◆−2つの選択肢 〜1〜 −夏青龍(6/16-14:49)No.6777 ┣2つの選択肢 〜2〜 −夏青龍(6/24-22:07)No.6810 ┗2つの選択肢 〜3〜 −夏青龍(7/19-17:30)NEWNo.6922
6777 | 2つの選択肢 〜1〜 | 夏青龍 E-mail | 6/16-14:49 |
こんにちは〜。夏青龍です。今日は学校が半日だったので元気です。 これで晴れてれば最高なんですが曇ってます・・・空。 以前の「蒼い瞳の半魔族」で予告した通り、続編というか番外編という か、リザーを登場させる小説をまたまた連載(?)したいと思います。 てことで、またまたここで注意事項! 1、ゼロスの絡むカップリング、またはゼロスが好きな人は遠慮した ほうがよろしいかと思われます。見るなら覚悟しといてください。 (まあ私自身が10代前半だからとんでもないものはのせませんが) 2、基本的に(?)その他カップリングはゼルアメ、ガウリナだと 思います。そこも注意。 3、この話は思いっきり前作の続きです。もしかすると前作読んだ ほうがわかりやすいかもしれません。 ・・・ってことで始めたいと思います!よろしくお願いします! ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 2つの選択肢 〜1〜 ――選べばいい。好きな方を。 ――自分の生きる道を・・・。 朝日で目が覚めた『彼女』は眠気眼をこすり、起き上がって伸びをした。 青銀色の長い髪が朝日で輝いた。 ここはセイルーンの城の衛兵や少数ながら人々が住むアパートのような所。『彼女』は騎士ではないので、こちらで日々を過ごすことになった。 『王女』の口添えのおかげで、まだ幼いながら、衛兵として過ごせること になったのだ。もっとも、王女が関係していることに関してか、それとも いきなり入って来たことに関してか、やっかみを少しかっているようだった。だがそれも少数。気にするほどのことではないと思っていた。 「ん〜・・・」 伸びをしたときに声がもれる。ふぅっと息を吐いて、さっさと着替えると、 広いとはいえない部屋をでた。食事を作って、朝食。一人暮らしである。 もっとも、特に不便なところはない。いざとなれば魔法だって使える。 ここへ着てから1年間。『あの一行』はまたどこかへ旅へ行っている。 (『あいつ』・・・今ごろどこにいるのかな・・・) 心の中で、独りごちる。 朝食を食べ終え、城へ向かう。あまり遠くはない城だ。時間もそれほど は要しない。彼女は後ろで髪を縛って、鏡で見た。 (翼をつかったらまずいし・・・魔法で行くほどの距離でもなし) 結局、いつも通り歩きで行くことにした彼女は家を出た。 と、門の前で青年が見える。赤い髪を後ろで縛っている。邪魔だから、 という理由らしいが、なかなか似合っていると彼女は思っていた。 瞳も朱色。だが笑顔はどこか人懐っこい感じがする。 「よぉ!」 「おはよう」 青年に答え、門へ走る。 「相変わらず時間どおりだな、おまえ」 「ま、そうでなくちゃ仕事にならないし」 青年の名前は、ウェルティス=ラウグ。『彼女』は名前が長いので ウェルと読んでいた。この青年も、『彼女』と同じく近頃入ってきた 新入りらしい。 「・・・仕事ってことにしても、おまえの剣技は並じゃねぇよな」 「誉めてくれてるのか?」 「まぁな」 「にしても、何でいつもここで待っている?」 『彼女』の指摘に、ウェルは動じずに、 「おまえがいつも誰かを待ってるから」 「なっ!?」 「リザー、おまえもしや恋人いるんじゃねぇのか?まだこんな小さい小娘が」 「こ、恋人なんか・・・」 『彼女』――リザーは慌てた。『あいつ』の名前をだすつもりはない。 自白しているのと同じことだ。しかしそれでも顔は真っ赤である。 「お〜、動揺しとる動揺しとる。つ〜ことはもしやキスもしちまったとか?」 「ちっが〜う!変な誤解をするなぁぁぁぁぁ!!」 大騒ぎする彼女を見、ウェルは笑いながら歩いていった。 彼がずいぶんと離れてから、リザーは自分の唇に指を添えた。 