◆−瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 1−桐生あきや(2/18-23:16)No.5723 ┣瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 2−桐生あきや(2/18-23:23)No.5724 ┃┗きた!きたきたきた!!−雫石彼方(2/19-00:46)No.5725 ┃ ┗いってらっしゃ〜い−桐生あきや(2/20-04:57)No.5738 ┣やられたぁぁぁぁぁっ!−ねんねこ(2/19-10:25)No.5729 ┃┗やってしまったにょっ!−桐生あきや(2/20-05:06)No.5739 ┣瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 3−桐生あきや(2/20-06:36)No.5741 ┃┗正義の味方の登場というよりは…−みてい(2/20-11:34)No.5742 ┃ ┗特定個人限定の……−桐生あきや(2/20-22:45)No.5751 ┗瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 4−桐生あきや(2/20-22:39)No.5750 ┣ごめんなさいです(汗)−ゆっちぃ(2/21-00:13)No.5752 ┃┗捨てちゃイヤです(笑)−桐生あきや(2/21-23:00)No.5767 ┣この時は渋い魔剣士さんなのに(笑)−あごん(2/21-00:40)No.5755 ┃┗歳月は人を変えるものなのです(笑)−桐生あきや(2/21-23:07)No.5768 ┣よぉめに〜〜〜来ないかぁ〜〜〜(こぶし)−みてい(2/21-08:54)No.5759 ┃┗俺の屍を越えて行け?(笑)−桐生あきや(2/21-23:12)No.5769 ┣ああ・・・甲斐性無し・・・(涙)−水晶さな(2/21-21:37)No.5765 ┃┗ええ、まったく……(笑)−桐生あきや(2/21-23:20)No.5770 ┗さあ出発だ♪(柚葉を訊ねて三千里)−ゆえ(2/22-23:45)No.5787 ┗漢字バージョンだ♪−桐生あきや(2/24-06:45)No.5794
5723 | 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 1 | 桐生あきや | 2/18-23:16 |
すいません、ちょっと。 ………やっと書けたああああああああああぁぁぁぁっ! きっと借金を全部返した人の気持ちってこんな感じなんでしょうねええええええぇぇぇぇっ! ふうううぅぅ、すっきりした♪ そういうわけで、ユズハに出逢う前、一番最初のお話です。 *** 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 第1話 *** たったひとつの約束と、たくさんの願いと共に、アミュレットはひとつに減った。 想いだけは重なったまま、体は遠く離れていて不安だった。 だからもっと、繋ぐものがほしかったのかもしれない。 そのカゴのなかの瑠璃は、少し私に似ていた。 瑠璃を飾って。夢を飾って。 飾り物ではこらえきれなくなって。 そうして、私はあなたを求め出す。 「アメリアさまあ、お決まりですかあ?」 「まだですってば、そんな急かさないでください」 お茶請けのクッキーをぱりんと噛み砕きながら、アメリアは扉の前で待っている宮廷大臣に生返事をした。 執務と執務のわずかなお茶の時間。ゆっくりしたって罰はあたらない。というべきか、アメリアは何が何でもゆっくりする気でいる。 香茶をすすりながら、アメリアは手元の目録に目を落とした。 三年に一度、王室御用達の宝石工房を決めるためのデザイン画がセイルーン各地から届けられる。アメリアが目を通していたのは、それをまとめ一冊の目録にしたものだった。 それぞれ各工房がデザインした作品を提出し、それを見て決定するのだが、ノリはほとんどコンテスト状態で、各工房が王室の目に留まろうとして年々提出物が派手になるので度々規制がかかるほどだ。 王室御用達の工房が決まった後も目録がロードたちのほうにも回されて、お抱え工房になれることも少なくないから、どこの工房も必死である。 宮廷大臣としては立派な執務なのだろうが、アメリアとしては執務の合間の息抜きだった。 書類とにらめっこしてるより、同じ仕事とはいえ、こっちのほうが断然楽しい。 実際に実物そっくりに作ってある試作品やイリュージョンにはすでに目を通してあるので、残すはこの羊皮紙の目録のみだ。 「あ………」 羊皮紙をめくるアメリアの手が、ある頁(フォリオ)のところで止まった。 わざわざ作られた試作品やら、魔法を使った立体的なイリュージョンやら、丁寧に彩色されているデザイン画やらのなか、それはえらく地味で逆に目立った。 変わったデザインの耳飾りだった。 針金で出来ていると思しき球形のカゴの中に、同じく丸い石が入っている。 それに短い鎖がついていて、耳につける金具とカゴとをつないでいた。 思いつくまま描いて清書などしてませんと言わんばかりに、羊皮紙に木炭でザッと描かれていて彩色などされていない。ただ、材質の書きこみがしてあるだけだ。 工房に御用達に選ばれる気がないのは明白だった。ただ出せと言われたので適当に提出しただろうことがよくわかる。 目の粗い安物の羊皮紙と木炭のせいでよくわからないが、針金で形取られたカゴの細工模様は曲線と花びらに見えた。 針金は銀、中の石は瑠璃と、それぞれ書きこみがなされている。 「銀か………」 アメリアは目を細めて、いつだったかの、風に揺れていたあの音と色を思い出した。 彼の髪は極細の金属の糸。 何かの拍子に揺れると、微かにしゃらっと音をたてた。 「お決まりですか?」 アメリアの表情の変化に気づいた大臣が目敏く聞いてくる。 「へ? い、いいえまだですまだっ」 アメリアは慌てて目録を閉じた。分厚く重い目録がものすごい音をたててテーブルに転がる。 欲しいと思った。直感的にそう感じた。だが、個人的に欲しいと思ったからこそ、国の金で買うことは絶対にしたくない。 「本当に早くお決めになってください」 「何でもいいです。適当に決めちゃってください」 「またそんなことを………」 心底イヤそうな宮廷大臣の後ろの扉から、アメリアの執務を補佐している侍従が入ってくる。 二杯目の香茶に花のジャムを大量に投入していたアメリアは、それを見て溜め息をついて立ち上がった。 「何か休憩終わりみたいです。適当に決めちゃっててください」 その細い腕では到底持てそうにない目録を、実際はひょいと抱えて大臣に返す。その重さにもう良い年である大臣がよろけて、慌てて目録を抱え直した。 「アメリアさま。グレイシアさまが御不在な以上、御用達の宝飾品はすべてアメリアさまのために作られると言っても過言ではありませんものを………」 侍従から午後の執務の書類を受け取りながら、アメリアは軽く肩をすくめた。 「だって興味ありませんから。あ、その香茶、もったいないから執務室まで持ってきてくださいね」 「アメリアさまぁ………」 初老の宮廷大臣は腰痛の原因となりそうな目録を抱えたまま、情けない声を出した。 あの後、夕食を間にはさんで、いったい幾つの書類にサインをしたのか記憶に自信がなくなったころ、ようやく書類の山が無くなった。 ライティングが無数に灯された執務室は明るいが、窓から見える外は真っ暗だ。 「これで、今日はお終いですか?」 書類を片手に、アメリアは傍らの侍従に問いかける。 「本日の執務はこの嘆願書で最後です」 「嘆願書? またですか?」 浮かない顔でアメリアは手のなかの書類に目を通す。西の方に小さな領地を持つロードからの書類だ。 いいかげん、さっさと終わらせて休みたかったが、内容もわからずに署名をするわけにはいかない。 それに、嘆願書ということは恐らく内容は討伐隊の派遣要請だろう。 「なんだってもう、あっちでもこっちでもデーモンばっかり………」 予想に違わない内容のその書類に目を通しながら、アメリアは溜め息をついた。 デーモンの異常発生だけでも頭が痛いのに、さらにここ最近は異常気象も加わって、思わず暴れだしたくなるくらい執務の量が増えている。 書類にサインを入れて、アメリアは侍従にぴらりとそれを向けてみせた。 「いちばん近くにいる討伐隊に、ここに向かうよう連絡を入れてください」 「いちばん近いのはこのセイルーンです」 「…………は?」 アメリアは思わず声をあげる。 「そうでしたっけ?」 「そうです。いちばん近い討伐隊はカルマート国境近くの隊ですが、カルマート側の村から要請があって出動中です。お忘れですか?」 「あ………、そうでしたね」 国境周辺の住人にしてみれば、遠くの国王軍より、近くの他国軍のほうが何倍もいいに決まってる。 そのため、セイルーンの提案でディルスを除いた各国での国境付近の出動要請は、自国隣国を問わないことになっていた。この提案でもっとも貧乏くじを引くであろう内陸国のセイルーンがそんなことを言い出したので、どの国も特に反対はしなかった。 たった一国だけそれに賛同していないディルスだが、伝わってくる情報によると何やらゴタゴタがあったうえに、トドメとばかりに国王が病没して、それどころではないらしい。 王室御用達の工房を決めているような場合ではないのだ。 それをあの宮廷大臣は………。 わかっていない。あの宝飾品は、姉のグレイシアを飾るためでも、アメリアを飾るためのものでもない。『セイルーンの王女』を飾るためのものだ。 「ああもう頭が痛いったら………」 「薬湯をお持ちいたしましょうか?」 思わず呟いたアメリアの言葉を耳敏く侍従が聞きつける。 「あ、いりませんいりません」 アメリアは、ぱたぱた手をふって椅子から立ち上がった。扉に向かいながら、指示を出す。 