◆−薔薇の咲き乱れる森で・・・−ザズルア (2001/8/14 14:21:28) No.7139
 ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 2−ザズルア (2001/8/15 15:32:35) No.7147
  ┣はじめまして−一坪 (2001/8/15 23:18:06) No.7149
  ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 3−ザズルア (2001/8/18 17:48:34) No.7172
   ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 4−ザズルア (2001/8/22 13:52:13) No.7197
    ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 5−ザズルア (2001/8/29 16:23:41) No.7218
     ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 6−ザズルア (2001/8/30 17:07:33) No.7220
      ┗薔薇の咲き乱れる森で・・・ 7−ザズルア (2001/8/31 16:28:01) No.7225


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7139薔薇の咲き乱れる森で・・・ザズルア E-mail 2001/8/14 14:21:28


はじめまして!私はザズルアと申します!!
駄作しか書けない情けない私ですが、可愛がってくれるとありがたいです!!



「・・・ほんっとーにこんな森にクレアバイブルがあるんでしょーね?」

不機嫌そうな口調でリナがいった。
ここは幻≪ミラージュ≫の森と呼ばれる森。
彼ら仲良し四人組は、この森にクレアバイブルがあるという噂を聞きつけ、この森に足を運んだ。
この幻≪ミラージュ≫の森に行くとき付近の人達から、
奥に進んで帰ってきた人はいない。だからあの森に入るのは止めたほうがいいと止められはした。
が、そんなことで行かない仲良し四人組ではない。
そんな話を無視して彼らは現在この森の中にいる。

「無かったらこの森を灰にするまでだ。」
「い・・・いやですねゼルガディスさん、そんな真顔でとんでもないこと言わないでください…。」

なかなかクレアバイブルが見つからなくてストレスがたまっているのか、キレた口調でいうゼルガディスとなだめるアメリア。
そんなとき、

「ん・・・?なんかのにおいがするぞ!」

いきなりガウリイは言って奥へと駆け出していった。

「ちょ・・・、ちょっと待ちなさいよガウリイ!!」

慌てて追いかけるリナたち。
「いったい何かあるって・・・。」

ガウリイが駆け出していったそこには、
色とりどりの美しい薔薇が咲き乱れていた。
そして、
「何者だ?」

黒髪の少女がその広い薔薇園に一人立っていた。

つづく

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7147薔薇の咲き乱れる森で・・・ 2ザズルア E-mail 2001/8/15 15:32:35
記事番号7139へのコメント

どおも〜。自称エセゼルアメ純愛小説家のザズルアです。
この話はぽん太郎さんの『ぷろてぃあ』で書いたものです。


「誰って・・・あんたこそ誰よ。」

負けじと言い返すリナ。
少女はリナと同じくらいの歳で、彼女はそこの薔薇園を連想させるような容姿だった。
紅き薔薇と同じ色の意志の強そうな瞳。
白薔薇と同じ色の肌。
黒薔薇と同じ色のつややかな髪。
彼女のそばで咲く桃色の薔薇と同じ色の唇。
まるで、この薔薇園の精霊であっても驚きはしないだろうと思えるような少女だった。

「私はここに住んでいる、スプル=フェアリーマと申す。
 ――改めて聞く。あなたたちは何者だ?」

精霊のような少女――スプルは再びリナたちに問う。

「あたしはリナ。こっちの剣士がガウリイで、この子がアメリア。
 んで、この怪しいのがゼルガディス。」
「怪しいのってのは何だ!?」

何気にさらりと言ったリナの一言にツッコむゼルガディス。

「・・・。
 それで、どんな目的でこの森にきた?
 まさか、退屈しのぎで来たわけじゃないだろうな?」
「あいにく、あたしたちはそんなに暇じゃないのよ。
 ここにとある魔道書があるってきいてね、それを探しにきたの。」
「魔道書・・・?
 ここにそんなものがあるとは聞いたことはないが・・・。
 しかし、この森が幻≪ミラージュ≫の森だとわかってて言っているのか?
 この森はこれ以上奥に進んだら二度と出られないぞ。」
「知ってるわよ、その話。
 第一、道に迷ったって空を飛べば帰り道くらいわかるわよ。」
「いいや、この奥に行くと幻を見るのだ。」
「・・・幻?」

