◆−Valentine of Sweet Lovers(ゼルアメ初投稿です〜^^;)−叶月夜(2/13-18:59)No.5656


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5656Valentine of Sweet Lovers(ゼルアメ初投稿です〜^^;)叶月夜 2/13-18:59


 多分、ほとんどの方ははじめまして! 最近小説1で活動を始めた叶月夜(かのう つくよ)と申します!
 バレンタイン近いし、ネタも思いついたので、ここにゼルアメを投稿させていただきます♪ ストーリー上、少々ガウリナも混ざっておりますが、そこはまあ愛嬌で。(何?)
 けど・・・タイトルのつづりとか文法とか、これであってるでしょうか・・・『バレンタインのあまあま恋人たち』・・・違うかも(笑)まぁ、こちらの方は本気で愛嬌で許して下さい(本気)
 では、本編どうぞです♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆・・・v

 二月十四日。
 紛れもなく、世間一般では『ばれんたいんでぃ』と呼ばれている日である。恋するヲトメは、殿方にその想いを伝えるべくチョコをプレゼントフォーユーする日なのだ。
 そしてここに一人、そのことを今更思い出した恋するヲトメが居る。
 十四日朝、宿を突き抜けるような大声が響く。
「ああああああああああああああああっ!! 今日ってバレンタインじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「・・・ってアメリア・・・今更思い出したワケ・・・?」
 突然耳元で叫ばれご機嫌ナナメの魔道士────リナ=インバースは、ジト目で突然絶叫を上げた少女を見る。
 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン・・・白魔道都市セイルーンの王女にして巫女である彼女は、今青春真っ盛りの恋するヲトメなのだ。そんな彼女がバレンタインデーの事をすっかり忘れていたなんて、恥というか見上げた根性というか・・・・・・。
「そんな・・・どうしよう・・・チョコなんか作ってないし・・・」
「買ったものあげれば?」
「そんな心のこもってないことできませんっ!!」
 のんきに言うリナに、アメリアの一言。バレンタイン当日までそのことを忘れていたのは、心がこもっていないのではないのだろうか?
「はにゃ〜・・・どうしましょう〜・・・」
「急いで作ればいいじゃない」
「そうですよね! それしかありません!!」
 一人ガッツポーズを取ると、アメリアは宿の外に駆け出した。
 リナの腕を引っ張って。
「こぉらぁぁぁぁぁっ! 離しなさいアメリア〜!!」
「リナさんだってチョコ作ってないでしょう!? 作ってるトコ見てませんもん!!」
「ぎくっ・・・」
 こういうことで、リナも道連れになった。

 街の中はバレンタイン当日と言うことで、様々な店がそれぞれ個性的な看板を出し、「チョコはこの店で!」など叫んで客引きをしている。
「うわぁ、町中活気づいてますね♪」
「そ〜お? あたしにはどんちゃんパーティがはじまってるようにしか見えないけど?」
 アメリアの言葉に、リナが憎まれ口を叩く。そんな彼女の目は、チョコを食べあいながらべたべたしている男女を見ていた。
「ほらリナさん、嫉妬なんて醜いですよ」
「だっ・・・誰が嫉妬なんてっ!」
「彼氏がほしければ、今日が勝負所なんですから! 張り切って行きましょー!」
「元気ねぇ・・・アメリア・・・」
 腕と声を張り上げ、アメリアは本当に元気に歩き出した。
 その足は、近くの雑貨屋へと入っていく。こんなところにチョコがあるかどうかは疑問だが、外に可愛らしい『チョコはこちらでv』という看板があるので、多分チョコは売っているだろう。
「おばさん、チョコ下さい!」
「あいよ、いらっしゃい」
 アメリアの元気な声に、しわがいっぱいの顔を向けて、どうにもおばさんに見えない『おばあさん』はアメリアに返事をした。
「どんなチョコが良いのかい?」
「一度溶かして、もう一度固めても味が落ちないやつがいいです!」
「じゃあ、これしかないねぇ」
 アメリアの言葉に、おばあさんは一つの袋を取り出す。中には少ししかチョコが入っていない。
「こ・・・これしか無いんですかぁ〜?」
「なにせ、今日がバレンタイン当日だからねぇ。今日までバレンタインのことを忘れていたうっかりさんがほとんど買っていってしまったよ」
「うっ・・・」
 おばあさんの言葉に反論できず、アメリアはうめく。
「じゃあ、これ下さい・・・」
「あいよ」
 アメリアは、袋に書かれた料金を、うさぎ柄のお財布から取り出す。
「どーするのよ、アメリア?」
「どこか、他のお店でもっと買うしかありませんね・・・」
 リナに問われてアメリアは答えたが、そこにおばあさんの声が割って入る。
「多分、他のお店にはないんじゃないかい? ここは小さな店だからなんとか一つ残ったけど、他は大きなお店ばかりだからねぇ、とっくに品切れだと思うよ」
「えええええええええええええええっ!?」
 さらなる追い打ちに、少し天罰じみたものをアメリアは感じてしまった。

