◆−暑中見舞い話−穂波(7/22-23:17)No.6946
 ┣ラブコメは最高ですね!!−たつき(7/23-10:34)No.6950
 ┃┗夏の勢いに任せてみました(笑)−穂波(7/23-23:22)No.6951
 ┣夏は良いですねぇ・・・・v−雫石彼方(7/25-23:43)No.6964
 ┃┗夏の風物詩ですよね(笑)−穂波(7/30-00:12)No.6978
 ┗Re:暑中見舞い話−31(8/14-18:46)No.7141
  ┗らぶらぶっつーか……−穂波(8/15-00:25)No.7146


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6946暑中見舞い話穂波 7/22-23:17


暑い日々が続いておりますが、今こちらを読んでくださっている方はお元気でしょうか?
こちらに投稿させて頂くのは御久しぶりです。穂波です。
あいもかわらずゼルアメです。
ちょっと暑さにやられている話(というかゼル)ですが、よろしければお読みください。
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 いやになる程青い空。
 もくもくと湧き上がる入道雲。
 打ち寄せては返す波が、きらきらと光を弾く。
 足の裏の砂は、くっきりと熱を持っている。
 ……夏の海辺。
 それは、ゼルガディスが苦手とする場所だった。

「何で俺がこんな所に……」
 パーカーのフードを被りなおして、ぶつぶつと呟く。
 周囲の開放的な格好の人々の間では、いつもの白い貫頭衣やマントは明らかに浮いてしまう。その為彼も水着の上にパーカーをはおった少しは涼しげな姿になっている。彼自身が気にしている青い肌も、ボディペインティングとでも思われているのか、周囲はさほど気にとめない。
 むしろその秀麗な顔立ちに、何人かの女性が好奇の視線を向けていたのだが、それはそれでゼルガディスにとってうざったいものだった。
「ま、たまにはいいんじゃないか?」
 隣でカキ氷を食べながら、ガウリイがのほほんと笑う。
 こちらは鍛え上げられた上半身を日にさらし、金髪碧眼に整った甘いマスクという相乗効果で、視線どころか何度か女性に声をかけられていた。もっともガウリイ自身は、女性のお誘いよりもカキ氷に心酔しているようだったが。
 結局のところガウリイがカキ氷よりも価値があると認めている女性は、ごく限られた存在になるということだろう。
「ゼルも食うか?」
「いや……ま、もらおうか」
 断りかけたところで、てもちぶさたな現状と暑さを思い出し、ゼルガディスは青いシロップのかけられたそれを受け取る。ガウリイは全種類のカキ氷を買ってきたようで、まだ幾つかが砂地に敷いたシートの上で溶けかけている。
 ガウリイが三杯目のカキ氷に手を伸ばし、スプーンをくわえるのを横目で見ながら、ゼルガディスも三度目のため息をつく。
 いっそのこと自分ひとりでも宿に帰ってしまいたかったが、そうもいかない理由と言うのがあるのだ。
「おっまたせー!」
 明るい声と共に、砂を蹴って現れたのは、リナだった。
 鮮やかなオレンジ色のビキニと、原色系の花が咲き乱れるパレオをまとっている。胸のあたりが少々不自然な気もしたが、夏の華やかさを描いたような水着は、彼女の雰囲気に合っている。黙って立っていれば美少女なだけあって、何人もの男どもがちらちらと視線を送っていた。
 もっともそれも次の光景を見るまでの話だったが……。
「なぁ、リナ」
「な、なによ?」
 カキ氷を食べる手を止めて、ガウリイが彼女の名を呼ぶ。いつもより答える声が少しだけうわずっていたのは、おそらくゼルガディスの聞き違いでは無いだろう。
 ガウリイは真剣な眼差しで、リナの胸のあたりを指差して
「これ、パッドか?」
 と尋ねた。
 真夏の日差しが、その一瞬確かに凍りついた。
 リナの低い笑い声と、呪文の詠唱が夏空によく木霊する。続いてガウリイの悲鳴が聞こえた気がしたが、ゼルガディスは虚空を見つめて他人の振りをした。
 浜辺が吹き飛ばなかったのは、奇跡に近いだろう。
 ゼルガディスは自分の手にしたカキ氷を無心に食べた。同じことを考えたなんて、恐ろしくて言えない。
 殺伐とした空気を救ったのは、最後の連れの、そしてゼルガディスがいやいやながらこんな場所にいる最大の原因の声だった。
「お待たせしましたっ」
「遅かったな、アメ……」
 言いかけたゼルガディスの手から、ポロっとスプーンが落ちた。
 白地に赤い果実がプリントされたタンキニの水着、露出面積から言えばそう多い方ではなく、まして色っぽいデザインでもないのだが、それは目の前に立つ少女が着ていると健康的な魅力をいやというほど発揮していた。
「えへへ、似あいますか?」
 ちょっぴり頬を染めて、アメリアが小首をかしげる。
 その様子は、ゼルガディスの思考がぶっとぶほど、可愛かった。
 言葉も出ないゼルガディスの様子を不審に思ったのか、アメリアが曲げた膝に両手を当てて彼の顔を覗き込む。
「ゼルガディスさん?」
 急に近づく少女の顔と、身体。
 おそらく無意識にだろうが、とったポーズは胸の谷間を強調するもので、ゼルガディスは自然とそちらに目をとられた。
 タンキニの隙間から覗くまだ日に焼けていない白い肌に、薄く汗が浮いていた。
 ごくり……。
 飲み込んだ唾の音が、奇妙に大きく鼓膜に響く。
 間近にあるやわらかそうな肢体、アメリアの大きな瞳、肩先で揺れる綺麗な髪、それらは太陽の熱よりも抜群の威力で、ゼルガディスをくらくらさせた。
 もっと、近づきたい。
 そんな言葉が、脳裏に浮かぶ。
「あー、あんたたちいいもん食べてるじゃないっ!」
 彼を我にかえらせたのは、リナの一言だった。
「リナも食うか?」
「あったり前よ!」
 ガウリイの差し出したカキ氷を頬張るリナに、アメリアが羨ましそうに見やる。
「いいないいな、わたしも欲しいです〜」
「っと、ごめんな。買ってきたのはこれで終わりだった」
 すまなそうな顔で謝るガウリイに、アメリアがしょんぼりするが、すぐに復活した。
「あ、じゃあわたし海でゼルガディスさんと遊んできます! 食べ終わったら、二人とも来て下さいね!」
 ゼルガディスの意思確認は無しで一気に宣言し、アメリアは凶悪なまでに可愛いらしい笑顔を彼に向けた。
「行きましょ、ゼルガディスさん」
 俺は泳げない、これ以上人目にさらされるのは嫌だ、見ているからお前ひとりで……。
 浮かんだ全ての台詞は、しかしゼルガディスの喉もとで止まる。
 信頼しきった子犬の眼差しで、アメリアがゼルガディスを見つめていた。
 だから、そういう瞳で俺を見るな……。反則だろ、それは。
 心のうちだけでつぶやいて、ゼルガディスは立ち上がる。
「ほら、行くぞ」
「はいっ」
 頷いたアメリアの嬉しそうな顔は本当に可愛くて、ゼルガディスは自分の体温が急上昇したのを感じた。