「キス・・・って・・・いったって・・・」 今の彼女を、彼女を全く知らない人がみれば、ただの可憐な少女に見えた かもしれない。彼女は確かにまだ15歳で、本来なら衛兵の条件にあて はまっていない。もっと年上の女性の衛兵を見たことはあったが、彼女 の年齢ではふつうは資格がそろっていないのだ。 行く場所がなかった彼女に、偶然知り合った王女が衛兵として働かせて くれるよう、口添えしてくれたおかげで、今ここに居る。 「さて、仕事仕事」 城への道をまっすぐと、彼女は歩いた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 短いです。すみません。でも助走段階ですのでどうかお許しを。 ウェルはオリジナルキャラです。別にこれといってリザーとの関係は ありません。職場の同僚です。ただ、彼もそれなりに剣技がつかえて、 『どこか』に恋人がいます。『どこか』ってのはこれから考えようと 思います。もう1人か2人、オリジナルキャラが出てくると思いますが、 よろしくおねがいします。では。 by 夏青龍 |
6810 | 2つの選択肢 〜2〜 | 夏青龍 E-mail | 6/24-22:07 |
記事番号6777へのコメント こんばんは。久しぶりの夏青龍です。あと3日で地獄の期末がぁぁぁ ・・・(涙)。ついでに昨日が誕生日でした。 リザーの職場=セイルーン城。っつ〜ことでアメリアファン、または フィリオネル王(王子?)のファンの方は見ない方がいいかもしれない です。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 2つの選択肢 〜2〜 城壁の外を見ながら、リザーは生あくびをした。退屈そうな顔。 見張りといっても賊が入ってくることはほとんどない。このごろ は客すらも少ないのだ。 「つまんないな・・・」 妙に子供っぽい声で言った。リナたちと旅をした後、リザーの性格は 極端に変わったのだ。 風で綺麗な髪がなびいた。手でそれを払うと、また見張りに戻る。 セイルーンは平和だと思うし、いいところだと思う。王も王女も 城の人たちも、そして城下の街の人々も、いい人ばかりだった。 少なくとも、リザーが知っている者たちは。 不満などあろうはずがない。不満自体がつくれないようなところだった。 以前のように追いかけまわされることもなく、無茶なことをして戦う こともない。要するに、一般の日常に戻ったのだろう。 ――青く蒼く透き通る空 見るものによって変わる空 時には青く 時には赤く そして時には闇に染まる 1人が見ただけでは1人だけの空 皆で見れば皆の空 高く透き通る蒼穹 遠く染まる夕焼け 白い光を残して闇に還る夜空 どれだけ高く飛べばたどり着けるのだろう どれだけ多く祈れば届くのだろう 皆が還る場所 ”タマシイ”が昇る場所 青く赤く暗く 皆が願う場所―― 歌を口ずさみ、リザーは風を受けた。気持ちいい、柔らかい風。 「?」 ふと、城壁の下を見下ろすと、栗色の髪の少女とその連れらしき 人物が歩いているのが見えた。 (リナ殿?) 内心わくわくしながら、リザーは知らぬふりをした。黒髪の少女 が、正門に向かっていたからだった。 第二王女が帰ってきたという話は、30分とせずに場内全てに行き 渡った。王女の歓迎パーティーの準備はてきぱきと済ませられ、 リザーも列に並ぶことになった。王女は自室に、連れの者たちも それなりの部屋に案内されたらしい。 部屋の扉から、正装の服を着たウェルがひょいっと顔を出した。 「ひっさしぶりの服だよな〜、これ」 「・・・私は初めてだが?」 「そうだったか。で、おまえアメリア王女と知り合いなんだっけか?」 「・・・ああ。・・・以前一緒に旅をさせてもらった」 「ふぅん・・・」 ウェルは曖昧に答えると、歓迎パーティーにあわせた正装で部屋から 出て行った。正装といっても、いつもの服に銀糸などで飾りが入った もので、特に変わりはないように感じた。妙にリザーの声が暗いと 思いつつ。が・・・。 「・・・なぁ」 「ん?」 ウェルが再び顔をだす。 「私の服って・・・」 「何だ?」 「・・・・・・」 無言。沈黙。ウェルがリザーの肩越しに、渡されたものらしい服を見た。 