 たしかにおばあさんの言うとおり、何軒か店を回ってみたけれど、ただでさえ数の少ない種類のお目当てのチョコは、こんな日にはもう残っていなかった。幾つかチョコはあったものの、もう綺麗にかたどってあり、こんなものを溶かしてしまっては、チョコ本来の味は出せない。
「はぁ・・・これで作るしかありませんねぇ」
 宿屋の調理場を借りて、アメリアとリナは袖をまくりあげた。アメリアはきゅっとうさちゃんエプロンのひもを結ぶと、『気合い一本、正義は必ず勝つ!』といった気合いを入れ、活を入れた。
「ガンバ、ファイト、ゴゴーのゴーです! 量が無ければ質! 可愛くておいしくて、ついもっと食べたくなっちゃうようなチョコを作りましょうね、リナさん!!」
「おかわりは無いから、もっと食べたくなっても困るような・・・」
「り〜〜〜〜〜〜な〜〜〜〜〜〜さ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」
 くまさんエプロンを気だるそうに着ながら言うリナに、アメリアはジト目を向ける。
「そんなんだから、彼氏居ない歴17年なんですよっ!!」
「ヲイコラちょっとお待ちっ! なんで知ってるのよ!!」
「・・・え? あたり? 冗談で言ったんですけど・・・」
「言っていい冗談と悪い冗談があるってこと、しっかりと教えて上げようかしら・・・・・・?」
 ぼきぼきと、リナは指の骨を鳴らす。アメリアの頬を一筋、冷や汗が伝う。
「ほ、ほらリナさん、急いでチョコを作っちゃわないと、溶けちゃいますよっ!」
「うくっ・・・分かったわよ」
 なんとかリナが流し台に向いてくれたのを見てホッと息を吐いたアメリアに、小さなつぶやきが聞こえる。
「・・・後で覚えてなさいよ」
 背筋が凍る思いだった・・・。

「まず、チョコを湯煎にかけます! リナさん、お湯を用意してください!」
「ほいさっ!」
 ボール一杯の水を渡され、リナは言った。呪文を。
「火炎球っ!」
 ごばぼぉうっ!
 水は一瞬で蒸発して、ボールは原型をとどめない状態になった。
「リナさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!?」
「い、いやぁ、時間がないなら魔法で一発どどーんと・・・・・・」
「何考えてるんですか〜〜っ!? そんなことしたら、よけい時間をロスしちゃいますっ!!」
 と、アメリアが怒鳴っていると・・・
「ちょっとあんたたち! なんだい今の音は!?」
 宿屋の女将さんが、食堂のドアを開けて慌てて入ってきた。
「な、なんでもありませ〜〜〜〜〜〜ん!」
「まったく、今時の若いコは・・・今度騒いだら、出ていってもらうよ!!」
「は、はひ・・・」
 どばたんっ!!
 女将さんの勢いと、ドアを閉めるものすごい音に、アメリアとリナはしゅんと小さくなってしまう。
「リナさんっ! リナさんは普通に料理すれば上手に出来るんですから、普通にやって下さい! 普通にっ!!」
「わ・・・わかってるわよっ! ちょっとふざけただけじゃない!」
「・・・ふざけてボール一個ダメになってるんですけど・・・」
 アメリアのつぶやきは、リナには届かなかったようだった。