 ざくざくと砂に埋もれながらも、浜辺を歩く。
 さりげなくアメリアの隣をキープして、周囲に睨みを効かせてしまうのは、最初のうち先を歩いていた少女に向けられる視線に、気付いてしまったためである。彼女の可愛らしさに目を惹かれるのは、自分ひとりでは無いというわけだ。
 絶対に、目が離せないとつくづく思う。
 アメリアが体術の使い手だとか、魔法もいけるとか、そういうのとは全く別次元で、ゼルガディスにとって少女は危なっかしい存在だった。
「うわぁ、冷たくて気持ちいいです!」
 打ち寄せる波に足を浸したアメリアが歓声を上げる。
 そのまま走り出そうとする少女の手を、ゼルガディスは思わずつかんでいた。バランスを崩したアメリアがつんのめるのを支えようと引き寄せた途端、やわらかな身体が腕の中に飛び込んできた。
 当たり前の話なのだが、巫女の装束と異なり露出している肌の感触がダイレクトに伝わって、思いがけず動揺してしまう。
 ……っ、何だってこんなにやわらかいんだ、こいつは!?
 ちっちゃくて、やわらかくて、簡単に腕の中に収まってしまって、おまけにとんでもなく可愛らしい。
 意識してしまうと普段の冷静さなどあっさり吹き飛んだ。空いていたもう一方の手がアメリアの身体に触れそうになり、ギリギリのところで踏みとどまる。色んな意味でこのままではやばい、と自覚した。精一杯の理性を振り絞ってアメリアの身体を離して、ちゃんと立たせる。
「ゼルガディスさん、どうしたんですか?」
 身体をねじって彼を見上げたアメリアは、きょとんとしている。
 一気に脱力しながら、それでもそれを表情に出さないよう努力して、ゼルガディスは保護者の台詞を口にする。
「言っとくがあまり遠くに行くなよ。溺れても、俺は助けてやれんぞ」
 水に沈むこの身体では、泳ぐことなど出来ない。ゼルガディスが海に来たがらない理由の一つである。
 アメリアは、素直にこくんと頷いた。
「だいじょうぶですよ、だってゼルガディスさんと遊ぶんですからひとりで泳いで行ったりしません」
 えへへ、と相好を崩したアメリアが、甘えるようにゼルガディスを見上げる。大きな瞳が彼ひとりを映していて、こんな風に笑いかけられているのが自分ひとりだという現実に、ゼルガディスは頭を抱えたくなった。
 …………だからっ! なんだってそんなに可愛いんだ!!
 不覚にも赤くなりかけた顔色をごまかすべく、片手で顔を覆ってフードを直す振りをする。
 そんなゼルガディスに全く気付いた様子もなく、アメリアはニコニコと提案する。
「水のかけっこしましょうよ、わたし、やったことないんです!」
「……わかった」
「いいんですか? わーい、ありがとうございます!!」
 諸手を上げてはしゃぐアメリアを相手に、ゼルガディスはとりあえず顔面の筋肉を制御することに必死だった。
「ゼルガディスさんいきますよー! えいっ!」
 アメリアが両手ですくった水が、ゼルガディスの頬を濡らす。
 お返しをしようとしたゼルガディスは、ふとその手を止めた。ためらいがちに、太ももの半ばあたりまで水につかったアメリアに問いかける。
「おい、アメリア」
「なんですか?」
「その水着……濡れても、透けないか?」
 ぼんっとアメリアが茹で上がる。
 純粋に気になったから聞いただけだったのだが、アメリアの反応にゼルガディスは自分も何となく気恥ずかしくなった。
 ちゃぷん……。
 ちいさな波が、ひとつ行過ぎる。
 白地の水着の胸のあたりを両手で隠したアメリアが、ゼルガディスを上目使いに見る。
「ゼルガディスさんの……えっち」
 真っ赤な顔で拗ねたようにつぶやかれた一言に。
ゼルガディスは、とうとう撃沈した。

