◆−「Intermezzo(間奏曲)」最遊記コメディだったり−山塚ユリ(12/30-02:09)No.5318 ┣か…かなりおもしろかったです(笑)−ぷち(12/31-02:35)No.5321 ┃┗感謝感激のりあられ−山塚ユリ(1/2-01:15)No.5337 ┗いーもの読ませていただきました。−ムツキキ・サラギ(1/2-03:16)No.5341 ┗ありがとうございます♪−山塚ユリ(1/7-01:23)No.5369
5318 | 「Intermezzo(間奏曲)」最遊記コメディだったり | 山塚ユリ | 12/30-02:09 |
つーわけで馬鹿話です。ちなみに悟浄の一人称。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 夕べまで俺達に足止め食らわしていた雨が上がって、朝っぱらから馬鹿みてぇにいい天気だった。 ぽぽぽぽん 「いやあ、すっかり晴れましたねえ」 「これでやっと発てるな」 ぽぽぽぽんぽぽん 「ところであの花火はなんなんだよぉ?」 俺達が宿の窓辺でだべっていると、うるせえのが部屋に飛び込んできた。 「三蔵、なあ三蔵、今日からこの町、祭りなんだってよ」 ああ、それであの花火か。 「ずっと雨で延期してて、ようやく祭りがはじまったんだってさ。でさあ」 「却下」 「俺まだなにも言ってねえのに」 「どーせもう1日この町にいようとか言うんだろ」 「だって出店とか出るんだぜ」 「何日雨で足止めされたと思ってるんだ。さっさと朝飯食って行くぞ」 とりつく島もねえ奴… 朝飯食っていると、知らねえおっさんが話しかけてきた。 「あのーー、旅のお方とお見受けしますが、ちょっとお話を聞いていただけますか?」 「こらあエロ河童、その肉俺ンじゃねえか」 「わたし、この町の町長ですが、見てのとおり、今日からお祭りでして」 「人の皿に箸つっこむんじゃあねえよ」 「その祭りのイベントの一環として、西の街からバンドを呼んだのです。今夜公会堂で生バンドのコンサートをするはずだったんですが」 「静かに食わんかてめーらっっ」 「ところがこの大雨で西の橋が水没してしまい、そのバンドが来られなくなってしまったんです」 「それは大変ですね。でもそれが僕たちとなんの関係があるんです?」 「実はそのバンドが4人組で、ああちょうどいいな、と」 「さて、飯も食ったし行くぞ」 三蔵が立ち上がったんで、俺達も席を立つ。 「ああああ待ってください、ぜひそのバンドの代わりということでイベントに出演してください」 おっさん、もとい町長は俺にしがみついてきた。 「離せ気色悪いっ。男に迫られる趣味はないっ」 「このままでは若者が楽しみにしていたイベンドが中止になってしまいます、人助けだと思ってお願いします」 ずりずり。俺にひきずられながらも懸命に訴えるおっさん。根性だけは認めてやる。だから離せっ。 「歌ってるフリだけしていただければ後ろでCD流しますから」 「…インチキですよそれ」 ツッコミ入れてる場合じゃねえってば。 「もちろんそれ相応の謝礼は致しますっっ」 「悪いが先を急いでいる」 すたすたすた おっさんをへっぱがそうと努力する俺をおいて、さっさと進む三蔵。この冷血漢め。 「引き受けてくだされば今夜の食事と宿はこちらでご用意致します」 ぴたっ 「なあ三蔵、ここまで頼んでんだ、助けてやろうよぉ」 あ、バカ猿があっさり懐柔されてやがる… 「頭いて…」 三蔵がうめいた。 「まあまあ、それに西の橋が水に浸かっていたら、僕たちも先に進めませんし、ね」 八戒が結論を出しちまったぜ、おい。 「バンドのかわりって、楽器なんかあるのか?」 町の公会堂とやらに案内された俺達。町長が物置らしき部屋の戸を開けた。 「ここに以前、なにかで使った楽器がいくつかあるはずです」 …って、ほこりだらけじゃねえか。 