◆−BE PARASITIC NIGHTMARE 〜予告〜−あんでぃ (2002/1/31 00:53:49) No.8015 ┗BE PARASITIC NIGHTMARE プロローグ−あんでぃ (2002/1/31 17:24:01) No.8022 ┣BE PARASITIC NIGHTMARE 1−あんでぃ (2002/2/2 12:00:16) No.8035 ┣BE PARASITIC NIGHTMARE 2−あんでぃ (2002/2/3 21:11:28) No.8044 ┃┗修正しときました−一坪 (2002/2/3 21:48:52) No.8045 ┃ ┗あああああっごめんなさいっ(汗)−あんでぃ (2002/2/4 01:41:57) No.8046 ┗BE PARASITIC NIGHTMARE 3−あんでぃ (2002/2/6 20:09:05) No.8061 ┣遅くなりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!−ブラッド (2002/2/13 00:59:40) No.8091 ┃┗ありがとうございます〜!!!そしてっ!窓をひとつに制限しますっっ(笑)−あんでぃ (2002/2/14 00:19:20) No.8094 ┗今世紀最大の感動巨編っ!(><)−ねんねこ (2002/2/20 21:26:04) No.8136 ┗でますっ(笑)彼は追い出してもでますっ(爆笑)−あんでぃ (2002/2/20 22:41:55) No.8137
8015 | BE PARASITIC NIGHTMARE 〜予告〜 | あんでぃ E-mail URL | 2002/1/31 00:53:49 |
(こそこそ)ええっと、多くの方にははじめましてです。あんでぃと申しますっ ずーっと、ずーっと止まっていた話をが今回めでたく完結させる事ができました(> <)嬉しいっす♪ しかし、全然話が変わっている気が無いでも無いというか変わってるんだいっ(開き直るな)と言うわけで、1から投稿させてください〜(^ ^; この予告を除き、次のプロローグをいれて全15話構成だったと思います(何ゆえ自信なさげ?)是非お付き合いくださいませ(> <) 注:オリキャラ出まくってます(汗)すみませんお気に召さない方多いかと思いますけど、あたたかい眼でお願いします〜 ======================================= ―――――――――――――頑張らなくちゃと思えば思うほど、頑張れなくなる。 忘れたいと思えば思うほど、忘れられなくなる―――――――――――――― ドウシテココニイルンダロウ? ドウシテナンダロウ・・・・? 闇の世界に溶け込む銀色 世界の河を流れる者 神を称えよ。 混沌の海 動き創る者 瞬く刹那 王を敬え、 我らが前に立ち塞がりし 流れを否定す愚かなる者に そして、動きを認めよ!! 我と汝が力をもて 等しく与えるは時の旋律っ!! 「本当に幸せかなんて、本人たちにしかわかんないんだよね。」 外見で判断しないで 「本人の気持ちは本人にしかわからないのかなぁ?ってね。・・・・そうじゃあないと、いいね」 あたしの悲しみに気付いて――――――― 銀色の水晶、それがあなたの存在を証明する唯一の手がかり・・・・・・ ============================================== 続きはきっといつかまた(遠い目) |
8022 | BE PARASITIC NIGHTMARE プロローグ | あんでぃ E-mail URL | 2002/1/31 17:24:01 |
記事番号8015へのコメント どうもです☆ 今日は私の地元はですが、高校の推薦入試だったのですね。頑張ってらっしゃる方、沢山いる事と存じますっ わ、私も今年頑張ろう・・・・・・←今年受験生(泣) さてさて、プロローグです。 =========================================== ―――――――ここはセイルーンへ向かう街道の途中にある町の中。 今日は年に一度の夏祭り。 その繁華街を16、7歳の一人の少女が歩いていた。 動きやすそうなローブに足元まで届くようなマント 明るく赤に近い色の髪に燃えるように赤い瞳 かわいらしいその容貌は、あまりにも有名だった。 そんな彼女とすれ違うたび街行く人はみんな振り返る。 その容貌のほかに気になるのは、異様に大きいグローブをはめている事ともう一つ・・・・ やたらと大きな鈴カステラの袋を持っていることだった。 BE PARASITIC NIGHTMARE プロローグ 「リナさんですよね?お久しぶりです♪ちっともお変わりありませんで・・・良かったですよ」 声をかけられ、休みなく口に鈴カステラを放り込んでいた少女の足が止まる。ただし、カステラを口へ運ぶ手は止まらないが。 少女―――リナと呼ばれた少女は聞き覚えのない声に多少警戒して振り向いた。そして先には黒ずくめでニコ目の神官が一人立っていた。 ―――――――――お久しぶりです♪ その言葉にリナの首は右に傾く。自分はいまだかつて、こんな神官に会った事はなかったはずだから。 「んで、あたしに何の用?」 鈴カステラを飲み込んだリナは不機嫌に答える。知らない人間に食事の邪魔をされたのだ。その事実は彼女を不機嫌にするには十分だった。 「そんなそんなぁ・・・・久々の再会なんですから、もうちょっと優しくしてくれたっていいじゃないですか」 いきなり道の真ん中でしくしくとのの字を書き始める。 (・・・・・何こいつ・・・・・・・・頭大丈夫?) リナは生理的に嫌悪感を抱き、反射的に一歩退くと背中に何かが当たった。そして、ぽんっと誰かの手がリナの頭に乗る。 しかし先ほどとは違い、今度は何となく警戒無く振り向く。そしてそこには予想通りの人間―――――リナの保護者が立っていた。 「リナ、ほら綿菓子買ってきてやったぞ・・・・・って、何だこいつ?」 神官はリナの目の前で、自分の杖を使い『のの字』を書いている。その男を見て、リナの肩に手を乗せたまま、リナの保護者は呆れたような声を漏らす。 後ろに立ついつもと同じ様子の自分の保護者、その姿をみとめてリナはなんとなくほっとする。 この神官を信用してはならない―――――自分の勘がそう伝えていたからなのだが、さすがの彼女はそこまでは気付いていない。ただ、本能がこの神官が変である事を告げていた。 でも今は、それよりも重要な事があった。 「あっ綿あめだ!さんきゅー♪それじゃあこっちの鈴カステラ半分あげる」 とりあえずリナはわざと神官を無視し、せかせかとお菓子の交換を始める。 「リナさん・・・その方は・・・? というか僕の事ないがしろにしないでくださいよぅ」 先ほどまで道でいぢけていた神官は驚いたような声を漏らす。 「ん?・・・・あぁ、あんたまだいたの?・・・・ってちょっと泣かないでよ! とにかくあたしの旅の連れの、グリーブだけど・・・・何よ、一体」 「何だ、リナの知り合いだったのか?グリーブだ。よろしくな」 「ちょっとグリーブ、あたし知らないよ、こんな奴・・・・・」 リナに紹介され、グリーブはさわやかにあいさつする。 「はうっ!!」 ―――――――瞬間。神官は音も無く、声はあり・・・・・とにかく地面に崩れ落ちる。 「ひどいっ!!ひどいですリナさん!! 僕がちょぉぉぉっと長めの休暇とっているうちにこんな人と付き合ってるなんてぇっ!! リナさんの浮気者ぉ!人でなしぃ!!」 崩れ落ちたかと思ったら突然神官は大声で泣き叫び、道の真ん中ででよよよと泣き始める。 大声を張り上げ、オーバーアクションで身振り手振りに泣き出した神官。これは当然めちゃめちゃ目立つ。道の向こうでは野次馬なおばちゃん達が『やぁねぇ、どうしたのかしら』『三角関係よ!三角関係っ!!』などと噂していたりする。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ちょ、ちょっとっ!変な事言わないでよ!!」 一瞬呆然としたリナはやっと思考回路が繋がったのか顔を真っ赤にして怒りだす。神官の持っていた錫杖(宝石のついていて殴られると痛そうな方)でその錫杖の当の持ち主を殴りつける。 最近体力が有り余ってたらしく、休みなく殴り続けるリナを回りの野次馬たちが気味悪そうに遠巻きに見つめる。 「り、リナ・・・それ以上は下手したら死ぬぞ!ここらでやめとけって!!」 宝石のついた部分から杖の先端に持ち替え、思い切り刺そうと錫杖を振りかぶったリナをグリーブが慌てて止める。 「まぁ、今の浮気者って言うのはおちゃめで軽い冗談ですけど♪」 グリーブは思わずリナを止めていた手を離す。やってやれ、と眼でリナを促した。そんな彼の行動を誰が責められようか? 「それでこっちは真面目な話、ガウリイさんはどうしたんですか?」 リナの隣にいるグリーブを見て言った。 身長も高いし顔も中の上だが、彼は茶髪に青い瞳と、金髪碧眼のガウリイとは程遠かった。 神官のその言葉に、リナとグリーブの二人はとっさに神官から目をそらす。リナの方はかすかに震えている・・・ 「リナさん?」 その様子に神官はいぶかしげに問う。 「ガウリイさんは・・・・ガウリイさんは・・・」 グリーブが吐き出すかのように言う。いや、それは違う。彼は何かを押さえ込んでいるのだ。 「ガウリイ=・・・・・ガブリエフ・・・・は・・・」 リナも辛そうにつぶやく。 そして二人同時に―――――― 『ぶはっっ』 ――――――吹き出した。 そして二人はけらけらと笑い出す。 「ガウリイ=・・・・ガブリエフって言ったら・・・あたしのひいおじいちゃんじゃ・・・ない〜・・・あんた・・・あたしとリナおねえちゃんの事・・・間違えたんでしょ!!ぶぅ〜・・・・!!!」 笑いすぎで上手くしゃべれないらしい・・・途切れ途切れである。どうやらさっきも笑いのこらえ過ぎで震えていたようだ。 「いるんだよなぁ。こういう奴・・・五十年以上経った今も『お前はリナ=インバース!?その若いままの姿?!やっぱりお前は人間じゃなかったのか!!』とか言って来て、片っ端からこいつにぶっ飛ばされんのが・・・・・今確かリナさん七十六歳だろーが。 ・・・・というかお前、何年休暇とってたんだ?って感じだよなぁ」 グリーブはあきれたように(もちろん笑いをこらえて)リナをこつんと小突きつぶやいた。 そして神官の目が点になっていたのは言うまでもない。 「・・・なるほど、リナさんの名前を継いだわけですね・・・」 神官は二人の説明を受け、納得したようにつぶやいた。 「そ、何でも"あの"有名なリナ=インバースの子供からあたしまでの血筋がみーんな男の子で、あたしがリナ=インバースから数えてはじめての女の子なんだってさ」 そんなの偶然に決まってるのにね、とリナは興味なさそうにそう言った。 「でも本当に初代リナさんの若い頃にそっくりですね・・・・外見はもちろん性格とかも」 その言葉にグリーブは複雑そうな表情をして、そしてリナに聞こえないよう逼力小声で呟いた。 「顔はともかく、胸まで似る事ないのにな・・・・」 駄菓子菓子。それはリナに丸聞こえだったらしい。 「グリーブ・・・・・・・・・・・・ちっちゃくって悪かったわねぇ!!」 すっぱぱぱぱぱぱぱぁぁぁぁん!!げし!!げしっ!!ごきゅ!! 初代リナから受け継いだスリッパで往復ビンタをして、そのコンビネーションで膝蹴りをかまし、曲がれる動きで回し蹴りをかましてそのまま寝技に持ち込み関節を極める!! かんかんかんかーーん!! 「ふっ!!うぃなーーーー!!」 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! というどこからとも無く聞こえてきたゴングの音と、一部の無駄のないリナの動きに驚愕したまわりの野次馬の歓声を背に、リナは右腕を振り上げ、左腕で服をはたきつつ勇ましく立ち上がる。 グリーブが朦朧とした意識の中、その音のほうを見やると、近くの八百屋のおばちゃんが見かねてナベとおたまをゴングにしてくれていた。 この世から意識が消え去る前に、ただひとり自分を助けてくれたおばちゃんに彼は心から感謝した。 「グリーブ・・・ちなみに今の発言はリナおねぇちゃんとあたし、二人を同時に敵にまわしたものと思いなさい」 と絶対零度の眼差しでリナはそう宣告した。もちろんグリーブは既にこの世から意識を飛ばしていたが。 「ま、まぁそれでグリーブさんと旅をしているという訳ですね・・・・・・すみません間違えて」 神官は素直に謝った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・そうでないと明日は我が身と思ったのかもしれない。 「まぁグリーブはあたしの幼馴染みで保護者だからね」 まだ固まっているグリーブをこんっと小突き、リナはそう答えた。その声は先ほどとはうって変わって優しい響きだった。そしてそのあけすけすぎるリナの微笑に、ゼロスは心から笑んだ。 「お二人はどちらへ?」 神官はそう尋ねた。 「そうね、まずはセイルーン。旅に出るときはセイルーンの王様に報告するのが、うちのしきたりなんだってさ。それに・・・」 リナが言葉を濁す。 「それに?」 「あ、いや・・・・・・魔力をきちんと操る方法が何か無いかなぁ?っと思って」 リナは慌てて話題をそらす。神官もそれに気付いていたが、それよりも今聞いた言葉が衝撃的で、思わず息を飲む。 「魔法が使えないんですか?!」 