◆−大切な存在(ヒト)−早坂未森(12/17-15:33)No.5212
5212 | 大切な存在(ヒト) | 早坂未森 E-mail URL | 12/17-15:33 |
大切な存在(ヒト) 「ホント、久しぶりねー」 「そうですね〜」 ーある、港町で。 気持ちいいそよ風の吹く中、四人は再会した。 「それで、あのあとどうしてたんですか?」 「無くなった光の剣の代わりを探してたわ。色々、あったけど…斬妖剣(ブラスト・ソード)て剣を見つけたのよ」 「へぇ、そうなんですか」 「そういうアメリアは?ゼルと二人で旅してたんでしょう?」 「ええ」 「…もしかして…セイルーンを捨てた、とか言うんじゃないでしょうね?」 「ま、まさかっ!」 リナにそう言われ、慌てて首を横にふるアメリア。 とんでもない!という表情である。 「じゃあ、どうしたの?あんた達って、ダークスターの一件のあと、セイルーンまで一緒に行ったんでしょ?」 「ええ、でも…ゼルがディスさんは、セイルーンの近くまでは来てくれましたけど一緒には来てくれなかったんです」 「…それで、そのまま別れた、って?」 「はい」 「ふーん、そう…」 リナはそう呟いて、残りのジュースを一気に飲み干した。 「それで、その後…ゼルガディスさんがセイルーンの近くに来ていることを知って…城を抜け出して会いに行って…そのまま旅に…」 「え、もしかしてあんたフィルさんに何も言わないで旅に出たの?」 「はい、そうなんです」 「…あんた、姫って自覚ある…?」 「はい、一応…(汗」 「い、一応…」 とんだ親不孝者もいたものである。 「で・でもちゃんと手紙は出しました!」 「そう、それならいいけど…ゼルがよく許したわね?」 「勝ちました」 「…ゼルを納得させたわけね…?」 「はい♪」 つまり、口でアメリアがゼルガディスに勝ったワケである。 「アメリア、あんたもよくやったもんだわ」 「いえ、それほどでも♪」 アメリアは誉め言葉と受け取ったらしい。にぱっ♪という効果音が似合いそうな笑顔を浮かべた。 リナは、そんな、幸せそうなアメリアの表情を見て苦笑した。 ーかつての仲間が、こんなにも幸せそうな顔をしている。 今、二人はある港町の喫茶店(?)で喋っていた。 そんな二人の連れの男二人はどこかへ行ってしまった。 まぁ、男は男同士で色々と話があるのだろう。 それは、女性陣にも同じことである。 「そういえば…」 「何?」 「ずっと思ってたんですけど、リナさんにとってガウリイさんて存在は何なんですか?」 「脳みそスライムのくらげ男、自称保護者」 「…いえ、そうじゃなくて…」 きっぱりと、即答したリナにアメリアは苦笑した。 今のリナの言葉は少し当たっているかもしれない。 …だが。 「じゃあ、どういう意味よ?」 「例えば、大切なヒト…とか」 「なっ…」 とたんに、リナの顔が真っ赤になる。 「リナさん、誤魔化しはだめですよ。正直に答えてください」 「う゛…」 「リナさん?」 「……う゛〜〜」 「ウソは即ち悪です!」 いや、別に正義じゃなくても構わないのだが。 「リナさん!?」 「…あ゛〜〜もう、わかったわよ言えばいいんでしょ言えば」 「それでいいんです」 「…わからないのよね、よく」 「わからない?」 「…そう。あいつと会って…レゾやコピーレゾ、ヘルマスターフィブリゾとかと戦ってきたじゃない?そして、何時の間にかあいつがトナリにいるのが当たり前になってた。 ほら、あたし…フィブリゾとの戦いの時に、世界とガウリイを天秤にかけちゃったじゃない?それで、世界じゃなくてガウリイを選んだんだけどさ。 あんた達と別れてから…知り合った二人組がいてね。そのうち一人が…戦いの中で、死んじゃって。…もう一人のほうも…」 「…そんなことが、あったんですか…」 「あたしね、思ったんだ。…ガウリイは、あたしといていいのかなって…」 そう、あたしといなければ。 「けどね…あいつといるとほっとするのよ。安心できるの。いつも刹那の中で生きるあたしにとって…貴重な場所なの。大事なの。…失いたくない」 あの時初めて知った。 トナリにあいつがいなくなるということに、自分が恐怖を抱いていることを。 失いたくない。 「あたしさ…恋とか愛だとかそういうのよくわかんないんだけど。…あたしにとって―脳みそスライムのくらげ男でも、かけがえのない…そんな存在なんだって思う」 ずっと一緒にいたい。 例え自分のせいで傷つくことがあるとしても。 あいつはそんなことであたしのそばから離れようとはしない。 そう、信じてるから。 (リナさん、綺麗…) いつも世間でドラまたとか盗賊殺しだとか言われている、あのリナが。 たったひとりの男の話をしているだけで、こんなにも綺麗に見える。 それだけ、愛の力は偉大と言うべきか。 (リナさんは、やっぱりガウリイさんが大切なんだ) そう、自分にとってあの人が大切であるように。 自分勝手で。元の体に戻ることしか考えてなくて。『残酷な魔剣士』というのが気に入ってて。 だけど強くて優しくて。滅多に自分を見せないから誤解されやすいけれど。 確かに、自分とは立場が違う。 一国の姫と、合成獣(キメラ)の魔剣士。 本来なら自分は、王宮で自分の仕事をしていなくてはならない。 でも、やっと見つけた人だから。 大切な人だから。 ーカラン、カラン… 「おっ、いたいた。リナ!アメリア!」 「ガウリイ!それに、ゼル!」 「ゼルガディスさん!」 入り口のほうを見ると、ガウリイとゼルガディスの二人。 どうやら迎えに来たようである。 「そろそろ宿をとりに行くぞ」 「じゃ、行こっかアメリア」 「はい!」 大切な存在(ヒト)がいるの。 なにものにも変えがたい、大好きな人。 一緒にいたいから 失いたくないから 信じてるから やっと見つけた、大切な人 この手を離さないで 一緒に生きていこう。 あなたのトナリは、私だから end -------------------------------------------------------------------------------- あとがきという名の駄文 久しぶりに、最後に詩みたいのをつけました。 どうでしょうか? ただ単に、リナちゃんにガウリイへの思いを言わせたかったんだけど。 ちなみに、これ原作とアニメ版が混ざってます。 こんな感じに↓ アニメ無印→NEXT→TRY→原作第二部 まぁ、細かいことは気にしない気にしない(おい 感想くださいませね〜 |