◆−THE DARK SIDE OF THE MOON 5−ねんねこ (2001/10/10 09:56:21) No.7467
 ┣目的の為なら嘘泣きもッ!(待て)−むくぅ (2001/10/10 16:57:45) No.7470
 ┣続きが気になるお年頃−久遠安宿 (2001/10/11 16:04:25) No.7482
 ┣そうだったのかシーちゃん……!!−九条みすず (2001/10/16 21:07:02) No.7535
 ┣お久しぶりでございます。−水無月弥生 (2001/10/17 16:25:20) No.7539
 ┗あははもうすぐ落ちそうなのにすいません(待てない)−安井/あしよし (2001/11/2 12:41:42) NEW No.7682


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7467THE DARK SIDE OF THE MOON 5ねんねこ E-mail URL2001/10/10 09:56:21



 おひさしぶりですvねんねこです。忘れ去られている気まんまんですがvv(泣)
 お待たせしました。というか待っててくださった方がどのくらいいらっしゃったのかいと不安になりつつ、第5話を引っさげてやってまいりました。どうやら1つのツリーに2話しか投稿しないつもりらしいです。
 …………………………………………さっさと書け。自分。
 はじめましての方は著作別に過去のお話がありますので、そちらの方を読んでからの方がお話を楽しめるかと思います。
 ちなみに冗談抜きで平然とオリキャラが主役はりつつある話ですので、お時間がある方は他のお話も読んでくださるとクーちゃんは青いやつではなくて黒髪の女ったらしなんだとか、「うさぎもどき」というのはねんねこの話の中ではパパりんのことだったりするのだ、とか。パパりんの本名、実はウィルフレッドだったのね、すっかり忘れてたわ、とか(待て)いろいろわかる部分もあって、よりわかりやすくなるのではないかと。
 ……なにが言いたいのか段々わからなくなって来た(汗)

 なんとなくガウリナ風味vとかいっておきながらほとんどまったくガウリイもリナも出番がないというすかぽんたんな話ではありますが(汗)少しでも楽しんでいただければ幸いです。ちなみにさりげなくゼルアメ風味らしいです。
 ではでは、金髪くん、どこいった(爆死)の「狂気(日本語訳済み)」第5話。最後までお付き合いくだされば幸いです。


**************************************************************************************



 フィリオネル=エル=ディ=セイルーンが≪竜神の聖杯≫盗難で慌てたのは、なにも聖杯が王宮神殿の御神体だったから、という理由だけではなかった。




「貴殿がセイルーン王宮神殿から盗み出した≪竜神の聖杯≫の速やかな返還を要求する」



 ウィルフレッドのその言葉に、ディリオスの顔がわずかに強張った―――が、あくまで彼はそれを隠すつもりらしかった。まともにウィルフレッドの顔を見ずに視線を外し、僅かに震える声でなんとか言葉を吐く。
「な、なにを言っているのだ? 私はそんなもの持ってなど―――
 だいたい、そんな物を私が持っていてなんの利得がある? 知っているだろう―――私が自分の有益にならない物は持たないと―――」
 ディリオスの必死の言い訳もウィルフレッドにとってはつまらない戯言でしかなかった。右手をあごにあて、右肘を左手で抑える。なにかを考え込むような仕種で、だがしっかりと視線はディリオスに向けたまま彼はディリオスの言葉を続けるように口を開いた。
「そう。確かに≪竜神の聖杯≫自体は君が持っていてもなんの役にも立たない、ただの杯―――
 だが君の本当の狙いは≪竜神の聖杯≫などではないんだろう?」
 そこで言葉を切り、ウィルフレッドは目を細めて口元に笑みを浮かべた。人の心を見透かしたような絶対零度の冷たい微笑。鋭い視線に射抜かれてディリオスは身体の震えを止めることができなかった。
 レックスが傍観する中、ウィルフレッドは断定するように言った。
「君の本当の狙いは“≪竜神の聖杯≫がなくなったセイルーン”なのだろう、ディリオス」



