◆−北と南が寒いわけ・4.1 −闇の結晶  (2001/12/22 16:34:36) No.7907
 ┗おもしろいですよ−Nom.S (2002/1/26 09:01:29) No.7991


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7907北と南が寒いわけ・4.1 闇の結晶 2001/12/22 16:34:36



こんにちは。第4.1話(汗)投稿しに来ました,闇の結晶と申します。
今回,ぢつは前後編です……うっうっ,そんなつもり無かったのに。
L「たぁしか,あんた全部で九話の予定とか言ってなかったっけぇ?」
んみぃっ!?Lサマっ!?なぜここにっ!?
L「んっんっんっ。あとがきはあの子がいるから出られないし,大体あんた8と9にしかあたし出さないとか言ってたじゃないぃ?だ・か・ら・まえがきでお仕置きしておこうかと思って」
いえちょっと待ってくださいですL様っ!
その手にされた黒いのを捨ててくださいッ!
L「や・だv」
そなぁぁっ!身代わりいっ!
ばしゅぶっ!
L「ちっ……逃げられたわね……」

(……それでは,「北と南が寒いわけ」第4.1話,『ギャグだんじょん編』をお読みください……)
L「みいつけたv」
(んみぃぃぃぃっ!)
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北と南が寒いわけ 4

「ここも金ダライだけ………と。いったいなんなのよ?この遺跡みたいなものは?」
あたしはぶちぶち愚痴を言いつつ,開け放したドアを閉めた。
「なー,リナー。ここはいったいどこなんだ?」
……ぷち。
「あんたねぇぇぇぇっ!ここは,ゼルとアメリアが入ってった遺跡のどこか,でしょうがっ!ミシリムが不用意に魔方陣発動させたりするから,わけわかんないところに出ちゃったのよっ!」
あたしは,ガウリイの首をしめつつ叫んでいた。

ことは,一時間ほど前にさかのぼる――

「……ここに,ゼルガディスとアメリアが入って言ったって言うけど……本当なんでしょうね?」
周りの遺跡の位置関係と地図,それに目の前にそびえる塔を見比べつつ,ミシリムが疑わしそうな口調で聞いた。
エルメキア帝国最南端から,さらに3時間ほど。
うだるよーな暑さの中,砂漠をえんえん歩いた先にあったのがこれだった。
「ああ,間違いない。見えた」
「見えたって……あの距離で?」
きっぱりと断言するガウリイに,根拠の無い物に聞こえたのだろう,ミシリムが冷たい目を向ける。
「ガウリイは確かにくらげだけど,視力とカンだけはすこぶるいいの。信用して大丈夫だと思うけど?」
「視力とカンだけは,ねえ………」
あたしの言葉に,彼女はため息ひとつ。
「そうは言うけど,数ある遺跡郡の中でここを選んだのはあんたじゃないの。そっちはなんか根拠でもあるわけ?」
「あたしは『裏』で情報仕入れてきたから」
「……ふーん……」
あたしの質問に,あっさり言ったミシリムの言葉に,あたしはうなずきかけ――
ひきっ!
思わず顔を引きつらせた。
いや……確かに,彼女が魔族なんじゃないか,とは思ってたけど……
裏の世界で,それなりに信頼性の在る情報を「買おう」と思えば,かなりの金額と駆け引き,それに知名度が要求される。……らしい。ゼルから聞いた話だけど。
そして,裏の世界での知名度といえば,「どれだけ非道なことをしてきたか」というのとほとんど同義語である。
裏の世界でも有名なゼルガディスの情報,それもある程度確かなのを「買える」だけのミシリムの知名度……
どれだけの事をしてきたか,推して知るべし,である。
……確かに,魔族にとっちゃあ人の命なんてゴミ同然なんだろうけどね……!
「本当かどうか,なんて気にしていても始まりませんよ。どのみちどこにいるか確かめるにはどこかへ入らなくては行けないんですし,少しは可能性の多いほうにかけて見ません?」
お気楽口調でゼロスが言う。
「……わかったわよ。中に入りましょうか?ここでこうしてても暑いだけだし」
言って,ミシリムは自分から遺跡に歩き出す。
あたしは,少しだけ遅れて彼女についていった。

