◆−ゼロスのちょっと変わったお友達?(初投稿)−しなつ (2002/1/24 20:34:13) No.7986
 ┣Re:ゼロスのちょっと変わったお友達?(初投稿)−深剣李杏 (2002/1/25 22:39:04) No.7990
 ┃┗大感謝!!!です−しなつ (2002/1/26 23:38:44) No.7995
 ┣はじめまして−一坪 (2002/1/26 13:42:14) No.7993
 ┗ゼロスのちょっと変わったお友達?2−しなつ (2002/1/26 23:45:28) No.7996
  ┗ゼロスのちょっと変わったお友達?3−しなつ (2002/1/29 20:55:02) No.8009
   ┣Re:ゼロスのちょっと変わったお友達?3−深剣李杏 (2002/1/29 22:16:07) No.8011
   ┃┗おお!!−しなつ (2002/2/5 10:19:26) No.8049
   ┗ゼロスのちょっと変わったお友達?4−しなつ (2002/2/4 19:31:34) No.8048
    ┗ゼロスのちょっと変わったお友達?最終−しなつ (2002/2/11 15:34:51) No.8083


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7986ゼロスのちょっと変わったお友達?(初投稿)しなつ 2002/1/24 20:34:13


はじめまして!
今回初投稿するしなつです!
力不足のため読みにくい場所があると思いますが・・・・
そこらへんは海のように広い心で許してくださるとうれしいです(願)
それでは記念すべき初投稿、はじめたいと思います!!


第1章〜空ひび入りしとき〜




空はいつでもそこにあり

何千年とこの大地を照らしている

空にひびなど入らない

空は壊れることなくいつまでもそこにある



(ごくごく一部の状況を除いて、ですけど・・・)
自分の部屋にあるたった一つの窓
そこから見える今はまだ黒い空を見上げながら・・・
ゼロスはそんなことを考えていた

そして、まもなくその状況がおきて・・
それによって自分がどんな目に会うか、
彼はまだ知るよしもない


「暇ねーーーーーー、
 果てしなく」
そんな大変なことが起こる数時間前であろうとなかろうと
暇なやつは暇なのである
「リナさーーん、言わないでくださいよそうゆうこと
 聞くとよけい自覚しちゃうじゃないですかぁーーー」
リナがかったるそうに座っているテーブルの真向かいに座っているアメリアがぼやいた
「まったくだ」
アメリアの隣に座っているゼルガディスも同意する
「わかってるー
 けどこうまで暇だと、ぼやきたくもなるわよ・・」
いすをがったんがったんさせながらリナがまたぼやく
「いいじゃないですか、ほんの三ヶ月前は、そんなこという余裕すらなかったんですから」
少しはなれたところで卵を見ていたフィリアがもっともなことを口にする
確かにそのとうりである
三ヶ月前、リナ達は異界の魔王、ダークスターとの戦いに巻き込まれていたのだから
「そうですよ、リナさん!あたしたちが暇ってことイコール、世界の邪悪もなりを潜めてるってことです!!」
ぐっと手に力をこめて輝く瞳でそんなことを言うアメリアに
「それはそうとして、机には乗らないほうがいいんじゃないか?アメリア」
珍しく冷静なつっこみを入れるガウリィ
それを聞いてしぶしぶ机を降りるアメリアを見ながら
「で、これからどうするんだ?リナ」
「う〜ん、そうねー、いつまでもフィリアんとこに居着くわけにもいかないし・・・」
「そろそろ次の街に出発しましょうか?」
アメリアの提案に回りも同意したようだった


「そうですか・・・もうちょっとゆっくりしてってほしかったん
ですけど・・・・」
口惜しげにいうフィリア
アメリアの提案に同意したリナ達はあっという間にしたくを済ませ、フィリアの経営する骨董品屋
の前でフィリアに見送られていた
「また近くまで来たらよるからさ!」
明るくフィリアに声をかけて、リナ達は骨董品屋を後にした


次の街に行く街道の途中、黙りこくっていたり何アメリアが声をかけた
「大丈夫ですよねフィリアさん
 まだ引きずってるみたいでしたけど」
「そうね・・・」
答えてリナは物思いにふけった
きっと、この三ヶ月、フィリアが一番苦しかったんだろう―――――――――
自分の一族が滅ぼした種族の最後の生き残り、その卵をずっと見ていたのだから―――――
「ま、フィリアが自分でどうにかしなきゃいけないことだし………」
「そう ですよね・・・」
力なくアメリアが答える
瞳に何か切ないものを宿して
「なあ……」
と、いきなり声をあげたガウリィに全員の視線が集まる
またなに言い出すんだこいつは
とゆうふうに
彼は空をぼーーーっとみながら
「空にひび、はいってねーか?」
……………………………………………………
数秒の沈黙
「あのね、ガウリィ・・・」
と・・・・
何か反論しようと口を開いた瞬間
・・・・・・・・・・・・?
たとえようのない不信感が体をつらぬいた
なにか、いままでなかったものがむりやりやってくるような・・・
周りを見ると、ほぼすべての人がさっきのガウリィそっくりの表情で空を見ている
つられて空を見上げてみる


空が割れている


それを理解するまでにかなりの時間がかかった
空のすみきった青色
その一部に、唐突にそれは姿を見せていた
まるでガラスに入る亀裂のように
空が割れようとしている
いや―――

『割れる………!』

誰かがそうつぶやいた
そして、その言葉どうり
空が割れた
音すら立てずに 唐突に
「・・なっに・・・・?」
横でゼルが驚愕の声をあげている
しかし、リナにはその声さえ聞こえていなかった
割れた空の向こう
その先に、先ほどの青とは違う青
例えるなら漆黒の青、とでも言えばいいだろうか―――――
しかしそれすらもリナにはどうでもよかった
今、リナの意識を支配しているのは―――――
その青の先に、さらに青いものがある
しかしそれは・・・
竜だ
青い竜がいる
その場にいた全員の視線がその竜に集中している
それほどに 美しい
そして、その竜がゆっくりと真下の山へと降りている
なにやら竜が何か叫ぼうとしたらしいその瞬間

ぐごぅ!!!

すさまじい音を立てて突如現れた火柱に竜が包まれる
竜はしばらく苦しそうにもがいていたが、やがて
ふっと 唐突に姿を消す

数秒の間
その沈黙を破ったのはアメリアだった
「リナさんいきましょう!」
そう叫んだかと思うともうかなり遠くまで飛んでいっている
「ちょっと!!アメリア!!!まちなさいって!」
叫びながら呪文を唱える
「レイ・ウイング!」
ガウリィを思いっきり引きずりながら―――――
リナ達は山に向かってさらに速度をあげた


そのころ――――
はぁ……
ゼロスは聞こえよがしにため息をついた
理由は、自分がさっき受けた命令である
つい今、おそらく人間でも感じられただろう多大な変化
おそらくどこぞのアホが世界全体を区切っている結界を破って無理やりこの世界に入ったのだろうが……
その現象が昨夜の自分の考え事に見事に一致したのと、今日が久々の休暇だったことと重なって
さっきからため息ばかりついていたのだ
しかし、実は主体的な理由はそれではない
その…結界を無理やり破ったどこぞのアホに、かなり確実的な心当たりがあったのだ
しかも、その予想がもしあたってしまうと………
(おそらく、この先一ヶ月、僕は胃に穴があきっぱなしってことに……)
それは我ながらぞっとしない考えだった
まあ考えても仕方ない
意を決して先ほどから困った顔をして自分を見ていたしたっぱ魔族から転移先が書かれたメモを受け取る
と…
どごずごばごどがどづ!!!
「ちょっ・・・っ!どうしたんです!ゼロス様?!」
すさまじい音を立てて地面に突っ伏したゼロスに驚くしたっぱ魔族
メモには太い字でこう書かれていた
『フィリア宅』
と―――