 ―――ほんの一瞬だが……ディリオスは自分の心臓が止まったような気がした。







「セイルーン乗っ取り!?」
「しっ! 声が大きいですよっ!」
 彼女の口から出た言葉に思わず素っ頓狂な声を上げたゼルガディスにアメリアは顔を顰めながら小さく叱責した。
「す……すまん」
 あまりに突然の告白に取り乱したのが恥ずかしかったのかわずかに顔を赤くしながら謝罪してくるゼルガディスにさして気にしない様子でアメリアが小さく息を吐いた。もうほとんど地平線に沈みつつある夕日を窓に寄りかかって眺めながら、言葉を付け加える。
「セイルーンにとって≪竜神の聖杯≫はなによりも大切なものでした」
 白魔術都市―――などと形容されるセイルーン・シティが町全体が特殊な形をしていることはセイルーンを訪れたことのない人間にでも知られているほど有名な話だった。
 破邪の魔法陣―――六芒星を形成するように張り巡らされた城壁。そしてその中心にあるセイルーン王宮と王宮神殿。
 王宮神殿が建てられている場所はまさに城壁を使って張られた六芒星の中心だった。
「聖杯(あれ)が本物かどうかが別としてですけど、竜神の聖杯というのは魔力を増幅する役割があったらしいです」
「それを六芒星の中心に置くことで結界をより強固にして外からの不浄なものを防ぐ、というわけか」
「ええ、そうです」
 ゼルガディスの言葉を肯定するようにアメリアは肩をすくめた。
 フィリオネルが≪竜神の聖杯≫盗難で慌てたのは、なにも聖杯が王宮神殿の御神体だったから、という理由だけではなかった。
「本当に六芒星の結界が強化されているのかどうかはわかりかねますけどね。
 最近多発している人間が起こしたにしては不可解な事件、そして下級魔族の出現。世界も平和とは言えなくなって来ているこの御時世ですから、いつ街に下級魔族たちが襲ってきても不思議じゃない状態。
 加えて我が国の戦力は―――」
 言いかけて彼女は顔をしかめた。自分の国の弱点など本当は口にしたくはない。平和主義を掲げている以上、必要以上の兵力をもってはならない―――これに対して不満などありはしない。だが、時には最低限の兵力しか持たないことが国の弱みになることも、ある。変えようの無い事実に咳払い一つして、アメリアは続ける。
「―――我が国の戦力は魔族に対してはほとんど無きに等しいもの。魔族に襲撃されて国が混乱している時に他国に攻め入られたら……」
「簡単に落とせるというわけか」
 アメリアの言葉を続けるようにゼルガディスがぽつりと呟いた。
 裏の世界で暗躍していた時のコネを使って裏の情報を得るクラヴィスと同じく、アメリアもまた王族の特権を利用して公表されていない裏の―――特に国家に関係した―――情報網を握っていた。そこから得られる情報は一般人にとっては役に立たないが、王族にとっては大いに役立つ時もある。
 自分の国から聖杯が奪われて、しかもこの街の領主の差し金である可能性が高いという情報が彼女の耳に届いたのがここにきたいと駄々をこねた前日。
 聖杯が盗まれてから一週間以上―――今までのセイルーンの六芒星の結界が本当に聖杯の力で強化されていたのならば、聖杯の力を失った今、結界の力も弱まっているはず。もはや時間の猶予はない。
「だからなんとしてでも取り戻さなくちゃならないんです。一刻も早く」






「あー……お話し中のところ申し訳ないんですけどねぇ」
 沈黙に包まれた部屋に響いたのは黙ってことを見守っていたレックスだった。
 ディリオスとウィルフレッドの間にゆっくりと割って入り、青ざめた顔をしている主人を一瞥して、視線をウィルフレッドに向ける。
「この通り、グレイン公は気分が悪いようでらっしゃる。もう陽も暮れている。本日はこれまでにしてまた明日へと持ち越しというのはいかがですかな? ヴァレンタイン神官殿」
「ふむ……」
 どこか挑戦的な視線のレックス。その態度を見る限り、この男もまた胸の裡になんらかの企みを隠しているのだろう―――それがいったいなんであるのかはわかりかねたが。
 ウィルフレッドは小さくうめいてから、にっこりと微笑んだ。まるで何事も無かったように振る舞う。
「そうですね。“今”はとりあえず引き上げるとしましょう。また日を改めてお邪魔しますよ」
「ええ。その方がよいでしょう」
 レックスの言葉にウィルフレッドは顔を背けたまま固まっているディリオスの方へと目を向けた。
「それではディリオス、また」
 その言葉に対しての返答はなかった。答えられるほどの余裕がもはや彼には無かったのだろう。所詮、小物である。本当はもう少しつついて聖杯を素直に返還してもらい、穏便に事を進めたかったのだが―――どうやらディリオスの部下の傭兵はそれを許さないらしい。
「―――ああ、それと、ヴァレンタイン公」
 素直に出ていこうとしたウィルフレッドの背中から思い出したようなレックスの声がかかる。立ち止まって肩越しに振り返ると、レックスはにっこりと笑いながら言った。
「夜は長い。どうかお気をつけて」
(どうやらこの男は主人と違って大物らしいね)
 治安も大して悪いわけではないこの街で、夜を気をつけねばならないことなど無い。にもかかわらず、この台詞ということは間違いなく遠まわしの宣戦布告である。
「ご忠告どうも。気をつけますよ」
 微笑んだままのレックスの言葉にウィルフレッドもまた笑みを浮かべた。
 言葉を吐きながら、彼はあらかじめ宿をとっておいたことに安堵のため息を吐いた。






