◆−蒼い瞳の半魔族 1−夏青龍(5/9-22:54)No.6452
 ┗蒼い瞳の半魔族 2−夏青龍(5/10-22:24)No.6456
  ┣はじめまして−一坪(ヘロヘロ)(5/11-07:11)No.6457
  ┣蒼い瞳の半魔族 3−夏青龍(5/12-13:20)No.6459
  ┗蒼い瞳の半魔族 4−夏青龍(5/14-21:56)No.6465
   ┣こんばんは。−みてい(5/16-23:27)No.6470
   ┃┗感想ありがとうございます−夏青龍(5/17-07:33)No.6472
   ┣初めまして♪−ねんねこ(5/17-18:14)No.6473
   ┃┗ありがとうございます〜!−夏青龍(5/17-20:15)No.6474
   ┣蒼い瞳の半魔族 5−夏青龍(5/17-22:59)No.6476
   ┗蒼い瞳の半魔族 6−夏青龍(5/19-20:18)No.6496
    ┣蒼い瞳の半魔族 7−夏青龍(5/21-20:35)No.6511
    ┗蒼い瞳の半魔族 8−夏青龍(5/26-18:32)NEWNo.6585


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6452蒼い瞳の半魔族 1夏青龍 E-mail 5/9-22:54


 こんにちは。初投稿の夏青龍(なつせいりゅう)です。小説は
作る(というか書く?)の結構好きなんですよ。でも書き方は
めちゃがつくほど変です・・・(汗)
 ここで、読んでくださる方々に注意事項があります!
 1、この話はかんっぺきに私の想像の産物でありまして、
  アニメを見ていないため変なところもあるやもしれません。
  あくまでも原作からの『想像』です。
 2、もしやするとゼロスが絡むカップリングが好きな方は
  見ないほうがいい・・・かもしれません。
 3、この小説にはオリジナルのキャラが出てきます。そして
  結構いろいろやらかします。そういうのがいやな人は
  見ないほうがいいでしょう。
 4、多分内容的にはあんまりカップリングとしての会話
  は出てこない・・・と思いますが・・・一応、ガウリナ、
  ゼルアメかな〜・・・と。ゼロスは・・・2に該当する
  方には言わないほうがいいでしょう。
 ってことで、2や4に該当する、ゼロスファンの方々など
を除いて、読んでやろうという人はどうぞ。

 
*****************************

 蒼い瞳の半魔族 1  
 
ある平穏な夜の森に攻撃呪文が輝き、その後の多少の
時間でとある盗賊団が壊滅した。
いうまでもなく、これは『あの』リナ=インバースが
やったことなのだが、その事件を夜明け以前に知っていた
者がいた。
「・・・・・・」
黙ったまま、その事件を傍観しながら、『その人物』は
飛んでいた。森が見渡せる高度を保ったまま、空を。
しかしレイ・ウィングでもレビテーションでもない手段
のようだった。呪文の光もない。ここにもしアメリアと
いうリナ=インバースとともに旅をしている少女がいた
としても、その人物のことは何もわからなかっただろう。
しばらくして静かになると、その人物は下降し、地面に
降りた。
青銀色(プラチナ・ブルー)の長い髪を輝かせながら。


翌朝・・・
「はぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
リナ=インバース(以下リナ)が深い深いため息をついた。
昨夜の活躍で盗賊一団を壊滅はさせたものの、お宝と呼べる
ものといったらほとんど(リナから見て)なかったのだ。
まあ街道からはちょびっと外れている辺りだし仕方ないか、
とリナも思ってはいるのだが・・・いまの旅のメンバーで
仕事をしようにもどんな仕事が見つかるものか。
リナ、ガウリイ、ゼルガディス、アメリア、そして度々
いなくなるゼロス。
「どうしたのよ。昨日は立派に盗賊団を壊滅させたのに」
アメリアがひょこっと顔を出してくる。
この少女はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
あの聖王都、セイルーンの姫である。
リナは曖昧に応えようとして話を中断させた。
 キィン! ギギィン!!
「誰かが戦ってる・・・?」
リナがつぶやく。そしてそれとほとんど同時に走り出した。
あまり遠くはないようだった。
レイ・ウィングの呪文を唱え、力ある言葉を解き放ち・・・
アメリアと飛ぶ。残念ながら、5人全員を・・・とまですると
速度が落ちる可能性がなくはなかった。というより、何か
あっても2人で対処はできる。
「いた!」
アメリアが言った。 

戦っていたのは少女と黒マスクの男だった。だが、
見るからに少女の方が勝っている。
男は力でねじ伏せようとでもしていたらしいが、少女は
いたってすばやかった。剣を軽く避け、レイピアと見分け
がつくかつかないかの細い剣を振る。さらに呪文も唱えて
いるようだった。  
「加勢したほうがいいのかな・・・って、あれ?アメリア?」
リナがさっきまで隣にいた少女を呼ぶが、どこにも姿が
見当たらない。そして・・・
「そこの黒マスク!何の理由があるかは知らないけれど!
か弱い女の子を襲うなんてどういうつもりっ!?その汚れ
きった性根を叩きなおしてあげましょうかっ!」
「アメリア・・・やっぱし・・・」
近くにあった岩の上に登って黒マスクの方を指差して
言う。そしていつものとおり飛び降りて・・・
 べちゃっ!
・・・やっぱりもろに着地失敗。
黒マスクの方は呆気に取られていたが少女の方はすぐさま
相手の懐に飛び込んだ!
 どっ・・・
男が倒れた。リナははっとしたが、何も言わなかった。
少女は立ち上がると、髪をざっと書き上げた。
輝く青銀色(プラチナブルー)の髪。深い蒼の・・・深海の
色の瞳。ただし、顔の右半分はなぜか仮面をつけている。
それに、右手だけ手袋もしていた。
「助かった。それより大丈夫か?」
言葉の後半はアメリアに。なにやら堅苦しい・・・というか
なんというか・・・とにかくそういう口調である。
「大丈夫よっ!すべての悪がついえるひまでは死なないわ!」
「ア・・・アメリア・・・」
リナがあきれたように言った。そこにガウリイとゼル、ゼロス
が追いついてきた。
「おやまあ終わったようですね」
ゼロスがのほほんと言った。相変わらず、である。
「・・・峰打ち、か」
ゼルが、倒れた男を一瞥して、つぶやいた。少女は別に
反応しなかった。照れているわけでもないようだ。
「無駄に殺しはしたくない。・・・思い出したくない」
少女が言った。この子も昔、何かあったんだろうな、と
リナは思った。
しかしさっき少女を見ていて、リナは正直驚いた。自分
より1つ下か同じかといった微妙な年齢差。その少女が
呆気に取られていたとはいえ、峰打ちで男を倒したのだ。
普通の娘なら剣術自体を深く身に着けようとは思わない
だろうし、だいたい、大の男を倒すほどの力をどこから
どうやってだしたのか。
「ね、リナ。そろそろ村まで行かないと日が暮れるんじゃ
ないかしら」
アメリアがリナに話し掛けて、リナは我に帰った。何故か
ぼ〜っとしていたのだ。
「そうね〜」
と、少女がきびすを返して歩き出した。
「どこへ行くの?」
「・・・関係あるまい・・・」
アメリアの問いに、少女は冷たく答えた。そのまま振り返る
こともなくすたすたと歩いていった。
「リナ、もしかしてあの子、俺たちと同じ方向に歩いて
行ったんじゃないか?」
ガウリイが言う。確かにリナたちが向かっている方向へ
歩いていったし、そう考えないほうがおかしい。
「ま、ぼちぼち行きましょ」


 どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおん!!!
爆音が夜の村に響き渡った。リナたちが泊まっている宿
にももちろん聞こえている。リナはぐぁばっと起き上がり、
外の様子をうかがう。身に覚えはめちゃがつくほどあるの
だが、あまりにも目標が遠い。リナたちをどうこうしよう
というわけではなさそうだ。
宿から見える湖、その向こうが森だ。そこでまた攻撃呪文
が派手な音と共に炸裂した。
 どごぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
森からの爆音で、もはや眠気は覚めてしまった。リナは
なんとはなしに外へ出たくなった。マントや剣を持ち、
外へ――。
「?」
リナは後ろに気配を感じ、振り向いた。殺気でも敵意
でもなんでもない。気を許したものへの気配。
そこに居たのは・・・
「ゼル」
「今夜はどこへいくつもりかと思ってな。どうせあの
爆音が響いてるとこだろ」
「・・・まね」
素直に、リナは応えた。


 ぐごぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
無茶苦茶迷惑な音を立てながら、目標はほとんど動いて
いなかった。
リナが木の陰から顔を出すと、黒マスクの男が6人ほど
見えた。相手は・・・
(あの子・・・!)
それはまぎれもなく、昼間のあの少女だったのだ。しかし・・・
(何・・・あれ・・・)
リナは内心つぶやいていた。少女は昼間の姿ではなく――
服装は同じだが――背にはドラゴンのような翼、右腕は
触手のようなものが生えていた。
しかも、その翼で空を飛んでいるのだ。
黒マスクが呪文をぶちかまし、またも爆音が響いた。
近くだと結構つらいものである。
「失せろ。貴様らでは私は殺せん」
黒マスクは無言で剣を持ち、少女に飛び掛った。
少女は無言で男を叩き落す。男はむくりと起き上がる。
別の男が、針のようなものを投げた。かなりの数。
避けきることは不可能に近い・・・。しかし、少女に
届くことなく、針は地面にぽとぽとと落ちた。しかし少女
の後ろにいたリナとゼルの方に、針がいくつか飛んできた。
(うわわわわわわわっ!)
心の中で叫びながら、仕方無しに避ける。
黒マスクが気づいて視線をリナたちに向ける。少女は
驚いたように振り向いた。
今度はまた別の男の呪文が完成した。リナたちに向かって、
フレア・アローが放たれる。
「くっ」
気づかれては仕方ない。応戦するしかないようである。
リナは呪文を唱え始め、ゼルは剣を抜き放って走る。
少女もゼルのあとを追うかのように急加速した。
「アイシクル・ランス!」
リナが氷の槍を放つ。増幅がかけてあるためか、通常
より多く出現した。黒マスクたちはそれぞればらばら
に逃げた。無駄な動きは何一つなく。
逃げた一人にゼルが斬りかかろうとしたとき・・・
「やめろ!」
少女の声がひびいた。しかしそれと同時に斬りかかられた
男は腕から触手を伸ばしていた。
「なっ!?」
飛びのくが、遅い。ゼルの肩を触手が貫いていた。
(まずいっ!)
リナがあせりを見せたとき、後ろにいた男が斬りかかる!
(間に合わな・・・!)
振り返ったときそこにいたのは・・・

*****************************
 わ〜ん!(泣)すみません〜!みんな性格がっ、口調がっ!
変になってしまいました〜!ごめんなさい〜!注意事項の
ゼロスくんのせりふは一つ・・・寂しいです〜・・・。
 次回は少女の名前と過去が明らかになる・・・と思います。
                    by 夏青龍

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6456蒼い瞳の半魔族 2夏青龍 E-mail 5/10-22:24
記事番号6452へのコメント

 こんばんは。夏青龍です。いまさらながら私のマンガ・アニメ
でハマるものの数って多いです。封神に犬夜叉に最遊記に
スターオーシャンEXにコナンに・・・。みんな同じくらい
はまってるんですけどね。
 今回はゼロスくんがきっちり出てきますのでご注意を。
*******************************
 
 青い瞳の半魔族 2

リナが振り向いたとき、そこにいたのはゼロスだった。
さっきまでいなかったということは、空間を渡ってでも
来たのだろうか。
彼は男を弾き飛ばすと、いつもの表情で言った。
「また何かやらかしたんですか?リナさん」
「違うわよ・・・それ、もしかして嫌味だとか?」
少女は数秒の間、唖然としていたが、すぐに男たちに攻撃
をしかけた。
急降下して振り向きざま斬りつける。今回ばかりは峰打ち
ではないようだ。右手の触手は相手を貫き、切り裂き・・・
相当やっかい&迷惑な代物である。
あっという間に5人を倒した少女は、最後の1人を視界から
一瞬逃し・・・男は後ろから現れた。そのとき、いつの間に
唱えていたのか、ゼルが呪文を解き放ち、それは見事に男を
包んだ。何を思ったか、ゼルはラ・ティルトを放ったのだ。
しかし男は立っていた。人間であろうと下級の魔族であろう
と一撃でしとめられるはずの技を受けて・・・だ。
スピードを緩めず、男は少女の背に剣を突き立てた!
が・・・
 ばしゅっ!
先に倒れたのは男のほうだった。触手にやられたのだ。
少しして、少女がふっとひざをつく。さっきのはもろに
食らっていた。
リナはすぐに少女の所まで駆け寄った。
「大丈夫!?」
リカバリィをかけようと手を伸ばしたとき、少女がその手を
ばしっと叩いた。
「私に触るな!」
怒っているような表情ではあるが・・・どこか悲しさを
帯びていると何故かわかった。
よく見ると、少女のどこにも傷などない。しかしさっきは
確かに・・・。
「・・・すまない」
素直に謝る。リナはクエスチョンマークをまわりに浮かべ
ながらも、ゼルのところへ向かった。それほど深くも
なかったらしい。自分でリカバリィをかけている。
「平気?」
「ああ。でもあいつは平気なのか?」
どうやら少女のことらしい。
「傷なんて、どこにもなかったわ・・・」
ゼロスがてくてくと歩いてくる。2人を見るや向きを変え、
少女の方へ歩き出す。
「?」
少女はきょとんとした顔でゼロスを見上げた。だがさっと
その表情が変わる。
「あなたは・・・」
「おまえ・・・魔族か・・・?」
ゼロスが言いかけた言葉をさえぎって、少女はつぶやいた。
「あ、ええ。まあ」
リナたちとは聞こえない程度の距離がある。ゼロスはさらり
と言い放った。少女は明らかに内心の動揺を隠せずにいる。
「あなたはどうやら・・・『人間になった魔族』のようですね」
「・・・ああ」
「名前は何というのです?」
「リザー。リザー=ウェン=ライドル」
少女はすくっと立ち上がった。リナたちのほうへと歩いて
いく。そのとき、右手に腕輪をつけた。触手と翼が
ふっと消える。
「迷惑をかけてすまなかった。怪我までさせて・・・」
「あ、いいのよいいのよ。勝手に出てきたのはこっち
なんだし」
「私の名はリザー=ウェン=ライドル。リザーでいい。
まあ、名を呼ぶ必要はないとは思うが」


宿に戻るとき、少女の姿もそこにあった。夜中だった
ため、主人はちょっといやな顔をしていたが、どこから
出したのか、少女が金貨を数枚出すと、すんなり泊めて
くれた。
詮索は明日にしよう、とリナたちも決めていたため、
その日はみんなで眠りについた。
ただ、ゼロスだけはリザーの部屋に入って話をしていた。
「なぜあなたのような者が、ここに?」
「知らぬ。物心ついたときから『こう』だった」
「なんらかの形で倒された純魔族・・・中の上あたり
ですかね。あなたの以前の姿は」
「それなりの力はあったらしいが、どこかの神官だか
なんだかが妙な封印をしてくれたおかげで、人間と
魔族の体になってしまったようだ。今は不自由ないが」
隣にゼロスを座らせ、少女もベットに座り込んでいた。
仮面は外さない。それがなぜなのか、ゼロスは少しは
わかっていた。
「で、その翼は?」
「こっちの体に生まれた後にドラゴンとも融合させられた
かなにかでこうなった。今の私は3分の1は人間、もう
3分の1は魔族、残りの3分の1は竜だ。おかげで魔力
容量なんかは助かっているがな」
ぺらぺらとしゃべるリザーに、ゼロスは違和感を覚えたり
しなかった。ゼロスはリザーを見たとき、少女が人間では
ないとは解っていたのだ。
「多分、明日詳しく話す。今日はもう眠る・・・」
言葉の後半は本気で眠そうだった。ゼロスは立ち上がると、
「では、おやすみなさい」
とにこやかな顔でいった。相変わらず・・・である。
「・・・おやすみ」
リザーはゼロスに背を向けて寝転んだ。そのまますぅっと
眠りにつく。
(また何か事件が起こるかもしれませんね〜)
心の中でそうつぶやきながら、ゼロスは虚空に溶け消えた。

*****************************
 っつ〜ことでまたまた変になりました小説第二部!
ゼロスファンの方々すみません・・・(汗)リザーは
完全オリジナルキャラなんで、あんまし細かいことは気に
しないで下さい。
 では〜☆  by 夏青龍

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6457はじめまして一坪(ヘロヘロ) E-mail 5/11-07:11
記事番号6456へのコメント

投稿ありがとうございましたー!
あと「大辞典」への登録もありがとうございます!