あああーーーーーー!!!!
なんだこのむちゃくちゃな展開はぁぁーーーーー!!!!
いくら文才がないからって、こんな、こんな・・・
うううーー
第二話はもうぢょっどうまぐ書げるよう努力じまずぅぅーーーー!!
うう、こんな、あんな、竜って竜って・・・・
以後2時間こんな感じがつづく・・・・・

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7990Re:ゼロスのちょっと変わったお友達?(初投稿)深剣李杏 E-mail 2002/1/25 22:39:04
記事番号7986へのコメント

初めまして、深剣李杏(みつるぎいあん)と申します。
えっと、私も?此処に来たばかりで日が浅く
投稿どころかコメントつけるのも初めてだったりするのですが…

小説すごく面白いですっ。力不足だなんて、私と比べれば…
すいません;私と比べられても…って感じですよね。
でも、ほんとにいいですよー。話も面白いし、キャラとか個性だしてるし。
特にゼロスの
(おそらく、この先一ヶ月、僕は胃に穴があきっぱなしってことに……)
なんて、困ってるとこが良いです。
文章から伝わるゼロスらしさがとても。

2話目楽しみにしていますー。がんばってくださいね。それでは〜。
(はぅ〜、私も投稿しよっかな?)


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7995大感謝!!!ですしなつ 2002/1/26 23:38:44
記事番号7990へのコメント

ああ!!
こんなずたぼろ小説に感想がぁぁぁーーー!!!
うう、泣くほどうれしいーー
そうですかぁー
ぜろすよさげでしたかー
感動です!
これからこれを励みにがんばりますです
ホンッとにだい感謝です
ありがとうございました

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7993はじめまして一坪 E-mail 2002/1/26 13:42:14
記事番号7986へのコメント

投稿ありがとうございましたー!

ほほう。おもしろいですねー。
かなり大きな展開になりそうで楽しみです。

連載ガンバって下さいね!

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7996ゼロスのちょっと変わったお友達?2しなつ 2002/1/26 23:45:28
記事番号7986へのコメント

さあ、立ち直って第二章を書こう!(開き直り)
話の内容は・・・
なんかそんな感じな話です(?)
では、私のテンションが普通なうちに、
はじまりはじまり〜


第二章
 〜なぞのくそがき〜


明るい日差しを受けながら
リナ達はふたたびフィリアの家にお邪魔していた
まだフィリア宅を出て1時間とたっていなかったため、フィリアは面食らったようだったが、
特に何も聞かず中に通してくれた
今事情を話し終えたところである
しかし、その事情も事情なのでフィリアはあやうく卒倒するところだった
今リナのいる部屋にはベッドが三つあり、それぞれに誰かが寝ている

あの山についたとき、なぜかはわからないがガウリィが血だらけになっていた
おそらく何か凶悪な獣にでも襲われたのだろう
ガウリィがこんなことになってるのにきずかないなんて――
リナはかなり後悔したようだった
しかし後悔の気持ちを語っているあいだ、ガウリィが必死にリナを指差して何か訴えているのは
無視したようだったが

そのため、ベッドの一つには包帯ぐるぐる巻きになったガウリィがいたりする
あとの二つには、あの山で保護した子供がいる
一人は14歳くらいの少女で、金色の髪に、青を主とした服装をしていて、顔に笑みがあったりする
何か誰かさんを思い出させる容姿である
もう一人は、同年代の少年で、聞いたことのないメーカーの帽子をかぶっている
その帽子のつばと、なぜかそこだけ長めの黒い髪のせいで、右目は隠れた状態になっている
かなりかっこいいタイプの少年だ
発見したとき、二人ともかすり傷程度のけがしかしていなかったので、
実はガウリィのけがが一番ひどかったりする
ただし、たいしたけがでなかったとはいえ、少女のほうは軽いやけどがあったので、
とりあえずフィリアの家に戻ったのだ

その少女の治療も終え、今はその少女たちついてのいい合いを行っていた
しかし、アメリアがこれはなにか恐ろしいことの前触れだと言い切ってフィリアん家のテーブルを壊すわ
フィリアがこれもあの生ごみ魔族のせいだといってぷち切れて竜の姿になるはで
まったく話が進んでないのだが―――
「……あ、あれ?」
と、話が白熱しまくっていたそのとき
「あ、目、さめた?」
ベッドで寝ていた少女が目を覚ました。なにやら周りをきょろきょろと見回してぽかんとしている。
「えーと」
困ったような顔をしてなにやらぶつぶつつぶやいている。
「とりあえず、状況を説明してやるべきじゃないか?リナ。」
「そうねー。」
ゼルの指摘にうなずくリナ。
(んー。どこからはなせばいいのやら。)
とりあえず頭の中で話を整理して。
リナの状況説明が始まった

「と、ゆーわけで、理解できたかなぁ?」
「あー。」
そして状況説明が終わったときには。
すでにあたりは夕方になっていた。
「えーとつまり、えっとその。ま、まあ、細かい感情内の描写や
 細かい物語の背景などを除けば、おおむね話は理解できました。」
「そう。」
満足そうにうなずくリナ。
周りを見るとなぜかゼルが後悔のまなざしでこちらを見てるし、アメリアはなぜか失神寸前だし、
フィリアはすみっこでいじけてたりしてたが。
まあそこらへんは無視(あっさり)
「ところでかなり前から気になってたんですけど…」
少女が控えめに聞いてくる
「私のほかに誰か倒れてませんでした?」
「え?」
思わず言い返すリナ
「ああ、あなたが寝てたベッドの隣で寝てるわよ。」
「あ、あのみいらさんがですか?」
おどろいて聞いてくる。
「え、あ、ああ、あれは違うわよ。もう一つのほう。」
「だれもいませんけど……」
「いないわけ……」
言いかけてアメリアが硬直する。
確かにベッドには誰もいなかった。
(う、うそ……)
しばし呆然とする一同
「あ、なんだ、そこにいたんですか。」
のんびり少女が違う方向を見ていう。
それにあわせてリナたちもその方向を見る。

びしっ

瞬間、思いっきり硬直する
一同が振り向いたさきには、先ほどアメリアが壊したはずのテーブルが修復してあった。
そしてそこにあの少年がおもいっきりリラックスして座っている。
しかもいつ持ってきたのか、お茶を飲んだりしている。
さらに新聞を読んだりしている。
(て、ゆーか…?)
いつのまに……?
まあそれがリナのくそ長い説明の最中なのは明らかだったが……

「で、あなたたちはいったいなんなんですか?!。」
ぴしっと指差して言うアメリア。
「うーん。」
それにたいして少女は説明を考えているようだった。
少女の隣にはあの少年がたたずんでいる。
「まあ、まずは自己紹介からってことでいいですか?」
「うーんそうね。」
まあ、いつまでも少女と少年じゃね―――
そんな考えがリナの脳裏をよぎる。
「じゃあまず―。」
といってとなりの少年を見やる。
「このなんだか目つきと性格が悪そうに見える人ははシルフさん。なんか目つきと性格が悪そうに見えますけど
 ほんとは正確いい人だと思える日が1000000年ぐらい付き合ってみればあるかもしれないかも 
 知れませんから希望を捨てないほうがいいともおもったりしちゃうかもしれない人です。」
「まてこら。」
しれっとしていやみを言ってくる少女にたいして露骨に不満な声を上げるシルフ。
「で、わたしが、」
と、言いかけた少女を無言で制するシルフ。
「こいつはエリス。こうしてみると性格よさそうに見えるがほんとはとんでもなく性格が悪い天然的なアホだ
 なんかとりえがないように見えるがひょっとかしたらあるかもしれないからひまならさがしてみたらいーかもしれん。」
「シルフさぁーんーー。」
恨みがましい声を上げるエリス。
「なるほど…。」
と、ここから細かい質問に入ろうとしたとき、
「あのぉー。」
エリスが声を上げる。
「どうかしました?」
と、フィリア。
「トイレどこですか?」
一同大こけ

