◆−ALL FOR ONE ONE FOR ALL −斉藤ぐみ(3/25-11:43)No.6167
 ┗ALL FOR ONE ONE FOR ALL −斉藤ぐみ(3/31-17:36)No.6222


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6167ALL FOR ONE ONE FOR ALL 斉藤ぐみ E-mail 3/25-11:43



【アメリアさえ居れば他はすべて要らない・・・滅ぼしてしまえ・・・】

―共に戦ってきた戦友も?

【そうだ…アメリアさえ居れば良い…】

―何故そうしてまでアメリアを??

【アメリアは俺の最後の光…暗闇の意識の中での…たった1つの光…光は1つで良い…一番大切なものだけで…】

『ゼルガディスさん?』

暗闇の中でたった1つの光…
その光が今、俺の為に微笑んでくれる…包んでくれる…
とても暖かい光で…

どんなに俺が血にまみれていようとも…
異形の身体でも…
その暖かい光で…包んでくれる…


「ゼルガディスさん…」
ゆっくりと目を覚ましたゼルの目の前にアメリアの顔があった。
「アメリア…」
アメリアはゆっくりと、ゼルガディスの背中に手をまわす。
「大丈夫ですか?うなされてましたよ?」
「そうか…もしかしてそれで起きちまったか?」
ゼルガディスもアメリアの背中に手をまわす。
「いえ…外の天気が良くてまぶしくておきちゃったんです。」
外はアメリアの言うとうり雲ひとつ無い晴天でとても気持ちの良い朝だ。
「そろそろ起きて、朝ご飯食べに行きましょ?リナさん達が待ってますよ。」

【アメリア以外…俺に入らない…たとえ戦友でも…】

その声がしたとたん、ゼルガディスは深紅の瞳へと代わった…
「!?ゼルガディスさん??」
その異変にきずいたアメリアは、ゼルガディスの名前を呼ぶ。
「大丈夫だ…まだ……っく…」
意識がだんだん暗闇につかまろうとする。
「ゼルガディスさんっ!!!」
アメリアは何を思ったか、ゼルにキスをした。
「??!」
ゼルガディスの瞳はだんだんまたもとの鴉色へと変化する。
「はっ…大丈夫でしたか?ゼルガディスさん」
「?どうして?」
アメリアは少し恥かしそうに…
「何故か…そうしなきゃと思ったんです…」
ゼルガディスは、愛しそうにアメリアを見つめた。
「アメリア…」

―俺の唯一の光の灯火…………



「おはよー!遅かったわねぇ。ヤラシー事でもしてたんでしょぉ(はあと)」
「おはよ―さん。リナの言った事なんか気にすんな。早く飯食おうぜ。腹減ったぁ。」
リナとガウリイは相変わらずで…
「おはようございます!リナさん!そう言う変な目で人を見ないで下さい!」
アメリアも元気を取り戻したようで…
「だってさ。ここ。みてみなさいよ。」
リナに首を指差され、リナがどこぞからもってきた手鏡で見てみると…
赤い点が三つ…
かぁぁぁぁ
一瞬にして茹蛸と化すアメリア。
「つけてもいいけどさぁ。もっと目立たないところに付けてあげなさいよ。ゼルちゃんってば。」
「焼きもちは見っとも無いぞリナ…だったらお前もガウリイの旦那につけてもらったらどうだ?首だけとは言わず身体じゅ…」
ばこっ
みな言うまで殴られるゼル。
「アホ言ってんじゃナイッ!このネクラッ!」
そう言ってるリナの顔はアメリアと同じ茹蛸だ。
「なんだ。リナ、つけて欲しかったのか?だったら俺が…」
とこちらも、天然ボケ保護者の一言。
「あほぉぉぉ!!!だれがっ!!!」

いつものひととき。
昨日の事が嘘のようで…
それでも、しっかりと、刻はゼルガディスを暗闇に落とし込んで行く。
特に、辺りいったいが真っ暗になる夜は…

「アメリア・…アメリア…」
「大丈夫です…ここに居ますよ・…ゼルガディスさん…」
毎晩毎晩アメリアの近くじゃないと眠れなくなったゼルガディス。
アメリアが居なくなれば…ゼルガディスの意識は闇へと落ち魔王に負の感情を食われて、ゼルガディスでは無くなってしまうだろう。
そうならないように、アメリアは、ゼルガディスが寝てから寝ることにした。

―最後の我の灯火よ…
    永遠に我と刻を刻まん事を…
                [光り輝く存在]【デーバ】



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6222ALL FOR ONE ONE FOR ALL 斉藤ぐみ E-mail 3/31-17:36
記事番号6167へのコメント