スプルの言葉に眉をひそめるリナ。

「あぁ、この奥に行ったものは幻に惑わされ、二度と帰ってこれなくなるのだ。
 だから、この森の名前が幻≪ミラージュ≫の森なのだ。」
「だいじょーぶよ、たかが幻に騙されるほど、あたしたちは愚かじゃないわ。」
「・・・本当だな?」

スプルが意味ありげな表情をする。

「ならば、それを私に証明するがいい!!」

言うなりスプルはリナたちに何かを振りかけた。

「なっ・・・!」

つづく

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7149はじめまして一坪 E-mail 2001/8/15 23:18:06
記事番号7147へのコメント

投稿ありがとうございました!

ふむふむ。おもしろいですねー。
こーゆー本編で書かれなかったエピソードって感じのやつ好きなのです。
というか引きがうまいですねー。
すごく続きが気になります。

というわけで続き楽しみにしています。

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7172薔薇の咲き乱れる森で・・・ 3ザズルア E-mail 2001/8/18 17:48:34
記事番号7147へのコメント

書き忘れていましたが、この話をはじめとするあたしの書くほとんどの話はゼルアメです。


「ここは・・・?
 たしか、あたしは薔薇園にいて・・・。」

リナが目を開くと、そこには薔薇園もスプルも仲間たちもおらず、ただ闇があるばかり。

カツン・・・

誰かの足音が聞こえてくる。
それはだんだん近づいてきて、その音の主の姿が見えてきた。

「姉ちゃん!?」



「お〜い!
 みんなどうしたんだ〜?
 リナ、ゼル、アメリア〜!」

ガウリイも同じ状況だった。
そして、彼は仲間たちの名前を連呼するのだった。



「まったく・・・、ここはどこだ?」

独り言をつぶやくゼルガディス。
彼もまた、闇の中に一人たたずんでいた。
そして、彼にも誰かが近づいてきた。
それに気づいたゼルガディスは後ろを振り返った。そして、それと同時に驚く。

「レゾ!?」



「あれ?どうしてわたしはこんなところにいるんでしょうか?」

アメリアも呆然と闇の中に立ちすくんでいた。
彼女にもだれかが近づいてくる。
その人は・・・。

「父さん!?」



「リ〜〜〜ナ〜〜〜〜〜!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
 姉ちゃんごめんなさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!」

リナは闇の中、包丁持ったウエイトレスの郷里の姉ちゃんに追い掛け回されていた。
逃げているリナもバテてきて、ルナに追いつかれてきている。
その差はだんだん縮んできて、とうとう追いつかれ、ルナの包丁がリナを襲う!!



――なぜ、レゾがここにいる!?
  コピーか!?

ゼルガディスは突然現れたレゾに対して構える。

――さあ、どうする俺?

ゼルガディスはしばし考え、懐から何かを探しだした。



「父さん!!どうしてこんなところにいるんですか?」
「・・・。」

アメリアの前に現れたフィリオネルはアメリアに近づき・・・

「!?」

アメリアに拳を突き出した!!
それを間一髪でよけたアメリア。

「父さん・・・?」



ルナが振り下ろした包丁は――
なんと、リナに余裕でよけられていた!!

「んっふっふっふっふっ。
 これでよぉ〜っくわかったわ。
 あんた、姉ちゃんじゃないでしょ!!
 あんたの包丁裁きは姉ちゃんのものじゃないわ!!」
「くっ・・・!」
「あんたは姉ちゃんじゃない。つまり、攻撃しても大丈夫!!
 ってことでドラグ・スレイブ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

リナのドラグ・スレイブでルナ(偽者)は跡形もなく消えた。



「レゾ!!これでも食らうがいい!!」

そう叫んでゼルガディスがレゾに投げつけたのは――なぜ持っていたのかは知らないが――ぷよぷよしたクラゲ!!

