った。
 つややかな黒髪がひるがえって、濃紺の瞳が輝く。
「はいっ、いつかまたどこかで、必ず!!」
 落ちついた静かな足音と、ぱたぱたと軽い、弾むような足音が連れだって遠ざかっていくと、穏やかな沈黙が部屋に訪れた。
 ベッドの上で、軽くリナは伸びをする。
「あーあ、行っちゃった。二、三日したら、あたしたちもこの村出よっか。あんたの剣、探さなくちゃいけないし」
 枕に体を預けて、リナはかたわらのガウリイを見上げた。
「あー、そのことでゼルが何か言ってたぞ。ゼフィーリアの隣りのカル何とかって国に、そう言ったたぐいの話が多いから、行ってみたらどうだって」
「ゼフィーリアの隣り……って、カルマート公国?」
「ああ、それそれ」
「ふーん、そっかわかった。でもいつ聞いたの? そんなこと」
「昨日の夜、酒を飲みながら」
「よくゼフィーリアは憶えてたわね」
「昨日、アメリアに飲ませた酒がゼフィーリアワインだったからな」
 聞き流そうとして、リナの動きが止まった。
「アメリアに酒っ!? 何する気だったのよあんたは!?」
「何する気って、おい………。俺はただ、飲むかって聞いたら、はいって言うから飲ませただけだぞっ」
 ガウリイの抗議をさらっと聞き流して、リナは「へぇ」と首をかしげた。
「アメリアが酒を飲みたいだなんて、珍しいこともあるわね。だからゼフィーリアは憶えてたの?」
「それもあるが、お前さんの実家のある国だしな」
「え………っ?」
 リナは思わずガウリイの顔を見るが、ごく普通の表情で剣帯をつくろっている。
 リナの視線に気づいたガウリイが、剣帯から顔をあげてリナを見た。
「どうした?」
「……………………何でもない」
 慌ててリナはそっぽを向いた。
 そのリナの髪を、ガウリイがくしゃりと撫でる。
「でもまあ、何も急いで出発することもないさ。しばらくゆっくりしていこう」
「ん………」
 ガウリイの手が心地よくて、リナは結局、言いたい言葉を呑みこんでしまった。
 ようやく気を取りなおして、言う気になったのは青かった空が群青に変化して、星が瞬きはじめてからだった。
 リナがかけた明かり(ライティング)の光と、宿の部屋に元々あったカンテラの明かりが、やわらかく混じりあって、部屋を照らし出す。
 光を弾いてきらきら輝く金髪に、リナは思わず目を細めた。
「あんたの髪、きれいね」
「そうか?」
「そうよ。男のくせに何だってこんなにきれいな髪してんの、もったいない」
 伸ばされたリナの手が、ガウリイの髪を一房つかみとる。
 暴走したとき、溢れだす膨大な魔力と土砂のなか、ただこれだけが目に焼きついた。
 光の泡のような金髪と、青いきれいな瞳。
 くせのない金髪は、リナが指をからめようとしても、すぐにさらさらと逃げていってしまう。
 開いた窓から、冷えた夜気が流れこんできて、二人の髪を揺らした。
 もの問いたげなガウリイの視線とぶつかって、リナはそっと言葉を紡ぐ。
「ねえ、ガウリイ………。あたし、ガウリイの隣りにいてもいい………?」
 青い瞳がわずかに見張られる。
 返事を待たずにリナは続けた。
「あたしといるとさ、大変な目にばっかりあうけれど………。魔族にちょっかいだされたりとか、光の剣………無くしたりとか」
 ガウリイの目を見てられなくて、リナは指にからめた金髪に目を落とす。
 ガウリイを傷つけるから、そのために別れようなんて考えは、この三日間ほどであっさり抜け落ちていた。
 だってガウリイは自分の〈楔〉だから。
 ガウリイがいなければ、自分はだめなのだから。
 完全なワガママだけれど、そうしたいと心から願った。
「今回みたいに、怪我させたりとか、するけどさ………。それでもあたしはガウリイの傍にいたいから、だから訊くの。いてもいい? 迷惑じゃない………?」
 消えそうな声でそう言ったが、ガウリイが応える気配はない。
 じれったくなって顔をあげると、ふわりと頬の横の髪をすくわれた。
「お前じゃなきゃだめだよ」
 リナの瞳が揺らぐ。
「俺も、お前の傍にいたいから」
 たまらない切なさに、リナは目を閉じた。

 負担になりたくないと願うこと。そのための強さを望むこと。
 そばに在りたいと思うこと。
 いちばん欲しかったこたえ。
 自分の居場所。

「リナは強いな」
 リナは子供のように首をふった。
 吐息のような囁き。透明な笑み。
「あんたがいるからよ」
 腕の中に抱き寄せられても、リナは抗わなかった。
 ガウリイがちょっとだけ苦笑する。
「アメリアにちゃんと言えと言われたよ」
 リナの顔が真っ赤になる。
「あのバカ娘〜〜〜………」
 憤然と呟いたものの、笑いをこらえきれなくなって、リナは吹き出した。
 くすくすと笑って、ガウリイの肩に頬を預ける。
 伝わってくる体温が心地よかった。これもまた、世界に融けていきそうな感覚のひとつ。
 魔族には絶対わからないこの感覚。
「あのコもちゃんとゼルに言えてるかしら………?」
 ガウリイが小さく笑った。リナからその表情は見えないが、紡がれる声は優しい。
「言えてるさ、きっと」
「ん、そだね………」
 リナはそっと目を閉じた。
「ねえ、ガウリイ」
「ん?」
「いったいアメリアと何の話してたわけ?」
「んー、内緒」
「……………ま、いいけど」
 リナは嘆息して、ガウリイに体を預けた。ゆるゆると湧きおこってくる眠気を、抵抗することなく受け入れて、意識をゆだねる。
 眠りに落ちる寸前、そっと名前を呼ばれた。
 尋ねられた問いに、うっとりと微笑んで、リナは言葉を返す。
「当たり前でしょ。あんたじゃなきゃ、ダメなんだから………」