「では、今度こそホントにチョコを湯煎にかけます!」
「ほ〜い」
 リナはそう言って、チョコの入っている小さなボールを、お湯の入ったボールに入れる。
「おっ、溶ける溶ける。面白いほど溶けるわね〜v」
 リナは面白そうに言うと、チョコをかき回す。
「じゃ、次はどうしましょうか?」
「ふつーは型に入れるわよね・・・」
 リナはそう呟くと、何かいたずらを思いついた子供のような顔をする。
「ここでさ、ホワイトチョコと混ぜてみない? 色もきれいになるだろうし、味も多分ベリーグッド♪」
「それはいいかもしれませんねっ!」
 「多分」というリナの言葉を聞いていたのかどうか、アメリアは元気に言った。
 今までの店周りの最中、一つだけホワイトチョコを手に入れられたのだ。
 それをさっそく湯煎にかけると、チョコで文字を書くように、溶かしたミルクチョコに混ぜてみる。渦巻きになって、外見的にはとても綺麗だった。
「いい感じね〜v」
「他にも何か混ぜてみましょうか! それで量もごまかせるかもしれませんし!」
「そうね、だったらキャラメルとかでも混ぜてみようか♪」
 アメリアとリナは乗り気で、いろいろと店周りの最中に手に入れたお菓子を混ぜてみる。すると、今度はリナが自分の魔法道具を取り出してきた。
「これね、甘みを引き出す薬なの。ちょっと混ぜてみるわね」
「入れて下さいv」
 バニラエッセンスのような良い香りを出すそれをチョコに混ぜ、リナとアメリアは笑いあった。
「この薬は?」
「それ? 大昔のホレ薬よ。でも、効果は10分たらずで切れちゃうわよ?」
「なんでそんなの持ってるんですか?」
「うっ・・・」
 アメリアに指摘され、リナはうなるが・・・
「そ、そう、料理に混ぜるといい感じの味になるのよ!」
 土壇場の言い訳。もうちょっと別な嘘をつけばいいのに、
「じゃ、これも混ぜちゃいましょ♪」
 リナのOKも貰わずに、アメリアはさっさとそれをチョコ(もはやチョコの味はしないだろうけど)に混ぜる。
 リナは「こーなりゃもうヤケよ」という顔をして、いろいろと薬を取り出す。
「これは味を引き出す薬、これは量を増やす薬、これは・・・」
「みんな入れちゃいましょう♪」
 単純にアメリアは、片っ端からチョコに混ぜていく。
 ぐるぐると中をかき混ぜる。
「あ、緑色になった」
 リナの声か、アメリアの声か。
 どこか嫌な感じを引き出すつぶやき。
「ひ、一口なめてみて下さい、リナさん」
「なっ、なんであたしがっ!? アメリアがなめてみてよ!」
「こ、ここは公平にじゃんけんで!」
「よーし・・・じゃーんけーんぽんっ!!」
「ぐー!」
「ちょき! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 リナの絶叫が響く。直後女将さんのことを思い出して口を閉じるが、不幸中の幸い、今度は彼女には気づかれなかったようだ。
「じ、じゃあ、一口いくわよ・・・」
「どーんといっちゃって下さい!」
 ちょっと、本当にちょっとだけ指ですくうと、リナはチョコ(?)を食べてみる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」
 言葉にならない声。
 リナはしばらく目を白黒させると、そのまま後ろに卒倒した。
「りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
 アメリアが叫ぶ。すると、
 どばたんっ!!
「ちょっとあんたたち!! うるさいよ!! 約束通り、出ていってちょうだいっ!!」
 女将さんが、相変わらず大きな音を立ててドアを開けて入ってきた。

