◆−I D - 自己存在証明 -−ねんねこ (2002/4/22 16:01:26) No.8342 ┣I D - 自己存在証明 - EPISODE:1−ねんねこ (2002/4/22 16:05:18) No.8344 ┃┣始めまして−ユウナ (2002/4/23 09:06:47) No.8352 ┃┃┗はじめましてvv−ねんねこ (2002/4/24 11:37:07) No.8362 ┃┣姐貴と呼ばせておくれやす。−九条みすず (2002/4/23 12:24:39) No.8353 ┃┃┗んじゃ、師匠と呼ばせておくれたい。(何処)−ねんねこ (2002/4/24 11:50:31) No.8363 ┃┣それきたホレきたっっっ!!(何が?)−白河綜 (2002/4/23 17:36:14) No.8355 ┃┃┗やっときたっ!(迷惑娘が)−ねんねこ (2002/4/24 12:12:48) No.8364 ┃┣お久しぶりなのですッ!?−むくぅ (2002/4/24 18:50:09) No.8372 ┃┃┗地獄の底から這い上がってきたのです!(え?)−ねんねこ (2002/4/29 22:19:23) No.8422 ┃┗ばばんっ,虚無大魔王♪(わかんないし,って言うか怖いし)−ひろみ (2002/4/25 21:42:34) No.8387 ┃ ┗ででんっ、虚無大魔王配下の石っころ参上☆(何)−ねんねこ (2002/4/29 22:20:55) No.8423 ┗I D - 自己存在証明 - EPISODE:2−ねんねこ (2002/4/29 22:27:46) No.8424 ┣激しい視線のバトル……!−白河綜 (2002/4/29 23:34:05) No.8425 ┣器用貧乏だったのね・・・・−九条みすず (2002/4/30 12:10:27) No.8428 ┗パパりん…♪−ユウナ (2002/4/30 19:54:53) NEW No.8435
8342 | I D - 自己存在証明 - | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/22 16:01:26 |
文章を書く人間にとって一番の致命的なのは怠惰である。 文章は書けば書くほど良いものになり、その逆もまた然りなのだ。 上手い文章を書きたいと思うならば、常日頃、文字と多く接触し、書く練習を怠らないことだ…… ―――どっかの物書きの言葉。 結局何が言いたいかというと。 ……すみません。この一ヶ月まったくっ!(強調)なんにもっ!(さらに強調)書いてませんでしたっ!(居直るなよ) さらに現実世界の忙しさにかまけてネット生活半ば放棄気味だったために友人から「生きてます?」とかなんとも切なげなお言葉をいただきましたので(半分死んでた)こりは何でも良いから書かねばっ!と意気込んでみたんですけど。 ……わたしの心の師匠であるどっかの物書き(の割には『これからはゲームの時代』とか言って物書き放棄されました。とほほ)の言葉どーり、一ヶ月間書いていなかっただけで話が進まない進まない。書き途中の話はそりゃあ山ほどあったりするんですけど(……でもまだ完結している作品のほうが多いもんっ!一応っっ!)今の自分の状況でどのくらい自分の言いたいことが上手く言葉に出来るか考えると、どうしても首をかしげちゃうので、とりあえず今の自分がかけるものを書こう、というわけで、連載中の「CREID」の前振りのような話を書くことにしました。 物の見事に長かったり、上手い言葉の使いまわしが見つけられなくてどーしよーもなくわかりづらい部分などあったりしますが、よければ、最後までお付き合いくだされば幸いです。(レスも大歓迎なのです……泣いて喜びますですvv) ではでは、またあとがきでお会いしましょう。ねんねこなのでした。 追記。 初めまして、もしくはお久しぶりなのです。ねんねこと申しますです。お見知りおきを、なのですvv(言うの忘れたんかお前は……) |
8344 | I D - 自己存在証明 - EPISODE:1 | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/22 16:05:18 |
記事番号8342へのコメント I D - 自己存在証明 - 「……嫌な天気だな……」 ゆっくりと流れる景色を見ながら、ぽつりと呟いたのはゼルガディスだった。 ゼルガディス=グレイワーズ―――小さな頃から尊敬の念を抱いていた祖父に己の身体を合成獣(キメラ)化されるという裏切りに近い行為をされ、その邪妖精(ブロウ・デーモン)と石人形(ロック・ゴーレム)と融合された身体を元に戻すという気の遠くなる旅を続けている男である。 人ならざる容姿のせいで、事情を知らない人間から怯えられ、一時は人間不信という事態にまで彼の精神は追い詰められていたが、それも今では完全にではないにはしろ、だいぶ合成獣化される以前にまで回復するに至っていた。 規則正しい揺れは、もう3、4時間は繰り返されている―――今朝、出発した街から今向かっている街まではかなりの距離があり、徒歩で行こうとすれば必ず一日野宿をしなければならないという話を宿屋で聞いたために毎日二つの街を一往復している乗合馬車に世話になることにしたのだ。 御者の話では、二つの街の間は馬車で片道半日弱程度かかるという。彼の話を信じるならば、この馬車旅もそろそろ終わりを告げる頃である。 半日を共にした乗合馬車は、4人がけの長いすが向かい合わせに2つ並んでいるというかなり狭い空間だが、他に誰も乗っていない貸しきり状態のために比較的乗り心地は良かった―――いくらクッションが敷いてあるとはいえ、整えられていない道を通る車輪から生み出される小さな衝撃を全て吸収するのは難しいらしく、小さく揺れてしまうのは―――まあ、致し方ないことだろう。気分が悪くなるほどの揺れではないため、あまり気にはならない。 ゼルガディスの言葉に隣でやはり景色を眺めていた少女が少し視線を上げて口を開いた。 「……ですね。今にも雨が降りそうです」 少女―――アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンは、名前からもわかる通り、大国セイルーンの王族の血を引く者だった。 普通に生活していては、まず普通に会話できることも叶わないこの少女がなぜこんな乗合馬車なんぞに乗っているかということは―――いろいろと説明をしなければならない。細かい説明を端折って大まかに説明をするとしたならば、『旅に出たまま帰らなくなった姉を探すために、昔ひょんなことから知り合ったゼルガディスと共に旅をしている』というところか。 ―――放浪癖があるわけではないが、極度の方向音痴で、しかも道なき道を歩いてしまうという姉を探すのはかなり困難なことである。一年のうちでセイルーンの王宮にいる時間よりも世界中を旅している時間の方が圧倒的に長いことを考えると、はたから見れば姉妹そろってのんきに諸国漫遊を楽しんでいる、としか映らないが。 どんよりと重い雲が支配している空は陽の光もほとんど遮っていて、昼だというのに薄暗い。客席部分は大きな箱のようになっていて、雨の日でも座席が濡れないようにと布が垂れ下がっており―――もっとも布が雨で濡れてしまえば元も子もないので気休め程度の代物と成り果てているのだろうが―――かろうじて空から漏れる光もゼルガディスとアメリアが布を捲っているところを除いて遮断されているために余計に暗かった。 乗りこんだ際に、あまりの暗さに明かりを呪文で生み出したが、持続性を重視したために気休め程度の明るさにしかなっていない。 布を捲っていた指をはずし、外に背を向けて―――箱型になっている客席部分は箱の両側面にそれぞれ長いすが設置されているために、本来の座り方で座れば、向かいの長いすに腰をかけている人間と向かい合わせになる―――本来の座り方で座り直すと、ゼルガディスはため息をついた。 「まあ、雨になる原因はわかりきってんだ―――」 言いながら、呆れたような視線を向かいの長いすに向ける。 4人がけの長いすは両端だけ本来の仕事を全うし、中央2つの席は両端に腰をかけていた客に良いように使われていた。 「やたっ、僕の勝ちだにょ! これで、13戦全勝―――と。楽勝だね♪」 「なんでだっ!? なんでこの『カードの王様』と呼ばれ、毎月毎月ゼルの小遣いをカード勝負で分捕っていたこのオレがこんなにょほほ親父相手に全戦全敗などという不名誉な事態にっ!?」 「あっはっはっはっはっはっ。『王様』とはまだまだだね、クラヴィスくん。僕は『カードの神様』なんて呼ばれてたんだにょ」 「―――こいつらが極度の『雨男』だからな……」 勝負が終わるたびにぎゃあぎゃあ騒ぎ出す同乗者にうんざりと言葉を継ぐ。 年齢も考えずに騒ぐ2人の男に最初のうちは『静かにしろ』などと怒鳴っていたが、そんな常識的注意を彼らが聞き入れるわけもなく―――その注意をアメリアがしたならば話は別だろうが、彼女といえば、そんな騒ぎなど気にも留めていないようだった―――勝負数が2桁になる頃はもう怒ることすら諦めていた―――“こんなの”が自分の家族だということに嘆くことすらも。 