                                 FIN,

                    TRYエンディング『somewhere』へ


=====================================


 ………ようやく完結いたしました。あー、長かった(笑)。
 こんな長ったらしい話を、根気よく読んでくださった人には、お礼の言葉もありません。本当にありがとうございます。
 最後にガウリイが何と言ったのかは、各人好きにご想像ください。読み終わったあとに、TRYのエンディングで流れる四人の映像を思い浮かべていただければ、もはや完璧です(笑)。
 この後は、サイドストーリーとして、酒を飲むアメリアの話(笑)を予定しています。エピローグに付け足そうと思ったのですが、長くなるのでやめました。

 書けて、ものすごく満足しています。本当に読んでくれてありがとうございました。

                        桐生あきや 拝


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4791ありがとうございました(MIYA)MIYA E-mail URL10/27-12:50
記事番号4790へのコメント

桐生あきや様

はじめまして。MIYAと申します。
今回は素敵なお話を読ませて下さってありがとうございました。
ここ数日間、毎晩桐生さんのお話をチェックするのを
とても楽しみにしていました。
内容が濃く、それでいてテンポがよくって、とても読み応えが
あったのと同時に、リナの弱さと強さ、ガウリイのリナへの想い、
ゼルやアメリアの仲間としての信頼関係をとてもよく感じられて
すごく嬉しい気持になれました。
本当に沢山のありがとうを伝えたいです。
番外編もおありとか。そちらも楽しみにしていますね。

桐生さんの次回作が読める日を楽しみにしつつ・・・

MIYA拝

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4800こちらこそありがとうございます桐生あきや 10/27-23:39
記事番号4791へのコメント


 はじめまして。ずっと読んでてくださって、ありがとうございます。
 こうしてレスをいただけて、すごく嬉しいです。

>今回は素敵なお話を読ませて下さってありがとうございました。
>ここ数日間、毎晩桐生さんのお話をチェックするのを
>とても楽しみにしていました。
 そう言っていただけると、ものすごく幸せです。私の話を読むのを楽しみしてくれているなんて………。

>内容が濃く、それでいてテンポがよくって、とても読み応えが
>あったのと同時に、リナの弱さと強さ、ガウリイのリナへの想い、
>ゼルやアメリアの仲間としての信頼関係をとてもよく感じられて
>すごく嬉しい気持になれました。
 やっぱり仲良し四人組なんですよね(笑)。でも笑い事ではなく、リナたちの基本はこれだと思っています。何の約束もしなくても、再会を信じて別れられる強さって、ホントに羨ましいです。

>本当に沢山のありがとうを伝えたいです。
>番外編もおありとか。そちらも楽しみにしていますね。
 いえいえこちらこそ。

>桐生さんの次回作が読める日を楽しみにしつつ・・・
 そのうち調子にのってまた何か書くかもしれません(笑)。

 それでは、レスどうもありがとうございました。

 桐生あきや拝


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4797おめでとうございます!でも寂しいぃ(T_T)あんでぃ 10/27-19:43
記事番号4790へのコメント

  ああー!!ついに終わっちゃいましたー!!寂しいですぅ(泣き)でもハッピーエンドは終わったあとさわやかな気分ですね。終わり方もしみじみな感じで心温まる話ですし。あ゛ー!茶がうまい!(←おやぢかお前わ)
 

  と・・・(汗)遅れましたが、無事終了おめでとうございます!!こんなにいい話を書いて・・・お母さんはうれしいわっ!←誰がお母さんだ!
ぽかっ! 煤@−o)=O(>o<)/
いたっ!しくしく・・・

 
  この話は《ぱーへくとガウリナあーんどゼルアメ》ですね!!もうウハウハでした(殴)
  そしていきなり毎回のごとくワガママですが、次回作(その前にアメりんとがうりんの密談!?をよろしくおねがいします)に期待してます!!


  でもでもゼロスが滅びなくって良かった!!ゼロスの存在ってアンパンマンで言うとバイキンマン、ドラえもんで言うとジャイアンって感じなんですもん。(憎めないってことです)わけわからんですね(汗)
  

  と、またまたよくわからん文で恐縮ですが、少しでも私の感動が伝わってたらうれしいです!!
  さーてあきらさんの次のお話は何でしょう!!(勝手に決めてるし)楽しみにしていまーす!!でわでわまた会いましょう!!\(^▽^)/゛



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4801アメりんとガウりんの密談(!?)ですか(笑)桐生あきや 10/27-23:49
記事番号4797へのコメント


 とうとう完結いたしました。毎回レスをくれるあんでぃさんにはホント感謝感激です。ありがとうございます! 桐生は幸せ者です。

>  ああー!!ついに終わっちゃいましたー!!寂しいですぅ(泣き)でもハッピーエンドは終わったあとさわやかな気分ですね。終わり方もしみじみな感じで心温まる話ですし。あ゛ー!茶がうまい!(←おやぢかお前わ)
 書いている桐生のほうが、リナとガウリイのラブラブに照れてなかなか書けなかったです(爆死)。読むのは大好きなくせに、書くのはどうやら恥ずかしいようです、桐生は(^^;
 
>  この話は《ぱーへくとガウリナあーんどゼルアメ》ですね!!もうウハウハでした(殴)
 そこはかとなくアメリアとゼルガディスをラブラブさせるのが、実はかなり楽しかったです(*^^*)。

>  そしていきなり毎回のごとくワガママですが、次回作(その前にアメりんとがうりんの密談!?をよろしくおねがいします)に期待してます!!
 この密談の話は、ごはんを食べるリナをまた見たいとあんでぃさんが言っていたことから思いつきました。ガウリイが目立ってなかったのでちょうどいいや、とか思って(死)。

>  でもでもゼロスが滅びなくって良かった!!ゼロスの存在ってアンパンマンで言うとバイキンマン、ドラえもんで言うとジャイアンって感じなんですもん。(憎めないってことです)わけわからんですね(汗)
 リナたちは結構ドライな関係をたもってますけれど、私達的にはゼロスってバイキンマンなんですよねぇ。

