◆−結婚式狂騒曲 ぱ〜と1−隣のLおねいさま (2001/8/14 23:15:50) No.7144


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7144結婚式狂騒曲 ぱ〜と1隣のLおねいさま URL2001/8/14 23:15:50


 『ふうっ!!これでよしっと』

 肩まで切りそろえられた黒くつややかな少女の髪の毛が風になびく。
あけられた窓からは気持ちよい風が吹いてきて、カーテンがそれに伴って
踊っている。窓から見える城下町は活気づき、少女はそんな街が大好きであった。

    ******* 結婚式狂騒曲 ぱ〜と1 ********* 

 『荷物はこれで最後ね。こことももうお別れなんだから。せめてきれいにしてあげなくっちゃ!』

 部屋の中はからっぽに近い状態。女の子の部屋であったことがわかるようなピンクの壁紙。

 ドレス姿で掃除とは何ともおかしな光景であるが、少女は自分のことは全て自分でやっていた。

 掃除をしていた手をとめ、少女は一度部屋も見渡す。
少女がこの年になるまでずっとこの部屋で生活してきた。懐かしさでむねが一杯になりそうだと少女は唇を噛み締めた。

 『少女はいつか女になり、そしてすだっていくんですねアメリアさん』

 少女=アメリアの後ろで声がした。聞き慣れたその声に驚きもせずゆっくりと振り返る。

 『ゼロスさん、もうっ茶化さないでくださいよっ!!』
 『僕からのお祝の言葉ですよ。これでも文献をしっかり読んで調べたんですよ〜』

 アメリアよりも闇色の髪を持つ黒き神官がいつもの笑顔で佇んでいた。
アメリアもゼロスに会うのはひさしぶりのことである。

 『何か企んでないですよね?』

 ゼロスがあらわれる場合はたいていが何かが起こる。それをアメリアは身を持って体験していた。ただ今回はそういった雰囲気が見られないので、半分は冗談と嫌味が隠っている。

 『いやですね〜。せっかく知り合い同士が結婚するんですよ、こんなおめでたい日は何もしませんよ』
 
 ジト目でアメリアが見ると、ゼロスはぽんっと手のひらから花束を出した。そしてアメリアに近寄ると、ひざまづいてそっと差し出す。それはまるで貴族の男性が女性に求愛しているよう。

 ピンクのドレスを来たセイルーンの王女アメリアと黒き神官ゼロス。それなりに絵になる二人ではあった。

 はじめは戸惑っていたアメリアだったがその花束を受け取った。

 『まあ今日という日に免じてあなたを信じましょう』

 幸せ一杯のアメリアは笑顔で花束の優しいにおいをかぐ。
そしてそのまま意識を失った。

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 『どうも、落ち着かん!』

 ゼルガディス=グレイワーズは王宮の部屋の中をいったりきたりしていた。慣れない王宮の雰囲気と、これから自分が置かれる立場と、そして結婚式という一つの神聖な儀式のことと、頭はいっぱいである。

 呪われし体から解放されて、しばらくたつ。慣れない本来の姿にはじめは少々不便だとは感じたが、これも元に戻れたからこそ言える台詞だと言い聞かせ、魔力の減退に対抗するため剣技や戦術を学んだ。

 ある程度慣れたらすぐにセイルーンに向かった。少し大人になった少女が涙顔で迎えてくれた。人前だというびぶ抱きとめて、しばらく離さなかった、いや、離せなかった。

 もうすぐ、神の前で二人で誓いをかわせば、二人はもう二度と離れなくなる。死が二人をわかつまで。待ち遠しくて仕方ない。正式に結婚するまでは部屋も別々である、こんなに近くにいるのにと思うとゼルガディスはいてもたってもいられなかった。

 そして・・・今日という日がやっとやってきた。
アメリア、そしてゼルガディス。二人にとって夢にまで待ち望んでいた日が・・・。 
  
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 『リナ、腹減らないか〜?』

 これも王宮の一室。ガブリエフ夫婦にあてがわれた部屋。夫であり元保護者であるガウリイ=ガブリエフは空腹に宙をあおいだ。

 伝説の女魔道士リナ=インバースも2年前にはれて結婚し、今は一児の母親であり、妻である。子供ができてからは旅をやめて、セイルーンの近くののどかな田舎街でのんびりと暮らしている。

 『ちょっと!ガウリイ、そんなに大きな声出さないでよ』

 小さなベッドに赤ん坊を寝かし付けたばかりのリナが小声でしかりつけた。すまない、というポーズでガウリイがジェスチャーで謝る。

 『結婚式となれば豪華な料理が出るでしょ!それにセイルーンの王女の結婚式となれば・・・そりゃあすごいはずよ』

 リナは想像しただけでいやらしくもつばが溢れてくる。あの大食いは今の健在のようだ。

 当のガウリイはというと・・・相変わらず何も分かってないようで考え込んでいる。

 『それで?それと何も食べないのと何か関係があるのか?』

 と瞬間、ガウリイの頭にからっぽのほ乳びんがクリーンヒットした。
なかなかよい音がした。強いていうなら何も頭の中にはいっていないような、そんな音。

 『このクラゲ!あたしは子供を産んでから少し太ったでしょ。だから気にしてるわけ。んで、ちょっと我慢して我慢した分だけ結婚式で食べようというそういう壮大な計画をたててるの』

 確かに前よりは少しふくよかになったのかもしれない。しかしもともと小柄で細みの体つきだったためそんなに外見からは分からない。しかしまあ本人がいうのだからそうなのであろう。

 『う〜ん、確かに最近少し抱き心地がよくなったような・・・。胸にもうちょとついたらな〜、ラウディ?』

 寝かし付けている男の赤ん坊に優しく語りかける。内容はともかくだが。

 『いらんこと言わんでもよろしいっ!!』

 しびれを切らせたリナのスリッパの音がついに部屋中に響いた。

 おぎゃ〜おぎゃ〜。

 せっかく寝かし付けたばかりの赤ん坊が泣き出した。

 『ああ、ごめんね〜ラウディ。お父さんが悪いのよ〜』

 相変わらずな性格なようだ。少々荒っぽいがそれでも幸せな家族。
魔族や異世界との魔王との戦いが嘘のようである。毎日いろいろあった旅でそれなりに楽しかったが、今の平凡な生活もそれなりにリナは幸せであった。女としての幸せを今精一杯噛み締めている、そんなリナの胸の中でかわいい赤ん坊がまたゆっくりと寝息をたてはじめた。

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 すごくひさしぶりの投稿です。ギャグ+ラブラブでいきます。
少なくともダークにはなりません。私ってどうしてもダークにいってしまう
んだけど・・・。今回は大丈夫!なはず。

 そんなに長くなる予定ではありませんが作者の力量によっては無闇に長くなる可能性があります、ご了承くださいませ(汗)