「明日中、遅くとも明後日までにはここに向かう討伐隊を編成、待機させておいてください。ロード直々に嘆願が来たとなれば、被害の状況はひどいことになっていると思いますから、救援物資の準備もそれに併行して行ってくださいね。あと、書類を受理したことをロードに伝えといてください」 「わかりました。それでこの隊の指揮をとるのは―――」 ドレスの裾をばさりとひるがえして、アメリアは侍従をふり返った。 ある意味、挑発的で、挑戦的なその瞳に宿る色。 「―――私です」 文句があるなら言ってみろと言わんばかりの口調だった。 自室に戻るなり、アメリアはベッドの上に倒れこんだ。 「………疲れたあ」 枕に顔をうずめながら呟く。 ごろんと寝転がると、窓から星空が見えた。 「リナさんたち今頃どうしてるかなあ………。また変なことに巻きこまれてなければいいけど」 変なことも変なこと。このデーモン大量発生の根幹にかかわっていて、そのせいで魔血玉(デモンブラッド)を噛み砕くような目にあっているとは、アメリアにわかるはずもない。 枕をぎゅっと抱えて、アメリアはベッドの上を右に左に転がった。 自然と頬がゆるむ。 「久しぶりに王宮の外に出られるな………」 討伐隊といえども、外出に変わりはない。 なんかもう最近忙しくて忙しくて、王宮を抜け出す暇がなかったのだ。 望んでここにいるのだが、王宮はやはり窮屈で、周囲の空は旅の空とはあまりにも違う。 「リナさんたちと旅してたころは良かったなぁ………」 世界中が宝物を隠しているみたいにキラキラしていた。 風にさらわれる髪に、足元の土の感触。陽光の結晶。雨に雲に、降り積もる雪。 みんなで囲んだ炎の熱。 熱と光に満ちた圧倒的な密度の時間。 間違いなく自分の記憶なのに、自分のことではない気がしてくる。 叩きつけてくる圧倒的な力。 風の唸りで世界はうるさいはずなのに、感覚だけは冷え切って、神経は灼き切れそうだった、あの夜。 絶対に生きて還る、その縁(よすが)が欲しくて滑り出た言葉。 『この戦いが終わったらセイルーンに―――』 あの時、自分はどんな表情でそれを口にしたんだろう。 再び枕に顔をうずめて、アメリアはぽつんと呟いた。 「逢いたいな………」 あのデザイン画のせいで、彼の髪の感触と音を思い出してしまったがゆえに。 「元気かな………元気ですよね………」 髪が頬にさらさらとふりかかって、視界を隠した。 部屋に沈黙が降りる。 「…………よし」 べふと枕を叩いて、アメリアはベッドから身を起こした。 「このデーモン騒ぎに一段落ついたら、絶対王宮抜け出して、ゼルガディスさんに逢いに行こう」 多分、それが最後の出奔になるだろう。 それまでは、王宮にいよう。 それにしても、あの瑠璃飾りは本当に綺麗だった。デザイン画を見ただけでそう思わせるのだから、実際はどれほどのものだろう。 欲しい。純粋にそう思った。 眠るために夜着に着替えている途中で、アメリアはふと首を傾げた。 「………あの工房、どこにあるんだっけ?」 呟いて、アメリアは地図がのあるはずの続き部屋の方へ駆けだそうとして――― ずべしゃあっ。 脱ぎかけのドレスの裾を踏んですっ転んだ。 「………着替えてからにしよ………」 思わず赤面した顔を押さえて、アメリアは呟いた。誰もいない部屋で一人、自分は何をやっているのだ。 今度こそ夜着に着替え終わるとライティングを唱え、書斎となっている続き部屋へとアメリアは入った。 机の引き出しから、たたまれた絹布(けんぷ)を取り出すと、寝室に戻りベッドの上いっぱいに広げる。セイルーン全土のみが詳しく記された大きな地図である。 記憶に間違いはなく、あのやる気のないデザイン画の工房がある村はこれから討伐隊を指揮して向かう領地内に存在していた。 「どうしましょう。そんなに遠くないですし、ついでに寄るってのはダメでしょうかね………ダメだろうな………」 地図を前に、アメリアは唸る。 結界内の半島全域で非常事態なことぐらい、わかっている。 こんな時期に執務をほったらかして単独行動をしたら、もう二度と外出をゆるしてもらえなくなる可能性があった。 彼に逢いに行く計画のためも、その状態に陥ることは避けたい。 「シルフィールさんとかに頼めないかな………でもなあ、こういうことを頼むのもなんですよねぇ………」 未練を残しつつ、アメリアは広げた絹布の地図を折りたたんでテーブルの上に放り投げた。 耳飾りはともかく、明日の遠征のための準備をしなければならない。 アメリアはクロゼットのなかから以前着ていた巫女服一式を出して、テーブルの上に置く。 そしてその上に、ひとつだけのアミュレットを乗せた。 もうひとつは、どこかの遠い空の下。 テーブルの上のアミュレットを指でなぞって、アメリアは少しだけ切なくなって顔を歪めた。 「………逢いたいです、ゼルガディスさん」 あなたに、逢いたい。 欠けた護符だけでは不安になるこの心は、贅沢なものなのだろうか。 もっと、繋ぐものがほしい。 この狭い世界に囚われていても、確かだと思える何かが欲しかった。 |
5724 | 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 2 | 桐生あきや | 2/18-23:23 |
記事番号5723へのコメント おかしいですねぇ、どうして私のツリーが3つもあるんでしょうか………(爆) 自分で蹴落とすしかないですねえ。 *** 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 第2話 *** 「はあ? いなくなった?」 はるばる嘆願のあった領地まで来たアメリアは、ロードの言葉に素っ頓狂な声を出した。 ロードの城がある街に到着し、挨拶を告げた直後のことだった。 「いや、それがその………部下の者の話では、いままさに炎を吐こうとしていたデーモンたちが、一斉に顔をあげると、どこかに去っていったと言いまして………現に、それ以来デーモンを見たと言う者も減ってきていまして………」 さすがに気まずそうに、ロードが言い訳をする。 確かに、ここに来る道中でもデーモンには遭わなかった。 これまでは、目的の場所に向かう途中の道すがらでもデーモンが出没したという討伐隊の報告が多数届いていたのにもかかわらず、非常になごやかで楽しい道中だったのだ。 アメリアは眉をひそめて、考えこんだ。 「………ちょっと父さんと連絡を取ってみます。この街の魔道士協会はどこですか?」 届いた知らせは、驚くべき内容だった。 「殿下は何と?」 幻話室(ヴィジョンルーム)から出てきたアメリアに、待機していた討伐隊の隊長がきまじめな表情で問うた。 アメリアは困惑したような表情を、その隊長に向ける。 「何か………、各地で同じことが起こっているみたいです。異常気象も収まりつつあるそうですし、デーモンも潮が引くようにいなくなっているそうです」 「ならば、我々がここに来た意味は………」 「あんまし無いです」 アメリアに即答されて、隊長は沈黙してしまった。 「始まりと同じように、唐突ですね」 アメリアは首を傾げて独白した。 リナが大本の原因を滅ぼしたからなのだが、今現在そんなことがわかるはずもない。 ロードの城に戻る途中、アメリアは空を見上げた。 春の終わり。陽光がその強さを増して、風と共に降り注ぐ夏の始まり。 そうだ。これが本来の正しい気候なのだ。 雪が降っただの、暑さに日射病患者が出ただの、しばらく前までとことん異常気象だったのが、嘘のようだ。 異常気象が収まれば、父親であるフィリオネル王子の負担も軽くなるだろう。 デーモンの異常発生担当だった自分も、仕事の量が激減する。 これは好機だ。 「私ってツイてるかも………」 くすと笑って、アメリアは後に従う討伐隊の隊長をふりかえった。 「では、現時点をもって、討伐隊は残りのデーモンの掃討へと任務の内容を変更します。せっかく来たのに帰るのもなんですし、念のため数日は、この街の周囲、デーモンの潜んでいそうな場所を巡ってください。それが終わったら一日ここで休暇を取り、帰城します。なお、指揮権はあなたに預けます。救援物資の配分はロードに一任したことですし」 「アメリア様は………」 「ちょっとここの領内の村に私用があるので、行ってきます」 アメリアは反論を封じこめるように、隊長に向かって笑いかけた。 自分の外見が、多少なりとも自分の宮廷での評価に直結していることをアメリアは自覚している。 あまり重要視はしていない。使えるものなら使っておこうというレベルの話である。あまり自分の外見に関心はない。もう少し背が欲しいとか、普通の人間の感情として良ければそれに越したことはないだろうとは思うが、それだけだ。 もし関心を持つことがあったとしたら、それは今はここにいない誰かが好みを述べたときだろう。尤も、そんな話など今まで一度も会話に昇らなかったし、昇るほどに互いに突っこんだ関係でもない………まだ。 「デーモンいなさそうだったら、別に休んでてもいいですよ?」 「はあ………。とりあえず、ここのロード殿にご挨拶を入れておいたほうがいいのでは………」 「それもそうですね。じゃ、戻りましょうか」 そう言ってアメリアは、くるりと隊長に背を向けた。 「くおのッ、出てけっ!」 罵声と共にアメリアの鼻先を、白い陶器の花瓶が右から左へと通過していった。 それに添って、右で硝子の割れる華々しい音がして、その次に左で重力に従った花瓶の割れる甲高い音がした。 「え、と………」 リアクションに困って、アメリアは立ちつくした。 もちろん、先のセリフはアメリアに向けられたものではない。花瓶と共に窓を割って出てきたのだ。 とりあえず、これ以上自分に向かって何かが飛び出してきては困るので、窓の範囲から一歩退く。 あの花瓶が直撃していたら、いまごろ頭からだらだら血を流していただろう。 窓からは、なおもにぎやかに怒鳴り合う声が聞こえてくる。 「勝手に細工物をうっぱらいおって馬鹿もんが! 作ったのはわしじゃぞ!?」 