 頭上に広がる青い空。
 海から生える真っ白な入道雲。
膝にちゃぷちゃぷとぶつかる波頭。
 頼りなく足形を残しては崩れていく、濡れた砂。
 そして、水着姿で笑っているアメリア。
 夏の海辺。
 それは思っていたほど、悪くないのかもしれない。

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ラブコメが書きたかったんですが……なんか、イロイロと恥ずかしい話ですね(笑)
よ、読んでくださった方、ありがとうございました。

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6950ラブコメは最高ですね!!たつき 7/23-10:34
記事番号6946へのコメント


 初めまして。たつきと申します。
 ゼルアメのラブコメは最高ですねっ!!普段はクールな魔剣士さんなだけに、姫の姿にくらくらきている様子は最高でした。そういう私の方も、姫にクラクラしてしましましたが(笑)

 普段は海で遊べない魔剣士さんですが、姫と戯れる事ができて良かったなぁ、と思いました。
 リナとガウリィの夫婦漫才(?)も冴えていましたし、、、。

 これからもがんばってください!!では。

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6951夏の勢いに任せてみました(笑)穂波 7/23-23:22
記事番号6950へのコメント

こんばんは、初めましてたつきさん。

穂波と申します、今後ともよろしくお願いします。

夏だ水着だラブコメだ、となんか煩悩全開な話にコメント下さりありがとうございます!

> ゼルアメのラブコメは最高ですねっ!!普段はクールな魔剣士さんなだけに、姫の姿にくらくらきている様子は最高でした。そういう私の方も、姫にクラクラしてしましましたが(笑)

姫の描写は書きながら私もにやけておりました(あやしい)。
ちょっとクールさとは縁遠い魔剣士になってしまいましたが、最高といってもらえてよかったです(笑)。

> 普段は海で遊べない魔剣士さんですが、姫と戯れる事ができて良かったなぁ、と思いました。

そうですね、気付いたらずぶずぶと沈んでいないといいのですが(笑)。
あ、でも水飲んで気を失ったらお約束の「姫の膝枕」がついてきたりして(笑)。

> リナとガウリィの夫婦漫才(?)も冴えていましたし、、、。

ガウリイは天然なのか確信犯なのか、書いている私にも微妙ですが(笑)、楽しく書かせていただきました。

> これからもがんばってください!!では。

ありがとうございます。また何か浮かびましたら、投稿させていただきますね。

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6964夏は良いですねぇ・・・・v雫石彼方 E-mail 7/25-23:43
記事番号6946へのコメント


穂波さんの新作!!しかも夏本番を迎えて、海の話(というかもっと具体的に言えばアメリアの水着話・笑)が読みたいな〜と思っていたところにど〜ん!!で、まさに「来た〜〜〜っ!!(><)」って感じでした(^^)