ウィルフレッド=ヴァレンタイン、そしてその息子壱号ことクラヴィス=ヴァレンタインは、セイルーン・シティに屋敷を構える、世界でもその名が知られている神官貴族ヴァレンタインの現当主と次期当主の親子である。 彼らとの関係は、まだゼルガディスがレゾを尊敬し、共に“迷いの森(ディープ・フォレスト)”と呼ばれている森の中で暮らしていた時から始まる。 祖父(レゾ)が自分の友人に、と連れてきたのがクラヴィスだった。周りに同年代の人間がいなかった当時のゼルガディスはすぐに自分よりも2歳ほど年上のクラヴィスに懐くようになり、合成獣になろうと自身の存在を認めてくれたクラヴィスはいつの間にやら無二の親友になっていた―――もっとも彼らはお互いを『悪友』『腐れ縁』などと評していたが。 そんな彼らの関係が根底からひっくり返されたのは、お互い20歳を超えた―――厳密に言うならば、クラヴィス22歳、ゼルガディス20歳のことである―――約1年前のヴァレンタイン家のお家騒動の時。『妾の子供』として家の中でぞんざいな存在として扱われていたクラヴィスにウィルフレッドが彼の母親について話したことが原因だった。 ―――今まで腐れ縁だの悪友だと思い込んでいた相手が実は兄弟であった、などという事実は少なからず彼らに戸惑いを与えた。しかもすでに他界した母親から『自分たちの父親は間違いなくウィルフレッドだ』などと置き土産を残していかれては事実を受け入れるしかない。 小さい頃から行動を共にしていたクラヴィスに対しては、いまさら兄弟だろうがなんだろうが別に構わないという―――どうせなにか面白いことがあれば笑いあって、腹立つことがあったら殴り倒すという基本行動は変わらないのだ―――意識はあったものの、いまだにウィルフレッドに対してどう接すれば良いのか、という戸惑いがゼルガディスにはあった。結局、実の父親を名前で呼ぶという奇妙な状態が続いていたりするのだが。 騒いでいてもゼルガディスの言葉は耳に入ったのか、勝つ自信のあったカード勝負に惨敗したクラヴィスがすぐに反論してくる。 「自分棚上げして悪く言うなよな、ゼル」 長いすの中央部分に溜まっているカードをかき集めたウィルフレッドがクラヴィスが手にしていたカードをやんわりと取り上げる。次の勝負のために慣れた手つきでカードを切っていく父親を一瞥しながら、彼は言葉を続ける。 「お前だってじゅーぶん雨男じゃんか。覚えてんだろ? ガキの頃にセルジュが持ってきた花火やろうとした時のこと」 「突然、雨が降り出したときのことだろ? あれは俺のせいじゃない―――お前が来てからいきなり天気がぐずついただけでそれまでは星が見えるほど晴れてたんだ」 唐突に10年以上前の話を振られてもまったく躊躇することもなく話についていけるのは、単にそのときに『雨男』の論議で大喧嘩をかましたからだ。 普段は自宅近くの王立学院に通うクラヴィスは毎年、長期休暇になると付き添いの父親と共にゼルガディスのところへ遊びに来ていたわけだが、ちょうどその時は屋敷に暮らしていたレゾの部下が花火を調達してきたのだ―――厳密に言えば、レゾの部下が花火を持って帰ってくる日にちょうどヴァレンタイン親子が遊びに来たのだが。 1年ぶりに花火ができる、と大喜びだっただけに親子がついた途端に振り出した土砂降りの大雨は親子が連れてきたのではないかと本気で疑ったのだ。 「あの時はすごかったよね。思いっきり腕に噛みついてきたゼルガディスくんをクラヴィスくんがそばにあったワインの瓶でゼルガディスくんの頭殴り倒したんだっけ。そのあとゼルガディスくんが台所からナイフとフォーク持ち出してきたときにはクラヴィスくん食べられちゃうんじゃないかと僕ちょっと心配したんだにょ……」 「変に誤解の招く言い方やめろウィル」 「……そんな過激な喧嘩してたんですか……」 いつか見た兄弟喧嘩を思い出して、遠い目をして言ってくるウィルフレッドにゼルガディスとアメリアがそれぞれ反応する―――特に最近は少しばかり元来のやんちゃぶりを垣間見せてはいるが、それでもいつも冷静なゼルガディスを見ていることのほうが多かったアメリアにとっては、頭を瓶で殴られて涙目になりながらフォークとナイフで果敢に立ち向かっていったゼルガディスなど想像できないのだろう―――かなり驚いた表情をしていた。 「結局、その後どうなったんですか?」 カードを配り終えると、クラヴィスは何度目かのリベンジを誓いながら、自分のカードを見つめ―――少し顔をしかめる。それに対してカードの内容を見ても涼しい顔のウィルフレッドが誰も答えない―――答えたくない―――問いに答えを返す。 「どーもこーも。さすがにフォークもナイフも人を傷つけるためには十分すぎる凶器だし、ワインの瓶だって割れたら危ないからってレゾが2人の間に入って喧嘩を止めようとしたんだけどね」 言いながら不要なカードをはじいて、数枚カードを持っていく。 「突然『止まれ』って言っても止まれるわけもなし。クラヴィスくんは瓶でレゾの首筋を殴りつけちゃうし、ゼルガディスくんはゼルガディスくんでレゾの腕をナイフでぐさっと刺しちゃってねぇ……1週間、地下牢に放り込まれてたんだっけ?」 『6日間だ』 律儀に声を合わせて訂正してくる辺り、その6日間の間にろくなことがなかったのだろう。アメリアはそれ以上は―――身のためにも―――聞かないことにして、微笑むことに徹する。 クラヴィスも渋い顔をしていたが、ほとんど全てのカードを捨てて、同じ数だけ新しいカードを手にする。客席がまた先程までの静けさを取り戻し―――客席と御者が座っている場所を仕切っていた布が捲くられ、そこから30代半ばの御者が顔をだす。 「お客さん、もうすぐアイノスの街だよ」 それだけ言うと御者はさっさと顔を引っ込め、再び馬の手綱を引くことに専念する。世間話をしようとしないのは、決してそっけないわけではなく、単に話に夢中になって馬が暴走して大怪我をしたことがあるからだ、と乗るときに苦笑いを浮かべながら言っているのを聞いた覚えがある。 御者の苦い昔話はともかく、もう少しでやっと長かった馬車旅が終了すると内心喜びながら―――読書もできずにただじっと座っているだけというのはとてもつまらなかったのだ―――ゼルガディスが自分の運のなさにめそめそ泣き始めているクラヴィスと、勝利を確信して満足そうに笑っているウィルフレッドに声をかける。 「―――だとよ。もういい加減にンなくだらないゲームやめてさっさと荷物まとめろ、お前ら」 「『くだらない』だぁっ!?」 クラヴィスが、ものすごい勢いで立ち上がり―――その反動で座席の上のカードが何枚か床に落ち、わずかにウィルフレッドが顔をしかめる―――ゼルガディスの言葉を反芻する。その表情は、いつもの女性を魅了する微笑みではなく、敵対心むき出しの険悪なものだ。 「くだらない言うなっ! 負けるの嫌だからってはなっから参加しなかったヘタレのくせにっ!」 「ヘタ……っ!?」 ゼルガディスもゼルガディスで兄の言葉に納得できない言葉が含まれていたことに不満足だったらしく、狭い客席の中で立ち上がる。大の大人が二人も立ち上がれば、定員に達していないために幾分か広かった場所も狭苦しさを覚える―――が、今はそのことはまったく関係がないのか、自分よりもわずかに―――“わずかに”というあたりがゼルガディスのプライドをうかがえる―――背の高いクラヴィスを見上げるように睨みつけた。 「意気込んで勝負挑んでことごとく負けるのもどうかと思うがな、この負け犬っ!」 最後の言葉をやたらと強調すれば、さらに怒鳴り込んでくると予想したゼルガディスを裏切り、クラヴィスは鼻を鳴らした。睨みつめてくる弟を見下して―――もなにも身長差のせいで視線の高さも違うだけなのだが―――反論してくる。 「はっ! この際勝ち負けは関係ねぇんだよ―――」 「関係あるにょ? クラヴィスくん、負けたんだから向こう一週間の飲み代全部支払うんだからね?」 「じゃかぁしいっ! 人がせっかくもっともらしい言い訳……じゃなかった……反論すんだからちっと黙ってろっ!」 後ろからいきなり茶々を入れてくるウィルフレッドに―――だが、飲めといわれれば底なしに飲む2人の飲み代をどちらが払うかという問題は実に重大だったりする―――クラヴィスが怒鳴る。すっかり反論―――というか言い訳―――の機会を逃して、クラヴィスはその空気を払うかのように咳払い一つして、びし、と真っ向からゼルガディスを指差す。 「なんだかこのあたりは言ったような気がしないでもないが敢えて言おうっ! この際勝ち負けなんざどーでもいいんだよっ! 大切なのはどんな勝負に対しても『勝負しよう』とする熱い精神(ココロ)だっ! 情熱だっ! 『負けるかもしんないから勝負しない』なんて女々しいこと、このクラヴィス=ヴァレンタイン、死んでもするもんかっ! わかるか!? 勝つ勝負だけするなんざ男の名が廃るっ! お前にゃわかんねぇだろ、この干からびた貝割れ大根めっ!」 「……干からびた貝割れ大根……?」 「『煮ても焼いても食えやしねぇよ、タコ』の意味なんだにょ」 クラヴィスの流れるような言い訳―――というか反論―――に出てきた意味不明な言葉にアメリアが眉をひそめれば、ウィルフレッドが律儀に意味を言い直してくる。 