>  と、またまたよくわからん文で恐縮ですが、少しでも私の感動が伝わってたらうれしいです!!
 だいじょうぶです。すごく伝わってます。ほんとにありがとうございます。

                               桐生あきや拝

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4802え〜ん(T_T)karin 10/28-00:01
記事番号4790へのコメント

桐生あきやさんは No.4790「楔―くさび― エピローグ」で書きました。
>
>
> とうとうツリーが落ちてしまいました(苦笑)。
> これはもうしょうがないですね。
> いまのいままでせこせこ書いていたんです(^^;
> それでは、できたてほやほやの新ツリーのエピローグを、どうぞ。
しくしく(T_T)もうエピローグなのぉ?
さしびしいなよ〜(おたけび)
>
>=====================================
>
>
> あの後、やはりというか何というか、リナは熱を出して寝こんだ。
ふっ!とうぜんのことよ!!
> 無理しすぎです、熱ぐらい当たり前ですよ、とアメリアには言われ、ゼルガディスにはやっぱり、という顔をされ、ガウリイにはものすごく心配されて騒がれた。
ガウらしい。
> ゼロスを滅ぼすことにはならなくて、リナは正直ホッとしている。ゼロスを倒したりしたら、獣王その人が出てきそうな気がしたのだ。
そりゃでてきたらこまるわなぁ(人事だと思っている)
>「何もそんなに急ぐことないだろう?」
> ―――このコ、もしかしなくてもあたしとガウリイを残すために、わざと復活(リザレクション)手ぇ抜いたわね………。
> いまだ気怠い自分の体に、一も二もなくリナはそう確信した。
> ジト目でにらみつけるリナに、アメリアはだらだらと冷や汗を流す。
リ:図星かぁ!!
k:そういうことよ。
>「えーと、じゃ、そういうことでいつかまた、会いましょう!!」
> アメリアは元気良くそう宣言すると、回れ右して部屋を飛び出そうとするが、当然ながら真後ろに立っていたゼルガディスに激突してしまう。
>「あううう、痛いです〜」
>「………何をやっているんだ、お前は」
> 呆れはてたゼルガディスの声に、鼻をおさえたままアメリアが反論する。
>「だって〜〜」
馬鹿っていっていいんだかなあ。
> きっと、二人きりで話したいことがある。あたしにも。アメリアにも。
> 男共二人はどうかわからないけど。
> あたしは、ガウリイに。
> アメリアは、ゼルに。
> 伝えたい、言葉を持ってる。
告白ってことかしらぁ〜v
>「あー、そのことでゼルが何か言ってたぞ。ゼフィーリアの隣りのカル何とかって国に、そう言ったたぐいの話が多いから、行ってみたらどうだって」
いい加減覚えろよ・・・
> 尋ねられた問いに、うっとりと微笑んで、リナは言葉を返す。
>「当たり前でしょ。あんたじゃなきゃ、ダメなんだから………」
いや〜んvラ・ブ・ラ・ブだぁ〜
>
>
>
>                                 FIN,
>
>                    TRYエンディング『somewhere』へ
>
>
>=====================================
>
>
> ………ようやく完結いたしました。あー、長かった(笑)。
> こんな長ったらしい話を、根気よく読んでくださった人には、お礼の言葉もありません。本当にありがとうございます。
そんなおおげさなことでは、無いですよ。
> 最後にガウリイが何と言ったのかは、各人好きにご想像ください。読み終わったあとに、TRYのエンディングで流れる四人の映像を思い浮かべていただければ、もはや完璧です(笑)。
OKっす!!(笑)
> この後は、サイドストーリーとして、酒を飲むアメリアの話(笑)を予定しています。エピローグに付け足そうと思ったのですが、長くなるのでやめました。
うしゃ〜あ!!
>
> 書けて、ものすごく満足しています。本当に読んでくれてありがとうございました。
>
>                        桐生あきや 拝
今度のものも、期待してます。あきやさんこんないいもの作れるなら、HPつっくたらいいのに・・
そんなわがままは、いいとして。
あきやさん今後もレスさせていただきますので、よろしくお願いします。
それでは〜

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4804な、泣かないで(汗)桐生あきや 10/28-00:42
記事番号4802へのコメント


 サイドストーリーをアップしたら、その間にレスが来ておりました。
 どうもありがとうございます。

>しくしく(T_T)もうエピローグなのぉ?
>さびしいよ〜(おたけび)
 意外に展開が早くて、桐生もびっくりしております。
 でもレスをいただくと、嬉しくって、ああ早く続きアップしなきゃって思うんですよね。

>>「当たり前でしょ。あんたじゃなきゃ、ダメなんだから………」
>いや〜んvラ・ブ・ラ・ブだぁ〜
 書いてる桐生の方が恥ずかしかったです(爆死)。

>今度のものも、期待してます。あきやさんこんないいもの作れるなら、HPつっくたらいいのに・・
 桐生はかなりのネット初心者で、全然そういったことわからなんです。おまけにまめに更新する自信がないもので………(ダメダメだ……)。
 かなり持続力にかける私は、そういった理由で同人活動もやったことがありません。スレの小説はすべて自己満足のためだけに書いておりました(笑)。

>あきやさん今後もレスさせていただきますので、よろしくお願いします。
 わーい、嬉しいです! こちらこそよろしくお願いしますね。

                              桐生あきや 拝

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4803楔―くさび― サイドストーリー(ガウリイ&アメリア)桐生あきや 10/28-00:32
記事番号4790へのコメント


 これは楔―くさび―の話のなかでもエピローグの枝分かれ的な話ですので、本編をすべて読んだ後に読むことをオススメします。(著者別リストの「桐生あきや」のところにあります)
 それでは、どうぞ。

