◆−月と太陽の変化【change of the moon and the sun】−ブラッド(7/27-14:22)No.6969
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6969月と太陽の変化【change of the moon and the sun】ブラッド 7/27-14:22


2の方では初めましてです。
1の方でちょこちょこと投稿させて頂いているブラッドと申します。
今回は、2の方に投稿しました。
理由ですか?

…………なんとなく(をい)

あぁぁぁぁぁぁぁぁ、すいませんっっ!!ただ2の方にも投稿してみたかったんです!!

今回は、初ゼルサイドのゼルアメを書いてみました。
めちゃくちゃ不安なんですが……

それと、この話。じつのところ先日ゆえさんにプレゼントした話なんですよ♪
+某会員2名様にも送りつけちゃいました☆

とにかく、自分のオリキャラ以外の男キャラって書くのめちゃくちゃ苦手なんです。

それでは、つたない文章ですが、よろしければお読み下さいませvv





**************************************




「ここにいたんですね」

 唐突に声をかけてきた少女は、ゆっくりと青年に近づく。

「なにか用か?」
「今日図書館に行くっていってませんでしたっけ?」
「質問を質問で返すな」

 青年は、いまだに少女をみずに言葉だけを返す。
 視線は相変わらず本の中。
 パラパラとページをめくる音が聞こえる。

「図書館には行かないんですか?」
「だから、質問を……もういい。今日は図書館は休みだった」

 本を黙読しながら青年は会話をする。
 
「なんだ、そういう事だったんですね」
 
 少女は、自分の謎が解けたのを満足そうに微笑む。
 
 ドアは閉ざされ、窓は閉められ、そこは微かに木の……そう、古いアンティークのような匂いがした。
 どこか優しく、どこか安らぎ、どこか哀しい匂い。
 密室の中で、青年は本を読み少女はそれを眺める。
 彼らにとってはいつものことだ。
 
 いつのまにやら、少女はベッドに腰をかけていた。
 部屋には小さな木の椅子が一つあるだけ。そして、その椅子には青年が座っている。
 他に妥当な座る場所がみつからなかったのだろう。

 少女はなにも質問しない。
 青年はなにも話さない。
 聞こえるのは本のページをめくる音。

 少女の目線は青年へ。
 青年の目線は本へ。
 
 普段、人からじっと凝視されるのを嫌う彼だったが、少女だけは特別だった。
 青年は、なんの反応もせずにただ本を黙読する。


 パタン

 少し目を離した隙に、青年の手元にあった本は閉じられていた。

「あれ?もう読まないんですか?」
「読み終わった」

 淡泊な会話もいつものこと。


「で、いつまで此処にいるきなんだ?」
「いつまででしょう」
「…………」
 人差し指をピッとたて、少女は答える。
「そのポーズはやめてくれ。嫌な奴を思い出す」
「……言われてみればそうですね」
 少女は笑う。
 青年はやっと顔を少女へと向ける。


「で、いつまでいるつもりだ」
「ずっとです♪」
「…………」
 青年はため息を吐き、軽く眉を顰める。
「嘘ですよ……わかってます。こんな時間ずっと続くわけがないって」
 声に覇気はなかった。
 彼女は先ほど自分でいれたばかりの、まだ湯気がたつカップを両手で持って目線をそのカップの中にうつす。
「私はセイルーンのお姫さま。いつか戻らなければならないんです。でも……戻るときは隣にいてほしいです……」
 視線は再び青年へ。
「でも、やっぱりそれは我が儘なんです。ゼルガディスさんだってしなければならないことがあるんです」
「お互い、ずっとこのままでいられないというのは事実だからな」
 
 二人は黙る。
 次の会話の始まりの言葉が見つからないから。
 お互い、言いたい内容は同じなのかもしれない。

「「あ」」

 同時。

「先に言え」
「じゃぁ、遠慮なく」
 悪びれもなく、少女は言う。
 ここで、自分が「いいえ、先に言って下さい」などどいうと、話は進まないことはわかっていたから。
 コクンとなにかを納得したかのように、自分の言いたいことを確かめるかのように頷く。
 そして。