「まぁ・・・緑色だったしね・・・」
「いろいろ混ぜましたしねぇ・・・」
 宿屋を追い出された二人は、とぼとぼと街道を歩いていた。
 その手には、本当に小さな小さなチョコを包んだ袋。わずかに残ったチョコレートを二人で分けたのだ。まだ自分の分があっただけ、感謝しなくてはならないかもしれない。
 肌寒い二月、ボールがダメになったことを知った女将さんの一撃必殺包丁アタックから逃げるべく、厚着をする暇無く宿を飛び出した二人は、寒さに身を震わせた。
「うう・・・せっかくの本命なのに・・・せっかくのバレンタインなのに・・・・・・」
「ちょっと・・・泣き言言わないでよ・・・」
 アメリアを見つめながら、彼女自身少し涙目になりつつあるリナは、力を振り絞っていった。
「んじゃっ、さっさとチョコあげに行くわよっ!! もーこんな寒いのはヤだかんねっ!!」
 さっさとリナは行ってしまうと、街道をどこぞの方向へと走っていってしまった。
「り・・・リナさぁぁぁぁん・・・」
 アメリアの弱々しい呼び声。
 どうしようかと考える。肝心のチョコをあげたい相手は、今頃この町中のどこにいるだろうか。買い出しに行くと言って、朝早く出かけてしまったのだ。
「捜しに行かなきゃ・・・」
 一人呟く。だがこの寒さのなかうろちょろして、行き倒れにでもなってしまったらそれこそ一大事だ。だからといって、真ん前に見える宿屋に戻るわけにもいかない。
「どこにいるんですか・・・?」
 灰色の、どんより曇った空を見上げる。
 今にも、雨でも降ってきそうだった。
 ・・・もしくは・・・
「・・・・・・ゼルガディスさん・・・・・・」
 涙がこぼれそうになりながら、アメリアは呟いた。
 ふいに、首筋に何かが当たる。柔らかくて暖かい、毛糸のぬくもり。
 黄色と赤のしましまマフラーが、突然首に掛かっていた。
「え・・・?」
 後ろを振り返る。
 そこに立っていたのは、捜していた人物。
「こんな日に外に突っ立って何やってるんだ? まったく・・・風邪を引きたいのか?」
「っ・・・ゼルガディスさぁぁんっ!!」
 いつもの、クールに決めている(つもりの)声が妙に懐かしくて、アメリアは思わずゼルガディスに抱きついてしまう。
「っておいっ・・・アメリアっ・・・!?」
「あわわわわっ! ごめんなさいっ!!」
 あわてて離れる。
 そこに、石の肌、なのにどこか暖かいゼルガディスの手が、アメリアの頭の上に置かれる。
「どうしたんだ? いつものお前らしくもない・・・」
「わっ・・・私らしいって・・・私って、なんなんですか?」
 びっくりして、思わずゼルガディスに聞き返してしまった。
 彼は照れたように頬を赤くして、淡々と言った。
「・・・元気ばっかり有り余ってて・・・いつも正義に突っ走ってて・・・リナと一緒にバカ騒ぎしていて・・・」
 ふいに、空から冷たい感触。
 白い雪が、頭に降ってきた。
「・・・それで・・・俺がいつも一番大切に思っている・・・そいつがアメリアだ」
「・・・っ」
 今度は、アメリアが赤くなってしまう。
 熱くなってしまった耳に、雪はどこか心地よい。
「あの・・・ゼルガディスさん、これ・・・」
 だいぶ小さな袋を、アメリアはゼルガディスに渡した。
「ちっちゃいけど・・・チョコです」
 それを受け取ると、ゼルガディスは袋を開けた。
 小さいけれど、それなりにハートの形をしているチョコが、中に入っていた。
「・・・ほんとにちっちゃいな」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
 ぽつりと呟いたゼルガディスに、アメリアは謝る。だが、ゼルガディスはふっと笑うと、
「・・・だが、想いがたっぷりつまってる」
「・・・!」
「ありがとう、アメリア」
 頬も耳も指先も、いろいろな理由で赤くして、雪の中、アメリアとゼルガディスは立ったまま、しばらく聞いているこっちが恥ずかしくなってしまうような会話を続けたのだった。

 END・・・です。

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 ハズいです。見なかったことにして下さい(笑)
 というか、個人的に「どの辺がガウリナ?」的展開。このあと、ガウリイにチョコをあげに行ったリナは、結局彼の食欲を満たすことの出来ないチョコの小ささを指摘され、リナは彼を雪空の一番星にしたのでしょう。多分。
 ゼルアメって、書くととことんあまあまになりますねぇ・・・私だけか。次からはこの点をふまえてもっと精進しますぅ。
 ちなみにラストで、指先が赤くなっているのはきっと寒さのせいでしょう(笑)
 では、ここまで読んで下さって有り難うございました。もしこんなんで叶の小説を気に入ってくれたら、小説1に連載中の『鍵姫の福音』も見てやって下さい。ゼル主役で、ほぼオールキャラです。
 ではでは(^^)