今後の展開が楽しみですねー。
オリキャラも設定がおもしろくて、いい感じです。


というわけで頑張って完結させてくださいね。

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6459蒼い瞳の半魔族 3夏青龍 E-mail 5/12-13:20
記事番号6456へのコメント

 こんにちは〜。夏青龍です。またまたやってまいりました!
今回はなるべく長くしたいな〜とか思っているのですが、
どうなることやら・・・です。
 ちなみに、もしやするとこの小説、結構続くかもしれま
せん。しかしそのなかでいくらか意味不明の言葉も出てくる
ことでしょう・・・そういうときはすっとばしちゃってくだ
さい♪
 警告!!!今回はもろにアメリアが出てきます。
  ゼロスくんもです。ですのでご注意を。
  
******************************
 
 蒼い瞳の半魔族 3

朝になって、みんなが起きて食堂に集まったとき、そこには
やはり『6人』がテーブルについていた。リナ、ガウリイ、
ゼル、アメリア、ゼロス、リザーの6人である。
リナとしてはそっけなくつき返されるかとも思ったが、
誘ってみると意外と素直に同じテーブルについたのだ。
「こっち追加注文お願〜い!スペシャルセット2つね〜!」
「俺も日替わりセット3つ!」
リナとガウリイがもうすでにかなりの量をたいらげて
いながら追加注文をした。ゼルとアメリアはすでに
呆れ状態である。ゼロスは別に食べないわけでもなく、
一人前の食事をふつ〜に食べていた。
・・・この性格というか、生活のなかで魔族だと気づく
ものはそれほどいないだろう。何せ神官の格好をして
いる上に、人間らしいことばかりする。・・・たまに、
そうでないこともするけど。これが高位間族として
の人間社会へのもぐりこみ方なのだろうか。
だが、リザーは気づいていたようだ。何故かは解ら
ないが、彼女もそれなりに相手が何なのかくらいは
わかるらしい。人間と魔族の違いは。

「それより・・・リザーさん?あなたほとんど食事
とってないみたいだけど、具合でも悪いの?」
アメリアが話し掛ける。リザーは表情を変えずにいつも
の口調で言った。確かに一人前どころか半人前程度ほどしか
食べていない。
「私は3分の1は魔族としての糧から、3分の1は竜
としての糧から力を補給している。だから人間の標準
以下の食料で足りるんだ」
「あ、そうなんですか・・・って、ええええっ!!?」
アメリアが納得したその後に、大げさなほどの叫び声
をあげた。ゼロスを除いた他の3人も驚愕したように
硬直している。リザーは、少しだけ自嘲的に笑うと、
「話していなかったな。そこの神官には昨日話したが・・・
私は封印を施されて倒された魔族の生まれ変わりみたいな
ものだ。そこに竜とも融合させられてな。まあ、不自由は
ないが」
「じゃ・・・じゃあ・・・ま・・・ま・・・」
リナがかすかにかすれた声で言う。怯えているわけでは
なさそうだが。
「ま?ああ、私が純魔族なのかということだな。私は
3分の1が魔族なだけで他は人間と竜だから、純魔族では
ない。魔力容量なんかは受け継いだが、以前の記憶や、姿
もない。魔族と人間が半分ずつの状態で生まれたから、
もとからこういう性格なんだがな。」
よくわからん説明をする・・・。要点だけまとめれば、
『リザーは純魔族ではなく、半魔族と竜が融合したもの』
であり、『半魔族として生まれたため、魔族の意志とか
人間の意志とかは関係ない』ということだろう。
「ちなみに、魔族や竜の性質ですべて補えることもあるが、
いつもはそうでもないようなんだ。そういえば、ゼロス
・・・といったか。おまえはそれなりに魔族として体力
を補っているのだろう?人間の食事が必要なのか?」
ゼロスはにこにこしながら、
「いえ。ただ何も食べないでいると怪しまれるでしょう?」
「・・それもそうか」
リザーは変に納得した。
「け・・・結構妙な話だな・・・」
「だろう?私も最初はそう思ったさ。物心ついたとき
からずっとこうだったのだから」
ゼルの言葉に、リザーは言ったのだった。

彼女は最初、自分が異質であることを深く考えていなかった
という。幼いころは封印の腕輪をつけただけで人間の姿の
ままだった。魔族の力がまだ弱かったころは。だが成長する
につれ、自分が異質だということや、強大な魔力容量に
気づいていった。
そのころからだ。幼かったころの体にはなかった黒き紋様が
右腕や顔に表れだしたのは。彼女の成長と共に、魔族の力も
成長していったのだ。右腕は黒い紋様でほとんどが黒く染まり、
顔にも異様なあざのようなものが右耳の方から頬へとつたって
いった。それが、8歳のとき。記憶はそのころからはっきり
と覚えているらしい。今まで仲のよかった幼きころの友達や、
近所に住んでいた者たちすべてが彼女を避けだしたことも。
両親までも、リザーを恐れるようになってしまったらしい。
リザーは耐え切れなくなり、まだまだ幼い8歳で家を飛び
出してしまった。子供だったリザーは当てもなく走り続けた。
そして、古い廃墟の神殿にたどり着いた。
体力も使い果たし、一つだけ覚えていたライティングの術
を宙に放り投げたとき、リザーはその場に座り込んだ。
そして、目の前に人影を見た。
『彼』はリザーを自分の家に住まわせてくれた。魔術の
手ほどきや、剣技についても教えてくれた。リザーが
魔族や竜の性質を持っていることも。
魔族はともかく、竜と融合させられたのはそれより前
の話である。4歳のときに何かの理由で竜と融合させ
られたのだ。ただ、そうしなければならなかったらしい
というのは本人が解っている。
『彼』に、幼いリザーは『何か』の感情を覚えた。13の
時である。5年間いっしょにいても、『彼』は全く歳を
とらなかった。20前後の容姿を保ったままだったのだ。
『彼』は自分のことをあまり教えてくれなかった。
そしてある日、リザーが『彼』の家へ帰ってくると、『彼』
は居なくなっていた。置手紙を残して、その場から。
リザーは『彼』を探そうとは思わなかった。見捨てられた
とも、思わなかった。ただ、悲しかったのは――事実。

「だけど、いい人だったのは本当だった。ちゃんと私が
出て行くのを見越して、準備もしていってくれたし。
この剣も『彼』の残していってくれたものだから」
街道を歩きながら、彼女はその話を終えた。6人は別に
焦るでもなく、次の街へと向かっている。
太陽は南中を少し過ぎたころだ。
「そういえば、なんで襲われてたんだ?あんた」
ガウリイが問い掛ける。リザーは首をふり、
「わからない。ただ、私が持っている『何か』を奪おうと
しているのはわかる」
「昨日の奴等も魔族みたいだったな」
ゼルが言う。アメリアとガウリイも起きてはいただろうが、
リナやゼルやゼロスが外に出たことは知らない。
「何とか人の姿をとれる奴・・・程度だったんだろう」
リザーが言った。
・・・にしても、その魔族をほんの少しの時間で倒しきると
は・・・。
「どうやらあの人たちはあなたを傷つけずにことを
運びたかったみたいですねぇ。でなければ呪文を
所かまわずぶっ放していてもおかしくありませんし。
あなたがかわせる程度のスピードだったでしょう?」
ゼロスがのほほんと言うが、リザーは特に気にした様子も
なく、うなずいた。
「あ、街が見えたわよ!」
アメリアの言葉に、みんなは一斉に視線をそちらへ向けた
のだった。


 ―貴方は今どこにいるの?
  私の知らないところ?
  私の知っているところ? 
  
  貴方のことを追い求めても貴方は決して掴めない
  雲を追いかけても掴めないように
  風を受け止めても抱けないように

  貴方が今どこにいるのか
  私は決してわからない
  貴方が残してくれたのは
  私と貴方の想い出たち
  
  どんなに追い続けても掴めない貴方のように
  私の存在も揺らいでしまうのか
  そのうちに消えてしまうのか
  
  貴方が居るから私が居るのに
  貴方が居なければ私はここに居られない
  戻ってきて
  その姿でなくてもいいから
  戻ってきて
  その笑顔でなくていいから
  
  何も貴方に望まないから
  戻ってきて―

宿の屋根の上で、リザーが歌を口ずさんでいた。
『彼』のことを歌っているのは明らかだ。
わかっているのに、諦めきれないのか。
諦めきれないのに、わかってしまっているのか。
そしてまた違う歌を歌う。
 
 ―この世界に在る私という存在
  幻影のような 蜃気楼のような
  私という存在

  誰にも必要とされないのなら 私はいらない存在のはず
  誰にも好かれないのなら 私はここにいないはず
  どうしてここにいるのかすらも 判らない
  
  誰か私の名を呼んで
  誰か私を必要として
  ほんの少しでいい
  だから 好いて―

実際年齢14歳の少女に、なぜここまでこんな歌を
作ることができたのか。幾度も死にかけたのかもしれない。
人に助けられたこともあったかもしれない。
あるいは人を殺めたこともあるかもしれない。
リザーの瞳はまるで底が見えない深海だった。
どこまでも続いていそうな深い海。そのなかの虚ろな闇。
わずかに届く日光が、唯一の瞳の輝きかもしれない。