そしてあ、と漏らして後退する。衛兵に女性などほとんどいない。まあ、 この城内には幾人かいるが、その女性の衛兵たちには『それなりの正装』 が渡されている。つまり、そのときだけは衛兵の仕事とは全く裏腹なもの を渡されてしまうわけである。せめてパーティーがあるときくらい、と いう誰かの心遣いらしいが、リザーにとってそれは最悪のものだった。 『長い間旅に出ていた姫が帰ってくる』ということでかなり盛大に歓迎 をすることになってしまったのは仕方がないが、それにしてもリザーは 納得しきれなかった。なにせ渡された『服』がドレスだったからである。 パーティーの時は騎士たちが王族の周りをかため、衛兵(しかし男性のみ) が会場を離れを警備をするらしいが・・・。 「・・・・・・」 「ま・・・まあ・・・少しの間だけなんだし・・・我慢しろよ」 「あう・・・」 がっくりと諦めきった表情でうめく。年上の女性ならともかく、自分に ドレスが似合うはずがない。もともと男装っぽい服装ばかりしていたし、 そもそも着たことがない。 「じゃ、がんばれよ〜」 「何を!?」 「何でも」 「うううううう・・・」 かなり悲しいうめき声をあげつつ、リザーは個室に入っていった。 (どうしよう・・・) なぜかどうしても着る気になれないリザー。時間はあと10分ほど。 王女はもうすでに城内だが、歓迎=パーティーが開かれるということ なのだ。 コンコン 「誰だ?」 「私よ。いい?」 「ああ」 まだ普段の服装のまま、リザーはドアを開けた。そこにいたのは金髪の 美人。リザーとは違い、20歳ほどだろう。 「レシャル」 「着る気になれないんでしょう?」 「う・・・」 図星だった。レシャルは一応衛兵の仕事についている女性の1人。リザー と知り合いだが、実はウェルの恋人らしい。 本名はレシャル=キャルティッシ。金髪碧眼、おまけに剣の腕もリザーと 同等。とても剣術の達人とは思えないほど美人なためか、あっさりと罠 に引っかかってつかまるバカ盗賊もいたとかいなかったとか。 「ほら、さっさと着ないと会えないわよ、アメリア王女に」 「だ、だけど私じゃ似合わないよ」 すでにレシャルは着替えている。薄いクリーム色のドレスがさらに彼女を 美しく見せている。・・・リザーのショックは増すばかりであった。 「ね?」 ついにリザーが折れた。レシャルは扉を閉めるとそこで見張るかのように たっていた。リザーはそれを知っていたため、結局は着る羽目になって しまったのである。 扉が次に開いたとき、レシャルは思わず感嘆の声を漏らした。 「リザー、あなた似合うじゃない。そのドレス」 「そ・・・そんなことないよ・・・」 真っ赤になりつつ、リザー。水色のドレスに包まれた華奢な体。普段は 標準より大きく見える彼女が、今回ばかりは小さく見えた。青銀色の 髪はゆったりと背に流れ、特に化粧などしなくても綺麗な顔は紅潮して 愛らしかった。 「行きましょ。今回はむさい男どもに警護は任せちゃって」 「あのな・・・」 レシャルはこれでも男っぽい言葉を使うところがある。リザーはイメージ のギャップに混乱することもあった。 廊下を歩きつつ、リザーはぶつぶつと何か不満そうな顔で呟いていた。 「アメリア様!」 パーティーのプログラムが5つほど終わり、普通のパーティーに戻った ころ、レシャルはリザーを連れてアメリアのもとへいった。もちろん ただの衛兵が簡単に話せる相手ではない。 「あなたは・・・」 アメリアが呟く。そして後ろに誰かいるのに気が付いた。 「衛兵を勤めさせていただいておりますレシャルといいます。私の 友人が王女に会いたいらしくつれてきたのですが・・・リザーという 者です。話によると以前、一緒に旅をしたことがあるとか。会って いただけませんか?」 「どうぞ。それで、リザーは・・・」 「いえ、こちらに」 にこにこしながら、レシャルが後ろの人影を前に押し出す。リザーは 慌てていたが、逃げられるはずもなかった。 「え、えっと・・・お久しぶりでございます。アメリア王女」 「リザー!?」 びっくりしたようなアメリアの声。リザーは背筋を硬直させた。 