「作っても売らなきゃ意味がないんだよ普通は! 大体どうでもいいのばかり道楽のように作りやがってっ。お金がないと材料も買えないことをオヤジは忘れ去ってるんじゃないだろうな!?」 さらに窓から色々な物が飛び出してきた。 何番目かに飛び出してきた黒っぽい塊がブラックオパールの裸石であることに気がついて、アメリアは慌てた。 宝飾品の性質について、最低限のことは知っている。 オパール。決して落としたり、熱を加えたりしてはいけない、水分含有率の高い脆い貴石。硬いだけが宝石ではないのである。しかもその裸石は大きかった。滅多に産出するものではない。 何だってそんなものがすっ飛んでくるのだろう? 唖然としつつも反射的に体が動き、アメリアはオパールに手を伸ばす。 どうやら窓の中の住人も自分が投げた物が何であるかに気づいたらしく、慌てた声が聞こえてくる。 オパールが石畳とキスする寸前のところで、アメリアはそれを抱えこんだ。ただし、抱えこむことに集中したため、バランスをとれず自分自身はひっくり返る。 窓から、老人と青年がそれぞれ顔を出した。 それぞれしばらく互いに見つめあった後、裸石を抱きしめて石畳に座りこんだまま、アメリアは二人に向かって小首を傾げた。 「ここ………グードさんの工房、ですよね?」 それが、あの滅茶苦茶やる気のないデザイン画を提出した工房の名前だった。 ロードの城のある街から徒歩で一日の村にある。 距離は近いが、大きな街道から外れているせいか、あまり発展している様子はない。 どこに何をしに行くのかと聞いてくる質問を苦労してぼかして、うるさく言われる前に、さっさと一人でやってきたのである。 茶色の髪をした壮年の男性が、毒気を抜かれたようにうなずいた。 「あ、ああ………」 アメリアは立ち上がった。軽く自分の服の埃を払ってから、原石を差し出す。 「すまんの」 茶色の髪の男性の横にいた小柄な老人―――おそらく投げた本人が、何喰わぬ顔でアメリアからオパールを受け取った。 「いえ。ところでここグードさんの工房に間違いないんですよね?」 「わしがそのグードじゃからな」 オパールの傷の有無を確認しながら、グードは窓の左を指で示した。示す先には玄関がある。 「窓越しも何じゃから、入ってくるといい。わしに何か用かね、お嬢ちゃん」 「ええ、まあ」 アメリアは曖昧にうなずいた。 目録で見たあの耳飾りが欲しいのだが、どこでその情報を入手したことにするべきか、うまい言い訳をまだ思いついていなかった。さすがに王女です、とは言えない。 携帯している荷物の中には、アメリア個人の所持金が入っている。 リナたちと旅をしていたときに皆で依頼をこなして稼いだ、本当に自分だけのお金だ。 リナは金銭面に関しては執着が強かったが、主にその対象は盗賊たちに向けられていて、仲間の正当な報酬を着服するような人間では断じてなかった。 初めて依頼をこなして、自分だけのお金を手に入れた時の嬉しさは、いまでもはっきりと覚えている。何せ、いままで自分が使ってきたのは国の金だったので、リナたちと旅をしている間も常にその意識がつきまとっていた。それがないのが嬉しかった。 もし、あの耳飾りを手に入れることができるのなら、このお金で。 あまりにタイミング良くデーモンがいなくなったので、何やら薄ら寒い感覚はするが、せっかくこんな近くまで来たというのに、寄らないのもバカらしい。アメリアに、外出できる機会はあまり残されていない。 勢いこんで、アメリアは光溢れる外から薄暗いドアの中へと足を踏み入れた。 工房の中は物で溢れかえっていて、足の踏み場もなかった。 一応玄関の辺りは何とか片づいて、脇のテーブルには帳面とインク壺などが置いてあるが、他はごろごろ転がっている原石(だろう多分)やその破片などで、うっかり歩くと蹴つまずきそうだった。 茶色の髪の男性が、慌ててアメリアに駆け寄ってくると、奥のテーブルまで案内してくれた。 「オヤジ、お茶」 どうやら、この工房の主であるグード老人の息子らしい。 その当のグードはふんと鼻をならした。 「どうして、わしが茶なんぞ淹れにゃならんのだ。お前が淹れてこい」 「三月ぶりの客の接待をクソオヤジなんぞにまかせられるもんか!」 「三月ぶり」とアメリアは呟いた。 あんな綺麗なデザイン画を描くのに、顧客がいないのはおかしな話である。 「この嬢ちゃんがいつお前に客だとぬかしおった? わしに用があると言っただけじゃ」 「こんなもうろくジジイに宝石の注文以外に若い娘さんが尋ねてくるわけないだろうがっ」 「わしゃ、気に入った物しか作らんぞ!」 「宝石に囲まれて餓えて死ぬ気か!? オレは嫌だぞッ」 なるほど、それで先の喧嘩に至るわけか。 職人には独特の気質があって、扱いが難しいと零したのはいったい宮廷の誰だったか。 椅子に着席して、どうでもいい回想に首を傾げているアメリアの目の前で、なおも延々と親子喧嘩は続いている。たしか、茶を誰が淹れるかどうかが最初の問題ではなかっただろうか。 「だいたいっ、御用達選定の期日ぎりぎりにあり合わせのデザイン画なんか提出して、もっとまじめにやったらどうなんだ! オヤジは国に喧嘩を売ってるのか!?」 「売っとらんわ、馬鹿者! 大体、ああいうお祭り騒ぎは好きなれん。選ばれる気も毛頭ないわ! わしゃ、王族の方々は尊敬しとるが、その下の役人どもは大っ嫌いじゃ!!」 これは迂闊に名乗るわけにはいかない。もともと名乗る気はあまりなかったが、名乗ったら最後ヘソを曲げられる可能性が出てきた。 内心どうしようと思いながら、アメリアは理由を考えた。あの王室御用達選定の目録の中味を知っている理由。さいわい、喧嘩の終結までにまだ時間はある。 しばらく考えた。 目の前ではいつ終わるともしれない口論が、延々と続いている。 割れた花瓶を道から片せと苦情がきた。 表で犬が吠えた。 喧嘩はまだ続いている。 ようやっと手頃な理由をひねり出したアメリアは、意を決して口を開いた。 「あのー」 反応は早かった。 我に返った息子のほうが、もみてをせんばかりに訊いてくる。 「何か?」 「私、初めて自分でアクセサリーを買いに来たんですけど」 「何じゃい、客かい」 つまらん、とグードが鼻をならした。 「ええ、客なんです」 アメリアはうなずいた。 嘘ではない。 ここまでは。 「それで、私、ロードの姫様のところでメイドをやってるんです。ずっとお給金を貯めてて」 嘘のつき具合に何やら自分で馬鹿らしくなってきた。だが、貯めた(というか貯まった)お金というのはあながち嘘でもない。 「それで、御用達の目録で偶然見た、あなたのデザインした耳飾りが欲しいんですけど」 アメリアは一気に言い切った。 言い切って、テーブル越しの二人の顔を見ると、グードは無表情で髭をしごいていて、息子の方は顔色が青と赤のまだらだった。 「あの、お嬢さん。そ、それではなくて何か……そう腕輪とか飾り櫛とかもありますけれど」 「あれがいいんです」 「ああああぁっ、何てことだっ!」 いきなり息子が頭を抱えてのけぞって、叫んだ。 「は、はい? あの?」 「せっかく! せっかく三ヶ月ぶりに客が来たと思ったのにっ。よりによってこんなことが………!!」 何やら苦悩している息子の横で、工房の主たる老人が首をふった。 「あれはダメじゃ」 「どうしてですか?」 アメリアの問いに、グードが親指で自分の息子を指した。 「この馬鹿息子が三日前に、行商人に売っぱらいおったんじゃ。少しばかり間に合わなかったの」 「行商人に………」 アメリアは呆然と呟いた。 ひどくがっかりしている自分を自覚する。そんなに欲しかったんだなと他人事のように思った。 なおも懊悩している息子に向かってグードが怒鳴った。 「ええい、やかましい! 取り乱しおって。だいたい、パンすら買う金がない、あるもの全部売っぱらう、なんぞと言いおったのはお前じゃろうがッ」 「まさかあんなヘボい耳飾りを買いにくる客がいるとは思わなかったんだよ!」 「ヘボい………」 何やら憮然としてアメリアは呟く。 「ヘボいとは何じゃ!? あれを丸く細工するのにどれほど苦労したと思ってるんじゃ!」 グードは、そう怒鳴り散らすとアメリアの方を見た。 「すまんの。お嬢ちゃん」 「いえ………」 アメリアがあんまりしょんぼりしているのを見かねたのか、グードが立ち上がって、仕事をする机の方に歩いていく。 アメリアはその時、老人が足を引きずっているのに気がついた。 「あの、足は………?」 「原石を落っことしたんだ」 息子の方がにべもなく答えた。 しばらく机の上を探っていたグードは、再びゆっくりとテーブルに戻ってくると、アメリアの前に小さな細工物をころんと転がした。 アメリアと息子が目をみはる。 「これ………!」 行商人に売り払ったと言ったはずの、あの耳飾りだった。 ただし、片方だけ。 「行商人が一昨日、返品しにきおった」 「いつ!? そんなことは聞いてないぞ」 「いま言ったからな」 涼しい顔で老人はそう答えた。 「何でもあのバカタレ、盗賊団に襲われて片方どこかにやってしまったんじゃと。嬢ちゃん、欠けててすまんが、これでもよければ差し上げるよ」 「ホントですか!?」 思わず声をあげながらも、アメリアはテーブルの上の銀の塊から目を離せなかった。 銀のカゴの奥で瑠璃がまたたいている。 食い入るように見つめているアメリアを余所に、テーブルの向こうでは親子の会話が続いている。 「売り物にならんと抜かして返しおった、あのバカタレ。わしの作品を何だと思ってるんじゃ」 「売り物だろ」 「これだからお前はろくな物が作れないんじゃ!」 「でも、何だってこんなロードがいる街近くで盗賊が出るんだ?」 「そんなことは盗賊に直接聞け。おおかた、デーモン騒ぎに便乗してこんなとこまで出てきたんだろうさ」 アメリアはおそるおそるテーブルの上から耳飾りを持ち上げた。 「本当にいただいていいんですか。あの、お金は………」 「だれが両方揃ってない耳飾りから金をとるんじゃね」 呆れたようにグードが答えた。 