◆−魔を滅する者 その後 修正版・1−R.オーナーシェフ(3/1-18:51)No.5830
 ┣魔を滅する者 その後 修正版・2−R.オーナーシェフ(3/1-18:54)No.5831
 ┗魔を滅する者 その後 修正版・3−R.オーナーシェフ(3/1-19:03)No.5832
  ┗はじめまして−みてい(3/1-21:36)No.5833
   ┗Re:はじめまして−R.オーナーシェフ(3/3-18:37)No.5856


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5830魔を滅する者 その後 修正版・1R.オーナーシェフ E-mail 3/1-18:51


昔、スレイヤーズ本編終了前に投稿した小説なんですが、その後の展開でいろいろとズレちゃったりしてるんで、
修正版を投稿します。

************************************************
昔、姉ちゃんの「世界を見て来い」の一言であたしは旅に出て、1人の男と出合った。
それ以前に変な露出狂女魔道士もいたが。
男の名はガウリイ・ガブリエフ。
いつのまにか、ガウリイと一緒にいるのが当たり前になり、自分で気がつかないうちに惚れていたらしい・・・
つらい戦いがあった。友に旅をした仲間を、あたしはこの手で倒した。その後、ガウリイはあたしの郷里
へ行きたいと言い出した。驚き、意味わかって言ってるのかと返すと、ガウリイはあたしにこう言った。
やさしく。
「ああ。そのつもりだ。」

それからしばらくたった。あたしは「魔を滅する者(デモンスレイヤー)」と呼ばれるようになった。
あるエルフがそう呼んだのが最初なのだが、そのエルフと知りあいだったセイルーンの
グレイシア王女を通じてヒロイックサーガ好きのアメリアに伝わり、一気に広まったらしい。
ドラまたリナと言われたころとは手のひら返したように、魔道士協会本部再興委員会委員長なんぞ
にも推薦されたりもした。すぐにけったけど。しばられるの、やだったし。
で、今は何をしているのかというと・・・・・・・・・せんぎょうしゅふ。
こら!そこ!変な目で見るんじゃない!そりゃー、昔のあたしから見れば意外かもしれないけど。
いいじゃんか。別に。料理は得意なんだぞ。
それに、魔道に集中するのもいいが、しばらくは彼と二人っきりでいたかった・・・・・・・。

にしても、
「おそいな。ガウリイ。」
夕飯の仕度をすませ、あたしはエプロン姿でひとりごちた。
仕事で三日も家をあけているのだ。姉ちゃんの推薦でゼフィーリア騎士団、
「永遠の女王(エターナルクイーン)」直属の対魔族戦部隊なんぞに仕官した。報酬高いからと。
でもこんなに忙しいなんて・・。
そろそろ帰ってくるはずなんだけどなあ。
ガチャ
「リナ、帰ったぞぉ。」
来た!!!玄関へだっしゅ!
「お帰りなさい、ガウリイ。ねえ、ごはんにするぅ?おふろにするぅ?それとも、あ・た・し?」
「もちろんリナ!」
ガバッ
「あん。もう。ガウリイったら。」