――弱点がなさそうに見えるお前でも、
  ガキのころからお前といっしょにいる俺はお前の苦手なものくらい知ってるんだよ!!

そのまま逃げようとしたゼルガディス。
しかし、レゾはクラゲにさして反応を示さない。

「何っ!?
 ・・・まてよ?
 もしかしておまえ、ただレゾの姿をしているだけの偽者だろ?」
「ギクッ!」

実はゼルガディスは幼いころ、コピーとは知らずにいたずらでコピーレゾにもクラゲを投げつけたことがあり、
そのときの反応はオリジナルと同じようにおどおどしていたと言う。(笑)

「ふっ、姿だけの偽者など敵ではないわ!!ダグ・ハウトぉ!!!」

偽者レゾはゼルガディスの放った魔法で倒されたと言う。



「父さん・・・。」

――どうして?
  わたし、何か悪いことでもしましたか?
  わたしはただ、父さんの言う通り、正義を――

「正義?」

心の中でつぶやいていた言葉の中の単語にふと止まるアメリア。

「そうです!!正義です!!
 何も悪いことをしていない娘に拳を振るう父親、すなわちそれは悪!!
 わたしの父さんはそんなことはしない!!
 つまり、あなたは父さんじゃない!!」

そして、右の人指し指を『フィリオネル』にビシィィィっ!と指して続ける。

「よくも、父さんのふりをしてわたしをだましましたね!!
 その悪行、許すわけにはいきません!!ヴィスファランク!!」

アメリアの魔力のこもった拳は偽者フィリオネルを打ち倒した!!



「ん・・・。」
「おっ、気が付いたか。」

リナが目覚めると、横で座るガウリイの姿が目に入った。

「あれ・・・?リナさん、ガウリイさん。」
「お前ら・・・。」

その後を追うようにアメリアとゼルガディスも目覚める。

「見事だ、そなたたち。」

手をたたきながら言ったのは、薔薇園の少女スプルだった。

「私の予想を見事に裏切り、幻に打ち勝った。
 その力を認め、この森の道案内を願い出よう。」

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ガウリイ編

「まったく、あいつらはどこにいったんだ?」

仲間たちを探しつづけるガウリイ。
すばらくすると、闇の中に一筋の光が見えた。

「あそこか?」

ガウリイはその光の方へ駆けていった。
ガウリイが、ふと気が付くと薔薇園に戻っていた。
そこには、倒れている仲間たちと依然、変わらぬまま薔薇園に突っ立っているスプルの姿があった。

「みんなをどうした!?」
「まぁ、まて。
 しばらくすれば、皆気がつくであろう。
 それまで待とう。」

つづく

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7197薔薇の咲き乱れる森で・・・ 4ザズルア E-mail 2001/8/22 13:52:13
記事番号7172へのコメント
「あなたたちはみごと幻に勝つ強い心があるということを証明してくださいました。
 その敬意を証して道案内を願い出ます。」

笑顔で言うスプル。・・・って口調変わってるし。

「道案内って・・・、やっぱりあんたクレアバイブルのありかを・・・!」
「えぇ、クレアバイブルかどうかは分からないけど、知っていますわ。
 早速出発!・・・といいたいのですが、ちょっとこれを・・・。」

いってスプルは四色の薔薇を一本ずつ摘んでリナたちに近づく。

「この薔薇をひとり一本持っていてください。」

そして、スプルは薔薇を一本づつリナたちに渡した。
リナは黒い薔薇、ガウリイは赤い薔薇、アメリアは桃色の薔薇、ゼルガディスは白い薔薇を受け取った。

「この薔薇は特殊で、幻を見せるフェルモデットを近づけません。
 あっ、フェルモデットというのは蝶の一種で、羽についている鱗紛(りんぷん)が幻を見せる原因になるのです。」
「へぇ〜。ずいぶん詳しいわね。」
「まぁ、長々とここに暮らしていますから・・・。」

