◆−Be Alive 12−水晶さな(11/25-00:00)No.4995 ┣Be Alive 13−水晶さな(11/25-00:01)No.4996 ┣Be Alive 14−水晶さな(11/25-00:03)No.4997 ┃┣久方振りでございます(滝汗)−ゆっちぃ(11/25-02:38)No.4998 ┃┃┗お久しぶりですv−水晶さな(11/25-22:59)No.5003 ┃┗姫は寝たまんまなのですね(笑)。−桐生あきや(11/25-03:27)No.5001 ┃ ┗置いていかれました(笑)。−水晶さな(11/25-23:08)No.5004 ┣Be Alive 15−水晶さな(11/25-23:21)No.5005 ┃┗何だろう?−雫石彼方(11/26-07:56)No.5008 ┃ ┗何でしょう?(爆)−水晶さな(11/26-22:06)No.5017 ┣Be Alive 16−水晶さな(11/27-23:36)No.5031 ┃┣ご〜ん(←?)−雫石彼方(11/28-03:38)No.5038 ┃┃┗が〜ん(爆)。−水晶さな(11/28-23:22)No.5045 ┃┗またやってもうた……ι−ゆっちぃ(11/28-05:52)No.5040 ┃ ┗いやいや。−水晶さな(11/28-23:36)No.5046 ┣Be Alive 17−水晶さな(11/28-23:39)No.5047 ┣Be Alive 18−水晶さな(11/29-22:53)No.5052 ┃┗レイシェル嬢。−桐生あきや(11/30-04:13)No.5054 ┃ ┗Re:レイシェル嬢。−水晶さな(11/30-22:29)No.5058 ┣Be Alive 19−水晶さな(12/1-00:09)No.5063 ┣Be Alive 20−水晶さな(12/1-00:11)No.5064 ┣Be Alive 21−水晶さな(12/1-23:58)No.5065 ┃┗びっくり!!−雫石彼方(12/2-05:56)No.5075 ┃ ┗ふふふ(笑)−水晶さな(12/2-21:00)No.5076 ┗Be Alive 22−水晶さな(12/4-23:57)NEWNo.5086
4995 | Be Alive 12 | 水晶さな E-mail | 11/25-00:00 |
Act.12 鑑定眼 「・・・俺の鑑定眼が正しければ、レイシェルの失明は自身の過失ではなく、誰かをかばった為のものだな」 「・・・えっ!?」 レイシェルと別れた後、唐突に呟いたゼルガディスの言葉にアメリアが思わず立ち止まった。 「あの物腰から見てかなりの腕前だ。それが片目を失うなんて大きな傷を負う訳がない」 「・・・一体・・・誰をかばって?」 「城内への侵入者なら民間人が混じる可能性は薄い。王を守ったのなら今頃英雄扱いで悠々自適な生活が送れるぐらいの褒美をもらってるだろ」 少し立ち止まり、間があいてしまった為、小走りでアメリアがゼルガディスに再び並ぶ。 民間人でもなく、国王陛下でもなく、退役せざるをえなくなった後は、秘書に。 普通兵士を務める者は、秘書など必要としない。 「・・・・・・・・・まさか、エディハルトさんを?」 「・・・かも、な」 前を向いたまま、ゼルガディスが答えた。 廊下の反対側から、見回りだろう二人組の近衛兵がやって来た。 二人の姿を見付けると、わずかに立ち止まって敬礼する。 「御苦労様です」 アメリアが答えると、再び歩き出し、擦れ違った。 近衛兵の鎧は、親衛兵とも一般兵とも際立って違う。性別によって色も分けられている。今のは二人共女性だった為赤の鎧。男性は黒である。 上半身を重点的に覆う鎧。兜は竜をモチーフにしており、上顎が顔の鼻から上を覆い隠している。 これは戦闘の際に表情(特に目の動き)を読ませない為の作りだと言われている。 数の少ない親衛兵の疲弊(ひへい)を減らす為、戦闘時は率先して出動する事が義務づけられている。 「あの長髪の金髪の方、新入りか」 「え? どうしてわかるんです?」 「敬礼が遅かった上にぎこちなかった」 「・・・ゼルガディスさんて、見てないようで見てるんですね」 「『見てないように』見せかけるのが熟練の技だ」 アメリアがしばし黙り込んだ後、口を開く。 「・・・近衛兵さんのスリットからのぞく白い足とか?」 「お前は一体俺をどういう目で見とるんだっ!!!!」 声がよく響き渡る渡り廊下で、ゼルガディスが我を忘れて絶叫した。 |
4996 | Be Alive 13 | 水晶さな E-mail | 11/25-00:01 |
記事番号4995へのコメント Act.13 無音の鐘 静寂の闇に、鐘の音(ね)が響く。 空間を揺らすように、震動だけが音の存在を伝える。 心音と重なり合うように響くその音は、脳にゆっくりと染み込んでいく。 『閉ジ込コメラレタ本当ノ心。出口ヲ探ス故ニ体ハ傷ツイテイク』 耳で聞こえるというよりも、脳内に直接響くような声。 この上なく静かで、生きている者の発する声とは感じられないような。 『カワイソウニネ、イツモイツモ本当ノ心ガ出テコナイ』 響く声と共に、体中の血液が凍り付いていくような感触。 冷えていく体。抗(あらが)う声も沈んでいく。 『戒(いまし)メヲ解ケバ自由ニナレル。苦悩も懊悩(おうのう)モ闇ニ沈ム』 ガラスの割れるような音。自らの内で何かが崩れていく。 自分を人間として支えていた、『理性』が。 『貴女ノ愛シイ人ヲ奪ッタ奴ハ誰? 殺シタイホド憎イソノ相手ハ』 言葉を求めて、唇があえぐ。 ひきつったような喉と唇を酷使し、絞り出すように言葉を吐き出す。 「・・・イ、シェル」 見えない誰かが、満足げに笑うのを感じた。 『鐘ノ音ガ心ヲ呼ビ覚マス。全テハ貴女ノオモムクママニ』 サア、目ヲ開ケテ。 闇の中に白い顔が浮かぶ。決して心を語らない道化師の仮面。 少しうつむくと、笑いをこらえるかのようにわずかに震えた。 そしてそのまま、闇に解け入るように消えていった。 |
4997 | Be Alive 14 | 水晶さな E-mail | 11/25-00:03 |
記事番号4995へのコメント Act.14 襲来 衝撃は、突然だった。 夜半過ぎ、民間人はもう就寝をとっくに過ぎた頃合。 けれど警備兵は、これからが本番とも言うべき時間。 アメリアとゼルガディスも、眠気を堪(こら)えて親衛兵と交代で見張りを務めていた。 丁度その時はゼルガディスが起きていた。 ガラスの割れるような音と、丁度その位置にいたのだろう近衛兵の悲鳴。 「≪無音の鐘≫か!?」 声の聞こえた方向へ走りながらゼルガディスが叫ぶ。 反対側から、伝令として近衛兵と共に居た一般兵が走ってくる。 恐怖に顔を引きつらせながら、叫ぶ。 「レ、レッサーデーモンです!!」 「何!?」 ゼルガディスが眉をひそめた。 (あの魔族は単独行動をするものだとばかり思っていたが・・・) 考えていても仕方ない。出現した魔物は倒さなければ。 「エディハルト隊長はどこだ!」 「前線で戦っております!!」 舌打ちし、走り出しながら叫ぶ。 「一般兵以下宮廷仕えの者は避難しろ! まともに戦うな!!」 返事をして反対方向へ駆け出した一般兵の足音が聞こえなくなってから、ふと思い出す。 ―アメリアを起こすのを忘れていた。 |
4998 | 久方振りでございます(滝汗) | ゆっちぃ E-mail | 11/25-02:38 |
記事番号4997へのコメント 本当にご無沙汰しておりました〜(泣) ばんばんレス付けすると言っておきながらこの体たらく。不義理もいいとこですよ、ここまで来れば(汗) テストとゆー足枷からやぁっとで解放された、ゆっちぃです♪ ああっ、でもでもっっ!!これからはきちんとレスできますねっv うれしーですぅぅぅっvvvv 落ちてた間に話がどんどこ進んでて、相変わらずの執筆の早さには舌を巻きます☆ 敵がやっと動いたと思ったらゼル、アメリア起こすの忘れてますし(笑) にしても無音の鐘……めっちゃ怖いですιリアル過ぎですι 夜に一人でPCやってる私はついつい後ろを振り返ってしまうのです。 「いたらどうしよう……」って。んな訳ないじゃないかおいι うーむι何だか久し振りの感想だとゆうのに変なもんですみませんι かなり眠いっす、今(^^;) それではでは、続き……待ってますね♪ |
5003 | お久しぶりですv | 水晶さな E-mail | 11/25-22:59 |
