◆−A Song Of Starting −はじまりのうた−−水晶さな(4/1-01:26)No.6227
 ┣ほのーv−雫石彼方(4/1-04:33)No.6230
 ┃┗ぼのーv(爆)−水晶さな(4/1-19:26)No.6240
 ┗優しい気持ち−わかば(4/5-08:42)No.6277
  ┗感激です(>_<)−水晶さな(4/5-21:12)No.6283


トップに戻る
6227A Song Of Starting −はじまりのうた−水晶さな E-mail 4/1-01:26



 休みの内に今あるネタを書き切っておこうと、あがいてます(笑)。
 私の書くゼル&アメは既に二人で旅立った状態から書いてますが、旅立ちの部分を今更思い付きました(笑)。
 アニメで言えば「TRY」の後、ゼルガディスがまだアミュレットの片割れを持ってます。
 んでもって「The Celestial Visitant」でちょっと出てきたオリキャラのエトルが再出演しております。
 目指せほのぼの。 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 豪壮華麗な城に住まい
 豪華絢爛(けんらん)な衣装をまとい
 今日も御美しいと世辞が飛び交う
 何の不自由も無いこの生活で
 何かを望むのは、ワガママと言われるのだろうか

 願い事なんてたった1つ
 ≪隣にいたい≫ 
 ただ、それだけ

 それだけの事なのに
 貴方しか叶えられない


******************
   A Song Of Starting
   −はじまりのうた−
******************


「恋煩(わずら)いならせめてもう少ししおらしくなって下さいません? それじゃあダレてるだけでしょう、いい年頃の姫様が」
 私室の丸テーブルに突っ伏していた所に、丸めたベッドカバーを肩にかついだエトルがずかずかと入ってきた。
 焦茶色の髪を後ろで一本に束ねた、瞳は優しい水色の侍女頭。恰幅(かっぷく)がいい上に、クイーンサイズのベッドカバーをかついでいる為に豪快さがいつもより増している。
「・・・今日もよくダレています」
 動く気力もないのか、突っ伏したままもごもごと答える第二王女―アメリア。
「何をおっしゃってるんです。もやしっこになるおつもりですか? いい天気なんですから散歩でもしてらして。さあさあさあ」
 掃除の邪魔だといわんばかりに丸めたベッドカバーで突っつかれ、アメリアがよたよたと私室を逃げ出した。


 中庭にさんさんと降り注ぐ陽光。
 横になりたい気分だったが、正装しているのでそうもいかない。
 仕方なく慎(つつ)ましやかにちょこんと座り、ぼんやりと膝の上で頬杖をついた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 うとうととしかけ、はたと我に返って慌てて首を振る。
「暖かいからいけないんですっ!」
 天候に愚痴を言い―それからやめようやめようと思いつつも、結局仰向けに寝転がった。
 ほんのり熱を帯びた草が気持ち良い。
 わずかに感じる左手の重みに、アメリアは腕を真上に持ってきた。
 片腕だけのアミュレット。
 陽光を反射して、眩(まぶ)しいほどにきらめく。
(いいわね、お前の片割れは連れていってもらえて)
 物に嫉妬してもしょうがないのだが、それでも思わずにはいられない。
 ぱたん。
 力なく手を落として、視線を宙にただよわせる。
「・・・・・・・・・・・・」
 気分転換のつもりだったのが全然目的を果たせていない事に気付き、アメリアが空を見上げたまま渋面になった。
 それから、しばらくしてからふと歌を口ずさむ。
 少し前こっそり近場に出かけて行った時、町中で聞こえた歌。
 気に入ってしまったのか、知らず覚えていた。

=================================== 


   自由が欲しいのなら 風のうたを聞いてみて
   そよいでる木の枝も 道の花も知っている
   あなたを苦しめて 悲しませているものを
   自然の風に 預けてと Bebe Bebe

   この次 会える時には
   やさしい笑顔を おみやげにしてね


=================================== 

 優しい笑顔を「彼」に要求するのは無謀だと、一人苦笑した。
 途切れてしまった歌詞を思い出しながら、青空で視界を埋め尽くす。
 逆光の為に影にしか見えない鳥が、空色の海を横切った。

