◆−CLEAN UP前編−桜井  ゆかり (2001/9/23 00:54:41) No.7381
 ┣CLEAN UP中編−桜井  ゆかり (2001/9/23 00:59:38) No.7382
 ┣CLEAN UP後編−桜井  ゆかり (2001/9/23 01:05:56) No.7383
 ┃┣Re:おわっ!?いつの間に!?−かお (2001/9/23 01:31:53) No.7384
 ┃┃┗Re:おわっ!?いつの間に!?−桜井  ゆかり (2001/9/24 17:12:00) No.7389
 ┃┗気づけば貴方は羽ばたいて・・・なんてね−紗希 (2001/9/30 17:44:18) No.7427
 ┃ ┗ぱたぱたぱた(待て)−桜井  ゆかり (2001/9/30 23:21:30) No.7429
 ┗またまた詩です。−桜井  ゆかり (2001/10/4 22:14:38) No.7444
  ┗迷路はいつか抜けていく・・・−紗希 (2001/10/7 18:25:06) No.7455
   ┗あの空の果ての何処かで・・・。−桜井  ゆかり (2001/10/7 22:49:01) No.7457


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7381CLEAN UP前編桜井 ゆかり E-mail URL2001/9/23 00:54:41




もうそろそろ投稿しても大丈夫かなーっと思いつつ、新規の投稿です。
短くてギャグペーストなので、全部いっぺんに投稿しちゃいます。
では、前編をどうぞ。




ランド公国。
いろいろな伝説で有名な国。
そんな国にあたし達は来ていた。
もしかしたら、ゼルの体を元に戻す方法が分かるかもしれないから。

「旅の魔道士様……ですね」
あたし達が少し遅めの昼食を摂っていた時に、1人の男性が声をかけてきた。
深刻ともいえるその表情に重い雰囲気を感じ取ったあたしはすぐに断ろうかと思ったが、アメリアの熱弁もあって話だけは聞くことにした。
「実は1年前にここに賢者が訪れまして、ヘキサグラフになっていた礼拝堂を封印したのです。ですが、それが引き金となって幽霊が現れるようになったのです」
「賢者?」
現代の5賢者といっても全員の名前を知っているわけではない。
それにレゾの評判が大きすぎて他の賢者が目立たなかったという点もあったのだろうが……。
「ええ。名前は申し上げることは出来ませんが、色のローブを所持していらっしゃる方で、通り名は緋色の賢者だそうです」

ブッ!

今まで話に参加しなくコーヒーを飲んでいたゼルガディスが突然コーヒーを吹き出した。
理由は分からないけど、その賢者となにかあるのだろう。
あとで、聞き出しちゃる。
「緋色の賢者が……ここに来たのか?」
明らかに動揺している。
平然としているように見えるが、声は動揺を押し殺そうとしているが、押し殺せてはいなく動揺が伝わってくる。
「ええ。と、話を続けますが、その幽霊を退治しては貰えませんか?
お礼はきちんとお払いしますから」
あたしの計画ではここで、やりません。という一言を口にしてこの場所から離れるつもりだった。
アメリア辺りが突っかかってくると思ったから一応は反論の言葉も用意しておいたのだが、まさかゼルガディスが言うとは思っていなかった。
「分かった。その依頼受けよう」