その言葉にリナは複雑な笑みを浮かべる。 「まあ、ある程度は使えるけど・・・・一日に五、六発が限度よね・・・・大きい魔法なら一度っきりでもうダメ」 曾祖母は伝説の魔道士でその子孫、しかもそっくりとあれば誰でもこの少女もすごい魔力を秘めていると思うだろう・・・・・・と、誰もが思う。 しかし、無いものは無いのだ。 だからその劣等感と無力感を隠すために、そして生きていくために、彼女はその分人一倍武術の訓練に力を入れた。今の彼女の武術はかなりのレベルに行くだろう。 「――――――ところで、初代のリナさんはご健在ですか?」 しばし考え込んだ末、神官はつぶやいた。 「・・・・・・リナさんに何する気だ・・・・」 いつの間にやら復活したグリーブは声を低くして言う。 どうやら彼は、この神官の事を信用して無いらしい。 「信用してくれないんですか?」 「ですます口調でしゃべるヤツとニコ目の神官は信用するなってリナおねぇちゃんに言われてんのよ」 リナはわりと大きめに間合いを取りつつ神官に向かってそう言った。間合いは関係ないのかもしれないが、少しでも気休めになった。 「やだなぁ、別に"僕は"何もしませんよ。僕もまだ以前のダメージが残ってますし」 ・・・・・・・・・・・・・・ 二人と一人、道の真ん中で無言の見つめ合いである。 怖い、ひたすら怖い。 野次馬だらけだったここには、いつのまにかここには人通りが無くなっていた・・・ 「・・・・まぁ、いいでしょう。リナおねぇちゃんはあたしたちが向かってる所と同じ、セイルーンよ」 「ありがとうございます。ああ、長居しすぎてしまいましたね・・・・・ それでは僕はここで」 「待って」 言って立ち去ろうとする神官を呼び止めたのはリナだった。 「何でしょう?」 笑顔で聞いてくる神官にこれを聞くのはなんとなく気が引けた・・・でも 「あなたの目的は何?獣神官ゼロスさん」 その言葉にゼロスは少し驚く。が、すぐにいつのも笑顔に戻る。 「もちろんそれは――――」 言って人差し指を口元へ持っていき―――― 「―――秘密です」 言った瞬間彼の姿は虚空へと消えた。 「知り合いだったのか?俺は人違いだと思ったけど」 「初対面よ。あたしとあれとは」 グリーブの問いにあっさり答える。その言葉にグリーブは首をかしげる。 「名前を知ってるから、知り合いってことはないわよ。たとえば歴史上の人とかがいい例でしょ?」 「歴史上の人間が生きてるって事はないだろう。いくらなんでも」 お前の所以外は、とグリーブは笑って言った。 「いいえ、あれは歴史上の人物よ。リナおねぇちゃんにもよく言われてた、『パシリ魔族には関わるな』・・・・・・ってね」 その言葉に、グリーブも納得したように目を細めた。暗くなりかけた空を見つめて、リナはわざと明るく言い、のびをする。 「さて、そろそろ時間が時間だし、今日の宿決めちゃお!」 「ああ、腹減ったしな」 グリーブはリナの言葉に答え―――ぱっと空を見上げる。 「どしたの?」 「いや・・・・・・・なんでもねぇ」 グリーブはリナの問いにあっさり答えて走り出した。 「競争!遅い方が今日の夕メシおごりな〜!」 「あああああっ 何それずるい!グリーブとあたしじゃ足の長さが違うじゃないの!」 そして彼女たちは、走り去っていった。 「ふう、やれやれ・・・あのグリーブさんって方もなかなかカンがいいですね」 先ほどまでリナ達がいた場所の上空にゼロスが姿を現した。 「あのリナさんに、たいした魔力が無いのならそれはそれで良かったんですけど、あのリナさん譲りの度胸と頭脳・・・・・・・・ そして、あの事件の唯一の――――――――」 やおやゼロスの瞳が開く 「・・・・これは久々に面白い事になりそうですね」 魔族の彼がにっこりと微笑んだ。心から嬉しそうに。 今日の日は暮れようとしていた。平和なままに しかし、明日もまた今日のように平和だとは限らない 今日と明日は違うのだから・・・・・ ============================================ ☆言い訳☆ ゼロス君はこんなノリでいいんでしょうか?(汗)すみませんかいていたらなんか楽しくて(笑)←ダークよりもお笑いのゼロスの方が好きらしい。 というわけで、今回ゼロスは本文でも言っているように今回のことには全く関与しません(笑)そのあたりは次回ですが、どうやら中立の立場にいるようです。 グリーブもリナもなんか性格違うな(笑)どんどん性格が悪くなっていく彼と、どんどん幼くなってしまうリナにも注目かもしれないです(笑)←ザ・力不足(笑) 何とか早く今まで投稿していたところまでいきたいですっ(汗) どうかどうか、最期までお付き合いくださいませっ(> <; でわでわ、あんでぃでしたっ |
8035 | BE PARASITIC NIGHTMARE 1 | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/2 12:00:16 |
記事番号8022へのコメント こんにちはっ。土曜日です早帰りですっ嬉しいですっvvvv なあんでぃです♪ 最近水彩画がマイブームです(笑)でもあえなく撃沈、しくしく・・・・・・重ね塗りのし過ぎで紙がぼろぼろです(死) やはり、パレットを洗わないのがいけないのでしょうか?(汗)←明らかにそれが原因では? えー、やっと一話ですっ(遅)よろしかったら読んでやってください(> <) =========================================== あちこちから虫や鳥などの声が聞こえる、深緑色の空間―――――― 大した特徴はないが、しかしこの暗い森では特徴がないからこそ、道は合っているのかという事どころか今が昼なのか夜なのかそれすらも良く分からなかった。 「―――っかしいなぁ、地図にはこんな森無いよ?」 リナが地図を片手に首をかしげる。国単位で管理しているつい最近の地図で、信頼度はかなり高いはずなのに、だ。 「棒倒しで道を決めたりしないで、ちゃんと最初から地図見ればよかったんじゃないのか?」 もうすでに野宿は覚悟していたらしい、グリーブが弱い火の呪文で火を熾しながらリナの言葉に対してそう言った。 「なによっ、あたしが棒倒しで道間違えた事なんて無かったじゃないの!!」 「旅に出てから今までに、もうすでに三十三回――――――いや今ので三十四回か?迷ってるだろうが。旅に出てからまだほとんど日が経ってねぇんだぞ、今からこんなんでどうすんだよ」 「・・・・ぶぅ・・・」 メモ帳片手にグリーブにきっぱりはっきり言われ、まさか数えていたとは――――リナは何も言い返せずに仕方なくグリーブの起こした火のそばに座る。 グリーブが簡単におこした火、自分はこの火をおこす事さえ容易ではない。あまり魔力を使うと、なぜかすぐに力尽きる。大きい魔術が使えないわけではない。でも、今は多少の魔法でもすぐに立ちくらみがする。 (――――――なんっか悔しいな・・・) 魔力、腕力、体力全てがグリーブよりも劣っているのだ。その事を見せつけられた感じがする。 それでも、自分にできることもある。しなくてはいけない事がある。 それが今のリナを支えていた。 グリーブもまた、絶対に当たらない棒倒しについて来てしまう自分に少し苦笑する。戦闘に関しては絶対に彼女に負けない自信がある。しかし結局は彼女のおねだり攻撃には勝てないのだ。 普段はこんなでも、結局は自分よりも頼りになる彼女のそのギャップは大きくて、だから離れられないのだと、思う。 そう、普段はこんなでも、彼女の頭脳は小さい頃から大人たちにも一目置かれていたのだ。 セイルーンの魔道士協会から史上最年少で色の称号をもらったこの少女は、一部の地域では有名な魔法学者だった。 拗ねてこちらと目を合わせないこの少女が、今まで誰も考えつかなかった理論を平然と確立させたのだ。 柔軟な仮説、そのくせ絶大な説得力。 幼くして彼女の曾祖母リナ=インバースに認められ、助手を務めていたリナ=セイムネス=ガブリエフは、あちこちの魔道士協会で特待生として招きいれようと取り合いをしたくらいだ。 (でも結局、いつからか全然研究をしなくなっちまったな・・・・・・・何だったんだろうな?ただ単に格闘技に関心が移っただけなか?) あれだけの頭脳がありながら、その可能性を棒に振ってしまった気がして、グリーブはもったいない気がしてならなかった。 ―――――そこまで考えをめぐらしているうちに、グリーブは不意に訪れた違和感に立ち上がる。 「リナ、速攻で火消せ。なんか変な感じがする」 「ん?――――うん」 拗ねていたリナは最初きょとんとするが、すぐに真剣なグリーブの言いたい事を察してたき火に向かって蹴りを叩き込む。 びゅん!! 彼女の一蹴りでぼうぼうと燃えていた火はあっさりと消えた。 蹴りによって生まれた衝撃によってのみで火を消す―――――リナと同じ年頃の普通の少女に、こんな事をするように言っても到底無理であろう・・・・火傷をするのが関の山だ。 それだけリナの蹴りの威力はすさまじかったということだ。 「行くぞ!!」 念のためたき火の跡に土をかけてから、二人は駆け出した。 BE PARASITIC NIGHTMARE 1 辺りに漂う血臭に二人は思わず顔をしかめる。 グリーブが感じた違和感はこの血臭だったのだ。ガウリイにも自慢できる恐るべきカンである。 「・・・・・・何を・・・・・してるの?」 二人の視線の先には一人の男がいた。その男はこちらに背を向けて熱心に何かをしていた。 その男はリナの言葉にやっとこちらに気付いたように振り向く。 「何を?・・・ああ、こいつの血を頂いてるのさ」 そう言うと男は小さな動物の血を詰めた大きなビンを誇らしげにこちらに見せてくる。 その動物は何の動物かわからないが、まだ明らかに子供だった。白くふわふわの毛は今、血で赤く染まっている。 「この動物は子供の時の血液にだけ、延命の効果があるんだ。これを売りさばけば俺は一生遊んで暮らせ――――がふっ!!」 ぼきっ 男の言葉が言い終わらないうちに、グリーブの拳が男に命中する。もちろんリナがこの動物の子供を男から取り上げてからだが。 一瞬、あまりに鈍い音にリナは顔をしかめる。それでも何も言わなかったのは、グリーブがかなり怒っている事が知れたからだ。 「――――――くっだらねーな・・・・・・・」 「そうよ!そんなくだらない理由でこんなにたくさん血とったら、死んじゃうじゃないの!!」 リナとグリーブの二人は男に詰め寄る。 その二人の迫力に男は多少顔を引きつらせながらも、すぐに気を取り直し折れた鼻をなで、にやりと嘲った。 グリーブはリナから血だらけの動物の子供を受け取ると治療(リカバリイ)の呪文を唱える。 「ふん、偽善者ぶるなよ・・・人間でもなんでもなぁ、生きていくためには何かを犠牲にするもんなんだよ・・・・」 ばごしっ! 「あんましふざけた事言うと蹴るわよ・・・」 リナは男に蹴りを入れると低い声で言う。先ほどのグリーブよりも力が無い分音が軽そうだが、しっかりと相手の弱点を狙ったこの一撃のダメージはグリーブのものよりも大きいものだった。 男はというと、すでに今のリナの蹴りでのびていたりする。 「あのねぇ!それじゃあライオンさんは周りにいる全部のシマウマさんを襲って食べるわけ!自分のやってる事をそうやって正当化したりしないで!って、あぁぁ〜!!もう!そんな事はどうでもいいの!」 リナはあせったように男に詰め寄る。 「この仔の親はどこ!!」 リナのその言葉にグリーブははっとする。この仔はまだ本当に小さい子供だ、親がついていないはずがない。 グリーブは治療の終わった正体の分からない動物の子供をリナの服のフードの中にしまうと、急いで辺りの様子を窺う。「ちょっと!寝てないで答えなさいよっ こらー!!」 「リナ!そいつはいいから早くこっち来い!」 完全に気を失っている男をかっくんかっくん揺すりながら叫んでいるリナをグリーブは急いで呼び寄せる。こればっかりはグリーブにはどうしようもない。リナの力を借りるしかないのだ。 リナがグリーブの声の方に行くと、そこには大きな血だまりがあった。その光景にリナは息を飲む。 その中心に大型の動物が横たわって・・・いや、倒れていた。 黒い毛に真っ赤に燃える瞳、そしてその瞳は今にも消え入りそうだった。おそらくこの仔の親なのだろう・・・・ グリーブはリナに比べればそれなりに魔力はあるが、復活(リザレクション)の呪文は使えなかった。 それに対してリナは潜在魔力こそあまりないが白魔法のストックはかなりあり、もちろん復活(リザレクション)も使える。 しかしリナ、リナ=セイムネス=ガブリエフはガブリエフ姓を継いだ身。インバース姓を継いだ者たちに比べて黒魔術のストックはあまりに少ない。しかし、魔法学者でありながらもガブリエフ派の者である以上、体術の訓練を怠った事はないが。 ガブリエフ姓を継いだもの、ガブリエフ派は体術を インバース姓を継いだもの、インバース派は魔法を尊重し後世に伝える事を誓った。 魔を滅するもの(デモン・スレイヤー)である二人を称え、忘れないために、忘れさせないために、どちらの姓を名乗るかは自由。そう、一族で決めた。 リナは一つ深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、急ぎ呪文を唱え始める。復活(リザレクション)を・・・ このケガでは治療(リカバリイ)ではとても間に合わないだろう。 復活(リザレクション)ですらも間に合うか、間に合わないか・・・・・微妙な賭けだった。 