記事番号4998へのコメント こんばんは水晶さなです。最近これが定着しているような気が(笑)。 >本当にご無沙汰しておりました〜(泣) >ばんばんレス付けすると言っておきながらこの体たらく。不義理もいいとこですよ、ここまで来れば(汗) >テストとゆー足枷からやぁっとで解放された、ゆっちぃです♪ テスト終了お疲れ様です。まさか小説投稿が試験期間と重なってしまうとは思いもしませんでした(汗)。 >ああっ、でもでもっっ!!これからはきちんとレスできますねっv >うれしーですぅぅぅっvvvv ああ・・・私も嬉しい(嬉泣)。コメントってホント励みになります。 >落ちてた間に話がどんどこ進んでて、相変わらずの執筆の早さには舌を巻きます☆ >敵がやっと動いたと思ったらゼル、アメリア起こすの忘れてますし(笑) >にしても無音の鐘……めっちゃ怖いですιリアル過ぎですι >夜に一人でPCやってる私はついつい後ろを振り返ってしまうのです。 >「いたらどうしよう……」って。んな訳ないじゃないかおいι 不気味なリアルさに何度も加筆修正を・・・(んなとこにこだわるなオイ)。 何気に魔物描写とか、心情描写が好きでして(笑)。 一番苦手なのは情景描写です(爆)。 >うーむι何だか久し振りの感想だとゆうのに変なもんですみませんι >かなり眠いっす、今(^^;) >それではでは、続き……待ってますね♪ ああ、眠い所頑張って起きて読んで下さったんですね(涙)。 いつも夜UPでスミマセン(汗)、もうしばらくお付き合い下さい(^^ゞ |
5001 | 姫は寝たまんまなのですね(笑)。 | 桐生あきや | 11/25-03:27 |
記事番号4997へのコメント さなさん、こんばんわ。 3つもアップされていて、思わずパソコンの前で喜んでしまいました。 >「・・・ゼルガディスさんて、見てないようで見てるんですね」 >『見てないように』見せかけるのが熟練の技だ」 > アメリアがしばし黙り込んだ後、口を開く。 >「・・・近衛兵さんのスリットからのぞく白い足とか?」 >「お前は一体俺をどういう目で見とるんだっ!!!!」 > 声がよく響き渡る渡り廊下で、ゼルガディスが我を忘れて絶叫した。 この掛け合いに爆笑しました。もうツボです。 そんな身も蓋もないことをきいちゃって、アメリアってば(笑) さなさん上手すぎです〜。 果たして、ゼルは起こさなかったことに文句を言われるんでしょうか?(笑) それでは、またです。 桐生あきや 拝 |
5004 | 置いていかれました(笑)。 | 水晶さな E-mail | 11/25-23:08 |
記事番号5001へのコメント 今晩和さなです。今回一つ一つが短いので3つばかし載せてみました。 ≪無音の鐘≫で止めておくと、多分気味が悪いままになってしまうなと思いまして(笑)。 > さなさん、こんばんわ。 > 3つもアップされていて、思わずパソコンの前で喜んでしまいました。 >>「・・・ゼルガディスさんて、見てないようで見てるんですね」 >>『見てないように』見せかけるのが熟練の技だ」 >> アメリアがしばし黙り込んだ後、口を開く。 >>「・・・近衛兵さんのスリットからのぞく白い足とか?」 >>「お前は一体俺をどういう目で見とるんだっ!!!!」 >> 声がよく響き渡る渡り廊下で、ゼルガディスが我を忘れて絶叫した。 > この掛け合いに爆笑しました。もうツボです。 > そんな身も蓋もないことをきいちゃって、アメリアってば(笑) > さなさん上手すぎです〜。 多分姫も近衛兵嬢の御足が目についたんでしょうね(笑)。 真面目に言えるから面白いです、姫のキャラは。 > 果たして、ゼルは起こさなかったことに文句を言われるんでしょうか?(笑) > それでは、またです。 さあ・・・どうなるんでしょう?(爆) かなり行き当たりばったりに書いてますから(核爆)。 それでは〜(^^ゞ |
5005 | Be Alive 15 | 水晶さな E-mail | 11/25-23:21 |
記事番号4995へのコメント Act.15 夢から覚めて 震動に目を覚ました時、目の前にレッサ―デーモンの顔があった。 夢の続きのように、ベッドから上半身を起こしたアメリアが手の平をぺしっとその額に押し当てる。 「ブラム・ブレイザー」 ごうあっと、光の中でレッサ―デーモンが消滅した。 夢にしては妙にリアルな感触だと、首を傾げた後にはたと我に返る。 「はうあっ!」 かけ布団をはねのけ、慌てて立ち上がる。 仮眠室の窓ガラスは外側から割られていた。外からも中からもレッサーデーモンの咆哮(ほうこう)と人々の足音と叫び声。 「でっ出遅れた!?」 敵の気配に目覚めなかった事にショックを覚えつつ、それでもマントを羽織って廊下へと駆け出した。 近衛兵が大勢、あちこちを走りまわっている。定位置を死守する親衛兵の元へ加勢に行ったり別の場所を守りに行ったり。 ―ゼルガディスさんは? 素早く辺りを見回した後、レッサーデーモン二匹に手間取っていた親衛兵に加勢する。 「エルメキア・ランス!」 水が蒸発するような音を立て、レッサーデーモンの一匹が消滅する。 残り一匹になった所で親衛兵がやっと間合いを取り、威勢の良いかけ声と共に剣でレッサーデーモンの胸の辺りを貫いた。 思わず感嘆の声を上げた所で、親衛兵が肩で息をしながら振り返り、アメリアに頭を下げる。 「お手をわずらわせて申し訳ありません、アメリア様」 短く切った黒色の髪、瞳の色は深い海色。自分の瞳の色とよく似ている。 まだ若いが剣の腕が見込まれていて、確かエディハルトが一番目にかけていた騎士ではなかったか。 「アスタリスク・・・さん、ガルンシャ国王様は?」 「はっ」 呼吸を整えた後すぐさま直立の姿勢になり、右の肘を軽く曲げ指先を側頭部に当てる敬礼のポーズをとる。 「既に陛下・王妃は王室に避難済み。ラミュパット、エーゼルシア、ゴルンノットの三名と近衛兵五名が警護についております」 「そう・・・で、ゼルガディスさん見ませんでした?」 「それなら・・・」 と言って廊下の先を指差す。 「一番魔物が頻出する場所に隊長がおられるのですが、そちらへ・・・」 そこまで言いかけた時、その指差した方向から爆発音が響いた。 「ありがとうございますっ!!」 礼もそこそこに、アメリアが両手を広げて廊下を走り出す。 「レイ・ウイング!」 指先に風を舞わせ、加速して廊下を飛び抜ける。時折瓦礫が風の結界にはじかれて後方へ吹き飛んでいった。 瓦礫ぐらいなら風がはじいてくれる。瓦礫・・・ぐらいなら。 だが次の瞬間きた大きな衝撃は、風の結界をぶち破りアメリアを吹き飛ばした。 「あうっ!?」 受け身も取れずに床にたたきつけられ、アメリアが苦痛の声をもらす。 天井を突き破り、レッサーデーモンが落ちてきたのだ。 風の結界と勢いがあったせいで押し潰されずには済んだが、体中が痛くて起き上がる事すらままならない。 落下してきたレッサーデーモンが、何事もなかったように起き上がるとアメリアの方を向いた。 おもむろに開けた口の中に、赤い光がともる。 ―炎を吐く気だ。 「・・・っ!」 しびれるような痛みをこらえつつ、防御結界を張ろうと右手を伸ばす。 「・・・ウィンディ・シー・・・」 最後の言葉を吐き出す寸前に、炎が視界を埋め尽くした。 「・・・!!」 目を閉じた瞬間、何かに強く引っ張られる感触。 自分が誰かに抱えられて空中を飛んでいる事を自覚した時には、既に地面に落ちていた。 先程打ったところを更に痛打し、アメリアが思わず悲鳴を上げる。 ばっと自分の上に居た人物が起き上がり、レッサーデーモンに向かって駆け出していく。 「・・・アアアアアアアァ!!」 気合いの掛け声と共に、風を切るような一瞬の音。 アメリアが痛みを堪(こら)えながら目を開けると、地面に落ちたレッサーデーモンと目が合った。 首から下のない。 「うぃやあああああ!!!!?」 体の痛みも忘れ、アメリアが高速であとずさる。 レッサーデーモンの前に立ち塞(ふさ)がるように立っていたレイシェルがはっと振り返ると、慌ててこちらへ駆け寄ってきた。 「申し訳ありませんアメリア様、緊急を要していた為手荒い行動を取ってしまいました」 ざっと床に片膝をつくと、手を胸元に当てて頭を下げる。昔の癖がまだ残っているようだ。 「あ・・・う・・・いえ、私は大丈夫です」 まだばくばくと高鳴る心臓の鼓動を押さえつつ、息も切らしていないレイシェルを見つめた。 「・・・強いんですね・・・」 言ってしまってから、馬鹿な事を言ってしまったと後悔する。今は秘書でも昔は親衛兵だったのだ。 片目を失ったとはいえ、剣の腕までは落ちていない。 一般兵から借りたのであろう、細い剣に付着した血液をぴっと振り払うと、腰に下げた鞘(さや)に収める。 「ゼルガディス様とエディハルト様はあちらにおります。私は陛下へ戦況の報告を命じられておりますので、これで」 それだけを告げると、レイシェルが駆け出して行く。足もかなり早いのか、すぐに見えなくなった。 アメリアが衣服のよごれをはたき落とすと、こちらも目的地へ向かおうと足を進める。 ・・・が、歩きながら、アメリアは眉をひそめた。 レッサーデーモンから助ける為に、レイシェルが抱(かか)えてかばってくれたあの時。 あの瞬間に正体不明の違和感を覚えた。 ―抱き締められた時の・・・感・・・触? 判明しないのはすっきりしないが、今はゼルガディス達の元へ行くのが先である。 ぶるっと強く頭を左右に振ると、振り切るように駆け出した。 |