フィリアにトイレの場所を聞いたエリスとシルフが行った後
「なんなんでしょうね?あの二人。」
すこし意気をくじかれたようにアメリア。
「さあな。」
クールにゼル。
「まあ悪いやつってわけでもなさそうだけど…。」
考えながらリナ。
「でも――。」
と、なぜか不機嫌な声を上げるフィリア。
「あのエリスって子、みてるとあの生ごみ魔族がちらついて―――。」
「へえ、ぼくがですか?」
「なあ!!!?」
おどろきの声を上げるフィリア。
いったいいつからいたのか――――――
テーブルにゼロスが座っていた

うううーーーーー。
ま、まあ、前よりはうまくできたかもしれない。
ア、ああ、でもこんなとこで切ってどうするんだろーーー。
あははーーーーーーー(崩壊)

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8009ゼロスのちょっと変わったお友達?3しなつ 2002/1/29 20:55:02
記事番号7996へのコメント

さて、話がまとまったところで第三章、いってみよっ!
まあここまで見てくれてる人なんていないと思ふ…
ま、いいか。
とにかくはじまりはじまり〜



〜第三章〜
『陰険・極悪・天中殺式・人道踏み外しまくり混沌形生物』



獣神官ゼロス
「グレータービースト・ゼラス・メタリオム」の腹心のプリーストで、
その性格は冷酷残忍の一言に尽きる。
まるで魔族の見本みたいなやつで、普段は人のよさそうな顔をしてはいるが、目的のためなら
手段を選ばない性格をしている。まさに魔族丸出しの男である。
そのくせ魔族の中では魔王とその五人の腹心とを除けばならぶものもいないほどの強さを誇る。
とにかくつかみ所のない男である。

           
目の前に突然現れたゼロスを凝視しながら、
とにかくリナはこの男に関して自分の知りうる限りの情報を頭の中に並べていた。
まあこの男がこんなふうに突然現れるのはいつものことで、特に驚きもしていなかった。
(ん………?)
ふと……、何か不自然なものを感じた。
目の前にいるゼロスをもう一度観察してみる。
先ほどシルフが座っていたのと同じテーブルに座って、のんきにお茶をすすりながら新聞を読んでいる。
(そうか……)
ようやくきずいた。ようするにゼロスは、さっきのシルフと同じような格好で座っているのだ。
よく見てみると、読んでいる記事まで同じだったりする。
そこには見間違えるはずもない大きな文字でこう書かれていたりする、
『三ヶ月前の大爆発は魔王が滅びた証拠?』
その記事を、先ほどのシルフと同じような速度で読んでいる。
それはどこか不思議な光景だった。
「で、なにしにきたんですか?ゼロスさん。」
と、警戒しながらアメリア。
「おや、みなさん、あまり驚かれていませんね。」
少しばかり残念そうな顔でゼロス。
「ま、あんたがこんなふうに突然現れるってのも、もうなれたしね。ついでに言う と 、あんたがここにきた理由ってのも、だいたいわかってるわよ、ゼロス。」
「え、なんですか?理由って?」
どうやら本気で言ってるらしいアメリアに、肩をこけさせるリナ。
「あのねぇアメリア、この中間管理職神官がここにくる理由っつたら一つ、つまり、さっきの不可思議現象に決まってるでしょうが!!」
「ま、そういうことですかね。」
いまだに新聞を読みながらしれっと答えるゼロス。
「で、なんなわけ?あの子らは?」
「異世界からの訪問者ってトコですか…………。」
とたんに重々しい空気があたりを包む。
まあ、だいたい予想していたことではあったが。
それにしても………この世界はよくよくそういうことが多いな………………
そうリナはつくずく思った。

沈黙

そのゼロスの一言のあと、かなり長い沈黙が続いた。
みんながみんな何か聞きたそうな顔をしてはいたのだが…。
その質問の相手、つまりゼロスがなんというか……。
何か聞きたそうな顔をしまくっていたのだ。
なんか聞きたくても聞くべきか聞かぬべきか迷っているような、そんな顔。
やがて、決意を固めたのか、ようやく口を開き
「あのぉ、ひょっとしてその、少年と少女、ってゆうのは………。」
「あのぉ、すいません、探してみたんですけど、やっぱりトイレの場所、
わからな くて……。」
と、ゼロスの言葉の途中でそっくりのですます口調、
「エリスさん。」
とつぶやいたのはアメリア。
先ほど出て行った扉にいつからいたのかエリスがよりかかっていた。
(ちょうどいいわ……)
彼女のことをゼロスに説明しようと彼女を見やり―――
と、そこできずいた。
エリスの表情が、すさまじくこわばっていることに。
なにかものすごく驚いている。
そんな表情。
ゼロスはゼロスで目を見開いておどろきまくってるし。
(なんだかなあ、この展開は…………。)
どうしたもんかと考えていたら………
「おーい、エリス、がんばって探してみたらトイレあったぞーーーぉ。」
ひょっこりシルフが顔を出す。すると…………

ひきき

ゼロスの顔にはっきりとした驚愕がはしった。
先ほどまでの単なるおどろきとはちがう、明らかな驚愕の色。
口はいつもの笑顔を保ってはいたが、両端がひくひくとひきつっていて、開ききった目に今までみたことが
ない感情がみてとれた。
はっきりいってしまうと、目を開いたゼロスがここまでまぬけな表情を見せることなど、想像したこともなかった。
シルフのほうを見てみると、ゼロスとまったく同じような表情でゼロスを見ている。
(やっぱにてるは、このふたり)
そんな考えがリナの頭をよぎる。
――まるで鏡に映った自分を見ている気分じゃないの?――
どこからか聞こえてきた幻聴をかぶりをふって振り払う。
ちらりとよこに立っているエリスに視線をめぐらすと、なにやらこれからおこることにとてもわくわく
しているようだった。
とりあえずいま、彼女が一番冷静か…………。
そう判断して、とりあえず彼女に事情説明を求めようと―――

すぅ―――

そんな音が聞こえたわけではない。
聞こえたところで、それは幻想だろう。
そう考えられるくらいの自制はあるつもりだった。
状況説明を求めようと口を開きかけたちょうどそのとき、文字どうりゼロスが、すぅっと手をあげて
人差し指でシルフを指した。
…………!!
その場にいた全員(3人除いて)に緊張がはしる。
まさかいきなりこの街ふっ飛ばしたりしないだろうが……
だが可能性がないわけではない。フィリアはいつでも竜になれる準備をし、アメリアとゼルは防護用の
呪文を唱え始めている。
額にいやな汗が流れるのが自覚できた。
(さあて、どうでるか)
そして、ゼロスが口を開いた。
「やはりあなたでしたか!!
陰険・極悪・天中殺式・人道踏み外しまくり混沌形生物!!!!!」
「なにがじゃああああああああああああああああ!!!」
ゼロスのよくわからん発言におもいっきり切れたらしい。
シルフが大声をだした。
「おや?なにが『なにがじゃああああ!』なんです?」
「ざあとらしく疑問をなげかけるな!だれが陰険・極悪・ええっと……
なんかそんなかんじな生物だ!!!」
「おや、おや…まさかあんな短い台詞も覚えられなかったんですか?
後半が生物しかあってませんよ。」
「やかましい!あんだけ長々と間をあけといて、言い出したことがあれじゃあ
覚える気も失せるわ!!」
ゼロスはあからさまに落胆したようだった。指を額にあて、嘆息してつづける。
「まったく…いいですか?僕が何をいったかというと―――。」
「もう思い出したわボケたれが!!!というか!なんで陰険だ!
なして人道踏み外しまくりだ!!」
「まったく、自覚症状ゼロのセリフもそこまでくると天然記念物ものですね!
 どうです?今度国に進呈願いを出したらどうですか?」
「ですます口調で皮肉るな!!!むかつき度千倍じゃくそボケ!!!
俺が言いたいのはそういうことじゃなしに!お前のさっきのセリフは何を
根拠にいっとるんだ!!!」
「なにを言ってるんですか?
 全世界対象の『極悪人は誰だ!』アンケート三位の実績を考慮しての
ことですよ。」
と、そこで双方一度息を切った。
ぜいぜいと息を切らしながら険悪な表情でにらみ合っている。
が、二人には周りの光景が何も見えていないようだった。
周りにいたすべての人間が、なんというか、かたすかしを食らっていた。
さきほどまでの緊迫した空気はどこへやら、全員呆然自失、あっけにとられている。
まさかあそこからこんな状況にいってしまうとは思っても見なかったのだろう。
そしてまた、言い争いが開始された―――――――