アメリアは耳飾りを両手で包みこんだ。 「ありがとうございます!!」 「礼にはおよばんさ。わしは似合うものしか人様に売らない主義でな。嬢ちゃんになら、ちゃんと両方つけさせてやりたかったがの。ところで嬢ちゃん―――」 「アメリアです」 「アメリア嬢ちゃん。メイドは普通、巫女服は着んと思うのじゃが?」 「あっ………」 迂闊さに、顔から火が出そうだった。 グードが苦笑混じりにアメリアを見た。 「やれやれ、どこのお姫さんかね」 「あ、ええっとぉ………」 本当のことを言っても良いものか、アメリアが困り果てたときだった。 悲鳴が聞こえた。 間をおかず、怒号に罵声。パニックが起きている、外で――― 「何じゃ?」 グード老人の疑問は幸運にも答えが返ってきた。外で、誰かが叫んだ。 「盗賊だ―――!!」 「何ですって!?」 アメリアは呆然と呟いた。 盗賊団が村単位で襲撃を行うことは、ここ近年では―――訂正、ここ数十年では滅多になかったことだ。 理由は簡単。実入りが大きい代わりに、とことん派手で目立つからだ。国に喧嘩を売っているようなものである。暴挙を取り締まる国力は各国とも存分にあるし、彼らも自分自身の首をしめるような行動に出ることはなかった。 ましてここは辺境でもなんでもなく、ロードの城のある街からたった一日しか離れていない。 まだデーモンの襲来と言ったほうが、よほど信じられる。 「何かの間違いじゃ………!?」 アメリアは耳飾りをひっつかんで椅子の上の荷物に押しこむと、外への扉を引き開けた。 |
5725 | きた!きたきたきた!! | 雫石彼方 E-mail | 2/19-00:46 |
記事番号5724へのコメント 雫石でーす。 ついに始まりのお話だね!! ネットできなくなる前に読めてよかった!!・・・・でも、完結は見れないだろうなぁ・・・・しくしくしく。 頑固じじいなグードさんがとっても好きだったですvアメリアの嘘も簡単に見破っちゃって、なかなか抜け目ないご老人だすね♪――アメリアが嘘つくのが下手すぎってのもあるだろうけど(^^;) 例の耳飾り、実際にあったら是非欲しいなぁ。あれにはモデルがあったりするの? これが最後のレスになるかもしれないなぁ・・・・一応、19日いっぱいはぎりぎりネットできるんだけども。2週間・・・・・長いけど頑張ってくるわ!!ってなことで、また〜。 |
5738 | いってらっしゃ〜い | 桐生あきや | 2/20-04:57 |
記事番号5725へのコメント >雫石でーす。 >ついに始まりのお話だね!! >ネットできなくなる前に読めてよかった!!・・・・でも、完結は見れないだろうなぁ・・・・しくしくしく。 ごめんね、変なときにアップしちゃって。(汗々) >頑固じじいなグードさんがとっても好きだったですvアメリアの嘘も簡単に見破っちゃって、なかなか抜け目ないご老人だすね♪――アメリアが嘘つくのが下手すぎってのもあるだろうけど(^^;) >例の耳飾り、実際にあったら是非欲しいなぁ。あれにはモデルがあったりするの? 下手だねー、アメリア。特に今回。 耳飾りのモデルは特にないだす(^^) 非常に個人的な好みから実在をのぞんではいるけれど(笑) >これが最後のレスになるかもしれないなぁ・・・・一応、19日いっぱいはぎりぎりネットできるんだけども。2週間・・・・・長いけど頑張ってくるわ!!ってなことで、また〜。 ごめんねーって、これも読めないんだよね(^^; 合宿がんばってきてね。ではでは。 |
5729 | やられたぁぁぁぁぁっ! | ねんねこ E-mail URL | 2/19-10:25 |
記事番号5723へのコメント ねんねこっす。 何がやられたってもうすべてがVv というか、一番まずいのはタイトル……(汗) どうやら私、雫ちゃんとだけではなく、あっきーとも遠い親戚(もどき)らしいです(爆) ……つい先程までラピス・ラズリの話を書いてたんですけれども(泣) もう変更する気力無しなので(何しろ徹夜で書いたから……)出てきたら指差して笑うべし。 あ、内容は全然違うから安心してねVv(^^;) にしても、すごいね、同時3つツリー(笑) けり落とすのは良いですけれど、あんまりけり落としすぎないでね(笑) 私のまで落ちる(死活問題・爆) で、ついに最初の方ですね。 我がHPのBBSで、色々語ってくれたあなたのことだから、すごく期待はしてました。 愚痴ったつもりの私の発言があっきーが語るきっかけになり、色々悩んでいたことを吹っ切れるきっかけとなった(はず)のはすごく嬉しいです。 いつもいろんな話を聞いてくれて、話してくれてありがとう。 これからもよろしくね。 ―――それが徹夜女が言える最大の言葉です。 もうこれ以上も止めないで下さい。徹夜明けはいきなり語りだすくせがあるので止まりません。止まれません(爆) これからユズハもゼルもでてくるということなので楽しみにしてます。 それでは、ねんねこでした。 |
5739 | やってしまったにょっ! | 桐生あきや | 2/20-05:06 |
記事番号5729へのコメント >ねんねこっす。 桐生だす。タイトルうちこみながら、なんとなくねこちゃんとこのパパりんを思い出した私(笑) >何がやられたってもうすべてがVv >というか、一番まずいのはタイトル……(汗) >どうやら私、雫ちゃんとだけではなく、あっきーとも遠い親戚(もどき)らしいです(爆) >……つい先程までラピス・ラズリの話を書いてたんですけれども(泣) >もう変更する気力無しなので(何しろ徹夜で書いたから……)出てきたら指差して笑うべし。 >あ、内容は全然違うから安心してねVv(^^;) ああ、やっちゃった(^^; 北欧神話に続いて、何度目かしら。やっぱりうちら三人、遠い親戚なのかなあ(笑) ごめんね(汗)。徹夜明けで書いてて、ひと段落ついてページのぞきに来て、同じ題材の話(しかも知り合い)の見つけたら普通は叫ぶよな(^^;) 私なら叫ぶし「うにょおおっ!?」とか(笑) >にしても、すごいね、同時3つツリー(笑) >けり落とすのは良いですけれど、あんまりけり落としすぎないでね(笑) >私のまで落ちる(死活問題・爆) ですな(^^; とりあえず、バレンタインのじゃなくて、いちばんしたのツリーを落としたいだけ。 >で、ついに最初の方ですね。 >我がHPのBBSで、色々語ってくれたあなたのことだから、すごく期待はしてました。 >愚痴ったつもりの私の発言があっきーが語るきっかけになり、色々悩んでいたことを吹っ切れるきっかけとなった(はず)のはすごく嬉しいです。 >いつもいろんな話を聞いてくれて、話してくれてありがとう。 >これからもよろしくね。 >―――それが徹夜女が言える最大の言葉です。 >もうこれ以上も止めないで下さい。徹夜明けはいきなり語りだすくせがあるので止まりません。止まれません(爆) 愚痴ったねこちゃんではなく、なぜに発言者のほうが吹っ切れてるのか疑問が残るものの(笑)、お互いプラスになっていけるのなら、それにこしたことはないよね。こちらこそ、これからもどうかよろしくね。 あのあと話が進む進む(笑)。続き一日で書いてしまったわ(^^; >これからユズハもゼルもでてくるということなので楽しみにしてます。 >それでは、ねんねこでした。 この話に、ユズハはちょっと無理かも。出会う前の話だからなあ。最近話が広がりすぎて、どういう位置付けをしたらいいのかわからない話がいっぱい(^^; ではでは、桐生でした。 |
5741 | 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 3 | 桐生あきや | 2/20-06:36 |
記事番号5723へのコメント あああ、もう(泣) ひさしぶりに、おおぼけをかましてしまいました。寝起きに投稿作業なんかするもんじゃないです(爆) *** 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 第3話 *** 「やだ。ホントに盗賊」 のんきにアメリアは呟いた。本気で驚いたのである。 だがすぐに驚きから立ち直ると、今度はムカッ腹が立ってきた。 最近執務ばっかりで、やっと外に出られたと思ったら欲しかった耳飾りは片方欠けている。よりによって盗賊のせいで。しかもその盗賊が襲ってくる。 何より腹立たしいのは。 いくらデーモン多発のせいで半島内全域で国力が低下しているからといって、セイルーンに自分たちを検挙する力がないと見くびられたこと。たしかにデーモンや異常気象のせいで各地の治安は以前よりもずっと悪くなっているが、それでもセイルーンはいまだ国力を充分に残している。 何か別の理由により向こうが勝手に切羽詰まっていたとしても―――ロバーズ・キラーが追ってくるとか―――喧嘩を売られたことにかわりはない。 「その喧嘩、買ったわ」 呟いて、アメリアは背後の二人をふり返った。 「逃げてください。それともこんなとこに出る理由を直接聞きにいきます?」 軽口を叩くアメリアに、パニック寸前だった息子の方が呆気にとらえれてアメリアの方を見た。グードが落ち着きはらって答えを返す。 「聞くとしたら間に鉄格子をはさんでいたほうが嬉しいの。アメリア嬢ちゃん、あんたも逃げるんじゃ」 「いいえ」 アメリアは首をふった。 「売られた喧嘩は買います。ちゃんと逃げてくださいよ?」 「嬢ちゃん!」 アメリアは外に飛び出した。 逃げまどう村人とは逆の方向に走りながら、不意に苦笑する。 個人に売られた喧嘩ではない。国に売られた喧嘩を買ってどうするのか。 「もしかしなくても、根っからの王族ですかね私は………」 彼をどれほど好きで、どんなに王宮が窮屈でも。 三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。 それに、喧嘩を買うにせよ何にせよ、今は被害を防がねばならない。 