5008 | 何だろう? | 雫石彼方 E-mail | 11/26-07:56 |
記事番号5005へのコメント どうも、雫石です。 レイシェルさんが庇ってくれたからよかったようなものの、アメリア危ういところでしたね。ゼルが置いてったりするから!(ぷんすか) でも、アメリアがレイシェルさんに感じた違和感って、何なんでしょう?謎いっぱいで気になります。無音の鐘も何か怖いですし。ピエロの顔って、怖いですよね。ちなみに、マクドナルドのドナルドも相当怖いと思うんですが・・・(笑)私だけでしょうか? では、何かくだらない感想で申し訳ないですが(汗)、楽しみにしてますので頑張ってください♪ |
5017 | 何でしょう?(爆) | 水晶さな E-mail | 11/26-22:06 |
記事番号5008へのコメント こんばんはー水晶さなです。雫石サン御自分の小説も忙しいのにコメントありがとうございますv しっかり読んでマス。ああアメリア姫どうなっちゃうのかしら。あっちでもこっちでも大変な目に遭ってますね(爆)。 >レイシェルさんが庇ってくれたからよかったようなものの、アメリア危ういところでしたね。ゼルが置いてったりするから!(ぷんすか) たはー、皆さんやっぱりこの辺りでゼルの監督不充分を怒ってますねぇ(苦笑)。 >でも、アメリアがレイシェルさんに感じた違和感って、何なんでしょう?謎いっぱいで気になります。無音の鐘も何か怖いですし。ピエロの顔って、怖いですよね。ちなみに、マクドナルドのドナルドも相当怖いと思うんですが・・・(笑)私だけでしょうか? あちこちに謎とかひっかけとか出しまくりで、完結までに全部ネタばらしできるのかどうかかなり心配です(爆)。 ≪無音の鐘≫はホラー小説に出れるぐらいにしようと頑張ってます(笑)。 ピエロ想像のつきにくい方は雫石サンのように暗闇にひっそりと立つマクドナルドのドナルド氏を思い浮かべてみましょう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 いやあああああああ!!!!(汗) (作者取り乱し中)。 >では、何かくだらない感想で申し訳ないですが(汗)、楽しみにしてますので頑張ってください♪ 錯乱したお返事を書いてしまいましたが(爆)、コメントありがとうございますv まだまだ続きますが温かい目で見守ってやって下さい(^^ゞ |
5031 | Be Alive 16 | 水晶さな E-mail | 11/27-23:36 |
記事番号4995へのコメント Act.16 悪夢の牙 国王への戦況報告も済み、再びエディハルトの元へ行く帰り道。 武勲(ぶくん)誉(ほま)れ高いエディハルトに、ゼルガディスが加勢しレッサーデーモンは壊滅(かいめつ)まであとわずか。 故に来る時はかなり神経を尖(とが)らせて走ってきたが、帰りは歩く余裕すらあった。 「副隊ちょ・・・と、レイシェル・・・さん」 呼び止められ、レイシェルが足を止める。 過去の同僚が気まずそうに頭を掻いていて、思わず苦笑した。 「アスタリスク、私はもう親衛兵じゃないのよ」 「はぁ・・・すみません、癖が抜けなくて。同僚ならまだしも副隊長だと・・・」 「まぁいいわ。何か用?」 「あの・・・シーデルデを見かけませんでしたか?」 「シーデルデ?」 レイシェルが顎(あご)に手をあてた。 「ここに来るまでには見なかったけど、どうして?」 「持ち場から姿を消したそうなんです。探しに行きたいけれど僕まで持ち場を離れると・・・」 親衛兵としての責任感だけではない、彼女を心から心配する表情。 そんな彼の純粋な優しさに、つい笑みがこぼれた。 「いいわ、探しておく。近衛兵にも伝えておくから、貴方は持ち場の事だけ気にしてなさい」 「ありがとうございます!」 敬礼をしかけ、気付いたように慌ててその手を止める。もう彼女は自分の上官ではないのだ。 レイシェルは軽く手を振ると、来た道を戻って行った。 人間の第六感というのは、理屈では説明できない不思議な事を感じ取れるという。 ふとそんな事を思い出す程、レイシェルは何故か客室の一室の前で立ち止まった。 (ここは使っていない筈・・・) なのに今、この中に誰かが居る気配を感じる。 「まさか・・・とは思うけど、シーデルデ、貴女じゃないわよね?」 軽くノックをしてから、扉を押し開ける。 冷たい風が頬を撫(な)ぜた。 突然吹き込んできた冷風に顔をしかめつつ、中に入り後ろ手で扉を閉める。 部屋の奥の窓が全開になっており、薄いカーテンが頼りなげにはためいている。 「誰・・・勝手に入ったのは」 レッサーデーモンが入ったのなら、もっと荒々しい形跡を残すだろうに。 窓を閉めようと近くまで立ったレイシェルは、過去の経験からきた直感だけで後方に跳んだ。 一瞬後にかすめる鋭利な騎士の剣。 着地はあまりうまくいかなかった。ずきりと響いた足首をさすりながら、それでも戦闘体制を取る。 「シーデルデ・・・あなた・・・正気?」 テラスから姿を現したのは、抜き身の剣を携(たずさ)えた女性親衛兵― レイシェルが退職した後に、後を埋める為に入隊を許可された。 茶色の瞳は焦点を定めていない。うろんとした表情で、レイシェルを見つめてくる。 「理性に呼びかけても無駄かしら・・・だったら、荒療治でいくわよ」 距離感がつかみにくい為、昔のような余裕のある構えはしない。 最初から本気。少々荒っぽくても一旦気絶させれば正気に戻るだろう。 虚(うつ)ろな瞳のシーデルデが、レイシェルに向かって一歩踏み出す。 身を低くし、呼吸を止め、つま先だけで走り込み、レイシェルがシーデルデの腹部に肘(ひじ)をえぐりこんだ。 がはっと空気を吐き出す音と、かすれたような悲鳴が頭上で聞こえる。 足を止め、上半身を伸ばす勢いをつけ、握り締めた拳でシーデルデの顎を突き上げる。 衝撃で、シーデルデの握っていた剣が手放されて飛んで行った。 シーデルデの体がのけぞり、後方に倒れかけたのを見てようやく止めていた呼吸を再開した。 ―が、唐突に、全くと言っていい程突然に、レイシェルは首を掴まれた。 半分のけぞった体制から、シーデルデが腕を伸ばしていた。 気絶して当然というダメージを与えたというのに、腕の力は振りほどけないほど強い。 ぎり、と爪が肌に食い込む感触がする。苦しさに、レイシェルが身をよじった。 「・・・・・・っ!」 女の片腕で、ここまで締め上げる力がある筈がない。 のけぞった体制から、ゆっくりと上半身を戻すシーデルデ。 その表情は虚ろ。口元だけがわずかに微笑む、 ―道化師の仮面のような笑み。 レイシェルの顔から血の気が引いた。首を絞められている理由だけではない。 微笑んだ形のシーデルデの唇が、ゆっくりと動き、言葉を発した。 「・・・あなたさえ・・・いなくなれば・・・エディ・・・ハルト様・・・」 「・・・!?」 「退役したくせに・・・エディハルト様のおそばに・・・私は・・・私・・・は!」 「・・・シー・・・」 レイシェルが渾身(こんしん)の力を込めてシーデルデの手をつかみ、声が出せるぎりぎりまで喉を解放する。 「・・・シーディ!」 シーデルデがわずかに動揺の色を見せた。 過去用いていた彼女の愛称に。 まだ、シーデルデも、レイシェルも兵職に就いていなかった時の、 あの幼なじみ時代の呼び名。 「シーディ! お願い、目を覚まして!!」 もはや自分でも何を頼りに叫んでいるのかわからなかった。 それでも、呼ぶ事をやめない。やめたら、終わりのような気がしたから。 「シーディ!! 私達・・・ずっと友達だって約束したじゃない!!」 「・・・あ、う、や・・・レイシェル・・・レイシェ・・・いやあああああああっ!!!!!」 突き飛ばされ、レイシェルが尻餅をついた。 頭を抱(かか)え、シーデルデが激しく身をよじる。 床に手を付き、絶叫する彼女の背中から、黒い影がずるりと手を伸ばした。 