========================================


 アメリアは、とんとんとリズム良く宿の階段をかけあがった。手には、湯気をたてる深皿をのせた盆を持っている。
 目的のドアの前までくると、盆を持ったまま器用にノックして、開ける。
「リナさん、晩御飯持ってきましたよ〜」
 アメリアが元気良くリナの部屋に入ってくると、リナのうんざりした声が出迎えた。
「アメリア〜、もうお粥やだぁ。もう三日もお粥じゃないの〜」
「何言ってるんですか、リナさんは病人なんですよ? 病気にはお粥がいちばんです!」
「その根拠のない理由はどこから来るのよ………」
 頭痛をこらえるようにリナが頭を抱えた。
「もう熱もないから、治ってるってばぁ」
「ダメです!」
「うううううううぅ」
 あのあと、プラメアの村で宿を取り、全員が疲れてベッドに潜ったところまではよかったのだが、夜が明け、昼過ぎになってもリナだけが起きあがれなかった。
 無理のしすぎで、熱を出したのだ。
 あの三日間で、魔力は暴走させるし、失血死寸前までいくし、生身で空間は渡るし、聞けば五感もおかしくなっていたと言うから、その反動で熱ぐらい出ても罰は当たらないとアメリアは思う。逆に何もない方が怖いではないか。
 アメリアが復活(リザレクション)を唱え、昨日には熱も下がったのだが、失われた体力までは戻らない。
「だいじょうぶですよ」
 アメリアはにっこり笑って、盆をサイドテーブルにおいた。
「今日はパン粥ですから」
「だいじょうぶじゃないぃっ!」
 たまらずリナが悲鳴をあげる。
「せっかく宿の人に言って作ってもらったんですから、キチンと食べてください」
 リナはスプーンでパン粥をかき回す。
「味のあるもの食べたいよぅ………」
 しばらく何やら嘆いていたが、観念したのかパン粥を食べ始める。出す前に文句をつけても、出されたらきっちり食べるあたりがリナだ。
「ガウリイとゼルは?」
「ガウリイさんもゼルガディスさんも下にご飯食べにいってまだ戻ってきてません」
「そう」
 相づちをうって、リナは黙々とパン粥を食べ続ける。アメリアはベッドの横の椅子に座って、皿が空になるのを待っていた。
「アメリア」
「はい」
「お代わり」
「はーい」
 別に驚く様子もなく、アメリアは盆を持って部屋を出て、呟いた。
 ―――明日からはお鍋ごと持ってきた方がいいですかね。