朝なのか?はっきり目覚めたという感じがない。ずっと夢の中にいたような・・
「リナ、起きたのか?」
すぐ隣で寝ていたガウリイが言った。
「今日は休みよね。ねえ、寒い時期だし、しばらくこのままいよ。」
「そうだな。」
ガウリイはあたしの背中に腕をまわし・・
ズダン バコッ
なんだとばかりにベッドの中から外をうかがうあたしたち。 
と、そこに立っていたのは・・、
『わっわっわっわ、姉ちゃん!?』
真っ赤な、襟のあたりやミニスカのすそが白く、ふわっとしている服を着て、でっけー白い担いだ姉ちゃんが
仁王立ちしていた。
昔、竜神が魔王を封印し、己の分身たる竜王を創造して、力と意識の一部を人間に託して混沌へ帰った日。
ゼフィーリアの田舎の言い伝えで語られるお祭りの日がもうすぐ来るのだ。その、神の欠片を託された人間は
竜王の意をうけ魔族から人間を守り、清き心を持つ子供に褒美を与えたという。
姉ちゃんのバイト先では今、それにちなんだサービス期間なのだそうだ。でも、スイーフィードナイトの
マネゴトしているバイトの姉ちゃん達の中に、まさか「本物」が混じっているとは誰も思うまい。
「姉ちゃん、どしたの?」
「仕方ないからドアぶちやぶって入って来たのよ。聞こえないの!?どこぞのおっちゃんが必死に
ドアたたきながら『お願いします!デモンスレイヤー様!デモンスレイヤーさまあああああっ!』
って叫んでるのに。」
あたしたちは実家の近くに家立てて2人で住んでいる。
「ガウリイ聞こえた?」
「いやぜんぜん。」
「・・二人の世界に浸っていたわけね・・・・・・・・。」
「姉ちゃんさあ、その人の話し聞いといてくんない?シャワー浴びたいのよ。」
「うーん・・・・・。まあ・・、いっか。サービス期間だし。」

その男、フランクさんの話はこうだった。
フランクさんは、サイラーグの魔道士協会本部再興委員会委員長ビアンカの秘書。ビアンカっていうのは
世間じゃあまり知られてないが実践派のあたしに対し研究派の女魔道士として名をなし、魔道士の
間じゃあたしに比べて『もう一人の天才』とか白魔術で有名なグレイシアをいれて『現代の三大魔道士』
とか言われるくらいのやつ。最初、委員長にはあたしが押されたが断り、グレイシアの紹介であたしが
推薦した。そのサイラーグで今、謎の失踪事件が相次いでいるという。その被害は委員会の魔道士にも
及んでいる。前にもあったなあ。こういうやつ。
「それって役人の仕事じゃん。」
「しかし委員会にも被害がおよんでますし、なによりビアンカ委員長がデモンスレイヤー様にぜひということで」
「でもなあ・・サイラーグって遠いし。」
「金貨3000枚。」
「3000枚!? のっ・・」
べちっ
「乗った!!リナ、行ってこい!!」
あたしの頭をうしろからテーブルに押し付け身を乗り出した姉ちゃんが言った。

ってなわけで仕事をひさびさに引き受け、遠い道のりをすっとばし、いきなり委員長室。
「ひさしぶりね。ビアンカ。」
「悪いわね、リナ。わざわざ来てもらっちゃって。こちらは委員の一人で委員会の調査責任者マーリンさん。」
「話すのは初めてね。確か前ここに来た時見かけたけど。」
「はじめまして。デモンスレイヤー殿に協力していただけるとは大変光栄です。」
その深く冷たい目は、前々光栄に思ってない事を語っていた。話し方が役人のように事務的。
あたしより少し上、20代後半くらいか。
「じゃあまず、詳しい話とどれくらい調査が進んでいるのか・・」
「ではこちらへ。資料室にご案内致します。」
と、フランクのおっちゃん。

ファイルを開く。そこには名前とその人の素性がずらああああああああ・・・
「なによこれ!?これ全部?」
「ええ。」
「こんなにいなくなるまで役人やあんたら何やってたのよ!?」
「そう言われても・・」
「なあリナ、俺・・」
「あ、ガウリイは適当にぶらぶらしてて。」
「・・・・」
ふふっ。昔とかわらないなあ、このやりとり。