まるで脱皮するように、≪無音の鐘≫がシーデルデの体から抜け出る。 その光景に、レイシェルは完全に体がすくんで動けなかった。 ≪無音の鐘≫が抜け出たシーデルデが、そのまま前のめりに床に突っ伏す。 空中に浮かび上がった魔族が、視界の真中に居るレイシェルに目を止めた。 「・・・あ・・・」 一瞬景色がぶれたような気がした。 いつの間にか、道化師の白い仮面が目の前に居る。 「・・・・・・」 背中を冷たいものが駆け下りた。 恐怖に声も出ない。 ―が、レイシェルの額に手を伸ばそうとした≪無音の鐘≫は、ぴたりとその手を止めた。 いぶかしむように首をわずかにかしげた後、 『・・・出来ソコナイ・・・』 人間の発する事のできない音声で、確かに聞こえたつぶやきの声。 何かを諦めたような仕草をした後、≪無音の鐘≫が手をレイシェルの首に伸ばす。 今度こそ、絞め殺される。 その時やっと、レイシェルは悲鳴を上げる事が出来た。 一瞬の後に荒々しく部屋の扉が開かれる音。 それと同時に魔法の詠唱呪文。 「<ラ・ティルト>!!」 ごうあっと、≪無音の鐘≫の足元から青白い炎が立ち昇る。 軽く身をひるがえすと、≪無音の鐘≫は忽然(こつぜん)と姿を消した。 どたどたと足音を響かせながら、飛び付くように目の前にかがみこんだのは先程魔法を唱えた少女。 「・・・アメリア様・・・」 「大丈夫ですかっ!? 怪我は!? 痛いところはっ!? ≪無音の鐘≫出たんですかっ!?」 一度にいくつもの質問を投げかけられ、レイシェルが呆然としていると、遅れてゼルガディスが姿を現した。 「まさかこっちに出現するとは思わなくてな、礼ならアメリアに言ってくれ。こいつが妖気を感知したんだ」 ぽふ、とかがんだアメリアの頭に手を置く。 「・・・シーデルデ、は?」 呆然としながらもつぶやいた言葉に、ゼルガディスが今頃気付いたように床に伏せっていたシーデルデを抱き起こす。 「・・・無事だ。呼吸もしてる」 「・・・・・・」 つう、と、頬を流れる冷たい感触。 「レイシェルさん!?」 唐突に流れたレイシェルの涙に、アメリアが狼狽(ろうばい)する。 「恐かったんですね・・・ごめんなさい、もっと早く来ていれば・・・」 自分より小さな体のアメリアが、あやすように自分の頭を撫(な)ぜる。 「・・・私・・・」 恐怖だけではない。恐怖だけだったのなら安堵(あんど)の溜息で終わる。 ずきずきと心の奥で痛む疼(うず)きを抱(かか)えながら、レイシェルの涙はしばらく止まらなかった。 |
5038 | ご〜ん(←?) | 雫石彼方 E-mail | 11/28-03:38 |
記事番号5031へのコメント こんばんわ。やってきました、雫石です。 今度はアメリアがレイシェルさんを助けましたね♪「借りは返したぜ!」みたいな(笑) レイシェルさんとシーデルデさん、幼馴染だったのですねー。うぅ、なのに今は何だか悲しいことに。それもすべて愛ゆえに〜♪(すみません、何か私変です・・・/‐‐;) 途中の『・・・出来ソコナイ・・・』ってのがとっても気になります。むぅ。 あと、全然関係ないんですけど、≪無音の鐘≫の≪≫が、何か鐘が『ご〜ん』って感じだなー、などと思ってみたり。(・・・やっぱり変だ、私・・・・) いつもいつも妙な感想ですみません; それでは、また。 |
5045 | が〜ん(爆)。 | 水晶さな E-mail | 11/28-23:22 |
記事番号5038へのコメント こんばんわ水晶さなですー(^^ゞ >今度はアメリアがレイシェルさんを助けましたね♪「借りは返したぜ!」みたいな(笑) 守られてばかりではないのが姫の強い所ですからv それにしても今回戦闘長過ぎ・・・こんな筈では(汗)。 >レイシェルさんとシーデルデさん、幼馴染だったのですねー。うぅ、なのに今は何だか悲しいことに。それもすべて愛ゆえに〜♪(すみません、何か私変です・・・/‐‐;) タイトル通り今回人間関係が複雑でして・・・ああ人って難しい(汗)。 >途中の『・・・出来ソコナイ・・・』ってのがとっても気になります。むぅ。 伏線張りまくりです〜(汗)。最後綺麗にまとめられるのかしら。 >あと、全然関係ないんですけど、≪無音の鐘≫の≪≫が、何か鐘が『ご〜ん』って感じだなー、などと思ってみたり。(・・・やっぱり変だ、私・・・・) そう考えると恐くなくなりますね。やはり中身はドナルド氏なのかしら(笑)。 >いつもいつも妙な感想ですみません; >それでは、また。 いえいえ自分では気付かない見方がわかってとってもタメになります(^^ゞ 目標は一日一話。さてあとどれくらいかかることやら・・・。 ではでは〜(^_^) |
5040 | またやってもうた……ι | ゆっちぃ E-mail | 11/28-05:52 |
記事番号5031へのコメント さなさん今晩わです〜、ゆっちぃです☆ 『Be Alive 15』にレス付けできなくてちょっとショック受けてますι 最近忙しくってなかなかこちらに来れないんですよねぇ(泣) とまぁ、愚痴はここいらにしておいて。感想行きます♪ いよいよレイシェルさん達のエピソードに突入ですね! 何気にエディハルトさんとレイシェルさん、好きなので嬉しいですv いやしかし、まさか三角関係とは……(←おいι) 切ないですねぇ……レイシェルさんもシーデルデさんも。 エディハルトさん、この事知ってらっしゃるのかしら? ああっ、めっちゃ続きが気になるっっっ!! ではでは、ゆっちぃでした(ぺこり) |
5046 | いやいや。 | 水晶さな E-mail | 11/28-23:36 |
記事番号5040へのコメント 今晩和さなですー(^_^) >さなさん今晩わです〜、ゆっちぃです☆ >『Be Alive 15』にレス付けできなくてちょっとショック受けてますι >最近忙しくってなかなかこちらに来れないんですよねぇ(泣) >とまぁ、愚痴はここいらにしておいて。感想行きます♪ 忙しい時ってチェックできないから辛いですよねぇ。 かく言う私もかなりネットジャンキー(爆)。 >いよいよレイシェルさん達のエピソードに突入ですね! >何気にエディハルトさんとレイシェルさん、好きなので嬉しいですv おおうマジですかっ!? 今回オリキャラが中心なので嫌われてたら元も子もないのでかなり嬉しいですっ!(歓喜) >いやしかし、まさか三角関係とは……(←おいι) >切ないですねぇ……レイシェルさんもシーデルデさんも。 >エディハルトさん、この事知ってらっしゃるのかしら? >ああっ、めっちゃ続きが気になるっっっ!! ああ人間って複雑・・・大変なのね(←オイコラ) じらしてすいませ〜ん(汗)、一気に載せると後が死にそうなので(爆)。 ご感想いつもありがとうございます〜(^_^) 多忙な時は無理しないで下さいネ。 ではでは〜。 |
5047 | Be Alive 17 | 水晶さな E-mail | 11/28-23:39 |
記事番号4995へのコメント Act.17 絆(きずな) 深い眠りから急に引き起こされた時のように、ゆっくりと重いまぶたを開ける。 鈍く残る頭痛に顔をしかめながら視界を確認すると、自分を見つめるレイシェルの姿。 妙に右手だけが涼しいと思ったら、レイシェルが握り締めている為に布団から手が出ているから。 「・・・何?」 寝ぼけ眼(まなこ)で問うと、レイシェルがはっとしたように手を強く握り締めた。 「痛いわよ・・・何なの? 悪夢見て、気分悪い・・・」 そこまで言って、ばっと上半身を起こす。 頭痛が倍増したが、そんな事にかまっていられない。 驚いた表情のレイシェルの肩をがっとつかむと、衣服の襟を開いて首をあらわにする。 白い肌に残る、無残な赤い痕(あと)。 その形は、どう見ても指で強く締め付けた痕(あと)にしか見えない。 「・・・夢じゃ、なかった・・・」 「・・・・・・」 レイシェルが痛切な表情を浮かべた。 「私・・・」 青ざめて震えるシーデルデの手を、レイシェルが握り締めたまま持ち上げる。 「シーディ」 昔の呼び名。 変わらぬ笑み。 あの時のまま。 「・・・レイシェル、私・・・っ!!」 嗚咽(おえつ)を上げ始める彼女を、レイシェルが優しく抱き締めた。 「・・・私、もう、エディハルト様の事はただの憧れだったってわかってたのに・・・あなたが許せなくて・・・意地張って・・・」 「悪い夢を見たのね・・・もう、大丈夫」 レイシェルが、ほっとしたように息を吐いた。 いつから擦れ違うようになったのか、昔は一緒にいない時間の方が短かったのに。 