         CLEAN UP


「ねぇ〜、何で依頼受けちゃったのよ〜」
ここに来たのはグルメツアーの為だったのにぃぃ〜〜!
「後片付けだ」
「後片付け?誰のですか?」
「緋色の賢者のだ」
緋色の賢者ねぇ〜……。
ゼルの知り合いって見当つかないのよねー。
例えばその辺りにいるへんてこな生物とか?(冗談だってば)
「緋色のなんとかってゼルの知り合いなのか?」
「ああ。正確に言えば義理の妹だ」
義理の妹!?まさか、レゾが手を出して出来た隠し子とか!?
「リナ。一応言っておくが、レゾの知り合いのラル様という方の義理の娘だ」
っち。見抜かれてやんの。でも、義理ばっかり。
「ねぇ、本当の親は誰なの?その緋色の賢者の」
「さぁな。昔の記憶は一切失っていたから分からない」
記憶を失っていた……か。
結構可哀相な子ね。でも、そこから賢者になれるほどの知力と魔力の持ち主っていうのも凄いわね。
「お名前はなんて言うんですか?」
「シャーリック=イルード=マティリナス。
何故だかシャーリックと呼ばれるのが気に入っていなかったが、俺はティスと呼んでいる」
ティスか。一度会ってみたい人ナンバーワンね。
だってさ、あのゼルの知り合いよ。会ってみたいじゃないのよ。
しかも、女の人よ。くぅ、会ってみたい。何処か出会えることを願ってるわ!ティス!
「あ、おい。洞窟が見えてきたぞ」
思ったんだけど、洞窟であたし達は霊を封じ込めるのよね?どうやるの?
って、こういうのはアメリア専門よね〜。
「ねぇ、アメリアちゃぁん。どうやってここの霊達を封印するのかなー」
「そうですね。一般的にお祓いなどをしても現れると思うんですよ。
ですから、なにかに封印してその上から結界を張れば完璧だとおもいます」
なにかに封印ねぇ……。
あ、そうだ!
「ねぇ、アメリア。これなんか、どう?」
手渡して渡すものはある結構高値の像。アメリアならば多分分かる代物の筈。
しげしげと見つめ、ぽんっと手を一つ打った。
「これオリハルコンじゃないですか!
一体何処から盗ってきたんです!?」
「そりゃあ、盗賊団のお宝の中から…………って、なに言わせんのよ!!
自分の持っていたものに決まってるでしょ!」
「あやしいですぅ」
じーっとじと目であたしのことを見てくる。この子、あたしを悪人か何かと間違えてないか!?
このあたし、可憐な美少女リナ=インバースをどう見たら悪人に見えるのだろうか?
「というのは冗談で、オリハルコンでは霊を封印することは出来ませんよ」
「なんですってぇ!?冗談!?」
首を絞めてやれ!首を絞めちゃれ!
「ろ、ロープ、ロープ」
どっから出したのか、足をロープに引っかけながら言うアメリアを見て、しょうがなく手を離した。
「今度冗談言ったら呪文でふっ飛ばすからね」
「ふ、ふぁい」
首を擦りながら答えるアメリア。
そして、今の発言が本気だと直感的に悟ったのか、汗を流しながら早口で言っていく。
「あああ、あのですね、オリハルコンは元々魔力を封じるものであってぇぇ、幽霊など精神体を封じることは出来ないんですぅぅぅ!」
「じゃあ、どうやって封印をする?」
「こ、こここれを使えば大丈夫だと思いますぅぅ!!」
半泣き状態で慌てて出したものはなにかの石。
この情報通のあたしでも知らないもの。なんの石だろ………これ。
「これはですね、聖跡石といって聖なる力を持つ石なんです。
その名前の通り聖なる力を吸収して奇跡を起こす石でして、これに霊を封じれば壊れたりしない限りは出てくることはありません」
ふぅ〜ん。結構凄い石なのね。
「でもさ、そんな石手放しちゃっていいの?珍しいんでしょ?」
「別に珍しくありませんよ。私のアミュレットにも使ってあるものですから」
「話はまとまったみたいだな。じゃあ、行くか」
今まで参加してなかったガウリイが美味しいところだけを持っていく。
なんかまともじゃないくせにこういう所だけは持っていくのよね。
ま、いっか。
「じゃあ、いきましょ!」
あたし達はその洞窟の中へと足を踏み入れた。



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7382CLEAN UP中編桜井 ゆかり E-mail URL2001/9/23 00:59:38
記事番号7381へのコメント

中編です。あと、1個っ!
では、どうぞ。




「烈閃槍(エルメキア・ランス)!!」
パシュ!
あぁぁぁぁ!!きりがないったらありゃしない!!
「アメリア!一気に浄化しちゃってよ!」
「そんなことしたら魔力がゼロになっちゃいますぅ!」
「いいから早くやれーーーーー!!」
「いやですぅぅぅ!」
ちっ。使えない奴め!
でも、冷静に考えて、アメリアに浄化結界(ホーリー・ブレス)を使わせればあとで苦しむのはあたし達なのよね。
だって、この術は1日1回が限度だもん。
それ以上魔力を使わせたらアメリアが死んじゃうもの。
「リナ、それ以上アメリアをからかうなよ」
「ちぃ、ばれてたか」
「遊んでたんかい」
「ひどいですぅ〜」
「嘘に決まってるでしょ!ほら、次の団体さんが来たわよ!」
次ぎから次ぎへと現れるゴースト。こんな洞窟内で派手な呪文なんぞを使ったらこれこそあたし達が生き埋めになる。
だから、霊王崩爆旋(ガルク・ルハード)も使えないし、螺光衝霊弾(フェル・ザ・レード)も無理、呪霊四王縛(アストラル・ブレイク)なんぞも使えない。
うぉし。これが終ったら盗賊に八つ当たりに行くか!
「浄化炎(メギド・フレア)!」
淡い炎がゴースト達を包み込んで浄化する。
その範囲内の外にいたゴースト達はガウリイとゼルの剣で真っ二つ。
いや〜、なんにもしなくていいっていいわねー。
アメリアとゼルだって、凄く幅広い術の文献を持っているし、中級魔族でも十分相手に出来るぐらいの実力を持っている。あたしよりは劣るけどね。
ガウリイは脳みそがクラゲだけど、あたしより剣術は使えるし、しかも、超一流。あたしの背中を守れるのはコイツだけね。
「さ、次ぎが来ないうちにここを抜けるわよ!」
あたし達は次ぎが来る前にダッシュでその場所を通り抜けた。