一通りのクラヴィスの言い分を聞いて、今度はゼルガディスが鼻で笑う番だった。 「相変わらず子供(ガキ)だなぁ、クー。いつまでも俺がお前の口車に乗って頭に血ぃ上らせて墓穴掘ると思うなよ?」 いかにも余裕があるような表情で笑みすら浮かべながら瞑目する。 「何年かブランクがあったよーな気がしないでもないが、お前と初めて会ってからの約16年間―――なんっかことっごとくお前の口の良さにつられて勝ちを譲ってやっていた俺だが、今日は違う。なぜならお前はウィルに負けっぱなしだったためにどっかの誰かに本日は『クラヴィス=ヴァレンタインの負けっぱなしデー』と制定されたか―――」 「てい。」 「―――ら―――んぎゃっ!?」 がんっ! ぼしゃべしっ! ゼルガディスの悲鳴と奇妙な音が響く。 少々特殊な言葉が載っているということで有名なクラヴィスの辞書にはこんな言葉がある―――ガキでもなんでもやったもん勝ち。 なんだか意味不明なこと―――のようにクラヴィスには聞こえた。基本的に自分の都合のいいことしか聞き入れないのだ―――をぐちぐちと喋り続けていたゼルガディスの顔面に問答無用で蹴りを入れたのだ。 余裕かまして目を閉じていたために自分の発言の最中にクラヴィスが反応をチェックしていなかったのが災いして無防備な状態で兄の足を受け止め―――立っていた場所がいけなかった。彼の後ろはちょうど乗降場所になっていて、そんなところに人が落ちないようにと安全対策のための策があるわけもなく、体制を崩したゼルガディスはそのまま馬車から転げ落ちていった。 『……………………』 一同、無言でゼルガディスが落ちていった場所の布を捲り上げて馬車の通過後を見やれば、道端には仰向けに転がる彼の姿。微動だにしないところを見ると地面に頭を打ったのかもしれない―――が、彼が忌み嫌う無駄に丈夫な身体のおかげでたいしたことはないだろう。 「あいむ・うぃなぁ。」 クラヴィスがコブシをあげながら淡々と告げる―――と、御者席から怪訝な顔の男が声をかけてきた。 「お客さん? 今、妙な音がしなかったかい?」 「ああ、いえ別に大したことないので大丈夫です。このまま行っちゃって下さい」 さらりと返答したのはウィルフレッドだった。どうやら落ちたゼルガディスを助けるどころか、起き上がるのを待つ気もさらさらないらしい。 にっこり笑って答えを返してくるウィルフレッドに―――だが、客の数が1人少なくなっていることに御者が気づかないわけもなく。わずかに眉をひそめたもののそれ以上客の詮索をするのはまずいと感じ取ったのか、人のよさそうな笑みを浮かべて軽く話を振ってくる。 「そうなのかい? でもあんたがた仲がいいんだねぇ。さっきから話が聞こえてきて楽しそうだったよ」 「見てて飽きませんよ。仲裁するのは死んでも嫌ですけど」 下手に仲裁すればとばっちりにあうだけである―――過去の経験から学習したことを微笑みながらさらりと言ってのけたアメリアに当事者の1人であるクラヴィスは苦い笑みを張りつかせた。御者の男は『あの様子じゃあそうだろうな』などと大声で笑いつつ―――本当に話が聞こえていたらしい―――再び顔を引っ込める。 それを機に立ち上がっていたクラヴィスは、もう一度ゼルガディスが転がっているほうを見やり―――さすがにまだ起き上がっていなかったら引きずって行こうとは考えていたのだが、ちょうどむくりと起き上がり頭を振っている弟の姿が目に入ったので―――そのまま自分の席へと戻っていく。 のろのろと立ち上がるゼルガディスをアメリアも視界に認めて、安心したようなため息をつきながら言う。 「でもここから街まで歩くとしたらまだ少しありますし、ゼルガディスさん大丈夫かしら?」 「まさか。ガキじゃああるまいし」 落ちたカードを拾い上げて、まとめながらクラヴィスは器用に肩をすくめてみせた。 ゼルガディスとてオトナではないが、コドモでもない。放っておいても街の入り口で待っていればちゃんと後からついてくるだろう。アイノス・シティまでは距離的にはまだ少しばかりあるが一本道だ。 「じゃあさ。お供にこれ置いてくってのはどうかな?」 懐をあさりながらウィルフレッドは声を上げ―――やがて取り出したのは手の中に納まる程度の大きさの碧色の石。石のような存在と言った方が正しいか。中央に双魚宮の刻印があるところから≪双魚宮(パイシーズ)≫と名づけられたこの石は、ヴァレンタイン家に伝わる家宝であると同時に、とある伝説に出てくる聖石と呼ばれている石であったりする―――まあ、全てが伝説通りというわけではないのが世の掟というわけで、≪パイシーズ≫は意思を持つどころか、しばしば人間の姿(アスタローシェ)になって自由にそこら辺を歩き回っていたりするのだが。 「今日は馬車に乗るよ〜って言ってからずっと寝っぱなしなんだよね。しかも人の懐に入り込んでぬくぬくとだよ? どー思う? この怠惰な生活」 「捨てておけ。そがなもの。」 「そだね。」 息子の言葉にあっさりと同意し、ウィルフレッドは布を捲り上げて石を手にした腕を思い切り振り上げて――― 「うわぁぁぁぁぁっ!?」 『にょわわわわわわわっ!?』 御者の悲鳴が聞こえてきたかと思うと馬車は急ブレーキをかけ、その反動で身体のバランスを崩した3人もあわてた声を上げる。かろうじて石を掴んだまま、掴まれる場所に掴まったウィルフレッドが完全に止まった馬車に目を瞬かせながら声を上げた。 「な、なになに? なんなのいったい?」 「知らないっ!」 なんとか足で踏ん張って、なおかつすばやく向かいの長いすに座るアメリアが転がるのを両肩を抑えることで防いだクラヴィスが率直な返事をする。アメリアの肩から手をはずし、御者席に接している布を捲れば、目を白黒させてあわてていた御者と視線がかち合う。 「どうしたんだ?」 尋ねれば御者は上ずった声で事情を簡単に説明する。 「あ……いや……急に小さな女の子が飛び出してきて……」 「轢いちまったのか!?」 「いや! そんな感触なかったからかろうじて大丈夫だと……今、様子を見に行こうと思ってたところだ」 「わかった。オレも行こう。一応腐っても神官なんでな、復活(リザレクション)くらいは扱える」 人身事故をあわてて否定して、席を立とうとする御者にクラヴィスは声をかける。復活(リザレクション)は人間が扱える回復魔術で一番高度な白魔術だ。もし万が一轢いてしまっていて、この呪文で助からなかったら、それはその飛び出してきた少女の死を意味する。 後ろを振り返れば、話を聞いていたらしいウィルフレッドとアメリアが心配そうな表情で自分を見つめており、クラヴィスは小さく頷いた。 「そー言うわけだからちっと見てくる。2人はここにいてくれ。ゼルガディスが戻ってきたら謝っといてくれ」 ここで止まっていればいずれゼルガディスは追いつくだろう。別にここで別れるわけでもないので、後で自分から謝ってもいいんだろうが、なんとなく気まずいというか気恥ずかしい。ぼそりと言葉を付け加えて外へ出ようと乗降口の布を捲り上げれば――― 「ぎぃあああああああああああああああああっ!?」 ―――再び御者の悲鳴が聞こえてくる。 今度の悲鳴は驚いたというような尋常な悲鳴ではない。たとえて言うなら―――断末魔のような悲鳴。 「おっさん!?」 声を上げながら馬車を降りて、御者がいるであろう馬車の前に歩を進めれば―――風に運ばれて鼻を刺激したのは血の匂い。 胃から競り上がってくる気分の悪さに思わず小さくうめいて、口を手で押さえる。 ―――確かに少女がいた。御者の話の通り。 年齢はまだ1桁―――いや、かろうじて2桁いっているかもしれない―――その程度の少女。 深紅の髪に紫の瞳で人形のように整った顔立ちだが、お世辞にも愛らしいといえないのは、おそらく無表情のせいだろう。感情のこもらない瞳でじっと見つめられ―――情けない話、クラヴィスはしばしの間その瞳に射すくめられた。 心に生まれるのは、恐怖という名の感情――― 「見チャッタネ」 少女が口を開く。そこから紡ぎだされる言葉は機械的な口調で、それがさらに少女の不気味さに拍車をかけていた。 「ワタシノコト、見チャッタネ」 「あ……いや、お嬢ちゃん、怪我は―――」 少女の言葉に我に返り、クラヴィスは戸惑いの声を上げた。 血の匂いが充満している。少女を見やれば、腕は血だらけだった。やはり轢かれたのではないか、と尋ねようとした瞬間。 「死ンジャエ」 「―――ない……って、うわっ!?」 血まみれの腕を前に伸ばして突進してくる少女にクラヴィスは反射的に横にずれた―――横にずれて、全てを悟る。 地面にできた血の海に沈んで倒れこんでいる御者の姿を目にして。 「クラヴィスくん!? 何があったの?」 「来んなバカっ!」 自分の小さな悲鳴を聞きつけたんだろう。先程の御者の悲鳴も普通ではなかったためにいっそう不安を掻き立てたに違いない―――馬車から飛び出すように出てくる父親にクラヴィスは叱責した。 少女はウィルフレッドの姿も認めて、やはり機械的な声で淡々と言葉を紡ぐ。 「ミンナ見チャッタネ」 開口一番にそんなことを言われれば誰だって戸惑う。