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5272蒼刃 E-mail 12/24-12:14


タイトルとちょいと違うかな〜、なんて気が・・・

 本文

 「14歳にしては強いな」

 ある日こいつがレッサー・デーモンに追われていたところを助けた。

 「どこで習った?」
 「半分は親父に、もう半分は我流です」

 こいつの両親がレッサー・デーモンに殺されて、身寄りがないというので
俺の下で石を探すことになった。

 歳は14と言っていた。名はオリルといった。緑色の目に合わせたかのように
腰のあたりまでのばした緑色の髪。右頬には追われた時にできたであろう大きな
十字傷。

 「ゼルガディス様だって剣の腕前すごいじゃないですか」

 助けたあの日以来俺のことを「サマ」付きで呼ぶようになった。

 助けたあの日こいつは悲しみに沈んでいた。
 それは両親が殺されたからだろう。一匹の下級魔族の手によって。
 守りきれなかった己の非力さがこいつの涙となって流れていくのをただ見て
いるしかできなかった。慰めの言葉など浮かばない。
 俺がしてやれることはこいつの両親を埋葬してやることぐらいだった。
 俺達がアジトとして使っている場所の近くに簡単な墓を作った。

 こいつを助けた次の日にはもうこいつは笑っていた。
あの日を忘れるかのように。
作り笑顔で。俺に礼を言ってきた。
「助けてくれてありがとうございました」
俺に無理やり作った笑みを見せながら。


 「ゼルガディス様!ゼルガディス様ってば!聞いてるんですか?」
 「あ、すまん。少しボーッとしていた。なんだ?」
 「魔法教えてください」
  ボーッとしていたのは嘘だが。
 「だめだ」
 「どうしてですか、いーじゃないですか魔法ぐらい」
 「魔法ぐらい・・・・か。だめだ、お前は剣で十分だろうが」
 「嫌です。俺が魔法を覚えられないってゆーことじゃないんでしょ?」
 「お前な。・・強くなりたいのはわかるが」

 人を守れるぐらいの強さが欲しいのだろう。

 「いーじゃないですか。別に魔法を覚えたって損はないハズです」
 「なんだよさっきから外でうるせー」
 「ディルギア、さっきから俺ゼルガディス様に魔法教えてって言ってんのに
 教えてくんねーんだ」
 「・・・いーんじゃね〜の?」
 「だめだ」
 「さっきからゼルガディス様そればっか」
 「そ〜だぜ、ゼルの旦那・・・・・っと俺は何参加してんだ。オリル、レゾの
 旦那が呼んでたぜ」
 「レゾさんが?」
 「そ〜だ。研究室にこいってよ」
 「研究室・・・・・・・・・ってどこ?」
 「まだ覚えてね〜のかよ。しゃーない、案内してやるか」
 「どーも。あ゛ゼルガディス様」
 「魔法は教えんぞ」
 「うぐ・・・ま、また剣の相手してくださいね。いこーぜディルギア」
 オリルとディルギアは俺に背を向けてはしっていった。

 レゾがオリルに何の用だ?
             ふと頭に浮かんだ小さな疑問。


 「レゾ。オリルと何を話していた?」
 「気になりますか?」
 嫌な胸騒ぎがする。
 「オリルの相談にのってあげたのですよ。あなたが魔法を教えてくれないから
 今度は私にね。 それで私は一匹のレッサー・デーモンを倒せるぐらいの力が
 あるなら教えましょうってね。冗談のつもりで言ったのですが本気にしてしまっ
 たようですね。まあ、子供ですし、仕方ないでしょうが」
 「それで、オリルは?」
 「近くの古城だと思いますよ。そこにレッサー・デーモンがいると教えました
 から。・・・・ゼルガディス?」

 俺は走った。間に合うようにと思って。
 あいつにはレッサー・デーモンを倒せるぐらいの力はまだないはずだ。
 間に合うか?
       もし間に合わなかったら?

 あの時だめだなんて言わなければ


 やっと古城についた。
 「あ、ゼルガディス様・・・やったよ俺・・・・これで魔法教えてくれるかな」
 あいつから俺を見つけた。あいつの目には涙が浮かんでいる。
 あいつの足元には一匹のレッサー・デーモンの死体。

 魔族といえども命を奪うのは苦痛か?

 その時、オリルの後ろにもう一匹のレッサー・デーモンが立っていた。
 そいつが大きく口を開けたことをオリルは気づいていない。
 「ふせろー!!!!」
 「えっ、なに?」
 
   ゴウ・・・・ドッ
 鈍い音がした。
 地に伏せていた俺は顔を上げると・・・
 一つの、オリルという名の肉塊がうつぶせになって転がっていた。
 「っくそぉぉぉぉぉぉぉ」
 俺は肉塊のそばに立っているレッサー・デーモンを一撃で葬った。
 「ゼル・・がディス様」
 肉塊がしゃべった。俺に向かって。
 「ありがとう・・・と、ごめんなさい」
 一瞬言葉の意味がわからなかった。
 わかったと同時に、俺は肉塊になった人間の名を無意識のうちに何度も
呼んでいた。
 やがて肉塊の体温が失ってゆくのを手にとるように感じた。

 俺はそれから肉塊を抱きかかえ、横に転がっていた剣を取り、アジト
としている場所の近く。肉塊となったこいつの両親のそばにこいつの、魂の
抜けた肉塊を埋めた。墓標にはこいつが使っていた剣をたてた。

 出会ってからまだ数日しかたっていなかったので、これといったほどの親近感
はないと思っていた。

 それなのに

      俺の目から流れてくるものはなんだ?

 大切な人を失った次の日あいつが笑った意味はなんだ?

                             《FIN》

  うわっ、くらっ。だからってギャグ苦手ですし・・・ふぅ。
  あ、肉塊=にくかい って読んでくださいね・・・・・いわんでもわかるか。


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5300格好良いとはこういうことですか?あごん E-mail 12/27-00:27
記事番号5272へのコメント

はじめまして、こんばんは。
あごんという者です。

蒼刃様の御小説、スゴイですねぇ。
なんか、渋いです。
暗いと云うわけじゃなく、切ないというのも少し違う。
格好良い、というべきでしょうか。
格好良いといっても、スタイルがとかじゃなくて、魂的なものですよね。
さらりと読める内容だというのに、心に重くのしかかる。
いえ、のしかかると云うよりも占める、と云う感じですか。
どんな言葉でも言い表せない小説だな、と思います。
核めいたものが、見えるのに、見えない。
多分、感じる小説なのでしょうね、蒼刃様の御小説は。
なんだか支離滅裂で頭オカシイ人っぽいのですが(苦笑)、今日はこの辺で。

とにかく、今まで私が読んだ事のな小説です。
次回作も楽しみにしております。
ではでは、あごんでした。