ほぼ一本道の通路を抜けた先は,かなり広いホール状の場所になっていた。
そして,その床には,一面に魔方陣がしかれている。
「……魔力封じか何か……?」
「そういう魔力は感じませんけど……というか,この魔方陣は効力そのものを無くしてますよ」
あたしのつぶやきに,ゼロスが答えを返す。
「効かないんなら,気にしなくてもいいんじゃないのか?」
のんきなことを言うガウリイ。
「……そういうわけにもいかないかもしれないわよ……」
ミシリムが、表情はまったく動かないまま,それでもいらついた雰囲気で苦々しい声をあげた。
「この魔方陣,たぶん転移の魔方陣よ。こちらと送り先に魔方陣を敷いておいて,魔方陣を発動させるとこちらの魔方陣に乗っているものが強制的に送り先の魔方陣に送られるって言う……。人間レベルじゃあ発動させるのなんか無理なんだけどね」
言いながら,かつかつとつま先で魔方陣の縁をける。
「刻印された文字を見るに,この魔方陣に最初に乗ったものを,どこだか知らないけど送り先の魔方陣に転移させるようになってる。状況から見るに……ゼルガディスとアメリアは,これにひっかっかった可能性が高いわ」
……それって……
「明らかにトラップ然としてるけど,引っかかってみるしかないってこと……?」
「……そう言うこと……」
このセリフのときに,始めて――ほんの数秒,彼女の顔に死ぬほどいやそうな表情が浮いた。
……表情,あったんだ。そうつい思ってしまう。
「……トラップ然としてようと,これを発動させてみるしか手が無いのは確かよ。
とりあえず異存が無かったら魔方陣にのって。恨むならあたしじゃなくて前の二人にして」
「転移して,いきなし攻撃が来たらどうするの?」
「防御結界はったまま発動させればいいでしょ」
「あたし,防御結界はれない」
「……………………
……ゼロスにさせればいいでしょうにっ!」
あ,切れた。
「おいリナ,あんまりからかって遊ぶモンじゃなかろーに……」
あきれきったガウリイの声。
「……もう聞かない。異存があっても何も聞かないからね……
とっとと魔方陣に乗りなさい」
ミシリムが,さやに入ったままの剣を追い立てるように振る。
あたしたち四人が全員乗ったところで,ミシリムがおもむろにひざをついた。
「……何してるの?」
「こういう系統の魔方陣は,刻印された文字をなぞって呪文を唱えるのが一番発動させやすいのよ。それでも時々失敗するけど……」
いって,刻印された文字列を一つ一つ確かめる。時々つぶやいているのは刻印された文字そのものらしいが……人に発音できるもののようだが,あたしは今まで聞いたことが無い。
「……あった。ここか……」
目的のところを見つけたらしく,つぶやくミシリム。
そのつぶやきが聞こえたか,ゼロスが杖を一振り。あたし達の周りに,薄い球状の壁のようなモノが出来る。
それを確認して,ミシリムが呪文を唱え始める。
しばらく,人には発音も難しい呪文の声のみが流れ――
かっ!
いきなり魔方陣が発光した!
あたしはそのまぶしさに思わず目をつぶる。
そうして――
またもやいきなり,光が収まった。
転移先についたのだろうか?
目を開けると――そこは,小さな四角い小部屋だった。
足元には魔方陣のみがあり,周りの壁にはドアひとつ。燭台すらない。
それでいて回りは明るい。明り取りの窓か,誰かの『ライティング』かと思ったが,上はひたすら暗闇が続くのみ。むろん『ライティング』でもない。
魔方陣の発光はもうとっくに収まってるし……?
「……ついたみたいね」
ミシリムがふう,とひとつため息をついて言った。
「……ミシリムさん,大丈夫ですか?ずいぶん魔力食う術みたいでしたけど……?」
「……大丈夫。少なくとも――あたしだから。」
珍しく心配げなゼロスに,ミシリムはわけのわからん答えを返した。
「……なあ,あんたやっぱり……」
「立てるようになったんならさっさと行くわよ。ゼルガディスとアメリアは先行してるんだし,こんなところで時間食ってると追いつけなくなるわ」
何か言いかけるガウリイをにらみつけ,早口で言うミシリム。
やはり早足でドアに向かい――
ドアに手をかけ,引いたところで動きが止まった。
「……………………」
「……どうしたんですか?」
「……カギがかかってる……」
それって……
「ちょっと待てっ!それってゼル達がここには来なかったってことっ!?」
「なんでそうなるんだ?」
「あーのーね!もしゼル達がここに来たんなら,扉にカギなんかしまってるわけ無いでしょ、んなコトする必要無いんだから。にもかかわらずしまってるってことは,ゼル達がここには来なかったってことになるでしょ!」
のんきな声で言うガウリイに,あたしは説明する。
「とにかく,ここにゼル達が来てないんだったら,ここには用ないでしょ。さっさとまた起動させて戻りましょ」
あたしの言葉に,ミシリムは死ぬほど気まずそうに。
「その……転移の魔方陣って,それぞれ役割が決まってて……転移用は転移用,受け入れ用は受け入れようとしか働かないわけ……つまり……」
「……もどれない,ってこと……?」
ミシリムは,ひとつだけ,でもはっきりとうなずいた――