ぴたり。
2人のうちの1人がその場で足を止めた。
緋色の短い髪に同色の細い瞳、耳に黒パールのピアス。服装は神官の服で手をすっぽりと隠している。軽い素材で出来ているらしく、風に靡く。下はロングスカートを着ていてふわりとした感じを醸し出している。
年は18歳ぐらいの女性にしか見えない。そして、凄く綺麗な女性。
「どうしたのよ?マティリナスちゃん」
もう1人が女性、マティリナスに話し掛ける。
肩よりも少し長いオレンジ色のストレートヘアーに蒼い瞳。
長袖の服にズボンという動きやすいカッコの女の子。
ぱっと見れば10歳くらいで、横に狼を従えている。
「ゴースト……!」
マティリナスは女の子の質問などまるっきり無視するように前を見据えてぽつりと呟いた。
「ゴースト?」
「ミル、ざがってなさい!」
マティリナスはそう言うと、女の子、ミルの服の襟首を掴んで後ろへ投げてから呪文を唱え始める。
「螺光衝霊弾(フェルザレード)!」
光の帯が直線ではなくぐにゃぐにゃと曲がりながら何匹かうろついているゴースト達を瞬時に消し去ってしまう。
「これは一体…………」
前にこの国へ来た時はこんな現象など起きていなかった筈。
「ゴーストが太陽が出てくる時から出てくるなんて、呼び出した人の腕がいいのかもしれないよ。ね、リッチィア」
くぅん。頭を撫でられ、狼は尻尾を降り始める。
これではまるっきり犬そのもの。
ミルの能力。その前にはクマも狼も鳥までも従ってしまう。何万、いや、何百万人に1人の人間が授かる珍しい能力。獣を自由自在に従わせてしまうことが出来る獣使い(ビースト・マスター)。ミルもそんな1人なのだ。
だが、その能力のせいで村を追われ、このマティリナスと出会った。それから共に旅を続けているものの、ミルがマティリナスの側に付いているのにはもう一つだけ訳があるが、今は話せない。いや、話す時が来たならば命令が下る筈だから。
「……ランド公国へ行って、聞かせてもらいましょう。今のこの国の状況を、ランド王に」
「あたちね、王城へ行ったらあれ食べたいよ。ほら、ここの名物の何とか焼き!」
「……イウバラッドの香草焼きです。私はなにがあっても絶対にあれだけは食べませんから」
「分かってるよ〜。マティリナスちゃん偏食だものよ」
「ミル」
「はいよ!」
ピューっと指笛を鳴らすミル。すると、大きな鳥がこっちへと向ってくる。
巨大な体を持つ鳥で武器は羽ばたきで起こる風。その正体はロック鳥。
ミルは背中に乗っかり、マティリナスは足を掴み、ロック鳥にランド公国の近くまで連れていってもらう。
2人がこの国の事情を知るのはもうちょっと後だ。