共通の夢を抱(いだ)き、近衛兵に志願したのが全ての始まり。 剣術が優れていたレイシェルは、たまたま欠員の出た親衛兵に抜擢(ばってき)された。 祝いの言葉をくれたシーデルデに、わずかにかげりのある笑みに気付いてしまった。 そう、二人共、同じ時を過ごし、同じ夢を抱(いだ)き、同じ道を進み、 ・・・同じ人に、焦(こ)がれてしまった。 親衛隊隊長エディハルト=バウエルム。 副隊長に任命されたレイシェルは、自然とエディハルトと共に過ごす時間が多くなる。 親友と会う時間は反比例して短くなっていく。 何がきっかけかはわからないが、シーデルデはレイシェルを避け始めた。 嫉妬(しっと)や鬱屈(うっくつ)した感情を漏らさない為の、シーデルデの苦肉の方法だったのかもしれない。 レイシェルは、彼女を追うような事はしなかった。 自分は、彼女に嫌われたのだと。 ならばいっそ、無理して傷つくよりも出会う前の他人の関係に戻ろうと。 たわいのない会話をやめた。 愛称で呼ぶ事をやめた。 会いに行く事をやめた。 泣き出しそうな心の叫びを、押し殺した。 職務に没頭して、全てを振り払って、いつしか、 ―自分が無感情になっていくのに気付かなかった。 シーデルデの部屋から出たレイシェルは、廊下の端でうろうろしている若い親衛兵を見付けた。 レイシェルの姿を見ると、小走りに寄ってくる。 「アスタリスク・・・」 「あ、あのっ、シーデルデの具合、どうですか!?」 まるで今にも自分が倒れるんじゃないかというぐらい、気が動転している。 「・・・今は落ち付いてるわ。お見舞いに来てくれたの?」 「いや、あの、気になって・・・って、僕は仲間として、純粋に彼女を心配してるだけですが!!」 赤面して口調がしどろもどろでは、説得力がまるでない。 レイシェルが微笑を浮かべながら、アスタリスクの肩を軽く叩いた。 「元気付けてあげて。ついでに、もう≪無音の鐘≫に狙われないように、貴方が守ってあげて」 「え・・・あ・・・は、はいっ!!」 過剰に敬礼をすると、シーデルデの部屋の方へ駆け出す。 緊張したノックの音を背中で聞きながら、レイシェルはほんの少しだけ救われたような気がした。 ―願わくば、彼女の心が一日でも早く癒(いや)されますように。 |
5052 | Be Alive 18 | 水晶さな E-mail | 11/29-22:53 |
記事番号4995へのコメント Act.18 出来そこない 「レイシェルは?」 ぼんやりとただ天井を見ていた彼女は、エディハルトの声で現実に引き戻された。 レッサーデーモンの群れを全滅させ、城の被害状況などを国王に報告に行っていた筈。 医務室の軍医と何言か交わした後、一人が出て行く足音がし、誰かがカーテンで囲まれた寝台の前に立った。 長身で、肩幅が広く体格がいい。 影でわかる彼の姿、ずっと前から焦(こ)がれていた。 身間違える筈もない。 「レイシェル、起きているか?」 「・・・はい」 カーテン越しに返事を返す。 シーデルデの部屋を出た後、昔世話になった軍医につかまり、大事を取って寝かされていたのだ。 「報告のため遅くなってすまない。具合はどうだ?」 レイシェルが寝台から身を起こし、カーテンを開けた。 少し戸惑ったような表情のエディハルトが立っている。 「実務に支障はありません。グラコフ先生が過剰に心配するだけです」 乱れた髪を手ぐしで整えながら、レイシェルが苦笑いを浮かべた。 赤い痕(あと)のある首は、襟をぴっちりと閉めて隠してある。 「平気なようなら部屋に返してやれと、グラコフ医師の伝言だ。今負傷した兵に薬を届けに行った」 「ええ、もう戻ります。休み過ぎました」 立ち上がったレイシェルの普段と変わらない態度に、エディハルトが小さく安堵(あんど)の息を吐いた。 ≪無音の鐘≫の仕業とはいえ、友に殺されかかったのだ。精神的に不安定になっても仕方が無い。 「何にしろ、無事で良かった」 「後でもう一度、姫様に礼を申し上げに行きたいと思います」 「ああ、それがいい」 せめて部屋までは送り届けると、エディハルトはいくら断っても聞かなかった。 退役したレイシェルを惨事に巻き込んでしまった事を、エディハルトは自分の過失だと思っているらしい。 ただ、シーデルデが何故レイシェルを襲ったのかについては、レイシェルは一切他言しなかった。 彼女をこれ以上、傷つけたくなかったから。 「あのレッサーデーモンの一群だが、どうも≪無音の鐘≫とは無関係ではないかという話だ」 「・・・?」 廊下を歩きながら、エディハルトの言葉に耳を傾ける。 「ゼルガディス殿の意見なのだが、あの魔族は人の精神に入り込む。故にレッサーデーモンなどを引きつれて、実質的な害を及ぼす事は考えにくいと」 「・・・そういえば、リシィ・・・厨房仕えの料理人も、直接攻撃をされた訳ではなかった・・・」 「そう、嫌な言い方になるが、人間を殺すよりも苦しめる方を好んでいる」 顎(あご)に手を当てていたレイシェルが、ふと顔を上げた。 「もしかして・・・北方より近隣諸国を襲っていた魔物というのは・・・レッサーデーモンの群れ・・・『だけ』?」 エディハルトが頷(うなず)いた。 「その見解が強い。≪無音の鐘≫のような魔族、一般市民に目撃されるなどとはそう考えられない」 「じゃあ・・・≪無音の鐘≫は一体、どこから来たって言うんです?」 「わからぬ。何にしろ、ますます油断ができなくなったという事だ」 会話が途切れた。丁度レイシェルの部屋の前まで来ていた。 レイシェルが軽く頭を下げる。 「ご心配おかけしました。明日からは又普段通りに職務につきますので」 「・・・レイシェル、頼むから、無理だけはするな。顔色だってまだ悪い」 「エディハルト様、自分の身体は自分が一番良く存じております」 言ってから、ふとその表情に影が差す。 「レイシェル?」 「・・・何でもありません」 扉のドアノブに伸ばしかけたレイシェルの手を、エディハルトが上から重ねるようにつかむ。 驚き振り向いたレイシェルを、エディハルトが真正面から見つめる。 「もう、あの時のような無茶はするな」 反対の手が、そっとレイシェルの左目の眼帯に触れた。 「本来その傷を負う筈だったのは私だ。あの日を境に、お前の人生を狂わせてしまった」 「・・・私は、別に」 温かい、手の平。 気遣う心が、痛いくらいに心にしみる。 レイシェルはほんの一瞬だけ、全ての感覚をその手の平の体温を感じる事だけに注(そそ)いだ。 幸せ。言葉に例えるならきっとそう。 それだけでいい。労(ねぎら)いの言葉と、心。 それ以上何も求めない。 「レイシェル・・・もし、もし秘書を続けるのが辛かったら・・・」 エディハルトの言葉に、レイシェルがはっとしたように我に返る。 駄目。その言葉の続きは聞けない。 「私・・・もう、休みます・・・!」 エディハルトの手を振り払い、逃げるように部屋の中へ飛び込む。 しばしその場にとどまり続けていたエディハルトが、やがて去っていく足音を聞いた。 力無く寝台に仰向けに倒れ込む。 視界が滲(にじ)んで、レイシェルは顔を覆った。 何をしているのだろう、自分は。 自分を労(いた)わってくれる彼に、迎え入れてくれようとしている彼に。 拒絶は彼を確実に傷つけていくのに。 「・・・無理よ・・・」 『出来ソコナイ』 ≪無音の鐘≫の呟(つぶや)いた言葉が胸を突き刺す。 あの人を愛する資格など自分にはない。 ある訳がない。 「ノルンディーエ神・・・どうして私のような者をこの地に生まれさせたのですか・・・」 膝(ひざ)を折り曲げ、肩を抱き締め、胎児のように縮(ちぢ)こまって、 彼女は泣いた。 ―ああ、 消えてしまいたい。 |
5054 | レイシェル嬢。 | 桐生あきや | 11/30-04:13 |
記事番号5052へのコメント こんばんわ。桐生です。 レイシェルさんの心情がとっても伝わってきて、すごく痛々しいです。 あんなに強いのに、何が出来損ないなんでしょう? エディハルトさんはカッコいいし、シーデルデも好きです。 あとアスタリスクさんもいましたよね。さなさんのネーミングセンス綺麗で うらやましいです。 話は変わるんですけれど、挿し絵のない小説って、私よく頭のなかで勝手に キャラの顔を思い描いたり、近いイメージの別のキャラの顔を引っ張ってきたりするんです。 レイシェル嬢は、私のなかでは某9の女将軍様にすごく重なってます。 初めてレイシェル嬢が登場したときからポンと浮かんで離れないんですよね。 勝手に近いイメージのキャラを引っ張ってこられるのって、場合によってはすごくイヤなことかもしれませんけど。 もし、イヤでしたらすいませんです。 それでは。 桐生あきや 拝 |