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ああ、また変なところで区切る私………
でも、もう1話くらいでおわりそう………
終わったらしばらく休養しようかな
見てくれてる人がいたら感想くれるとうれしいです

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8011Re:ゼロスのちょっと変わったお友達?3深剣李杏 E-mail 2002/1/29 22:16:07
記事番号8009へのコメント

こんにちは〜、深剣です。
今来てみたらいつの間にか2と3がUPされてましたので、コメントを。

>ゼロスの顔にはっきりとした驚愕がはしった。
>先ほどまでの単なるおどろきとはちがう、明らかな驚愕の色。
>口はいつもの笑顔を保ってはいたが、両端がひくひくとひきつっていて、開ききった目に今までみたことが
>ない感情がみてとれた。
>はっきりいってしまうと、目を開いたゼロスがここまでまぬけな表情を見せることなど、想像したこともなかった。

間抜けって、間抜けって…いったいどんな顔なんだろう?

>シルフのほうを見てみると、ゼロスとまったく同じような表情でゼロスを見ている。
>(やっぱにてるは、このふたり)
>そんな考えがリナの頭をよぎる。
>――まるで鏡に映った自分を見ている気分じゃないの?――
>どこからか聞こえてきた幻聴をかぶりをふって振り払う。

ちっちゃいゼロスってところなんでしょうか?

>ちらりとよこに立っているエリスに視線をめぐらすと、なにやらこれからおこることにとてもわくわく
>しているようだった。
>とりあえずいま、彼女が一番冷静か…………。
>そう判断して、とりあえず彼女に事情説明を求めようと―――
>
>すぅ―――
>
>そんな音が聞こえたわけではない。
>聞こえたところで、それは幻想だろう。
>そう考えられるくらいの自制はあるつもりだった。
>状況説明を求めようと口を開きかけたちょうどそのとき、文字どうりゼロスが、すぅっと手をあげて
>人差し指でシルフを指した。
>…………!!

一体何をしようというんだ、ゼロス。

>その場にいた全員(3人除いて)に緊張がはしる。
>まさかいきなりこの街ふっ飛ばしたりしないだろうが……

ゼロスならやりかねないと思うんですが…

>だが可能性がないわけではない。フィリアはいつでも竜になれる準備をし、アメリアとゼルは防護用の
>呪文を唱え始めている。
>額にいやな汗が流れるのが自覚できた。
>(さあて、どうでるか)
>そして、ゼロスが口を開いた。
>「やはりあなたでしたか!!
> 陰険・極悪・天中殺式・人道踏み外しまくり混沌形生物!!!!!」

いきなり悪口?ですからねー。ってゆーかゼロスが悪口なんて
ギャップがありすぎて面白いし

>「なにがじゃああああああああああああああああ!!!」
>ゼロスのよくわからん発言におもいっきり切れたらしい。

そりゃいきなり悪口言われてニコニコしてたらそれこそ怖いしー。

>シルフが大声をだした。
>「おや?なにが『なにがじゃああああ!』なんです?」
>「ざあとらしく疑問をなげかけるな!だれが陰険・極悪・ええっと……
> なんかそんなかんじな生物だ!!!」
>「おや、おや…まさかあんな短い台詞も覚えられなかったんですか?
> 後半が生物しかあってませんよ。」
>「やかましい!あんだけ長々と間をあけといて、言い出したことがあれじゃあ
> 覚える気も失せるわ!!」
>ゼロスはあからさまに落胆したようだった。指を額にあて、嘆息してつづける。

ゼロスがやるとさまになりますねぇ。

>「まったく…いいですか?僕が何をいったかというと―――。」
>「もう思い出したわボケたれが!!!というか!なんで陰険だ!
> なして人道踏み外しまくりだ!!」
>「まったく、自覚症状ゼロのセリフもそこまでくると天然記念物ものですね!
> どうです?今度国に進呈願いを出したらどうですか?」
>「ですます口調で皮肉るな!!!むかつき度千倍じゃくそボケ!!!
> 俺が言いたいのはそういうことじゃなしに!お前のさっきのセリフは何を
> 根拠にいっとるんだ!!!」
>「なにを言ってるんですか?
> 全世界対象の『極悪人は誰だ!』アンケート三位の実績を考慮しての
> ことですよ。」

あはははははは…っ。つぼです,つぼ!面白すぎっ。
シルフってそんなアンケートで3位取っちゃうほど極悪人なんですか?
ってゆーか絶対ゼロスも上位ランクイン間違いなしだと思ふ。

>と、そこで双方一度息を切った。
>ぜいぜいと息を切らしながら険悪な表情でにらみ合っている。
>が、二人には周りの光景が何も見えていないようだった。
>周りにいたすべての人間が、なんというか、かたすかしを食らっていた。
>さきほどまでの緊迫した空気はどこへやら、全員呆然自失、あっけにとられている。
>まさかあそこからこんな状況にいってしまうとは思っても見なかったのだろう。

絶対思いませんでしたよ〜。

>そしてまた、言い争いが開始された―――――――
>
イメージしてみるとかなり笑える場面が浮かんでくるのですが。
ゼロスってばいつも冷静で、めったに切れませんから
そんなゼロス見る(読む)のは面白いです。
>◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
>
>
>ああ、また変なところで区切る私………
>でも、もう1話くらいでおわりそう………
>終わったらしばらく休養しようかな
>見てくれてる人がいたら感想くれるとうれしいです

感想少ないですが…もっと書きたいんだけどボキャブラリー少なすぎだし(泣)
それにしても、続きすっごく気になります。がんばってくださいね〜。

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8049おお!!しなつ 2002/2/5 10:19:26
記事番号8011へのコメント

ああーーーーー!!深剣さ〜ん!あんたってひとは〜〜〜
何でそんないい人なんだ、こんなだぶんにまたかんそうをおくってくれるなんて…
これおはげみにまたがんばろう!
あと、4のせときましたんで、またよかったら見てくださいね!

>間抜けって、間抜けって…いったいどんな顔なんだろう?

?そういえばどんな顔だろう…(おいっ!)

>一体何をしようというんだ、ゼロス。

はは、すいません期待させといてあんなんで…… 

>ゼロスならやりかねないと思うんですが…

ですなーーー

>いきなり悪口?ですからねー。ってゆーかゼロスが悪口なんて
>ギャップがありすぎて面白いし

そういっていただけると幸いです!