「俺、ドラム取ーーーーった♪」 悟空がドラムに駆け寄る。太鼓たたく猿か。いいじゃん。 「んじゃ俺は…」 俺はギターを取った。ちょっと鳴らしてみる。弦はいかれてなさそうだ。調整すればなんとかなるか。 「悟浄、ギター弾けるんですか」 「おう、もてる男の条件よ」 ドカデケデケデケボカ。いきなり悟空がドラムをたたき始めた。ほこりが舞うじゃねえか。 「八戒はドカドカジャカジャカ 「そうですねデケデケドコドコジャアアアン 「キーボードってダンダンダンデデデジャカジャン 「昔子供たちにジャーンドカドカドコダダダ 「どやかましい!!!!」 すぱーーーん!! 「なにすんだよぉせっかくノッてんのに」 ぱしっ 抗議する猿の頭に再度三蔵のハリセン炸裂。 「こっちは話してんだっ」 すぱーんっ!!! 「ちっとも聞こえないだろーがっっ」 …バカ猿は撃沈した。 なに考えてんだが、しげしげとハリセンを見つめる三蔵。 「けっこういい音するな」 「…ハリセン、楽器にしないでくださいね」 なにを言い出すかとおもえばこいつわ… 「で?三蔵サマはなにを弾いてくださるんで?」 あとはろくな楽器残ってねぇぞ。 「俺はパス」 「駄目ですよ、バンドは4人組なんですから」 妙に乗り気じゃん、八戒てば。 「じゃ、三蔵はボーカルってことでどうでしょうか」 ちっ。その手があったか。リードボーカルなんてったら、バンドで一番目立つ役じゃねえか。 「高僧さまは経でも唱えてたらぁ?」 そうはさせじと言った俺に三蔵が 「…本気でやるぞ」 眼がマジだぜい。 …轟くドラム。ギターの響きとキーボードのハーモニー。女たちの歓声と輝くスポットライト。 そして…ステージに座り込み、あの、よく通る声で読経する僧侶… う…変な想像しちまったぃ… 「…あはは、なんかシュールですねえ」 八戒が苦笑する。なんか同じような想像をしていたらしい。 「…わーった。頼むからボーカルやってくれい」 疲れた声で答える俺。 「ふん、そこまで言うならやってやる」 あーーーなんかムカつくう。 「でもさあ、三蔵歌なんか歌えるのか?」 いつの間にか復活した悟空の問いに、三蔵は俺達を振り返って答えた。 「きさまらの演奏しだいだな」 「ぐがぁぁーっっなんの根拠があってこーゆー尊大なセリフ吐くかこいつわぁぁぁ」 「三蔵なりの根拠があるんですよきっと♪」 トーシロ集団のコンサートは意外に盛況だった。 たいした音合せも、練習もしてないワリにゃあ、息合ってんじゃないの俺たち。 持ち歌なんかないから、はやりの歌をテキトーにアレンジして演奏したが、けっこうウケるんだこれが。 悟空のドラムが全員をリードする。こいつにリードされるのはくやしいが、リズム感はバッチリ。動物的本能ってヤツ? 八戒のキーボードがメロディを奏でる。器用な奴だとは思っていたが、キーホードまで弾くとはな。こいつってなんでもソコソコこなしちまうんだよ。まいるよまったく。 そして俺の華麗なるギターさばきを見よ。つーか聞け。 ステージ衣装なんざねえから、全員いつもの服装のままだが、バンドだと思って見ると、けっこうらしく見えるってか?興奮状態の女たちの歓声が演奏をかき消して響き渡る。その先にいるのが俺…だったらいいんだが、くやしいことにカノジョたちが見てんのがリードボーカルのくそ坊主なわけよ。 さすがに法衣着てコンサートってのは場違いなんで脱いでいたが、黒のノースリーブにジーンズつーカッコが、けっこう女心にアピールするらしい。本人気づいてねえらしいが。 ジャガーン! いきなし悟空が調子っぱずれな音入れやがった。 「ごめん失敗失敗」 「笑ってごまかすなあああ」 歌のサビの部分で水さされた三蔵が、借り物のスニーカーでかかと落し! 演出だと思ったらしく、観客がどっとウケた。 「三蔵だって歌詞間違えてごまかしてたじゃないかぁ。ちゃんと知ってんだからな」 「そーいうの上手いからなこいつは」 ちゃちゃを入れる俺。 