5058 | Re:レイシェル嬢。 | 水晶さな E-mail | 11/30-22:29 |
記事番号5054へのコメント こんばんわ水晶さなです。いつもコメントありがとうございます。 > レイシェルさんの心情がとっても伝わってきて、すごく痛々しいです。 > あんなに強いのに、何が出来損ないなんでしょう? 感情移入できないと結構もたないシーンなので頑張りました(汗)。 『出来損ない』の意味は・・・もう少し待って下さいねv(汗←待たせ過ぎ) > エディハルトさんはカッコいいし、シーデルデも好きです。 > あとアスタリスクさんもいましたよね。さなさんのネーミングセンス綺麗で >うらやましいです。 全員騎士系だからきりっとしてないと駄目かなと・・・名前は結構フィーリングで決めちゃいます(^^ゞ でもネタをバラすと「アスタリスク」は記号の「*」の名称なんですよ・・・(爆)。 ごめんなさい彼の時だけいいのが思い付かなかったもので(爆)。 > 話は変わるんですけれど、挿し絵のない小説って、私よく頭のなかで勝手に >キャラの顔を思い描いたり、近いイメージの別のキャラの顔を引っ張ってきたりするんです。 > レイシェル嬢は、私のなかでは某9の女将軍様にすごく重なってます。 > 初めてレイシェル嬢が登場したときからポンと浮かんで離れないんですよね。 は、すごく近いですそのイメージ。私の元イメージもそれですから(笑)。 あの髪をストレートにして露出度低めにした感じとでも思っていただければ・・・。 でもエディハルトはプ●ート隊の隊長には似てません(笑)。 > 勝手に近いイメージのキャラを引っ張ってこられるのって、場合によってはすごくイヤなことかもしれませんけど。 > もし、イヤでしたらすいませんです。 いやでも文字だけだと、私もやっぱり近いイメージを当てはめますし。その人の中でその人なりの世界が楽しめたらなーと思って、特徴だけをつらつら並べてみたりしてます。要は楽しめればいいなと(爆)。 何だか言いたい放題言ってますが、半分越えましたので後少しお付き合い下さいませvv(←今更コビを売る) |
5063 | Be Alive 19 | 水晶さな E-mail | 12/1-00:09 |
記事番号4995へのコメント Act.19 追憶(ついおく) 騒然(そうぜん)としていた。一言で表すならそう。 王宮内関係者一同が集まった会議で、それは突然起こった。 文官の一人に化けていた、他国の間者が唐突に抜刀して国王に切りかかったのだ。 幸いその一撃は傍(かたわ)らの親衛隊長エディハルトが食い止めたが、会議室は悲鳴と狂乱が入り混じった。 相手は一人ではなかった。神官や召使に扮(ふん)し、数人潜んでいた為に周囲の者全てが敵に見えた。 エディハルトは国王に切りかかってくる曲者(くせもの)を払うだけで精一杯。 狭い会議室内での剣戟(けんげき)は、いくら熟練の親衛兵でも苦戦を強(し)いられた。 疲労の色が見え始めたエディハルトに、後方から剣を携(たずさ)えた親衛兵が近付く。 ―否、親衛兵の姿をした間者。 それに気付いたのは、たった今一人を倒した自分だけだった。 目の前の光景が、スローモーションのように繰り広げられる。 声を上げる暇もなかった。 実際どういう風に動いたのかは覚えていない。 ただ微(かす)かに残るおぼろげな記憶は、 左目を貫いた剣の、やけに冷たい感触だけ。 エディハルトが自分を呼ぶ声が、遠くに聞こえた。 ―良かった、無事だったんですね 返事をしたつもりだったが、唇が動かない。 どろりとした感触が頬を伝った。 同僚達が医師を呼べだの魔道士を呼べだの叫んでいる。 それもただの騒音にしか聞こえない。 ―視界が暗いんです、誰か、布を・・・血をぬぐって・・・ その後気付いた時には、医務室の寝台の上だった。 少し離れた所から、軍医のグラコフ医師とエディハルトの声が聞こえてくる。 『・・・では・・・回復の見込みは・・・』 『・・・念・・・ながら・・・』 『私・・・過失で・・・』 『そう責めずに・・・』 二人の会話が、他人事のように聞こえる。 聞かずともわかる。自分は左目を失ったのだ。 レイシェルはいやに冷静に、事実を受け止めていた。 これは罰だ。 親友を捨て、自分一人だけ地位を獲得し、周囲の人間全てを欺(あざむ)いてきた自分への罰。 「・・・起きて、いたのか」 自分がまだ寝ていると思っていたのだろう、カーテンを静かに開けたエディハルトが驚いたようにこちらを見ている。 視力が格段に落ちた為、彼の顔がおぼろげにしか見えない。 「・・・私の、後を埋められるのは・・・近衛兵のシーデルデ=ラウトシャー・・・彼女の腕は私が保証します」 「・・・レイシェル」 部屋が静かな為、エディハルトが歯噛みする音まで聞こえる。 不意にレイシェルの手を、大きな手が包んだ。 「・・・私の秘書になって欲しい」 「・・・はい?」 すぐにはその言葉が理解できなかった。 「頼む・・・責任を取らせてくれ」 「・・・私が勝手にかばっただけです。エディハルト様が責任を感じる必要はありません」 「レイシェル・・・私はお前に、側(そば)に居て欲しい」 「・・・・・・」 握られた手の、温かさ。 呟(つぶや)かれた言葉が、凍り付いた心を溶かす。 こんな自分でも、この人は必要だと言ってくれる。 求めてくれる。 「・・・レイシェル!? 傷が痛むのか!?」 唐突(とうとつ)に頬を伝った涙に、エディハルトが狼狽(ろうばい)する。 実直だけれど鈍感な彼に、レイシェルは微笑みを隠す事ができなかった。 「いえ・・・嬉しいだけです・・・」 一生貴方に仕えます。仕えさせて下さい。 それだけでいいから、それ以上求めないから。 ・・・求められないから。 貴方にも言えない、私の本当の真実。 ・・・私は・・・じゃない。 |
5064 | Be Alive 20 | 水晶さな E-mail | 12/1-00:11 |
記事番号4995へのコメント Act.20 疑問 「各自、警戒を怠(おこた)るな。これ以上被害を出すわけにはいかん」 『はっ!!』 珍しく強い語調で言ったエディハルトに、一同が緊張した面(おも)持ちで返す。 エディハルトの傍(かたわ)らにレイシェルの姿はなかった。 「さすがに昨日の今日じゃ・・・」 会議に参列させてもらっているアメリアが心配げな表情をする。 「レイシェルには悪いが今心配しても仕方が無い。根源を倒さない限り被害は増える一方だからな」 ゼルガディスが腕組みをしたまま答える。 「必ず二人以上で見回りを務めるように。単独行動は厳禁だ。以上!」 会議室を去る兵達の表情には、疲労が色濃く浮き出ている。 「・・・皆疲れてますね」 「連日連夜気の張り通しだ。疲れてくるのも無理はない」 だからこそ早期決戦を望んでいるのだが、いかんせん相手がヒット&アウェイの達人。 足止めできなければどうしようもない。 「・・・今度はどこに現れるか」 「一度狙われた人が、もう一度狙われるって事はないんですか?」 「シーデルデの事か? あれはもう一度唆(そそのか)そうったって無理だろうな」 「もう負の気をもらったから?」 「恐らくな」 アメリアが徐(おもむろ)に腕組みをして唸(うな)る。 「一度手をかけようとして、失敗した相手とか・・・」 「それは可能性があるなって・・・おい」 ぱたぱたと手を振って、アメリアが否定を示す。 「私もそうですが、レイシェルさんの事です。警備を付けた方がいいんじゃないですか?」 「レイシェルも襲われかけたんだったか?」 「ええ、首に手をかけようとしてましたから」 言って、自分の首に手をあてて真似をする。 「・・・ちょっと待て、今、首って言ったな? それは殺そうとしてたのか?」 「・・・そうじゃないんですか?」 アメリアがきょとんと聞き返す。 「あの魔族は人を惑(まど)わす事しかしないんだぞ。直接的な事をするとはそう考えられない」 「それはえーと・・・レイシェルさんはたまたま惑わしにくかったとか・・・精神的に強くて」 「強かったら泣いてないだろ」 「あ、そうですね」 ぽりぽりと頭をかき、アメリアが再び考え込む。 「レイシェルさんには・・・何かあるって事ですか・・・?」 「かもな。ここで空論を立てても仕方ない。見回りに行くぞ」 ゼルガディスが歩き始めながら答えた。 |
5065 | Be Alive 21 | 水晶さな E-mail | 12/1-23:58 |