>そりゃいきなり悪口言われてニコニコしてたらそれこそ怖いしー。

それが4ではにこにこしてたりする……(こわっ)

>あはははははは…っ。つぼです,つぼ!面白すぎっ。
>シルフってそんなアンケートで3位取っちゃうほど極悪人なんですか?
>ってゆーか絶対ゼロスも上位ランクイン間違いなしだと思ふ。

ふふふ、そう!シルフはとにかく極悪です!
 まあ、そこら辺は続編でだんだん明らかにしていきます(まだやるきかい)

>絶対思いませんでしたよ〜

まあ、だれも思わなかっただろうな〜 ゼロスのイメージに反してるし

>イメージしてみるとかなり笑える場面が浮かんでくるのですが。
>ゼロスってばいつも冷静で、めったに切れませんから
>そんなゼロス見る(読む)のは面白いです。

ありがとうです、是非4を呼んでみてくださいね!(調子にのるなっちゅうに)

>感想少ないですが…もっと書きたいんだけどボキャブラリー少なすぎだし(泣)
>それにしても、続きすっごく気になります。がんばってくださいね〜。

感想少ないなんてとんでもない!すごくうれしいです!!
 がんばりますので応援よろしくお願いします!!(ぺこり)

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8048ゼロスのちょっと変わったお友達?4しなつ 2002/2/4 19:31:34
記事番号8009へのコメント

第4章
  〜意味のない言い争い〜






そしてまた、言い争いが開始された―――――――
「なにをまたざけたこと抜かしとんじゃアホ!
 なんだ、その『全世界対象の極悪人は誰だアンケート』ってのは!」
「いや、なんだっていわれても……
 全世界の人を対象にしたあなたの思う極悪人を言ってもらうアンケートですけど…」
「いや、そんな聞かんでもわかるようなことじゃなくてだな…………」
半眼でにらみながらシルフはぼやいた。
どうやら自分の聞きたかった答えが返ってこなかったのが不満であるらしい。
「つまり、そんなアンケート実際にあるのかってきいてんだ!」
「あるにきまってるじゃないですか。」
しれっとして答えるゼロス。
それに対してシルフは。
「ほぉう、そうか、あるんだぁ…」
なにやらとてつもなく恐ろしい声を上げている。
それも満足そうに口元に笑みを浮かべながら、である。正直かなり怖い。
どうやら、今のゼロスの答えは彼にとって言ってもらいたかった答えであるらしかった。
それを見てゼロスが不思議そうに眉根を上げている。
ゼロスとしては、今の自分の発言に言葉をなくすシルフを予想していたようだった。
「ふっ、ふっ、ふっ、どうやらその不思議そうな顔から察するに、
 お前は今の発言で俺が言葉を無くすとでも予想していたんだろう…?」
思っていたことをずばり当てられて、ゼロスの顔色が変わる。
「ふっ、甘いな!お前のその言葉はすでに予想済みだ、アホ!
 俺をそんな手にひっかるどこぞの馬鹿と一緒だと思うなよ!
 やーい、やーい、あんだけしれっと言っといてあっさりよまれてやんの、
 ばーか、ばーか、ゼロスのアホたれーー、わんぱたーん、中間管理職ーー、なま ごみーー」
さんざん低レベルな悪口をきかせられて、もうゼロスは爆発寸前、とばかりに、
かたをいからせ、顔がひきつりまくっている。
(ひ、低い。レベル低すぎるぞ、この口げんか……)
さきほどから呆然と事の成り行きを見守っているリナたち。
まあ、低いといっても、あの二人のどちらもばか、というわけではない。
というか、ここまでやってどちらも相手のペースにはまっていないため、
なにやら低レベルになっているのである。
自分がゼロスとやったなら、もうとっくにゼロスのペースにはまっているんだろうなあ――
と、リナは静かに納得する。
とくにさっきの「あるにきまってるじゃないですか。」、というところ。
あそこまでしれっと言われたら、たぶん自分はゼロスの狙いどうり言いくるめられていただろう。
しかし、内容が内容であるだけに、低レベルな喧嘩にしか見えていないのがなんだか悲しい。
(もうちょっと高レベルな話に発展しないんでしょうか……)
と、これはアメリアの意見。
まあ、それはどんな奇跡が起ころうとまず無理だろう。
「北のお山で氷ずけになっとるようなやつに頭上がらないくせにーーー、
 ちょうしこいてんじゃねーぞおーーーー♪
 ごきぶりパシリ魔・ぞ・く・♪」
(……なんかもうゼロスがかわいそうになってきた――――)
あんなにゼロスをきらっていたフィリアまでゼロスに同情している……
とにかくシルフは悪口絶好調モードにはいっていた。
ゼロスは何とか反撃を試みているが、もう逆転できそうにない。

しばらくおまちください


「ふう、相手の欠点てのは、こうゆうときのためにあるんだろうなぁ。」
約三分後、どうやらようやく打ち止めになったらしく、シルフが汗をぬぐう。
もうそのころには、ゼロスは精神的なダメージでぼろぼろのようだったが。
「さて、そろそろ本題に入るとすっか。」
…本題って……じゃあ今までのは?ねえ、いままでのは?
「つまり、あくまでその『全世界対象の極悪人は誰だアンケート』は実際にあるわ けだな?」
まだ続いてたのか?その話題。
「ええ、もちろん。」
いたむのか胸のあたりをさすりながら答えるゼロス。
「ふん、甘いな、残念だがゼロス、お前の今の話には決定的な誤りがある。」
「…ほう、というと?」
緊張感を漂わせながら――なんでこんなくだらないことに緊張感を漂わせられるんだか
わかりかねたが―――とりあえず二人はにらみ合っていた。
「はっ、いいか、その話の誤りはだなぁ、順位だ。」
「順位?」
ゼロスがわずかに眉をひそめる。
「って、シルフさん、やっぱり15位とか56位とか82位とか789位とかがよ かったんですか?」
「いや、全部だめ。つーか、なんだって全部微妙なのばっかなんだよ…」
((まったくもって………))
全員の心の声がハモる。
「いやだからだ、もし100歩ゆずってんなふざけたもんがあったとしてだ、」
「だからあるんですって。」
「へえー、まあ、お前がそこまで断言するってことは、まあ、あるんだろうけど  よ、お前、アンケートは実際にあるつったけど、順位が本当だとは一言もいって ねーだろ。」
「うっ………」
ゼロスが痛いトコつかれた、というふうにうめき声をあげる。


「へえ………」
表情にかすかな驚きを宿らせつつ、エリスが感嘆の声を上げた。
楽しそうにその様子を見ながら、初めて瞳の色がわかるくらいに目をあけている。
瞳の色は黒味のかかった青色。
まるで先ほどの割れた空の奥に広がっていた漆黒の青のような………
(間違ってた…)
エリスを横目で見ながら、リナは自分の根本的な間違いにきずいていた。
(最初、倒れてるのを見たときから、あたしよりちっちゃい子だって思ってたけど…)
実際、立っているのを見たら、背丈は自分よりほんのわずかに小さいくらいだったし、
なにより、目をほんのわずかにあけて、ゼロスたちの口げんかを落ち着いた雰囲気で見ている
その様子は、なにか、言葉ではあらわせない大人の雰囲気をかもし出していた。
きっと、この小さな女は自分よりずっと大人だろう――――
リナはそう思わずにはいられなかった。