「見違えたわよリザー。まさかあなたがこんな服着るなんて・・・」 「や、やっぱり似合わないでしょうか?」 真っ赤になりつつ、言う。 「敬語、使わなくていいわ。似合ってると思う」 「あ、ありがとうございます」 頭を下げ、そそくさと距離をとる。 「あ、ゼロス・・・は?」 「ゼロスさん?ゼロスさんなら数日前にひょいっといなくなっちゃいました けど」 リザーはほっとしたようながっかりしたような複雑な顔をして、敬礼の 後、去っていった。アメリアがそのあと、くすくすと笑っていたこと を知らずに。 テラスに出たリザーは、とりあえず深呼吸をした。 「やっぱ・・・まだ子供なんだなぁ・・・」 自分とは違い、アメリアはとても綺麗だと思った。そもそもアメリアには それなりの雰囲気があるし、以前から王女としてドレスなどを着るのは 当たり前だったことだろう。 「ゼロス・・・」 「何ですか?」 「わっ!!!」 驚いて声をあげる。振り向くと、ゼロスがいた。 「ぜ・・・ぜ・・・ゼロス・・・」 「まさかリザーさんがこんなドレスを着るとは思いませんでしたよ」 唐突に現れさっさかさっさかと話し始める。 「・・・似合ってないだろ」 あれほど似合っているといわれても、どうしても自分を下に見てしまうのが 悪いところである。要するに、マイナス思考に近い。 「そんなことありませんよ?」 「・・・ゼロス」 「何ですか?」 ゼロスが訊きかえしたとたん・・・目の前にリザーの髪がかぶさった。 「!」 リザーが抱きついてきたのだった。 「リザーさん!?」 「ご、ごめん・・・でも・・・寂しかったんだ・・・」 震える声。そんなにゼロスが懐かしかったのか。 「はぁ」 納得したのか、もとの表情に戻るゼロス。 「また・・・出て行くのか?」 リザーの問い。不安。 「多分そうでしょうね。ここには長くいられませんから」 「だったら・・・せめて今日くらいは一緒にいられるよな?」 期待を持ってリザーが言う。ゼロスは思わず後退しそうになりながら、 頷いた。 「よかった!」 嬉しそうな顔。ゼロスはまたきょとんとした顔でつっ立っていた。 そして・・・ 「今夜だけは、あなたのそばについていましょう。お姫様」 「へ?」 再び真っ赤になりながら、リザーは硬直した。ゼロスが手を取って 手の甲に口付けなどしたからだった。 「だ、誰がお姫様だっていうんだ・・・お姫様はアメリアだろう?」 口をぱくぱくさせて、リザー。ゼロスは手はとったまま、 「今夜の僕のお姫様は、あなたですよ」 「・・・・・・ありがとう」 屈託のない笑顔。暗くなったぱかりのセイルーン。2人の時間はまだ たくさんあった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 完璧完全意味不明・・・(何じゃそら)。ゼロスがまた性格かわって るし・・・アメリアの歓迎パーティーは凄いし・・・。 とりあえずオリキャラが再び登場。レシャル=キャルティッシさん。 そのうち大辞典にも投稿しようとおもいますので。 では。 by 夏青龍 |
6922 | 2つの選択肢 〜3〜 | 夏青龍 E-mail | 7/19-17:30 |
記事番号6777へのコメント こんにちは。めちゃくちゃお久しぶりの夏青龍です。一学期が無事に終了〜!成績も結構よかったし。ってことで思い切っていってみよ〜!(何) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2つの選択肢 〜3〜 ――委ねると言うのか?自分の道を他人に委ねるというのか? 『誰か』が自分に問いをなげかけているのを知った彼女は、声が出ないこと を知った。一瞬、自分は死んだのではないかと本気で心配したが、すぐに 否定した。死後の世界にしては、明るい。 そこは草原だった。――多分。どうやら視覚もはたらかないらしい。日の光 らしきものは感じるのだが。聴覚も麻痺している。音が何も聞こえない。 なら、さっきの『声』は一体何だ?聴覚がはたらかないというのに、声が 聞こえるというのはおかしい。 ――しかも魔族に? 違和感はさらに拡大した。雑音もないし、自分の耳から入ってきた声ではない のが解った。