記事番号4995へのコメント Act.21 消闇・・・そして何処かで見た貴方 「ここは常時見張りがいるのか」 最奥にある宮廷神殿の前、ゼルガディスとアメリアが立った。 神殿を中心として城が出来あがった為、自然城の内部に組み込まれたデザインになる。 壁の材質から色から、扉一枚隔(へだ)てただけでがらりと変わる。 日中は開け放たれている扉の両脇に、装備を固めた近衛兵がそれぞれ立っている。 鎧の色は黒と赤。男性近衛兵と女性近衛兵。 エディハルトの進言により、近衛兵・親衛兵に至るまで女性を一人にさせない方針になった。 今まで狙われた人物は、アメリア、厨房仕えのリシィ、親衛兵のシーデルデと、全て女性を狙った為である。 二人が別の場所へ見回りに行こうとすると、どこからともなく女性近衛兵が駆けて来た。 竜を模した顔半分を隠す兜、どの兵も同じに見える。 間者が潜んでいてもおかしくないとゼルガディスが指摘したが、兜は特別製で精工に造られている為、本人以外が装着する事ができないつくりになっているとアメリアが言った。 駆けて来た近衛兵が、扉の脇に立っている近衛兵に何事か話しかける。だが相手は「知らない」と答えたようだった。 「何かあったんですか?」 慌てたような雰囲気を感じ取ったのか、別方向に行きかけていたアメリアが近衛兵に尋ねた。 「・・・は、実は、私が担当を任された新入りが先程から行方不明でして・・・」 兜の下をぬぐいながら答える。どうやらずっと走りまわっていたようだ。 「はぐれたのか? 城は広いからな」 ゼルガディスが問うと、近衛兵が困ったようにうなずいた。 「・・・そのようなんですが・・・」 「見かけたら探していたと伝えておきます。その方の特徴とか・・・」 言いかけて、アメリアが慌てて付け足す。 「あっそのっ、皆さん同じ鎧で顔が隠れてるから・・・その・・・すみません見分けが・・・」 この言葉には近衛兵も思わず吹き出した。 「背丈は私よりも高いです。エディハルト様には負けますが・・・ええと、180cmぐらいはあると思います」 「平均身長が高いとはいえ、それでも高いな」 「他には?」 アメリアが忘れないようにメモをする。 「髪が腰まであります。きれいな金髪です」 ゼルガディスが眉をひそめた。 しばらく前に擦れ違った、敬礼の下手な女性近衛兵。 あれも確かかなりの背丈だったような覚えが。 「名前は?」 いつの間にかアメリアが次の質問に移っていた。 「名前は・・・」 言いかけた時、神殿内からガラスの砕けるような音が響いた。 瞬時に反応し、駆け出すゼルガディスとアメリア。 「神殿内は清浄な気に溢れてる筈ですよ、そんな所に出現するなんて!!」 そう言いながらも、アメリアの手は魔法発動の構えをとっている。 美麗なステンドグラスをバックに立つ、ノルンディーエ女神像。 色とりどりのステンドグラスは、床に散りただのガラスの破片と化していた。 その頭部に不釣合いな黒い道化師が、にたにたと笑みを浮かべながら座っていた。 「女神を汚(けが)す不届き者! 神妙になさい!! これ以上悪事を働くのはこの私が許しません!!」 びしいっと人差し指を突き付けると、アメリアが詠唱に入った。 「エルメキア・ラーンス!」 青い光は、ふわりと浮かんだ道化師の真下を通り過ぎた。 「アストラル・ヴァイン!!」 ゼルガディスが剣を構える。 後ろから追い付いた近衛兵が、≪無音の鐘≫の姿を見て凍り付いた。 「近衛兵以下は避難! 人数を増やすな、戦いにくい!! エディハルト隊長を呼べ!!」 ゼルガディスに怒鳴られ、硬直していた近衛兵が慌ててUターンをする。 音もたてずに、≪無音の鐘≫が二人の前に降り立った。 顔を上げて、見つめるのはアメリアの方。 一度逃(のが)した獲物。 「残念ですがここで消えてもらいます! ブラム・ブレイザー!」 アメリアの放った光を片手で押し潰し、≪無音の鐘≫が一瞬の間に詰め寄る。 後方からゼルガディスが赤い光を伴った剣を振り下ろした。 空間が歪(ゆが)み、消える。 一瞬の後に、ゼルガディスの後方へ出現する。 「ゼルガディスさん!!」 アメリアが両手を突き出した。 「エルメキア・・・」 詠唱より早く、ゼルガディスが振り向きざまに懐(ふところ)に隠していた小型のダガーを突き出した。 わずかに布を切り裂くような感触がし、≪無音の鐘≫が苦痛に顔を歪(ゆが)める。 「フレイム!!」 直後にアメリアの魔法が完成し、違(たが)う事なく≪無音の鐘≫を燃やし尽くす。 がぼうっと耳障(ざわ)りな悲鳴を上げ、黒い影が霧と化して消滅した。 空中に塵(ちり)が撒(ま)き散らされる。 しばらくゼルガディスも、アメリアも動かなかった。 「・・・やった・・・?」 「いやにあっけない・・・」 ゼルガディスが振り返ったその時、 ≪無音の鐘≫は後ろからアメリアの肩をつかんでいた。 ―今消えたのはダミーだ!! 「アメリ・・・!!」 頭突きでもするように、仰向(あおむ)けにのけぞった後、思い切り頭を振り下ろす≪無音の鐘≫。 衝撃の音もなく、アメリアの悲鳴もなく、それはずるりとアメリアの『内部』に潜り込んだ。 アメリアの瞳が生気を失う。 近付こうとしたゼルガディスは、アメリアから溢れた瘴気(しょうき)に吹き飛ばされた。 「・・・ぐっ!」 床に叩き付けられながらも痛みをこらえて顔を上げ、アメリアの方を見る。 頭痛をこらえるように、アメリアは頭を抱(かか)えて悲鳴を上げていた。 「ああああああああああああ!!!!!!」 内臓から焼けていく衝撃。 押し込めていた心が、言葉が、無理やりに鍵をこじ開けられ、溢れ、暴れ出す。 『ネェイツニナッタラ彼ハ元ニ戻ルノ?』 『一年後? 十年後? 百年後?』 『本当ニ戻レルノ? 私ノ幸セハ一体イツ訪レル?』 道化師の仮面が冷たい笑みを浮かべる。 『・・・私ガ、死ンダ、アト?』 「いやあああああああああああ!!!!!!」 「アメリア!!」 激しく頭を振るアメリアに、ゼルガディスが駆け出す。 彼女の手をつかもうと伸ばした手に、唐突(とうとつ)に痛みが走った。 先程ダミーに刺した、ゼルガディスの小型のダガー。 <ヴィスファランク>の光が、彼女の拳(こぶし)だけでなく握ったダガーまでをも包んでいる。 ゆっくりと顔を上げたアメリアは、≪無音の鐘≫と同じ笑みを浮かべていた。 腕から流れた一筋の血を乱暴に拭(ぬぐ)い、ゼルガディスがアメリアと対峙(たいじ)する。 「・・・もう、待てない、んです・・・」 踏み込むアメリアの足は、通常のスピードの二倍。 空を切るように伸びあがったダガーの刃は、ゼルガディスの頬を掠(かす)めた。 「もう、限界・・・私はいなくなる・・・あなただけが残る・・・」 ダガーを握ったアメリアの手をつかみ、ゼルガディスが引き寄せる勢いのままにアメリアを抱き締めた。 「!」 アメリアが暴れた為に、ダガーはゼルガディスの体を傷つけて行く。 ヴィスファランクの光を散らしながら。 「ならば選べ」 そんな傷にはかまいもせずに、ゼルガディスは静かに言った。 「俺を殺すか・・・それとも諦めてついてくるか」 その言葉は穏(おだ)やかで、 「決めるのはお前だ」 ―優しささえ、感じられた。 「・・・あ、ああ、うああああああ!!」 何かを拒絶するように、アメリアの体が仰(の)け反(ぞ)る。 「アメリア!!」 振り上げられたダガーが・・・乾いた音をたてて床に落ちる。 痛みに耐えるように、響く『声』に抗(あらが)うように、アメリアがゼルガディスの肌に食い込む程爪を立てる。 「いや・・・させない! ゼル・・・ィス、さん・・・傷付け・・・させない!! ディ・・・ディクリアリィ!!!」 唱えたアメリア自身が、白い炎に包まれる。 「アメリア!!」 驚いたゼルガディスだが、それでもアメリアを放さない。 背中から膨れ上がった黒い霧が、悲鳴を上げながらアメリアの体から離脱した。 糸が切れたようにくずおれるアメリア。 抱き留めたまま、ゼルガディスがとどめを刺そうと手の平を≪無音の鐘≫に向ける。 ―が、予想よりも早く、≪無音の鐘≫は炎に包まれたままこちらへ手を伸ばす。 「・・・っ!!」 せめてもアメリアを守ろうと、かばうように抱き締めた時だった。 列を為す天使像の影から、一人の近衛兵が飛び出したのは。 赤い鎧は女性近衛兵。けれどその背丈はかなりの大柄。腰まで伸びた髪は見事な金の色、 慌てて振り向いた≪無音の鐘≫が手を伸ばしても、それは兜をかすめるだけ。 ぴしりと亀裂が走り割れた兜の下から、どこかで見たような顔が現れる。 「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」 気合一閃(いっせん)。 完全に魔族の居(きょ)を突いて振り下ろされた剣は、縦に真っ二つに≪無音の鐘≫を裂いていた。 掠(かす)れるような悲鳴を上げ、今度こそ魔族が消滅する。 ようやく呼吸が正常に戻ったアメリアが、何事が起こったのか振り返り、凍り付いた。 「・・・ガ」 そこで止まったアメリアの言葉を付け足すように、ゼルガディスが呟(つぶや)く。 「ガウリイの旦那・・・」 「あっはっは久しぶりだなお二人さん」 屈託(くったく)の無い笑みで、ガウリイが手を振った。 アメリアがばっとガウリイの足元を指差し、叫ぶ。 「いやあああああっ!! じゃああの時・・・って今もですがスリットからのぞいた白い足はガウリイさんの!? わ、私うらやましいなって見とれちゃったのにいやあああああああああ!!!!」 ガウリイがその場で盛大にすっ転んだ。 |