そんなリナの胸のうちなど知るはずもないアホ二人組は、さらに低レベルないい争いを続けている。
「あーーーー、その『うっ…』は!やっぱりうその順位言ってやがったなーー  ー!」
「い、いや、本との順位のほうが高いもんですから…なんかむかついたので
 ちょっと下げようかと………」
「んなわけわからんアンケートに対抗心燃やすなぁぁぁぁーーーーーー!!!
 とゆうか下げたら下げたで3位なんて果てしなく微妙な数にするなぁぁーーーー!!!」
「果てしなく微妙って……82位とか789位よりはましだと思いますが……」
「いや、そりゃそうかもしれんが……だいたい!そうゆうランク付けの時そおゆうごまかしするなら
 一位かそうでなきゃ、最下位にしろ!どうせなら!」
びしっとゼロスを指差しながら、きっぱりと断言する。
「………一位はわかるとして、何で最下位なんです?」
少し疲れたのか頭を抑えてゼロス。
「だって俺、今まで生きてきた人生で、一位と最下位しかなったことねーし。」
「ほう、そうなんですかぁ……」
シルフの言葉を聞いたゼロスが、恐ろしく冷たい声を出した。
反撃への糸口を見つけたのかもしれない。
「そんないいんだか悪いんだかわからない微妙な人生歩んできたものだから、
 冷徹非常な性格になっちゃったんですねぇ、あなたは。
 しかも冷徹非常なだけならまだしも、魔族すらふるえあがらせる極悪非道さと、
 へーきで弱者をいたぶれる性根ねじくりまがった精神までもちあわせちゃって、
 いったいこれから何人の人間を不幸にしていくんでしょうねぇ。」
うんうんと、一人でなっとくしながら皮肉たっぷりの反撃を切り返す。
「………………はは。」
それを聞いたシルフが、笑う。
かすれても、怒っても、楽しそうでも、悔しそうでも、むかついてもいない。
ただの、笑み。
青筋一つ立てずに、何の感情も見せない。
何のことはない、ただの笑み。
「………ふふ。」
そして、それとまったく同じ表情を見せながら、ゼロスもまた、笑った。
そのまま、笑顔で向き合い続ける、両者。
睨みもせず、罵りもせず、ただただ笑いを浮かべて向かい合う。
しん………っと、さっきの言い合いが嘘のような、完全な静寂。
外の虫の声さえ、聞こえない。
今は夏の夕方、虫が一番騒がしい時間帯のはずである。
そんな不気味としか言いようのない静寂が、かなりのあいだ続いた。

ばきぃぃぃぃぃん!!!
突然、何の脈絡もなく、シルフの後ろにあるベッドの一つが真っ二つにへし折れる。
のおおおおぉぉぉぉぉううううううーーーーー!!!!!
なんだか変な悲鳴を聞いた気もする。
ぶちいぃぃ!!!
続いて、ゼロスのよりかかっている窓のカーテンがぼろぼろにちぎれる。
「はははははははははははははははは………………!!!」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふ………………!!!」
腹の底から出ているような不気味な笑い声が、両者から紡ぎ出される。
びきびきと――――
幻聴ではなく、実際に二人のあいだにある空間が、びきびきと音を立てている。
それまでことを傍観していた周りの人間も、即座に部屋の隅っこに非難する。
そのあいだにも、壁が裂け、床がえぐれ、だんだんと被害がひどくなっている。
(後始末たいへんだろうなあ、フィリア)
他人事のように思い、視線をフィリアに向けると、何かが壊れるたびにフィリアが
口をぱくぱくさしているのが目にはいった。
(ご愁傷様。)
非人情なことを心の中で告げると、もはや低レベルともいってられなくなった
喧嘩に視線を戻す。
と……
「へ………」
エリスが平然と、さっきとまったく同じ場所に立っているのが目にはいった。
「ち、ちょっとぉ、あんた!」
――危ないわよ!
そう続けようとしたそのとき、

どんっ!!!

ひときわ大きな音が鳴ったかと思うと、ファイヤーボールの、ゆうに十倍の質量の火球が突然現れ、
あろうことか、吸い込まれるようにエリスの方へと突き進んでいく。
「………!」
あわてて呪文を唱えるが到底間に合わない。
(よけてぇ!)
声にならない声で、そう叫んだ時―――

ぱちぃぃん――

何の音か―――
一瞬わかりかねたが、それがすぐにエリスが指を鳴らした音だと分かった。
そしてそれに呼応するように、エリスのほんの数十センチ手前だろう………にまで接近していた
火球が、音も立てずに無数の火の粉になった。
そして火の粉は、地面につくこともなくあっさり虚空で消滅する。