=================================== 


   願いはこころでいつか そう 蓮(はす)の花になる
   信じて あきらめないでね 追いかけた 夢を
   あなたはアジアのパピヨン きれいな水を飲む
   マラミン タマラッ ダンニャバード
   トゥリマカーシー シャオホア ニイハオ


=================================== 

 彼の性格からして、一度決めた事をそうそう諦めるような真似はしないだろう。
 (あきらめたらゼルガディスさんじゃないです・・・)
 それからもう一度、左手のアミュレットを目の上に持ってくる。
 ぶら下がった青い宝石を、唇の上に静かに乗せる。
 ひんやりとした硬い感触。
 ―大丈夫・・・・・・
 自分に向けた言葉なのか、彼に向けた言葉なのか、
 呟いた本人にすら、わからなかった。

=================================== 


   (いつも) ねぇ わたしはいつもあなたの (いつでも) 近くにいます 


=================================== 

 ちゃり、という音に、慌てて地面に手を伸ばす。
 荷物袋の口からすり抜けて、落ちてしまったらしい。
 宝石に付着してしまった土を払っていると、不意に頭上を影が通り抜けた。
「・・・・・・」
 何の気無しに顔を上げて―
「・・・珍しいな、こんな時期に渡り鳥か」
 影が小さくなるまで見送って―ゼルガディスは又歩き出した。

=================================== 


   てのひらにこぼれてく 涙は苦いけれど
   なんの意味さえもない 悲しみはないと思う
   あなたが淋しさの 峠(とうげ)を越える朝を
   プパヤの丘で 待ってるわ Bebe Bebe

   あなたに恋して わたし
   きれいになれたと 感じてる とても


=================================== 

「あらあら、もう御機嫌が良くなられたんですか?」
 歌声が聞こえたのか、ティーセットをトレイに乗せて運んできたエトルが言う。
 ―が、アメリアのドレスが別の物に変わっていたのに気付き、額に手を当てて大仰に溜息をついた。
「・・・又ドレスで寝転びましたね?」
「・・・うぐ」
 図星だった為に何も言えず、アメリアが押し黙る。
 手を差し出されたので、仕方なくドレッサーに押し込んでいた草の葉だらけのドレスを渡した。
「それと、お部屋をあける時には『お人形』は隠して下さいませ。メイドや大臣に見つかったら騒ぎどころじゃありませんよ」
「っ!」
 言われて今更思い出したのか、アメリアがほとんど飛び付くようにベッドに駆け寄った。
 掛け布団をはねあげて、悲鳴をあげる。
「『ゼルガディスさん』がいなあああいっ!!」
 エトルが2回目の溜息をついた。
「ベッドシーツを替える時に邪魔だったんで、テラスで日干ししておりますよ」
 言うやいなや飛び出して行くアメリア。
 しばらくすると満足げに胸元に人形を抱えたアメリアが戻ってきた。
 誰を模したのか一目瞭然な、やたら目付きの悪い身の丈30cmほどの人形。
 アメリアが持ち返った写真から、裁縫の得意なエトルが作ったのである。
 ベッドの上にぱふんと座り込み、アメリアが改めてゼルガディスの人形を抱き締めた。
「この髪の毛に使ったモールがチクチクして・・・」
「リアリティが欲しいと言ったのは姫様でしょう」
「本物を思い出して泣けてくるんです」
「・・・・・・・・・」
 紅茶をカップに注ぐエトルの手が微妙に止まったが、気を取り直してか再び動き始めた。

=================================== 


   「偶然世界」で出逢い 絆(きずな)は森になり
   すべての命は歌うの 悦(よろこ)びの歌を
   あなたはアジアのパピヨン 不思議な夢を観る
   マラミン タマラッ ダンニャバード
   トゥリマカーシー シャオホア ニイハオ