   THE DARK SIDE OF THE MOON 5  ――― 血塗られた堕天使 ―――






『―――で、どうするつもりなんだ? ウィル』
 城から宿に戻る途中で今まで黙っていた≪パイシーズ≫がぽつりと尋ねてくる。頭の中で響くその言葉を聞きながら、ウィルフレッドは困ったような顔をしながら呟く。
「『どうするつもり』といわれても、ねぇ……」
 目的は明確である。城にある聖杯を忍び込んでもいいから盗ってきてしまえば良いのだ―――いや言葉が悪い。取り返してくればいいのだ。もともとはセイルーンの所有物だったのだ。盗んで―――ではなく取り返してきてフィリオネルに渡しさえすれば、あとは向こうで処理してくれるはず。
 とはいえ、馬鹿でかい城のどこにあるのかもわからない聖杯をうじゃうじゃ傭兵がいる中、何の策も練らずに突っ込んでいっても無意味どころか自分の立場が悪くなるだけである。
 まあ息子いわく『逃げ足だけは速い』、本人いわく『歳を感じさせない実に鮮やかな身のこなし』―――ちなみに彼の相棒は息子の意見の方を尊重している。当然だが―――のウィルフレッドのこと。捕まるつもりはさらさら無いが、無駄に危険の中に飛び込んでいくよりも、もう少し情報を集めて城の構造を把握し、ある程度の見当を立てた方が賢明である。
「とりあえず情報探しだねぇ……あとは宿屋を変えて、と……」
 彼がとっていた宿は城の近くにある宿である。無論、偽名など使わず本名そのままでとってある。そして対する相手は領主に仕える人間。『領主の命令で―――』なんて文句を使えば、宿帳など簡単に調べることができるだろう。あとは夜中寝静まった後に隙を突いて―――という可能性が無いわけでもない。
 レックスの宣戦布告の言葉を真に受けるわけではないが、とっておいた宿に素直に宿泊して、真夜中に睡眠時間削ってまでドンパチかますのは辛い―――というかめんどくさい。ここは忠告通り、別の宿を捜してそちらで休んだ方が賢いというものだろう。
 いろいろと頭の中で考えを巡らす。基本的に頭で考えたことは≪パイシーズ≫には筒抜けのため言わなくてもちゃんと伝わっている。口に出さずにしばし黙り込んであれやこれやと熟考するウィルフレッドに何かに気づいたように≪パイシーズ≫が声をあげた。
『……おい、ウィル』
「なに?」
 考え込んだまま、ほとんどうわのそらで返答するウィルフレッドに相棒は言葉を続けた。
『宿屋を探す前に一仕事あるようだぞ』
 その言葉にウィルフレッドは何も言わず下を向いていた顔を上げた。自分の少し先に立ち塞がるように佇む2人の女。栗毛の魔道士ともう1人、見覚えのある顔にわずかに眉を跳ね上げる。
 数ヶ月前に城で会ったメイドの1人である―――ちなみに名前はヘレンだったか。
 一瞬、ディリオスの差し金かと緊張が走ったが、少しばかりぼろぼろのメイド服を見るとどうもそうではないようである―――まあ、警戒を怠ることはしないが。
「ウィルフレッド=ヴァレンタイン、ね?」
 栗毛の魔道士が訊ねてくる。ウィルフレッドは目を細めながら呟いた。
「人に名前を尋ねる時はまず自分の名前を名乗るものでしょう?」
 その言葉に魔道士は小さく嘆息した。まっすぐウィルフレッドを見据える。腰よりも少し上の栗色の髪。同世代よりも少しばかり小さい体格。瞳は意志を湛えた独特の輝きを持っている。胸は―――いや敢えて言及しないことにしよう。シルヴィアとタメがはれる―――などとは決して口が裂けても言えまい。もう既にこの世にはいないが、“あの”赤い服着た趣味悪い根性悪賢者の血が混じった娘である。胸のことを言われようもんなら自分が死ぬまであの世から呪い続けそうである。
 自分をまじまじと見つめてから深くため息を吐いたウィルフレッドに憮然とした顔をしながら魔道士は自分の名を名乗った。
「あたしはリナ。リナ=インバースよ」






 足早に街の通りを進みながら、クラヴィスは絶えずまわりを見回した。
 どうしても確かめたかった。
 自分が見たあの姿が本当に自分の父親だったのか。
 父親だったのならばどうしても訊ねたいことがあった。
 どうしてこんなところに来ているのか。
 自分のところに入って来たセイルーンとこの街のことはいったいなんなのか。
 暗くなった通りに彼の漆黒の髪が揺れる。
 通りの端で、自分を興味津々に見ていた若い女たちにも気づかず、彼はひたすら周りを見ながら歩き続け―――城の近くまで来た時だった。
(……え?)
 自分の見たものが信じられなくて、思わず近くの建物の陰に身を潜める。
 道のど真ん中で立ち止まる3人の人間。
 ぼろぼろのメイド姿の女は知らない人間だったが、残りの2人は彼がよく知る人物。
 1人はかつて自分の弟が世話になったらしい栗毛の女魔道士。
 そしてもう1人は。
(……やっぱり見間違いじゃなかったんだ)
 声には出さず、心中で呟きながらクラヴィスは建物の影からそっと3人がいる方へと目を向けた。
 女二人と向かい合わせに立っていたのは、間違いなく自分の父親ウィルフレッドだった。