 アメリアが下に降りていくと、ゼルガディスとガウリイが気づいて片手をあげた。
 宿屋の主人にお代わりを頼んでから、二人のテーブルに近づくと、すでに夕食の食器は下げられていて、テーブルの上にはボトルとグラスが置いてある。
 道理でなかなか戻ってこないはずだ。
「どうした?」
「お代わり頼まれました」
 ゼルガディスにそう答えると、ガウリイとゼルガディスは顔を見合わせて笑った。
「リナらしい」
 そう言って、ゼルガディスはグラスの中味を空けてしまうと、口元のマスクを引き上げた。ガウリイが怪訝な顔でゼルガディスを見る。
 ボトルはそれほど減ってはいない。
「もういいのか?」
「ああ。アメリア、まだ夕飯食ってないだろう? 俺が戻るついでにリナに持って行くから、お前はここで何か食ってろ」
「え、いいんですか?」
「かまわん」
「じゃ、お願いします。お盆を受け取るときに、ついでに宿のご主人に何か適当に頼んでくれませんか?」
「わかった。ガウリイ、ほどほどにしとけよ」
「それならもう少し中味を減らしていってほしいんだが………」
 ガウリイが何やら呟いたが、ゼルガディスはあっさりそれを無視した。
 厨房へ向かうゼルガディスに代わって、アメリアがガウリイの前に座る。
「どうしたんです、お酒なんて。リナさんとこ行かなくていいんですか?」
「いや、後で行くよ」
 ガウリイはそう答えたきりで、後は黙々とグラスをかたけている。
 それがちょっとだけ不自然に思えて、アメリアは首をかしげた。
 運ばれてきた料理を食べながら、アメリアはガウリイに尋ねた。
「なんだって今頃お酒なんか飲んでるんです?」
 探るようなアメリアの口調に、ガウリイはちょっとだけ苦笑したようだ。
「アメリアも飲むか?」
「飲んだことないです。で、なんだってリナさんの傍にいないでお酒飲んでるんですか?」
 とうとうストレートに尋ねてきたアメリアに、ガウリイは降参したようだった。
「んー、何となくヤケ酒」
「はぁ?」
 アメリアはスプーンを動かす手を止めて、聞き返す。
「何となく、ですか?」
「何となく」
「はぁ………。まあ、いいですけど、何となくでヤケ酒ってできるものなんでしょうか………」
 腑に落ちないながらも、アメリアは食事を再開した。
 ゼルガディスが頼んだものは、鶏肉の煮込みだった。特に好き嫌いのないアメリアはおいしくそれをいただく。
 食べ終えてから、食器をわざわざ厨房まで戻しにいって、アメリアは再びガウリイのところまで戻ってきた。
「お酒っておいしいですか?」
 突然の問いに面食らいながらも、ガウリイは答えた。
「いや、モノにもよるけど………。飲んでみるか?」
 軽い気持ちでそう尋ねると、予想に反してアメリアはコクンとうなずいた。
 ちょっと驚いたものの、ガウリイは立ち上がって厨房まで行くと、グラスとボトルを持ってくる。
「これは?」
「俺とかゼルが飲むようなのは、初めて酒を飲むヤツには強すぎるから。ちょうどいいのがあったから、もらってきた」
 ガウリイは、慣れた手つきでコルク栓を抜くと、アメリアの前に置かれたグラスに、半分よりわずか少なめの量まで酒を注いでやった。
「わぁ、キレーな色………」
 グラスの中を見て、アメリアは思わず声をあげた。
 透明な、何とも言えない淡いピンク色をした酒だった。
「これ、何ですか?」
「何だったか忘れた。たしか赤ワインと白ワインの中間のやつだったと思うぞ」
 かなりピントのずれた答えだったが、あまり酒の種類に興味のないアメリアは特に追求はしなかった。
「へえ〜。じゃ、いただきま〜す」
 ひとくち飲んで、アメリアは目を輝かせた。
「甘くて、美味しいです」
「そういうヤツを選んだからな。でも、何だって急に酒を飲む気になったんだ?」
 アメリアはイタズラっぽく笑ってガウリイを見た。
「何となくです?」
「何となくなのか?」
「ガウリイさんだって、何となくヤケ酒してるんでしょう?」
 困ったようにガウリイは頬をかいた。
 ふふっとアメリアは笑う。
「でもいいですよ、訊きません。このお酒がおいしかったから、いいです」
 わけがわからなくて、ガウリイは聞き返す。
「まずかったらどうするつもりだったんだ」
「訊いてました」
 やっぱりよくわからなかった。
 しばらく他愛もない会話をしていると、アメリアの頬がほんのりと色づいてきて、そろそろ止めさせるべきかとガウリイは考える。
 そんなとき、グラスを両手で抱えこんだアメリアが不意に呟いた。
「リナさんとゼルガディスさんって似てますよね」
 驚いたガウリイがアメリアを見ると、心持ち唇をとがらせてアメリアは続けた。
「何でも一人で抱えこもうとするとこなんか、そっくりです。リナさんだって、魔力が暴走するまでずっと私たちに黙りっぱなしで………。ゼルガディスさんだって………」
 そのまま何か言いかけるが、途中で止める。
 酒の勢いもあってか、アメリアはすねたような口調で言った。
「私ってそんなに頼りないんでしょうか………?」
 ガウリイは思わず、吹き出した。
 アメリアが、あまりにも自分と同じ事を考えていたので、ちょっとおかしくなったのだ。
「リナとゼルは似てるか?」
「似てます」
「じゃあ、俺とアメリアも似てるんだろうな」
 アメリアはガウリイを見た。
「え………?」
 どういう意味だろう。
 ちょっと考えて、アメリアは真実にたどりつく。
「そんなことないですっ」
 急に叫んだアメリアに、周囲から何事かと視線が集まる。時間的に、人はまばらになってきていたが、皆無というわけではない。
「ア、アメリア?」
「そんなことないです。そんなことありません!」
 そう言って、大声になっている自分に気がついて、慌ててアメリアは声のトーンを落とした。
「私とガウリイさんは、似てないです」
 ひとくち、お酒を飲んで心を落ち着けて、アメリアは続けた。
「だって、ガウリイさんはリナさんにとても頼りにされているじゃないですか」
「え………?」
 とまどったような表情のガウリイに、アメリアはじれったくなる。
 ―――いまさら何ヤケになってるんだろう、この人ってば。こんな簡単なことがわからないなんて!
「どうして頼りにされてないなんて思うんですか?」
 とがめるような口調でそう言われて、ガウリイは思わず本音を言っていた。
「何も言ってくれないし………」
「し?」
 アメリアの目はすわっていて、ガウリイはこの少女に酒を飲ませたことを後悔しはじめた。
 自嘲気味に笑って、ガウリイは続ける。
「………結局、何もしてやれてないから」
 それを聞いて、今度はアメリアが吹き出した。
「ガウリイさん………」
 笑っていたアメリアの顔が、ふいに優しくなる。
「リナさんは、ガウリイさんを守りたいんです」
 グラスを持つガウリイの手が止まる。
「リナさんは、自分といると色んな事にガウリイさんを巻きこんでしまうから、それがイヤなだけなんです。あの呪文のこととか、光の剣のこととか」
 そう言うと、アメリアはここだけの話ですよ、と念を押した。
「でもリナさんはガウリイさんといたいから、巻きこんでしまうことからガウリイさんを守りたいんですよ。もう、あんなことが起きないように………」
 やわらかな表情でアメリアは続ける。
「頼りにされてないなんて、何もしてやれてないなんて、ガウリイさんがそう思ってるだけです。リナさんがあんなに強いのは、ガウリイさんが隣りにいるからだって、私知ってます」
 生意気なことを言っていると自分でも思ったが、これが偽らざる本音だった。
 不意にくしゃりと頭を撫でられて、顔をあげると、ガウリイの青い瞳とぶつかった。
「アメリアは他人のことならわかるのに、自分のことはわからないんだな」
「………?」
「いまのアメリアの言葉を、そっくりそのままアメリアに返すよ」
 意味が分からないという表情のアメリアに、ガウリイは苦笑してまた頭を撫でる。
「頼りにされてないなんて、アメリアがそう思っているだけだ。ゼルはお前のことを大切に思ってる」
 その言葉に、ただでさえ赤いアメリアの顔が、さらに赤くなった。
 消えそうな声でアメリアはガウリイに反論する。
「ガウリイさんだって、自分のことはわかってないのに、人のことはわかるんですね」
「な、似てるだろう?」
「はい………」
 小さくアメリアは返事を返して、空になったグラスを差し出した。
「お代わりください」
 ためらいながらも、ガウリイは少しだけグラスにワインを注いでやる。
「これ飲んだら、もう終わりにしといたほうがいいぞ」
 あまり酔っぱらわせると、飲ませた自分がゼルガディスに怒られるだろうことは、完璧に予想できた。
 素直にアメリアはうなずいた。
「ねえ、ガウリイさん」
「ん?」
 アメリアはグラスを片手に立ち上がった。
「ちゃんとリナさんに言わなきゃだめですよ。だれだって、言ってくれなきゃ、わからないんですから」
 ガウリイが呆気にとられていると、中味の入ったグラスを持ったまま、アメリアはぺこりと頭を下げた。
「もう寝ますね。おやすみなさい」
 軽い足音が階段を上がっていく。
 ドアが開いて、また閉じる音を聞いてから、ガウリイはようやくクスクス笑いだした。
 ちょっとだけグラスを持ち上げて乾杯する。
「お前さんも、ちゃんとゼルに言えよ」
 似たような会話が二階でも交わされていることなど、ガウリイは知るよしもなかった。

(アメリア&ガウリイ篇・終わり)