少女に見上げられてウィルフレッドは射すくめられはしなかったもののかなり戸惑いの表情を浮かべる。そんな父親にクラヴィスは手短に事情を説明した。 「アメリアちゃん連れて逃げろっ! その娘マジやばいっ! おっさんを殺(や)りやがったっ!」 びくりとも動かない御者。できた血の海が御者のものだとしたらすでに致死量に至るほど失血しているだろう。どうやったらそんなことが可能なのかは知らないが、おそらく少女は血まみれの腕で御者を殺したのだ。 御者が死んだ、しかも目の前にいる娘が殺したという事実に現実味が沸かないが、それでも鼻につく血の匂いはまるでクラヴィスの言葉を証拠付けるように充満している。 「ジャア」 無感情な言葉。まるで頭の中にインプットされた行動をそのまま繰り返しているような動作にクラヴィスもウィルフレッドも戦慄を覚えた。 「ミンナ死ンジャエ」 予想通りの言葉が、その言葉を言うにはふさわしくない少女の口から出てくる。 少女はまっすぐと目標と定めた相手の方を見た―――後から現れた男の方を。 虚ろな少女の瞳が自分に向けられていることに気づいて、ウィルフレッドは自分の後ろを一瞥した。 (僕が避けたらアメリアちゃんが―――!) 自分のほぼ真後ろにはアメリアが控えている。自分とてまだ完全に状況を理解していないのに、クラヴィスの発言に自分の名前が出てきたことで馬車から出てきた彼女にわかるはずがない。いかに反射神経が良かろうとこの至近距離で突進してきた少女相手に逃げることなど不可能に近い。 父親が逃げられない理由を察知したのだろう、クラヴィスは口の中で呪文を唱える。アメリアも事情はわからなくとも状況はかろうじて理解したのか、予期もしない死との直面に顔が青ざめる。 ウィルフレッドは少女の腕が自分の身体に食い込むのを覚悟し、衝撃に耐えるように目を瞑って―――金属が弾かれる音に顔を上げた。 最初に視界を埋め尽くしたのは、艶やかな銀色の長い髪。 ついでその銀髪の向こうに見える少女の―――相変わらずの―――無表情面。 「大丈夫か、ウィルっ!?」 手にした碧色の刀身の剣を構えてこちらを振り返ってくる命の恩人にウィルフレッドは目を見開いていた―――今さらながらに自分の手の中にあった聖石≪パイシーズ≫が消えていることに気づく。 驚きを隠しもせずにウィルフレッドは声を上げた。 「アストくん、いつの間に起きてたのっ!?」 「助けた相手の最初の台詞がそれっていうのは我としてはちょっと切なげなのだっ!?」 「烈閃槍(エルメキア・ランス)っ!」 アスト―――アスタローシェの声と重なって、クラヴィスの力ある言葉が響く。 生み出された光の槍はアスタローシェによってウィルフレッド殺害を妨害されて2、3歩後退した少女めがけてまっすぐと向かっていき――― ぱじゅっ! 『なっ―――!?』 少女に届く直前に跡形もなく“消滅”した光の槍にその場にいた全員が驚愕の声を上げる。呪文を唱えている様子もまったくなかったのにもかかわらず、それをあっさりと消滅させてしまうとは――― 「……刀身と張り合えるほど硬い腕を持っている上に、魔術の無効化だと?」 苦虫を噛み潰したようなアスタローシェの台詞。 目を閉じていたためにいったいアスタローシェがどうやって少女を撃退したのかはわからなかったが、その言葉から察するに突き出された彼女の腕を彼は剣で払った―――腕が飛んだらどうしよう、などということを考えなかったのか訊きたいような気もするが―――のだろう。金属が弾かれる音がしたということは、彼女の腕は金属で出来ているというのか―――? 「アナタタチ、シブトイ。ゴキブリミタイ」 「……笑えねぇ事態で笑えねぇ冗談はよせよ、お嬢ちゃん」 クラヴィスが引きつった表情でうめく。 誰も一歩も動けずにいた―――剣も通じず、魔術も無効化される。魔族であるならば、アスタローシェが気がつかないわけがないのに、彼はそれらしい反応は見せない。おまけに表情から何を考えているかが読み取れないために次の行動を予想することもできなければ、隙を突くことも叶わない。 まるで弱点がないような少女に一同にわずかに焦りの色が見え隠れし始めたとき―――怪訝な口調の問いが響いた。 「なにやってんだ? こんなところで?」 それは打つ手なしだった彼らにとって救世主といっても過言ではない人物の声。 「柄にもなく俺を待ってた―――わけじゃあないようだな」 その場の雰囲気を察知し、眉をひそめるゼルガディスに一同の視線が集中する―――あの少女の視線までも。全員に見られて、居心地が悪そうにゼルガディスは顔をしかめる。 「なんなんだ、いったい?」 この小娘をどうにかしてくれ―――クラヴィスがようやく追いついた弟にむかってそう口を開こうとした直前。 誰よりも先に少女が声を上げた。 「後ハオ願イ」 「は? あんたなに言って―――」 お願いされてもさっぱり事情が飲み込めない。聞き返しても、少女はあっさりと背を向けてすたすたと街の方に向かって歩き出す。敵―――命を狙ってきたのだからそう呼んでも差し支えないだろう―――に背を向けるなど、してはならない行為だが、剣も魔術も通じなかった少女相手に背後から不意打ち、などという攻撃が通用するかいささか疑問だった。 結局、あっけない少女の撤退を呆然とした顔で見送って――― 「おい、お前らいったいなにしたんだ?」 とにかく事情を説明しろ、と憮然とした表情で言ってくるゼルガディスに、どうやったら信じてもらえるのかと面々はそろって顔を見合わせた。 「……どう?」 上から降ってきた静かな声にアメリアはそちらを振り仰いで―――俯きがちに首を横に振った。予想はしていたが、望む通りにならないその返答に尋ねたウィルフレッドは深いため息を吐いた。 「……そう……」 そう呟いて、彼は両手を併せて、瞑目した。アメリアもそれに合わせて似たような動作をする。 御者の怪我は致命傷に近いものだった。心臓のすぐ横辺りをかすったらしく、即死ではなかったようだが―――動脈をやられたため、即死にも似たような状態だった。それでも、アメリアが『脈を確かめたい』といったのは、回復する術を会得していながら自分の目の前にいた人間を助けることができなかったという悔しさからだろう―――それは自分とて同じことだったが。 そんな2人の様子を横目で一瞥しながら、一通りの話を聞いたゼルガディスが明らかに困惑しているような表情を浮かべて見せた。 「―――じゃあ、なにか? さっきの子供がアストの剣も弾いた腕で大の大人の身体を貫いて致命傷負わせて。挙句、お前の魔術を自分の目の前で消して俺が来たらそのままそそくさ立ち去って行った、と」 「……それ以上うまい説明を求められてもオレはできないぞ」 「それ以上説明されなくても事情は飲み込めた。信じられんだけだ」 あっさりと痛いところを突かれ、クラヴィスは気まずそうに黙り込んだ。 自分が見た光景を信じられないのは、自分も一緒だ。もし、自分とゼルガディスの立場が逆で、ゼルガディスから自分の説明とまったく同じ説明をしたら、あっさりとタチの悪い冗談と決めつけていただろう。 「だいたいお前……元とはいえ暗殺者(アサッシン)だろ? 子供を殺すことに抵抗あったにしても、そんな人間離れした奴の動き封じることくらいできるだろ? いったいレゾから何教え込まれてたんだよ?」 クラヴィスがレゾから直々に暗殺術を教え込まれていたことは、クラヴィスの話から知っていたもののいったいどんな技を叩き込まれていたのか、間ではぜるには知らされてなかった―――いや、厳密に言えば、叩き込まれている最中はクラヴィスでさえ、さえどんな技なのかわからなかったのだ。 ひたすら魔術のコントロールの仕方を教え込まれて―――その特異な暗殺術を習得したときには、すでにゼルガディスには決して言えないものになっていた。合成獣化されてどうしようもなく暴走したゼルガディスを止める最終手段であった、などとても本人目の前にして言える言葉ではない。 それを抜きにしたって、魔術を直接、相手の内臓に当てて破裂させる、などという外道な方法は気分的にあまり―――というか、絶対に使いたくはない。 ゼルガディスの問いにクラヴィスは視線をはずしながら、ぽつりと呟く。 「……あれは……極力使いたくない……」 いつもなら『やかましい。じゃあお前がやれ』などと理不尽なことを言ってくるはずのクラヴィスの予想とは異なる反応にゼルガディスはそれ以上その話には触れないようにして―――この話題をいつまでも振っておくのはクラヴィスにとって苦にしかならないと判断したためである―――彼は別の話題を振る。 「―――で? 魔族って可能性は?」 ゼルガディスが視線を馬車の乗降台に腰をかけていたアスタローシェに転じれば、彼は首を振ってから口を開く。 「低いのだ―――限りなくないに等しいほどにな。だいたい“あれ”が魔族だったら“我”のことに気づくはずだ」 「……魔族説は除外、だな」 「―――じゃあ答えは決まったようなものだね」 あっさりと肩をすくめて話に加わってきたのは、ウィルフレッドだった。横にはアメリアも立っている。 「おっさんのほうは……?」 馬車に寄りかかったいた身体を離して、父親に尋ねれば、ウィルフレッドは頭を振る。 