その晩は、委員会の手配した宿に泊まった。
「ねえ、ガウリイ。」
「ん?」
「最近ね、あたし変なこと考えちゃって・・」
「変なこと?」
「もしガウリイがいなくなったらあたしどうなるかなあって・・・」
大切なパートナーを失った者を、あたしは何人か知っている。あるものは世界を恨み、
またあるものは日々前を見て生きていた。
一度・・。ガウリイを失いかけたことがある。その時、あたしは・・世界を滅ぼしかけた。
「なあんだ。」
「なあんだとは何よ!」
「お前らしくないな。そんなこと考えたってどうにかなるわけないだろ。前言ったろ。
俺は一生そばにいる。俺を信じろよ。」
「そっか。そうよね。・・・・あ!」
「お前もきずいたか。」
「うん。」
気配が一つ、二つ、三つ・・・・・かなりいる! あたしが来たと知って黒幕がいきなり襲いに来たか?
としたら・・・・
あたしたちが来てるのを知ってるのは限られてるはずだ。情報がもれた?
まだ気配がふえた。あたしは急ぎ呪文を唱え、攻撃が・・・来る!
どぐわああああああああああああああああああん
紅蓮の炎につつまれた宿からあたしたちは駆け出し、
「ほーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ。」
こ、この高笑いは!
「ひさしぶりね。リナ。」
「なんでセイルーンの次期女王がこんなとこにいんのよ!?」
「あなたがひさびさに仕事受けたって言うからからかいにきたのよ。」
ったく。
「で、この炎は?」

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5831魔を滅する者 その後 修正版・2R.オーナーシェフ E-mail 3/1-18:54
記事番号5830へのコメント

「助けて上げたんじゃない。わけわからん連中にかこまれてたからふっ飛ばしたんでしょ。」
「いっしょにふっとばすなああああああああっ! どうすんのよ!?この宿!?
結構いいとこなのに!」
「なあリナ、あの人ナーガって言ったっけか?お前とやること似てるな。」
あたしはガウリイの首に手を回し、
「お願いだからそうゆうことは二度と言わないでね。」
「わっ、分かった!俺が悪かった!く、首がくるしいいいいいっ!」
「さ、もう行きましょ。火も熱いしやじうまも・・・・・!」
火が熱くない!?燃え盛る音もしない。やじうまも来るどころか物音一つしない。静かすぎる。
こういう状況はあたしもガウリイも何度も遭遇してる。多分ナーガも知ってるだろう。
とすると・・この件、魔族がらみか。
「さっさと出てきなさいよ!あたしに用があるんでしょ!」
「そこの高笑いした女、なかなかやるな。敵はそこの夫婦だけと思っていたが・・・」
「おかげで手駒がだいぶへってしまったぞ。」
人・・・の形をしているのだろう。もう一人がそいつに続けて話した。他に2人。
中級か、それ以上? が、4人。そして・・・
炎、と言っても、あっちの世界で燃えてるやつをうつしてるだけだが、そこから1、2、
3,4、・・・・・っておい!出てくるわ出てくるわ、 皮膚が膨れ上がり人間の顔が埋まって
るやつ、やたら長い手がいっぱいはえてるやつ、まるっきりデーモンのやつ、ちゃんと人の形した
暗殺者ふう、前に何度かであったことあるようなのが30、40くらいいるか? ってことは・・・
必然的に、しかしいやな考えが思い浮かぶ。が、まずはこの場を・・どうする?
よし!やっぱここは定番通り!
「ナーガ!次期女王はアメリア・・でも心配だけどそっちの方がマシよ!
死んでこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!」
「わきゃああああああああああ・・・・・・・・・・・」
人魔やキメラの集団のなかに飛ばされ・・・光を発する!!
「ブラバザードフレア!」
神聖呪文!?取り囲んでいたかなりを吹き飛ばし、なおも光りは・・
「ガアアアアッ!」
中級魔族の一人に達した!?
「ほーっほっほっほっほっほ。最強最後のライバルが昔と同じと思わないことね。リナ・インバース!」
「ナーガ、 す、すげえ・・」

間を置かず、4匹の魔族が虚空へ消えかかるが、すかさずガウリイが斬りこむ!
「うおおおおおおおおっ!」
アストラルヘ逃げ遅れた、ナーガの攻撃を受けた魔族の胴を真っ二つにした。
「なめるなよ。人間。」
ガウリイを睨んだ魔族はすでに人の形が崩れ異形の存在と化していた。