5075 | びっくり!! | 雫石彼方 E-mail | 12/2-05:56 |
記事番号5065へのコメント タイトルにもありますが、びっくりですよ!!何がって、敬礼の下手な女性近衛兵、てっきり敵キャラかと思っていたらガウリイなんですもん!!女性のフリなんかして一体何やってんだガウリイ〜〜!!(笑)しかもアメリアいわく、『羨ましい足』(笑)アメリアが操られてすっごいシリアスな場面の後だったので、尚更びっくり。・・・でも嬉しかったです(^^)さなさんの書かれるガウリイ、凄く好きなんですもの; さなさんのこのお話が始まった時、背の高い人ばかりってことは、ガウリイがいたとしてもここではそんなに高い方に入らないんだよなー、とか思ってたんですが、最初はゼルとアメリアしかいなかったので、まさかガウリイが出てくるとは思いませんでした。 ガウリイが出てきたってことは、そのうちリナも出てくるのかな?楽しみにしてます。それでは。 |
5076 | ふふふ(笑) | 水晶さな E-mail | 12/2-21:00 |
記事番号5075へのコメント こんばんわ〜さなです(^_^) >タイトルにもありますが、びっくりですよ!!何がって、敬礼の下手な女性近衛兵、てっきり敵キャラかと思っていたらガウリイなんですもん!!女性のフリなんかして一体何やってんだガウリイ〜〜!!(笑)しかもアメリアいわく、『羨ましい足』(笑)アメリアが操られてすっごいシリアスな場面の後だったので、尚更びっくり。・・・でも嬉しかったです(^^)さなさんの書かれるガウリイ、凄く好きなんですもの; 新人近衛兵、金髪ロン毛と書いたらバレちゃうかな〜と危惧してたんですが、いい方向に雫石サンをだませたみたいで思わず画面前でガッツポーズ(とるな)。 ガウリイ好きって言って下さるなんて・・・v 彼書きやすいです。私が書くとただの豪快なオヤジみたいになるんですけど(笑)。 レイシェルとエディハルトのシーンでシリアスになり過ぎたので、ここら辺りで砕いておきたかったんですが、うまくいったみたいですね(笑)。 >さなさんのこのお話が始まった時、背の高い人ばかりってことは、ガウリイがいたとしてもここではそんなに高い方に入らないんだよなー、とか思ってたんですが、最初はゼルとアメリアしかいなかったので、まさかガウリイが出てくるとは思いませんでした。 >ガウリイが出てきたってことは、そのうちリナも出てくるのかな?楽しみにしてます。それでは。 はい、やっと第1の峠越しました(笑←まだあるのか峠)。 リナも勿論、ガウリイが出るとなれば(笑)。 ただ次回になりますのでちょっと待って下さいね〜。 あともう少しで終わる筈・・・。 |
5086 | Be Alive 22 | 水晶さな E-mail | 12/4-23:57 |
記事番号4995へのコメント Act.22 遅れて来たKey Person(重要人物) リナが姿を現したのは、夜半を過ぎてからだった。 客室の丸テーブルを囲んでいた三人の姿を見付けて、リナが驚いた声を上げる。 ガウリイが呑気に手を振った。 「おーリナ。こっちのはやっつけといたぞー」 「あたしの方もね・・・って、アメリアにゼル。どーしてこんなとこにいんの?」 きょとんとしたリナに、アメリアが再会の喜びに思わず飛び付いた。 「リナさんお久しぶりですぅぅっ!!」 「ぐえええええぇ」 勢い余って首を絞めていた事に気付き、慌ててアメリアが手を放す。 「げほ・・・ったく、変わってないわねアンタは」 リナが苦笑いを浮かべた。 「ところであんたら、あの魔族を知っていたみたいだったが・・・」 「あれ? ガウリイから何も聞いてないの?」 ガウリイが純粋無垢(むく)な笑みを浮かべる。 「いやーあれを倒すってのは覚えてたんだけど・・・何で倒す事になったんだっけ?」 べしぃ。 盛大な音をたてて、ガウリイが逆さまに叩き付けられたテーブルの下に沈んだ。 「クラゲはほっといて」 リナが椅子に座り直して咳払いを挟む。 「一ヶ月ぐらい前かしら。あたしとガウリイ、魔物退治を頼まれたのよ」 「それは・・・レッサーデーモンですか?」 アメリアの問いに、リナが手を横に振る。 「違う違う。頼まれたのは、どっかのマッド・サイエンティストが研究の為に封印を解いた古代の魔物」 「≪無音の鐘≫・・・か」 「あれ、何だ知ってるの」 ゼルガディスに先に言われた事がつまらなかったのか、リナががっかりしたように肩を竦(すく)めた。 「でもリナさん、古代書で見た≪無音の鐘≫は蜘蛛(クモ)のようで、足は八本でした。私達が戦ったのは人間と同じ体型だったんです」 リナがちっちっと人差し指を横に振る。 「何の為にあたしとガウリイが二手に分かれたと思ってんの? そのどっかのマッド・サイエンティストが、魔族を下手な研究でニ分割しちゃったのよ。女を惑わす男格のアゼル、男を惑わす女格のイゼルにね」 「ああっ!!」 アメリアがぽんと手を打つ。 「だから足が四本ずつになって・・・人間の体型になったんですね!!」 「古代書の下手な絵じゃわかんないでしょうけど、元の形だと前と後ろに顔があるの。だから丁度よく分割されちゃったのよね」 リナが一口紅茶を啜(すす)る。 「あたし達はそいつらを追ってたんだけど、二手に分かれられてね。個体だと大した強さじゃないからってあたし達も分かれたの。女を惑わすアゼルにはガウリイ。男を惑わすイゼルはあたしが引き受けた」 「だからガウリイさん、アゼルを欺(あざむ)く為に女装・・・して」 思い出したくないのか、アメリアが自分で自分を抱き締めてぶるっと震えた。 「おう、すんごくイヤだったけどな」 いつの間に回復したのか、ガウリイが椅子に戻っている。 「何言ってんの。女装はあたしのアイデア。このクラゲ絶対途中で任務忘れると思って、あたしが文章にして持たせといたんじゃないの」 「『女装しろ』しか書いてなかったぞ」 「それ以上書いたってアンタの脳みそに蓄積できるわけないでしょーが」 「何かすげぇヒドイ事言ってないか」 「言ってるのよ実際」 「まあまあまあまあ」 アメリアが割って入った。 リナがまだ興奮おさまらぬ状態ながらも、紅茶を飲み干してやっと静まる。 「ま・・・とにかくあたしの方もやっつけたから、ガウリイの方に来たってワケよ。アメリアとゼルが居るとは思わなかったけど、とにかくこれで報酬もらいに行けるわ〜v」 それから話題がお互いの近況報告になった時、不意にノックの音がした。 続けざまに素早く3回。普通の様子ではなさそうだ。 「アメリア姫様、談話中申し訳ございません。失礼して宜(よろ)しいですか?」 「はい・・・どうしたんですか?」 返事をするとすぐに扉が開き、シーデルデが顔を出す。 「あの・・・レイシェルを見かけませんでしたでしょうか?」 「レイシェルさん? いいえこちらには来てないです。確かお部屋で休んでると・・・」 「そうなんですが、先程部屋を覗(のぞ)きに行ったらおりませんでしたので・・・」 アメリアが顎(あご)に手を当てた。 「不安を増大させるような事を言うかもしれませんが、最近のレイシェルさん、塞(ふさ)ぎ込むというか・・・様子が少しおかしかったです」 「・・・私も感じていました。だからアスタリスクと探していたんですが・・・見つからなくて」 「わかりました。私も探してみます」 アメリアが元気付けるように笑うと、シーデルデもやっと笑みを見せた。 「久しぶりなのに、ゆっくりできなくてすみませんリナさん。お疲れでしょうから休んでて下さい」 謝るように軽く頭を下げると、部屋を出ようとする。 後ろにゼルガディスが続いた。 「ゼルガディスさん?」 「レイシェルの様子がおかしいのは、俺も気になっていたからな」 「何かワケありっぽいわね」 いつの間にかリナも席を立っていた。 「その人の特徴だけ教えてくれる? 皆で手分けした方が早いわ」 |