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 ゼルガディスとリナがからむ話は多いですが、その逆はあまり見当たらないな〜と思ったことと、アメリアに酒を飲ませてみようという、むちゃくちゃな思いつきから書いたお話です。あと、ガウリナの話のはずなのに、ガウリイが何を考えてるのかわからないという切実な理由(?)からも書かれたお話です(それでもいまいちわかりませんが)。
 ちなみにアメリアが飲んでいるワインはロゼワインです。ガウリイが何やらめちゃな説明をしておりますが、あながち間違ってはおりません(笑)。誤解があると困るので断っておきますが、ロゼワイン全てが甘くて美味しいわけではありません。たまたま桐生の飲んだことのあるロゼがそういうやつだったので、飲酒初心者のアメリアに飲ませてみました(笑)。このゼフィーリアロゼワインのモデルとなった現実世界でのロゼの銘柄を知りたい方は、レスあたりでご一報ください(笑)。

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4805楔―くさび― サイドストーリー(リナ&ゼルガディス)桐生あきや 10/28-01:05
記事番号4790へのコメント


 これは楔の話のなかでもエピローグの枝分かれ的な話ですので、本編をすべて読んだ後に読むことをオススメします。(著者別リストの桐生あきやのところにあります)
 それでは、どうぞ。

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 ゼルガディスがガウリイと酒を飲んでいると、リナに夕飯を届けに行ったアメリアが、軽い足音をたてて二階から降りてきた。
 その手に、あまり重さを感じさせない様子で、皿をのせた盆を持っている。
 ゼルガディスの視線を追ったガウリイもアメリアに気づいて、二人が軽く手をあげて合図すると、アメリアは宿の主人に盆を渡してからテーブルまでやってきた。
「どうした」
 ゼルガディスの問いに、アメリアは楽しそうに答える。
「お代わり頼まれました」
 ゼルガディスとガウリイは顔を見合わせて笑った。
 さっきまで、アメリアが強固に粥の食事を主張するので、なかばリナに同情を憶えていたのだが、無用の心配だったらしい。
「リナらしい」
 ゼルガディスはそう言うと、ほんの少しだけグラスに残っていた酒を空けて、マスクを元に戻した。
 今日はもう飲むのはやめておこうと思った。
 一緒に飲んでいるガウリイの精神状態があまりよろしくないので、イマイチ酒がおいしくないのだ。
 そのガウリイがたいして減っていないボトルに目をやって、怪訝そうな顔をする。
「もういいのか?」
「ああ」
 短く応えて、ゼルガディスはかたわらに立っている少女を呼んだ。
「アメリア、まだ夕飯食ってないだろう? 俺が戻るついでにリナに持って行くから、お前はここで何か食ってろ」
 アメリアがとまどった表情でゼルガディスを見返す。
「え、いいんですか?」
「かまわん」
 その言葉に、アメリアはあっさりうなずいた。
「じゃ、お願いします。お盆を受け取るときに、ついでに宿の人に何か適当に頼んでくれませんか?」
「わかった。ガウリイ、ほどほどにしとけよ」
「それならもう少し中味を減らしていってほしいんだが………」
 ガウリイが何やら呟いたが、ゼルガディスはそれを無視して席を立つ。
 厨房へ向かうゼルガディスに代わって、アメリアがガウリイの前に座るのが見えた。
 宿屋の主人から盆を受け取って、ゼルガディスは階段をあがる。
 ガウリイの機嫌が悪いのは、お代わりを頼んだ人物が、どう考えても原因だった。