昔の戦いでかなり消耗した四つのタリスマンがあたしの意に従い光を放っていた。
威力は落ちても発動はできるようだ。
消えた3匹はどこから来る?
・・・・・・・・・・・・・・・正面!!
思うより速く、横へ飛び現れた魔族のはなつ攻撃をギリギリでさける。受身を取り、正面を見た。
「さすがだな。いい目をしてる、と、人間同士なら言うんだろう。負の感情がねえ。
生意気だよ。リナ・インバース。」
なんとも言えぬ、ヤな感覚。かすかに。闇が蠢く。
静かに・・・。目を閉じる。
・・・・・・・・・・・今!!
「神滅斬(ラグナ・ブレード)!!」
「なっ!?」
あたしにごちゃごちゃ言っていた魔族が驚く。あたしが呪文を発動したのは、あたしの左右
両脇。はさむように出現した中級魔族に両方の手から闇の刃を突き刺した。
「この状態で呪文は使えまい!」
正面の魔族が一気に空間を走る。だが。
「ガッ?」
他の魔族同様、闇の刃に串刺しとなった。顔面に。発動させたのは、あたしの足の裏。
格闘技の興行などである顔面蹴りの要領だ。
3匹の魔族は同時に虚空へ塵と消えた。
「ふ。誰が昔と同じじゃないって?ナーガ。」
「ほーっほっほっほっほ。まだ甘いわね。リナ・インバース!」
と言ってナーガは呪文を唱え始めた。あたしの知らない、だがどこかで聞いた呪文を。
「させるか!!」
ガウリイと斬りあっていた魔族がナーガを阻止しようとするが。
「がふっ。」
胸に深く突き刺さる斬妖剣。
「なめてもらっちゃ困るな。注意それて受けられるほど俺の剣は甘くねえ。」
ナーガの呪文が完成する。
「カオティックディスティングレイト!!」
これは!黄金竜などが使う最強の神聖呪文!
ナーガのまわりに出現した、ラ・ティルトを上回る光柱があたりのデーモンを吹き飛ばす。
「ブレイク!」
ナーガがパチンと手を鳴らした瞬間、光柱がはじけ、あたりがすさまじい光につつまれる。
ガウリイと戦っていた奴も含め魔族たちが光の中に消えていく・・。
「リナ!!まだだ!!!」
ガウリイが叫ぶと同時。一匹だけ、光にさらされながら残っているのにやっと気づいた
それが、あっさりと消える。滅びたのではない。
刹那。
神聖呪文の光の海が歪み、何かと反応するように消えていく。その原因に、あたしは最悪の
可能性を思いついた。
・・迷っていたら・・、やられる!!
あたしは呪文を唱え始めた。
全身が激しく重くなる。こころに。闇が・・来る。
魔道の示す世界の四種の力と因果律が消滅し、光と闇と、創造されては滅ぶ。
常に揺らぐ、混沌の海。そこから、自ら生み出した時空に悲鳴をあげさせながらあたしの中に
触手が伸びる。髪が黄金にそまり、物質世界に不思議な空間―アストラルが重なり視えはじめる。
その中に蠢く闇。まっすぐこちらに迫っていたそれは、出現した『あたし』に驚き混乱しながら
勢いあまって衝突し、アストラルの体のかなりがふっとぶ。生き残った闇はアストラルサイド
の中をあわてて飛んでいった。
「リナ、リナ!!大丈夫か!?」
かつてリナ・インバースを取り戻そうと『あたし』に挑んだ唯一の人間が、『あたし』の肩をゆらす・・
・・・・・はっ!?
「が、ガウリイ!!」
あたしはあわてて呪文を解除した。一瞬だけ呪文を唱え、超強力な魔力結界を使おうとしたのだが。
・・・あ、あぶねー・・・・・・。