 リナ=インバース。
 その名前を聞いて、心が少しばかりざわめく。嬉しいような―――憎らしいような。だがその気持ちを表情に出すこと無くウィルフレッドは極力平静を装って肩をすくめた。
「お察しの通り、僕がウィルフレッド=ヴァレンタインだよ。なにか用があるのかな? リナさん」
「慰謝料」
「……はい?」
 自分の言葉に即答してきたヘレンの言葉にウィルフレッドは間の抜けた声をあげた。
 きょとんとした顔をする彼に今まで黙ってリナの後ろにいたヘレンがつかつかと前に進み出て、ウィルフレッドに詰め寄ってきた。いきなりぼろぼろと涙を流し始めたかと思うと突拍子もないことを言ってくる。
「人のこと弄んだのにのうのうと顔だしてぇぇぇ。良い根性してんじゃないのよぉぉぉ。40過ぎたおっさんのくせにぃぃぃ。詐欺師のくせにぃぃぃ」
「へ、ヘレンちゃん……!?」
 道端で大泣きし始めるひどい服装の女。その女の口から出る『弄んだ』とか『詐欺師』など人聞きの悪すぎる言葉。しかもそれが普通の声量よりも少しばかり大きいとあれば往来の目をひきまくる。自分を指差しながら小声で『ちょっとくらい顔が良いからって、ねぇ』とかいう言葉が耳に入って来て、ウィルフレッドは慌てて両腕をばたばたと振り回した。
「ご、誤解だにょ。詐欺師だなんて―――」
「流し目で見つめて微笑んだくせにぃぃぃっ。子持ちのおっさんなんてぇぇぇ。私の純情踏みにじられたぁぁぁ」
「最低ね」
「だからっ! 誤解って言うかあの時はしかたなかったって言うか―――!」
 リナにまで半眼で睨まれて、さらにウィルフレッドは慌てた声を上げる。周りを歩いていた人の冷たい視線もさらに自分に突き刺さった。泣きたくなるのこっちの方だ、などと思いつつなんとかヘレンを黙らせ―――もとい。なだめようとして。
「というわけで慰謝料」
 いきなり顔を上げ、きっぱりと言いながらさりげなくてを差し出してくるヘレンにウィルフレッドは思わず後退りながら声を上げた。
「なぜにっ!?」
「乙女の純情踏みにじった代償は大きいのです」
 その淡々とした口調は、どこからどう見ても今の今まで泣いていたようには見えなかった。
(このアマ、嘘泣きかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!)
『―――なるほど。これがお前が言う“世間を上手く渡っていくための処世術”か』
(黙れ石っころっ!)
 皮肉のつもりだろう。≪パイシーズ≫の余計な茶々を即座に返す。
 ウィルフレッドとて、数ヶ月前の自分の行動が裏目に出るとは思いもしなかった。
「ここは素直に払った方が良いんじゃない?」
 傍観していたリナが口を開いた。
「あんたみたいな有名人、女性関係のもつれが一番の不祥事(スキャンダル)でしょ。慰謝料払えばそれでオッケーなんだから。
 あ、ちなみにあたしの口止め料。ヘレンが要求する金額の半額で良いからv」
『……ウィル、覚えておけ。女は怖い生き物なのだ……』
(なんでそんな女に苦労した経験あるよーな物言いするわけっ!?)
 どこか遠くの世界に旅立つようにぽつりと呟いて来た相棒に心中で悲鳴のような声を上げ。
 挙げ句の果てには―――