「リナ・・・・もういい、止めるんだ」 あれからかなり経って・・・この子供の親の目が開く事は無かった。 それでもリナは呪文を唱え続けたが、たとえ復活(リザレクション)でも死んだ者が生き返ることは無いのだ・・・・・・ 「だめ・・・なの・・・?」 「・・・・ああ」 グリーブは魔力を使い果たして立てなくなったリナを抱えあげながらリナの言葉に答えた。 「ねぇ、グリーブ・・・この仔の事なんだけどさ・・・」 リナが自分のフードに入った独りぼっちになってしまった子供を見ながら言いにくそうにつぶやく。 放っておけない、この仔は似てるんだ――――――― リナはぎゅっと目をつぶった。暗いがよく見ると顔は蒼白だった。 その様子にグリーブはため息をつく。このままにしておいたら本当に倒れて3日は起きなくなる。リナは精神的に追い込まれると辛いらしいのだ。恐らく魔法を使うと倒れる事もそこに影響が出ているのだろう。 「・・・・・分かったよ。そいつがちゃんと育つまで連れて行けばいいんだろ・・・・ただし!お前が面倒見ろよ」 「♪ りょーかいっ!!」 リナのおねだりモードに勝てずに、グリーブは諦めたように言った。 ぱっと表情が明るくなったリナに念のためにクギを刺しておく事も忘れない。 「・・・・・・・・・・・とにかく、ここから早く出るぞ。たぶんこのままじゃ厄介な事になるからな」 「なんで?」 グリーブの言葉にリナは不思議そうに聞き返す。その様子にまたまたグリーブがため息ついたりする・・・ 「まず、お前が魔力の使い過ぎで歩けない。一つ目はこれだな」 「う゛っ・・・・」 その言葉に小さくリナはうめくがグリーブは気にせず続ける。 「次に、ここは恐らく私有地だ。地図にもない、な。かなりやばいんじゃないか?ここは」 「あ!・・・・・そうだね・・・」 ここは地図に無い森だ。それにあの男の言葉によれば、この動物の子供は延命の効果のあるそうだ。それは一般の人間にはもちろん知らされていないはずである。そうでなければ、もうこの動物は絶滅しているはずだから・・・・・ そうなればこの森はかなりの権力の持ち主、―――例えば国王や領主などか・・・が管理しているはずである。そして、それほどの人間が管理していて、なおかつこれほど重大な動物がいるのだ・・・当然ここを管理している者がいるだろう。 そうなれば見つからないうちに早くここを出る必要があった。 「けど、その前に・・・・・よし、行くぞ!」 グリーブは先ほどの男をロープで縛り、木にくくりつける。そしてリナを背負って急いでその場を離れた。 「ここまで来れば、大丈夫だね・・・たぶん」 リナ達は(実質歩いているのはグリーブだけだが)森を急ぎ出て、今は当初通る予定だったはずのセイルーン・シティへとつながる街道にいた。 「俺が先頭になってれば、最初からこの道進んでたのかもな。迷うことなく」 「そうしたらこの仔が死んでたじゃないっ。結果オーライもしくは運命っ!!」 「はいはい、ちょっとその辺り見てくっからお前らはそこにいろよ」 グリーブはその辺りの木陰にリナを降ろすと、辺りの様子を窺いに行く。 (まだ、もうちょっとかかるかな・・・?) リナは自分の体調を診てそう判断する。あの時にグリーブが止めてくれなければ、また意識が飛んでいたかもしれない。 ―――――――だってあの時と同じ結末は・・・・・・・・!! 首を振った。遠くから心配そうに見るグリーブに笑顔で手を振る。もう少し、現実逃避させて欲しいから。思い出させないで。 (この仔の方は・・・?) リナは、動物の子供をフードから出しキズの具合を見る。グリーブの回復呪文によって傷口を塞がれていたが、それでも失った血は戻らない。多少体温が低い感のするその動物をぎゅっと抱きしめた。それで気がついたのか、うっすらと目を開いた。 きゅう?・・・・・・きゅうんっ・・・・・ まだ状況を理解できていないのだろう・・・辺りとリナを交互にきょろきょろと真っ黒な瞳を回して見比べている。 とりあえず、ハンカチで血を拭こうと試みる。しかし血はもう固まってしまっていた。 「・・・・・ごめんね。君のおかーさんを助けられなくて・・・・」 (もっと早く見つけていれば、もっと自分に力があればもっと・・・・・本当に全然進歩してないよ・・・・・あたし) 言い出したらキリが無いのは分かっていた。それでも、そう思わずに入られなかった・・・・ 突然、何の前触れもなく動物の子供が暴れだし、リナの手からすり抜けるとリナの方に向かって唸り声を上げる。 「え・・・・?ちょ、ちょっとっ!!まだダメだよ!!」 (あんなに出血したのにそんなに動いたら――――――?!) しかし、それは言葉にできなかった。それよりもリナは、その動物の豹変ぶりに驚いていたからだ。 瞳は真っ赤に燃え上がり、白くふわふわだった毛は、今や真っ黒で硬い毛に変わりつつあった。先程より体も大きくなったような気もする。 黒光りするその姿はまさしく、先ほどのこの仔の親をそのまま一回り小さくしたような姿だったのだ。 ぐるおおおおぉぉぉぉぉん!! 今や先ほどとは全く違う姿となったその動物は唸り声らしきものをあげると、リナの方に向かって突進する。 「―――なっ!」 戻ってきたグリーブは慌ててリナを抱えてその場から離れる。 しかし、その動物はそれにかまわずにそのまま先ほどリナのいた所のすぐ後ろの森の中に突っ込み、そこにいたレッサ―デーモンに飛びかかった。 喉笛を噛みちぎり、その長い爪であっさりとデーモンを真っ二つに切り裂いた。 ぐおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・・・・ん 断末魔を上げて倒れ逝くデーモンに二人は思わずぼーぜんとする。 「リナ、あんな動物見たことあるか?」 「分からないよ・・・・・・あたし生物は専門じゃないし」 二人ともこんな動物を、今までに見たことも聞いた事もないからだ。 しかしそんな二人をお構いなしに、巨大化した動物は二人のもとにやってきてリナとグリーブの前に座ると、ふりふりと尻尾を振り出す。 きゅうんっ! そして大きな体からは信じられないような声―――――この動物が小さい時の声だ――――で一声無くと、ぽんっと元の姿―――白いもこもこで黒い瞳の小さな動物の姿に戻った。 「何なんだ・・・・?コイツ・・・・」 「さぁ・・・・・でも、あたしの事助けてくれたのかな・・・・・・・・?」 二人はその愛らしさにますます混乱するばかりであった。 結局、放って置いてもこの動物の子供は大丈夫そうだとグリーブはリナに言ったが、リナは断固として連れて行くと言い張った。 そしてもう一つ、この動物は何者なのか――――――― それがグリーブの興味を惹いたことから連れて行くことになったのであった。 「とりあえず、リナお姉ちゃんのところ・・・セイルーン・シティへ行こう!そうすればきっとこの仔の事も分かるよ!うん!・・・・・・・ほら、たぶん」 「そうするしか無いみたいだな・・・やれやれ、なんでお前は変なもんばっか拾うんだよ・・・」 リナの楽天的な言葉にグリーブは疲れたように言う。 「なによぅ!この仔の事見つけたのはグリーブじゃない!・・・ねぇ、それよりこの仔の名前決めよ!名前は必要だよ!」 リナは荷物の中から紙とペンを取り出すと、いろいろな名前を思いつく限り書き殴っている。 「・・・・・んなのどうでもいいじゃんかよ・・・」 「よっくなーい!もう、初対面の人間には猫かぶるくせに・・・・普段の態度悪すぎ!」 「それがオレのおちゃめな所だ」 「人の受け売りは面白くないよ」 「うわ・・・・・お前ってけっこう酷いな」 ぴっ! と人差し指を立てていったグリーブはあっさりとリナにダメ出しされ、悲しみにくれるのだった。 リナは書き殴った候補の名前を読み上げるが、どんどんグリーブに却下される。 「何でそんなに簡単に却下するのっ!一生懸命考えてるのに!!!」 簡単に却下されるのが悔しかったらしく、リナがグリーブの背中をどんどんと殴る。腐っても格闘家なだけに、痛い。 「・・・・・・だったらもう少しまともな名前を考えてくれよ。というか元気じゃねえか、降りろ。元気なら」 「ああ、なにやらめまいが・・・・」 「おい・・・・マジかよ」 グリーブがリナに半眼で告げるが、リナは慌てて殴るのをやめてへにゃへにゃと崩れる。 そのリナの姿にグリーブはため息をつきながら再び歩き始めた。 「・・・・・ねえ、名前。これはどおかなぁ?チロル!!」 リナは自信まんまんにグリーブの目の前で親指を立てる。前方の視界を急に遮られ、歩みを止めたグリーブは今日何回目かのため息をつく。 「・・・・もうなんでもいいんじゃねぇか?」 「そういう言い方って・・・まぁいっか、あなたの名前はチロル!よろしくね」 かくして、チロルという新しい仲間(?)を従えて二人と一匹はセイルーン・シティへと向かったのだった。 ・・・・しかし歩いているのは、ただ一人。 チロルはリナのフードの中で、リナはグリーブの背中でそれぞれ眠っていた。 そしてグリーブは、不機嫌な顔で地図とにらめっこしながら一人と一匹を背負って歩いていた。 その後、彼が何回ため息をついたのかは本人にすら分からないのだった・・・・・ 「こんにちは、お久しぶりですね♪リナさん」 森の木陰で、一休みしていたリナに声をかけたのは―――― 「・・・・・何の用よ、ゼロス・・・・」 自称謎の神官、ゼロスだった。 その正体は獣王ゼラス=メタリオムに仕える神官―――――― 一言でいえば魔族である。と、ここまで言ってしまえば謎でもなんでも無いのだが。それは言わぬが華である。 その謎でもなんでもない、一言で言えばもう二度と見たくない物体を見てあからさまに嫌な顔をするリナ。 「そんな、冷たいですリナさん・・・・・・ ほんとにあっち♪のリナさんも、こっち♪のリナさんも同じような反応するんですか〜ら・・・」 ぴくんっ ゼロスの言葉にリナはぱっと顔を上げる。 「・・・・・セイに会ったの?」 「ええ。ですが僕は何もしていませんよ。僕はまだリナさんとガウリイさんのおかげで休暇中ですし」 実を言うとゼロスはこっちのリナと曾孫のリナを間違えただけなのだが、その事は魔族のプライドにかけて秘密である。 「安心してくださいリナさん、今回の事について僕は何の指示を受けていません。あの時のように―――」 あの時――――――ルーク=シャブラニグドゥが降臨した時・・・・ ・・・・あの時ゼロスは何もしないで中立を守っていた・・・・・・と言えば聞こえがいいが、負の感情を糧とする魔族のゼロスにとってはタダでご馳走食べ放題のようなものだったのだ。 「・・・・・・・『今回の事』?」 「あ、もちろん『ちょっと前の事件』も同様ですよ。あれは予定外のことでもありますし、僕は先ほど言ったように休暇中でしたし」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 ――――――――またあの時のようなことが起きる? 「ただリナさん。あちらのリナさんに、あなたの持っている切り札を渡したほうが良いのではないでしょうか?・・・・・・・・手遅れになる前に」 リナの表情は何もかもの感情を隠しているかのように動かない・・・・・・何故、ゼロスがリナの切り札の存在を知っているのか、それを聞く事すらしない。 ――――――その姿はまるでゼロスに負の感情を与えまいとしているようだ。 意図的に何の感情も動かさないまま、リナはゼロスに尋ねた。 「どうして、あたしにこの事を忠告に来たの?上からの指示?」 「僕はまだ本当に休暇中なんですってばっ・・・・・・・・リナさんならばは分かってるでしょう?決まってるじゃないですか、この方が面白そうだからです♪ ―――――――――――この話を聞いて動かない人ではないでしょう?リナさんは」 (相変わらず、ほんっとに性格が悪い・・・・) 「ばーか、あーほ、どぢまぬけー、くーず、変態、役立たずー♪」 「り、リナさん。負の感情を撒くはずの歌なのに僕にとってはとっても痛いんですが・・・・・」 腹いせに歌ってやった。痛がっているところを見るとあながち外れていなかったという自覚があったのかもしれない。 (魔族も結構弱いもんね。) そうリナは思うが声には出さない。考えた事は全て漏れなく奴には伝わっているだろうから、言うまでも無いのだ。 リナは思わずため息をつく。 「・・・・・これを借りにするつもりは無いわよ」 リナの言葉に満足そうにゼロスは微笑む。 「かまいませんよ。・・・・・ああ、そろそろ時間ですね。ガウリイさんが戻ってこないうちに僕はおいとまします。それではリナさんお元気で♪」 「あんたさえいなけりゃいつまでも元気よ・・・・・」 その言葉に一瞬淋しそうにしてゼロスは虚空へ消える。 『まったく、この二人のおノロケを聞いていたら『また』僕が大ダメージ受けちゃいますよ。ただでさえまだ本調子じゃないんですから・・・・・・もう50年も療養生活をする気はありませんから』 ゼロスのそんな言葉を聞いた気がした。 「リナ!!」 ゼロスが姿を消した直後に、リナの元保護者・・・もとい旦那のガウリイが現れる。その手には抜き身の剣。 「今・・・・!!」 「ゼロスが来たわ。・・・・でもガウリイ、その剣じゃゼロスは滅ぼせないわよ」 ガウリイが今持っているのは、普通の剣。この剣では絶対に魔族にダメージは与えられない。 「あ」 「・・・ほんとにくらげなんだから・・・・ねぇ、ガウリイ・・・・」 くすりと笑ったリナだが、少し迷ってからガウリイに言った。 「"あれ"をリナに渡すわ」 「・・・・・・・いいのか?