へぇ。大きな空洞。
今までの細い通路とは違って人の手が加えられているのは明確。
もしかすると、この事件は─────
「おい、リナ。気付いてるか?この空洞が」
「人によって作られたってこと?」
「いや、それもあるが、ごく最近に作られたものだ」
なんですって!?
ごく最近?ということは、これを作ったものの狙いって一体なに?
「もしかして、誰かがここに住んでるんですか?」
「多分、今回のゴースト騒ぎの犯人が、ね」
「犯人?自然に発生したゴーストじゃなかったのか?」
し、自然にって……この辺は墓場じゃないんだから、そんな事があるわけないでしょーが!
「いいですか?ガウリイさん。幽霊というのには2種類あるんです。
1つは、悪霊といって悪い霊のこと。もう1つは死霊といって死んだ後の魂のことです。元々ゴーストになるのは悪霊のほうが多いですが……
ですから、自然に発生するものではないんです!人が死んだりしない限りは」
そうそう。ガウリイに説明しても3歩あるいたら忘れるんだけどね。
なかなか真面目な奴よねー。アメリアも。
「でもって、死霊術士(ネクロマンサー)と呼ばれる者に作り出された場合は普通のゴーストとは少し違うらしいが、俺達は専門ではないからな。そこまではわからん」
あったのか……?ゴーストどもに違いが…………ι
つーか、専門の奴でもわからんと思うぞ……。あたしは。
「私にはよくはわかりませんが、つやが違うとか色が違うとかいろいろとあるみたいですよ」
アメリアが説明を加える。
でも、わかる奴もすごいよ……尊敬は絶対にしないけど。
「じゃあ、犯人の所でも行きましょうか」
鮮やかに言い放ってあたしは先陣をきって歩き出す。
さぁて、この犯人。覚悟しなさいよ!



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7383CLEAN UP後編桜井 ゆかり E-mail URL2001/9/23 01:05:56
記事番号7381へのコメント






あたし達が進んだ先の大きな空洞に1人の男が現れた。
あれが、このゴースト騒ぎの犯人ね!
「見つけたわ!この国を荒らしているゴーストの召喚者!」
「いかにも!」
ふ、そんな事言ったって……って、ちょと待て。
今認めなかったか?素直に……。
「素直に認めたら悪人としてのセオリーに反してます!
悪人は最初は自分の罪を絶対に認めないものなんですよ!!」
あたしが言いたいのはそんな事じゃないーーーっ!
心の中で叫びつつも、言葉として発することが出来なかった。
「いいですか?大体、そう簡単に認められたのならば探偵などという職種は要らないじゃないですか!きちんと考えて行動を────」
ドキャ!
「お前こそ、きちんと行動を考えろッッ!!」
もっと言ってやれ!ゼル!
「おい。お前も早く話を進めないからこうなるんだ。
コイツは抑えておいてやる。早く話を進めろ」
抑えておくだけ?本当にアメリアには弱いのね……ゼルちゃん……
「主等が我を倒せると思ったら大間違いだぞ!
我が名はフィリップ=マンティンス。ゴースト召喚者として名前を連ねる1人じゃ」
ゴースト召喚者として名前を連ねる〜〜〜?
でも、有名ならあたしの耳にも届く筈だけど……聞いたことない名前ねー。
「と、来年辺りまでには有名になる男じゃ」
ドシャガッ!!!
フィリップ。そう名乗る男の言葉にあたし達は一斉にこけた。
皆さんも、今あたし達がこけた理由ならば分かるだろう。もちろん、コイツの言ったことが恐ろしく現実的ではないこと。単に誇大妄想家だろう。
こういった性格を持つ奴って思い始めたら何処までだって突っ走るタイプなのよねー。
「という冗談はこれくらいにして、主等は何故ここに訪れた?」
「おのれがゴーストをバシバシ召喚するから街が迷惑被ってるのよっ!!さっさと、ゴーストしまいなさいよ!」
上から睨み付け、脅す。こうすることによって相手への恐怖心を一層煽ることが出来るのよねー。
「ということは、主等が我を止めに来た───」
そこで一旦言葉を止める。ということは自分の状況が把握できったってことかしら?さぁて。改心したのかなー?
「なっっんという事をしてくれたのだ!これでは彼奴が来ないではないか!!」
ンな事あたし達が知るかぁぁぁぁぁっ!!
などと叫びたかったのだが、自制心で押え込む。
ま、こんなところで怒り任せに呪文使ったら洞窟が埋もれちゃうからね♪
前みたいに森を焼いただけで賠償金を払わされたこと根に持ってるのよ。今回も同じ事を繰り返さないようにしているのは、我ながら凄いことだと思ふ。
「そいつの名前、シャーリック=イルード=マティリナス…か?」
ゼルにしては珍しく自分からモノを言う。その、ティスという女性になにか思い入れでもあったのだろうか?義理の妹という以外に。
だけど、余計な詮索しててもしょうがない。後でたっぷり聞くわよ。ゼル。
「なっ!なんでお前が知ってやがるっ!!
はっ、さては何処かに隠したなっ!」
「隠すか!」
もしかして、こひつ、その賢者を呼ぶ為だけに性格も変えて、ゴーストをただただ呼び出したってわけ?
ということは、さっき名乗ったフィリップというのも、偽名──ね。
あたしが冷静に判断しているのに、後ろではガウリイとアメリアが自分には関係ない事だとばかりに座って話を始めている。
……そーいえば、これを受けたのもゼルなんだから、考えてみるとあたし達が関わる必要ってこれぽっちもないのよね。
口論をしている男2人を見ながら、着実にガウリイ達の話し合いにでも参加しようという気になっていた。
そこに、高々と響く女性の声。幾分かの怒りが入っていたのは気のせいではなさそうだ。
「リチャード。貴方は一体何をしているのです?」
「ティ、ティス」
「マティリナス様!」
ふん。この人がシャーリック=イルード=マティリナスか。
ゼルの知り合いだって言ってたから同じようなキメラかと思ったけど違ったようである。
耳のちょっと下辺りで切り揃えられた緋色の髪、真っ直ぐと前を向いていられるような強い輝きを宿した緋色の瞳。あたしよりも小さく、黒い輝きを宿したイヤリングをつけている姿はあたしよりも2、3歳上ぐらいに見える。
服は割とシンプルに神官用の使ったようで、手の先まで隠れるほどの長い軽装服、長く、そしていて戦闘に邪魔にならないように創られたとしか思えないスカート。威厳を現わすかのように前につけられているプレートは軽くて丈夫な板にも見えなくない。マントは何故か真ん中に切れ目が入っており、先の方は2つになってしまっている。
殆ど組み合わせはバラバラ。だけど、異常に似合っている。それに、神秘的なイメージを醸し出し、見ているこっちがくらくらしてくる。
「あぁぁぁ。会いたかった───っ!!」
普通反対じゃないの?と質問したくなるようなシーン。こういうのは男からじゃなくて、女から言うものだとあたしは思うんだけどなー。
あたしの後ろではもう2人は固まってしまい動かない。あのティスのイメージにやられてしまったのだろうか?
ゼルなんか無言を決め込んで見守っているだけ。
近寄るフィリップ、じゃなかった、リチャード。ティスは腕を組みながら呆れているように見えた。どう見ても、感動の再会────なんかじゃない。