誰かが屋根に登ってきた。振り向くと、アメリアがいた。
「やっぱり、リザーさんでしたか」
「アメリア殿・・・」
「殿付け、やめてくださいよ。リザー・・・でいいですか?」
「あ、ああ」
アメリアは一応、聖王都の姫である。それを知らなくても、
いきなり呼び捨て、というのはリザーも気が引けたのだろう。
「どうした?こんな夜に」
「いえ、歌が聞こえたから・・・ちょっと」
しばらく沈黙。優しい夜の風が、2人の髪をなびかせた。
満月の光の下、2人は屋根の上でお互いに黙っていた。
「・・・アメリア」
突然、リザーが話し掛けた。
「はい?」
「私が・・・怖いか?」
「・・・・・・は?」
間の抜けた声を出す。だが、リザーは真剣そうだった。
「別に怖いなんて思ったことないですよ。そりゃあ、魔族
と竜が混じってるって聞いたときには驚きましたけど」
「そうか・・・」
「どうかしたんですか?」
「あ、いや・・・その・・・」
リザーが珍しく口篭もる。迷っているような表情の後、
「私は・・・多分今まで人をたくさん殺めてきたと思う。
今は偽善者面でごまかしてるけど・・・魔族の封印が
・・・この仮面が外れたらどうなるかと思って・・・
以前これが外れたとき、私はたくさんの人を殺めていた
と思うんだ。知らないうちに血だらけになってて・・・
『あの人』の家の前で倒れてた。まだ『あの人』が
居たころのことだが」
リザーは仮面を指差した。アメリアはどこからか衝撃
を受けた。魔族になったとき、少女がどんな目をして
いるのか、わかってしまいそうな予感がして、怖くなった。
「あの時・・・リナ殿やアメリア達会ったとき・・・
また殺してしまうのかと怖かった・・・」
多分、リザーは攻撃を受けたときに仮面が外れたりする
ことがあったのだろう。そのときに魔族としての力が
爆発的に増えて、結果、大量に人を殺すこともありえる、と。
「せっかく会えたのに・・・殺めてしまうんじゃないかと」
「リザー・・・」
「今の話で、怖くなっただろうな。私のことが。でも
慣れてる。怪物だとか、化け物だとか、言われて育った
から」
「・・・・・・」
アメリアは何もいえなかった。姫として裕福に育った
彼女とは違い、リザーはみんなから恐れられていたのだ。
世の中にはこんな人も居るのだと、アメリアは思った。
「でも・・・」
アメリアが、やっと口を開いた。
「きっと大丈夫ですよ。リザーは、無差別に仮面を外
したりしないんでしょ?殺したくないって思ってるん
でしょ?だったら・・・大丈夫だと思いますよ」
「・・・ありがとう。すまなかった。変な話をして」
「あ、いいえ。リザーのこと知れた気がしてなんか・・・
うれしいです」
「そうか?」
きょとんとした顔で、リザー。今までこういう反応を
見たことがなかったのかと、アメリアは思った。そして
くすくすと笑って、部屋に戻っていった。リザーも、
『?』マークを飛ばしながらも部屋に戻ろうとした。
「聞いていたのか。ゼロス殿」
「いえ、ついさっきですよ。ここに来たのは」
屋根の上・・・さっきまでアメリアがいた辺りに
ゼロスがたっている。
「ゼロス殿は・・・似ているな。『あの人』と」
「は?」
「いや、こっちの話だ」
聞こえていないのをいいことに、リザーはごまかした。
聞いてほしいような、聞いてほしくないような。
「ゼロス殿は・・・」
「ゼロスでいいですよ」
「・・・なら、ゼロス。ゼロスはなぜ人間と一緒に
いる?」
「秘密です」
いつもどおりの答え。リザーはふっと笑うと、ゼロスの
ほうに向かって歩いていった。そして横に座る。
ゼロスも、その場に腰を下ろした。
「月が美しいと思ったことはあるか?」
「いえ、あまりゆっくり見たことがないので」
「私は・・・思わない。夜を明るく照らしてはくれる
けれど、1人で見ても寂しいだけになってしまうから」
「そうですか。でも、今は2人ですよ?」
リザーははっとゼロスの方を向いた。
『彼』とゼロスがだぶって見えた。月明かりに照ら
されると、そっくりに見えた。
いつか、彼女が幼いころみた、『彼』と。
リザーはゼロスに寄りかかった。ゼロスのほうはきょとん
とした顔で見ていたが、リザーが目を閉じたまま話し始めた。
「ゼロスが『あの人』なら・・・良かったのに」
ゼロスはさっき聞いていた話を思い出した。
この少女が、人を殺めたことのある殺人犯だとは・・・
もしくは半魔族だとは思えなかった。普通の人間の娘
に見えた。
青銀色の髪がきらきらと輝いていた。

********************************
 ・・・・・・・(汗)。すいません。ゼロスファンの方や
アメリアファンの方で読んでくれた方、すみません。
本っ当にすみません!今回はリザーとアメリア、リザーと
ゼロスの会話をやりたかったのです・・・。
 次回はいつになることやら・・・。
                 by 夏青龍


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6465蒼い瞳の半魔族 4夏青龍 E-mail 5/14-21:56
記事番号6456へのコメント


 こんばんは。夏青龍です。なるべく早いうちに続編を・・・
とか考えていたくせにこのままだとずるずるとのびてしまい
そうでした・・・(汗)中間が近いんで・・・(涙)。
 
*********************************
 
 蒼い瞳の半魔族 4

かしゃん、と音を立ててリナとゼロス以外の誰もがフォークやら
スプーンやらを落としたのは、リザーが「しばらく、いっしょ
に旅をしてもいいか?」と言った直後のことである。
『・・・本気(です)か?』
「どぉいう意味よ・・・」
「どういう意味も何もないと思いますけどねぇ、リナさん」
しかめっ面で問うリナに、ゼロスはニコニコ顔で答えた。リザー
はきょとんとしているが、他3名の表情には驚愕だけがはっきり
示されている。
「お前・・・まだ若いんだし、人生投げちゃ〜いかんと
思うぞ。俺は」
「右に同じく・・・」
「リザー・・・ここで道を誤っちゃ駄目よ・・・」
ガウリイ、ゼル、アメリアがぽつんと言った。リナの表情が
強張る。リザーは意味がわからず、「?」をまわりに飛ば
して首をかしげるばかり。
・・・リナの噂を聞かない方がおかしいとは思うが、本人
が知らないのなら触れないほうがいいかもしれない・・・。
「いや、あの・・・う〜ん・・・私を狙っている奴等、
リナ殿とゼルガディス殿は見ただろう?奴等が何かの
盗賊一団だか宗教集団だかの奴等だって聞いたんだが・・・
そいつらのアジトの宝を報酬がわりだとでも思って連れて
行ってくれないか?相手の大半は人間と獣人だし・・・」
「でも、宝があるって決まったわけじゃないんでしょ?」
「いや、もし見つからないのなら私の知っている昔の神殿
の廃墟の洞窟の入り口まででも案内して、奥の宝石やら
なにやらあげてもい〜な〜と・・・」
 ぴぴくぅっ!!
リナの素朴な疑問に答えてリザーが言うと、リナが反応した。
『宝』と言う言葉がつけば少々の危険を犯してでも取りに
いくのがリナである。盗賊一団を壊滅させたりするのは
お手の物だが。
「で、答えは・・・?って・・・!?」
がしぃっ!とリザーは自分の手が掴まれたのがわかった。
そして・・・
「ええ、ええ、連れてってあげるわリザーちゃん!報酬の
お宝目当てだなんてこれっぽっちも考えてないから心配
しないでねっ!これから楽しい旅を一緒にしていきましょ!!」
瞳をやたらきらきらさせながら、リナがリザーの手を掴んで
言った。リザーは唖然としている状況である。
・・・相手が中の下くらいの魔族だなんてこれっぽっちも
覚えていないようである。まぁ、リナくらいの波乱万丈な
人生を歩んできた人物なら、そんな魔族がいくら集まろうと
増幅呪文つきのドラグ・スレイブでもふっ飛ばせばすむ
ことである。アジトくらいなら木っ端微塵だろう・・・(汗)