何はともあれ姫の水着姿vああもうさぞかし可愛かったことでしょうねぇ・・・・・Vv
無邪気にしかも無意識に悩殺してくるアメリアを前に、本能と理性の狭間で苦悩するゼルの壊れっぷりがとてもすがすがしかったです(笑)何の抵抗も見せずに水のかけっこに同意するあたり、完璧に普段の冷静さを失ってましたよね、魔剣士さん(笑)そのあげくに真っ赤な顔で上目遣いに「えっち」なんて言われた日にゃあ撃沈するのも無理はないです、うん。
やはし夏は良いですね!!
とっても楽しませていただきました、ありがとうございました(^^)
また穂波さんのお話、楽しみにしてますv

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6978夏の風物詩ですよね(笑)穂波 7/30-00:12
記事番号6964へのコメント

こんばんは、雫石さん。

>穂波さんの新作!!しかも夏本番を迎えて、海の話(というかもっと具体的に言えばアメリアの水着話・笑)が読みたいな〜と思っていたところにど〜ん!!で、まさに「来た〜〜〜っ!!(><)」って感じでした(^^)

アリガトウございます!
やはりアメリア水着話読みたくなって、書いてしまいました(笑)<自給自足

>何はともあれ姫の水着姿vああもうさぞかし可愛かったことでしょうねぇ・・・・・Vv

ですよね〜。ファッション雑誌片手に「あ、これ似合いそう〜」とか妄想をたくましくしておりました(笑)。
ゼルに選ばせると言うシュチエーションも面白かったかもしれませんね。
姫「あ、これも可愛い! 苺模様がいいなぁ」<ニコニコ。
ゼル「(まだ決まらんのか……こんな場所にいること自体恥ずかしいんだが)」<男が女性水着売り場に突っ立っている図。
姫「ゼルガディスさん、そう思いません?」
ぴらっ。
ゼル「……俺は趣味じゃない(可愛いって……ビキニだろうが、それは!!)」<着眼点が違う
姫「え、そうですかぁ」
ゼル「俺は、前のやつの方がいいと思うぞ(あれは、ワンピースだったからな)」
姫「そうですね、さっきの奴も可愛かったですよね〜」<ほえほえ。
ゼル「ああ(案外発育はいいからビキニも似合うとだろうが、他の男に拝ませるなんぞ勿体無い!)」<心が狭い(笑)

……まだ頭がラブコメしているのか、私。

>無邪気にしかも無意識に悩殺してくるアメリアを前に、本能と理性の狭間で苦悩するゼルの壊れっぷりがとてもすがすがしかったです(笑)

「ざんこくなまけんし」とか「ちてきでれいせい」とかそういった語彙は全て夏空の彼方に消えました(笑)。


何の抵抗も見せずに水のかけっこに同意するあたり、完璧に普段の冷静さを失ってましたよね、魔剣士さん(笑)そのあげくに真っ赤な顔で上目遣いに「えっち」なんて言われた日にゃあ撃沈するのも無理はないです、うん。

鋭いご指摘です(笑)。たぶん、この瞬間のゼルはガウリイ並に脊髄反射で行動していると思われます。
ラストもべたべたですが(笑)、姫に言ってもらいたかったのです(爆)。
照れるアメリアと言うのもいいよなぁ、と書きながら妄想してました(笑)。


>とっても楽しませていただきました、ありがとうございました(^^)

こちらこそ感想ありがとうございました。嬉しかったです。


>また穂波さんのお話、楽しみにしてますv
また何か思いつきましたら、書かせて頂きたいと思います〜。

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7141Re:暑中見舞い話31 8/14-18:46
記事番号6946へのコメント

 穂波さん、こんにちは。31です。

 夏な熱いお話、読みました。熱いですね〜。海の水、かけあいっこしたら、お互いその場で蒸発しちゃったりして。
 ああらぶらぶっていいなと思いつつ。すごく短くて大変申し訳ありませんが、以上感想でした。

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7146らぶらぶっつーか……穂波 8/15-00:25
記事番号7141へのコメント

こんばんは、31さん。

夏話お読みくださりどうもです。
(力いっぱい私信ですがすごく重いメールを送ってしまいました、申し訳無いです……たぶんフリーズとかはしない、と思いたいのですが・汗)

> 夏な熱いお話、読みました。熱いですね〜。海の水、かけあいっこしたら、お互いその場で蒸発しちゃったりして。

ちょっと冷静になってみると「かけあいっこ」という単語も結構恥ずかしいですね、何となく(汗)。まぁ、暑い季節なので許してください(笑)。

> ああらぶらぶっていいなと思いつつ。すごく短くて大変申し訳ありませんが、以上感想でした。

いえいえ、ほとんど馬鹿話ですので、目を通していただいただけでもありがたいです。わざわざ感想くださり、ほんとありがとうございました。