スプルの話を聞き終え、アメリアは髪に薔薇を飾ってみた。
そして、ゼルガディスの方を向いた。

「えへへ、似合います?ゼルガディスさん。」
「・・・俺が知るか。」

頬を赤らめて言うゼルガディス。
しかし、その態度は逆に「似合っている」と言っているようなものである。

「今出発するとつくのが夜になっちゃいますから、今日は私の家で休んでいったほうがいいですよ。」

スプルの提案に皆が賛成した。

「アメリア・・・。」
「なんですか?ゼルガディスさん。」

ゼルガディスに呼び止められ、返事するアメリア。

「いや、やっぱりいい。
 ただ、あのスプルって奴にどこかで会ったことがある気がしてな・・・。」

そのとき、アメリアはそのゼルガディスの言葉をあまり気にはしなかった。
その日の夜、スプルと話すまでは・・・。

「アメリアさん。」

夕食が終わったあと、
アメリアの寝室にスプルが訪れた。

「どうしたんですか?」
「ちょっと、アメリアさんに相談したいことがあって・・・。
 ――ちょっと外へ行きません?」
「?えぇ・・・。」



「で、相談したいことってなんなんですか?わたしにできることならなんでもします!!」
「ありがとうございます。
 なんか一番話しやすそうなアメリアさんだから聞くんですが・・・。
 ゼルガディスさんってどんな人ですか?」

――!?

アメリアにいやな予感がよぎる。

「・・・どうしてですか?」
「あのね・・・、こんなこといったら頭がおかしいって思われそうだけど・・・。
 私、ゼルガディスさんを見たとき、あっ!この人知ってる、この人と会ったことがあるって思ったの。
 今とは違う、なんと言うか・・・、前世から知っているような・・・。」

――あのスプルって奴にどこかで会ったことがある気がしてな・・・。

夕方のゼルガディスの一言を思い出すアメリア。
そんな彼女の気持ちすら知らず、真剣な目で続けるスプル。

「そして、思い出したの。
 その時私は、彼のことを・・・。」

――いや・・・。

「愛していたんだって・・・。」

――やめて・・・!!

「これは何か運命のようなもので決まっていたことのような・・・。
 ・・・こんなこと言うとはずかしいけど、なんか・・・『運命の人』のような・・・。」

――聞きたくない!!

「アメリアさん?」
「それで・・・、わたしになにをしてほしいんですか?
 なんていって欲しいんですか!?」
「いえ、別に何かをして欲しかったわけじゃなくって、ただ、私の話を聞いて欲しかっただけで・・・。」
「だったら話さないでください!!」

――はっ!

アメリアは思わずスプルに怒鳴ったことを後悔した。

「ごめんなさい・・・。」
「いえ、私こそ済みませんでした・・・。
 明日は早いです。ゆっくりお休みください。」

そう言ってスプルは踵を返した。

――わたしはお邪魔虫なんでしょか・・・。
 スプルさんとゼルガディスさんは『運命の人』同士なのでしょか・・・。

アメリアがそう悩んでいたのを見ていたのは夜空に輝く月と星達だけだった。

つづく

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7218薔薇の咲き乱れる森で・・・ 5ザズルア 2001/8/29 16:23:41
記事番号7197へのコメント

続きを書くのにだいぶ遅れてすみませんでした。
それでは、つたない話ですがどうぞ。



――ゼル。
(お前は――)
ゼルガディスの視界には黒髪の美しい、女性。
――おはよう、ゼル。
(そうだ。お前は俺の――)
「俺の・・・。」
ゼルガディスはそこで目がさめた。
「俺の・・・、俺の何だ?」