===================================

「全く・・・変わるものですね、姫様も」
「・・・そうですか?」
 砂糖を多目に入れたティーカップをかたむけながら、アメリアがきょとんとする。
「5分に1度は『ゼルガディスさん今頃何処にいるんでしょう』」
 口調まで真似た為か、アメリアが赤くなってテーブルに突っ伏した。
「・・・エトル以外の前でそんな事言えないからですっ!」
 言い訳のつもりか、それでもやや弱気な声で返す。
 実際、ゼルガディス関連の話はエトル以外の前で話したことはない。
 幼少の頃からアメリアの世話を見てきたエトルは、あらゆる意味で『特別』だった。
 エトルが空になったティーカップをトレイに戻しながら、含み笑いを浮かべる。
「大抵そのような時は、逆もありうるものなんですよ。想像はしにくいでしょうけれど」
「逆?」
 白いナプキンで口元をぬぐいながら、アメリア。
「ええと・・・『アメリアは今頃何をしてるんだか』―のように」
 ゼルガディスの口調がわからない為か、少し考えながらエトルが答える。
「・・・・・・・・・?」
 反応がないのを不思議に思い、エトルがカップを片付ける手を止めて頭を上げた。
 そこには膝の上に乗せたゼルガディス人形を、これ以上ないくらいしまりのない顔で抱き締めているアメリアの姿があった。

=================================== 


   (いつも) ねぇ わたしはいつもあなたの (近くに) 近くにいます


=================================== 

「・・・ふえくしょい!」
 突発的に出たくしゃみは、本人も予想していなかった。
 するり、かしゃん。
「・・・・・・何だか今日はヤケに反抗的だな・・・」
 さっきあれだけきつく袋の口を絞めたというのに。
 溜息混じりにアミュレットを拾い、諦めたのか腰に下げた剣の柄に引っ掛けた。
 ベルトで挟まれているのでそう簡単には落ちないだろう。
 指先に滑るような、冷たい感触。
 あのつややかな黒髪も、同じ手触りがした。
 ・・・今頃何してるんだか。
 本日何度目かわからない呟きに思い浮かべた後気づき、彼はこっそりと苦笑した。

=================================== 


   神様 他に なにも望んだりしません
   愛をください 命のように大事にします


=================================== 

 エトルが部屋を出ていった後、アメリアがベッドの上にごろりと横になった。
 再び見上げる左手のアミュレット。ただし今度はそれに鳥の羽がぶら下がっている。
 城下町の露天商で見付けたという、エトルからのお土産である。
『今流行りのお守りらしいんですがね、願い事をすると叶えてくれるって』
 作り物にしては精工にできている。
 乳白色の羽を織り成す繊維は、特殊なものを使っているのか光によって微妙な色合いの虹を浮かべる。
「『天使の羽』・・・か」
 壊さないようにそっと握り、額に乗せると毛先が肌をくすぐった。
「願い事は・・・」
 言葉にするのが難しかったのか、アメリアがしばし迷ってから唇を開いた。
 覚えていた歌をそのまま口ずさむ。

=================================== 


   この次 会える時には
   やさしい笑顔を おみやげにしてね あなたが好きです


=================================== 
 
 開け放した窓から、気まぐれな風が吹いた。
「!」
 ゆるくしか巻いていなかった紐から、羽がするりと逃げ出す。
 そしてそのまま―大空に飛び立つ鳥のように、窓の外にひらりと舞った。
「ああああああっ!!!!」
 悲鳴を上げて―アメリアが窓枠に飛び付いた。
 伸ばした指先をからかうように、数cm離れた場所を羽が舞う。
 また風が吹き―城下町の方角へ向きを変える。
「ちょ、ちょっと待っ・・・」
 勢い良く前に乗り出した為にがくりと前につんのめり、アメリアが見事に一回転して空中に投げ出された。
「うひゃあああああ!!!!!」
 高い所から飛び降りるのは好きだが、落ちるのは問題外。
「れええええええええぇいうぃんぐっ!」
 効果音を付けるなら―ぎぎぎぃっとブレーキをかけるような音。
 ともかく地面すれすれでアメリアの体は浮き、反動で再び空中に浮き上がった。
 いまだくるくると回転を続けている羽に指を突き付ける。
「待ちなさい! 願い事を叶えてもないのに逃げるなんてヒキョーですっ!」
 旅を共にした仲間の性格が、少しうつってしまったのは認めざるを得ないだろう。
 鬼ごっこを楽しむかのように、白い羽は不規則に進路を変えながら落ちていった。