「そーゆーおめえは」 「おう、やろうってぇのか」 「まあまあ」 …コミックバンドになっちまったぜ… 客は大ウケだったからまあいっか。 「ああ食った食った」 その夜、約束通り町長に晩飯おごらして、俺たちは町一番の宿でくつろいでいた。 「けっこう楽しかったよな」 「くだらん。明日は出立するぞ」 …アンコールに応えて歌ってたのはどいつだよ… 「じゃ、明日にそなえて休みますか… と、その前に」 八戒の眼が壮絶な光を帯びる。 「団体さまのお着きってか。神か妖怪か?」 俺の問いかけに 「殺気は感じねぇけど…すんげぇやな感じがする」 悟空が言った時、身構える俺達の前で部屋の戸が開いた。 「きゃーーーいたわーー」 「サインしてぇぇぇ」 黄色い歓声と共に、女女女女女の大雪崩。 …硬直… 俺達は雪崩に飲みこまれた。 「きゃー♪ボーカルのお兄さんよ」 「声が素敵いいい」 「かっこいいーーー」 「握手してぇぇぇ」 もみくちゃにされる三蔵。 「なんなんだ、これは」 「熱狂的ファンってヤツですね」 同じくもみくちゃになっている八戒が律義に答える。 「キーボードの人よーーー」 「渋いーーー」 「サインしてくださいーーー」 「あたし好みなのーー」 すでに悟空は埋まっていて見えないし。 「きゃあきゃあ」 「この子、ドラム叩いてた子」 「かっわいいー」 「この子もーらい」 勝手にもらうな。かく言う俺も同じ目に遭っていた。 「背、高いわー」 「いい男ぉぉ」 「ずーーっとあなたがギター弾いてるの見てました♪」 「長い髪が素敵ぃぃぃ」 引っ張るなあ! 怒涛のごとく押し寄せた洪水に、なすすべもない俺達… ぶちっ 「べたべた触るんじゃねえええっっ」 あ 三蔵がキレた。 「ぶっ殺すぞ」 「きゃーー殺してぇーー」 意味違うんスけど…… ――八戒の気功と三蔵の怒号でやっと女たちを振り払い、窓から逃げた俺達が、その夜のうちに町を抜け出したのは言うまでもない。 完 |
5321 | か…かなりおもしろかったです(笑) | ぷち E-mail URL | 12/31-02:35 |
記事番号5318へのコメント どうもはじめまして♪ 最遊記とスレイヤーズ両方大好きなぷちともうすもんです!! この話とってもおもしろかったですよぅ!! 四人集合のギャグは一番好きですね!! あとは悟空総受けかしら!?(笑)←これはどんな小説でもギャグ入ってるから。 >「八戒はドカドカジャカジャカ >「そうですねデケデケドコドコジャアアアン >「キーボードってダンダンダンデデデジャカジャン >「昔子供たちにジャーンドカドカドコダダダ >「どやかましい!!!!」 >すぱーーーん!! >「なにすんだよぉせっかくノッてんのに」 >ぱしっ >抗議する猿の頭に再度三蔵のハリセン炸裂。 >「こっちは話してんだっ」 >すぱーんっ!!! >「ちっとも聞こえないだろーがっっ」 >…バカ猿は撃沈した。 >なに考えてんだが、しげしげとハリセンを見つめる三蔵。 >「けっこういい音するな」 >「…ハリセン、楽器にしないでくださいね」 >なにを言い出すかとおもえばこいつわ… のってる悟空かわいい(笑) っつーか三蔵様の突っ込みイカス!←死語(笑) 会話の途中で楽器の音が入っててなんだかとってもおもしろかったぁ。 この三つが絶妙なハーモニーを…(黙れ) >「高僧さまは経でも唱えてたらぁ?」 >そうはさせじと言った俺に三蔵が >「…本気でやるぞ」 >眼がマジだぜい。 >…轟くドラム。ギターの響きとキーボードのハーモニー。女たちの歓声と輝くスポットライト。 >そして…ステージに座り込み、あの、よく通る声で読経する僧侶… >う…変な想像しちまったぃ… >「…あはは、なんかシュールですねえ」 >八戒が苦笑する。なんか同じような想像をしていたらしい。 シュールとかそんなもんじゃすまないと思う(笑) っつーかこれじゃバックミュージックと合わないでしょ(笑) そこがまた密かな所でウケテたり?