「………そん…な」
かすれた声でつぶやいたのはゼル。
今、目の前で起こったことが理解できずに、硬直する一同。
当のエリスはというと、別にどうもせず、こちらに背を向けたまま二人の喧嘩をじっと見ている。
それに合わせてリナたちも喧嘩を見る。
ちょうど、二人が同時に息を吸ったところだった。
そして、
「てんめえ、黙って聞いてりゃすき放題ほざきやがって……
 だいたい!何でよりによっておぉ、まぁ、えぇ、に!
 冷徹非常なんてゆわれなきゃいけねぇんだ!!
 お前に!!!
 自分だって人のこといえねえ位に極悪非道なくせに!
 どうせさっきの極悪アンケートでも上位にくい込んだりしたんだろうが!!
 人のこととやかく言う前に自分の性格をもうちょっと人に好かれるように改良したらどうなんだ!!」
「極悪非道なことに関してはあなたにだけは言われたくありませんね!
 それに!これだけはいっときますけど、僕が極悪非道なのはある意味当然です!
 なんたって魔族なんですから!ま、ぞ、く!
 性格がよくて人を殺すこともできずに平和を訴えてる間族が存在したらお目にかかりたいもんです!
 さっきの極悪アンケートだって僕は2位でした!あなたは僕に8票という末恐ろしい
 圧倒的な差をつけて1位をとっていましたよ!!!
 魔族と極悪度で勝負して勝てるような一級極悪品になってしまっているあなたのほうが
 よっぽど極悪ですよ!」
「なにがだ!なにが! 
 8ぴょうっつったってぜんっ――――ぜんっ差がないじゃねえかよ。バカ!
 その程度の差で2位なんてよくわからん順位とるくらいなら1位のほうが数百倍はましじゃ!
 それに、俺のこと極悪極悪って、一体こんなにやさしくてかっこいいナイスガイのどこが
 極悪だってんだ!」
「なっ、誰がナイスガイですか!誰が!背筋が凍るようなこと、むやみに口にしないでください!
 滅びちゃいます!」
「そんな細かいことはどおだっていい!
 いったい俺のどこが極悪非常で冷徹なんだ!いってみやがれアホ神官!!!」
細かいんでしょうか………?
エリスが小声でつぶやくのが聞こえる。
当の二人にはまったく聞こえていないようではあるが。
「ええ、言っていいんでしたら言って差し上げますよ!好きなだけ!
 どこが極悪非道か?そんなものは言わなくてもわかりきったことです!
 1年前の8月21日!
 今まで経験がないほどの暑さと強い風の日! 
 ただでさえいらついていたあなたが苅田町の木陰のたくさんある涼しい裏道
 を歩いていたとき、バカみたいにあなたにたいしてかつあげしてきた男たち、
 その数およそ21人!
 何でそんなにいるんだよと突っ込みたくなるほどの数の屈強な男たちに対して、
 どんなことをしたか覚えていますか?!」
「………聞くな。」
腕をくんで半眼で目をそらしながら答えるシルフ。
そんな態度を見ているのかいないのか、
「まあ、覚えてるわきゃないとは思っていました。
 まず、その21人の人間全員の骨を、もとの形がわからないくらいにへし折りました!
 そして次に!みもだえながら泣き叫ぶ21人にまったく動じることもなく
 魔術の集中乱射!
 静かな裏街道は3秒後には巨大なクレーターへと変貌をとげました!
 そして!その一団の主犯格と思われる男をロープでこれでもかというくらいにぐるぐる巻きに
 して地面に埋めて、横には『えさを与えないでください』の注意書き!!
 そしてさらに、黒焦げになって痙攣する男たちから金目のものをすべて剥ぎ取ったうえに一言!
 『ちっ、しけたもんしか持ってねぇじゃねえか。とんだ時間の無駄だったぜ、
  かつあげすんならもうちょっともっとけ、役立たず……』……」
握りこぶしをふるふるさせながら一気に話す。
最後まで話し終えたところでエリスがジト目でシルフを見ていたが、
あっさり無視したようだった。
「こんなことを表情一つ変えずにする人の、どこがやさしいナイスガイだって言うんです!」
「いや、あんときゃ本気で機嫌悪かったし、それに横で見てて止めないお前もお前だと
 おれはおもうぞ。」
「ものすごくうれしそうにロープを取り出すあなたを見れば、
 とめる気だってなくなります。」
半眼でつぶやくゼロス。
それを聞いて、
「なに言ってんだ、動けないものを見ると縛りたくなるのが人間ってもんだろ。」
「…そんなわけのわからないことを真顔で言い切れる時点で普通の人間の精神ではないと思います。」
「魔族が言ったところで説得力ナッシングだぞ。」
あっているようないないようなことをきっぱりと言う。
そしてさらにゼロスをぴしりと指差して、
「それに、お前だってそこらのチンピラによく熱衝撃波打ち込むじゃねーかよ。
 あれと俺のやってることがどう違うってんだ。」
「僕は街中にクレーター作ったりはしません。」
それを聞いていきなりシルフがエリスのほうを向く。
「どっちが極悪だと思う?」
エリスはそれを聞いてしばらく考えるような動作を見せた。
「50歩100歩だと思います。」
はっきり告げる。
「ということはお前の方が極悪だな。」
「なぜ!?」
ゼロスを指してきっぱり言い切るシルフ。
それに対してゼロスが不満の声を漏らす。
「俺が50歩でお前が100歩だから。」
「いや、そうまであっさり言い切られると………
 やっぱりシルフさんのほうが極悪です!僕は石を投げてきた子供にあっさり骨を折るような
 真似はできません!」
「何いいこぶってんだ!!お前だってがんばって鳥が運んできたエサ、あっさり遠くに飛ばして
 『はい、もう1回』とかやってたじゃねーか!!」
「人の大切な本どっかに隠して持ち主が慌てふためいてる姿見てほくそえんでる
 人に言われたくありません!!!」
「なんだよ!自分だって俺が3日かけてつくったハムスターぬいぐるみ、
 錐で吹っ飛ばしたくせに!!!」
「それを言うならシルフさんだって、僕が少ないおこずかいで買ったチョコケーキ、
 隠しておいたの食べちゃったじゃないですか!!」
「いい年こいてたかがチョコケーキ一つ買うのにあんだけ迷ってたら食べたくもなるだろーが!!!!
 お前だって俺の買って楽しみにしといた肉まん横からかっさっらって食べちまったろーが!!
 何時間並んだと思ってやがんだ!!」
「肉まん一つであんな幸せそうな顔されたらむかつくでしょう!!?
 そんなこというなら…………………………!!」
「………………!!!!」
「……………………………………………………………………!…………………!!」
意味のない言い争い。
そう、これは意味のない言い争いだ。
いつまでたっても平行線、1歩も進まないままわけもわからずただただ争う。
しかも、単なる言い争いなら終わるまで待ってもいいのだが、そうもいかない。
彼らが一言叫ぶたび、床はえぐれ、壁は吹き飛び、天井ははがれる。
そして、それを見るたびフィリアが失神寸前になる。
そこまで考えて、リナは嘆息した、いつまでもこうしてみているわけにも行かない。
このまま街が吹き飛びでもしたら、それこそ笑い事ではすまない。
(でも……………)
思わず顔をしかめる。自分にあれが止められるだろうか?
二人の周りにはいつのまにか乱気流が渦巻いているし、突然何もない場所から
光熱波が出現している。
再び嘆息する。無理だ、自分の力では近ずくことすらままならない。
近ずけたところで、あれを止める術はないだろう。
(収まるのを待つしかないか……)
フィリアには悪いが、後で盗賊いじめでもして店を直す代金をあつめよう。
そう思ったとき……、
「迷惑ですか?」
いきなりエリスが口を開く。
一同の目がそこに集まる中、しかしエリスは淡々と、
「迷惑ですよね?」
フィリアに同じ事を聞く。
「ええ、すっごく。」
幸い、まだ気絶していなかったのか、フィリアがはっきりと答える。
「止めますか?」
先ほどと同じ調子で、エリスが続ける。
「えっ…………?止める……………って?」
きょとんとしながらも聞き返す。
わかりにくかったかと思い、言い直す。
「止めてほしくないなら、止めません。でも、止めてほしいなら、止めます。」
「止めてください。」
それを聞いて、今度はあっさりとフィリア。
それを見て満足そうにうなずき、
「わかりました。」
冷静に続ける。
「でもどうやって?」
いまさらながら、しかし、間違ってはいないことを聞くアメリア。
たしかに、あの乱気流の中を進むのは危険だし、説得となると、問題外である。
「そうですね。」
あくまでにこやかに、そしてマイペースに進めるエリス。
別に考え込む様子もなく、むしろ楽しそうに、
「ここまで不毛な言い合いになってしまった以上、説得は無理でしょうし………ここは、」
と、いたずらっぽい笑みを浮かべて、
「ここは単純暴力で止めるしかありませんね。」
そこまで言うと、奇跡的に原形をとどめている唯一のいすをひっつかむ。
そして、平然と乱気流の中を進んでいく。
「うそぉ!!?」
すっとんきょうな声を上げるリナ。
確かに、あの乱気流の中を苦もなく進むとは、もはや人間の技ではない。
ひょっとすると、魔族………………?
そんな考えが頭をよぎる。
そしてそのころには、もうエリスは二人のすぐそこに立っている。
そして…………
「ん。」
「え?」
無言でいすを振りかぶったエリスに二人がきずいた時には………
誰がどう考えても遅すぎた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



うう〜〜〜。
終わるとか言っといていまだ終わらず………
でも、次こそきっと………!
「終わらないな。」
…………
くそーーー!!
絶対終わらせてやるーーー!!!!



2002年2月4日



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8083ゼロスのちょっと変わったお友達?最終しなつ 2002/2/11 15:34:51
記事番号8048へのコメント