=================================== 


   あなたがわたしを変えて わたしも変化して
   隔(へだ)てあってた世界が ひとつに溶けあう
   あなたはアジアのパピヨン 果てない夢を観る
   マラミン タマラッ ダンニャバード
   トゥリマカーシー シャオホア ニイハオ


=================================== 

「・・・・・・・・・」 
 胸騒ぎというか虫の知らせというか―とにかくゼルガディスは、ふと足を止めた。
 セイルーンから少し離れた裏街道。
 わざわざ遠回りしたのは、アメリアに見つからないように。
 片割れのアミュレットだけ預かって、一度別れを口にした以上意地がある。
 見上げた青空に、一点だけ違う色を放つ物体が飛んでいた。
 頼りなげにひらひらと、舞う物体に目をこらし―
「・・・・・・羽?」
 鳥も飛んでいないのに、といぶかりながらも何となく手を伸ばす。
 誘われたようにひらりと、羽が手の平に―
「まちなさああああああああぁいっ!!!」
 落ちるよりも早く、全く別のものが飛び込んできた。
 ―どすうっ!
 何の予想も、心構えもしていなかったゼルガディスは、衝撃をまともに受けて仰向けにひっくり返った。
 地上を走り抜けた鳥の影が、羽をくわえてさらっていった。

=================================== 


   「偶然世界」で出逢い 絆(きずな)は森になり
   すべての命は歌うの 悦(よろこ)びの歌を
   あなたはアジアのパピヨン 不思議な夢を観る
   マラミン タマラッ ダンニャバード
   トゥリマカーシー シャオホア ニイハオ