「……残念だけど……今、埋葬してきたところだよ」 「……そうか……」 地精道(ベフィス・ブリング)で穴を開けた場所に亡骸を埋めただけの簡素な埋葬だが、それでも野ざらしにしておくよりは幾分ましだろう。父親の言葉にクラヴィスは落胆のため息を漏らす。 人が目の前で死ぬところは嫌というほど見てきた―――人を殺したこともある。だが、ほんの少し前まで共に話していた相手が死んだという事実は何度経験してもやはりショックは拭いきれない。 落ち込むクラヴィスに、ウィルフレッドは視線を彼からやはり暗くなっている2人に向けて、少々ずれた話題を元に戻す。 「それで、あの娘のことだけど―――みんなもう気づいてるんでしょ?」 魔族ではない。 だが、人間の姿をしていた。 にもかかわらず、人間離れした行為を何度も繰り返す。 ―――特徴を挙げれば、その特徴に似た人物は彼らはよく知っている。 「……合成獣(キメラ)、ですか?」 ぽつりと呟くように言ったアメリアの言葉に、ウィルフレッドが息子(ゼルガディス)を一瞥して静かに頷けば、苦虫を噛み潰したような表情でゼルガディスがうめいてくる。 「……一昔前までは特殊な人種だったんだぞ。流行りか? 合成獣化(それ)は」 「……一昔前って……じじいじゃあるまいし……」 引きつり笑いを浮かべてクラヴィスがツッコミを入れ、アスタローシェは肩をすくめて言葉を継いだ。 「ルヴィナガルドで子供に低級魔族を憑依させた合成獣を作る実験をしていたという話はその筋の世界じゃ有名な話だ。ありえないことではないな」 「でも低級魔族がついてたらアストさんが気づかれるはずじゃあ……?」 「そう―――つまり、彼女は低級魔族ではない“何か”と融合された合成獣(キメラ)、ってこと」 アメリアの言葉を継ぎながら、ウィルフレッドは目を細め、ゼルガディスを今度はまっすぐ見据え―――呟くように告げる。 「あの娘は君と“同類”だよ。ゼルガディスくん」 彼に言葉はなかった。 口を開きかけて―――自分が何が言いたいのかさっぱりわからずにそのまま口を閉じる。 生暖かい風が彼らを包めば、地面にぼたり、ぽたりと音を立てて空から水滴が落ち始めた。 すぐに水滴は量を増し、一気に土砂降りの大雨になる。 「……すぐにやみそうもないな……」 地面に雨粒が叩きつけられる音が響く中で誰かが声を上げた。 |
8352 | 始めまして | ユウナ | 2002/4/23 09:06:47 |
記事番号8344へのコメント 始めまして。ねんねこさんのサイトで人気投票に参加させてもらったユウナです。掲示板とかのカキコには慣れてないんですけどねんねこさんの久し振りの新作と言うことで余りの嬉しさに初挑戦です(^▽^)v いつもの親子がいて良かったです。仲良し四人組も好きなんですがねんねこさんの話を読んでからクーちゃんたちがいないと物足りなくなってしまいました。今度ぜひ四人組+親子さんの話を読んでみたいです〜!\(^o^)/ しかもかっこいいですアストさん〜(>_<) 噂のカップリング(サイトの方に書いてあった)を期待しても良いですか!? アストさんが登場してから密かにイチオシ☆していただけに嬉しさ大爆発です〜! もちろん正規のカップリングも大好きです〜p(^_^)q 初めてのカキコなのに暴走しちゃいました。でも本当に嬉しかったんです。これからもお話楽しみにしてるので頑張って下さい〜m(_ _)m ユウナでした。 |
8362 | はじめましてvv | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/24 11:37:07 |
記事番号8352へのコメント ユウナさんは No.8352「始めまして」で書きました。 > 始めまして。ねんねこさんのサイトで人気投票に参加させてもらったユウナです。掲示板とかのカキコには慣れてないんですけどねんねこさんの久し振りの新作と言うことで余りの嬉しさに初挑戦です(^▽^)v はじめましてなのです〜。先日は、投票ありがとうございました。もう大いに笑わせて(え?)いただきましたです。 もう本格的に久しぶりですね(汗)すみません。お待たせしました。(というか待ってる人間も少なかろーと思ってただけにそのお言葉はかなり嬉しかったですv) 掲示板のカキコはどきどきしますね(笑)今でも新規投稿するときはちとびびってたりします(は?) > いつもの親子がいて良かったです。仲良し四人組も好きなんですがねんねこさんの話を読んでからクーちゃんたちがいないと物足りなくなってしまいました。今度ぜひ四人組+親子さんの話を読んでみたいです〜!\(^o^)/ なんかですね。親子がいないと話が書けないというか、親子がいるからこと話が続いているのだとかいろいろ困ったような意見(つーか事実)もあったりするんですが……喜んでもらえればもう本望ですv ネタがあればすくにでも書きたいですねv四人組と親子の話は(ネタがないのが一番の問題) > しかもかっこいいですアストさん〜(>_<) > 噂のカップリング(サイトの方に書いてあった)を期待しても良いですか!? > アストさんが登場してから密かにイチオシ☆していただけに嬉しさ大爆発です〜! > もちろん正規のカップリングも大好きです〜p(^_^)q ふふふふふふふふふふふ(遠い目) やっぱり隠れてたりするんですねぇ……私の周りの友人はどうやら私をこのカップリングに染めようと試みているらしいです。ていうか、自分のキャラでカップリング染められよーとしている私っていったい……(−−;) 私も基本的にウィルシルは好みですのでv子供も卒倒するさとうきび甘さの言葉を吐かれるカップルとして……(そっちでか) > 初めてのカキコなのに暴走しちゃいました。でも本当に嬉しかったんです。これからもお話楽しみにしてるので頑張って下さい〜m(_ _)m > ユウナでした。 ありがとうございます!現在ちまちまと書き進めておりますので、(結局出番が多いのは……言うまでもないって感じです)よかったらまたお付き合いくだされば幸いです。ではではねんねこでした。 |
8353 | 姐貴と呼ばせておくれやす。 | 九条みすず | 2002/4/23 12:24:39 |
記事番号8344へのコメント …………………………はい。(溜めるな)先日、久遠嬢と結託して夢にまで見たカップリングを書くように迫った(笑)九条です。 なんか、上のユウナさんのレスも見ちゃったりするんですけど、やっぱりいるんですよ、アスウィル好きがっっ!(激マジ嬉) だから書きましょ書きましょ薦めましょv他にもきっと隠れファンがいるはず。 ………いやマジで。 まあ、それはともかく。『生きてますか?』はきっついですねぇ(汗) ねーさまはなんかいつでもいそがしそーになさっているので身体の体調崩していないか心配でございます。限界まで動きつづけちゃうんですから気をつけておくんなましですよ。 > ウィルフレッドは少女の腕が自分の身体に食い込むのを覚悟し、衝撃に耐えるように目を瞑って―――金属が弾かれる音に顔を上げた。 > 最初に視界を埋め尽くしたのは、艶やかな銀色の長い髪。 > ついでその銀髪の向こうに見える少女の―――相変わらずの―――無表情面。 >「大丈夫か、ウィルっ!?」 > 手にした碧色の刀身の剣を構えてこちらを振り返ってくる命の恩人にウィルフレッドは目を見開いていた―――今さらながらに自分の手の中にあった聖石≪パイシーズ≫が消えていることに気づく。 > 驚きを隠しもせずにウィルフレッドは声を上げた。 >「アストくん、いつの間に起きてたのっ!?」 >「助けた相手の最初の台詞がそれっていうのは我としてはちょっと切なげなのだっ!?」 もうこの部分で私は幸せいっぱい夢いっぱい。本日もいい夢見れそうです……vv こー……無我夢中で主人を助ける小間使い(ひど)は見ててかわいいですね♪ 寝ている間も常にご主人様の身を守っているのでィす(壊れ気味) こんなに燃えるカップリングは久方ぶりなので(いや息子たちももちろん燃えてますよ。ねーさま、書いてくれないけど・泣)かなりハイテンション気味ですが気を悪くされたらごめんなさい(なら書くなという突っ込みはお約束)。 では乱文失礼。九条みすずでした。 |
8363 | んじゃ、師匠と呼ばせておくれたい。(何処) | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/24 11:50:31 |