「リナ、入るぞ」
 ゼルガディスがノックしてからドアを開けると、リナの意外そうな顔が視界に飛びこんできた。
 あれから何日か経っているが、ゼルガディスの予想通りというべきか、案の定リナは体を壊した。
 あれだけ失血したあと、空間を転移するわ、腕を焦がすわしていれば、当然のことだろう。あの失血量では、死んでいてもおかしくないと、ゼルガディスは血溜まりを見たとき思ったものだ。
 盆を持ったゼルガディスを見て、リナが首をかしげる。
「アメリアは?」
「メシがまだだったから下で食わせている。二階に戻るついでにオレが持ってきただけだ」
 皿の乗った盆を受け取りながら、リナがにやにや笑った。
「ゼルってば、やっさしー」
「やかましい………」
 マスクとフードをとりながら、ゼルガディスが憮然とした表情で呟いた。
 くすっと笑ってリナはそれ以上突っこむのをやめ、頼んでいたパン粥のお代わりを食べ始めた。
 リナは、ゼルガディスはすぐに部屋を出ていくだろうと思ったのだが、予想に反して、ゼルガディスはベッドのすぐ横に置かれている椅子に座ったまま、黙ってリナを見ている。
 何やら居心地が悪くて、リナは食べるのをやめてゼルガディスを見た。
 フードとマスクは、気心の知れた部屋の中ということもあって、いまは下ろされ、銀糸の髪と岩の肌がランプの明かりに照らし出されている。
「………なに?」
「ちょっと、訊きたいことがあってな」
「食べながらでいいんなら聞くわよ。なに?」
「ゼロスとあんたの会話だ」
 スプーンを動かす手を止めて、リナはゼルガディスに視線を向けた。
「〈楔〉のことだ」
 リナがイヤそうに顔をしかめて、そのまま食事を再開する。
「あんたがゼロスにそのことを話すまで、オレたちは〈楔〉の存在なんか知らなかった。ゼロスとあんたの会話から、〈楔〉は人間として存在するために必要なものらしいということは予想がつくが、どうしても理解できないことがある」
 リナは困ったような表情でゼルガディスを見た。
「聞きたいことはそれだけじゃないんでしょ?」
「ああ」
 ゼルガディスはあっさりうなずいた。
「だが、とりあえず〈楔〉のほうが先だ」
「〈楔〉についてはあたしは良く知らないから、そこの誰かさんに聞いたら?」
 リナのセリフにゼルガディスの目が笑った。
「それもそうだな」
 その声に応えるように、部屋のすみに黒い影が出現する。
「ろくに気配も隠せないようだな。いまなら崩霊裂(ラ・ティルト)一発でも殺せそうだ」
 ゼルガディスの皮肉にも、ゼロスは顔を歪めるだけだ。
「だから、生きてるだけでも奇跡なんだってば、ゼル。生きててよかったわね、ゼロス」
「それも皮肉ですか?」
「いんや、本心」
 リナはあっさりそう言った。
「だって、あんたが滅んだら、あんたの上司に目ぇつけられそうだもん」
 ゼロスは苦笑した。
「まあ、事の顛末がどうなったかご報告しておこうと思いまして。リナさんは当事者ですからね」
「ふぅん、あんたにしては律儀ね。さては上司に怒られたの?」
 ゼロスの表情が複雑なものになる。
「いや、その………。顔をおおわれて溜め息をつかれてしまいました。僕の傷はどうにもならない出来事によるものですから」
 ゼルガディスとリナは顔を見合わせる。溜め息をつく獣王などあまり想像できる代物ではない。
「あの御方のご機嫌を損ねた以上、リナさんを魔族にするのはやめることになりました。どうやら魔力の肥大もストップしてしまったようですし」
 ゼロスは軽く肩をすくめた。
「僕の負傷は………まあ、天災にあったと思ってあきらめます」
 あれはまさしく天災だろう、とリナとゼルガディスは思ったが、口には出さない。
「でさ、ゼルが〈楔〉について聞きたいんだって」
 リナがスプーンを持ったままゼルガディスを指差した。
「ふむ、まあいいでしょう。でも、ゼルガディスさんの体を元に戻すのには役に立たない知識だと思いますよ」
 ゼロスの言葉に、あっさりとゼルガディスが言い放った。
「なら、いらん」
 それを聞いて、リナのスプーンが皿の中ですべった。
「あ、あんたねー」
「おや、いいんですか。なら僕はこれで失礼しますよ。しばらくはロクに動けそうもありませんのでね」
 言いながら、ゼロスの姿は闇へと溶け消える。
「倒しておけばよかったか………」
「物騒なこというわね、ゼルも」
 空になった皿の中にスプーンを落として、リナは盆をサイドテーブルの上へ押しのけた。
「ごちそうさま」
「次の質問にうつっていいか?」
「忘れてりゃいいのに………」
 リナがぼそりとそう呟いた。ゼルガディスが気まずそうに視線を泳がせる。
「単なる好奇心とお節介だ。気にするな」
 思わずリナは笑い出す。
 なんだかんだ言って、この青年はひどく優しいのだ。
「両方ともゼルには似合わない単語ね。それに免じて聞いたげるわよ。なに?」
「何を迷っていたんだ」
 リナは枕に体を預けて、大きく息をついた。
「ゼロスにね、言われたの。魔族化が急激に進んでいるのは、あたしが自己の存在に不安を抱いているからだって」
 黙ってゼルガディスは先をうながした。
「あたし自身はさ、それは魔力の肥大のことだと思っていたんだけど、ゼロスの話だと、その魔力の肥大は、あたしが別のことに悩んでるからだってことになるのよ。さっぱりワケがわからなくてね。かなり考えこんだわ」
「それで? いったい何だったんだ」
 リナは困ったように頬をかいた。
「んー、いや………その、ね………傍にいてもいいのかな………って………」
 小さな声だったが、ゼルガディスの耳にはしっかり届いた。
 思わず手で顔をおおって、ゼルガディスは深々と嘆息した。ゼロスの報告を聞いた獣王もこんな気持ちだったのだろうか。
「いまさら何をやってるんだ、あんたは………」
 心からの呟きだったが、それを聞いたリナはぎっとゼルガディスをにらむ。
「どーいう意味よっ!?」
「そのまんまだ」
「だって………!」
 リナが枕から体を起こす。バンッとその手が枕に叩きつけられた。
「あたしのせいでまた怪我をさせたわ! 光の剣だって、あたしのせいで無くなったようなもんよ!」
「それでもガウリイはあんたの傍にいるさ」
 静かなゼルガディスの声音に、リナは目を見張る。
「何があろうと、ガウリイはあんたの隣りにいるはずだ」
 呆然とするリナの額を軽くこづく。
「どれほど大事に思われてるか、少しは知っておけ。あんたがいない間、おかげでオレはあいつと大ゲンカだ」
「………?」
 怪訝な顔で問うリナに、ゼルガディスは空中に視線を泳がせながら続けた。どうやら、自分の言ったことに照れているらしい。
 咳払いをひとつして、ゼルガディスは話し始めた。
「ゼロスがあんたを連れ去ったあと、どう行動するかでオレとガウリイの意見が真っ二つに割れてな、大ゲンカになった」
「そ、それでどうなったの……?」
 ゼルガディスは大きな溜め息をついた。
「逆ギレしたアメリアにケンカしている場合かと泣き出されて、結局うやむやになった」
 それはさぞかしガウリイもゼルガディスも困っただろう。
 その様子がありありと思い浮かんで、リナは笑った。
「ありがとう。ゼル」
 ゼルガディスが決まり悪そうな表情をする。
「わかってる。もう迷ったりしないわ。あたし、ガウリイと一緒にいたいもの」
 口調はやわらかく、ためらうようすなど微塵もなかった。
 その様子に、ゼルガディスが少し笑ったとき、リナがその袖をとらえた。
 真紅の瞳がゼルガディスを射抜く。
「だから、ゼル。あんたも迷ってるんじゃないわ」
 ゼルガディスが虚を突かれた表情をする。
 その薄く蒼い色の瞳に、リナはしっかりと視線をからませる。言いたいことが、ちゃんと伝わるように。
「あんたも、アメリアにどれほど大事に思われているか、知っておきなさい」
 紡がれる言葉。
「アメリアだって、何があろうとあんたの隣りにいようとするわ」
 だれだって不器用なのだ。
 他人のことはよくわかっても、じぶんのことはよくわからない。
「王女だろうと合成獣だろうと、アメリアはアメリアで、あんたはあんたなのよ」
 ゼルガディスが弾かれたようにリナの顔を見つめた。
「だから、あんたも迷ってるんじゃないの」
 ゼルガディスが、袖をとらえているリナの手をやんわりとはずした。
 その氷蒼の瞳には苦笑の色。
「逆に説教されたな」
「お互いさまよ」
 顔を見合わせて、二人は笑った。
 空の皿が乗った盆を持って、ゼルガディスは立ち上がる。
「いくの?」
「ああ、あんまりガウリイの旦那がかわいそうなんで、来てみたんだが、よけいなお世話だったようだ」
「は?」
 わけがわからないと言った表情のリナに、ゼルガディスは目で笑っただけで応えなかった。
「ちゃんと言ってやれ、ガウリイに」
 カッとリナの頬に朱が散った。
「余計なお世話よ!」
 その手が枕をひっつかむ前に、ゼルガディスはさっさと部屋から出ていった。
 枕を片手に、リナは憤然と呟いた。
「あんたもちゃんとアメリアに言ったげなさいよ。かわいそうじゃないの」
 似たような会話が一階で交わされていたのを、リナは知るよしもなかった。