 ごす。

 どこかから飛んで来た―――少し離れたところから一部始終を見ていた息子が投げつけたものだが―――なんの変哲もない石が後頭部に直撃し、ウィルフレッドはうずくまりながら自分の顔が時と場合によってはかなり不利になるということを学習しつつ、ぼたぼたと涙をこぼした。
「まあ、慰謝料うんぬんの話は少しの間、横において置くとして」
「横に置かずにそのまま忘れてもらいたいんだけど」
 石が直撃した後頭部をさすりながらウィルフレッドが立ちあがる。どうやら本題に入るような気配を見せたリナの方を見て―――一瞬彼女の肩越しにこちらをじっと見つめていたらしい男と目があう。すぐさま視線を外す男にウィルフレッドはなにかに思い当たった。が、敢えてなにもせずにそのまま彼女の次の言葉を待つ。
 リナはリナで、ウィルフレッドの言葉を無視したようだった―――用件が済んだらきっちりと慰謝料―――彼女の場合は口止め料か―――をぶんどるつもりなのだろう。宣言通り、ヘレンが持ち出した話題を終わらせて、本来の用件へと話を進めた。
「あんた、ここの領主とトモダチなんですってね」
「僕、あの馬鹿キライv」
 どきっぱりと即答してから、会話をおもいっきりぶち切った回答をしてしまったことにはたと気づき、慌てて言葉を付け加える。
「あ、ま、まあ一応トモダチではないけど知り合いではあるよ、うん。で、それが?」
「“セイルーン”のお偉い神官様がこんな所でなにをしてるのかと思ってねぇ。セイルーンは噂じゃ今大変なことになってるらしいじゃないの……そう―――」
 まるでウィルフレッドを試すようにリナは目を細めた。
「―――なにか大切なものが盗まれたとか」
 ―――なるほど。そういうことか。
 リナの言葉にウィルフレッドは心中で納得した。
 どこから聖杯のことを聞きつけて来たのかは知らないが、裏ではその盗みにアラン・シティが関わっているのではないかという噂がしっかりと流れている。そんな中、聖杯が盗まれた街から盗んだと思われる街に来た自分を彼女たちは疑っているのだろう―――加えて、自分はディリオスとの面識がある。
 ……勘違いも良いところであるが。
 ようやく立ち止まっていた往来が再び動き出したのにもかからわず未だに自分たちに向けられている視線も気になるところ。次から次へと山積みにされていく問題をどうすれば手っ取り早く解決できるか―――ウィルフレッドはほんの数秒無言で考えを巡らせ―――唐突に口を開いた。
「そういえば、君たち宿はとった?」
「は?」
 突然の話題の切り替えに間の抜けた声をあげたのはリナとヘレンのどちらだったのか―――あるいは2人ともあげたのかもしれない。とにかく、女2人はお互いを一瞥して怪訝な顔をする。
 ウィルフレッドがディリオスと裏で通じている可能性は高い。即答で答えたあの台詞も自分たちを油断させるためのものかもしれない。そんな相手に素直に答えて良いものなのか。こちらには命を狙われているヘレンがいるのだ。素直に答えて夜中に暗殺まがいのことをされるのはまっぴらごめんである。
「―――振り返らないで」
 ヘレンは全てリナに任せているようだった。そのリナが答えるかどうか悩んで口をつぐんでいると、ぽつりとほとんど口を動かさずにウィルフレッドが呟いてくる。
「横の建物の影の傭兵姿の男。あと、斜め後ろの主婦みたいな女性。他にもいるね。さっきから僕たちのことを見てる」
 言われて、リナは忠告通り振り返らずに視線だけを器用に視線を移動させる。さすがに主婦は見えなかったが、傭兵姿の男はちゃんと確認できた。確かに一見誰かと待ち合わせているように見えるが、こちらにちらちらと視線を向けている。
「……どういうこと?」
「君が言ってるもののことでディリオスを突っついたらこの有り様さ。真夜中あたりに仕掛けてくるんじゃないかな。僕と接触した君たちのところまで」
 相手にだけ聞こえるようなトーンでぼそぼそと話す。
「あなたの話を信じるいわれはないわよ? あの2人もあなたもグルかもしれないわ」
「信じる信じないは君たちの勝手だ。けれど信じなかった場合の命の保証はしないよ。自分のことを信じてくれない人間の命を危険を顧みずに守ってやるほど僕はお人好しじゃあない」
 淡々と答えてくるウィルフレッドにリナは再び沈黙した。
 このままだと話は一向に進まないだろう。なんの情報も得られないこの状況のいい打開策も見つからない。
 目の前にいるこの見かけの年齢と実年齢のギャップがありまくる男を信じてもいいという理由も無い。だが、今はこの男の言うことを信じるしか話は進まないらしい。それに―――信じても良いような気がする。女のカンというやつで。
「わかった。信じるわ」
 ぽつりとそう呟いて、リナは声を普通のいつものトーンに戻して少し前のウィルフレッドの問いに答えた。
「この少し先の宿よ。あなたが馬と遊んでいた場所の近く」
 その答えにウィルフレッドもまた普通に話を続けていく。
「それは奇遇だね。僕もそこの宿なんだ。よかったら一緒に食事でもどうだい? 知り合えたのもなにかの縁だし、ね」
「いいわね。ヘレン、あなたは?」
「え? ―――え、ええ。私も構いませんけれど……」
 突然話を振られ、完全に傍観していたヘレンが慌てて首を縦に振る。その答えにリナが踵を返す。
「じゃあとりあえず宿に戻りましょ。1階の酒場で良いでしょう?」
「そこで十分だと思うよ」
 ウィルフレッドも歩き出し、リナの横についたところで彼女にしか聞こえないように小さく口を開いた。
「宿に戻ったらまっすぐ裏口に向かって」
「わかったわ」
 彼女の言葉にウィルフレッドは小さく首を縦に振り―――横切る通りになんとはなしに視線を向けて、彼は思わず目を見開いた。
「クラ―――!?」
 ほんの一瞬だけ見た腰まである長い黒髪の人間の後ろ姿。声をあげかけて、彼ははたと気づいた。
(黒い長髪の人間なんてどこにでもいるか……)
 世界は広い。のんびり気ままに弟たちと旅をしているクラヴィスがこんなところにいるとは思えない。見間違いだったのだろう。息子がいない寂しさが見知らぬ人を息子に見せたのか。
(だめだなぁ……やっぱり殴られてもついていけばよかったにょ)
 突然意味不明な声をあげた自分にリナたちが訝しげな目を向けているのも気づかずにウィルフレッドは深いため息を吐いた。