そして一行は6人と化した・・・。


襲撃は結構盛んにやってきた。
レゾの時ほどの物(原作一巻より)でもないが・・・
早朝1回来た。
午前中に2回来た。
夕方1回、夜2回。
寝床につこうとしたときにもう1回。
けっこう辛いものがある・・・。寝るに寝れないではないか。
相手はやっぱり黒マスクが4,5人。そのたびにリナが
森までおびき出してドラグ・スレイブでふっ飛ばし、リザー
がラ・ティルトでちまちまとやっつけ、ガウリイとゼルが
ブラスト・ソードとアストラル・ヴァインのかかった剣で
なぎ倒し、アメリアが素手でどつき倒し、ゼロスはのほほん
とした表情で錫じょうを振り回していた。
しかし相手は町や村につくと全く音沙汰がなかった。
そんなこんなで5日間が過ぎ、一行は2つの村と町を通過
した。目指している街は特にないが、一応ディルス近くの
街までは行くつもりである。
そして今日・・・近くに村や町がなく、一行は野宿をする
ことになった。
「しっかし・・・今日も疲れたわね・・・」
「確かにここまでしつこいとは思わなかった・・・」
リナのつぶやきに、リザーがため息混じりにいった。
「すまない。面倒ごとに巻き込んで」
本当にすまなさそうな顔で、リザーが言った。リナは
ぱたぱたと手を振って、
「いいのよ。それにもう十分かかわっちゃってるし、ね」
「・・・ありがとう」
ふと、リナは思った。最初に出会ったときより、リザー
が優しく感じられるのは気のせいだろうか?安心しきって
眠っているのを見ることなど、初対面の時は考えなかった。
ましてや相手は一応オンナノコである。剣術や魔道に
長けているなど普通の一般市民(?)からは考えられない
ほどの腕を持ち合わせている。リナたちには及ばないが。
彼女はいまだ腕輪を外したことはない。それほどの敵では
ないというのがいいような悪いような・・・。
日が沈み、辺りが暗くなったとき、アメリアが歩いて
近寄ってきた。
「・・・リナ」
「どうしたの?アメリア」
「――いる――」
その言葉に、リナとリザーは反応し、ばっと辺りに警戒目を
走らせた。が、何もいないし感じない。・・・少なくとも、
リナは。
「勘がするどいな。アメリア」
リザーは気づいたようだ。そして、少し遅れてリナも。
辺りが一瞬で真っ暗な世界に変わった。結界である。
『ほぉう・・・あの天才魔道士リナ・インバース、か。
その力、試させてもらうぞ。そしてリザー、よくもこんな
所まで逃げてきてくれたな・・・』
不満そうな顔をしたアメリアだったが、うだうだ何かを
言ってはいられない状況のようである。リナたちに向かって
正面に、思いっきり魔族とわかる格好の人影が3つ。
『皆殺しにしてくれる・・・』
1人の魔族がそうつぶやいたとき、戦いは始まった。

**********************************
 あはははははは・・・(乾いた笑い)。ろくな話が作れない・・・。
 あと、一坪さま、感想というかコメント、どうもありがとう
ございました。ちゃんとお返事出さなくてすみません。
 では。    by 夏青龍

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6470こんばんは。みてい 5/16-23:27
記事番号6465へのコメント

こんばんは、はじめましての気がしますので初めまして。小説1をうろつくみていでございます。

オリキャラのリザー、何だか性別を感じさせないキャラクターですね。
リザーの容姿を少ない想像力を駆使してみると、何だか月の光を逆光に立っているのが似合いそうだと勝手に思ったりしています。
ちょこっとゼルっぽいかなーとも(これも思いっきり私観なんですけどι)

ではでは、ものすっごく短いですがこれにて。
続きを楽しみにしています。
みていでございました。

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6472感想ありがとうございます夏青龍 E-mail 5/17-07:33
記事番号6470へのコメント

 こんにちは。それから初めまして。夏青龍です。
>
>こんばんは、はじめましての気がしますので初めまして。小説1をうろつくみていでございます。
>
「樹海より・・・」のみていさんでしょうか。小説、読みましたよ。
面白いです。

>オリキャラのリザー、何だか性別を感じさせないキャラクターですね。
>リザーの容姿を少ない想像力を駆使してみると、何だか月の光を逆光に立っているのが似合いそうだと勝手に思ったりしています。
>ちょこっとゼルっぽいかなーとも(これも思いっきり私観なんですけどι)
>
いえ・・・実は男っぽい女みたいな感じになっちゃって・・・いや、
完璧かわいい女の子にはしたくなかったんですけどね。口調はちょっと
堅苦しくしようかな〜なんて思ったりしたもので。にしてもみていさん
は想像力あるんじゃないですか?少なくないですよ。ぜんぜん。結構
そういうイメージで作ったりもしましたし。満月の夜に月光を浴びて
立ってるとことかも想像してました。私も。
ちなみに、ゼルに似ちゃったのは会話でその共通点があったほうが
いいかなと思ったからです。ちょこっとですけどね。ちょこっと(笑)。

>ではでは、ものすっごく短いですがこれにて。
>続きを楽しみにしています。
>みていでございました。
感想ありがとうございました。さん付けでお返事を返させていただき
ましたが、悪かったら言ってください。続き、なるべく早く投稿しよう
と思います。これからもよろしくお願いします。
 by 夏青龍

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6473初めまして♪ねんねこ E-mail URL5/17-18:14
記事番号6465へのコメント

はじめまして、ねんねこと申します。
実は投稿され始めてからかかさず拝見させていただいてたのですが、今回思いきってレスってみました。
自分が書いている話とかの関係で最近自分の頭の中でリナとガウリイがあまりよく動いてなかったんですが(待てよ自分)久しぶりに二人が動き出しました。(特にリナ)
ああ、リナちゃんやっぱりお宝に目が眩むのねってなもんです。
原作テイストでアメリアもなんだか鋭いし(嬉)続きが楽しみです。
中間試験が近いようですが、頑張ってくださいね☆
それではねんねこでした。

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6474ありがとうございます〜!夏青龍 E-mail 5/17-20:15
記事番号6473へのコメント

こんばんは。それと、初めまして、ねんねこさん、夏青龍です。

>
>はじめまして、ねんねこと申します。
>実は投稿され始めてからかかさず拝見させていただいてたのですが、今回思いきってレスってみました。

感想ありがとうございます。すごくうれしいです! 

>自分が書いている話とかの関係で最近自分の頭の中でリナとガウリイがあまりよく動いてなかったんですが(待てよ自分)久しぶりに二人が動き出しました。(特にリナ)
>ああ、リナちゃんやっぱりお宝に目が眩むのねってなもんです。

リナはいい人(?)だとは思うのですが、お宝が絡むとちょびっと違う
感じなので・・・リナ、変になっちゃいましたかね・・・(汗)

>原作テイストでアメリアもなんだか鋭いし(嬉)続きが楽しみです。

なるべく近いうちに続編も投稿しますので、もうちょっと待ってて
下さい。

>中間試験が近いようですが、頑張ってくださいね☆
>それではねんねこでした。

これからもよろしくお願いします。ありがとうございました。
では。 by 夏青龍

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6476蒼い瞳の半魔族 5夏青龍 E-mail 5/17-22:59
記事番号6465へのコメント

 こんばんは。夏青龍です。結構感想をくれる人たちがいて、
うれしいかぎりです。1回ミスって変な小説を投稿してしま
いましたが、管理人さんに削除依頼をしましたので、上の
「5」はあんまし気にしないで下さい。これからもよろしく
お願いします。

********************************
 
 蒼い瞳の半魔族 5

 しゃっ!
魔族が風を切って走ってくる。リナとアメリアは呪文を唱えて
いる。リザーも手っ取り早く呪文を唱え、
「アストラル・ヴァイソン!」
右手の剣に術をかける。これで魔族にもダメージを与えられる
はず。
にしても、今回は人間の形をしていない代わりに、結界を
作るほどの魔族である。さっさと片付けないと結界から出る
ことすらかなわない。
「はぁっ!」
声と共に、リザーが走った。
(――速い――!)
リナが横目で見ていたリザーは、思ったよりずっと素早かった。
ガウリイほどではないが、ゼルとためがはれるぐらいには
なっているかもしれない。
「エルメキア・ランス!」
リナが呪文を解き放った。魔族はぐにゃりと変形し、簡単に
それをかわす。リナの相手は真っ白な、人の形をした奴で、
一つ目である。大きさは大の大人くらい。アメリアの方には
うねうねとしたものが腰から下に絡まり、たゆたっている
女の形をしたやつだった。いつかラーシャートが連れていた、
モルディラグに似ている。
リナの眼前で、魔族が錐(きり)のようにとがった腕を振り
下ろした。リナは後ろにジャンプしてそれをかわす。

女の形をした魔族は、触手をアメリアにざっと伸ばし、アメリア
を絡め取ろうとした。が、アメリアの呪文が完成したタイミング
で魔族は絡まってきたため・・・
「ディスファランク!」
アメリアの呪文と彼女が放ったこぶしでど突き倒される。よりに
よって、呪文がかけられていたせいもあって、これは魔族が
痛がらないはずがない。
『ぎゃぁうっ!』
魔族の叫びがこだまし、アメリアの攻撃第2弾が魔族を襲った!
今度は2発入る。魔族がよろめきながら後ろに下がっている間に、
アメリアがラ・ティルトの呪文を唱え始める。
『キサマッ・・・!』
呪文が出来上がるにはあと少し時間がかかる。アメリアは避け
ようとするのだが、触手が足を絡め取った。それでもなんとか
呪文を唱えようと、アメリアは声を止めたしない。
そこに魔族の攻撃が迫っている・・・!
『ぐぎゃぁぁあぁっ!!?』
絶叫を上げたのは魔族のほうだった。後ろには・・・
「背中が甘い」
剣を魔族に突き立てて、リザーが言った。魔族が後ろを
向いたとき、アメリアの呪文が完成した!
「ラ・ティルト!」
断末魔の悲鳴も残さずに、魔族は消え去った。
リザーは間をおかず、さっきの魔族に踊りかかる!
「デイム・ウィン!」
リナが魔力の風を起こした。無論、これはほとんど意味が
なかった。風を起こしただけなのだから、魔族にダメージが
与えられるはずもない。が、
「ゼラス・ブリッド!」
『ギャォウッ!』
獣のような悲鳴をあげて、魔族が後ろにさがった。おしい。
光弾は魔族の肩を吹き飛ばしたが、致命傷には至っていない。
リナは、風を利用して前へ飛び、そこから呪文を解き放った
のだ。距離が近いため、外れることはほとんどないはずだ。
しかし、今の魔族は速かった。予想以上に。
「ダイナスト・ブラスっ!!」
今一度、リナの呪文が解き放たれた。今度は魔族も逃げる時間
がなく、魔力の雷に打たれて塵と化す。
あと一匹!

