◆−紅玉の願い−水無月 澪 (2002/2/14 20:37:45) No.8104
 ┣はじめまして−一坪 (2002/2/15 21:38:38) No.8108
 ┃┗Re:はじめまして−水無月 澪 (2002/2/17 17:05:21) No.8119
 ┗紅玉の願い−水無月 澪 (2002/2/20 20:20:16) No.8135
  ┗紅玉の願い−水無月 澪 (2002/2/25 19:49:37) No.8162


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8104紅玉の願い水無月 澪 E-mail 2002/2/14 20:37:45


初めまして。水無月 澪と申します。
初めての書き込みなんで至らないこともあるかとは思いますが、
そこはどうか、目をつぶってやって下さい。
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この小説は少しパラレルが入っています。時間設定としては、
スレイヤーズ十五巻後としております。十五巻後に、
『もしも、ルークが生きていたら…』と言う作者の願望を
元に作らせて頂いております。

注意!!
この小説は少し「同人」入っております。「同人」「やおい」の意味が
分からない方はくれぐれもご注意の程を…。
それではお楽しみ下さい。
*************************************
「ふぅ…」
虚空に浮かんだまだ若い男は息をついた。
男は人間ではなかった。
魔族なのだ。
「俺も、やっと滅びることが出来る…」
深い疲れと安堵を滲ませて、男は言う。
男の体は辺りの闇と一体するかのごとく、色あせていく。
徐々に、足のつま先から。
「あいつらには、ワリィことしちまったな…」
自分の体が消えていくと言うのに男は慌てたり、騒いだりする様子も無い。
「けど、こーでもしなきゃ、俺は…」
言葉を吐くと男は瞳を閉じた。
ゆっくりとからだが闇に呑まれていくのが分かる。
考えるのを放棄してしまいたくなる。
いや、もういいのだ。
考えなくても。
自分は滅びる。これだけ分かっていれば充分だ。
男が意識を手放そうとしたとき、
淡い光に包まれたのが瞳を閉じていても分かった。
「…?」
何が起こったのだろう?
瞳を閉じたままではわからないことが多すぎて。
瞳を開こうとしたその時、
「あの、僕の声失礼ですが、聞こえますか?」
と、間延びした声が聞こえた。

瞳を開くと、下半身が無くなっている自分と、
紫の髪の男が見えた。
男は二十代くらい。紫の髪を肩ぐらいに切りそろえて、中肉中背。
神官の格好で人のよさそうな笑顔を浮かべている。
「…誰だ?」
自分が問い掛けると男は安心したように笑った。
「はじめて御目にかかります。僕はゼロス=メタリオムと申しまして、獣王
 ゼラス=メタリオム様の部下にございます」
そこで一旦言葉を切ると、男―ゼロスは若い男を見つめた。
「ああ…、それで?」
若い男は、消え行く体で問いかけた。
先を促すように。
「実は、あなた様を呼び出したのは他でもない、僕と契約して欲しいのです。」
言葉を告げられると若い男は驚くように目を見開いた。
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以上です。続きは近いうちに…。う゛う゛〜尻切れとんぼだな〜。
苦情・感想お待ちしています。

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8108はじめまして一坪 E-mail 2002/2/15 21:38:38
記事番号8104へのコメント

投稿ありがとうございましたー!

おお!? これはすごく惹かれるお話ですねー。
「契約」がどんなものなのか、すごく気になります。

続き、期待しています!

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8119Re:はじめまして水無月 澪 E-mail 2002/2/17 17:05:21
記事番号8108へのコメント


>投稿ありがとうございましたー!
いえいえ、投稿させて頂いてありがとうございましたv
>おお!? これはすごく惹かれるお話ですねー。
そう言っていただけると嬉しいです。
>「契約」がどんなものなのか、すごく気になります。
「契約」ですか〜、多分ゼロスのことですから、凄い事になるだろうと…。
>続き、期待しています!
頑張りますんでまたコメントしてくださいね!!