ただのアメリアとしてリナたちと旅をしていたときでも、そうしただろう。きっと一緒にいたリナたちも、同じことをしただろう。 だから。 「女子供を避難させなさい! 一箇所に集まって、そこを自警団で集中的に守るんです。それが無理なら散りなさい! だれか一人伝令を街に走らせて!」 そう叫びながらアメリアは盗賊団の前に飛び出した。 追う者と追われる者双方の流れに逆らって逆走してきたアメリアに、盗賊たちの奇異の視線が突き刺さる。 その数二十余。馬に乗っている者は半数。 「ファイヤー・ボール!」 まだ散開しきっていない、馬が集中している箇所を狙って呪文を叩きこんだ。 「ブレイク!」 そして、それを拡散させる。火球が弾け、広範囲に渡って盗賊たちを巻きこんだ。致命傷にはならなくとも馬は怯え、大半の盗賊が落馬する。もう馬は使い物にならない。いかに世の中に目つきが悪い馬がいたとしても、彼らはもとより繊細な動物なのだ。 小さな村に、本来なら攻撃呪文の使い手がいるはずがない。突然の呪文に盗賊たちが浮き足立ったところに、アメリアは飛びこんだ。 こういうところには大抵、呪文を使う魔道士くずれが二、三人いるものだ。幸か不幸かリナの夜間外出に付き合わされているうちに、自然と学習してしまった。 まずその魔道士から叩かなくては。 魔道士とわからないように普通の格好を装う者もいるが、今回は違うようだった。褐色のローブ姿を見つけたアメリアはそいつに向かって、掌底を突き上げる。 顎先を強打された魔道士が昏倒するのも確認せずに、アメリアは次の相手へと向き直った。 「このアマ………っ」 正面の盗賊が剣をふりかぶった。 アメリアは非常識にも振り下ろされる剣の腹を叩いて軌道をそらし、顎先を狙って再び掌底を叩きこむ。 「フリーズ・アロー!」 そして、ふり向きざまに放った呪文に、後ろから襲いかかろうとしていた数人の盗賊が氷漬けになった。 何人目かの盗賊を昏倒させると、アメリアはその持っていた剣を走りながら拾い、その勢いのまま盗賊の一人に向かって投げつけた。相手が慌てて回転しながら飛んでくる剣をはたき落としたときには、もう間合いにまで飛びこんでいる。 「残念でしたねっ」 叫ぶと同時に、アメリアは足で急所を蹴り上げていた。 たった一人で二十人余りを相手にしているアメリアを呆気にとられたように盗賊たちが見る。 盗賊の一人を蹴り飛ばしながら、アメリアは首領格の男を視界のはしでチラリと確認していた。 倒れこむ盗賊の腰から短剣を引き抜くと、真っ直ぐにその男に向かって駆ける。背後に回りこむと、素早くその首筋に短剣をつきつけて、アメリアは通告した。 「ひきなさい」 「なに………っ!?」 「お頭っ」 「いますぐここから去りなさい。隣りにあるロードの街にセイルーン軍が逗留しているのを知らないんですか? すぐにでも知らせが行くでしょう」 「な、何だと!?」 アメリアの言葉に盗賊たちから動揺の声があがる。浮き足立つ盗賊団に、アメリアは鋭く声を放った。 「動かないで! 動けば、あなたたちの首領の命はありませんよ」 「冗談じゃねえ!」 不意に一人の盗賊が声を荒げた。雰囲気からして副首領といったところだろうか。 アメリアは嫌な予感がして顔をしかめた。いつぞやの宮廷魔道士から聞いた組織のナンバー2不要論を思い出す。 曰く、トップに続く第二者がいると覇権にスペアがいることになり、トップの者の地位が揺らぐ。だから組織にはトップとその他大勢のナンバー3がいればいい―――かなり破綻した論だが、嘘ではない。セイルーンには当てはまらないが。 案の定、その盗賊はアメリアと彼女が短剣をつきつけている首領に向かって、びしりと曲刀をつきつけた。 「どこぞの流れの剣士に叩きのめされたばかりだっていうのに、このまま引き下がるなんてできるか! そんな女にやられるような首領なんかいらねえぞ!」 アメリアは傍らの首領に同情の視線を向けた。 「………人望、ないんですね」 「うるさい!」 やけくそ気味に首領がわめく。 アメリアはその手を取ると振って勢いをつけ、副首領の方へと投げ飛ばした。 慌てて副首領がよける。首領の体は他の盗賊にぶつかって二、三人を巻きこんで横転した。そこにアメリアの呪文が飛ぶ。 「眠り!(スリーピング!)」 ばたばたと盗賊たちが倒れていった。無傷の副首領にアメリアが顔をしかめる。 「よけないでくださいっ」 「無茶なこと言ってんじゃねえ! お前、やることが汚ねえぞッ」 「盗賊やってる人にいわれる筋合いはありませんっ! リナ=インバースに言いつけますよ!」 思わずアメリアが叫ぶと、見る間に盗賊たちの周囲の空気が凍りついた。 「………お知り合いで?」 「ええ、まあ」 「ふ、副首領! やっぱりここは逃げたほうがいいんじゃ………」 「だ、黙れ! ハッタリだ、ハッタリ! だいたい今すぐにリナ=インバースがやってくるわけじゃねえっ」 バレてる、とアメリアは呟いた。 盗賊たちの人数は十人程度まで減らせただろうか。あとは昏倒したり昏睡したりしている。どういうわけかアメリアが叩きのめす前から怪我をしている盗賊たちもいた。先の言に出てきた流れの剣士とやらだろうか。 あまり戦闘が長びけば、意識のない盗賊たちが目を覚ます可能性もある。それに何より、それだとアメリア自身の体力が持たない。激しい動きをしたので、体中が汗だくだった。自分自身の呼吸が熱い。 「おい、女!」 後ろの方からかかった声に、アメリアはふり向いた。副首領が「でかした」と叫ぶのを聞きながら。 「グードさん!」 「すまん、嬢ちゃん………」 足が悪いため、逃げ遅れたのだろう。息子のほうは姿が見えない、まさかいくらなんでも先に逃げたりはしていないだろうが。 アメリアはグードの首に腕を回している盗賊を睨みつけた。 「卑怯じゃないですかっ、人質をとるなんて!」 「お前だってお頭を人質にしただろーがっ」 「悪人に人権はないからいいんです!」 どこぞの女魔道士のようなセリフを叫んだアメリアは、背後に気配を感じてふり返った。 そのまま裏拳を放とうとするところへ声が飛ぶ。 「動くな! 動いたら、このくたばりぞこないのじーさんを殺す」 寸前で手が止まった。相手の顔の直前でブレもせずにぴたりと拳を止めてしまったことに、思わず寸止めの練習なぞしなければよかったと過去の自分を責めてみたりする。 前方で、異議の声が聞こえた。 「誰がくたばりぞこないじゃっ」 「うるせえ」 盗賊が腕に力をこめる。老人の顔が苦痛に歪んだ。 「やめてッ」 思わず爪先の重心を移動させようとしたアメリアの正面に、副首領だという盗賊が回りこむ。 「おっと、動くな。動いたらあのじーさんを殺させるぜ」 「…………ッ」 「とりあえず、そのすぐにでも蹴りを放てる立ち姿をやめな」 アメリアは体術の基本姿勢をといた。 まずい。これでは隣りの街に逗留しているセイルーン軍に連絡がいって、近い将来彼らが討伐されるとしても、この村の直接的な被害を押さえることができない。 小声で眠りの呪文を唱えかけたアメリアに、短剣が突きつけられた。 「呪文もダメだ」 「なんだってこんな暴挙に出たんです。こんな派手なことをすればセイルーンから討伐隊が派遣されることぐらい予想がつくでしょう?」 アメリアの問いに、副首領は顔を歪めた。 「ちょいと不幸な出来事でな。稼ぎの大半を持っていかれちまったんだよ。お頭が命惜しさにべらべら喋っちまいやがった」 「リナ=インバースにですか?」 「違うッ。だいたいあの女が来たら今頃オレたちゃ墓の下だ!」 思わず副首領が声をあげる。 ひどい言われようだとアメリアは思ったが、過去の記憶を掘り返してみて思わず頷きそうになった。 「お喋りはここまでだ。セイルーン軍が来るなら尚更、さっさと取るもの取ってとんずらしなきゃならいんでね」 アメリアは正面の盗賊を睨みつけた。 「動けなくするのに顎を狙うのは悪くねぇ。こんなふうにな―――」 拳を避けようとして、アメリアの視界に短剣を突きつけられたグードの姿が入った。 思わず回避の動きを止めた瞬間。 がつっと衝撃がきて目の前に火花が散った。全身に冷たい石畳の感触がして、自分が倒れこんだのだとわかる。 「この間と言い、あんたと言い、たった一人に叩きのめされる経験なんざ、一度で充分だ」 男の声がひどく遠い。手をついて起きあがろうとして力が入らず、アメリアは再び石畳に倒れこんだ。意識は鮮明なのに、体が動かず言うことをきかなくなる。 殴られた顎だけが熱をもったように痛い。 敷石の感触は冷たくて、視界ははっきりしているのに体はどうしても動かなかった。 グードの自分を呼ぶ声が聞こえてくる。 聞こえてはいる。聞こえてはいるが、それに応えることができない。 意識を失うわけにはいかない。起きあがって何とかしないと。略奪が始まってしまう。 「ったく、とんだ手間かけさけやがってこのアマ………ッ!?」 髪の毛をつかまれて引き起こされようとしたそのとき、慌てた声がしてその手が離れていった。 剣の音と怒号と、盗賊たちの悲鳴。混乱の空気が伝わってくる。 何が起きたの? 再び石畳に頬をつけながら、アメリアは必死で手に力をこめた。たてた爪の間に小石の欠片が食いこんで嫌な感触と痛みを伴う。 いい。いまはそんなことはどうでもいい。 ただ、あの声は、なに? ほんの一瞬だけ、耳をかすめていったあの声は――――― 「また遭ったな。行き先が同じとは奇遇だな」 「こ、この間の………!?」 「たしかに、お前たちを相手にするときには的確さよりも派手さのほうが大事なようだ。ビビらせて徹底的に復活する気をなくさせないと、ゴキブリと一緒で何度でも復活するんだそうだ。知り合いが言っていた」 風に散る、声。 「いまからでも遅くないだろう。私怨が混じるが勘弁しろ。恨みは倍返しって言葉を知ってるか?」 涙が溢れてアメリアの視界が滲んでぼやけた。 早く、起きなくちゃ――――――― |
5742 | 正義の味方の登場というよりは… | みてい | 2/20-11:34 |