「私はセイルーンで待ってます」
 少女は一つの決断をだした。



「いつか、こうなることはわかっていたさ」

 それは、ずっとわかっていたこと。
 でも、お互い口に出すことは無かった。
 いつか、その時はくる。
 その時までは……

 そして。
 時はきた。


 出来ることなら、ずっと二人で旅を続けたかった。

 そう思ってるのは二人とも。





 
月と太陽の変化【change of the moon and the sun】






 アメリアに帰還命令が最初にきたのはいつだっただろう。
 遠くもなく、近くもない記憶を探る。

 わかっていた。
 こんな時間が続くはずはないと。
 でも。
 どこかで、ずっと続けばいいと思っていたのは事実。
 それは、認めるしかない。

 ゼルガディスは目の前に少女の姿を確認すると、ため息をこぼした。
 何の執着もなかったが別に邪魔でもなかった。
 はじめはその程度の感情だった。

「たまに、自分が馬鹿だと思う」
 思わず呟いた言葉をアメリアは聞き逃さなかった。
「え?なんでです?」
 口には出さずに、自分の中だけで返事を返す。
(こんな……自分よりも年下奴に、振り回されている自分がな)
 しかし、それは嫌ではなかった。
 むしろ、新鮮で……悪くはなかった。

 答えを口に出さないことに、アメリアは納得のいかない顔をうかべる。
 こんなシーンにはきっと、慣れていた。




 いつか、こうなることはわかっていたさ。








 当たり前のようにサラッと答える
 そのシンプルさに思わず笑ってしまった。







 さすがとでもいうのだろうか。
 いったいどこで調べているのかはわからないが、どこにいても頻繁にアメリアに帰還命令がでるようになった。
 まぁ、さすがに大国の王女をこんなに長い期間連れまわしていたら、帰還命令がこない方がおかしいのだろう。
 しかし。
 (彼女が王女だと言うことを忘れていたんだ)
 アメリアは自身、そう思われることを嫌ったし、自分もそれで特別扱いなどをするつもりは全くない。
 が。
 こう頻繁にくるとなると、嫌でも実感してしまう。
『彼女はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンなんだ』


 あえて、その事は聞かなかった。
 聞いたところで自分にはなにができる。





 いつか、こうなることはわかっていたさ。




 何度も確認する。






 わかっていた。







 アメリアとの過ごす心地よさを知ってしまった。




「俺は馬鹿かもしれない」
 やっぱり思う。
(溺れているな)
 自覚したのは遅かった。
 つい、最近だろう。

 ここまで溺れているとは、正直はじめは信じられなかった。

「それ、2回目ですよ」

 ふっと、自分が影の中に隠れた。
 うざったい太陽が遮られて、その影が与える冷たさがちょうど良かった。
 問いには答えず、自分を見下ろす少女を真っ直ぐ見上げる。


 青年の答えはない。
 でも、彼女はそれで良かった。
 最初から返事を期待した発言では、なかったから。










 いつか、こうなることはわかっていたさ。






 納得できる理性と、納得できない感情が交差する。







 その日。アメリアはいなかった。
 父親と少し連絡をとる。
 そういって、少しでかけたときからもうわかっていた。薄々感づいていた。


 この空間は、そろそろ限界だ。



 多分。
 どうなるかわからないが、いつになるかもわからないが。
 近々、その日がくるのだろう。


 できることなら、こないでほしかった時が。

 いつも通り、図書館にいくと言っていたが、あいにく図書館は閉まっていた。
 仕方なしに、部屋に戻り本を読む。

 ギギッと嫌な音をたて、扉は開いた。

「ここにいたんですね」








「私はセイルーンで待ってます」

 まるで、まるで深海のような沈黙と圧迫感が漂う。

「いつか、こうなることはわかっていたさ」

 アメリアは、軽く苦笑する。

「本当は、ずっと側にいたいんです」
 声は静かだった。 
「本当は、ずっと一緒にいたいんです」
声は震えていた。

 それでも、アメリアの瞳には光がやどっていた。

「私は、待ってるだけなんて絶対にできません」
 宣言するかのようにアメリアは言う。
「でも、追いかけることも無理です」
 自分でいった言葉に、彼女は頷く。
「だから、私は、自分の出来ることをします」
 決意に満ちあふれた言葉。
「私も、前へと進みます」