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8135紅玉の願い水無月 澪 E-mail 2002/2/20 20:20:16
記事番号8104へのコメント

お久しぶりです。
頑バラさせて頂きますね!!
*************************************
「実は、あなた様を呼び出したのは他でもない、僕と契約して欲しいのです」

ゼロスはそう言うと、男の瞳を覗き込んだ。
驚愕に揺れる男の紅い瞳を。
「ねぇ…、ルーク=シャブラニグドゥ様?」
からかい混じりにゼロスは男―ルークに投げかけた。
ルークは、キッとゼロスを睨みつける。
クスリと、ゼロスは笑みを漏らした。
人の癪に障る微笑みを。

「…契約内容は?」
しばらくして、ルークはゼロスに問いかける。
それを聞いて、ゼロスはふわりと浮かび
「それは…秘密です」
と、お決まりのポーズをとって見せた。
「ハッ、話にもなんねーな。契約内容が『秘密』なんて…」
ルークはゼロスのことを先ほどにも増して、睨みつけた。
「受けられるかよ」

「いいですね。僕あなたのように気の強い方、大好きなんですよ」
ゼロスはその紫の瞳で、ルークをまじまじと見つめた。
ルークは居心地が悪いらしく、そっぽを向く。
「とにかく、俺は滅びる。邪魔はさせねぇ」
それだけ吐くとルークは瞳を閉じた。

「困りましたね〜。僕も上司の命令で動いてるんですよ。ここで契約して頂かない と僕の身が危なかったり…」
ぺらぺらと喋るぜロスに対し、ルークはだんまりを決め込んでいる。
「契約していただけませんか?ここは一つ僕を助けると思って」
それでもだんまりをしているルークを見て、ゼロスはぽつんと言った。
「あなた自身は、満足ですか?」

「?」
ゼロスに投げかけられた言葉の意味がわからない。
ゼロスはポツリと、独り言のように語り出す。
「あなたは、自らの死を認めています。そして、恐れていない。それは、あなたが死に安息を求めているからですね?」
そこで、ゼロスは言葉を切ったが、また語り始める。
「でも、後悔の心は無いのですか?そう…『守れなかった約束』とか…」
ビクンと、ルークは反応をした。
彼女の最後の言葉。

守れなかった自分。
後悔してないなんて嘘。
凄く後悔してる。
そんなルークを横目で見ながらゼロスは話しを続ける。
「人間は、時々『もう一度やりなおせたら…』と、思うらしいですね。僕達には分けのわからない話しですけど。でも、あなたはそういうことを思ったことは無いんですか?『守れなかった約束』をもう一度やりなおそう。とは、思わないんですか?」

長い沈黙が続いた。
その間に、ルークは両腕を虚空に消していた。
やがて、
「お前は悪魔の申し子かよ…」
と、呟く声がゼロスに届いた。
「さぁ、どうでしょうね」
ゼロスはサラリといってのける。
ゼロスがルークに瞳を向けると、ルークは苦笑していた。
「いいじゃねえか。契約してやるよ」
「本当ですか!?」
「お前が言ったことだろうが。ホラ、速くしねえと面の皮一枚になっちまうぜ?」
驚くゼロスに笑いながら、ルークは答えた。

「それでは、僕たちの王に永遠の忠誠と愛を込めて…」
愛はないだろ、愛は。
心の中で突っ込みをいれていると、
額に、氷よりも冷たく、氷よりも柔らかい
接吻を受けた。
*************************************
はい、以上です。
これが壱話の終わりです。
最後はちょっとアレですが…。
まぁこれから、ルークには酷い目にあってもらいますけど。(オイ)
前回に引き続き、苦情・感想お待ちしております。

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8162紅玉の願い水無月 澪 E-mail 2002/2/25 19:49:37
記事番号8135へのコメント