記事番号5741へのコメント こんにちは、桐生さん。 みていと申します。 ああっなんて御無体な場面で切られるのでしょうっ! 早く続きが読みたいわっv 3話にして出てきましたね、彼。 でも登場の仕方が正義の味方というよりはアメリア姫様限定の騎士ですね。うん(喜んでいる) 続き、楽しみにしております。 ではでは、みていでした。 |
5751 | 特定個人限定の…… | 桐生あきや | 2/20-22:45 |
記事番号5742へのコメント >こんにちは、桐生さん。 >みていと申します。 どうも、桐生です。レスどうもありがとうございます〜。 >ああっなんて御無体な場面で切られるのでしょうっ! >早く続きが読みたいわっv >3話にして出てきましたね、彼。 >でも登場の仕方が正義の味方というよりはアメリア姫様限定の騎士ですね。うん(喜んでいる) これぞ王道の切り方と一人で悦に入っておりました(死)。ええ、バカです(笑)。一度少女漫画のごとき切り方をしてみたかったんです〜〜。 >続き、楽しみにしております。 >ではでは、みていでした。 ありがとうございます。うちのアメリアを、気に入っていただけると嬉しいです。 ではでは、桐生でした。 |
5750 | 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 4 | 桐生あきや | 2/20-22:39 |
記事番号5723へのコメント 「た、助けてくれて、ありがとうございます………」 その場にへたりこんだ商人は、いまだ歯の根のあわぬ声でそう礼を述べた。 陽が森の向こうに融け落ちようとする街道でのことだった。 ロードが直接治める街へと続いている、人通りは少なく規模は小さいが、それでもきちんと整備された街道である。 近頃、場所を選ぶことなく出没するデーモンにばかり気をとられていた商人は、本来旅人を襲う驚異である盗賊たちのことを失念していた。 仕入れ先の村から帰る途中、気がつくと囲まれ、剣を目の前に剣を突きつけられた。 そして今、その盗賊たちを叩きのめした男は、おもしろくなさそうに剣についた血糊を払っている。 「別に礼を言われる筋合いはない。路銀が足りなくなったので知り合いの真似をしたついでだ」 フードの奥からくぐもった声がした。存外、若い。 地に倒れこんだ盗賊たちから苦痛の呻きがして、商人は身をふるわせた。 「起きだす者が出てくる前に、さっさと行くんだな。急げば陽が落ちる前に村の方には間に合うだろう」 「は、はい………」 商人は、地に散らばった荷物を慌ててかき集めると、来た道を戻って早々にこの場から逃げ出した。 剣を鞘に収めて、青年は土埃にまみれた銀色の光る物に気がついた。さっき商人がへたりこんでいた辺りだ。落としていったのだろう。 拾い上げて、思わず呟いていた。 「耳飾り? なんでこんなものが………」 *** 瑠璃飾り(ラピス・ラズリ) 第4話 *** 「シャドウ・スナップ」 後ろから声が聞こえてきた次の瞬間、グードに短剣を突きつけていた盗賊の体が硬直した。 「じいさん、離れろ。こいつはもう動かん」 解放されたグードがふり向くと、白いフードの青年が突然動けなくなった盗賊の首筋に剣の柄を叩きこんでいるところだった。気絶してもなお突っ立っている男の影から、青年がナイフを抜き取る。その途端、盗賊は大地に転がった。 「あんたは………」 そう言いながら、グードは思い出していた。何せ小さな村である、噂は広がるのが早い。宿に白ずくめの若い男が泊まっているという話を一昨日、宿の主がしていた。 「ただの通りすがりならよかったんだが。悪いな、こいつらは三日ほど前に俺が街道で叩きのめした奴らだ。俺のせいで懐が寂しくなったらしい」 言いながら、青年はもう駆けだしていた。剣を合わせるたびに、盗賊たちのほうが悲鳴をあげて倒れていく。 アメリアと名乗った少女が昏倒させた盗賊の一人が目を覚ましかけたところに蹴りを叩きこんで、青年は、殴り倒されたその少女の傍らで狼狽した表情見せている盗賊の副首領に相対した。 「また逢ったな。行き先が同じとは奇遇だな」 副首領だという盗賊が顔を青ざめさせる。 「こ、この間の………!?」 「たしかに、お前たちを相手にするときには的確さよりも派手さのほうが大事なようだ」 冷ややかな声。 すでに立っている盗賊は副首領一人しかおらず、逃げまどっていた村人たちが物陰からおそるおそる様子を伺っている。 「ビビらせて徹底的に復活する気をなくさせないと、ゴキブリと一緒で何度でも出てくるんだそうだ。知り合いが言っていた」 グードは、殴り倒された少女がぴくんと反応したような気がした。 青年が剣をかまえる。 「いまからでも遅くないだろう。私怨が混じるが勘弁しろ。恨みは倍返しって言葉を知ってるか?」 言葉の奥に潜んだ灼けつくような怒りを感じ取った盗賊が、悲鳴を呑みこんで左右を見回した。 すでに立っている者が自分しかいないと知り、さらに狼狽がひどくなる。 その手が、足元に倒れている黒髪の少女を乱暴に引きずり起こした。 華奢な首が仰け反って、あらわになった喉に短剣がの切っ先が突きつけられる。 「う、動くな。動いたらこの女を殺す!」 冷ややかな表情でそれを見守っていた青年は、唐突に剣を降ろして構えをといた。 そして、剣を持っていない空いた手でマスクを引き下ろすと、布を通さない明瞭な声でたった一言、口にする。 「アメリア―――」 その声に反応して、盗賊の腕の中で白く細い手が静かに持ち上がる。 声に応えた手の指が盗賊の顎に触れたとき、かすれた声がした。 「ディグヴォルト………!」 力が解放される。 盗賊の体が一瞬びくりと動き、そのまま大地へと崩れ落ちた。 それを見届けて、青年が剣を収める。 そして、そのまま電撃を受けて痙攣している盗賊と、何とか身を起こした少女のところまで歩いていくと――――問答無用で盗賊の腹を蹴り飛ばした。 尋常でない打撃音がして、ぎょっとした少女が青年を見上げる。 青年は何事もなかったかのように、その少女の隣りにしゃがみこんでいた。 そこまで見届けると、グードはずっと盗賊に腕を回されていたため凝ってしまった首筋をぐるんと一回転させた。 ようやく物陰から出てきた村人たちに声をかける。 「さあ、早く盗賊たちを縛りあげるんじゃ。すぐにセイルーンの偉いさんが来て一人残らず引っ立ててくれるだろうよ」 背後から、少女の嗚咽とそれに慌てる青年の声がした。 名前を呼ばれた。 彼だけが持ちうる声と、その響き。 忘れられるはずがなくて、以前ごく普通にそう呼ばれていた過去の時間が鮮やかに脳裏に甦る。 こんなに焦がれていたなんて。 泣きたくなるほど、名前を呼ばれるただそれだけの事が嬉しい。 ぐらりと揺れて定まらない視界のなか、アメリアは力在る言葉を解き放った。 アメリアの傍までやってきたゼルガディスは、いきなりアメリアの後ろで倒れている副首領に蹴りを入れた。 人の体を蹴ったとは思えぬ凄まじいその音に、くらくらする頭を持て余していたアメリアは思わず顔をあげてゼルガディスを仰ぐ。 もしかしなくても、かなり怒っているような気がした。 「ゼ、ゼルガディスさん………?」 名を呼ぶと、何事もなかったかのようにゼルガディスがアメリアの正面にしゃがみこんだ。 「無事か?」 さっきの蹴りは幻覚かと思いたくなるような、いつもと変わらない様子で訊いてくる。 平気だと言おうとして、殴られた顎が痛みだしたので黙ってうなずいた。 「悪い。宿にいたんだが、駆けつけるのが遅れた」 その言葉に、アメリアは目をみはる。 こんなところで出逢うなんて―――― 「ゼルガディスさん」 名前を呼ぶのもひさしぶりだった。さっきは気がついたら思わず呼んでいたが、本当に長い間呼んでいなかった。 「ゼルガディスさん」 「何だ」 素っ気ない言葉に、アメリアはその服の袖をぎゅっと捉えた。 「ゼルガディスさん………っ」 「お、おい………!?」 ぽろぽろと泣き出したアメリアに、ゼルガディスが慌てた声を出す。 「アメリア!? どこか怪我でもしてるのか?」 「………です」 「?」 アメリアは緩く首を横にふって、ゼルガディスに抱きついた。 「逢いたかったです………!」 唐突に抱きつかれて一瞬硬直したゼルガディスだったが、やがて観念したように溜め息をついて、そっと腕をまわした。彼としても、以前と変わらないように会話をするのはこれが限界だった。 「………頼むから泣くな」 泣かれると本当にどうしていいのかわからないのだ。 腕の中のアメリアに泣きやむ様子が見られず、思わずゼルガディスは天を仰いでから、耳元で何事かを囁いた。 すると、ますますアメリアが泣き出したので、ゼルガディスは途方にくれる。 泣きやんだのは、それからしばらく経ってからだった。 それから一日が経過して、ゼルガディスはグード老人の工房で茶を出されていた。 「………おい、じいさん」 「何じゃ?」 素知らぬ顔でグードが尋ねる。 「何で俺を呼び出して茶なんか出してるんだ。俺は先を急いでいる」 「見張りじゃ」 「何………?」 フードの下でその表情が固くなる。 外ではようやく到着したロードの軍とセイルーンの討伐隊との混成部隊が、盗賊たちを引っ立てている最中だ。 アメリアはその指揮を執っていて今はいない。 涼しい顔でグードが先を続けた。 「頼まれたからの」 「頼まれた?」 「アメリア嬢ちゃんに自分が用を済ませるまで、あんたが黙って旅に出んようにしてほしいと頼まれたからの」 「…………………」 思わず頭を抱えたゼルガディスの正面のカップに、茶が注ぎ足される。 「出逢ったのが運の尽きか………」 溜め息混じりに、ゼルガディスは呟いた。 セイルーンを迂回すればよかったのだろうが、王都ならともかく辺境の村で出逢うと誰が予想できるだろう。 「アメリア姫さまと知り合いのようじゃの」 グードはロードの街から役人が到着した際に、アメリアから直接身分を明かされて、嘘をついた謝罪を受けていた。 「………………」 ゼルガディスがフードの下、沈黙をまもる。 