(笑) >ジャガーン! >いきなし悟空が調子っぱずれな音入れやがった。 >「ごめん失敗失敗」 >「笑ってごまかすなあああ」 >歌のサビの部分で水さされた三蔵が、借り物のスニーカーでかかと落し! >演出だと思ったらしく、観客がどっとウケた。 >「三蔵だって歌詞間違えてごまかしてたじゃないかぁ。ちゃんと知ってんだからな」 >「そーいうの上手いからなこいつは」 >ちゃちゃを入れる俺。 >「そーゆーおめえは」 >「おう、やろうってぇのか」 >「まあまあ」 >…コミックバンドになっちまったぜ… >客は大ウケだったからまあいっか。 ここの謝罪(?)してるとこの悟空がなんだか想像できてとっても可愛かったです!! 悟空はあの顔が犯罪!!(爆) っつーか演出でかかと落としされた悟空って一体…?(笑) ま、楽しいからいいけど(爆) >ぶちっ >「べたべた触るんじゃねえええっっ」 >あ 三蔵がキレた。 >「ぶっ殺すぞ」 >「きゃーー殺してぇーー」 >意味違うんスけど…… 殺すって本当にいろんな意味がありますよね〜(マテ) いやぁ、彼女達の殺すと彼の言ってる殺すが同じ意味である事を本気で祈りますよ(笑) でも最後に気孔と銃でやられてたとなると、やっぱ意味がちがったようで(笑) でも女はしぶといっていうし? 彼女達も生きてるんですかねぇ?やっぱ(笑) ギャグ話書くのお上手ですねぇ!! もぉ笑いまくり!?っつーかあたしがこーいった話に弱いだけなのか(笑) 次回作もゼヒゼヒ出してくださいなぁ!! それではでは。 |
5337 | 感謝感激のりあられ | 山塚ユリ | 1/2-01:15 |
記事番号5321へのコメント はじめまして。感想ありがとうございました♪やっぱ人様の反応は気になるし。 こんな馬鹿話でも楽しんでいただければ幸いですわ。 >会話の途中で楽器の音が入っててなんだかとってもおもしろかったぁ。 漫画だと、フキダシの上に効果音がかぶっているというところですか >いやぁ、彼女達の殺すと彼の言ってる殺すが同じ意味である事を本気で祈りますよ(笑) たぶん違うっしょ(笑) >次回作もゼヒゼヒ出してくださいなぁ!! 次回作…最遊記で?(汗)思いつくといいな私の脳みそ… |
5341 | いーもの読ませていただきました。 | ムツキキ・サラギ E-mail | 1/2-03:16 |
記事番号5318へのコメント 面白かったです。私も最遊記に今はまってていろいろなサイトを集めているところでございます。(って勉強しろよ。単位ヤバイんだろ) あのメンバーでバンド!? 実に目の付け所がイーです! やはり彼らは女の子からかような歓迎を受けることになりましたか。 それと実に最遊記キャラの特徴をよくつかんであられましたし、まるで本物の声が聞こえてくるような感じでした。 これからも最遊記の小説楽しみに待っております。できることならスレキャラと夢の競演というのも期待したいですね。それではまた。 byキサラギ 追伸この前書いた最遊記vsスレイヤーズ、創作中です。10年以内には必ず書く予定です。(んなにまてるかあっ!) |
5369 | ありがとうございます♪ | 山塚ユリ | 1/7-01:23 |
記事番号5341へのコメント 感想ありがとうございます〜 > 面白かったです。私も最遊記に今はまってていろいろなサイトを集めているところでございます。 「あんな、見るからに売れセンの奴らなんか、誰が好きになるかい」と思っていたのに、気が付くとメイトで1万円近くつぎ込んでいたりする私…(汗) 制作側の思うツボってか? >追伸この前書いた最遊記vsスレイヤーズ、創作中です。10年以内には必ず書く予定です。(んなにまてるかあっ!) あんまり待たせると三蔵が発砲しますわよん。「遅い!」とかゆって。 ではでは |