『さすがだな。まあ、あの2体はほとんど失敗作だからな。
倒されてあたりまえか。リザー、おまえの持つその魔力球、
渡してもらうぞ!』
最後の一人は、かろうじて人の姿をとっていた。真っ黒な
マントとフード、顔は白を通り越して青かった。
「何を・・・言っている?」
変わらぬ口調で、リザー。
『おまえの力を抑えるその――・・・!』
魔族が動いた。不意をつかれたか、リザーが体勢を崩しつつ、
避ける。だが次はないはず・・・!
「エルメキア・ランス!」
『ぐぉぁっ!!』
アメリアの呪文が、魔族を直撃した。
 きゅごぅっ!
魔族が3つの光弾を放った。3人に一つずつということか。
しかし、これに呪文をぶち当てて、自分もその爆発の
巻き添え、というのはむなしすぎる。そんなことを考えて
いる間にも、光弾はどんどん迫ってくる・・・!
「私の後ろにさがれ!」
リザーが言った。リナも、アメリアも、リザーの後ろに
隠れた。
リザーはためらいもせずに腕輪をはずし、黒竜(ブラック・ドラゴン)
の翼と魔族の触手を出現させた。大きな翼でリナとアメリアを
かばうように包むと、
 ヒュル・・・ゥゥ・・・
口笛のようなものを吹く。
 ドゥムッ!!
光弾が翼に激突し、爆発した!リナとアメリアは眼をつむった。
しかし、光が収まったとき、リザーは平然とした顔で
魔族をにらみつけていた。
さっきの口笛は、竜か魔族かの呪文だったのだろう。それで
直撃寸前に防護壁を周りに作ったのだ。
その直後、リナとアメリアの声が響く!
「ヘル・ブラスト!」
「エルメキア・フレイム!」
魔族に2人の呪文が炸裂した!だがしかし、魔族はまだ
立っていた。・・・根性があるというか・・・なんというか。
とにかくしつこい・・・。
そこにリザーが斬りこんでいく!
「滅!」
気合と共に、銀の線が空中に刻まれ、魔族を切り裂いた!
そのとき、魔族の右手がかすんで見えた。今度こそ、
魔族は滅びた。

結界が破れると、そこにはさっきまでいた森だった。
「ふぅ・・・」
アメリアがため息をついた。リナも近くの石に座る。
「どうした!?」
ガウリイとゼルがちょっと離れたところから走ってきた。
「あ、ガウリイ。魔族よ、魔族。もう倒しちゃったけど」
「怪我とかはないのか?」
ゼルの問いにはアメリアがうなずいた。だが、リザーは
背を向けたまま動かない。ゼロスが一番遅れてやってきた。
そしてリザーのところまでいくと、肩ひざをついていた
リザーの左腕を引っ張った。
「っ!」
「ああ、やっぱり怪我してましたか。どうりで負の感情
が空気に混じってたわけですねぇ」
のほほんとした口調。リザーの左肩は赤く染まっていた。
「ゼロス、放してくれないか。これでも結構痛いんだぞ・・・」
「それもそうでしょうねぇ」
ぱっと掴んでいた腕を放して、ゼロスが言った。
リザーはつかまれていた個所を痛そうにさすってから、その場
に座り込んだ。衣服が血で染まる。
「アメリア、呪文・・・」
リナが言う前に、アメリアは歩き出していた。リザーの左肩
に手をかざして、リザレクションをかける。
魔族の最後のあがきか、右手がかすんで見えたのはこの攻撃
のためだったようだ。
にしても傷は結構深かったようである。確かにリザレクションの
ほうが早く傷が治る事もあるが・・・。
「はい、これで大丈夫でしょ」
「すまない・・・」
腕輪をつけ、人間の姿にもどる。しかしそのとたん、リザー
は気を失って倒れた――。

**********************************
 リザーが気を失っちゃいましたねぇ・・・次回の続きを
どうしようか迷ってるところです。読んでくれた人、
ありがとうございます。
 では。  by 夏青龍 

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6496蒼い瞳の半魔族 6夏青龍 E-mail 5/19-20:18
記事番号6465へのコメント

 こんばんは。やっとこさ週末まで生き延びました(大げさな)。
眠いし、頭痛いし・・・ああ、でも明日は結構長く寝ていられ
ます〜。とか言ってると中間が!!(汗)

********************************
 
 蒼い瞳の半魔族 6

 ――いつのことだったか・・・
   私は、とある村に買出しに出かけた。
   そこでケンカを売ってきたやつらを10人ほど片付けた。
   といっても、もちろん殺してなどいない。気絶させただけだ。
   あっけなく倒れていく男たち・・・人間を見て、
   私は一体何なんだろうと思った。
  
   人間ではない。
   魔族でもない。
   竜でもない。
   行き場なんかどこにもなかった。
   あの人のところ以外は。

   帰るべきところはあの人のいるところだった。
   そこにしか行けなかったから。
   道順も、世間のことも、あまり興味はなかったし、 
   知らなかったから。
   
   誰も私なんか受け入れてはくれないんだ。
  
   深い深い蒼の瞳と銀に水色がかかったような青銀色の髪。
   黒でも、茶色でも、金でも、白でもない。
   誰とも合わない瞳と髪の色。
   
   恐れられ、嘲られ、どうしようもない孤独。
   孤独は苦痛ではなかったけれど、どこかがうずく。
   
   魔族は呪文詠唱しなくても呪文が使える。
   竜族は翼を持っているから、空を飛べる。
   人間はなんと非力なのだろうか、と思った。
   自分はなんと非力なのだろうか、と思った。
   
   やつらを片付けて、油断したところに蹴りを食らって、
   仮面がガランと落ちた。赤い宝玉の埋め込まれた軽い
   仮面なのに、重いもののように地面に落ちた。
   
   それから
   それから
   それから
 
   覚えているのは血にまみれた自分と、廃墟になった村。
   そして、彼。
   彼は私に仮面を付け直すと、言った。
   『これ以上殺してはいけない。君の中の君を蘇らせては
   いけない』と。
   
   真っ赤な手を見て、泣きたくなった。
   でも、魔族に涙なんかない。
   泣けなかった。
   悲しくて、辛かったのに、泣けなかった。
   泣いて心についた血を落とそうと思ったのに。
   傷を治そうと思ったのに。
   