「どーしたのよアメリア、ボーっとしちゃってさ!」
「うん・・・。」
あれから、アメリアは一睡もしていない。
――やっぱりわたしはお邪魔虫なのでしょうか?
  そして、ゼルガディスさんとスプルさんは――
「あれ?」
アメリアが考えている間に他の四人は先に行ってしまったようだ。
「あっ!!ちょっと待ってくださーい!!」
慌ててアメリアが四人のあとを追おうとする。
しかし、四人の姿は見つからず、アメリアは森に迷ってしまった。
「ど・・・、どうしよう・・・。」
アメリアがペタリと力なくその場にへたり込む。
すると、
「アメリア!!」
自分を呼ぶ声を聞き、アメリアは反応する。
その声の主は、
「ゼルガディスさん・・・。」
「まったく、どこにほっつき歩いていたんだ。」
「ごめんなさい・・・。」
「世話を焼かせるな!!いくぞ!!」
「はい・・・。」
ゼルガディスに怒鳴られてしょげるアメリア。
落ち込みつつもゼルガディスの後を追う。


「なぁ、アメリア。」
「なんですか?ゼルガディスさん。」
みんなのところに行く途中、アメリアはゼルガディスに問い掛けられた。
「女のお前の目から、俺のことをどう見える?」
「えっ・・・!ど、どうって・・・。
 素敵、だと、思いますよ。
 剣も使えて、魔法もできて・・・。」
しろどもどろに答えるアメリア。
「つまり?」
「つまり・・・って・・・?」
「男として魅力があるかと聞いているんだ。」
ゼルガディスらしくない――どちらかといえばアメリア的な――率直な問いを投げるゼルガディス。
「・・・ゼルガディスさん、好きな人、いるんですか・・・?」
「・・・あぁ。」
「・・・スプルさん?」
「あぁ。」
ゼルガディスの答えに俯くアメリア。
――そんな、やっぱり・・・!
「さよならだ。アメリア。」
「えっ!?」
顔を上げるといつの間にかゼルガディスが自分から離れている。
「じゃあな。」
ゼルガディスはきびすを返して去っていこうとする。
「待ってください!ゼルガディスさん!!」
必死にゼルガディスの後を追うアメリア。
その時、声が聞こえて来る。
「・・・ア。アメリア、アメリア!!」

はっとアメリアが目を開くとそこにはゼルガディスの顔があった。
ゼルガディスだけではない。リナやガウリイ、スプルの姿もある。
「まったく!薔薇を忘れて見事に幻想にとらわれやがって!!
 世話を焼かすな!!」
「はい・・・。」
「アメリア、お前は戻っていろ!
 薔薇を持っていなかったらいても足手まといだ!!」
ビクッ!
ゼルガディスに怒鳴られ、小さく身を振るわせるアメリア。
「ちょっと、言い過ぎじゃないのゼル!」
ゼルガディスの言葉に非難の声をあげるリナ。
「これくらい言わなきゃきかん。」
「大丈夫ですわ。私の薔薇のお持ちください。」
そう言ってアメリアに薔薇を渡したのはスプルだった。
「えっ、でも・・・。」
「大丈夫、私の身体には薔薇の香りが染み付いていますから。
 それで多少はどうにかなります。」
言ってアメリアに微笑むスプル。
妖精に例えられるような愛らしい容姿に薔薇の香はとても似合っていた。
――やっぱりスプルさんって魅力的・・・。
  ・・・完敗だな、わたし・・・。
「スプルはアメリアと違ってとっても役に立ってくれる。」
軽い皮肉のつもりで言ったゼルガディスの一言はアメリアをよりいっそう落ち込ませるのであった。

つづく

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7220薔薇の咲き乱れる森で・・・ 6ザズルア 2001/8/30 17:07:33
記事番号7218へのコメント