危険なんだろ?」 不安そうに尋ねる。その言葉をガウリイはきちんと理解していた。 「いいの・・・・大丈夫よ!あたしたちの血を継いでるんだもん!」 言ってウインク一つ。 「・・・そだな。リナにそっくりだし」 ガウリイもにこやかに答えた。 「ええっ!それは違う!顔とかはさておいてあの子の性格はどっちかと言うとガウリイに似てるわよ」 「リナに似てると思うんだけどなぁ、あの強引な所とか」 そんな言い合いを交わしながら、二人は街中へと帰っていく。 そろそろ噂の曾孫リナが来る事をなんとなく予想しながら―――――― =========================================== ☆言い訳☆ はっはっは(汗)←笑ってごまかす ゼロスが休暇を取っていた理由ですが・・・・・・・まあ、生の賛歌に近いものが直撃した事が理由だと、思ってくださいませ(笑)彼はまだ本調子では無いので、負の感情を喰らう事で回復しようとしてるのですね、だから今回彼は傍観者。何もしません。 出しても良かったのですけど・・・・・・・私、ゼロスが魔族やってるところって駄目なんですよ(汗)彼はあのキャラなんだからギャグキャラでいてほしい・・・・・(個人的希望)ようは、怖いゼロスが怖いんです(汗)TRY辺りからその傾向が強いです(汗)だから、いつもニコ目でいてね、ゼロス(^ ^; あとは新マスコット「チロル」です。 彼は私が結局逆切れしてやめたRPG(セーブした内容がスイッチ入れるたびに毎回消えてくれたらさすがにやってられんわ・泣)のお気に入り殺し虎(直訳しすぎ)の名前です♪ チロルという名前があまりにも可愛らしいのでいつか絶対使ってやる!!と意気込んでいたものです♪ 虎とか犬とか豹とかエリマキトカゲとかvv(えっ?)もう、大好きなんですvvv ・・・・・・・爬虫類って良く見ると可愛いですよ、信じてくださいって・・・・・・・・・・(汗) そんなこんなな奴ですが、続きもどうぞお付き合いくださいませっ でわでわ、あんでぃでしたっ |
8044 | BE PARASITIC NIGHTMARE 2 | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/3 21:11:28 |
記事番号8022へのコメント こんにちは♪あんでぃですっ 何やら一話のタイトル失敗していますが(笑)この際気にしないでくださいねっ(最悪じゃ) 今回は本家本元リナ=インバースさんとガウリイ=ガブリエフさん登場です(笑) リナとリナさんではとっても分かり難いので(^ ^; オリキャラリナはセイ、もしくはセイリナと呼ばれております〜 ・・・・・・・本当にすみません(汗)わかりにくくって(汗) =============================================== ――――リナ=セイムネス=ガブリエフ 希代の魔道士リナ=インバース(現在リナ=ガブリエフ)の子孫たるもの。 曾祖母たるリナに容姿は似ているが、魔力はあまり持ちあわせていないようだ。 人間としての戦闘能力は認める。 ――――グリーブ=グリス リナの幼馴染み、伝説の魔剣"ブラストソード"を所持。 多少ならば魔法も使えるようだ。 こちらも人間としての戦闘能力は認める。 ただし、ブラストソードに油断を怠らなければ、である。 「報告は以上ですか?」 記憶球(メモリーオーブ)からの映像と、部下からの報告全てを聞いてから彼女は静かにそう聞いた。 「はい」 部下の返事に彼女は記憶球(メモリーオーブ)の映像をしばし眺めて・・・・ ―――そして、静かに言い放つ。 「この者達を殺しなさい。人間としての戦闘能力を超えていないのならば、あなたには簡単な事でしょう?」 「・・・・・よろしいのですか? この者等に我らを脅かすような理由などありませんが」 上司の爆弾発言に部下は驚き、そう尋ねた。 「何の問題があるのです?あの、リナ=インバースの子孫なのでしょう?邪魔な芽は早めに摘み取っておくのです。・・・・ただし、慎重に」 「・・・・・御意」 部下は上司の命令を確認すると、その場から消える。 そしてそこに残るのは彼女一人―――――― 「リナ・・・・・・リナリナリナリナリナリナリナリナリナリナぁ・・・・・・っ!!」 ぎゅっ・・・・ぱきぃんっ! 彼女の手の中にあった記憶球(メモリーオーブ)は音を立てて粉々に砕け散った。 「なんて忌々しい名前なのでしょう・・・・・・ この人間を第二のリナ=インバースになんかにさせません事よっ!絶対にっ・・・・・こんな不愉快な女の顔なんてこの世界から消してしまいましょうっ・・・・・!!」 くすくすくす・・・・・うふ、ふふふふふふふふふふ・・・・・・・ 静かで暗いこの空間で、彼女の声はどこまでも響いていた――――― 【BE PARASITIC NIGHTMARE 2】 きゅうううん♪きゅううん♪ 「・・・・・頼むから静かにしてくれ・・・・お前、謎の生物なんだから見つかったらいろいろ大変なんだからな・・・」 今は聖王国セイルーン、セイルーン・シティにさしかかる頃、人通りも段々増えてきている。 ここで目立ってチロルが見つかれば、いろいろ面倒な事になるだろう。 「むー・・・・・?」 今まで眠っていたリナが不意に顔を上げる。どうやらだいぶ回復したようだ。 「・・・・・ここ、どこ?」 「もうすぐセイルーン・シティに入る所だ、どうする?」 「・・・・・・歩く・・・・」 さすがに街の中でおんぶされて歩くのは恥ずかしい。リナはグリーブの背中からすとんっと降りる。 が、まだ少し寝ぼけているのか、それとも完全に回復していないのかリナの体がふらつくが、それをグリーブがしょうがないといった面持ちでリナを支える。 「ありがと。・・・・・・・ねぇ・・・いつも辛い思いばっかりさせて・・・・ごめん」 「・・・・・・・・・お前の暴れっぷりに迷惑はしてても辛い思いはしてねぇよ。俺は」 きゅうん? 二人の言葉にわずかに首をかしげるチロルだった。 いつだって、二人は一緒だから。 迷惑もかけるし、嫌な事もある。 でも、それでも一緒にいるのは、それを上回る良い事があるから。 それだけお互いを信用しているから。 でも、全てを知っているわけではない。 お互いに、踏み込めない壁がある―――――――――――― 「ほらガウリイ!いつまでも寝てないでそろそろ起きなさい!!」 「う〜・・・・あとちょっと・・・」 相変わらずの仲良し夫婦―――ガウリイ=ガブリエフ、リナ=ガブリエフ。 この二人は何年経っても変わらないのだろう・・・・・ 「と・に・か・く!今日は(たぶん)あの二人が来る日なんだから、さっさと起きる!」 びしぃ!とリナはガウリイを指差しそう言った。 「それ十日くらい前からずっと言ってるけど、いまだに来ないじゃないか・・・」 「・・・・・・朝食抜き・・・・・」 がばっ! 「ああああああぁぁぁ!!オレが悪かったリナぁ!起きるっ起きるから、メシを食わせてくれぇ!!」 ぼそっと言ったリナの言葉に、慌てて起きて謝り倒すガウリイ。 「でも本当に遅いわよねぇ・・・・そんなに時間のかかる訳じゃあ無いはずなのに・・・道にでも迷ってるのかしら?」 すがりついてくるガウリイの事は気にせずに―――――無視しているとも言うが――――――リナは心配そうにつぶやいた・・・・・・・が。 「こんにちはー!!リナおねぇちーゃん!!」 不意に聞こえる元気な声。 「ほーら来たじゃない。あんたも早く着替えちゃいなさいよ」 リナはガウリイに向かって着替えを投げつけると、小走りで玄関へ向かった。 「遅かったじゃない。何してたの?あんた達」 まだ少しふらつくセイリナとグリーブは通された部屋でお茶を飲んでいたが、リナの言葉に首をすくめる。 「よう、おっきくなったなぁグリーブ、セイ」 そんな中、やっと着替えたガウリイが部屋に入ってきてにこやかに言った。 ちなみに、リナが二人そろうとややこしいのでみんなひ孫リナの事を、"セイムネス"のセイという愛称で呼んでいる。名前どころか顔も同じなのが周りの人間にはややこしいらしいのだ。親しいものならば見分けがつくらしいのだが、七十代にして掟破りなまでに若作りなリナとセイを姉妹、または同一人物と勘違いする人間は数多い。 「ガウリイもお久しぶり!」 「お久しぶりです。ガウリイさん」 さらにちなみにガウリイの方も『なんか、じいちゃんって呼ばれると傷つくなぁ・・・・』とのことなので、グリーブやセイにそのまま名前で呼ばせていたりする。 「そういえば、まだセイルーンの王達にはまだあいさつに行ってないのね?今朝、王の使いがここに来たんだから。出発したという知らせはとうに来てるのに本人たちが来ない、何かあったんじゃあないか、ってね」 『うっ・・・・』 リナの言葉に、グリーブとセイの二人はさらに首を縮める。こういった礼儀にリナが厳しいのは二人とも良く知っていたからだ。 「まあ、無事だったんだしいいじゃないか。後でゆっくり王宮の方へ行こう」 「まあ、そうね」 ガウリイからの助け舟に、セイとグリーブは安堵のため息を漏らした。 「じゃあリナ、セイ。グリーブは借りるぞ」 ガウリイはそう言うとグリーブを引っ張って部屋を出て行った。 「・・・・・さぁて?ガウリイが気を利かせてくれたことだし、どうして王宮よりも先に家に来たのか理由を聞かせてもらいましょうか。どうせまたなんか変なもの拾ったんでしょう?」 何もかもお見通しのリナの言葉に、セイは目を見開いた。 「この仔、お姉ちゃんにはなんだか分かる?」 きゅうっ!! 「この仔?・・・・・・うーん、よく分からないけど・・・あんた達が王城へ行ってきてる間に調べてみるわ」 リナはチロルとにらめっこしていた顔を上げ、そしてセイの連れてきた時の情報を聞いて心当たりがあったのだろう、セイにそう言った。 セイはチロルの事を聞いてとりあえず安心するが、しかしそれでも顔は冴えなかった。 「リナおねぇちゃんに相談があるの」 「なに?」 リナもそれは予想していた事なのかもしれない。ゆっくりと優しく問いかけた。 「・・・・・あたしリナおねぇちゃんからもらったスリッパほとんど使ってない・・・・・グリーブにツッコむ事ってほとんどないんだもの・・・・」 それだけかい。 セイの言葉にリナはわずかにコケる。 「それじゃあ、グリーブにスリッパあげれば良かったかしら・・・・?まあいいか、大事に使ってよ」 リナの言葉にセイはちょっと笑う。・・・・しかし、すぐにセイの顔は暗くなる。 「ねぇ、リナおねぇちゃん・・・・・あたしあの時やっぱり間違えた事したかな・・・・?」 「・・・・・!?」 ―――――――――アタシハ本当ニ助ケタノカナ? 考えるな。考えてはいけない。 心が悲鳴をあげて、血を流してる。だから・・・・・・・ ―――――――――アナタハ今・・・・・・後悔シテナイ? お願い。誰も気付かないで。 その問いに答えないで。 あたしを責めないで、今は。 セイの言葉に、さっきとはうって変わってリナ真剣な顔で大きく首を振る。 「いい?"あれ"はあんたじゃなかったらもっと大変な事になってたの。あんたの責任じゃあないし――――――――――セイのした事は正しかった。 "あれ"に居合わせていたのがあたしだったら、きっとどうする事も出来なかった・・・・・・だからもっと自信持ちなさい」 セイは、リナにばんっと背中を叩かれる。 「さあ!早いとこ王城のみんなにあいさつに行ってきなさい!!きっとみんな首を長くして待ってるわよ!」 リナの乱暴な力添えの言葉に、改めてセイはこの人の血を引いていて良かったと、そう思えた。 「さて、リナ達はこれから忙しいだろうし、俺たちはその辺でメシでも食おうか?」 ガウリイはグリーブを連れてその辺りを歩きながらグリーブにそう言った。そして不意に今までのほほんだったガウリイがふと真剣な顔になる。 「・・・・・その剣はお前さんが継いでたんだな」 ガウリイはグリーブの背中にささっている剣、ブラストソードを見て言った。 「リナの、セイの父さん・・・・いや、師匠が譲ってくれたんです・・・セイは血を見るのが嫌いだからって・・・・・」 グリーブが自嘲ぎみに答える。ガウリイは何故グリーブがこんな笑みを浮かべなくてはいけないのか、問う事はしなかった。 この剣―――ブラストソードは、リナとガウリイの二人が手に入れてからガブリエフ家が代々伝えていた。 継承者のはずのセイは剣を継ぐ権利を放棄した。ガブリエフ家の子孫はリナしか存在していなかったため、他にガブリエフ派の一族の中でこの件を継ぐ者はいなかった。このままじゃあこの剣には使用者がなく、宝の持ち腐れになってしまう。 そのため、ガブリエフ派と一番親しくなおかつ一番剣の修行を懸命にやっていたグリーブにこの剣を譲ったのだった。 まあ、そのかわりにリナ、いやセイの保護者を命じられたのだが・・・・・ 「グリーブ、その剣はオレがリナを守るために手に入れて使った剣だ。・・・・・お前ならその剣の使い方を間違えないと信じてるからな・・・・・」 その言葉にグリーブは何も答えなかった。 「まぁ、その剣は血の繋がった者しか継いじゃあいけないって決まりを作った覚えはないからな。(もともと勝手に持ってきたものだし)それに血の繋がりはおいおい解決するだろ。だからあんまし気にする必要はないぞ?グリーブ」 ガウリイのからかうようなセリフにグリーブはまたも何も答えられず、少し赤くなって下を向いた。帰るまでにこの顔をどうにかしなければ、そう思いながら。 ガブリエフ家は何か大きな事を起こす時にはセイルーンの王の下へ挨拶に行かなければいけない。