=================================== 
 
「・・・・・・・・・姫様、どこまでお散歩を?」
 窓から帰還すると、エトルが呆れたようにつぶやいた。
「・・・ちょっと狩猟を」
「は?」
 頭をかきながら苦笑いを浮かべたアメリアが、窓枠に足をかけてよっこいしょと何かを引っ張った。
 ぼた。
 窓からずるりと、ラファス・シードの光の綱でぐるぐる巻きにされた男が部屋の中に落ちる。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
 エトルの視線が男に向き、ベッドの上の人形に向き、再び男に向いた。
 それから―おもむろに手を打つ。
「・・・・・・・・・ああ」
 何が「ああ」なのか聞くのが怖い所ではあったが―アメリアがラファス・シードを解いて今だ昏睡状態のゼルガディスに活を入れた。
「・・・ん、んん!?」
 がば、と身を起こし、ゼルガディスが慌てて辺りを見回す。
「こ、ここは・・・って、アメリア!!!」
 てへ、と困ったような笑みを浮かべるアメリアの横に、侍女らしき女が一人。
 気の毒そうな顔をして、思わせぶりに肩を叩いてきた。
「お諦め下さいませ。昔から女の執念は凄まじゅうございます」
「・・・エトル」
 アメリアが睨んできたが、それで退(ひ)くようなエトルではない。
 ゼルガディスの顔をのぞきこむようにして、更に続ける。
「朝起きたら『低血圧のゼルガディスさんはまだ起きてないでしょうね』。昼間は『栄養のあるもの食べているかしら』。執務中は『気になって仕事に身が入らない』。寝る前には『もう寝たかしら』。エトセトラ」
「エトルゥウウウ!!!」
 アメリアが悲鳴のごとく名を呼んだ。
「極めつけは四六時中離さない『あれ』です」
 エトルの指先を視線でたどると、アメリアのクイーンサイズのベッドの上に鎮座ましました目付きの悪い人形。
 ゼルガディスが完全に固まった。
 それから―つかつかと人形に歩み寄る。
「ゼ、ゼゼゼルガディスさんいやあのその私も寂しさにあんまり強い方じゃなくって・・・ああちょっと何でわしづかみにするんですか!! 何で思いっきり振り上げるんですか!! 窓開けないでっっ捨てないでくださああああぁい!!!!!」
「俺はここまで目付きが悪くないっっっ!!!!」
 窓を全開にして人形を放り投げようとするゼルガディスと、後ろからしがみついて全力で止めるアメリア。
 そんな二人の騒動など構いもせず、エトルが大きな荷物袋を広げると何やかやと詰め始めた。
 しばらくしていまだ同じ体制のままのアメリアとゼルガディスを、ひょいと引き離す。
「あっ」
 ゼルガディスの手から人形を取り上げ、ベッドの上に放り投げる。
 反射的に動こうとしたアメリアには、先程一式物を詰めた荷物袋を押し付けた。
「・・・・・・・・・」
 目をぱちくりさせたアメリアが、事態を理解した2秒後に敬礼の姿勢をとった。
「と、ゆーワケで正義の行使に行ってきます」
「思いっきり棒読みなのはどういうワケだ」
 くらりとする頭を押さえつつゼルガディスが半分諦めた口調でつぶやく。
 本気で怒る気になれないのは―心中ではそれを喜んでいる自分が確かに存在している為。
「姫様は気分が悪いとおっしゃってました。夕飯もいらないと。私は何にも知りません」
 さらりと言ってのけると、つかつかと扉の方に向かう。
「エトル!」
 荷物袋を床に置いたアメリアが、振り向いたエトルに飛びついた。
 体格のいいエトルには、背中に伸ばした両手がつなげない。
「おみやげ沢山持って帰りますからね!」
「ええ―ついでに御子の一人か二人くらい一緒に連れて帰ってきて頂ければ、説得の必要がないと思うんですけれどね」
「・・・」
 アメリアがエトルの胸に顔をうずめたまましばし固まった。
「・・・本当に侍女かお前は」
「エトルは私の『侍女』で、『母親代わり』で、『トモダチ』ですから」
 エトルから手を離したアメリアが、床に置いた荷物袋を背負う。
「さて、どうしますか?」
「うん?」
 ゼルガディスに向き直すアメリア。エトルは静かに扉から出ていった。
「ゼルガディスさんが決める事です」
「何を?」
「私を連れて行ってくれるかどうかは」
 一瞬の沈黙。
「無理矢理ついていきたいのは勿論です。でも、ゼルガディスさんが望んでいなきゃ意味がありません。私の正義にも反します」
「・・・・・・・・・」
 気丈に発した言葉だが―声が震えているのに本人が気付いているのかどうか。
 悩むような表情を見せたゼルガディスが、ぽつりと一言。
「・・・条件付き、なら」
「条件?」
「ニセモノはいらん」
 視線の先を追うと―ベッドの上に転がった『ゼルガディス』人形。
「俺がいるだろうが」
 目をぱちくりとさせたアメリアが―ぱっと太陽のような笑顔になった。
 照れ隠しのつもりかさっさと窓から出てしまったゼルガディスの後を、アメリアが追いかける。
 視界の端を横切った影に、顔を上げて―
「・・・あ」
 そういえば忘れていた白い羽飾り。
「・・・願い事、叶えてくれてありがとう」
 一瞬だけ見えた羽の持ち主の姿に、アメリアが感謝の言葉をつぶやいた。
 ・・・「やさしい笑顔」はなかったけれど・・・

=================================== 


   あなたがわたしを変えて わたしも変化して
   隔(へだ)てあってた世界が ひとつに溶けあう
   あなたはアジアのパピヨン 果てない夢を観る
   マラミン タマラッ ダンニャバード
   トゥリマカーシー シャオホア ニイハオ


=================================== 

 若い娘に流行りの羽飾り
 願い事を叶えてくれる『天使の羽』
 露天に並ぶ作り物の中には
 たまに本物が混じっていたりするらしい
 気まぐれな奇跡を起こす天の子供に
 願いを叶えてもらったら、感謝の言葉を御忘れなく
 誰にだってチャンスは与えられるのだから―

 Fin.
=================================== 

  「パピヨン−papillon−」 songed by 島谷ひとみ


 お付き合いありがとうございましたv

 水晶さな拝

トップに戻る
6230ほのーv雫石彼方 4/1-04:33
記事番号6227へのコメント


ほのぼので幸せでしたーv
もうとにかくアメリアがかわいいっ!ゼル人形まで作っちゃって・・・・(笑)
「ゼルガディスさんがいなぁぁい!!」のセリフが特に可愛かったですVv
そしてそして!!やっぱりエトルさん大好きですっ(><)私もお世話して下さい(^^)
いいなあ。あんな人近くにいてくれたらなぁ。
アメリアは幸せですねー、あんなに理解ある素敵な侍女兼母親代わり兼友達がいて。
ゼルもかっこよかったです。
「俺がいるだろうが」にはノックアウトされましたv
アメリア、一緒に旅に行けてよかったねー(^^)これで『たれぱ○だ』ならぬ『ダレアメリア』になることもなくなりますね(笑)

ではでは、幸せ気分にしてくださってありがとうございました!!