記事番号8353へのコメント 九条みすずさんは No.8353「姐貴と呼ばせておくれやす。」で書きました。 >…………………………はい。(溜めるな)先日、久遠嬢と結託して夢にまで見たカップリングを書くように迫った(笑)九条です。 >なんか、上のユウナさんのレスも見ちゃったりするんですけど、やっぱりいるんですよ、アスウィル好きがっっ!(激マジ嬉) >だから書きましょ書きましょ薦めましょv他にもきっと隠れファンがいるはず。 >………いやマジで。 はい。先日、久遠嬢と結託されて今月中にどんな話でもいいから書けとか脅されたねんねこです(爆死)一言言います。無理っぽいです。以上(ひどいって)。 いや、そんな私信はともかくですね。 やっぱりいらっしゃったんですねぇ……ある意味究極のカップリング好き。でも、ねんねこ的にはこの話でそー言うカップリング出そうとしちゃあいないので(せめてこれくらいはまじめに書きたい・笑)うーん……二人が出ているだけで騒ぎ出すっていつかの私のゼルアメ現象のよーだ……(遠い目) >まあ、それはともかく。『生きてますか?』はきっついですねぇ(汗) >ねーさまはなんかいつでもいそがしそーになさっているので身体の体調崩していないか心配でございます。限界まで動きつづけちゃうんですから気をつけておくんなましですよ。 はっはっはっ。今朝、マンションのエレベーターの鏡で自分の目が充血していたときにはさすがにびびったですよ。さすがに3時間睡眠はつらいですよ。もう年なんじゃないかって凹んだですよ(二十歳でか)。 でもテキトーに休んじゃってたりするので大丈夫なのですvv >> ウィルフレッドは少女の腕が自分の身体に食い込むのを覚悟し、衝撃に耐えるように目を瞑って―――金属が弾かれる音に顔を上げた。 >> 最初に視界を埋め尽くしたのは、艶やかな銀色の長い髪。 >> ついでその銀髪の向こうに見える少女の―――相変わらずの―――無表情面。 >>「大丈夫か、ウィルっ!?」 >> 手にした碧色の刀身の剣を構えてこちらを振り返ってくる命の恩人にウィルフレッドは目を見開いていた―――今さらながらに自分の手の中にあった聖石≪パイシーズ≫が消えていることに気づく。 >> 驚きを隠しもせずにウィルフレッドは声を上げた。 >>「アストくん、いつの間に起きてたのっ!?」 >>「助けた相手の最初の台詞がそれっていうのは我としてはちょっと切なげなのだっ!?」 >もうこの部分で私は幸せいっぱい夢いっぱい。本日もいい夢見れそうです……vv >こー……無我夢中で主人を助ける小間使い(ひど)は見ててかわいいですね♪ >寝ている間も常にご主人様の身を守っているのでィす(壊れ気味) いい夢見れましたか?(笑) アストくん小間使いはなかなか的確な表現っぽいです。ていうかそれ、採用しましょう(へ?)決定です。アストさん、ウィルさんの小間使いになる、の巻。(意味不明だし) どうやら出番がないのにもかかわらず、一番おいしいところを持っていかれたのがアストさんだったらしく。その反動でか、二話ではひどいことになってたりしますが、まあそれはあとでのお楽しみ。うまくいかなくても前投稿の3日後には出すつもりなので現在がんばって打ち込み中です。 >こんなに燃えるカップリングは久方ぶりなので(いや息子たちももちろん燃えてますよ。ねーさま、書いてくれないけど・泣)かなりハイテンション気味ですが気を悪くされたらごめんなさい(なら書くなという突っ込みはお約束)。 いや、愛されてると感じるのでその辺はぜんぜんオッケー☆なんですが(笑) さすがに息子たちは一応腐ってもゼルアメ好きを掲げていたりする(最近ちょっと薄れ気味←そのうちまた戻ってくるっぽいけれど)ねんねこさんとしましては、そりゃまずいだろって言うかギャグならぜんぜん問題なしっていうか誰だ兄と弟の位置逆にしたのは(爆)って言うか……まあ、それは……そーなんですねっ。あははっ(逃) ではでは、次の講義まで2時間以上の空きってどー言うことですか、な状況のねんねこでした。 |
8355 | それきたホレきたっっっ!!(何が?) | 白河綜 E-mail | 2002/4/23 17:36:14 |
記事番号8344へのコメント ねんねこさんは No.8344「I D - 自己存在証明 - EPISODE:1」で書きました。 おおおっ!! 久しぶりに「2」を見に来てみたらねんねこさんの新作がっ!! と興奮気味なのです! こんにちは。今年も受験生(笑)、白河綜なのです! 大変遅くなってしまったのですが、ご入学おめでとうございます!!(遅すぎ) 本来ならこの場で書くことではないのですが、未だにパソのメアドをもっていませんので、ここにて失礼致します(礼)。 現実生活、お忙しいそうですが、無理はしないでくださいね。白河の友人に、入学式→オリエンテーション→怒濤のサークル勧誘のせいで入学早々体調を崩した子がいるのです!! 無理はいけません!! …………時間に制約が無く、グータラ生活ならないよう、気を遣っている人間がいうことではないきがしますが(汗)。 >「まあ、雨になる原因はわかりきってんだ―――」 > 言いながら、呆れたような視線を向かいの長いすに向ける。 > 4人がけの長いすは両端だけ本来の仕事を全うし、中央2つの席は両端に腰をかけていた客に良いように使われていた。 >「やたっ、僕の勝ちだにょ! これで、13戦全勝―――と。楽勝だね♪」 >「なんでだっ!? なんでこの『カードの王様』と呼ばれ、毎月毎月ゼルの小遣いをカード勝負で分捕っていたこのオレがこんなにょほほ親父相手に全戦全敗などという不名誉な事態にっ!?」 >「あっはっはっはっはっはっ。『王様』とはまだまだだね、クラヴィスくん。僕は『カードの神様』なんて呼ばれてたんだにょ」 >「―――こいつらが極度の『雨男』だからな……」 新発見なのです! クーちゃんとパパりんは雨男なのですねっ!? それでは水不足の土地に出張していただきまして、思う存分雨を降らせていただきましょう♪(←激しく違う) 今年は降雪量が例年より大分少ないですからね。夏の水不足が心配でしたが…………お二人がいればへっちゃらなのです!!(だから待て) そして「カードの王様、神様の前では所詮ミジンコ(←何故ミジンコ)」な事が証明されたのですね! 親父殿が偉大なことが証明されたのです!! 喜ばしいことなのです!!(待て) …………って、なんだか背筋に悪寒が…………(汗) > 1年ぶりに花火ができる、と大喜びだっただけに親子がついた途端に振り出した土砂降りの大雨は親子が連れてきたのではないかと本気で疑ったのだ。 >「あの時はすごかったよね。思いっきり腕に噛みついてきたゼルガディスくんをクラヴィスくんがそばにあったワインの瓶でゼルガディスくんの頭殴り倒したんだっけ。そのあとゼルガディスくんが台所からナイフとフォーク持ち出してきたときにはクラヴィスくん食べられちゃうんじゃないかと僕ちょっと心配したんだにょ……」 …………ってかパパりん。止めて下さい。 ああでも、クーちゃんが雨男なのはクーちゃんのせいではないのですから、ようかんがえたら不毛な争いだったのですね…………。 うん、美しき兄弟愛かな(激しく待て)。 >「どーもこーも。さすがにフォークもナイフも人を傷つけるためには十分すぎる凶器だし、ワインの瓶だって割れたら危ないからってレゾが2人の間に入って喧嘩を止めようとしたんだけどね」 > 言いながら不要なカードをはじいて、数枚カードを持っていく。 >「突然『止まれ』って言っても止まれるわけもなし。クラヴィスくんは瓶でレゾの首筋を殴りつけちゃうし、ゼルガディスくんはゼルガディスくんでレゾの腕をナイフでぐさっと刺しちゃってねぇ……1週間、地下牢に放り込まれてたんだっけ?」 …………(滝汗)。 相手がレゾさんじゃなかったら死んでますね。特に首には人体急所が確か三つほどあったはず…………(汗)。 それにしても何というか、止めたのはパパりんじゃなくてレゾさんなのですね? >「……干からびた貝割れ大根……?」 >「『煮ても焼いても食えやしねぇよ、タコ』の意味なんだにょ」 確かに似ても焼いても食べられませんね……。 その意味でなら、今が旬(?)のタケノコも、ひからびると食べられません。なんでンなもん冷蔵庫にいれとくかな母上…………(涙)。 >「じゃあさ。お供にこれ置いてくってのはどうかな?」 > 懐をあさりながらウィルフレッドは声を上げ―――やがて取り出したのは手の中に納まる程度の大きさの碧色の石。石のような存在と言った方が正しいか。中央に双魚宮の刻印があるところから≪双魚宮(パイシーズ)≫と名づけられたこの石は、ヴァレンタイン家に伝わる家宝であると同時に、とある伝説に出てくる聖石と呼ばれている石であったりする―――まあ、全てが伝説通りというわけではないのが世の掟というわけで、≪パイシーズ≫は意思を持つどころか、しばしば人間の姿(アスタローシェ)になって自由にそこら辺を歩き回っていたりするのだが。 >「今日は馬車に乗るよ〜って言ってからずっと寝っぱなしなんだよね。しかも人の懐に入り込んでぬくぬくとだよ? どー思う? この怠惰な生活」 >「捨てておけ。そがなもの。」 >「そだね。」 家宝なのに…………っ!(涙) なんだかアスト君、扱いが…………いや、愛されているからこそなんでしょうけど…………でも一応家宝なのにっ…………!!(涙) > ウィルフレッドは少女の腕が自分の身体に食い込むのを覚悟し、衝撃に耐えるように目を瞑って―――金属が弾かれる音に顔を上げた。 > 最初に視界を埋め尽くしたのは、艶やかな銀色の長い髪。 > ついでその銀髪の向こうに見える少女の―――相変わらずの―――無表情面。 >「大丈夫か、ウィルっ!?」 おおおおおおっ!! なんだか美味しい登場シーン!!(待てコラ) さながら主人を守る騎士様のようなのですううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!