次の日の朝、三人で朝食。と、そこへ
「よう、久しぶりだな。」
表から一人の男が入ってきた。彫りの深い中年男。自称近所の奥様方に切れ者と評判の、
「ワイザーのおっちゃん! なんでここへ?」
「そりゃあんな騒ぎがあればすぐ分かるさ。このサイラーグへは、まあ、残党狩りって言ったとこかな。」
残党狩り・・か・・・。まだ証拠はないが、まちがいなさそうだな。目的は?
同じ軍備増強ってのは考えにくい。誰がなんの得をする?あの資料室で見たファイル、
数百人ぐらいいたろうか?・・・大量虐殺・・・・・それ自体目的か・・? まるで魔族・・
「同じこと考えてるのか? ソラリアであいつらの息の根止めたつもりだったんだがな。甘かった・・・」
おっちゃんが言った。
「で、どれくらい分かったの?」
「あちこちの証言からして、昔、神聖樹フラグーンがあった、あの委員会のでっけー施設の
どこかにあやしい場所があって委員会
にもぐりこんでいる誰かが犯人。」
「そんなもんあたしだって想像はできるわよ。他には?」
「今追ってるやつが二人いてな。一人は旧ルヴィナガルト王国に使えてた魔道士の一人フランク。」
「ふ、フランク!?」
「ああ。あの委員長秘書フランクだ。まあ真面目だし頭が切れるわけでもないし、本命とは
思わないがな。何度か尋問したが特に成果はない。もう一人は元宮廷魔道士アン。謎の女だ。
俺もそいつの顔見たこと無いんだ。前国王は城の外の研究施設にいるとか言ってたがな。
そいつに関することといやあ・・たしか国王の愛人とかうわさがあったかな。」
「愛人・・か・・・。やっぱ・・非道な王でも・・、好きだったんでしょうね。」
「ま、会った事もないし。なんとも言えんがな。」

あたしは1人、部屋に戻った。ベッドに仰向けに寝て、天井をながめる。思いついた、
嫌な可能性を考えながら。
ふと、ある男女二人組の顔が浮んだ。かつて、友に戦った仲間の顔を・・・


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5832魔を滅する者 その後 修正版・3R.オーナーシェフ E-mail 3/1-19:03
記事番号5830へのコメント

「リナ、入るぞ。」
カチャ
ずっとあたしといるせいか、あたしの心の状態が伝わってしまうようだ。ガウリイが心配そうに
見つめながら部屋に入ってきた。
ベッドのそばに、ゆっくりしゃがみこむ。
「うーん・・・・・。あまり成長してないなあ。いろいろ試してるのに。胸・・。」
「って、そっちの心配かい!!」
「はっはっは。やっとリナらしくなったな。どうしたんだよ?」
「うん・・。ちょっと、事件のこと考えながら、昔を思い出しちゃっててね。
・・ねえ・・・、ガウリイ。ガウリイは・・、ずっとあたしの側にいてくれるよね・・?」
「あったりまえだろ。昔言ったじゃん。俺は一生お前の・・」
「ふふ。保護者だもんね。ねえガウリイ。来て・・・・・・・・」
すいよせられるように、お互い求め、抱き合い。唇が重なる。限りなく、深く。
ガウリイから伝わってくる温もりが、うれしさと、少しの恥ずかしさで胸を苦しくさせ、頬がほてる。
「リナ、愛してる・・・・。」