ハイ、弐話です。
更新遅いですががんばってます!!
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ゼロスと契約を交わした後、ルークが瞳を開けると、
つい先程まで居たごちゃごちゃした部屋ではなく、
果てしなく続いているかのような廊下だった。

「ところで、ゼロス。俺の体って…」
ルークはポツリとゼロスに問いかけた。
返ってきた答えは
「あ、ハイ。まぎれもなく生首ですけど?」
「うぁ、やっぱし…」
悲しみにくれるルークに対し、
「大体、あなた様の決断が遅すぎたんですよ。もう少し速く決めてくだされば、生首だけ、なんて言う結果にならずにすんだのに…」
と、グチグチ不満を漏らし始めるゼロス。
「だって、お前が…」
「だってもなにもありません!とにかくあなた様の優柔不断な性格が悪いんです!」
「ひどい…」
この勝負、ゼロスの勝ち。


「なぁ、ゼロス。俺たちどこに向かってんだ?」
先程からゼロスは歩き、ルークはふよふよとその後ろをついていくが、イマイチ目的地がつかめない。
「あぁ、それは、僕の上司様である獣王ゼラス=メタリオム様の書斎ですが?」
「なんで?」
「それは…、この計画というか、あなた様の召喚を僕に命じたのが獣王様ですし…、それに計画終了後結果がどうであれ、一番に報告しろとの御言葉をいただいております」
「ん〜、魔族も色々と大変だな〜」
「あなた様も、魔族でしょう…」
何もわかっていないらしいルークに説明するのが疲れたらしく、
ゼロスは、大きな溜息をついた。

二人の間にしばしの沈黙が訪れる。
それを破ったのは、以外にもゼロスだった。
「一つ、お願いがあります。これからあなた様は僕と一緒に三人の腹心を訪ねることになるでしょう。多分、覇王グラウシェラー様のところへも」
その名を聞くと、ルークは不快そうに眉を顰めた。
それを見なかったことにして、ゼロスは話しを続ける。
「その時に、出来るだけ今のような表情をしないで頂きたいんです。確かに、覇王様が嫌われるのも仕方ないかな、とは思いますけれど…。けれど、覇王様は、覇王様なりに一生懸命だったんじゃないですかね」
「でも…」
「まぁ、あなたの気持ちもわかるので無理に、とは言いませんけど。けど、突き放すならとことん突き放してくださいね。それこそもう、けちょんけちょんに」

気遣うような優しさを見せた後は、とことんな残酷さを出す。
正直、真意の見えないルークは困り顔で、
「えっと…その、けちょんけちょん?」
「ハイ、それはもう、けちょんけちょんに」
言っていることは大間抜けなのだが、
顔は、引き締まり、表情が硬い。
「そんなことして、いいのかよ?」
ルークはほとほと困り果てて尋ねた。
「いいんですよ、別に。あなた様が突き放すだけ突き放してくれれば、覇王様の出す負の感情が、あなた様を召喚するために泣く泣く省いた僕のお昼ご飯の変わりになりますし」


「……あの…」
「知ってましたかルーク様?『食べ物の恨みは恐ろしい』んですよ(はあと)」
「…………ハイ」
ゼロスの出す底知れぬオーラにルークは恐れを抱きつつ、
こんなことのために、苛められる覇王が可哀相に思えてきた。
(覇王…お前も苦労してんだな…)
心の中で、覇王にメッセージを送りながらしみじみとしていると、
「あ、ここですよ、ルーク様。ここが獣王様の書斎です」
と言う、ゼロスの声が聞こえ、頭上を振り仰ぐと
『只今重要計画実行中関係者以外立入禁止!!』と、
力強い毛筆で書かれた、白い紙が目に入った。
「獣王って、一体…」

ルークの呟きは、何故か巻き起こった木枯らしに
掻き消された…。
************************************
あい、弐話しゅ〜りょ〜!!
一転してギャグテイストに…。
まぁ、それはともかく、
引き続き苦情・感想お待ちしております。