 この前向きさが、ときたま眩しくなる。
 彼女が太陽だとしたら、自分は月だと思う。
 自分は、太陽に照らされる月。

 しかし、太陽になりたいとおもったところで自分は月という事実は変えられようがない。
 月でやっていくしかない。





「待っていてくれるのか?」
 気付いたときには、言葉はでていた。
「もちろんですよ。でも……そっちこそ私の事忘れないで下さいよ」
「そういうそっちこそ、忘れるなよ」
 目はいつもどおりの無表情だが、その口は笑っていた。
「じゃぁ……こうしましょう。このアミュレットを渡します。だから……忘れないで下さい」
 最後の方の声は少し、 かすれていた。
「当たり前だ」


 全ては変えられない事実。
 それを否定したところで何も始まらない。
 だからといって、全てを受け入れられるほど、まだできちゃいない。

 それでも。

 自分も前へ進まなくてはならない。






 なにを感じ。
 なにを探して。
 なにを求めて。
 なにを諦めて。
 なにを納得し。
 なにを信じ。
 なにを消してきたか。





 いつか、こうなることはわかっていたさ。



 知らない方が良かった?
 耳を塞いでいた方が楽だったのかもしれない?

 もう。
 知ってしまったから・・・目の前にいる人間に求める事を、その快感を、心地良さを。
 その痛さを。




 目の前の太陽は、輝いていて、眩しかった。
 変わろうとしているのだろう。

 彼女の事情。その細すぎる手に余るほどの重圧と責任。
 それでも見せる笑顔。


 どうなるかは誰にも解らない。
 人生何があるのかわからない。
 正直いってしまえばそうだ。
 でも。
 信じよう。

 いつか再会出来る日を。

 そして。



 変わりゆくのは、彼女だけではないから。


 太陽は太陽のすべきことを。
 月は月のすべきことを。




 いつか、こうなることはわかっていたさ。






 二人は、歩き出した。








**************************************


ふぅ……いかがでしたでしょうか?

投稿するのも、めちゃくちゃ久しぶりなんでなんだか緊張です(笑)
なんとなく、私のなかでゼルが月でアメリアが太陽っていめぇじがあるんです。

んと、これを一度送らせていただいた方々へ。
あれから、多少つけくわえたりしました。っても本当に少しだけなんですがね(笑)


それでは、感想とかなんでもいいのでレスとかくれると嬉しいです♪
ブラッドはめちゃくちゃ喜びますvv

では、ブラッドでした。


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6979初めましてたつき 7/30-14:18
記事番号6969へのコメント

 
 初めまして。ゼルアメが大好きな、たつきと申します。
作品を拝見させて頂いたのですが、心に響くものがありました。ゼルガディスのアメリアへの気持ちが、何だかとっても切なくて苦しくて、二人の幸せを望まずにはいられませんでした。

 とても素敵な作品でした。これからもがんばってください!!



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6983こちらこそ、初めましてvvブラッド 7/31-22:34
記事番号6979へのコメント

こんばんわです。初めましてvたつきさん。
レスありがとうございますぅぅぅぅ!!
感激ですっっ!!めちゃくちゃ嬉しいです!!

あぁ、レス返し遅くなってしまってすいません(土下座)

> 初めまして。ゼルアメが大好きな、たつきと申します。
私もゼルアメ好きです!!ってかアメリアが好きです(笑)あぁ、もちろんゼルも好きですよ♪

>作品を拝見させて頂いたのですが、心に響くものがありました。ゼルガディスのアメリアへの気持ちが、何だかとっても切なくて苦しくて、二人の幸せを望まずにはいられませんでした。

うにゅぅぅぅぅぅぅぅ(歓喜)
なんて、ありがたいお言葉なんでしょう♪心に響くなんて、すごい嬉しいです。
普段、私が書いてるは、どちらかというと、アメリア→ゼルになってしまうので
この話は、私自身、ゼル→アメリアとどう書くかすごく悩んだ話でした。
(もともと、男の人サイドって書くのすごい苦手なんです(苦笑))
なので、尚更たつきさんのお言葉が嬉しかったです。

ゼルとアメリア。
この二人にはぜひ幸せになってもらいたいと、私も思います♪


> とても素敵な作品でした。これからもがんばってください!!

はいっっ!!もう、ばしばし頑張りますね!!
それでは、レスありがとうございました。