いやぁ、前回のを書いているときのあたしってまさに青菜に塩。
嘘でもゼルアメ以外のもの(ゼルかアメリアの別のカップリング)は書きたくないようです。



「ここです。その魔道書があるというところは。」
スプルがリナたちを連れてきたのはさして大きくも小さくも無い屋敷だった。
「いつだったか、ここに伝説級の魔道書があるって聞いたことがありますわ。」
「よーし、みんな、張り切って探すわよ!!」
「その必要は無い。」
リナの言葉に割り込んだのはその屋敷から出てきた人物だった。
「なぜなら、お前はここで私に倒されるのだからな、リナ=インバース。」
「まさか・・・、あんたは魔族!?」
「その通り。そこの小娘を利用してな。」
言ってスプルを指差す魔族。
「私をですって・・・!」
「そう、ちょっと記憶をいじくっただけで思惑通りリナ=インバースをここに連れて来た。
 まったく、人間というものは単純だな。」
「私を利用した・・・。許しません!!」
言ってどこからか出した槍を魔族の方に投げつける。
「まったく・・・、そんなものこの私に効く訳がないだろうが。」
やれやれといった感じで槍を避けようとはしない魔族。しかし、
「ぐわっ!!」
スプルの槍は魔族を貫き、ダメージを与える。
「誰もその槍が普通の鎗だなんてもうしてませんことよ。」
「なるほど・・・、これはちょっと油断したな・・・。
 しかし、次は無いと思え!!」
吼えて魔族が五人に向かって衝撃波を放つ!
誰も避ける事はできないと思ったその時、
「力よ!我に集え!!」                  ・・
スプルの『力ある言葉』にのせた声が響くと同時に衝撃波は彼女のみに向かった。
(何!?)
四人が理解するより早く、衝撃波がスプルを襲う。
しかし、彼女は呪文を唱える。
――汚れ無き者をいとおしむ 異なる世界を統べるもの
  我 汝に盟約を誓し者
  我の怒り 汝の力となりて
  汝の怒り 我の力となりて
  我が心に生まれし闇よ 力となりて
  その源に裁きを与えよ!!
「異神魔破斬(ジャズル・フィラード)!!」
スプルの両手に生まれた光が魔族の衝撃波を打ち消し、その後ろの魔族も葬った。
「ふぅ・・・。」
「な・・・、なんなの今の魔法・・・。」
「異界の神魔、ジャズルフィードゥの力を借りた魔法です。
 神魔とは神族の長でありながら魔族の王である神と魔王の亜種です。
 ・・・なんか、少し疲れました・・・、ちょっと・・・、休ませて・・・。」
言って、彼女はその場に倒れてしまった。
「ちょっ、ちょっとスプル!?」
いきなり倒れたスプルを取り囲む四人。
「ちょっと、大丈夫かスプル!?」
「う・・・、うぅ〜ん・・・。」
ゼルガディスにゆすられて気を取り戻すスプル。
「・・・・・・。」
「・・・どうした?」
「ゼル・・・、ゼル!!」
ガバァッ!っとスプルはゼルガディスに抱きついた。
「会いたかった!会いたかったわゼル!!」
「ちょっと待て!!何だいきなり!?」
必死にスプルを引き離そうとしながら問い掛けるゼルガディス。
「随分可愛げのない子に育ったわね、ゼル。
 やっぱり父さんに任せたのがいけなかったのかしら?」
「一体なんなんだ!?まるで母親のような・・・!!」
「そう。」
言ってゼルガディスの口に人差し指を当てるスプル。
「私はあなたの母さんよ。十五年前に死んだ、ね?」

つづく

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7225薔薇の咲き乱れる森で・・・ 7ザズルア 2001/8/31 16:28:01
記事番号7220へのコメント