がぶ。

と、突如洞窟に入ってきた狼に頭を齧られるリチャード。頭を振っても振っても離れてくれない。
あー、牙が痛そ。だけど、そのままやっちゃえ。狼!
ん?狼。まてよ。あの人もしかして獣使い(ビースト・マスター)!?
「いやー、危なかったよ。マティリナスちゃん、大丈夫よ?」

「はぁ。大丈夫ですが、どうして私の周りってこういう人たちに溢れているのでしょうか?ねぇ、お兄ちゃん」
ため息を吐きながら言うティス。その目線の先には小さな女の子。オレンジ色の髪の毛を肩に掛かるぐらいで、小さなショルダーガードでマントを着けている。服装はその辺りの村の人たちとさほど変わらない村娘風。
アメリアに劣らずのくりくりした碧の瞳がこちらを向く。
この子があの狼をここへ呼び寄せた張本人なのだろう。獣使い(ビースト・マスター)。一度その能力を持っている人に会った事があったけど、その人は自分の能力を確信しすぎて動物が暴走することが何度もあったが、この子は狼を完全に操っている。
「リチャード、早くしないとリュート君が頭をかみ切っちゃうよ」
リュート君………あの狼の名前、よね?
あたしはリチャードが狼を振り落とそうとしている場面をお茶を啜りながら見ていた。
だって、あたし達は必要ないみたいだし、暇だからアメリアが煎れたお茶を啜ってんのよ。
「なぁ、ティス。アイツは一体なんだ?」
「ミル=グランド。私の旅に連れて来た巫女です。
でも、見た通り獣使いの能力を持っていますが、私と同じで扱いきれないものです」
ずずずぅ……。
ふーん。扱いきれない能力。
でも、あの狼完全に操られているような気がするのは気のせいじゃないわよね?どこが、“扱いきれない能力”なの?
「ミル、リュート君をリチャードの頭から離してやりなさい。これじゃあ、話も聞けませんし、こちらの話も聞いてくれそうにありません」
「…分かったよ。リュート君戻っておいでよ」
この子、言葉の最後に『よ』を絶対に付けるのね。
ミルちゃんの言葉に反応して戻ってくるリュート。獣使いに操られてると犬同然ね。野生の狼も。
リチャードから離れたのはいいんだけど、歯形がきっちりついてて血がダクダク流れてるんだけど?大丈夫かな?
「さて、リチャード。聞きたいことがあります。答えて頂けますね?
何故、私がヘキサグラフを封印した腹いせですか?」
その腹いせで本当にやられてたら、本人としてはたまったもんじゃないわよ。
でも、ティスって全然感情を見せないけど、どーして?
「アンタに会いたかっただけだ」
ペシィッ!
何処から出したのかは知らないないが、左手に持ったレイピアの鞘でリチャードの頭を叩く。
そして、そのレイピアはティスの右袖の方へと消える。あんなところに剣を隠してるのかぁ。確かに、剣が腰に掛かっているか、掛かっていないかで人を判断する奴もいるし、なにより賢者なんだから剣なんか持っていないのが当たり前なんじゃないの?
「霊縛符(ラファス・シード)」
相手の精神に働きかける魔法。残念ながらあたしには使えない。
覚えてもガウリイには絶対に効かないからだ。
昔はこれを覚えて食事合戦の時に使って、捕まえておこうと思ったのだが、魔法の説明文を読んでガウリイには効かないことを知って涙した。
なんにも考えていない奴には効かないそうである。
「さて、役所へ突き出しますか」
「げげっ!マティリナス様っ!それだけはご勘弁をっ!!」
「それじゃあ、ここに放置しましょう。
その後、私達がここに魔法を放ち、生き埋めになっても知りませんが」
「役所までご同行させて頂きます」
宜しい。これで、礼金2重取り確実。うふふ♪
「おーい、リナぁ。大丈夫か?」
「気にするな。金銭に目が眩んでいるだけだ」