それは曾祖母たちの友人であるということの他に、いつもお世話になっている王に対して敬意を払うというのはのは当然のこと。 「リナ=セイムネス=ガブリエフと、その連れのグリーブ=グリスです!門を開けてくださーい!」 リナの言葉に王城の門がゆっくり開く。そして・・・・ 「リナさーん!お久しぶりですぅ!!」 「って、ひぁぁぁ!」 門が開ききった直後漆黒の何かに飛びつかれ、あっさりと倒れる。 ちなみにグリーブは、リナを助ける事も忘れてぼーぜんと事のなりゆきを見守っていたりする。 「・・・・相変わらず元気だなぁ、リゼア」 グリーブの言葉にリナに飛びついて離れなかった何か――――リゼアが顔を上げる。 「グリーブさんもお久しぶりです!!調子はいかがですか?」 「オレは別に普通だけど・・・・・それよりも早く離してやった方がいいぞ」 「あらまあ、大変っ 誰にやられたんでしょう?!それよりもグリーブさんてば酷い人ですね助けてあげないなんてっ!!」 リゼアの言葉に、グリーブはなにやら複雑な表情を空に向け、リゼアは自分の下で痛みで声もあげられない様子で頭を押さえているリナを先ほどと変わらぬ笑顔で見つめた。 「改めて、聖王都セイルーンへようこそ。リナさん、ついでにグリーブさん」 飛びついていたリナから離れ立ち上がり、リゼアは先ほどとはうって変わって王族らしい礼をして見せる。落ち込むグリーブを見て満足そうにリゼアは微笑んだ。 リゼア=ミルス=アクト=セイルーン この聖王都セイルーンの第一王位継承者である。 王家の人間という立場なため、あまり一般の人間と親しく出来ないものなのだが、先々代のセイルーン王とリナの曾祖母、曾祖父つまりリナとガウリイが親しい関係であったと言う事で、リナとリゼア、ついでのグリーブの三人は小さい頃よく遊んでいた。 王族という立場上、その間も決して付き人がリゼアから離れる事はなかったが。 「旅に出るとのことで、リナさんにプレゼントです」 そう言うとリゼアは、大きな箱をリナの前に置いた。 その箱はあまり高級そうなイメージはないが、そこには厳重に丈夫な封印が施されていた。 「・・・・・何これ?」 「ナックルですv」 苦労して箱を開けての失礼とも取れるリナの第一声にリゼアはあっさりはっきり答える。 「旅に出るんですもの、装備はきっちり!これはどこの世界でも常識でしょ?!これで私のかわりにびしばし悪を退治してきてくださいね!」 リゼアは背中に炎をしょって漆黒の長い髪を振り回してそう言った。 (私のかわりに・・・・・・・・・・か) 「そうだね・・・・リゼア、ありがと!・・・・でもいいの?けっこうすごい武器でしょ?これ」 リナはさっそくリゼアのくれたナックルを両手にはめてみる。 見た目の割にとても軽く丈夫そうで、それにあちこちにある見たことのない文字、魔力的効果のこもった武器であるらしかった。 「これはね、先々代の王妃様が黄金竜の長老とエルフの人達に頼んで作ってもらったものだそうですよ。私が持っていてもどうせ役に立たないですし、リナさんにならあげてもいいと思って」 リゼアの言葉に、リナは思わずリゼアも旅に誘いたくなる。 『私のかわりに』 しかし、セイルーンは多発する王位継承問題のために先々代から一人っ子政策をとっている。 産まれてきた第一子が男であろうが女であろうがその者の次には決して子供を産まずにその者にこの国を継がせる。そうする事によりこの国から王位継承に関する事件は消えつつあった。 平和が続いている国をセイのわがままによって、王位継承者を連れ出してこの先のセイルーンを王無き国にする事は出来ない。 それはつまり、この国を再び混乱に巻き込む事になるのだから・・・・ だからリナはリゼアと一緒に旅がしたくとも我慢するしかなかった。 そして、リゼアもまた同じ気持ちであったことは言うまでもなく・・・・・・・ 「なぁ、リゼア・・・・ここって普通の魔族じゃよりつかないよな?」 「ああ、グリーブさんいたんですね」 「うわっ ひでぇ・・・・」 グリーブが背中にある剣に手を伸ばしながらリゼアにそう聞いた。途中でちょっとくじけけそうになるが。 その視線は部屋の隅の虚空に向けられていた。 「ええ、もちろん。でも来るとしたら、よっぽどの用があるか、もしくはよっぽどヒマか、ただ単に馬鹿か。そのどれかじゃないでしょうか?」 リゼアがあっさりと答えて、すぐ近くにあったメガホンを取り構える。 「と、言う訳で用があるのなら早く出てきなさい!!でないとここでおばあ様直伝の"生の賛歌"を歌いますよ!」 リゼアがメガホンを使ってグリーブの視線の先にある虚空に向かって叫ぶと、そこから"何か"が出てくる。 「魔族・・・・・!」 「いかにも。 見るのは初めてかな?お嬢ちゃん」 「そうですね。"生の賛歌"を恐れて出てきた魔族は始めて見ました」 リナの言葉に魔族はからかうように答えたが、あっさりとリゼアにつっこまれる。何も言い返せない時の魔族の必殺技は『無視』である。 「とにかく・・・・・命令だ、お前を殺す」 と、魔族はあっさり簡潔に言い放つと、魔力が乏しいと調査されているリナに向かって光球を放つ! 不意打ちなため、よける事のできないリナは反射的に左手を突き出す! 「馬鹿め!左手を吹き飛ばされろ!!」 魔族がそんなリナを見て嘲笑うように言った。その刹那! ばちぃぃぃん!! 『なっ!』 その場にいたほぼ全員の驚きの声が響く。 そう、光球はリナの左手によってあっさりと消滅していた。 「何だこれは!調査と違う!」 魔族のあせったような声が響く。魔族の調査の中に、リナがあんな強力な武器を持っているという情報はなかった。 当たり前である。今もらったのだから。 「そのナックルにかかってる魔力はけっこう強力よ。でなきゃあリナさんにあげる訳ないじゃない」 リナもグリーブも想像以上にこのナックルが丈夫な事に驚き、ぼーぜんとしていたが、一人落ち着いていたリゼアは威張るようにそう言うと、持っていたメガホンを構え、高らかに歌いだした。 「ぼーくらーはみんなーいーきているー♪いきーているから――――」 ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! リゼアが歌いだしたとたん、急に魔族は苦しみだす。 「やめろ!その歌はぁああああ!!!」 ・・・・・・この魔族、生の賛歌には何か嫌な思い出でもあったのだろうか? 一瞬あっけにとられてしまったが、リナもグリーブもこのチャンスを逃す気はなかった。そして、これ以上リゼアの歌を聴いていく勇気もなかった。魔族だけでなく、人間へも十分通用する破壊力を持つリゼアの音感。 つまり、筋金入りの音痴ということだが。 「はあ!」 「とう!!」 グリーブの剣の一振りで魔族の右腕を切り落とす! そして、グリーブの後に続きリナのパンチが魔族の腹の辺りにめり込んだ!瞬間――― かっ!! まばゆい光に辺りが包まれる。ナックルに描いてあった文字が青白く光っていたのだ。 ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 魔族はその光の直撃を受けてあっさりと消滅した。 「勝った・・・・・よね」 「ああ」 リナの言葉にグリーブはそう言うと剣を納めた。多少の緊張から流れた冷たい汗をゆっくりと握り息を吐いた。 「ふっふっふー、びぃっくとりぃー!!見たか!おばあ様譲りの生の賛歌とナックルの威力は!!正義は必ず勝つんだから!!」 魔族との戦いの余韻に浸る間もなく、細かいつくりの重そうなテーブル(とりあえずこの部屋で一番安全な場所である)の上で高らかに高笑いするリゼアを見て改めて二人は、魔族よりこっちの方がある意味怖いかも・・・・と思ったのであった。 「もう、行っちゃうんですか?」 翌日、セイルーンシティの入り口にわざわざ見送りに来てくれたリゼアはそう言った。 「うん、残念だけど・・・・なんで魔族が出てきたのかもよくわかんないし、これ以上ここにいたら王宮の方にもみんなにも迷惑かけちゃうし・・・・」 「それに、リナさんとガウリイさんからもらった地図があるんだ。そっちの方にも行かねぇとな」 リナとグリーブの言葉にリゼアは少し悲しそうな顔をする。 「向こうで手紙書いてくださいね!それから、たまにはこっちにも顔出してくださいね!」 『わかった!』 リゼアの言葉に二人はそう答えて・・・・ そして、二人はセイルーンシティを後にした。 ・・・・二人はリナからある地図を譲り受けていた。しかし、そこにあるのが何なのか聞かされていない。 二人がリナから聞いたのは『真実を見てきなさい、それがあんたたちにどう影響するかわからないけど・・・・』という、不安を煽る言葉だけだった。 「ついに、あの子の所にも魔族が現れたわね・・・・」 リナがポツリとつぶやく。 「ああ・・・」 ガウリイはそれだけつぶやくとリナの頭に手をのせる。 「グリーブも、あの穏やかな顔のままでいてくれるといいんだけど・・・・」 「きっと、大丈夫だ。グリーブにはセイがついてる」 ガウリイはそう言った。そしてその声には確信が満ちていた。 「リナには"あれ"に通じる地図は渡した。あの子がそれをどうするか・・・・・それによってこの先変わって行くわ。きっと・・・・」 ぴちゃんっ 「リナ・・・・よくも私の大切な部下を・・・・!」 彼女が立ち上がると小さな入れ物に入っていた水が揺れ、そこに移っていた映像も消える。 「リナ、そしてこの得体の知れない男も!!許しませんことよ・・・・・必ず血祭りにあげて見せますわ!!」 ほー――――――っほっほっほほほほほほほほ・・・・・ 彼女の笑い声はまたも静かで暗い空間に響き渡っていた・・・・・・ ============================================== ☆言い訳☆ リナちゃんとガウリイ君、素敵に完璧に夫婦です(笑)でもこれ、ガウリイ君とリナちゃんがくっついている事が前提となっている話なものですから(笑)←こら リゼア、以前投稿した『Escape』とは全く別人となっておりますが(笑)彼女はアメリア&ゼルの孫です。 彼女は王位継承権に対する諍いを恐れたセイルーンのとった行動、一人っ子政策のもとで生まれた第一王位継承者―――――――つまり、確実なる王です。 王になるべくして生まれてくる、それはそれで辛いですよねぇ(汗)国を治める辛さは国を治める王たちを主役にした某小説を読んでから、更に思うようになりました。 そんな感じでビーパラまだまだ続きます。こんなところまで読んでいただきありがとうございました!! 続きもよろしかったら読んでくださいねっ!!でわでわ、あんでぃでした。 |
8045 | 修正しときました | 一坪 E-mail | 2002/2/3 21:48:52 |
記事番号8044へのコメント こんばんはー。 >何やら一話のタイトル失敗していますが(笑)この際気にしないでくださいねっ(最悪じゃ) 気になったので(笑)修正しておきました。 ミスったら気楽に修正依頼してくださいね。 |
8046 | あああああっごめんなさいっ(汗) | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/4 01:41:57 |
記事番号8045へのコメント こんばんは一坪さま(> <)いつもお世話になっていますっ!! >こんばんはー。 > >>何やら一話のタイトル失敗していますが(笑)この際気にしないでくださいねっ(最悪じゃ) >気になったので(笑)修正しておきました。 >ミスったら気楽に修正依頼してくださいね。 がふっ(汗)すすすすすすすすすみませんっ(泣) 久々に張り切って投稿をしたら間違えまくって最悪な自分です(泣)毎話舞話恒例になりつつあるので修正依頼をお願いするのはとてもご迷惑をおかけしてしまうこと請け合いだと思ったのですが・・・・・・・結局迷惑かけてんじゃんっ(泣)←それについてもはや返す言葉はない。 ありがとうございますっ!!そして、ごめんなさいっ!! これからもお世話になりますm(_ _)m ありがとうございました!! |
8061 | BE PARASITIC NIGHTMARE 3 | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/6 20:09:05 |