「ひゃー、冷えるなあ。ううううううさぶっ!」
真冬の夜中、巨大な施設、将来の新魔道士協会本部の廊下、あたしたち二人だけが
足音を消し、気配を殺して歩みをすすめる。
「おお、あったあったここだ。」
「見つかったか?」
あたしの言葉にガウリイが反応する。
「レイ・マグナス、シャザード・ルガンディ、ルオ・グラオン、赤法師レゾと来てやっと
あったわ。リナ・インバース記念館!!!!」
「お、お前なあ・・・」
と、あたしの調子にほっとしたようにガウリイがためいきをもらす。
「分かってるわよ。さてと・・・ん?」
あたしは自分の記念館の中の壁をなぞり、
「ガウリイ、ここ斬って見て。」
「あったのか?」
ガウリイはすーっと剣を抜き、ライティングを反射してその輝きに黄金竜の書いた文様がうかぶ。
あたしは消音のため風の結界をはり、
「はあっ」
ガタン、ズーン。
「ビンゴ!変わらないわね。こういうパターン。」
そこにはかなりしたまで続く階段。にしても・・・あたしの記念館につくるなああああああああああっ!

暗い階段をかなり降り、明かりが見えてくる。ここは昔なら・・・ヘルマスターの時の・・
視界が開ける。予想通りの、しかしできれば外れてほしかった展開。
あたしの想像にすぎなかった。だが、ここまで来れば間違いは無いようだ。
もう、引き返す事は出来ない。
そこには、わけわからんキメラの入った水槽ががずらああああ・・
ゼルが戻れた今なら何人か助けられるかもしれない。でも魔族と融合してる場合はどうだろうか。
そして、水槽の林のぬけると彼女がいた。
「まってたわよ。あなたなら来てくれると思ってたわ、リナ。」
「あたしが旅してたころ急にあんたが有名になる前の名はアン。そうね、ビアンカ。」
「そうよ。」
「目的は世の中への復讐と・・・あたしとの直接対決。あたしが無視しないよう、確実に
あたしが戦わざるを得なくした。前ならナンセンスってバカにするところだけど今なら愛する人を、
たとえ悪人でも失った気持ち、ちょっとだけ分かる気がする。もう、だめなのね・・・」
「そういうことよ。うれしいわ、分かってくれて。」
と、手をかざし、発光しはじめ・・・いきなり攻撃!! 呪文無しか!?
考えるより早くあたしとガウリイは両脇へそれぞれ飛び攻撃が炸裂!
どごおおおおおおおおおん。
思ったより威力がでかい!
「空(ヴォイド)」
あ、あいつと同じかい!
とすると出てくるのは・・・
瞬間、ガウリイが剣に手をかけ、同時にあたしはしゃがむ!!
「ギャアアアッ!」
頭上をとおった剣がビアンカに深くささる。あたしは回転し至近距離で呪文を放つ。
「獣王牙操弾!」
おかしいな。もうちょっとこの呪文威力あったきがするけど。でも、
「!」
一線を超えた彼女は、おそらくは望みどうり、虚空に塵と消える・・
「やったか?」
「まだよ。彼女は滅んだけど。」
そう、人間に人の形した純魔族が四匹も従うはずないし、この事件は一人でやるには
規模が大きい。
「さっさと来なさいよ。あんちょくネーミング魔族!」
「悪かったな、あんちょくで。」
虚空から現われたそれはなんとか人の形を取っているものの、右腕がなく、顔半分から
右肩にかけてが闇に浸食されつつあった。
あの時衝突した影響か・・・・。
「あ!お前!えーと・・・」
「ほら、調査責任者のマーリンよ。」
「おお、そうか。」
調査責任者としてあたしたちの宿を手配したのはこいつ。あたしたちの安全のため
そういう場所は普通、秘密にされる。それが1日であっさりとバレたのだ。
情報が漏れたのではない。襲ったのは秘密を知る本人。
「私の本名は海神官ブルーマーリン。ルビーアイ様を宿した人間を探るため魔道士として
もぐりこんでいたところ、心に大きな闇を持った人間にであったのでな利用させてもらった。」
「分からない事があるわ。あたしたちを襲ったのは、あたしたちを追い込み事件に確実に
深入りさせるための、ビアンカの指示。でも殺しちゃったらビアンカとの直接対決は
出来ない。なぜ、あの時、あたしをアストラルからあっさり殺そうとした!?魔族は人間に
そういうことしないって聞いてたけど?」
「実は最近、上から命令がきてな。『リナ・インバースは人間とはみなすな。』
こういう命令がルビーアイ様から出るのはあのほんとにいるのか分からん赤の竜神の騎士
についで二人目だそうだ。魔族にもいいかげん邪魔になってきてな。今後はドラゴンや
エルフと同じ扱いしてやるぞ。なーに。負の感情を食らうのを少し控える程度だ。」
それでいきなりアストラルからきたのか。っておい!じょうだんじゃない!
「苦しませはしない。夫婦そろってあのお方の元へ行くがよい!」
と言い終わるや否やいきなり消える!えーい!しゃあない!やっちゃえ!
呪文を唱え、やがて髪が金色にそまりだす・・・・・。