 ―――実際、ウィルフレッドが見たのはクラヴィスだったわけだが。
「……バレたかと思ったぞ」
 早鐘のように打ち鳴らす心臓を抑えながらクラヴィスが建物の壁にぴったりと張りつきながら呟いた。
 バレてはいけないというわけではないが、会えば、自分の名前を絶叫しながらうっとうしいほどに抱きついてくるのは必至である。女だったらそれは大いに大歓迎だが、いくら親でも男になんぞ抱きつかれるのは死んでもごめんである。
(……さて……)
 ようやく心臓も落ち着いてきたところでクラヴィスは真顔になって、息を潜めた。
 通りの脇道。一本脇道に外れてしまえば、人通りはまったくなくなり、そこに人がいるかどうかも気づかない―――まさに待ち伏せにはうってつけの場所。
 さして多くもない往来を脇道から息を潜めて眺めつつ、彼は黙って自分の目的の人物を待った。父親の近くの建物で待ち合わせをしているようだった傭兵の男を。
 待つこと数分。ウィルフレッドたちと少しばかり距離を開けたつもりなのかゆっくりと彼らと同じ方向へ向かっていく傭兵の姿を発見すると素早く通りに躍り出て、傭兵の前に立ちはだかり、クラヴィスは口元を吊り上げた。
「なんだ貴様―――!?」
 声をあげる傭兵を無視して、彼の胸倉を掴みあげながら脇道に連れ込んで先程まで自分が張りついていた壁に傭兵を押しつける。少しばかり乱暴に扱ったためか小さくうめく傭兵。だが、女には優しいが男にはいとそっけないクラヴィスのこと。さして気にもせずに自分の用件をさっさと切り出した。
「さて、あんたさんにはいろいろ聞きたいことがあるんだよ」
 先程は父親たちと少しばかり離れていたゆえ、彼らがなにを話しているのかはさっぱりわからなかった。
 が、彼らと少しばかり離れていたたゆえ、彼らを監視するように見ていた存在たちのことはよくわかった。その中の1人がこの傭兵である。
「なんで親父たちを見てたのかな? ん?」
「なんの……話だ?」
「とぼけんなよ。おっさん」
 低く呟いて、男の胸倉を掴んでいる手に力を入れて、さらに壁に押しつける。息が上手くできないのかうめきながら傭兵は観念したように軽く手を挙げた。
「わ、わかった。わかったから……知ってるいることはすべて話すから手を離してくれ」
「でまかせなんぞ言ったらはっ倒すからな」
 傭兵に釘をさしつつ、クラヴィスは彼の言う通りに手を離した。小さく咳き込みながら胸元を直し、彼は首を縦に振ってきた。
「おれだって死にたかねぇ。本当のことを話すさ。
 おれはこの街の領主に雇われた身でな。なんだか知らんがあの男―――あんたの顔とよく似てるから兄貴かなんかだろ? あいつが領主を怒らせたらしくてな。あれの宿を見つけ出してこいと命令されたのさ」
「それで?」
「いやそれだけだ。あとは知らんが……まあ、夜中に奇襲かけて殺すつもりだったんじゃねぇか?」
(なにをやってんだか……)
 命を狙われるまで領主を怒らせたなどよっぽどひどい毒を吐いたのだろう。にこやかな顔をしつつ、どぎついことをさらりと言うのはあの父親の得意技である。セイルーンでの神官連盟会議でいつも乱闘騒ぎ寸前にまで神官たちが熱(いき)り立つのは会議の中でも結構な発言力をもっているあのにょほほ親父がまるで人に喧嘩を売っているような発言を繰り返すからだというのが神官たちの間で有名になっているくらいである。
 自分の発言のせいで暗殺まがいのことを仕組まれるまでお偉いさんを怒らせたのは自業自得とはいえ、笑って流せる話ではない。父親たちを監視していた人数から見て、相手はかなりご立腹の様子。あの親父が簡単に殺されてやるとは思えないがそれでも人間必ず“隙”というものがある。
「そろそろいいだろう? 話すことは話したんだ」
 傭兵が作り笑いを浮かべてつつ、言ってくる。クラヴィスは追い払うように手をぱたぱた振り―――
「あー、ちょい待て」
「……なんだ?」
 そそくさと通りに出ようとした傭兵の右腕を掴んで呼び止めたクラヴィスに傭兵は怪訝な顔をして振りかえり。

 ぼぎんっ!