記事番号8022へのコメント こんばんは☆あんでぃです♪ なんとかやっとこさ頑張っております(何を) 何が嬉しいって、明日で持久走の授業がすべて終了することですか(^ ^)いや、走るのはとっても嫌いなのですが、これで終わりと思うととっても嬉しいあんでぃでございますvv でわでわ、こんなものですが、読んでみてくださいませっ ============================================ ―――――目の前にただ一つだけあるドア。それ以外は何もない・・・・ そんな道無き道を必死に走る、そのドアに向かって。 早く開けなくちゃ!・・・・・そう思うのになかなかドアの前にたどり着けない。 ここがどこなのか、なぜ自分がこんな所にいるのか・・・ふとそんな疑問と不安でいっぱいになる。 でも、今はそんな事は言っていられない。理由はわからないが、急がなくては。 目の前にあるドア、そこを開ければそんな疑問も不安も解決できるような気がした・・・ やっとの事で自分はドアを開ける。・・・しかしそこには――――――― ・・・・・・・・・・・・っ!! 忘れていたかった、いっそ消してしまいたい忌々しい記憶、そして喪失感・・・・・ ダメだよ戻ってきて!・・・・戻ってきて、行かないで!! 誰でもいいから助けて!早くして!早くっ!! 何とかしなくちゃ!早くしなくちゃ!私には無理だよ?!誰か助けて! 誰か――――――――――! BE PARASITIC NIGHTMARE 3 「・・・・・っ――――!」 リナは勢いよくベッドから身を起こす。 セイルーンを出てまだ一日も経っていない。近くにあった小さな村の小さな宿屋。 そして、なんて事のない普通の夜・・・のはずである。大部分の人にとっては。 リナは自分の口を押さえてつけていた両手をゆっくりと離し、止めていた息をそっと吸う。 ふー―――・・・・ リナは物音を立てないようにそっとため息をついた。 今は冬のはずなのに全身汗まみれ、それでいて体の芯から冷えているような奇妙な感覚・・・リナは震える自分の体を自分の両腕で引き寄せた。 枕の隣ではチロルがすやすやと眠っている。 ――――・・・・・いつからだろう・・・?夜中に声を立てないように気をつけるようになったのは。 ――――いつからだろう?夜が、血が怖いと思うようになったのは・・・・ リナはもう今日はきっと眠れない。もう目が冴えてしまっている・・・・・・ リナはベッドから降り、窓際から外を見る。カーテンの向こうの景色は、少しずつ明るくなってきている。 もう夜は終わり、朝が来る。朝が来ればもう何も怖くないはずだ・・・・・ しかし、久しぶりに見た悪夢にリナは抵抗する事ができない。もう、起きてしまった事実は変える事ができないのと同じように・・・・ ――――この『悪夢』から逃れることができないのだ 「・・・・・おう、早いな」 もうすでに起きていたリナにグリーブは声をかける。 この村に一軒しかない宿屋の下にあるこれまた一軒しかない食堂、そこでリナはホットミルクを飲みながら外の景色を見ていた。 リナ=セイムネス=ガブリエフ 希代の魔道士リナ=インバースの曾孫である彼女はその容姿も曾祖母にそっくりであった。曾祖母ほどではないものの、やはり小柄だったし、挑戦的な瞳も同じであった。 しかし彼女はその曾祖母のような魔道士にはならなかった。いや、なれなかったとも言うかもしれない。 そのかわりに彼女は幼馴染みであり、セイルーンの王女であるリゼアにもらった魔力のこもった強力なナックルを使いこなす格闘家である。 そんな彼女の唯一の救いは、性格が曾祖母よりも曾祖父よりでのほほんだった事か・・・・・・まあ、それが良いとも言いにくいが。 太陽が昇り、村を照らす。そんな中で懸命に働く村人たち・・・・ 外をボーっと見ていたリナはグリーブのほうを見ずにポツリとつぶやいた。 「平和に見えるね、この村・・・・」 「平和なんじゃないのか?特に変な所は見あたらねえけど」 リナの言葉にテーブルについたグリーブはリナの見ているほうの外を見る。 グリーブ=グリス リナ、リゼアと共に幼馴染みで強力な魔法剣士である。小さい頃からリナの母親を魔法の師、父親をのを師としていた。そして現在はリナの家に伝わっている家宝、伝説の魔剣ブラストソードの継承を拒否したリナの代わりに持っている。 その剣を持つかわりに師達からリナの保護者を命じられ、まあそれだけが理由ではないが・・・・・現在一緒に旅をしている。 特に何の問題も無さそうに見える。むしろ村の人々は笑顔で働いているのだから、心配する方に問題があるだろう。 「・・・・何かあったのか?」 グリーブは、リナに尋ねる。リナの様子がおかしい、しかしこんな様子なのも今日が初めてではない。しかし、リナがそれについて話してくれた事は一度もない。いつも自分一人の問題として、他の人間には決して話さない。 「よそ者の私たちにはこの村の人が幸せそうに見える。でも本当に幸せかなんて、本人たちにしかわかんないんだよね。きっと・・・ 考えてみたの、本人の気持ちは本人にしかわからないのかなぁ?ってね。・・・・そうじゃあないと、いいね」 言ってリナはにっこり笑う。そしてグリーブが何かを言い出そうとする前に、怒ったように頬をふくらませる。 「大体さあ、グリーブが起きてくるのが遅いんだよ!そうじゃなきゃこんな変な事考え込んだりしないんだから!まったく、いつまで待ったと思ってるの?早くご飯食べちゃおうよ!すみませーん!!メニューください!」 リナは突然いつもの様子に戻って元気に朝食選びをしている。 ・・・・・はあ・・・・ そんな様子にグリーブは小さくため息を漏らしたのだった。 (確かに自分じゃない誰かが何を感じてるか、本人以外の人間にはわかる訳ねぇな・・・・だけど、それでも知りたいと思うのが人間なんじゃないかと、俺は思うけどな・・・・) リナの様子がどうして変なのか、予想はついている。 きっと、夢を見たのだ。彼女がずっと悔やみ続けているあの事件の夢を――――――――― しかし自分が気づいているということを知ったら、リナを余計傷つける・・・・・・・そんな気がした。 だからグリーブは何も言わなかった。 地図を頼りに道を進む。そしてたどり着いた場所が・・・・・ 「また・・・・ここか?」 うんざりしたようにグリーブはそう言った。 そう、ここは普通の地図には無い森の中――――チロルのいた森である。 「ここって、セイルーン王国の私有地・・・って言うかリナおねぇちゃんたちの私有地だったんだ・・・・すっごいね」 リナが感心したようにつぶやいた。 「・・・やっぱり管理人みたいなのがいるってここに書いてあるぞ、とりあえずそっち探そうぜ」 グリーブが地図をに書いてある説明を指差してそう言った。 地図には、"ここの森を任せてる人がいるから、その人に案内してもらいなさい!"と記されていた。本当に準備のいい人である。 「どうやって探すの・・・・?」 リナが暗い森を見て困ったようにグリーブに向かって言った。 「んなこと言われてもなあ・・・・こいつに聞いてみるか?」 言ってリナの服にあるフードの中にいるチロルを指差す。チロルを拾った(?)のはこの森の中だ、チロルならばこの森について詳しく知っているかもしれない。 「ダメだよ、この森に来てからずっと元気ないもん。この森にいるのはまだ辛いんだよ、きっと・・・・だからそっとしといてあげようよ」 チロルは、先ほどからフードの中に入ったきり出てこようとしない。この森で自分の親を殺されたのだ、元気が無くて当然であった。 「あのー・・・・・リナ様とグリーブ様でいらっしゃいますか?」 控えめな声にリナとグリーブはなんとなく少し警戒して振り向く。 途方にくれた二人の前に現れた男性は少しぼろぼろになりながらもこちらにやってきた。 あんまりかっこよくないが・・・・・・・・・しかし、人の良さそうなオーラが全身からにじみ出ている。こんな芸当魔族はおろか、人間であってもなかなかできない。 「・・・・そうだけど、あんたは?」 とりあえず人間だろうと、グリーブは尋ねかえす。 「ええと・・・僕はこの森の管理を命じられている、モリーウン=イージェアでございます。セイルーンでリナ様からの連絡をもらった後、なかなかこちらにいらっしゃらないので探しに参りました・・・・でも、案内する必要が無かったみたいですね・・・・もう扉の場所まで来てしまっていますし・・・・・あ〜あ、僕の仕事終わっちゃったなぁ・・・・・」 困ったように後ろ頭をかきながらモリーウンはそう言った。 「あなたが管理人の人だったんだ・・・・なんか道に迷っちゃってここまで来たんだけど・・・・って、ええ!!」 リナは慌ててモリーウンの指し示した石版の方を見る。そこには何か文字が刻まれた石碑があるのみ、後はただの森だ。 「あの〜・・・もしもし?扉ってどこですかですか?石版しかないじゃないですか」 リナが困った顔のモリーウンに聞く。 「えっとですね。簡単に言ってしまうと、この石版がカギです。この石版に刻まれている言葉読めます?"我等が守神、真に必要としている者のみにこの扉は開かれん"です」 「この石版がか?なんか怪しいなぁ・・・・まるっきりありがちなパターンじゃねえか。あのハデ好きのリナさんがこんなワンパターンで来るのか?」 モリーウンの言葉にグリーブがうさんくさそうに答える。 「この扉を作ったのはリナ様ですが、考えたのはガウリイ様です。なんでも二人の合作という事ですので・・・・それに、この扉のカギはグリーブ様が持っていらっしゃいますようですし、その使いみちがガウリイ様の意思を継いでいれば開くようになっている、という事だそうです」 モリーウンがグリーブの背中にあるブラストソードを指差しそう言った。 『グリーブ、その剣はオレがリナを守るために手に入れて使った剣だ。・・・・・お前ならその剣の使い方を間違えないと信じてるからな・・・・・』 "我らが守神〜"・・・・・大事な人を守るための剣。確かに"守り神"だ。 ガウリイがグリーブに言ったあの言葉は、この事を意味していたのだろうか? (違う、それだけじゃない・・・・・。きっと。それがわかる日がいつか来るのかもな・・・・・) グリーブは石版に背中にさしていた剣を抜き、石版にかざす。 すると、石版に刻まれていた文字が光りだし、その光が地面へと落ち巨大な魔法陣を描きリナとグリーブを囲む。 「なんだぁ?! すごい技術だな!これ。本当に剣がカギだ!!」 「わあぉ!すっごーい!!さっすがリナおねぇちゃんだねぇ」 グリーブとリナが感嘆の言葉をもらした直後に、二人の姿はその場から消えた。 「・・・・・・・・・・・・って、あれ?僕は入れないんですか?・・・・ちょっと中がどうなっているのか興味あったんですけど。セイルーンの王達と魔道士協会からこの森の管理を任された人間としては・・・・・・・」 ぼろぼろになってまで二人を探したあげくに、一人置いて行かれたモリーウンは、とぼとぼと再びこの森を管理するための部屋に戻ったのであった。 二人が現れた場所は先ほどの森とは明らかに違う場所であった。 そこは暗くて湿っぽく、そして地面がない。自然の法則通り二人は重力に従い落下する。自由落下というやつだ。 「浮遊(レビテーション)!」 グリーブはリナを抱え呪文を開放する。グリーブにしがみついていたリナは慌ててチロルが落ちないようにフードを押さた―――――――ややあって、かなり深くまで落ちた二人と一匹はどうにか地面に降り立つ。 「ありがとグリーブ、助かった。・・・・・ねぇ、ここすごく広い・・・・」 リナがあたりを見回し驚いたような声を漏らす。一方チロルはリナのフードから降り立ち、足元に映った自分の姿と、薄く描かれた魔法陣とにらめっこをしていた。 リナ達が降り立った場所はとてつもなく広いホールのような場所だった。 鏡のように自分の姿が映る足元の石畳、ひんやりとしていてやや薄暗くあたりには結界なのだろう、魔法陣のようなものがとても大きく描かれていた。 「ここに一体何があるんだ?」 「リナおねぇちゃんも何があるのか教えてくれなかったよね・・・・あ、こっちに何かあるよ。行ってみよ」 魔法陣の中心に当たる場所に祭壇があった。高く作られたその場所のてっぺんには宝珠(オーブ)が置いてある。 その宝珠はまるで宝石のように細かくカットされ燦然と輝いていた。それは向こう側が見えるのではなかと思うぐらいに透明度が高いのに、それは銀色に輝いている。銀色なのに透明度が高い。ありえるはずのない事なのにそれが事実である、そんな不思議な宝珠だった。 きゅういんっ! チロルが魔法陣の上を沿って歩いていたが、祭壇の近くにいるリナの所まで来ると、軽く鳴いた。 半生甲冑、封魔装甲ゼナファ―――――暴走し、魔獣になってしまったザナッファー。失敗作であるそれすらもサイラーグという街を滅びに導いたという強力なもの・・・・・ 異界黙示録(クレアバイブル)に創り方を記されていた、危険で強力な学習能力までもある生きた鎧だ。そしてゼナファという言葉には "魔を律する"という意味があるのだという。そんな伝説の甲冑に、元になった生き物がいたとしたら・・・・・? そう、それが"幻獣ゼギモルエ"一族である。 『チロルは恐らくその"幻獣ゼギモルエ"の一族の子供だと思う』 王に挨拶に行っている間にチロルの事を王立図書館まで行って調べてくれた曾祖母リナの言葉を、リナは思い出す。 ――――幻獣ゼギモルエ 普段は温厚な性格をしているおとなしい生き物である。 しかし、自分もしくは自分の仲間に危険が及ぶと白い体毛は黒く変化し、まるで赤眼の魔王をほうふつとさせるような真っ赤な瞳に変化する。そしてその性格も一変し、鋭い鉤爪で敵をなぎ倒す獰猛な生き物になる。 アストラルサイドと実際の空間、両方の魔力の流れを操作する能力を持つ。 幻獣と呼ばれるゆえんはゼギモルエの子供の血に延命の効果があるための乱獲により、その数が激減しているため、もうほとんど見ることができないからである。 魔道書にはそう、記されていた。 まだ子供であるチロルでさえも魔法陣の中に流れている魔力を無意識のうちに感じ取っていたのだろうか・・・・・? そうだとしたら、チロルはかなり強い力を持った子供なのかもしれない。 しかしそれでもまだ子供、独りでは生きていけない・・・・ リナはチロルをそっと抱き上げ、グリーブの頭の上に乗せる。 乱獲・・・・・・・一時期エルフも人間から似たような被害に遭っていたらしい。それが原因で今でも人間を嫌うエルフは存在するのだ・・・・・ (チロルと・・・・・幻獣と呼ばれるようになってしまったゼギモルエとは、一部のエルフ達と人間たちの様に険悪な関係になりたくないな・・・・・リナおねぇちゃんはその 事をあたしに言いたかったのかな?) 