   涙すら流せない、仮面の封印が無ければ生活できない。 
   そんな体で生きていくんだと、
   思い・・・知らされた。
  
   いつのことだったか
   いつのことだったか
   いつの・・・ことだったか・・・――

 
天井が見える。木造りの天井。
(宿・・・?)
リザーは自分の右手を動かした。封印はちゃんと効いている
ようである。
「お目覚めですか」
「・・・ゼロス・・・」
視界に入ってきたのは、ゼロスだった。のほほん顔の。
「気が抜けたみたいでしたねぇ。大丈夫ですか?」
「・・・ああ」
静かに、言った。リザーは思い出したくなかった。口にするの
にも心が痛む。だから、思い出したくなかった。
「『悲しみ』?」
びくっとリザーが反応した。ゼロスの方を見る。
「そうか・・・ゼロスは・・・魔族だからな・・・」
息を吐き出すように、何故か弱々しく、放した。空気が口から
漏れているだけのようにも聞こえる。
「私の『負の感情』は美味いのか?」
「・・・・・・」
「どうした?」
リザーが虚ろな眼で問い掛ける。ゼロスはさっきまでの微笑を
浮かべてはいなかった。ショックを受けたように、呆然とした
ような顔をしていた。
「ゼロス・・・?」
「いえ、すみません。吸収しきれなかったんですよ。あなたの、
『悲しみ』が。濃すぎまして、ね」
魔族がどういう意味で濃いと言っているのかは謎だが、ゼロス
が吸収しきれないというのはどういう事だったのか。
「苦かった、ですよ。今までこんな『負の感情』を受けたこと
ありませんでした」
「・・・・・・」
「ま、僕の力を補給してくださったリザーさんには感謝しなきゃ
いけないんですけどね・・・『悲しみ』だけじゃありません
でしたし。『不安』と『孤独』の『辛さ』と・・・」
ゼロスが不意に自嘲的に笑った。
「初めてですよ。『負の感情』を怖いと思ったことなんて」
「『怖い』・・・?」
リザーがいった。今にも消えてしまいそうなか細い声で。それでも
驚いているのはわかる。
ゼロスはまた微笑を浮かべ、
「誰にだって怖いことってあるものですよ。多分」
「多分、か。ゼロスらしいような気がするな・・・」
「どこがですか」
珍しく、突込みを入れる。リザーも笑った。
ノックの音が聞こえた。リザーは起き上がったが、ふっとめまい
を覚えた。一瞬だったが。
「入ってもいいですか?」
アメリアだ。ゼロスがドアを開けると、アメリアが飛び込んできた。
「あ、リザー!目、覚めたんですね〜!」
「あたりまえだろう・・・」
呆れたように、リザー。しかし本人は知らないのだ。アメリアが
そんなことをいう理由を。
「丸一日昏睡しててあたりまえだなんて・・・心配したんですよ?」
「・・・は?」
間抜けな声をだす。ゼロスは後ろでくすくす笑っている。
「一・・・日・・・?」
「そうですよ。全然起きないんで、みんなでかわりばんこに
見にきてたんですよ」
「そ、そう、か・・・」
「もう大丈夫?」
「あ、ああ。もう大丈夫だ」
「気が抜けるのもあたりまえですね。3体もの魔族と戦って、
怪我までしてたんですから」
「すまない・・・」
リザーがうつむく。アメリアは慌てて、
「あ、謝らなくてもいいのに・・・」
「でも・・・」
「平気ですよ。みんなも元気ですし。・・・そういえば、何も
口にしてませんでしたよね。昼食、食べます?」
「・・・ああ」
アメリアに手を引っ張られ、リザーはわたわたしながら1階へ
降りていった。
あとに残ったゼロスはふぅっと虚空に消えた。まるで、逃げるように。

**********************************
 わ〜!すみません〜!とことんおかしくなりました〜〜!!
今回はリザーの回想がしょっぱなから出てきましたが、詳しい
ことはまた今度、ってことに・・・。では。
                by 夏青龍

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6511蒼い瞳の半魔族 7夏青龍 E-mail 5/21-20:35
記事番号6496へのコメント

 こんばんは。夏青龍です。スレイヤーズのビデオをレンタル
ビデオ屋で借りてこようかと迷っている今日この頃。フィリア
とかってアニメにしか出てこないらしいですし・・・。無知で
すみません・・・(汗)

********************************

 蒼い瞳の半魔族 7

「お」
ガウリイが食事をしながらリザーが来たことに気が付いて、
呟いた。リナも振り返る。
「やっと起きたのね」
「すまなかった。ずっと寝ていたようだな・・・」
照れたように、リザー。アメリアが席に着くように促すと、
リナとガウリイが座っている席に座った。アメリアもだ。
「でもすごかったわね〜。あんたの翼。結界も張ったみたい
だったし」
「ああ、あれは竜の性質の方を使ったんだ。竜は人間には
発音不可能な呪文で術を使うからな」
「確かに、口笛みたいでしたしね」
アメリアが注文をし終えて、言った。リザーは、少し俯くと、
「これを外さない私ではまともに魔族とは戦えないんだ。
普段は無力な子供だよ。リナ殿や、アメリアとは違って」
リザーは、剣術には長けているが肉弾戦ではその力を発揮でき
ないこともある。魔術は遠距離、近距離で使用可能だが、剣術
は所詮、接近しなければ攻撃を当てられないのだ。その点で
利点のある魔術を剣術より優先させなかったのは、『彼』が
いなくなってから以前の家を出るまで、書物などを読む時間が
それほど無かったためと、やたら強い魔族と戦うこと無いため、
必要がなかったのだ。
「ん?ゼルガディス殿がいないようだが・・・」
「あ、あいつなら魔道図書館へ行っちまったぞ。またあれだろ。
C定食2つ追加〜!」
「多分ね〜。とことん気にしてる上にかなり高次元の話だから
辛いだろうけどね〜。あたしもA定食3つ追加〜!」
人事のように、リナとガウリイ。ゼルの体を元に戻す方法という
やつだ。リザーはやはりきょとんとした顔だった。
「午後は個人で別行動にしましょ。この宿屋だって明日には
出て行くつもりだし・・・」
「ああ。わかった」
言って、食事もそこそこにリザーは宿屋を出て行った。どこか
で何かを調達にでも行くのだろうか。それほど気にせずに、
リナはそれを見送った。

日が南中をほんの少し過ぎて、人々があたりを歩き始めたころ、
町の小さな魔道図書館に1人の青年がいた。人々が昼食を食べて
いたころからいたのだろうか、机の上にはかなりの量の本。
「・・・・・・」
熱心に本を読みながら、時折深く考え込むような表情になる。
他の本を取ろうとして、立ち上がった拍子にさっきまで読んで
いたたくさんの本が床に落ちた。
 どさどさばさっ
「・・・・・・」
無言で、少々面倒くさそうに拾う。と、その視界に別の人間の手
が入り込んでくる。本を拾って、机の上に置く。
「おまえか」
「かなりの量だな」
拾った本を見て、感嘆する少女、リザー。青年―ゼルガディスは
髪をかきあげると、本をしまいだした。
「続けないのか?」
「呼びにでも来たんだろう」
リザーの問いに、ゼルがため息混じりに言う。リザーは苦笑して、
「違う違う。私が勝手にここへ来ただけだ」
「・・・そうか」
またくすくすと笑い出すリザー。何が面白いんだといわんばかり
の表情で、ゼルがリザーを見たが、リザーは気にしなかった。
「すまないな。つい・・・」
「謝らなくてもいい。で?何か用か?」
「別に。それより何の本だ?・・・合成獣、か」
ぴくりとゼルが反応した。リザーは気づかずに席を一つあけて
隣に座った。さっき自分で机の上に置いた本を読み始めた。
「ずいぶんと詳しいところまで調べてるんだな」
「・・・・・・」
「『合成獣は2つ以上の生物・物を同じ特徴を見出すことに
よって融合させた物であり、元に戻すには数限りないと思わ
れるほどの特徴をばらばらにし、それを組み上げるほどの技術
が必要』、か・・・」
結構興味深そうに読んでいるが、ゼルの方は不機嫌そうだ。
まあ、無理も無いが。
がたんと立ち上がると、リザーが他の本を取ってきた。
「『合成獣の姿形は融合されたものによって違ってくる。
翼を持つもの、尾をもつもの、硬いもの、柔軟なもの・・・
などなど』」
また別の本をとり、読み始め、ふと、パタンとその本を開いた
まま置いて、リザーは腕輪を外した。黒い翼が出現する。
人の気配はこれっぽっちもない。というより、この図書館は
本当は休館日で、ゼルが管理人に頼むとあっさり開けてくれ
たものだ。人が来るはずがない。
図書館の天井はとても高く、塔のようになっていた。
「な、何をしてるんだおまえは!!」
「いや、なんとなく」
「なんとなくでそんな姿になるな!もし人が来たらどうする
つもりだ!?」
「別に。怖がられるのにも慣れているし」
「・・・・・・」
唖然としながら、呆れながらゼルは上を見ていた。翼によって
天井近くまで浮かんだリザーを。
と、リザーが床まで降りてきた。ぐいっとゼルを引っ張って
飛ぶ。
「うぉわっ!」
「安心しろ。落とたりしないさ」
笑いながら、リザー。当たり前だ。普通。
バルコニーへ続く階まで上昇すると、そこの窓を開けて
バルコニーから飛び立った。
「おいっ!!!!」
「大丈夫だって言っているだろう」
何故かとてもうれしそうに、リザー。何が面白いんだかわからない
ゼルは呆然としている。
塔の頂上まで飛んで、リザーはゼルを降ろした。けっこう力持ち
なようだ・・・。
「どういうつもりだ?」
「別に」
「・・・・・・」
もうついていけないとばかりに諦めのため息をつくゼル。リザー
はにこにこしながら、言った。
「私はな」
「ん?」
「この姿で生きていくことに、不満を感じることもある」
(そりゃそうだろ・・・)
「だけど、空を飛べるんだ。こうして」
自由に、気の向くままに空を飛ぶ。
「人と一緒に飛ぶのはとても楽しいし、飛べればうれしいんだ。
何故かは分からないけれど、な」
「はぁ?」
「気にするな。私がゼルガディス殿を連れてきただけなのだから」
リザーは上空を旋回すると、また戻ってきた。
「ゼルガディス殿だって、何かしらその姿で得をすることは
あるだろう?」
「まあ・・・な」
その硬質な肌のおかげで、剣などの刃物で簡単に傷をつけられる
ことはまず無いし、それなりに魔力も持っている。
「『人は自分以外のものに生きられるようになって、初めて生の
スタートを切る』」
「?」
「さっきの本に載っていた。誰の言葉だかわからないが」
「へぇ」
あまり面白くなさそうに、そっぽを向く。
「ゼルガディス殿も、もうその線は越えている。アメリアも、
リナ殿も、ガウリイ殿も。ゼロスも・・・多分。みんな、
大切な者を知っている」
(大切な者・・・か)
リザーの言葉を、ゼルは頭の中で繰り返した。何故かは
分からないが、無意識に繰り返していた。
 ―大切な者を知っている―
「ちょっと待ってろ」
言って、リザーは噴水のある公園の方へ行ってしまった。
見つかったらどうなることやら・・・。
数分後、リザーが少女をつれて戻ってきた。アメリアだった。
「何なんだ?」
「じゃ、私はこれで」
『はぁぁ!!!!??』
満足そうに、リザーは手を振って、帰っていった。最初から
最後までよく分からない奴だ、とゼルは思った。アメリアは
呆然としながらリザーのその姿を見送った。
「なんだったんでしょう・・・ね・・・」
「さあな・・・」
風が通り過ぎたあと、2人は顔を見合わせ、ばっと視線をそら
した。共になぜか赤面しながら。今ごろになってやっと気づいた
のだ。
(リザーが・・・図ったみたい、ね・・・)
アメリアが気づいた時には遅かったのである。
「え・・・ええと・・・」
この状態で何をどうしろと言うのか。両者気まずい雰囲気に
なってしまった。たやすくわなに引っかかった挙句、2人きり
にされてしまったのだ。
「わ、私下りますね。先に・・・」
と、アメリアの体が傾いた。ここは塔の頂上である。落ちてただ
ではすまないのは分かりきっている。呪文を使うひまもあらばこそ、
の距離だ。 
「アメリア!!?」
「あっ!!」
(落ちる――!!)
アメリアは落ちるのを覚悟した。が、落ちている感覚などどこにも
なかった。
「へ?」
「よっと」
すとん、と屋根の上に下ろされる。ゼルがすんでのところで
引っ張りあげたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「気をつけろよ、まったく・・・」
怒っているような口調だが、そっぽを向いたところからすると、
照れているようだ。アメリアはくすっと笑うと、ゼルの肩に
ちょんちょんと手をのせて、振り向かせた。
ゼルが振り向いたとき、アメリアはゼルの頬にちょんっと
口付けした。
「!!!!!!!???」
「お礼、です☆」
真っ赤になって後退りするゼルに、アメリアはぺろっと舌を
出して言った。
「今度こそ、下りるぞ」
まだ赤面しつつ、ゼルがアメリアの手を引いた。呪文を唱えて
いる。アメリアはいまさらながら、リザーに少しだけ感謝
した。