かくしてあたし達はリチャードを役所に突き出し、少しばかりの謝礼を貰い、この依頼を受けた人からの礼金も貰った。
ほくほく顔でこの街を出ようとして気が付いた。
「ああ────っ!!グルメツアー!」
「グルメツアー?」
「そうよ。ここに来た目的はグルメツアーだったのよ!ティスも一緒に行かない?ここのグルメツアー」
「マティリナスちゃん。一緒に食べに行こうよ」
「……ミル、一体何を呼ぼうとしてるのです?」
「勿論、動物さん達を……」
おぃおぃおい。何処が『動物さん達』だって!?何処からどう見ても怪物の大軍じゃないっ!!
これがミルちゃんの扱いきれない力!!??
「後片付けは私ですか。
天よ、地よ、すべての精霊よ、我に力を貸し、我が魔力を強化させよ。
螺光衝霊弾(フェルザレード)!」
魔力強化!?増幅呪文じゃないのに威力が上がってる!
ドガバァァァァァァンンッッッ!!
「凄いっ!どうやったの!?」
「私の魔力は扱いきれないほどの力を秘めてます。それをなんとか強化させて自分の持てる最大限の力を引き出しているんです。
だけど、欠点もあります。1日1回が限度なんです。魔力強化」
………………ということは。
ルガァァァァッ!
うひぃぃぃぃっ!!
「皆様っ!お逃げ下さい!」
あたし達は走るしかない。ここを出てからじゃないと強力な魔法は使えない。
ランド公国領を出て、呪文で一掃した。

あーあ。あたしのグルメツアーがおじゃんになちゃった……。
これも、あれを呼び出した張本人が悪いっ!
「り、リナ様?」
あたしの気配に感ずいたのかティスが小さく悲鳴を上げる。
後ろで3人に押さえられてても呪文は使える。
「黄昏よりも暗き存在
血の流れより紅き存在
時の流れに埋もれし偉大なる汝の名において
我ここに闇に誓わん
我等が前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを……」

「群霊覚醒呪(ネクロ・ヴード)」
なっ!印を結ばないで立ったままの状態でゾンビを呼び出した!?
だけど、もう遅いっ!あたしの呪文は完成した。
「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!!」
ルドガガガガガァァァァァンッッ!!
これだけの魔法を放てば、あの2人も何処かへ飛ばされてるでしょうね。
「う〜ん。残念賞でも差し上げましょうか?リナ様」
声は上空から。あの鳥はロック鳥。そうか、獣使いの力であの鳥を呼んで空に逃げたのか。ちぃっ!
「あの術を防ぐのは出来ませんから上空に逃げさせてもらいました。
では。また今度。お会いするのを楽しみに待たせてもらいます」
そのまま鳥に乗って何処かへ。
あーあ。グルメツアーもなくなっちゃったし。
「次ぎの街行こうか」
「そうだな。次のまちには美味しいものがいっぱいあるかもな!」
「そーよっ!ほらほら、行くわよ!ゼル、アメリア!」
あたし達は次なる街へと歩き出す。