突然、グリーブは後ろから考え込んでいるリナの髪の毛をくしゃくしゃに・・・・・・いや、ぐしゃぐしゃにかき混ぜる。 「いたい!いたたたた!!―――――――何するの!?」 「まーた、お前一人の世界入ってたぞ。いつも考え込むクセはやめろって言ってるだろうが・・・・・それより早くあのオーブがリナさんの言ってたもんなんだろ?きっと。だったら早く取ってさっさと帰ろうぜ」 乱暴に髪の毛をかき回され、頭を押さえてグリーブを睨みつけるリナ。しかし一方グリーブはどこ吹く風であくびなんてしながらあっさりとそう答えた。 「なんかごまかされた気分・・・まあいいか、んじゃグリーブ肩貸してね!とりゃっ!」 「わっ!」 リナは仕返しにグリーブの肩を踏み台にして思い切りジャンプする。そして一気に祭壇の上まで登ると、そっと宝珠を取る。 ちなみに踏み台にされたグリーブは地面に転がっていた。転びながらもチロルをきちんとさりげなくキャッチするあたりはさすがにたいしたものである。 「・・・・・ってぇな!あぶねえだろうが!!」 「だぁって、この祭壇すごく高いところにあるのに階段がないんだもん。あたしあんまり浮遊(レビテーション)使いたくないしぃ。また魔力尽きて誰かさんに迷惑かけたくないからぁ〜♪」 グリーブの当然の抗議に今度はリナがどこ吹く風で答える。 (こ、このヤロ・・・・) その場に座り込んでぷるぷると怒りに震えているグリーブのことなどお構いなしに、リナは祭壇の上から軽やかにすとんっと飛び降りてくる。 「さぁて♪たぶんこれがリナおねぇちゃんの言ってたものよね!無事回収したし、さあ早く帰ろう!!」 グリーブに向けて手を差し伸べながら、リナはにっこりとそう言った。 「・・・・・・で、出口はどこだ?」 その手を取って立ち上がりながら、グリーブは言った。 「・・・・・え゛?」 リナはその言葉にたらりと汗を流す。 ここに来た時に出てきたのははるか上空、しかも何も無い所から出てきたのだ。 入り口が無い、そんなところからどうやって出るのか? 「・・・・思い切ってグリーブが竜破斬(ドラグ・スレイブ)でここを吹き飛ばすって言うのは?」 「あのなあ・・・そんな所ばっかしリナさんに似るな!!この付近に人がいないとは限らねぇだろうが!大体ここはリナさんの私有地だ、吹っ飛ばしたら俺たちが生きて帰れると思うか?!」 リナの身もふたもない提案をグリーブはあっさりと却下する。 「う、確かにリナおねえちゃんを怒らせたら・・・・・生きて帰れない、ね・・・そっか・・・・まあ、とにかく今は出口を探すのが先だね。チロルにはわかんないかしら?この仔もまがりなりにも幻獣だし。ねぇチロル、出口がわかったりしない?」 チロルを下に降ろしてみると、必要がない気がするが鼻をフンフンさせ何かを探すように歩き始める。他にどうすることもできず、その後をリナとグリーブはついて行った。 冷たい床、薄暗く密閉された広い地下・・・・・・・・・・・出口が見つからない迷宮。 今日見た悪夢と酷似している風景がリナを言いようのない不安にさせていた。リナはぎゅっと目を閉じる。 「大丈夫かリナ?寒いか?」 グリーブの言葉にリナははっと顔を上げる。そしてそこでやっと自分で自分の肩を抱いている事に気付き、リナは慌ててグリーブに笑顔を向けた。 「あ・・・うん、ちょっとだけね」 「ちょっとか?顔色悪いぞ、お前」 先ほどに比べて、リナの顔色が徐々に青白くなっていた。不安、焦りがこんなにもリナの中に蓄積されていたのだ。 普段リナは心労で倒れることが多い。体が弱い訳ではないが、それでもだ。 「何か・・・・・・ううん、ここが何処なのか分からない事が嫌なだけ。たいした事は無いよ」 宝珠(オーブ)を右手に持ったままリナはグリーブにそう言った。 きゅん!! 「なに!?どうしたのチロル!?」 「どーした白モコ!!」 先に行ったチロルの鳴き声に二人が慌てて駆け寄ると、大きな目をくるくる回しながらチロルがリナに倒れこんだ。 「ど、どうしちゃったの・・・・?チロル・・・・・・・」 魔力が一番強く集結している場所。 そこにあったのは、輝く記録球(メモリーオーブ)。今度のは先ほどの物とはうって変わって普通の丸いものである。しかしその記録球(メモリーオーブ)から発せられている魔力は尋常ではない。 「すごいなこの魔力。これだけの力が溢れてたら、魔力を感知するこいつは目回して当然か」 チロルを肩に乗せグリーブは記録球(メモリーオーブ)を見つめる。 「特に変なところもねえみたいだし大丈夫だな・・・・おし、リナこっち来ていいぞ」 「りょーかい」 とてとてとて、とグリーブのその言葉にリナは遠慮なしに近づいていった。 「このオーブは一体何なんだろうね?何かの記録球(メモリーオーブ)みたいだけど」 リナはその記録球(メモリーオーブ)にそっと触れる。瞬間、リナの持っていた宝珠(オーブ)がかすかに反応する。今度はこの宝珠(オーブ)が記録を引き出す鍵だったようだ。 そのことを理解する前にリナ頭の中にたくさんの情報が流れ込んできた。 それは、かつてリナの曾祖母――――自分が名前をもらった者が、ある事を知ってしまったが故に起きた事件の記録・・・・・リナ=インバースの歴史・・・・ (これは、この世界の赤眼の魔王よりも上に位置する存在、・・・・金色の魔王の記録?) それは、かつてほんの少しだけ聞いた事があった。"リナ=インバース"がその事を知っているがために魔族に狙われた日々・・・・そしてこの魔王の力を借りた術によって二体の魔王を滅ぼした事も。 『あんたには、"あの魔王たち"について詳しい事を教えるつもりは無かった。わざわざ魔族に狙われるような事をする必要も無いしね。でも、もしもこれを知る事でしかこれから先の事態がどうにもできないようなら・・・・・・その時のためにここに記録は残しておくわ』 頭の中に響く声、それはまぎれもなく自分の曾祖母の声だった。そして、今までいくらせがんでも教えてくれなかった"あの者"の真実を今リナは理解した。 しかし、決して自分の魔力が大きくない事は自覚している。巨大な魔力を誇っていたリナ=インバースでさえ制御に失敗するほど巨大な"あの者"の術を制御する自信はリナには無かった。 ――――でも・・・・・・ 『それからもうひとつ、あたしも今はまだはっきりとは分からないけど、あんたなら気付いたわよね?"あの可能性"に。ここから先はあんたが真実を見つけなさい。そのかわりにそのヒントになりそうなもの――――あの石はあげるから』 (――――あの可能性・・・・) リナは祭壇から取った宝珠(オーブ)を見つめる。 もらったこの石が、あの可能性を一気に確信に近づけていた・・・・・しかし、完全なる知識まではまだ遠い・・・・・・ (現役を引退しているとはいえ、あの希代の天才魔道士リナ=インバースでさえもまだ完全に解明していない"あの可能性"を自分が見つける・・・・・) 確かにこれを完全に理解する事が出来たら多少の魔族どころか高位の魔族でさえも対抗できる事だろう・・・・・しかし、これも金色の魔王と同様にかなりのリスクを伴うものである事は間違えない・・・・・・・・・・・・・・それでも! 「誰かから教えてもらうんじゃなくって、自分で真実を見つける・・・・面白いじゃない!やってやるわ!ねっ?グリーブ」 「はぁ?何をだ?」 グリーブが理解できないのか不思議そうに聞き返す。記録球(メモリーオーブ)に記録されていたものは、どうやらリナの頭の中に直接伝わっていてグリーブには聞こえていなかったようだ。 「なんでもいいの!大切なのは真実の追究よ!!と、ゆーわけで私はここの出口を探してくるから、グリーブもそのメモリーオーブに記録されていた事見てみて!じゃ!!」 それだけ言い、宝珠をグリーブに渡すとリナはそそくさと部屋を出て行ってしまう。 「一人で大丈夫か・・・・?まあ変な気配も無いし、いいか」 ならば、早く用を済ませて追いかけるのが一番いい。グリーブは記録球(メモリーオーブ)に特に何も考えずに触れ、そこにある記録をグリーブが聞く。 ――――そして、記録されていたリナの言葉に自分の耳を疑った。 『・・・・これはグリーブに伝えるべきかすごく迷ったんだけど…グリーブだって私たちの家族なんだもの、知る権利はあるわ。今までずっと黙っていてごめんね・・・・・』 ・・・・・・疑問だらけだった。犯人の事も、動機の事も何一つわからなかった。まだコドモだった自分には。 なぜ自分達が狙われたのか、なんとなく大人達は気付いていたようだったが、こんなにも良くしてくれる人達を前に、聞くに聞けなかったから。 (こんな理由でっ・・・・・!?) ぎりっ・・・・! グリーブは思わず歯を食いしばる。そうしないと今まで溜めていた何かが溢れ出しそうだったから。自分の中から溢れ出す憎悪に恐ろしくなる。悔しさで、無力感でいっぱいになる。握りつぶしそうなほどの力で宝珠を握った。わずかに滲んだ口元の血の味に、さらに不快になる。 もしも魔族がこの場にいたら、これを"瘴気"と呼び、喜ぶかもしれない・・・・・ 「いっけない・・・・チロル忘れてきちゃった」 出口を探してさまよっていたリナは、記録球(メモリーオーブ)から離れるにつれて体が楽になっていた。しかしグリーブには自分で世話すると約束してしまったので置いていくわけにはいかない。 気が進まないがリナはもと来た道、記録球(メモリーオーブ)のある場所に戻ろうときびすを返し、グリーブのもとへ急ぐ。 真実の追究――――――――それは決して望んではいけないものだと、わかっているのに。 どうしてこんなにも望んでしまうのか? リナは首を振った。真実を追い求める事が悪いとは思わない、ただその追い求め方を違えない事だ。それを心掛けよう。 これだけは――――――――――――決着をつけるのに必要な事なのだ・・・・・・・・・だからこれだけは。 だから、今回だけ何が何でもつきとめよう。 ふとリナは先ほどと違う空気に眉をひそめる。知らない感覚ではない。以前にも何度かこんな事があったから・・・・ 「・・・・・グリーブ?」 そこには記録球(メモリーオーブ)に触れたままぴくりとも動かないグリーブがいた。 ――――――――その表情は『あの時』のようにどこか痛々しく、見ていられなかった。 「グリーブ!よけてっ!?」 ぱしこーんっ! 「むぎっ!あにすんだよ(何すんだよ)!」 リナにスリッパではたかれ、舌を噛んだらしいグリーブは涙目でリナに詰め寄る。これはこれでとても痛々しい。 「だからよけってって言ったでしょう?・・・・・ところで何かあった?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 なんとなく理由はわかっていたがそんなところはまったく見せずにリナはグリーブに尋ねる。案の定グリーブは何も言わない。自分の中の黒い部分を人には、リナには見せられない・・・・・ 心の中に何をしまいこんでいるか、言ってくれなくてはわからない。ただでさえ、言ってくれてもわからないことはあるのに。 幸せそうに見える人でも本当に幸せなのか、それは他人にはわからない。自分でもわからない時があるのだから・・・・・・ リナは小さくため息をついた。自分と一緒にいるときぐらいは安心してもらいたい。自分が彼にとっての休憩所(オアシス)になれたらいいのに。 ――――――いつもそう願っている、ちいさい時から。 「別にメモリーオーブの中のリナおねぇちゃんに何を聞いたのかは私にはわかんないけどさ、どこかの人とかが『やられたらやり返せって』って言ってたし。これから"あいつ"をゆっくり探して、あたしらでこれ以上ないくらいにぎったんぎったんにしてやればいいのよ。ね?」 とは言ったものの、リナとグリーブは"あいつ"が誰なのか知らないのだが。 「誰が・・・言ったん・・・だよそんな、物騒な事・・・・・」 グリーブが不機嫌そうに、しかし舌がまだ痛いのかゆっくりと答える。 ・・・・・・・・・もしかしたらさっき何も言わなかったのは舌が痛かったせいかもしれない。 ちょっとそんな事をリナは思うが、気付かなかったフリをする。リナにはグリーブの気持ちをなんとなく理解できた。ちなみに舌を噛んだ時の気持ちではない、念の為に言っておくが。 (・・・・・・わかっていたからこそ、止められない。ならばせめて、一緒にいてその怒りに歯止めをかけてあげよう・・・) それがリナの役目であり、リナにできる"あの人たち"への、せめてもの罪滅ぼし・・・・・・・ (こうは言ってみたけど、もとはと言えば全部、あたしが一番悪いんだよね・・・・) それ以上何も言えずに黙り込んでしまったリナに、今度はグリーブがリナの頭にぽんっと手を乗せる。昔からずっとこれはガブリエフ家の癖。彼にまで昔、師がいつもリナにしていた行動がうつってしまったようだった。 「さんきゅ」 グリーブはそれだけ言うとさっさと部屋を出ていってしまった。そんなグリーブにリナは苦笑する。 (・・・・照れ屋な所はリナおねえちゃんそっくりだね・・・・) もちろんそんな事を口に出して言えば、二人に怒られるのだが。 ふと、手の中にある宝珠を見つめる。 宝珠というよりも宝石護符(ジュエルズアミュレット)に形は近い。そして現に曾祖母のように魔族から自分たちは狙われている。理由はわからないが、これはその疑問を解くカギにきっとなるのであろう。 (このオーブはあたしの考えが正しければ、きっとものすごく貴重なもの・・・・・・・・大事にしなくちゃ) 「おいリナ!置いてくぞ!!」 「今行く、まってー!」 グリーブの怒りは消せないし。 自分の罪悪感も消せない。 それでも、二人は生きて行く。 それは決して悪い事では無いのだ・・・・・・・・・・ ================================================= 改めて読み返してみると、いろいろ矛盾点を発見(汗)困りました(直せ) 微妙に当り障りが無い程度まで修正をしてみましたが・・・・・・・どうでしょう?(汗) 深く考えずに読んでくださいねっでわでわっ(逃) |