「クッ!?」
触手をのばそうとした直前、何かに引っかかるような感じを受けた『あたし』は
結界を簡単にやぶられ吹き飛ばされた。
「り、リナあああああっ!」
飛ばされた『あたし』をかばうように後ろへまわり壁に激突!
「グッ」
コキ
リナ・インバースの心がゆれるのが分かった。ガウリイの肋骨が折れたか?
「り、リナ、大丈夫か!?」
何故だ?全然力がふるえない。前にこの人間に召喚された時はまだ力が出たはずだ。
何故・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・あ。そういうことか・・・。
『あたし』はリナ・インバースの体の異変に気が付いた。
力がふるえないのでは仕方が無いな・・・・・・

「どうした?伝説の魔を滅するものはその程度か?」
目をあげると魔族があたしのすぐ目の前にせまっていた。
あたしたちはなんとかふらふらと立ち上がり、
「うっ!」
思わず口をおさえひざをつく。胸が苦しい。この込み上げてくるものは・・・
だとしたら・・・絶対に
「あたしはやられるわけにはいかない!!」
ガウリイにささえられながら、あたしは立ち上がった。
少し。すこしでいい。お願い。あいつを倒せる魔力を!
「ガウリイ、時間稼いで。」
「分かった。」
というやいなや、次の瞬間、斬妖剣は魔族をすでに斬りさいていた。
魔族を浸食する闇が大きくなっているのが分かる。それでも人の形をとっているのは
ダテに高位魔族ではないということか。
あたしは呪文を唱え始めた。

  悪夢の王の一欠よ 
  世界のいましめ解き放たれし
  凍れる黒き虚ろの刃よ
  我が身 我が力となって
  共に滅びの道を歩まん
  神々の魂すらも打ち砕き
「神滅斬(ラグナ・ブレード)!!!!」

斬りあっていたガウリイが横へ飛ぶ。そのすぐ後ろから、あたしは渾身の力を込めて
闇の刃を突き出した。
刹那
あたしの視界が一瞬曇る。
「リナ!!」
よろけかかったあたしの腕をガウリイがあわててつかんだ。
あたしとガウリイにささえられた闇の刃は虚空へ消えかかった魔族をとらえ
深々と突き刺した。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァッ。」
魔族を浸食していた闇が一気に広がり、人の形が崩れていく。
「おのれ!おのれ人間共!!」
『なっ?』
闇を押しもどし、崩れかかっていた人の形を必死にささえた。
ゆっくり、構えた魔族の左手に光がともる。