追伸。あの時開けた1つの穴は誰かが埋めたそうである。



さて、これでお終い。では、またこんど。

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7384Re:おわっ!?いつの間に!?かお E-mail 2001/9/23 01:31:53
記事番号7383へのコメント

こんにちわ♪
そーいえば、ゆかりさんには始めてレスつけますよねー・・。私。
チャットでは何回かお会いしてるのに・・・。
一体、いつ、投稿したんですか!?
さっき、この時間、チャットに参加してたじゃないですか!?
たまげましたのです。
今度は読みきり(?)なのですね♪
どちらかといえば、スペシャルののりなのかな?この話は??
ゼルとシャーリックの関係って・・?気になります・・・。
あと、話は変わりますけど、
この前のフィンちゃんの話・・・続き書きません?
あ、でも、リレー小説に出てくるんでしたっけ?彼女?
では、感想にもなってませんが、感想なのでした(笑)
それでは♪

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7389Re:おわっ!?いつの間に!?桜井 ゆかり E-mail URL2001/9/24 17:12:00
記事番号7384へのコメント

かおさんは No.7384「Re:おわっ!?いつの間に!?」で書きました。
>
>こんにちわ♪
>そーいえば、ゆかりさんには始めてレスつけますよねー・・。私。
こんにちわです。かおさん。
私もかおさんのパロにレス付けたことありませんね・・。そーいえば・・・。

>チャットでは何回かお会いしてるのに・・・。
そーですよね…。あんなに話してるのに…。

>一体、いつ、投稿したんですか!?
>さっき、この時間、チャットに参加してたじゃないですか!?
あぅ。そういえばチャットしていた記憶もちらほらと…(待て)
もしかしたら、私がアルツハイマーかも……(汗)

>たまげましたのです。
>今度は読みきり(?)なのですね♪
でも、これって裏話みたいなものですね。ギャグにしたのはなんとなく。シリアスバージョンは書いていたけど断念した。

>どちらかといえば、スペシャルののりなのかな?この話は??
あんまり気にしてはいませんでした…(汗)
すぺしゃるのほうは持ってはいないので。

>ゼルとシャーリックの関係って・・?気になります・・・。
過去話でも書きましょうか。そのうち(こら)

>あと、話は変わりますけど、
>この前のフィンちゃんの話・・・続き書きません?
ありますよ。続き。
だけど、書き途中。題名考えてませんけど、副題はフィンの逆襲(笑)みたいなものですね。

>あ、でも、リレー小説に出てくるんでしたっけ?彼女?
そうです。出て来ます。但し、悪役(泣)←自分で魔族候補に出した。
ある奴を人魔にしたり、村人殺したり、悪逆非道の限りを尽してます。結構残虐だけど、反面こんな性格も持っているという。

>では、感想にもなってませんが、感想なのでした(笑)
>それでは♪
分かりました。感想としてありがたく受け取っておきます。
ありがとうございました。とりあえず、次のやつは下のフィン達5人の旅の続きですね。
楽しみに(無理を言うのはよそう)待ってて下さい。

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7427気づけば貴方は羽ばたいて・・・なんてね紗希 2001/9/30 17:44:18
記事番号7383へのコメント

桜井 ゆかり様、お久しぶりで御座います。
この前は、どうもすいませんでした!
私のミスです(泣)
・・・って、これは感想になってませんね。
すいません・・・(謝ってばっかりですね)

小説書ける方って、私羨ましいですよ。
私、書こうと思っても思いつかないんですよね〜。
何で長編が出来るんだろうか・・・?
私が短絡思考なんだろうか?
書くコツとかって、何かあります?
(偉そうですね、すみません(汗))

あと、桜井ゆかり様。
私の考えた詩なんですけど、もしご迷惑でなければもらっては頂けないでしょうか?
お詫びのしるしに・・・

以上、紗希でした。

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7429ぱたぱたぱた(待て)桜井 ゆかり E-mail URL2001/9/30 23:21:30
記事番号7427へのコメント

紗希さんは No.7427「気づけば貴方は羽ばたいて・・・なんてね」で書きました。
>
>桜井 ゆかり様、お久しぶりで御座います。
お久しぶりですー。
で、ちょっと気になったんですけど、『様』は抜かして下さい。
いい気分しないんで。
皆さん『ゆかりん』って呼んでますからゆかりんでいいですよ。それか、他に呼び方考えてもいいですし。