*********************************
 完璧にゼルアメ小説と化した・・・です。すいません。ガウリナ
もそのうちに・・・(汗)。ゼロスくん出てきませんね〜。ははは
(笑い事じゃない)。途中にでてきた言葉はどっかで聞いた言葉です。
 では。     by 夏青龍

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6585蒼い瞳の半魔族 8夏青龍 E-mail 5/26-18:32
記事番号6496へのコメント

 こんにちは。夏青龍です。遅れてしまいましたのでツリーが
落ちそうです・・・(汗)そのうち別のツリーを作ろうと思い
ます。
―――――――――――――――――――――――――――――――
 
 蒼い瞳の半魔族 8

妙に上機嫌な顔で、リザーは歩いていた。皆も一緒なのだが、
リザ―の調子についていけず、少なからず呆れている。
町をでて以降、やはり黒マスク軍団は襲ってくるのだが、リザー
はにこにこしながら吹っ飛ばしていた。ゼロスに似てきた・・・
と皆は思っているが、突っ込めないのが悲しいところである。
そこへまた無謀なやつらが現れた。黒マスクの4人である。
「リザー、いいかげんもとを潰さないといつまでたっても
刺客が来るわよ?」
リナがうんざりとした声で、言う。リザーはにこにこ顔を
崩しもせず、
「それはわかっているさ。こいつらから聞き出すか」
呪文を唱えだす。相手も構えたが、リザーが術を解き放った。
「エルメキア・ランス」
槍はあっさりかわされたものの、リザーは剣を抜いて走り
出した。黒マスクのうち2人はリナたちの方へ向かってくる。
リナは面倒くさそうに呪文を唱え・・・
「ダイナスト・ブラス!」
相手は声も立てずに消えた――と、リナが油断したところへ、
何かが迫ってきていた。
 ヴァッ!
後退したときになびいた髪の先が、少しこげている。
「何!?」
「リナ!!」
ガウリイがどんっとリナを弾き、剣で『何か』を斬った。
斬られたものはぱらぱらと青い炎を散らしながら消えた。
気を抜くひますらなかった。次から次へと青い炎が
飛んでくるのである。ファイアーボールのようなもの
だろうか、避けたところには爆発が起こる。
「わわわわわわっ!!」
なんとかかわすものの、速度が速く、きりがない。一体どこ
から飛んでくるのかと、リナが木の上を見ると・・・
「女!?」
ゼルが言った。アメリアはディスファランクで黒マスクを
倒していた。
そこにいたのは紛れもなく女性だった。20歳から20代
前半以内だ。真っ黒な髪と瞳・・・。いや、黒ではなかった。
それは深い深い緑だった。日の光を受けてもさして輝きも
せず、その髪は風になびいていた。腰にはダガーらしきもの
の鞘が見え、服は黒系の軽装服。鎧も軽装鎧で、肩のショルダー
ガードには銀の装飾が少しだけ入っていた。かなりの美女である。
「あらあら、外れちゃったわね。さすがはリナ=インバース」
女性は言った。残念というよりは、いたずらをした後の子供の
ような声。
「だ、誰よあんた!」
何故かすごい威圧感を感じ、リナは訊いていた。答えてくれる
ことを期待してはいなかったが。
「私?私はね、シャトリア。シャトリア=シュード」
髪をかきあげつつ、美女は言った。と、リナはばっと飛び
のいていた。さっきまでいた場所に数十本の長い針が降って
きたのだ。それらはことごとく地面に突き刺さっていた。
「あの子の―リザーの持ってる宝珠が欲しいのよ。2つ、ね。
それをくれるなら別に殺しはしないわ」
「宝珠って・・・リザーは宝珠なんて持ってないはずよ!」
アメリアが言った。美女は気にせず、言った。
「ただ単に見せていないだけかもしれないでしょう?それに、
あの子が他人に見せることができるようなものじゃないもの」
シャトリアはそれを言うと、地面にとんっと下りた。リザーは
駆けて来たとき、すごい目でシャトリアを睨みつけていた。
「あら怖い。今日は帰ろうかしらね」
「待て!」
言ったのはリザーだった。明らかに怒気の含まれた声だった。
シャトリアは変わらぬ表情でリザーを見ていた。
「お前たちは私の宝珠を手に入れようとしているようだが・・・
なんの為にそんなことをする!?」
ふっ・・・と美女は笑った。そして、呪文を唱えて空を飛ぶ。
「知りたいのなら、ディーヴァの湖に来ることね」
そして、シャトリアは見えなくなった。リザーは翼を出現させる
こともせず、立ち尽くしていた。
「ディーヴァの湖・・・ここからそんなに遠くないわね」
リナが言った。リザーは振り向いて、頷いた。
ディーヴァの湖・・・それはかなり広く、深い湖らしいが、人は
ほとんどそんなところに行きはしない。それというのも、街道から
外れた上に森を抜けなければならないのだ。いつ何が襲ってくる
とも限らない。リザーはそれを思ったのか、決心したように
言った。
「私は行く。ここまで一緒に来てくれた礼だ。宝の場所くらいは
教えよう」
「何いってんのよ」
「は?」
「せっかくここまで来たわけだし、最後まで付き合うわよ。
リザー」
リザーはしばし黙っていたが、微笑をうかべ、
「ありがとう」
「じゃ、行きましょう。目標は、ディーヴァの湖!」
アメリアの言葉で、皆は歩き出した。
ディーヴァの湖へ・・・。

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 短いです。とことん短いです。すみません。ディーヴァの
湖は勝手につくりました。ほとんど前人未踏みたいなとこって
ことにしときます。名前などに意味はないので・・・(汗)。
 次は多分別のツリーになっちゃうと思います。では。
                   by 夏青龍