「あうああああああああああああああああああっ!?」
 鈍い音が響く。
 そして、男の絶叫。
 クラヴィスが変な方向に折れ曲がった傭兵の右腕を話すと、彼はそのまま地面に倒れ込み、右手をかばいながらのた打ち回った。
 利き腕を折られて、悲鳴をあげる傭兵に冷めた視線を向けながらクラヴィスが呟いた。
「てめぇの仲間に言っておけ。痛い目見たくなかったらウィルフレッドには手を出すなってな」
 地面で声にならない悲鳴をあげながらのた打ち回る傭兵をそのままほったらかしにしてクラヴィスは通りへと出る。通りは何事もなかったように時間が流れていて、今しがた脇道でなにが起こったかなど誰も気づきもしなかった。
(さて、と。まずは行方捜しか)
 とりあえず脇道から離れて父親たちが向かった方角へ足を進めながらクラヴィスは自分がすべきことを―――自分の父親を影から守ることを心中で決意した。





   to be continued....................





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7470目的の為なら嘘泣きもッ!(待て)むくぅ 2001/10/10 16:57:45
記事番号7467へのコメント

 どうも、何かねんねこさんにレスつけまくって迷惑かけてるむくぅなのです。こんにちは。
 どうやら学校からレスるのは違反だと判明しましたので(待て)家からレスしておりますのです。
 というわけで感想をッ!

 まずヘレンさんに拍手ッ! ウィルパパりんさん(長)相手に嘘泣きして騙せるなんてすごいのですッ!
 ……クラヴィスさん実の父親に!? ……いつものこととはいえ、笑えました。影から守るのですか……頑張ってほしいのです。とりあえずはウィルパパりんに見つからないことを祈ってみましょう(汗)
 そう言えばこの話、相変わらず領主殿にはウィルパパりんさん強気なみたいなのですね……息子には甘いのに……
 むむぅ、傭兵さん、主君より大物って言うことは下克上狙ってるのですか……?(待て)

 ……と、思いついた感想をずらずら並べてみましたが、迷惑にしかなっていないような気も……どうしましょう……

 はっ!? めっきり息を潜めている羽根うさぎの大群がッ!? もしかしてウィルパパりんさんを怒らせたッ!?
 そ、それでは逃げますッ! むくぅなのでしたッ! 逃走ッ!

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7482続きが気になるお年頃久遠安宿 2001/10/11 16:04:25
記事番号7467へのコメント

こんにちは、久遠です。ついに続きですね!忘れてなどいませんよ、むしろずっと心待ちにしてましたです。
ウィルフレッドさん、とてもパパりんとは呼べないほど、かっこいいですね。領主さんの首を真綿で絞めていくような感じがちょっとどきどきしました。変な例えかしら(汗)
ヘレンさんもいい感じです。密かに目をつけていただけあって(笑)慰謝料には爆笑しました。いったいどのくらいぼったくるつもりなんでしょう……

> その名前を聞いて、心が少しばかりざわめく。嬉しいような―――憎らしいような。だがその気持ちを表情に出すこと無くウィルフレッドは極力平静を装って肩をすくめた。
ちょっと気になった一文でした。うれしいのはわかるのですが……なんでウィルさん、リナさんが憎らしいの?(汗)
もしかして、ゼルを女装させたこととかいろいろ知ってて『僕の息子に何するのっ』とか思ってるのかしら???
ああっ、リナさんを怒らせるような真似だけはご自分のために控えてくださいね、ウィルさん。

アメリアとゼルの方も話が進んでるし、クラヴィスさんは愛しの(笑)お父さんを守ろうとしててかっこいいというよりはかわいいですv
いろいろ感想を言いたいところはたくさんあるのですけれど、書ききれないので(それだけねんねこさんの話は素敵なところが詰まってるという……)メールで個人的に送っちゃいますね!
ではでは、続きをお待ちしてます。

                                           久遠安宿 拝

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7535そうだったのかシーちゃん……!!九条みすず 2001/10/16 21:07:02
記事番号7467へのコメント