トップに戻る
6240ぼのーv(爆)水晶さな E-mail 4/1-19:26
記事番号6230へのコメント


 タイトルつなげて一人で喜んでおりました(爆)。


>ほのぼので幸せでしたーv
>もうとにかくアメリアがかわいいっ!ゼル人形まで作っちゃって・・・・(笑)
>「ゼルガディスさんがいなぁぁい!!」のセリフが特に可愛かったですVv

 エトル曰く四六時中離しません(笑)。
 実際部屋にいる時は必ず膝の上(笑)。


>そしてそして!!やっぱりエトルさん大好きですっ(><)私もお世話して下さい(^^)
>いいなあ。あんな人近くにいてくれたらなぁ。
>アメリアは幸せですねー、あんなに理解ある素敵な侍女兼母親代わり兼友達がいて。

 城の中で彼女の心強い味方が欲しくて作ったキャラですが、好感を持たれたようで良かったです(^^)
 言葉遣いは丁寧でも言う時は「さっくり」言うサバサバした性格です(笑)。


>ゼルもかっこよかったです。
>「俺がいるだろうが」にはノックアウトされましたv
>アメリア、一緒に旅に行けてよかったねー(^^)これで『たれぱ○だ』ならぬ『ダレアメリア』になることもなくなりますね(笑)

 あ、『だれあめりあ』に気付きましたか(笑)。お察しのよーに『たれ●んだ』のパクリです(笑)。顔が同じにならない内にゼルが来て良かったというか(笑)。


>ではでは、幸せ気分にしてくださってありがとうございました!!
 
 書いてて自分も幸せでした(笑)。
 そうそう就職活動は来年からです。セミナーは今年からですが。
 頑張らなきゃなぁ・・・。

 ではではコメント有り難うございましたv

 水晶さな.

トップに戻る
6277優しい気持ちわかば E-mail 4/5-08:42
記事番号6227へのコメント

 読み終わって、すごく優しい気持ちになる事が出来ました。
良いですね。わかってくれる人が傍にいてくれるのは。
 一人ではないから。懐かしい思い出や愛おしさに心が押し潰される事がないように包んでくれる人がいるから、悲しみも寂しさも受け入れる事が出来るんだなあと思いました。
そして、【「大抵そのような時は、逆もありうるものなんですよ。想像はしにくいでしょうけれど」】
このセリフが、すごく印象深かったです。ガツンときてしまいました。
ではでは、素敵なお話を読ませて頂きありがとうございました。

トップに戻る
6283感激です(>_<)水晶さな E-mail 4/5-21:12
記事番号6277へのコメント


 こんばんわ〜またのコメント有り難うございますv

> 読み終わって、すごく優しい気持ちになる事が出来ました。
>良いですね。わかってくれる人が傍にいてくれるのは。
> 一人ではないから。懐かしい思い出や愛おしさに心が押し潰される事がないように包んでくれる人がいるから、悲しみも寂しさも受け入れる事が出来るんだなあと思いました。
>そして、【「大抵そのような時は、逆もありうるものなんですよ。想像はしにくいでしょうけれど」】
>このセリフが、すごく印象深かったです。ガツンときてしまいました。

 ガツンとさせてしまいましたか! エトルなら下手な慰めよりもこういう台詞を言うだろうなぁ・・・と何となくで書いてしまったんですが(爆)。そう受け止めてもらえると有り難いです。オリキャラを作った甲斐があります(>_<)
 エトルを作ったのは母親のいないアメリアに、代わりに包んでくれるような人物を与えたかったので・・・。


>ではでは、素敵なお話を読ませて頂きありがとうございました。

 いえいえ、コメントありがとうございましたv
 又何か書いた時にはお付き合い宜しくして頂けると嬉しいです。

 水晶さな.