さぁぁぁぁぁぁっ

「ゼル…良い?」
「ああ…」

ざぁぁぁぁぁぁぁっ
強い風が吹く。
リナやゼルの髪がゆれる。
【四海の闇をすべる王…汝のかけらのえにしに従い…汝の力すべてもて…我に更なる力を与えよ・・・】

リナはタリスマンを使い増幅呪文を唱える。

ゼルガディスも呪文を唱える。

【我の最後の灯火よ…我に今一度の光を…】

ゼルガディスの前に、アメリアが姿を現した。
だが、普段のアメリアには無い光がアメリアを包んでいる。
ゼルガディスはそっと抱き寄せた。
「アメリア…」
ゼルがぽつんと呟いた時だった。
アメリアもゼルガディスの名を呼ぶ。
【ゼルガディスさん…】

その時だった。
リナの呪文が完成した。



ALL FOR ONE ONE FOR ALL



「アメリア…」
ゼルガディスは考えるように呟いた。
「…はい?」
隣で、寝ているアメリアはそれに答えた。
「明日俺は逝く…」
「…………」
まるでそれが当たり前のごとく、平然と言うゼルガディス。
「世話になったな…お前にも…」
「………………そん・…なこと…」
アメリアは、静かに泣いていた。
毎日毎日、それなりに甘い日々を送っていた。
それが明日…壊されてしまう。
泣かずにはいられなかった。
「アメリア…」
「…っん」
何度と交わしたかわからないキス。
―今までとても甘くて安心したけど…今は…とても怖い…

時間が経つのも忘れ、いつまでもそうしていた。
いや…そうしていたかったのかもしれない。
明日には終わる…
甘い日々…


「リナ…」
「ン?何よ・・・その辛気臭い顔…」
丁度、リナが三時のおやつと称して、アップルパイとブルーベリーケーキを口にほおばっていた時のことだった。
「俺の処理…明日頼む…」
簡潔にゼルガディスが言った。
かしゃぁん
リナがフォークを床に落とした。
「…………ちょっと……」
「前に言っておいたとは思うが…」
「…もうなの??はや過ぎるわね…」
「平穏な日々は、そう簡単に俺の手の中には落ちて気やしないんだな…きっと…」
ゼルガディスは、とても寂しそうな目で言った。
そのゼルガディスの瞳は今は、朱色。
明日になれば深紅の瞳になって…ゼルガディスの意志を壊し、暴走が始まる…
その前に、ゼルガディスごとルビーアイを倒さないと…
この世は闇に包まれる。
「ゼル…アメリアは…?」
「朝…もう言っておいた。」
「それで…?」

ゼルガディスは、朝アメリアが言った言葉を思い出した。

【私も…ゼルガディスさんの後を追っちゃ…ダメですか・…?】

さんざん泣いた後、口を割って出た言葉。
ゼルは、冗談じゃない!と即答した。
即答しなければ、自分の中の魔王が暴れ出す。
きっとアメリアを巻き添えにする…
アメリアには死んで欲しくないから…
ゼルは、リナの赤い瞳を見ていった。
「了解を得たよ…散々泣かれたけどな…」
ふっと、ゼルは苦笑した。
了解をとったのは嘘だ。
今アメリアは、ゼルのスリーピングで眠っている。
泣かれたのは本当だけれど…
「……私は…はっきり言って友に今まで戦ってきた仲間を殺したくは無い…」
「そうだろうな…お前に性格からして…だが、俺をいや…俺の中のシャブラニグドゥを倒せるのはお前しか居ない…」
リナは、少し笑った。
「最近ね…少し困ってるの…この人間にしては膨大なキャパシティ…どうしても‘闇'や‘魔'が付きまとう…この力に…」
「リナ……」
「でもね…この力が無かったら…'今'はなかった・・・'今'はガウリイやアメリアそしてゼル…あんたに会えたこと…そして、その力で仲間を守れる事は嬉しく思うし感謝してる…」
「珍しいな…お前がそんな事言うなんて…」
ゼルは笑った。
リナは少し驚いた。
今までになかった笑顔だったから…
「あのね……でも今はまた困ってる…この仲間を守らなきゃいけない力で仲間を殺すなんて…あたしは嫌…」
「お前が嫌だと言うなら…他に当てが無いわけでもない…他をあたる…」
「ちょっとぉ…話は最後まで聞いて!あたしは仲間を殺すのは嫌…でも…」
「でも?」
「ゼルガディスを殺すんじゃなくって、シャブラニグドゥをたおすのよ。」
リナはウインクしながら言った。


続く