頭の中に直接響く声。声変わりしていない少年・・・のようで、 ときには女性のように聞こえる。 ――なぜそこまであいつに執着する?おまえは中途半端ではあっても 人間だろう? 中途半端という言葉にかちんときたのか、彼女は思考を相手にぶつけよう とした。テレパシーのようなものは全くもってつかえないが、多分通じると 思ったのだ。 ――あいつに、そんな感情は通じない。それもわかっているだろうに。 彼女はまた思考をぶつけた。相手――とおぼしきものは答えた。 ――わかっていて、一緒に居ると?傷つくのが判っているのに? 数秒の沈黙の後、彼女はまた思考をぶつけた。 ――・・・ならば、選ぶがいい。あいつと一緒にいたいのなら。 自分の生きる道を、な。 ふぅっと体から力が抜けていくのを感じながら、彼女の意識は暗転して いった。2つの言葉を聞きながら。 ――魔族となるか。人間として生きるか。 どべしゃっ! ぐぁばっと起き上がったリザーがベッドから落ちた。 「っ〜〜〜〜〜〜!!」 声にならない悲鳴をあげつつ、身を起こす。意外と体が重かった。 「ったく・・・また変な夢みたな・・・」 自分自身に呆れたように言う。髪をばさばさといじくりつつ、部屋の中を歩いて、服が濡れているのに気が付いた。 「ん?」 寝汗がすごかったらしく、布が重くなっている。てきぱきと着替えると、城へ 行く準備をする。そして小走りで城へ向かった。 「あ、おはよ」 「おはよう。リナ殿」 廊下で出会った2人はまず最初のあいさつをした。にっこりと笑ったリザーを見て、リナが微笑む。 「変わったわね。あんた」 「そうか?」 「だって、前はそんなふうに笑わなかったじゃない」 「・・・そういえば、そうか」 正直言って、リザーは自分が変わったとは思わなかった。というより、思えなかった。それだけ自然に性格がかわったのだろう。 「えっと・・・ゼロスは?」 「ゼロス?ゼロスだったらさっきすれ違ったわよ」 リナに軽く会釈をしたあと、リザーはまた走っていった。 「あとで城の人に怒られてもしらないんだからね・・・」 走っていったリザーを見てリナは苦笑しつつ、用意された部屋へと戻って いった。 「ゼロス!」 「おや、おはようございます」 「お〜ま〜え〜は〜〜!!!」 ずかずかと進んでくるリザーにきょとんとした表情を浮かべつつ、 「何ですか?」 「つい先日のパーティー会場で会ったと思いきや、まぁたふらふらといなく なって!しかも昨日の夜に今日の朝迎えに来るとか言っておいて来ないし! 相談があるっていっただろうが!!」 息切れするリザーの前でゼロスはいつもの微笑を取り戻し、 「すみません、すっかり忘れてました。はっはっは」 「『はっはっは』じゃないぃぃぃぃぃっ!!」 がんっ!! リザーの絶叫と共にゼロスの頭に重い衝撃が走った。 「ぐっ!?」 「ふふふふふ・・・今度は峰打ちじゃなくしてもいいんだぞ?ゼロス」 うっすらと赤い光を纏う剣に、ゼロスは一歩後退した。まあ、アストラル・ ヴァイン程度の術で滅ぼされるほど弱くはないのだが、リザーの怒りの表情を 見ると後退せずにはいられなかったのだ。 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。で、相談って言うのはなんです?」 何とか彼女の怒りを鎮めようと、ゼロスが顔を引きつらせつつ笑った。それ に反応してリザーの表情ももとにもどる。 「ここじゃなんだから、家まで来てくれよ。立ち話じゃ落ち着かない」 「そんな簡単に家に入れていいんですか・・・?魔族とはいえ一応僕も男 ですけど・・・」 その言葉にリザーはまたにっこりと笑い、 「心配するな。なんか変なことすればアストラル・ヴァインとラ・ティルトで 攻撃してやるから。変な気は起こさない方が身のためだぞ、ゼロス」 ゼロスは寒気が走るのを感じた。魔族の自分がそんなものを感じるはずがない と思いつつ、もう1つのことを考えていた。 (なんだか誰かに似てきたような気がしますよ・・・リザーさん) 心の中でめそめそしつつ、ゼロスはリザーの後ろをついていった。 