「そんな顔せんでもいいだろうが。素性も経緯も聞きゃせんわ。あんたは村の恩人じゃぞ」 「どうだか」 「ヒネとるの」 「…………」 「あんたが蹴っ飛ばした盗賊、肋骨が三本ばかり折れとるそうじゃ」 「…………」 会話するのが馬鹿らしくなったゼルガディスは、椅子から立ち上がった。 「村を出ない。宿にいる。それでいいだろう?」 「いま外では役人や兵士がうろうろしとるぞ」 「…………」 「そうじゃ、座っとけ座っとけ」 憮然とした表情で椅子に座り直したゼルガディスを見て、グードが低く笑う。 「耳飾りじゃよ」 「…………?」 「アメリア嬢ちゃんは、耳飾りを買いにわざわざ来たんじゃよ」 「ここに?」 「そうじゃ。四日ほど前にあのバカタレの行商人を盗賊共から助けてやったのは、あんたじゃろう?」 「…………たしかについでで商人を助けはしたが、それが何だ?」 「あのバカタレが、片方失くしおった耳飾りをわしのところに返品しにきおったんじゃ」 ゼルガディスが眉をひそめた。 「………だから何なんだ?」 「それが、アメリア嬢ちゃんがわざわざ買いに来たヤツでな。結局片方しかやれんかった。ま、片方だけでもやれて良かったというべきかもしれんがの」 ゼルガディスが小さく身じろぎした。 次の瞬間、ドアがものすごい勢いで開かれて当のアメリアが顔を出す。 「ゼルガディスさんッ!!」 「いる」 「良かったああぁぁぁ」 短く即答したゼルガディスに、アメリアがドアにすがりつくようにして、しゃがみこんだ。 「………よっぽど前科があるようじゃの」 くくっとグードが笑いながら立ち上がった。 「湯を沸かしてくるよ」 わざと席を外してくれたことは二人にもわかった。 アメリアはドアを閉じると、そこに背を預けて座りこんだ。 「良かった………また黙って出ていかれるかと思いました」 「だから見張りを頼んだのか?」 「だって! あの時だって勝手にアミュレットだけ持って一人で出ていったじゃないですか。ズルイですよ!」 「話し合ってる最中にお前が泣きながら眠りこむからだろうがッ」 「あんなの話し合いって言いません!」 しばし二人して睨みあって、先にアメリアの方が視線を外した。 膝を抱えて俯くと、アメリアが呟いた。 「………今度は置いていかないで」 独り言のように落とされた言葉に、ゼルガディスが無言で目をみはる。 「きっと最後の出奔になります。一緒に行かせてください………」 欠けたアミュレットだけでは心が繋げない。不安を抑えきれない。 だからここに瑠璃を買いにきた。 けれど。 「アミュレットを持ってても、ここに瑠璃を買いに来ても、王宮にいると不安なんです。王宮が私の居場所で、私は王族なんですけど、まだ私の方が弱くてそれに負けそうになるんです。だから、だいじょうぶだと思えるまで、ゼルガディスさんの旅についていきたい」 「…………」 「ダメですか………?」 顔を伏せたアメリアの目の前に無言で握り拳が差し出された。 反射的に手を差し出すと、銀色の塊が手のひらから手のひらへと移される。中の瑠璃が銀のカゴにぶつかってカチリと音をたてた。 「え……? え? えええぇっ、どうして?」 目を丸くするアメリアは、ゼルガディスがドアを開けたため後ろにひっくり返りそうになった。 「ゼルガディスさん!?」 「勝手にしろ」 「あ………」 その言葉がじんわりと染み渡って理解できたとき、アメリアは笑い泣きの顔で頷いた。 「はい、勝手にします!」 嬉しそうにそう言って、アメリアは奥の台所から出てきたグードに封蝋を施した羊皮紙を手渡した。昨日、寝る前に書いておいたのだ。 「これをうちの隊長さんに渡しといてくれませんか」 「別にかまわんが。嬢ちゃんはどうするんじゃね」 「これから出かけるんで、その旨を記した手紙です」 グードが無言で眉を動かしてアメリアを見た。 「―――ずいぶん急じゃな。役人たちの仕事はまだ終わっておらんぞ?」 「ええ、まだみたいですね」 すました顔でアメリアはそう答えて、グードに頭を下げた。 「耳飾りどうもありがとうございました。大事にしますね」 「いや、わざわざこんなところまで来てくれて、こちらこそ礼を言うよ。アメリア姫さま」 納得顔でグードが丸められた書状をぽんぽんと叩いた。 「渡しておくが、わしゃ知らんぞ?」 「ええ、グードさんは書状の中味を知りません。私はちょっと用があると言って工房を出ていったんです」 「ほうほう、ちょっと用がね」 「はい。ちょっと用が」 ゼルガディスが開けっ放しで出ていったドアのノブに手をかけて、アメリアはグードに笑いかけた。 「本当にありがとうございました。お元気で!」 陽光の中、黒髪を舞わせて走り去る自国の王女をグードは目を細めて見送った。 「やれやれ、行ったか」 手の中の書状にセイルーンの紋章が押された封蝋を見て取って、グードはにやりと笑った。 「これを渡すのは夕方のほうが面白いかのう」 陽はまだ高かった。 とことん素直じゃない肯定を返したゼルガディスは、ちゃんと村の反対側の出口―――パッと見にはわからないところに生えている木の根元でアメリアを待っていた。 体重を預けていた木から体を起こして、ゼルガディスが素っ気なく告げた。 「行くぞ」 「はい。行きましょう、ゼルガディスさん」 華のように、アメリアが笑った。 二人が朱橙の瞳をした炎の精霊に出逢うのは、それから半年後の未来の出来事である。 END *** もはやたわごとならぬ、うわごと(笑) *** 今日の『踊る』やはりフ○テレビにクレームがきたんでしょうかねぇ(笑) あんなところで切られちゃたまんないですから、よかったです(^^) や、やっと書けました、ユズハに出逢う前の始まりのお話です。これで過去の作品の海に沈んだお話たちを著者別リストに登録できます。いや、これが沈んでからですけど(笑) 『破烈の人形』を読んだ人が、話の矛盾点に気づかないことを祈るばかりです(滝汗)。辻褄を合わせようと頑張ったんですが、どうしても食い違う箇所が出てしまいました。いいのかなあ、そんなことで(嘆息) TRYの後、二人は話し合ったと思うんですが、うちの場合だとゼルが逃げてますな。何やってんのよ、あんたは(嘆息)。話し合いに一通りの結果が出て約束したところで、アメリアが泣き出したというのが正しいんじゃないかとは思いますが。いくらなんでも何の約束もせずに黙って出ていったわけじゃないだろうし。単に言葉が足りないだけだな、こいつは(笑) 原作ベースで書くかアニメベースで話を書くかは人それぞれだと思うんですけれど、私の場合は節操無くアニメ+原作二部です(^^;)。それに足しても支障がなさそうな原作の設定をばしばしぶちこみます。このお話はちょうど最終巻の頃にあたりますね。 それにしても書いてる最初はどうしてこんなに書けないのかわからなかったんですが、途中で理由が判明しました。王族の自覚を持ちすぎていて、アメリアらしくないのではないのかということで、筆が滞ってたみたいです(^^;) お世話になっているHPの掲示板でそのことを書いたら励まされまして、開き直りました。というか、原点に還りました。私は私のアメリアを書きます。私の場合はアメリアを書きたくてのゼルアメなので、これからアメリアをとことん書いていきます(笑) 個人的に『王女』という設定自体にこだわりがあるので。 悩みが解決した途端、進む進む(笑)。残りの部分を一日で書いてしまいました。 珍しく、ゼル視点でもアメリア視点でもない三人称が出てきました。自分でもなかなか新鮮でした。書いてて楽しかったです。 ああ、これでユズハの続きをアップするたびに心が痛まなくてすみます♪ ではでは。桐生でした。 |
5752 | ごめんなさいです(汗) | ゆっちぃ E-mail URL | 2/21-00:13 |
記事番号5750へのコメント 桐生さんこんばんわです〜〜、ゆっちぃでーす。(て、覚えてらっしゃるかしら(不安)) いやしかし、誰に謝ってんでしょうねぇ、わたし。 ……………自分に決まってるか、そりゃ。明日のテストの教科は全部捨てよう。 ンなもんどーでも良いから、まず先に桐生さんへのご感想書かなきゃっ!! 『瑠璃飾り(ラピス・ラズリ)』とっても素敵でした〜〜〜〜♪ 私的にゼルのキレっぷりが素敵でした。肋骨3本がじゃすとみーと(笑) 前作と筋もちゃんと通ってて、改めて桐生さんの凄さを痛感しました。 これからも素敵なお話、楽しみにしてますねんv ではでは。明日テストのゆっちーでした(爆) |
5767 | 捨てちゃイヤです(笑) | 桐生あきや | 2/21-23:00 |
記事番号5752へのコメント >桐生さんこんばんわです〜〜、ゆっちぃでーす。(て、覚えてらっしゃるかしら(不安)) もちろん覚えてます〜。はっかりきっぱりと。ねこちゃんのメールに『ユっちぃ』なんぞと提案してしまったのは、私ですし(汗) >いやしかし、誰に謝ってんでしょうねぇ、わたし。 >……………自分に決まってるか、そりゃ。明日のテストの教科は全部捨てよう。 >ンなもんどーでも良いから、まず先に桐生さんへのご感想書かなきゃっ!! そ、そんな捨てないで(汗) 捨てずに、適当にやっておくのがよろしいかと(死) >『瑠璃飾り(ラピス・ラズリ)』とっても素敵でした〜〜〜〜♪ >私的にゼルのキレっぷりが素敵でした。肋骨3本がじゃすとみーと(笑) >前作と筋もちゃんと通ってて、改めて桐生さんの凄さを痛感しました。 >これからも素敵なお話、楽しみにしてますねんv 通ってるようで通ってないんです、微妙に(^^; でも、気づかれなかったんなら、それでよしとします(オイ) そう言ったからって、探し出しちゃイヤですよ(笑) レスありがとうございます〜。 よろしければまた読んでやってください。 ではでは。桐生でした |
5755 | この時は渋い魔剣士さんなのに(笑) | あごん E-mail | 2/21-00:40 |