受験勉強の合間のパパりんの爽やかな笑顔。いいなぁ……やっぱり一匹欲しいです、ねーさま(笑)
というわけで九条みすずでございますです。お久しぶりでございます。全話レス完全制覇の道がまた一歩遠のくところでしたが、なんとか間に合ってよかったです。ねーさまの話はやっぱりいつ読んでもすごいの一言に尽きます。

> なんとなくガウリナ風味vとかいっておきながらほとんどまったくガウリイもリナも出番がないというすかぽんたんな話ではありますが(汗)少しでも楽しんでいただければ幸いです。ちなみにさりげなくゼルアメ風味らしいです。
パパりんとクーちゃんが出てればそれでよしっ!
いやゼルアメも良いですけど、やっぱりねーさまにはパパりんとクーちゃんを書いていただかないと(笑)
皆さんそれ期待してますしvv

> その言葉に魔道士は小さく嘆息した。まっすぐウィルフレッドを見据える。腰よりも少し上の栗色の髪。同世代よりも少しばかり小さい体格。瞳は意志を湛えた独特の輝きを持っている。胸は―――いや敢えて言及しないことにしよう。シルヴィアとタメがはれる―――などとは決して口が裂けても言えまい。もう既にこの世にはいないが、“あの”赤い服着た趣味悪い根性悪賢者の血が混じった娘である。胸のことを言われようもんなら自分が死ぬまであの世から呪い続けそうである。
そうだったのかぁぁぁぁぁっっ、シルヴィアさんっっ略してシーちゃんっvv
かなり謎なひとですね。シーちゃん。ノエルちゃんも謎なひとでしたがいろいろ解明され始めてますからね……そのうちシーちゃんの謎を解き明かして欲しいです♪

アメリアもかっこいいし(女の子女の子してるアメリア苦手)クーちゃんも素敵vゼルもこれから活躍してくれることを期待してvv続き楽しみにしてますのん♪
九条でした。

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7539お久しぶりでございます。水無月弥生 E-mail 2001/10/17 16:25:20
記事番号7467へのコメント

ねんねこ様お久しぶりでございます。水無月弥生です。あと数日で定期試験だというのに悠長にネットなどしているお馬鹿です(汗)
しかしねんねこ様のファンとして待ちに待ち望んだ続きにレスをしないというのはファン失格であると確信いたしまして、ちょっと壊れかけたキーボードを引っ張り出してきました。
続きです。ようやくウィルフレッドさんの本領発揮ですね。シリアスキャラの称号奪回なるか(笑)楽しみです。
知らず知らずのうちに敵対関係になっているリナとガウリイの関係もガウリナファンの私としてはドキドキです。続きがどうなるのか楽しみにしております。
それでは感想になってませんが(ごめんなさい)この辺で。

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7682あははもうすぐ落ちそうなのにすいません(待てない)安井/あしよし 2001/11/2 12:41:42
記事番号7467へのコメント

どうも、遅くなりすぎてしまいましたが感想を書きに来ました。
この前はチャットとっても楽しかったですvありがとうございました。
しかし安井さんこちらに来るのは随分お久しぶりな気がします(苦笑)。


今回はついにパパりんさんとリナさんが遭遇いたしましたが、初っ端から火花バチバチで面白かったです。なんとなく、パパりんさんがリナさんに抱いている気持ちも分からないでかないですが、とりあえず女の子二人組の請求に負けちゃ駄目ですよ(笑)。
なんとなく、パパりんさんは胸がアレな女の子は苦手な気がして来ちゃいます。石っころさんはどうやらめちゃくちゃ苦労したっぽいです。その辺もいと楽しみですが、やっぱり長く生きている二人だけに色々あったんでしょうね…。
…息子に石を投げられて後頭部直撃されてりとか(笑)。詐欺師呼ばわりされて、慰謝料請求されたりとか、月夜でなくても闇夜に襲われてみたりとかv
頑張れ、クーお兄さん、実は一番パパりんさんを影から守るべきはリナさんかも知れないですぞ♪

ああ、そういえば今回白子さんは出演なさってないようですがどうしたんでしょうか??パパりんさんに抹殺されたとか?

(ア『いや、それは『狂気(日本語訳)』とは違う話だから(ツッコミ)。
   どうしたんですか?熱でもあるんじゃないですか(笑)。(ピトっ)
   ……熱ある……のに学校行ってパソコンしてるんじゃないっ!!!!』)

にょ?アッシーどうしたの???(ズリズリと引きずられる)
いやぁ、だって家で寝てるとパソコンできないですし♪(待てない)
あーなんだか強制退場らしいのでそれではまた〜(*==*)/~

(ア『ねんねこお嬢さんも風邪というか熱があるらしいが、
   あまり無理なさっちゃ駄目ですからね。
   身体は大事にいたしましょう(本日の教訓?)』)

   アッシーが引きずって行ってそのまま退場。