(暴走) > 手にした碧色の刀身の剣を構えてこちらを振り返ってくる命の恩人にウィルフレッドは目を見開いていた―――今さらながらに自分の手の中にあった聖石≪パイシーズ≫が消えていることに気づく。 > 驚きを隠しもせずにウィルフレッドは声を上げた。 >「アストくん、いつの間に起きてたのっ!?」 >「助けた相手の最初の台詞がそれっていうのは我としてはちょっと切なげなのだっ!?」 …………やはり誰もパパりんには勝てないだろうなぁ……とかなんとか思ってみたり(笑)。 いや、素敵ですパパりん。やはりあなたが最強なのですvv >「なんなんだ、いったい?」 > この小娘をどうにかしてくれ―――クラヴィスがようやく追いついた弟にむかってそう口を開こうとした直前。 > 誰よりも先に少女が声を上げた。 >「後ハオ願イ」 >「は? あんたなに言って―――」 >「―――じゃあ、なにか? さっきの子供がアストの剣も弾いた腕で大の大人の身体を貫いて致命傷負わせて。挙句、お前の魔術を自分の目の前で消して俺が来たらそのままそそくさ立ち去って行った、と」 >「……それ以上うまい説明を求められてもオレはできないぞ」 >「それ以上説明されなくても事情は飲み込めた。信じられんだけだ」 >「それで、あの娘のことだけど―――みんなもう気づいてるんでしょ?」 > 魔族ではない。 > だが、人間の姿をしていた。 > にもかかわらず、人間離れした行為を何度も繰り返す。 > ―――特徴を挙げれば、その特徴に似た人物は彼らはよく知っている。 >「……合成獣(キメラ)、ですか?」 > ぽつりと呟くように言ったアメリアの言葉に、ウィルフレッドが息子(ゼルガディス)を一瞥して静かに頷けば、苦虫を噛み潰したような表情でゼルガディスがうめいてくる。 >「……一昔前までは特殊な人種だったんだぞ。流行りか? 合成獣化(それ)は」 >「……一昔前って……じじいじゃあるまいし……」 > 引きつり笑いを浮かべてクラヴィスがツッコミを入れ、アスタローシェは肩をすくめて言葉を継いだ。 >「ルヴィナガルドで子供に低級魔族を憑依させた合成獣を作る実験をしていたという話はその筋の世界じゃ有名な話だ。ありえないことではないな」 >「でも低級魔族がついてたらアストさんが気づかれるはずじゃあ……?」 >「そう―――つまり、彼女は低級魔族ではない“何か”と融合された合成獣(キメラ)、ってこと」 > アメリアの言葉を継ぎながら、ウィルフレッドは目を細め、ゼルガディスを今度はまっすぐ見据え―――呟くように告げる。 >「あの娘は君と“同類”だよ。ゼルガディスくん」 なるほど。「同類」だと感じたから、あの女の子はゼルガディスさんに「あとはまかした」なんて言ったのですね。 それにしても、そもそもなんでゼルガディスさん達が乗っていた馬車を襲ったのでしょう? うむむむむ。 続きがきになるのです! それでは、あまり感想になっていませんが(汗)。 続き、楽しみにしてます! 白河綜でした! |
8364 | やっときたっ!(迷惑娘が) | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/24 12:12:48 |
記事番号8355へのコメント 白河綜さんは No.8355「それきたホレきたっっっ!!(何が?)」で書きました。 > おおおっ!! > 久しぶりに「2」を見に来てみたらねんねこさんの新作がっ!! と興奮気味なのです! > こんにちは。今年も受験生(笑)、白河綜なのです! > 大変遅くなってしまったのですが、ご入学おめでとうございます!!(遅すぎ) 本来ならこの場で書くことではないのですが、未だにパソのメアドをもっていませんので、ここにて失礼致します(礼)。 > 現実生活、お忙しいそうですが、無理はしないでくださいね。白河の友人に、入学式→オリエンテーション→怒濤のサークル勧誘のせいで入学早々体調を崩した子がいるのです!! 無理はいけません!! …………時間に制約が無く、グータラ生活ならないよう、気を遣っている人間がいうことではないきがしますが(汗)。 お久しぶりですっ! あああ(汗)受験生ですか(汗)ちなみに私、現役除いて二回ほど(待っとけ)受験をしたような覚えがあったりするんですけど……まあ、ぜんぜん問題ナッシング☆です(おまえが言うな) サークルの方はですね。うちの学校、ちと変わった学校でして、入学式とかにまったく勧誘がなくてですね。どうやら新歓勧誘の解禁日なるものが存在していたらしく。現在ではしつこいくらいの勧誘あったりするんですけどねぇ…… 「すみませーん。一年の方ですか?」 「ごめんなさい、二年です(即答)」 てな具合でいい感じに逃げてたりします。もうサークル決めちゃったんで、いまさらほかのサークル紹介されてもって感じですしねぇ(笑) > 新発見なのです! クーちゃんとパパりんは雨男なのですねっ!? > それでは水不足の土地に出張していただきまして、思う存分雨を降らせていただきましょう♪(←激しく違う) > 今年は降雪量が例年より大分少ないですからね。夏の水不足が心配でしたが…………お二人がいればへっちゃらなのです!!(だから待て) > そして「カードの王様、神様の前では所詮ミジンコ(←何故ミジンコ)」な事が証明されたのですね! 親父殿が偉大なことが証明されたのです!! 喜ばしいことなのです!!(待て) > …………って、なんだか背筋に悪寒が…………(汗) 某所では、「雨が似合う男」として有名らしいです(笑) というか、単に雨降らせたのは、イメージ的にこのお二方に雨に濡れてほしかっただけだったりするんですよね(待っとけ) なんか、ねんねこ的いい男の条件に「雨が似合う」がさりげなく項目としてあったりするので(いや別になくても良いから) > …………ってかパパりん。止めて下さい。 > ああでも、クーちゃんが雨男なのはクーちゃんのせいではないのですから、ようかんがえたら不毛な争いだったのですね…………。 > うん、美しき兄弟愛かな(激しく待て)。 まあ、まだまだ幼いころのことですから。 あえて言うならあれですね。ほらよく言うじゃないですか。「若気の至り」。ああ、私もよくやったなぁ(遠い目) 「じゃあ、僕が喧嘩を止めなかったのも若気の至りってことで一件落着なんだにょ」 …………そうなのか?パパりん(汗) > …………(滝汗)。 > 相手がレゾさんじゃなかったら死んでますね。特に首には人体急所が確か三つほどあったはず…………(汗)。 > それにしても何というか、止めたのはパパりんじゃなくてレゾさんなのですね? パパりんは完全に傍観者だったよーです。なんでなんですか?パパりん。 「だって、クラヴィスくんとゼルガディスくんの喧嘩なんて痴話げんかよりも性質が悪いんだよ?犬が食わないどころか、その負の感情じゃあ魔族も食べないよ」 …………どんな喧嘩なんじゃ(汗) で、結局レゾさんが止めたわけなんですね。 > 確かに似ても焼いても食べられませんね……。 > その意味でなら、今が旬(?)のタケノコも、ひからびると食べられません。なんでンなもん冷蔵庫にいれとくかな母上…………(涙)。 うちにもあります。そーいうどーしょーもないもの。しかも冷蔵庫の半分、それで占めていそーなのでさらに厄介です。というか、半年に一回しか冷蔵庫の掃除しないというのはちと考えもんだと思うんです。母親。しかも、いかにも冷蔵庫の掃除しましたって言うごった煮やめようよ、ねえ……(汗) > 家宝なのに…………っ!(涙) > なんだかアスト君、扱いが…………いや、愛されているからこそなんでしょうけど…………でも一応家宝なのにっ…………!!(涙) そういえば、最近忘れきってますけど、家宝なんですよねぇ。 家宝ってことは、いつかクラヴィスさんが家督を継いだとしたら石っころはクラヴィスさんのものになるんですね。 ………………想像できないですね(笑) > おおおおおおっ!! > なんだか美味しい登場シーン!!(待てコラ) さながら主人を守る騎士様のようなのですううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!(暴走) いつも不幸だからせめて登場シーンくらいはっ!? でもアストさん。初っ端に寝てる時点で切なさ倍増ですがなっ!(爆死) > …………やはり誰もパパりんには勝てないだろうなぁ……とかなんとか思ってみたり(笑)。 > いや、素敵ですパパりん。やはりあなたが最強なのですvv だからこそレゾと渡り合っていけたという。ねんねこ的にパパりんはレゾと張り合ってるけど、でもちと弱いという感じなので、そーとー凶悪だったんですなぁ、レゾさんは。(いやパパりんも十分凶悪だから) > なるほど。「同類」だと感じたから、あの女の子はゼルガディスさんに「あとはまかした」なんて言ったのですね。 > それにしても、そもそもなんでゼルガディスさん達が乗っていた馬車を襲ったのでしょう? > うむむむむ。 > 続きがきになるのです! > それでは、あまり感想になっていませんが(汗)。 > 続き、楽しみにしてます! そのあたりは〜次回にて〜♪(何も考えていなかったという事実はこの際抹消しておくことにする) ではでは、次回もお付き合いくだされば幸いです。ねんねこでした♪ |