最終章
 〜お友達〜



「うーーーーん、うーーーんバカ神官ー。」
「何言ってるんですか極悪人ーーーー。」
「…………………。」
寝言で喧嘩を続けるバカども(ゼロスとシルフ)をなんとなく見ながら、へんなところで
器用なやつだと静かに嘆息する。
さきほどまでエリスとシルフが寝ていたはずのベッドにはつい3分前、エリスが振りかぶった
いすにあっさりぶん殴られたアホ二人がやかましく眠っている。
「ゼロスに効果があったってことは、さっきのいすには……。」
そのゼルの問いの途中で、
「もちろん、きちんと魔術をかけてあります。」
少し得意げにエリスが続く。
殴ったときにいすについてしまった血をふき取りながらフィリアが出してくれたお菓子をぱくついている。
あのアホがぶっ壊したところはあっさりエリスが修復したのでおとがめなしとなった。
ただ、騒ぎをばっちり聞いていた近所のおばちゃんへの説明は困難を極め、結局落ち着けた
のは夜だった。
「て、ことは!あなたはゼロスさんが魔族だと知っているんですね!」
声を上げたのは、言うまでもなくアメリア。
「ええ、シルフさんも言ってたでしょ、バカ魔族って。」
(こらぁぁぁ!否定しろよぉぉぉ!!)
平然としたエリスの言葉に内心で突っ込みを入れるリナ。
そんなことを言ったら最後、アメリアが黙っているはずがない。
「知ってて魔族と付き合うなんて!エリスさん!貴方の心に正義はないんですか!!」
予想どうり、テーブルの上でびしぃっと指差して叫ぶアメリア。
「なっ!つ、つきあうって、わ、私そんな関係じゃ………!」
顔真っ赤にして勘違いしまくるエリス。もちろんそういう意味ではない。
「ひょっとして、貴方も魔族だからじゃないんですか!!」
『んなきっぱり言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
アメリアのどっきり発言につっこみを調和させる一同。
いくらなんでもきっぱり言っていいことと悪いことがある。
言われたエリスはぽかーーんとアメリアを見上げている。
「あのねぇアメリア!!あんた………!んな、んなきっぱりと。」
「なんでですか!!皆さんだってそう思ってたでしょう!!!」
「だからってんなこときっぱりつげるんじゃない!!寿命がちじまったわよ、あたしわ!」
「あーー、なんとなく理解できました。」
こんなわけわからない発言に対しても、のほほーーんとエリス。
「えっと、私が魔族かというと、まあ、違いますね。」
「じゃあなんだってゆうんですか!!」
いまだ机に乗ったままでさらにアメリア。いいかげんに降りようね。
「うーーーん、どう言えばいいんでしょうかぁ。えーーっと、わかりやすく言うと
 ドラゴン種族です。」
さんざ迷った割には躊躇なくエリス。
「なぁんだそうなんですかーー。」
いきなり友好的な態度になるアメリア。フィリアに注意されたのでテーブルからは降りている。
「なるほどー、竜族ならさっきの人間離れした技もできて当然ですね、納得。」
「なんかそうころっと態度を変えられるのもなんなんですが………」
困ったように頭をぽりぽりかきながら反論してみる。といってもアメリアの耳には届いていないよう
だったが。
「でも、竜族ならなおさらなんで魔族なんかと仲良くやってるんですか?」
眉根を寄せて不信そうにアメリア。どうやら彼女の中では神族イコール魔族嫌いと言う回路が開通して
いるらしい。
「別に仲良くってわけでもないんですけど………、そうですねえ、最初から説明したほうがよさそう
 ですね。」
「そうしてくれると助かるわ。」
リナも同意する。
エリスがさっきからずっとふいていたいすを元の場所に戻す。
「じゃ、きちんと話せない部分もいくつかありますけど、話せる範囲で説明しますね。」



「まず、ゼロスさんと私たちがどういう関係かというところから説明しましょう。」
そういって戻したいすに腰掛ける。エリスが移動したせいで、全員の視界内にベッドでうなされている
3人の姿が入った。
「私がいる世界には、『聖域外審判通告社』、通称『聖判』と呼ばれる会社、とい うか組織があって、私とシルフさんはそこで働いています。
 この聖判については、かなりシークレットとされている部分があって、あまり詳 しくは話せないんですが、チーム制があって、同じぐらいの実力を持った人が6 人でチームを組むことが義務付けられています。
 もちろん私たちも6人でチームを組んでいるんですが、残念ながら聖判内でシル フさんと同じぐらいの実力を持った人は、私も含めて4人しかいなかったんで  す。
 そのため、チームは5人しか集まらず、どこからか同じ実力を持った方が必要に なってしまったわけです。
 それで、以前から少し交流があった獣王さんにお願いして、同じぐらいの実力を 持っていたゼロスさんに期間限定で私たちの世界に来てもらってお手伝いしても らってるんです。
 と、まあこんな事情なんですが、理解していただけましたか?」
そこまで一気に話し終えて、疲れたのだろう、一息ついた。
「て、ことは、貴方の話をすべて事実とするなら、貴女とシルフのほかにゼロスと 互角の実力をもった人間があと3人はいるわけ!?そっちの世界には!」
こちらの問いはどうやら予想されていたものだったらしい。どこか楽しげに答えてくる。
「そういうことですね、私の話をすべて事実とするなら。」
「………どういうことだ?」
小さく皮肉を加えたエリスの言葉に険悪にゼルガディスが聞き返す。
「むやみに人を信じないのはよくない、ということです。」
そこではじめてエリスは苦笑を見せた。
「人の言葉の中にいちいち嘘を探すのは勝手ですけど、状況によりますよ?ここで あなた方に嘘を話して、それで疑われてみて、私に何のメリットがあるっていう んです?どちらかといえば損をするだけだと思い
 ませんか?」
余裕たっぷりにこちらを見据えながら筋の通った話をしてくる。
確かに、言葉をむやみに疑うのは自分でもどうかと思う。しかし、目の前にいるこの少女が、自分がどう
あがいてみたところで絶対に勝てない相手だというのなら、疑う意外にどんな防衛手段があるとゆうのだ?
そこまで考えてみて、苦笑する。
何度も勝てない敵と遭遇して、自分なりに考えてみたゆういつの手段なのだ、別に相手の話を本気になって
受け取る必要もないだろう。
そこら辺のことはあちらにもわかったのか、それ以上何もいわずに続ける。
「ま、そこらへんはどうでもいいとして、私のいる世界、私たちは『絶望の連塔』 って呼んでますけど、確かにそこにはゼロスさんと互角にやりあえる方が結構い ますね。」
「たとえばどんなのがいるんだ?」
何故か今回はばかに積極的なゼルガディス。
「……………………………。」
そこで何故か沈黙するエリス。頬をかきながら困った顔でこちらを見ている。
「……いってもわからないと思います………」
疲れたような声。よほど今の質問は彼女にとって突っ込まれたくない部分だったらしい。
「じゃあ、さっき言ったチームには他にどんな人がいるんですか?」
興味津々の顔でアメリアが質問する。魔族と互角にやれる人間がいるとわかってうれしいのかもしれない。
「ユウタさんとアークさんとユウコさんです。」
今度は即答。
「もうちょっと具体的に。」
アメリアのお願いに、しばらく考えて、
「爆超天然アホ剣士と二枚目役に立たんもんかいはつし、残酷ハチキレせーしんふ あんてーマッドサイエンティストです。」
思いっきり真顔ではっきりっと言ってくる。
そのあと、今日最大最長の沈黙があたりを包んだ。



「で、結局あんたらここに何しにきたわけ?」
我ながら驚くほど疲れた声が出たと思った。
「ええっと、実は、このあいだお勤めを終えたゼロスさんが帰るとき、シルフさんが一週間かけて作った
 『めっちゃくちゃぷりちぃなはむすたぁぬいぐるみ☆(実物大)』をあっさり壊しちゃって…」
何やらすっごくいやな予感を覚えながら一同は話に耳を傾ける。
「それで怒り狂ったシルフさんが、『こっちの世界に行ってゼロスをいやみと嫌がらせで打ち殺そう計画』
 をたてまして……それを実行するためにきたしだいです。」
「あっ、そう………どうでもいいけどそういうのは周りに迷惑かからないようにしてね…」
なんとなく予想していたことだったが、やはり実際に聞くとものすごくくだらない。
「ご迷惑おかけしちゃいました★、
 と、いうわけでバカが騒ぎ出さないうちにとっとと運びますね。」
そういってなにやら唱え出す。と、同時に周りの空間もゆがんでいく。
「もう二度と合わないことを期待するわ。」
ぐったりとうなだれながら一同うんうんとうなずく。
「わたしもです。それでは、これが最後になるのを期待して………」
そしてふっと、3人の姿は虚空に消えた。


なにやら無駄に疲れた気もするが、今回わかったことは、ゼロスは魔族のくせに異世界にお友達がいて……
しかもそのお友達にはろくなのがいない、ということだろう………





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ふ、ふふふ、はぁっはははは!おわった!ついに終わった、ようやく終わった!!
なんどもなんどもやめようと思いつつついに終わった!
「そこでやめとけばよかったのに」
…………………
「大体終わり方がむちゃくちゃじゃん、謎もたっぷり残ってるし」
そこらへんはこれから明らかにしてくの!!
「まだやるきかよ、こりないやつ」
やかましい!とにかく、いつかお会いする日まで!ぐっとばい〜



2002年2月11日終了