>この前は、どうもすいませんでした!
>私のミスです(泣)
>・・・って、これは感想になってませんね。
>すいません・・・(謝ってばっかりですね)
あ、大丈夫ですって。そんなに気にしなくて結構ですよ。


>小説書ける方って、私羨ましいですよ。
>私、書こうと思っても思いつかないんですよね〜。
いや、私も普通に思い浮かびませんよ?
夢を見てもすぐ忘れますし。
とりあえず、図書館から面白そうなファンタジー系の本を借りてきて読んでネタになるものないか探してます。(自分の趣味が読書なので結構暇つぶしになるし)


>何で長編が出来るんだろうか・・・?
>私が短絡思考なんだろうか?
うーん。それはよく分かりませんけど、私も意識しないと長引くんですよ。
だから、最初と最後をしっかり決めて中の内容をちらほらと決めて書けば──長編になるんですよね……(汗)

>書くコツとかって、何かあります?
>(偉そうですね、すみません(汗))
えっと……えっと……(悩)
短くするように努力する!(待て。アドバイスになってないっ!)


>あと、桜井ゆかり様。
>私の考えた詩なんですけど、もしご迷惑でなければもらっては頂けないでしょうか?
>お詫びのしるしに・・・
>以上、紗希でした。
分かりました。メールで送って下されば読みますよ。でも、感想を送るのに時間が掛かると思いますがいいですか?
紗希さんのも読みますけど、他の人のも何作か来てるんですよ。だから、出来るだけ来た順に読みたいんですね。
それでも宜しいなら貰いますが?

では、桜井 ゆかりでした。

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7444またまた詩です。桜井 ゆかり E-mail URL2001/10/4 22:14:38
記事番号7381へのコメント

どうやら、皆様のを見て、本当に詩にはまってしまったようです。
もしかしたら、いろんな話が終った後に詩を書くかもしれない…(汗)





こちらを見てくれないくてもいいです。

貴方が誰を見ていようと関係ない。

ただただ、自分の思いをぶつけても仕方がない事だから。

無理矢理気持ちを押し付けても良い事はない。

でも、それは自分の気持ちを押さえつける為の言い訳。

本当はこちらを向いて欲しい。



みゅぅ。これ詩か?(こればっかだね。私)

では、また今度。
次ぎはなにを書くか決まってませんけど、また見てくださると嬉しい限りです。

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7455迷路はいつか抜けていく・・・紗希 2001/10/7 18:25:06
記事番号7444へのコメント


>どうやら、皆様のを見て、本当に詩にはまってしまったようです。
>もしかしたら、いろんな話が終った後に詩を書くかもしれない…(汗)
「はまった」ってだけで書けるなんて凄い・・・

>みゅぅ。これ詩か?(こればっかだね。私)
はい、詩です!
そんな事言ったら私は駄目ですよ!

>では、また今度。
>次ぎはなにを書くか決まってませんけど、また見てくださると嬉しい限りです。
はい、今度ですね☆
また見ますよ☆頑張って書いて下さいね?
あと、貴方宛に詩を書きますね(詩しか知らないんで・・・)
ではまた・・・

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7457あの空の果ての何処かで・・・。桜井 ゆかり E-mail URL2001/10/7 22:49:01
記事番号7455へのコメント

紗希さんは No.7455「迷路はいつか抜けていく・・・」で書きました。
>
>
>>どうやら、皆様のを見て、本当に詩にはまってしまったようです。
>>もしかしたら、いろんな話が終った後に詩を書くかもしれない…(汗)
>「はまった」ってだけで書けるなんて凄い・・・
なんというか、アメリアと境遇が似てるからでしょうかね。
今、待ち人来ないって感じですから。

>>みゅぅ。これ詩か?(こればっかだね。私)
>はい、詩です!
>そんな事言ったら私は駄目ですよ!
自分で言ったら駄目ですって!
でも、詩だと認めてくれてありがとう♪

>>では、また今度。
>>次ぎはなにを書くか決まってませんけど、また見てくださると嬉しい限りです。
>はい、今度ですね☆
>また見ますよ☆頑張って書いて下さいね?
なんとか頑張ってますけど、掛け持ちのし過ぎで疲弊してます。
だけど、苦労のかいあって3話まで出来上がりました。(かなり暗いし、アメリアがちょっとしかいない)

>あと、貴方宛に詩を書きますね(詩しか知らないんで・・・)
>ではまた・・・
楽しみにしていますね。
そうしたら感想を速攻で書きに行きますから。