そうして,物語は冒頭へともどる――

「……だから,それはあたしも悪かったって言ってるでしょうに……」
ミシリムが,こちらも開いたドアを閉めながら言う。
あたしはしめていたガウリイの首を離し,
「……ったく……ごめんで済んだら警備隊なんて必要ないでしょーが。
ここからどうやって出るって言うのよっ!」
――あの小部屋を出た先は,ほぼ一直線の通路だった。
通路の両脇には,互い違いにドアがついており,今まで確かめた分の全てのドアにカギはかかっていなかった。
試しに通路の両端に行ってみたのだが,そこには階段も何も無し。
そこで,「どこかの部屋に転移の魔方陣があるかもしれない」とのミシリムの言葉で,あたし達は一つ一つ部屋を開けて回っているのだった。
……今までの部屋,全部なぜか金だらいが一個落ちてるだけだったけど……
「……だから,こうやって地道に出口探してるんじゃない……」
言って,次のドアノブに手をかけたミシリムの動きが,そこで止まる。
「…………………………」
「なに?またカギのかかってる部屋があったとか?」
あたしの問いかけに,ミシリムはややあって。
「……魔術かなんかで動けないんだけど……どうにかしてもらえない……?」
「知るかっ!」
あたしは迷わずきびすを返し,次のドアを開け――
ごがろんっ!
……いたひ。
「なにこれーっ!?金だらいが落ちてきてっ……って,まさか,今までの部屋全部っ……!?」
「じゃないですか?まあ,他人を見捨てた罰ということで」
「まあ,面白いし。子供のいたずらとでも思えばいいでしょ」
ゼロスと,まだ固まったままのミシリムが言う。
あんたらーっ!他人事だと思ってーっ!

次のドア。
「うーん……ゼロスが開けて」
「ちょっと,ミシリムさんっ!助けてあげた恩を忘れたんですかっ!?」
「利用できるものは利用する。それが恩人や友人知人親戚であってもね」
「がんばれよー,ゼロス。たぶん次俺だから」
「ガウリイさんっ!慰めになってませんっ!」
「で、行くの・行かないの?」
「……解かりましたよっ!」
ぎいっ!
…………ばしゃあっ!
「……あ,水ふーせんかなんかだ」
「まあ,ゼロスは風邪引かないし。ほっときましょ」