ズッ!!
それはいきなり現れた。
赤い光が走った次の瞬間、それは高位魔族の首に直接ダイビングエルボーをかます。
魔族の頭が粉々に吹っ飛ぶ。
もちろんこんなことやるのは一人しかいない。・・いや。セイルーンにもう一人いるか。
そして、間を置かず流れるように背中から抜いた剣をまっすぐに振り下ろし、魔族は
虚空に塵と消え去った。
『ね、姉ちゃん!』
「ね、姉ちゃん、なんでここに?」
「あんたが出ていった後になって嫌な予感がしてね。どう?体の調子は?」
姉ちゃんは、やはり持ってる力のせいか巫女や神官と同じ能力がある。いや、
もっと強力かもしんない。なんとなく分かってしまったらしいのだ。あたしの・・
「う、うーん・・。ま、なんとかね。そっか。ありがと。姉ちゃん。」
「サービス期間だしね。あたしは『子供』にはやさしいから。
でね、セイルーンに来たらいきなりグレイシアが高笑いしてたのよ。」
「それで気づいて、ここに連れてきたってわけだ。いやー、このひとがフランク問い詰め
たら全部ゲロしたよ。」
「ワイザーのおっちゃん! ナーガが?」
「ほーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ。これくらいはたしなみのうちよ。」
な、ナーガって・・・
「さーて、見せてみなさい、リナ。」
ナーガはあたしのお腹のあたりをさすりながら、なにやらぶつぶつ唱え・・
「まちがいないわね。うすうすきずいてるんでしょ。リナ。」
「う、うん。」
「なにが?」
「鈍いわね。ほら、自分で確かめてみなさい。」
と、ナーガはガウリイの頭をあたしの下腹部に押し当て
「・・・・ そうか! ははっ。そうなのか。うーん、よしよし。」

その後、姉ちゃんはバイトだバイトと言いながらすぐにゼフィーリア方面の街道を行き、ナーガ、
ワイザーのおっちゃんも先へ帰った。

ゆっくりとあたしたちは外に出てきた。
「あ!雪!」
そうだ。今日はちょうどゼフィーリアでお祭りの日じゃんか。
「ねえ。ガウリイ。」
「ああ。」
あたしたちは抱き合い、キスをした。
雪が深々と降る。静寂の中。いつまでも・・。
あたりはとても寒いけど。あたしたち2人、いや。3人のいるここだけはとても暖かかった。
ガウリイ、大好き。

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5833はじめましてみてい 3/1-21:36
記事番号5832へのコメント

R.オーナーシェフさん、はじめまして。
小説1をちょろちょろしているみていと申します。

らぶらぶですねっ。リナが「せんぎょうしゅふ」してるし、定番の「質問v」してるし。
あの御方がたくさん登場されてるし。
二人の姐のパワー炸裂してるし。やはり底知れぬ方々です。
…ゼル、戻れたんですね〜。どうやって戻ったか気になるところですが。
何より、二人(三人)が幸せそうで何よりですっ。

なんかワケわからない感想になってしまってすみません。
また新作拝読させてくださいね。

ではでは。お邪魔いたしました。

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5856Re:はじめましてR.オーナーシェフ E-mail 3/3-18:37
記事番号5833へのコメント

どうもありがとうございます。

>らぶらぶですねっ。リナが「せんぎょうしゅふ」してるし、定番の「質問v」してるし。
定番の質問って、ちょっと文字化けになってるけど、これかな?
「ごはんにするぅ?おふろにするぅ?それとも、あ・た・し?」
やってみたかったんですよ。このセリフと最後の雪の降るクリスマスの夜のチュウを書いてみたかったんだ。
スレイヤーズ世界にクリスマス持ち込んだらどうなるかな、と考えて姉ちゃんにサンタさんになってもらいました。
雪の中二人はいつまでキスしてたんだろう・・。妊娠してるリナに気をつかいつつ宿に帰って、
ガウリイはリナのお腹なでなでしたりしてて・・・・・・

>…ゼル、戻れたんですね〜。どうやって戻ったか気になるところですが。
「えんさいくろぺでぃあ」だったかどこかで神坂先生が語っていたんですよ。ゼルが人間に戻るシーンは
もう考えてあると。どう戻るのかは伏せられていましたけどね。まだ描かれていませんが戻る予定らしいので。
この「その後」の時期設定なら、もう戻ってるだろうなと思ったんです。