『母親ぁ!?』
四人の声が見事に唱和した。
「そう、母親。
 ・・・もっとも、私の魂がこのスプルという子に宿っているのだけど・・・。
 悪いけど、この中で崩霊裂(ラ・ティルト)を使える人はいない?」
スプル――もとい、彼女の中に居るゼルガディスの母親は四人に聞いた。
「崩霊裂ならわたしとゼルガディスさんが使えますけど・・・、どうしてですか?」
「あなた達、使えるのね。
 それでお願いがあるんだけど――
 崩霊裂を私に放って。」
「え・・・?」
ゼルガディスの母が言っていることの意味がアメリアには理解できなかった。
「つまり――
 あの世に行かせてくれ、っていいたいんだろ?」
そう言ったのはゼルガディスだった。
「えっ・・・!」
アメリアの驚きの声と、
「そうよ。」
スプルを通して答えるゼルガディスの母親の声が重なった。
「私が今、表に出ているのはこの器となっている子――スプルさんが死にかけているから。
 異界の神魔の力を使った魔法を自分の出せるだけ以上の力で放ったからなの。
 しかし、私が表に出ていることによってスプルさんの魂が削られ続けている。
 早く私を在るべき所に行かせないと彼女は死んでしまう。
 崩霊裂なら人間などの生物には効果はないけど、幽霊などには効果は絶大――
 その術ならスプルさんを助けられる。
 だから・・・、お願い。」
「そんな・・・。」
出来ない。アメリアはそう思った。
確かにスプルを助けなければいけない。
しかし、それには好きな人の母親を殺さなくてはいけない。
どちらも、アメリアには耐えられない。
しかし、
「わかったよ。
 お前を逝かせればいいんだな?」
そう言ったのはゼルガディスだった。
「ゼルガディスさん!!」
「アメリア!スプルが死んでもいいのか!?」
「よくありませんけど・・・。」
やっぱり、ゼルガディスさんは――
アメリアはうつむいて黙っている。
「そう、わかってくれたのねゼル。
 さぁ、早く。」
「わかっている。」
そう言って崩霊裂の詠唱をするゼルガディス。
――永久と夢幻をたゆたいし
  すべての心の源よ
「さようなら・・・。」
ゼルガディスの母親はぽつり、と言葉を漏らす。
  尽きること無き青き炎よ
「輝きを内に秘めた私の可愛い子。」
  わが魂に眠りしその力
  夢幻より来たりて裁きを今ここに!!
「そして・・・。」
『崩霊裂(ラ・ティルト)!!』
母の最後の言葉を聞こうと思わなかったのか、それとも聞こえなかったのか、ゼルガディスは術を放った。そして、
グォォォン
青い光がスプルの体を包む。
光が消えた後にスプルが立っていた。



「なるほど、そんなことがあったのですか。」
その後、町に戻るにしても遅い時間になってしまい、結局リナたちはまたスプルの家にお世話になることになった。
そして、また深夜スプルはアメリアに事のすべてを話したのだった。
「えぇ、ゼルガディスさんはスプルさんの為にお母さんを・・・。」
辛そうに――実際辛いのだが――アメリアは言った。
「それは・・・、ゼルガディスさんに感謝しなくてはいけませんね。
 そりゃあ私なんかの命の為にお母さんを天へと送って・・・。」
「やっぱりゼルガディスさん、わたしじゃなく、スプルさんの事が好きなのかな・・・?」
「それは違います!!」
アメリアの弱気な発言を否定するスプル。
「ゼルガディスさんはきっとアメリアさんのことを愛しく思っていらっしゃります。
 なぜなら、いつも冷静沈着そうなゼルガディスさんが、アメリアさんがいないと知ったときのあの慌てぶり、
 アメリアさんにも見せてあげたかったですわ。」
顔を覆って笑いながら言うスプル。
それから、ふと寂しそうな顔でスプルは言葉を続けた。
「それからですね、あの、ゼルガディスさんが私の運命の人だ!って言う発言、
 あれ、取り消しにしてくれません?
 私、ゼルガディスさんを初めて見た時、特別な感じを覚えたの。
 でも、それは・・・、私の中に宿っていたゼルガディスさんのお母さんがゼルガディスさんに気づいただけだったようです。
 アメリアさん、ご迷惑をおかけしてすみません。
 ですからアメリアさん、頑張ってゼルガディスさんを振り向かせてください!!
 私、応援いたしますわ!!」
「スプルさん・・・。」
「さーてと、明日は早いですわ。
 早くお眠りになられたほうがよろしいのではなくて?」
「はい!!」
――実はですね、わたし見ちゃったんです。
  お母さんに崩霊裂を放つとき、ゼルガディスさん、泣いてたんです。
  やっぱりゼルガディスさんも辛かったんですね・・・。

つづく

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なお、この話は次回から新しく(ここからレスせず)書く予定です。