 (リナ&ゼルガディス篇・終わり)

========================================

 せっかくガウリイとアメリアの話を書くんだから、ペアの話もほしいという企画のもとに書かれた話です。リナが迷っていないぶん、ゼルが逆に説教されてしまいました(それでいいのか……)。
 ゼルがらしくないかも知れませんが、それらへんは見逃してください(汗)。
 食べさせておいた自分が言うのも何ですが、パン粥ってなんだかあまり美味しくなさそうな気がします(^^;
 これでほんとに〈楔〉の話はお終いです。
 読んでくださって、本当にありがとうございました。
 また何やらとんでもないのをここに載せることがあるかもしれませんが、そのときはどうかよろしくお願いします。

                              桐生あきや 拝

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4812自分一人で熱い友情に感動!!煤i>o<)bあんでぃ 10/29-15:22
記事番号4805へのコメント

桐生あきやさんは No.4805「楔―くさび― サイドストーリー(リナ&ゼルガディス)」で書きました。


こんにちは!!サイドストーリはアメリアとガウリイの密談だけかと思っていたら、ちゃんとゼルとリナちゃんの密談もあるんですねぇ(^▽^)〜゜
うれしかったです!!

>
> せっかくガウリイとアメリアの話を書くんだから、ペアの話もほしいという企画のもとに書かれた話です。リナが迷っていないぶん、ゼルが逆に説教されてしまいました(それでいいのか……)。

このお話はぜひぜひ後世に語り継ぐべきですよ!!(なんじゃそりゃ)
少なくとも私は大のお気に入りです!!煤i^ ^)∂ ←Goo!!

> ゼルがらしくないかも知れませんが、それらへんは見逃してください(汗)。

いえいえ!照れているあたり間違えなくゼルです!

> 食べさせておいた自分が言うのも何ですが、パン粥ってなんだかあまり美味しくなさそうな気がします(^^;

パン粥ってどういうものなんでしょう?フツーにパンをお湯で煮たものなんでしょうか?(?o?)

> これでほんとに〈楔〉の話はお終いです。

ううっ(T_T)寂しいですよう(泣)

> 読んでくださって、本当にありがとうございました。
> また何やらとんでもないのをここに載せることがあるかもしれませんが、そのときはどうかよろしくお願いします。

また絶対書いてくださいね!!私が責任を持って次回予告しますから!!(←いらないって)
でないと私暴走しちゃいますぅ〜 ゜∧(°>o)」ばたばた・・・
それではまたまた会いましょう!!

>
>                              桐生あきや 拝
>

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4832レスが遅れてごめんなさい!桐生あきや 11/1-01:12
記事番号4812へのコメント


 レスが遅れてしまってごめんなさい(滝汗)。あんでぃさんが毎回くれるレスに感謝してもしたりないくらいなのに、私は罰当たりですう………。
 見捨てないでくださいね(笑)。

>こんにちは!!サイドストーリはアメリアとガウリイの密談だけかと思っていたら、ちゃんとゼルとリナちゃんの密談もあるんですねぇ(^▽^)〜゜
>うれしかったです!!
 あったほうが格好つくだろうという不純な動機のもとに………(笑)。それに強制的に途中退場してしまったゼロスがあまりにかわいそうだったので、書いてみました(^^;

>このお話はぜひぜひ後世に語り継ぐべきですよ!!(なんじゃそりゃ)
>少なくとも私は大のお気に入りです!!煤i^ ^)∂ ←Goo!!
 そ、そんなおそれおおい………。
 でも気に入ってくれて本当にありがとうございます。

>パン粥ってどういうものなんでしょう?フツーにパンをお湯で煮たものなんでしょうか?(?o?)
 桐生も記憶がはっきりとしないのでよくわかりません(リナ:よくもそんなものをあたしに食べさせたわね………)

>また絶対書いてくださいね!!私が責任を持って次回予告しますから!!(←いらないって)
 ほんとうにとんでもないものを載せるかもしれません(笑)。
 それでは。

 桐生あきや 拝

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4870はじめましてです〜緑原実華 11/9-16:11
記事番号4805へのコメント

今日は!始めまして、緑原実華です。
いつ時間が無くて読み逃げしている身でしたが・・・
やっと時間だできました〜(と、いてもこれ学校で打ってます・・・)

読ましていただきましたが、いい感じです〜!!
なんかお互い言い合いしてますね。
まさに言うとおり!!なんですけど、最初題名をみたとき
「え!?ガウリイとアメリア?!」
と、急いで読んだんですが、読んでなるほど〜と感心しました。

それでは、簡単ですがこの辺で!!

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4877Re:はじめましてです〜桐生あきや 11/10-00:33
記事番号4870へのコメント

 どうも、桐生です。

>今日は!始めまして、緑原実華です。
>いつ時間が無くて読み逃げしている身でしたが・・・
 いえいえ、無理はしないでくださいね。読んでいただいてうれしいです。


>読ましていただきましたが、いい感じです〜!!
>なんかお互い言い合いしてますね。
 ほんとですね(笑)。

>まさに言うとおり!!なんですけど、最初題名をみたとき
>「え!?ガウリイとアメリア?!」
>と、急いで読んだんですが、読んでなるほど〜と感心しました。
 そこらへん実は少し狙っていました(笑)。

>それでは、簡単ですがこの辺で!!
 はい、またです。それでは、

 桐生あきや 拝