記事番号5750へのコメント こんばんは、あごんです! 「瑠璃飾り」読みましたっっ! 相変わらず素敵ですねぇ(感動)。 クードさんがツボです(笑)。 「やれやれ。お姫さまと勇者の恋路か。 伝承歌にはありがちじゃが、実際に見るとはな。 一一一幸多からんことを、っと。 ガラじゃあないかのぅ」 などと苦笑しつつ背中を見送ってそうですね♪ そして破烈の人形へと続くワケですね。 ここまではゼルもかっちょいいのに(笑)。 まさかあんな子供染みた喧嘩を繰り広げるとは、クードさんも夢にも思わないでしょう(笑)。 アメリア論。 ちょっと自分も考えている事があったので、胸に染みました。 私は原作で行くことにしましたが。 アニメアメリアが「ゼロスさん」でなければっっ! ここだけが私のこだわりなんです(笑)。 自分のアメリアってところに感銘を受けました。 そうですよねぇ。結局私は原作者ではないのですから。 私の書くアメリアは私のアメリア以外には成り得ませんよねぇ。 ではでは、支離滅裂ながらもこの感動が伝わる事を祈りつつ。 あごんでした! |
5768 | 歳月は人を変えるものなのです(笑) | 桐生あきや | 2/21-23:07 |
記事番号5755へのコメント >こんばんは、あごんです! >「瑠璃飾り」読みましたっっ! >相変わらず素敵ですねぇ(感動)。 ありがとうございます〜。アップしたいまでも、これで良かったのか首を傾げることしきりな、桐生でございます(笑) あごんさんの生誕祭も続きがすごく、気になります。 >クードさんがツボです(笑)。 >「やれやれ。お姫さまと勇者の恋路か。 > 伝承歌にはありがちじゃが、実際に見るとはな。 > 一一一幸多からんことを、っと。 > ガラじゃあないかのぅ」 >などと苦笑しつつ背中を見送ってそうですね♪ 偏屈じじいですね。 ゼルとのやり取りは楽しんで書いてました。 >そして破烈の人形へと続くワケですね。 >ここまではゼルもかっちょいいのに(笑)。 >まさかあんな子供染みた喧嘩を繰り広げるとは、クードさんも夢にも思わないでしょう(笑)。 「やっと本性が出たか」とか言いそうです、何か(笑) 最初に書いた破烈の人形と、いまではだいぶゼルもアメリアも変わってきちゃっているので、ちょっと焦りました。帰ってきたら、またユズハと今度はオルハも交えて喧嘩してくれることを祈りましょう(笑) >アメリア論。 >ちょっと自分も考えている事があったので、胸に染みました。 >私は原作で行くことにしましたが。 >アニメアメリアが「ゼロスさん」でなければっっ! >ここだけが私のこだわりなんです(笑)。 >自分のアメリアってところに感銘を受けました。 >そうですよねぇ。結局私は原作者ではないのですから。 >私の書くアメリアは私のアメリア以外には成り得ませんよねぇ。 私の場合、自分のなかの王女論を書くのにアメリアを借りていることを最近自覚しました。それで、それがアメリアらしくないので、アメリアで王女を語るのはやめようかとも思ったんですが、結局書きました(笑)。王女って設定が個人的に大好きなんです。 >ではでは、支離滅裂ながらもこの感動が伝わる事を祈りつつ。 >あごんでした! ダイレクトに直球ストレートです(意味不明) ではでは。レスどうもありがとうございました。 桐生でした。 |
5759 | よぉめに〜〜〜来ないかぁ〜〜〜(こぶし) | みてい | 2/21-08:54 |
記事番号5750へのコメント こんにちは、またもやのみていでございます。 読ませていただきました『瑠璃飾り』。 かっこぇぇなぁ。ゼルもアメリアも。 このアメリア、みていんとこに嫁に来てくんないかなぁと思うほどv > 原作ベースで書くかアニメベースで話を書くかは人それぞれだと思うんですけれど、私の場合は節操無くアニメ+原作二部です(^^;)。それに足しても支障がなさそうな原作の設定をばしばしぶちこみます。このお話はちょうど最終巻の頃にあたりますね。 アニメ版のアメリアと原作版のアメリアは、登場した場面の都合もあったでしょうがかなり「立場」に違いがありますよね。 どっちもアメリアには違いが無いので、みていは最初に入った方(アニメ版)を表に、根底に「王女」を持ってくるようにしています。…大層なこと書いてあるように思われるかもしれませんが、要するに「都合のいいとこ取り」です。 ……ただ、みていが書くとリナもアメリアも妙に幼くなる傾向がありますが… ではでは、さらなる作品楽しみにしてます。 お邪魔しましたv |
5769 | 俺の屍を越えて行け?(笑) | 桐生あきや | 2/21-23:12 |
記事番号5759へのコメント >こんにちは、またもやのみていでございます。 再度ありがとうございます。桐生です。 >読ませていただきました『瑠璃飾り』。 >かっこぇぇなぁ。ゼルもアメリアも。 かっこいいって、言っていただけてありがとうございます、嬉しいです。 桐生にとって、スレの女性キャラはみんなかっこいいんですvv >このアメリア、みていんとこに嫁に来てくんないかなぁと思うほどv その場合、魔剣士殿の屍を踏み越えていかないと無理でしょうねぇ(笑) >> 原作ベースで書くかアニメベースで話を書くかは人それぞれだと思うんですけれど、私の場合は節操無くアニメ+原作二部です(^^;)。それに足しても支障がなさそうな原作の設定をばしばしぶちこみます。このお話はちょうど最終巻の頃にあたりますね。 > アニメ版のアメリアと原作版のアメリアは、登場した場面の都合もあったでしょうがかなり「立場」に違いがありますよね。 > どっちもアメリアには違いが無いので、みていは最初に入った方(アニメ版)を表に、根底に「王女」を持ってくるようにしています。…大層なこと書いてあるように思われるかもしれませんが、要するに「都合のいいとこ取り」です。 > ……ただ、みていが書くとリナもアメリアも妙に幼くなる傾向がありますが… どっちも基本的な根っこの部分は変わらないと思いますけど、やっぱりアニメ版かなあ、私も……。 私が書くとリナもアメリアも妙に聞き分けがよくなるので困ります(^^;) >ではでは、さらなる作品楽しみにしてます。 >お邪魔しましたv ありがとうございました。 よろしければ、また発見したときは読んでやって下さいませ。 桐生あきや 拝 |
5765 | ああ・・・甲斐性無し・・・(涙) | 水晶さな E-mail | 2/21-21:37 |
記事番号5750へのコメント いやいや魔剣士さんもとうとう観念しましたな(爆)。 のっけから何言ってんだか。こんばんわ水晶さなです。 後に出てきた耳飾りってこれだったんですねぇv(←今更気付いた奴) 最後はホノボノとした感じで堪能させて頂きましたv それにしても前科有りで見張りまで付けられるとは信用無いお人だ・・・(涙)。 水晶さな拝. |
5770 | ええ、まったく……(笑) | 桐生あきや | 2/21-23:20 |
記事番号5765へのコメント > いやいや魔剣士さんもとうとう観念しましたな(爆)。 > のっけから何言ってんだか。こんばんわ水晶さなです。 こんばんわ♪ とうとう観念しましたね。桐生です。 > 後に出てきた耳飾りってこれだったんですねぇv(←今更気付いた奴) > 最後はホノボノとした感じで堪能させて頂きましたv アミュレットもあるのに、さらに何かを出現させた私は、大馬鹿物です。いまはアミュレットと耳飾りの大事さ具合の比重をとるのに必死です(笑) 最初っからひとつにしておけばいいのに。 > それにしても前科有りで見張りまで付けられるとは信用無いお人だ・・・(涙)。 桐生のなかでの、TRYの後はそんな感じです。実は、初めて書いたスレパロの元ネタでして(汗)。泣き寝入ったアメリアが朝起きるともういなくて……という、いえ、永遠のゴミ箱行きの話ですが(汗) ゼル、もうちょっと女の子の扱い方覚えようよ(笑) さなさんのほうも、「HAPPY DREAMS」がんばってください。 ではでは。桐生でした。 |
5787 | さあ出発だ♪(柚葉を訊ねて三千里) | ゆえ E-mail | 2/22-23:45 |
記事番号5750へのコメント こんにちは、ゆえですっ! 数年ぶりの風邪に負けて寝込んでいたらっ! ああっ!ゼルがヒーローばりに登場しているじゃぁないですかっ! くぅ!下がった熱がまた上がりそうです。 アメリアの耳飾りにはそんな出来事があったんですね。 ゼルは美味しいトコもっていきますね。 アメリアも持って行っちゃったし(笑) ああ、なんだか変なコメントになってしまいましたが(風邪のせいひとつか?) 続き、楽しみにしてますっ! |
5794 | 漢字バージョンだ♪ | 桐生あきや | 2/24-06:45 |
記事番号5787へのコメント >こんにちは、ゆえですっ! こんにちわ、桐生です。うちの不肖の精霊の漢字覚えててくれたんですね。 なんだか嬉しいです。スレの世界で使うわけにもいかないですが(^^; >数年ぶりの風邪に負けて寝込んでいたらっ! >ああっ!ゼルがヒーローばりに登場しているじゃぁないですかっ! >くぅ!下がった熱がまた上がりそうです。 ああっ、悪化させてたら、どうしましょうっ。 風邪はもうだいじょうぶですか? 風邪とか花粉症とかダブルで来たらたまりませんよね。 >アメリアの耳飾りにはそんな出来事があったんですね。 >ゼルは美味しいトコもっていきますね。 >アメリアも持って行っちゃったし(笑) 持ってっちゃいました。半年の間に何があったから、ユズハと出逢ったときはあんなにらぶらぶだったんでしょーねぇ(他人事)。 >ああ、なんだか変なコメントになってしまいましたが(風邪のせいひとつか?) >続き、楽しみにしてますっ! ありがとうございますっ! 最近になってバカ頭が長編を考えついたのでいませこせこ書いてます。 ゆえさんも、『遙かなる絆』がんばってくださいね。 |