8091 | 遅くなりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!! | ブラッド | 2002/2/13 00:59:40 |
記事番号8061へのコメント こんにちわっvレス遅くなってすいません(ぺこり) あぁっ、これじゃぁ親友失格じゃないか(汗) そーゆーわけで(をい)こんにちわvブラッドです。 ビーパラ投稿復活おめでとうございますっっっ!! やはり、ビーパラは投稿してより多くの皆様に読んでいただかなければっv ちなみに、持久走ですが、ブラッドは苦手です。ラズと一緒です(笑)でも、ラズは持久力はやたらありそうです(爆)ブラッドは持久力もありません(きぱ)やるきもありません(をい) いやいや、やっぱりあんでぃさんの文章はとっても素敵だわ〜vもう何回言ったかわかりませんが、とっても洗練されてて、どんどん文章が素敵になっていっててv素晴らしいです。 綺麗な文章です〜v でも、本当にすっごい惹かれる文章です。 心にずーーーーんと来ます。 オリキャラの皆さんもやっぱり素敵だしっv あぁっ、リゼアちゃん、いつも元気に正義をふりまき毒はいてねv(をい) あぁっ、サントス君v あなたの猫かぶりには惚れるわ(だから、をい) チロルはふわふわで可愛いしv でもでも、あぁぁっっセイリナあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣) すっっっごい切ないです。あんでぃさんの話は、いつよんでも何度読んでも凄いです。なんか、訴えてるような、心に響くんですよ。 グリーブ君ってば、一人で抱え込みすぎです(泣) あぁ、もうみんながみんな苦しんでて、すごい切ないです。 そしてそして気になる終わり方っ!!あぁっ、この次はこうなるのですねっ! こーなって、あーなって、そーなって、うーんとなるのですねっ(わけワカメ) >改めて読み返してみると、いろいろ矛盾点を発見(汗)困りました(直せ) >微妙に当り障りが無い程度まで修正をしてみましたが・・・・・・・どうでしょう?(汗) …………別窓で見比べてみようかしらv(やめれ) 改めて書き殴りさんで読んでみると、ちょっと新鮮だったり(笑)なんででしょう? それでは、短いし訳ワカメですが、続き楽しみにしてますv ブラッドでした。 |
8094 | ありがとうございます〜!!!そしてっ!窓をひとつに制限しますっっ(笑) | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/14 00:19:20 |
記事番号8091へのコメント レスありがとうございますブラッドさぁぁぁぁぁんっっ!!(> <。) > >こんにちわっvレス遅くなってすいません(ぺこり) >あぁっ、これじゃぁ親友失格じゃないか(汗) そして、隣(投稿小説1の方)にブラッドさんの名前を発見vv 印字中ですとも♪あんでぃは小説版「微笑みの傷跡」作ります(笑)これはスレの小説たちとともに永久保存版ですvv←本気と書いてマジと読む。 >そーゆーわけで(をい)こんにちわvブラッドです。 こんばんは♪ あんでぃです。こちらではごぶさたでした〜vv >ビーパラ投稿復活おめでとうございますっっっ!! やはり、ビーパラは投稿してより多くの皆様に読んでいただかなければっv 復活してみました(笑)応援もしていただきましたし、相談もさせて頂いて・・・・・本当に本当にありがとうございますvv >ちなみに、持久走ですが、ブラッドは苦手です。ラズと一緒です(笑)でも、ラズは持久力はやたらありそうです(爆)ブラッドは持久力もありません(きぱ)やるきもありません(をい) あんでぃも体力はありますが、持久力はありません(意味不明)というか体が重いので、走るのにひたすら苦労しています(笑)中学時代走っていた頃と比べて当者比二倍くらいつらいです(笑)←中学の頃は少なくとも今より軽かったので(笑)一応(遠い目) ちなみにあんでぃも、持久走やる気ありません(笑)今回はよく頑張ったね、と自分を誉めてあげたいです(え?) >いやいや、やっぱりあんでぃさんの文章はとっても素敵だわ〜vもう何回言ったかわかりませんが、とっても洗練されてて、どんどん文章が素敵になっていっててv素晴らしいです。 >綺麗な文章です〜v 誉めて頂いて嬉しいです(> <)しかししかし、ブラッドさんの文章の方が素晴らしいですよ!! >矛先の刃をつかむほどの勇気なんて持ってないから。 なんて表現にあんでぃは心臓を打ち抜かれましたvv(←それはブラッドさんへのレスで言いなさい。) >その歯がゆい感情抱いている身体ごと埋めたくなるでしょう。 あああああ、なんて神秘的なッッ!!!どうぞこのままあたしをうめてくださいッッ!!←そのまま地の底まで堕ちていけ。(壊れモード突入) >でもでも、あぁぁっっセイリナあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣) >すっっっごい切ないです。あんでぃさんの話は、いつよんでも何度読んでも凄いです。なんか、訴えてるような、心に響くんですよ。 文章で何かを伝えるのは難しいですねぇ(^ ^; 私の思っている事が、感じている事が少しでも伝わってくださっているとおもうとうれしいです(> <) >グリーブ君ってば、一人で抱え込みすぎです(泣) >あぁ、もうみんながみんな苦しんでて、すごい切ないです。 でも、ルカっちの悩みに比べれば、もしかしたら彼らの悩みはたいしたことないのかもしれませんね・・・・・ ぐはっ(汗)でも、悩みって物は大きさが問題では無いですからね。(自分の安易な発言に反省) ルカっちは心の底から疑問を感じているのでしょうね。何も言ってもらえないのって、何かを言われる事よりも不安になることってありますし。 何かを話す事で自分の混乱している頭を整理して、結論を導き出す、とか。あたしは同じ方法でも、話すことではなく何かを書いて整理することが多いですが、ルカっちもそうなのかしら?と思いました。 >そしてそして気になる終わり方っ!!あぁっ、この次はこうなるのですねっ! >こーなって、あーなって、そーなって、うーんとなるのですねっ(わけワカメ) そうです!!そしてそのあとあーなってこーなって、リゼアの毒舌で終わるのですっ!(笑)←それは決定事項かい >>改めて読み返してみると、いろいろ矛盾点を発見(汗)困りました(直せ) >>微妙に当り障りが無い程度まで修正をしてみましたが・・・・・・・どうでしょう?(汗) >…………別窓で見比べてみようかしらv(やめれ) 待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!(汗) べ、別窓禁止令発令中っっっ!!!!この勅命が取り消されるまで、別窓を開いた瞬間にフリーズします!!というかフリーズさせます!!(待て) はっはっは、気にしちゃいけませんぜ、旦那vv(旦那って・汗) >改めて書き殴りさんで読んでみると、ちょっと新鮮だったり(笑)なんででしょう? >それでは、短いし訳ワカメですが、続き楽しみにしてますv >ブラッドでした。 書き殴りさんに投稿するのは久しぶりなので、失敗しまくりあんでぃです(^ ^; 一坪さま、本当に申し訳ありません(泣)頑張りますっ いつもいつもお世話になりっぱなしで申し訳ありません(泣)どうかどうか続きにもお付き合いくださいませ(> <) それでは、あんでぃでした!! |
8136 | 今世紀最大の感動巨編っ!(><) | ねんねこ E-mail URL | 2002/2/20 21:26:04 |
記事番号8061へのコメント ―――というわけで(どんなわけだい)ねんねこです。 ついに始まりましたねvv(ていうかレス遅くてごめんなさい・汗)ビーパラ改訂版vv ねんねこお気に入りのリゼアちゃんもしっかりと出演なさってるし嬉しい限りです。 ―――て、ちと謝らねばならんことが……(汗) 実はですね、書き途中の『狂気(日本語訳済み)』のお話と少しだけ重なる部分があるかもなのです……あああああああっ、ごめんなさいっっ!(滝汗) そんなに重なってはいないんですが……似たような部分があったりなかったり……(どっちだ) まあ、言い訳はともかく。 今世紀最大の感動巨編っ! 切なすぎなセイリナちゃんにグリーブ君の活躍っ!リゼアちゃんの行動も気になりますし……サントス?あれ?? …………………ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?サー君っ!?(略すな) 彼の出番も楽しみにしておりますっ!(出ますよねっ!?出ますよねっっ!?) ではではなんか絶叫してばかりでしたが(感想書けやおらとの突っ込みはしないでぷりぃず)ねんねこでしたvv 追伸。 実はチロル激ラブだったりするんです……(告白) |
8137 | でますっ(笑)彼は追い出してもでますっ(爆笑) | あんでぃ E-mail URL | 2002/2/20 22:41:55 |
記事番号8136へのコメント >ちゅどーん☆(画面暗転・戦闘モードへ) >あんでぃが現れた! >どうする?(ドラ○エ風味・爆) >>コマンド⇒はったおす >> ぶっとばす >> なにかをあげる >> マッパでにげてみる >> とりあえずはなしかけてみる。 ・・・・・・・・・とりあえず上の四つは勘弁してくださるとありがたいですあんでぃです(^ ^;←自分で書いててちょっと恥ずかしくなりました(笑) こんばんはです♪いつもお世話になっております(> <) このレスを書いている数分前にもねこさんにお世話になっているんだから侮れませんこの馬鹿あんでぃさんは(汗) > ついに始まりましたねvv(ていうかレス遅くてごめんなさい・汗)ビーパラ改訂版vv > ねんねこお気に入りのリゼアちゃんもしっかりと出演なさってるし嬉しい限りです。 ありがとうございますっ(> <) リゼアを気に入っていただけたようですごく嬉しいです!!彼女はねぇ(笑)もうああいう言う人ですからねぇ(笑)あんでぃの生き写しと思ってください(笑) > ―――て、ちと謝らねばならんことが……(汗) > 実はですね、書き途中の『狂気(日本語訳済み)』のお話と少しだけ重なる部分があるかもなのです……あああああああっ、ごめんなさいっっ!(滝汗) > そんなに重なってはいないんですが……似たような部分があったりなかったり……(どっちだ) そういうこともありますっ ねこさんと私については考えてることを文章にして出したのが早かったか遅かったかの問題ですし、全く問題なっしんぐですよねっ > 今世紀最大の感動巨編っ! んなこたぁないっ(○ージー風←激待て) 感動できる作品を目標にしておりますが、まだまだ未熟児(ちょっと違う)なあんでぃです。うーん、ちょっとでも近づけたらいいなぁ・・・・(遠い目) > 切なすぎなセイリナちゃんにグリーブ君の活躍っ!リゼアちゃんの行動も気になりますし……サントス?あれ?? 自業自得といっていい彼女ですけど、それでも何とも言えない複雑なセイリナです(汗) 自爆街道まっしぐら、ちょっと冷静になるのが一番の近道だよって感じのグリーブ(汗) 進むんかい、こんな奴等で話が(汗) それにしても、サントスいませんねぇ(笑)←他人事かい > …………………ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?サー君っ!?(略すな) > 彼の出番も楽しみにしておりますっ!(出ますよねっ!?出ますよねっっ!?) 出ますっ(笑)彼は何が何でもグリーブを追い出してでもでるに違いありませんっ(笑)ある意味恐ろしいぞサー君っ(採用させて頂いてたり・笑) > ではではなんか絶叫してばかりでしたが(感想書けやおらとの突っ込みはしないでぷりぃず)ねんねこでしたvv なにやらこんなレス返しがあるかいと突っ込みがきそうな感じですが(汗) わざわざ読んで頂いてありがとうございます(> <)それだけで嬉しいですっvvレスを頂けるなんてもう小躍り、回転踊りですvv そういえば今体育の授業で創作ダンスをやってるんだわ私。ねこさんに許していただける踊りにしなければ(汗)←どうやらV6やkinkiをアレンジした踊りになるらしいです。ちなみに私はミヤケン(いのっちが第一希望だったが身長が低い、と却下された。何故・泣)です。 って、いっぱい語ってしまいました(汗)かなりどうでもいい事を(汗)すみません(汗) > 追伸。 > 実はチロル激ラブだったりするんです……(告白) ありがとうございます(> <) 犬好きあんでぃの夢の結晶でございますvv モデルが某週間少年誌の超正体不明生物だなんてとてもいえませんっ(笑) と、やっぱり意味不明な文章しか書けないんかい自分(汗) こんな奴ですが、これからもよろしくお願い致します!でわでわですvv |