その次のドア。
「……で,今度は俺なんだろ?」
「ずいぶんあきらめがいいのね……
リナ,この人いったいどんな扱いしてきたわけ?」
「こういう扱い」
「……がんばんなさい」
きいっ……
……ほすほすほすっ。
「……あれ?羊のぬいぐるみ?」
『みー』
「……ガウリイ!逃げなさいっ!それ生きも……!」
ばちばちばちいっ!
「黒焦げ……。まあそんな強くない電撃みたいだから生きてるでしょ」
「……電撃はなって消えたさっきの羊ぬいぐるみ,なに?」
「……一応,異世界の生き物」

そのまた次のドア。
ぎいっ……
ばっしゃぁんっ!がんっ!
「……砂糖水,バケツのおまけ付……
……なんであたしがかぶらなきゃいけないわけ?」
『人を実験台にした罰(です)』
「ミシリム,がんばんなさいねvあ、おいしそうよ、なんか」
「……次はリナがやってよ」

金ダライの落ちてきたドア以降,全てのドアがこんな調子で何かが落ちてくる始末。
「お宝は無いし……なんなのよっ!?ここはっ!?」
「お宝以前の問題のような気がするんだけど……?」
「まあまあ二人とも……そう言わずに。そう危険のあるものじゃないからいいじゃないですか」
「ガウリイの電撃羊とあたしのろうそくは?燃えかけたんだけど、あたし」
「生きてるじゃないですか」
「生きてりゃいいってもんでもないだろう……」
もういくつめになるのか、数えるのもばからしくなったドアの前で座り込んで話をする一同。ゼロスはみょーにご機嫌だが、あたし達は精神的に疲れ切っている。
「次は誰が開けるわけ……?」
一見無表情だが、その実かなり恐い目であたしを見るミシリム。
「……ゼロスでいいんじゃない?一番楽しそうだし」
投げやりなあたしの言葉に、ミシリムがゼロスの方をにらむ。
「…………行くわよね?」
「は、はい……」
顔を引きつらせまくり、こくこく頷くゼロス。
……そういえば、ミシリムが魔族だとすると二人の力関係はどうなっているんだろうか?
ゼロスはぎい、と扉を押し開け――
――何も落ちては来なかった。
そして、押し開いた扉の向こうには、円形の小部屋。
「魔法陣……ですね」
ゼロスがつぶやいた。
「やっと見つかった……か。
悪いけど……又乗ってくれる?今度もどこに出るか分からないけどね」
ミシリムが立ち上がりながらそういった。無表情のままだがその口調ははじめあったころよりは雄弁に感情を映している。
あたし達に異存はない。部屋に入り、魔法陣に乗り――
ミシリムが呪文を唱え始める。
そうして、二度目の魔法陣の光があたし達を包み込んだ。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
という訳で、お送りしました「北と南が寒いわけ」第4.1話、いかがでしたでしょうか?
ミシリム「……ちょっと待ちなさい。」
はい?何かまずい事いいましたでしょうか?
ミシリム「今日、何日?」
……22日です。
ミシリム「来年まで後何日?」
…………9日、ですね。
ミシリム「来年までに後編打ち込めるの?」
………………予定は未定です。
実際、4だって前後編になったし……って?
……あの?そのとても大き目の死神な鎌は?
ミシリム「これ、あんた見覚えあるはずよね?とある金髪美人の人から借りてきたんだけど」
……いえあの、貴方は彼女の正体を知らないはずでは……しかも借りてきたって……?
ミシリム「偶然会ってね。あんたの事ドツキ倒したいっていうから、それ貸してくれたら代わりにドツキ倒してくるけどって」
……正体知らない相手から借り物をした上嬉々として振りかぶらないで下さい。
ミシリム「気が合ったし。人じゃないのは分かってるから」
……逃げよう……
ミシリム「シャドウスナップ。
    って事で……」
ひいいいいいいっ!
ざくっ!ざしゅばしゅっ!

……それでは。
闇の結晶でした。


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7991おもしろいですよNom.S E-mail 2002/1/26 09:01:29
記事番号7907へのコメント

始めまして。
このたび読ませて頂きました。
キャラクターが出ていてとてもおもしろいです。
どんどん作品が出てくることを期待しまています。
がんばってください。