家についた2人は、ほんの少し世間話をしたあと、相談を始めた。 リザーはまず、よくわからない夢のことを話した。『選択肢』のことも。 話を聞き終えたゼロスは口を開いた。 「つまり、その夢が一体どういう意味かが知りたいんですか?それともその 選択肢のどちらかを実行したいんですか?」 「知りたいのは、お前の感想だ。選択肢についてはどう思う?」 「魔族が増えるのは喜ばしいことですが、人間が魔族になるには、魔族に一旦 殺してもらい、創り直してもらわないといけないんですよ」 「知ってる」 「かといってその体がもとに戻る方法なんてそう簡単に見つかるわけがない。 あなたはどうしたいんです?」 ゼロスは真剣な眼をしながら、言った。 「僕は、あなたがどうしたいのかによって態度を変えますが、言っておきます。魔族になれば、人としての生き方は捨てることになります。それを承知 で、言っているのですか?」 「ああ。まぁ・・・ゼロスと一緒にいたいし」 その言葉に、ゼロスは一瞬耳を疑い・・・ 「な、なんでそこまでさらりと言うんですか!!?」 慌てたように叫んだ。 「だぁあぁぁぁぁぁああぁっ!!!このゴキブリ魔族エセ神官!!」 ぷいっと顔をそらし、リザーは座り込んだ。 「どうせさ、私の気持ちなんて伝わんないってわかってたけどさ。でもやっぱ 落ち込むよ・・・。魔族にはわからないんだよな。こういうの」 ぶつぶつ言う。そしていきなり顔を上げ、 「もし殺されたとしても、おまえが犯人なら恨まないよ」 微笑を浮かべて言った。ゼロスは一瞬、硬直した。 「じゃあさ、こういう契約はどうだ?私が25歳になるまでに魔族になるか、ならないかの答えをだす。答えをださなかったら即刻創り直し」 どうやら自分がどれだけとんでもないことを口走っているのか判っていない らしい。 「・・・でしたらなにか契約を結ぶためのモノを頂かないと」 「う〜ん・・・なら・・・」 リザーはなにやらごそごそと棚の中を見て、 「これ」 「は?確かこれは・・・」 「宝珠だけど、なんか文句あるのか?ん?」 半眼で睨みつけられ、ゼロスは苦笑した。以前あった事件で狙われていたものだ。彼女の恩人の形見みたいなものらしい。宝珠の内の数個は彼女の体内に 封印されているが、1つだけ、外に出してあったのだ。 「ではこれで結構です。契約は成立。25歳までは人間の生き方を十分満喫 してくださいね」 「わかったわかった。じゃあリナ殿たちに報告・・・」 「ちょ、ちょちょちょちょっとっ!!!??」 「何だ?」 ゼロスが慌てたのは、アメリアにそのことが知れたら間違いなく命を尊ぶ歌とかを聞かされると思ったからだ。しかしリザーにそれをいえば、間違いなく 彼女はアメリアに話すだろう。 どうしようもない絶望感に苛まれつつ、ゼロスはその場を立ち去った。 誰も居なくなった部屋の中で、リザーは笑い、 ――たとえ価値観が違っても、たとえ種族が違っても、 あなたと一緒にいたいから 即興の歌だろう。ふと口ずさみ、窓の外を見た。蒼い蒼い、彼女の瞳と同じ 色の空がそこにあった。 END ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 夏青龍「・・・逃げ出したくなるような終わり方です。もはやぐしゃぐしゃに なった設定でやったのが間違いだったか・・・(汗)。とりあえず終わ りですので、今まで読んでくださった方、ありがとうございました。 ん・・・?なにやら寒気が・・・?」 どしゃ。(そして何かが倒れる音) ゼロス「とりあえず終わり、なんていうからですよ。まったく。これじゃあ 原作の設定台無しじゃないですか」 夏青龍「ぜ・・・ゼロス・・・(怒)」 ゼロス「とりあえず、このとんでもない駄作をつくった作者が倒れたところで 退散しますか」 夏青龍「あ!!こらまたんかいゴキブリ魔族エセ神官!!!」 どごめしゃ。(そして何かの生物が力尽きる寸前のうめき) ゼロス「そんな奇妙でへんちくりんな名前で呼ばれるとは僕も落ちたものです ね・・・では獣王様のところへ行かなければ」 夏青龍「うううう・・・それでは皆さまさようならぁ・・・」 *ゼロスファンの方すみません ホントに終わり |