8372 | お久しぶりなのですッ!? | むくぅ E-mail URL | 2002/4/24 18:50:09 |
記事番号8344へのコメント ああっ! こんなところにねんねこさんの新作がっ!? 新作がっ! というか出遅れたっ!? ――ということでむくぅなのです(謎) 「生きてますか?」って……(汗) ねんねこさん頑張ってくださいっ! 応援してますっ! 延々(待て)とッ! えーと……ともあれ感想をばっ! ウィルパパさん神様なのですねっ!?(微妙に違) きっとそのうちパパりん教とかできて信者はみんな頭に何かしらつけて『にょv』とか言ってて発足次の日半ば本気でやる気の息子さん方にすぐにつぶされたりするんですねっ!?(待て) カードで賭け事……というとお遊びで従兄二人と弟と私でブラックジャックを数年前にやった記憶があります。ボロ負けでしたが…… 『クラヴィス=ヴァレンタインの負けっぱなしデー』――は、四月二十二日で!(待て) しかも聖王都国民の休日でッ!(さらに待て) そして最後はやはり気になる少女さん……そして出番だアストさんっ!(そっちか) 捨てられそうになったりして哀れだったですが、やっぱり見せ場はちゃんとあったんですねっ!? 『あとはお願い』の意味も気になりますし…… ううっ! 続きが読みたい……ッ! それでは、毎度毎度これっぽっちも感想になってないのですがむくぅなのでしたっ! それでは逃走ッ! |
8422 | 地獄の底から這い上がってきたのです!(え?) | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/29 22:19:23 |
記事番号8372へのコメント むくぅさんは No.8372「お久しぶりなのですッ!?」で書きました。 > ああっ! こんなところにねんねこさんの新作がっ!? 新作がっ! というか出遅れたっ!? ――ということでむくぅなのです(謎) > 「生きてますか?」って……(汗) ねんねこさん頑張ってくださいっ! 応援してますっ! 延々(待て)とッ! > えーと……ともあれ感想をばっ! いえっ!自分、作品自体が投稿で遅れなのでぜんぜん問題なしっす☆(いやお前は少し気にしとけ。おい) というわけで、お久しぶりなのですっ! ねんねこなのですっ! 生存宣言どころか死体になります宣言しているよーな話になりつつあるので(てか毎度のことなのでもはや気にもしてないです、はい←待っとけ) がんばりますっ!とか言いつつ、すでに前投稿から3日以上経っている辺り、ねんねこさん、抹殺されるよーです。誰にかって?そりゃあ、うちの乱暴ものたちが勢ぞろいで……!(以下自己規制) > ウィルパパさん神様なのですねっ!?(微妙に違) > きっとそのうちパパりん教とかできて信者はみんな頭に何かしらつけて『にょv』とか言ってて発足次の日半ば本気でやる気の息子さん方にすぐにつぶされたりするんですねっ!?(待て) > カードで賭け事……というとお遊びで従兄二人と弟と私でブラックジャックを数年前にやった記憶があります。ボロ負けでしたが…… ちなみにアストさんにもさりげなく呼び名があったりしますが、それは後々の裏ネタで、ということでv(くだらないから裏ネタになったという意見も一部にあり←でも気にしたら負け。) カードで賭け事はあんまりお勧めしません。そう……あれは、5、6年前のお正月……(遠い目)←親にもらったお年玉、親とやったカードの賭けでぼろ負けして全額取られたという親の財布にとっては微笑ましい、ねんねこ的にはぜんぜん嬉しくない昔話があったりします。 パパりん教。まるで隠れキリシタンのように密やかに密やかに根づいてるんですよっ!きっとっっ!(待てない) > 『クラヴィス=ヴァレンタインの負けっぱなしデー』――は、四月二十二日で!(待て) しかも聖王都国民の休日でッ!(さらに待て) > そして最後はやはり気になる少女さん……そして出番だアストさんっ!(そっちか) > 捨てられそうになったりして哀れだったですが、やっぱり見せ場はちゃんとあったんですねっ!? > 『あとはお願い』の意味も気になりますし…… > ううっ! 続きが読みたい……ッ! よし、4月22日は『クラヴィス=ヴァレンタイン負けっぱなしデー』と……はうあっ!?クーちゃん、いつの間に私の背後に―――(ごめす☆) アストさん、なんかみょーに印象的な登場の仕方でしたねー。この人のおかげで全ての印象がここになだれ込んだという。 ……あとで殴っておかないと……(なんでなのだっ!?) 謎な言葉を残したにも拘らず、話の構成上の問題で2話目には少女の影形すら見えないという非常に不可思議現象が発生していたりもしますが、まあやっぱりねんねこお得意の『気にしちゃだめなのです』攻撃の前には歯が立たないんです。ということにしておいておくとねんねこが続きを書きやすくなるかもなのです(それでもまだ予測の域を出ないのか、自分)。 ではでは、本日はこれまでなのですv ゴールデンウィーク。どこがゴールデンなウィークなのかという疑問を毎年のように感じているねんねこでした☆ |
8387 | ばばんっ,虚無大魔王♪(わかんないし,って言うか怖いし) | ひろみ | 2002/4/25 21:42:34 |
記事番号8344へのコメント ひゃあ!(何)こんばんはっ,お久しぶりでございます,ひろみですっっ。 なんか最近ねんねこさんを探してうろうろしてたりしてるかもしれないひろみでございますっ(そんな挨拶は要らない) ・・・・・・なんか自分で突っ込んでて哀しくなります(笑) パパりいいいいいんvvvv いつの間に,なにやら思いっきり叫んでおりました(ご近所大迷惑)このお方が出てくるだけでスレ世界は混沌の渦の中ですねvv←訳が解りません,って言うか失礼です,すいません(滝汗) でも何やら1番自分の中でヒットしてしまったのが「前書き」のねんねこさんのごあいさつの後の追記でした(いや,何故に) よくわかんないんですけど,なんかずっと独りで受けてました,さっきまで(おい) 存在証明をすっ飛ばして自分を解剖しなくちゃいけないかもしれない訳の解らなさに陥っているところで失礼いたします(微笑) ではでは,ひろみでしたっ。 |
8423 | ででんっ、虚無大魔王配下の石っころ参上☆(何) | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/29 22:20:55 |
記事番号8387へのコメント ひろみさんは No.8387「ばばんっ,虚無大魔王♪(わかんないし,って言うか怖いし)」で書きました。 >ひゃあ!(何)こんばんはっ,お久しぶりでございます,ひろみですっっ。 >なんか最近ねんねこさんを探してうろうろしてたりしてるかもしれないひろみでございますっ(そんな挨拶は要らない) >・・・・・・なんか自分で突っ込んでて哀しくなります(笑) 探しましたかっ!ていうか、おそらくそこら辺を掘り出すとひょろりと発掘されそうな勢いですがっ!(いやそれちと怖いから) なんだかのんびりまったり時を過ごしていたら、いつの間にか桜が散ってましたね。困ったもんです。 というわけで、お久しぶりなのです。ねんねこなのです。先月、某キャラによって地獄の底へと引きずり落とされましたが(誰かは特に申せません。にこやかに石臼が飛んできます←言ってるじゃん)なんとか無事に這い上がってきたら、伸ばし棒片手におにーさんが『お話v』とかいいながらパソコンを押しつけてきたときはとりあえず石っころでストライキを起こそうかと……(だから意味不明な上にマシンガントーク炸裂させてどーするんだって) >パパりいいいいいんvvvv >いつの間に,なにやら思いっきり叫んでおりました(ご近所大迷惑)このお方が出てくるだけでスレ世界は混沌の渦の中ですねvv←訳が解りません,って言うか失礼です,すいません(滝汗) おかげさまで、ねんねこ世界はパパりん中心に回っているようで……今回の主役もパパりんなのかっ!?ていうか、2話目、パパりんしか出てないじゃんっ!?とか思いきや、実は単にパパりんの出番が2話目にかたまっていただけで実際には全キャラ主役という無謀な話だったりするんですねぇ。 というわけで、なにやらアスト氏にもいろいろ出番があるようです。暴走しないように願うのみだぞおい……(切実) パパりん出現で混沌渦の中はある意味めちゃくちゃ合ってたりして、ちとびっくりです(意味ありげな笑い) >でも何やら1番自分の中でヒットしてしまったのが「前書き」のねんねこさんのごあいさつの後の追記でした(いや,何故に) >よくわかんないんですけど,なんかずっと独りで受けてました,さっきまで(おい) >存在証明をすっ飛ばして自分を解剖しなくちゃいけないかもしれない訳の解らなさに陥っているところで失礼いたします(微笑) いや、ねんねこは常に訳わかんないからというつっこみで会話が終了される人物ですので(すみません。嘘です)。 あの追記はですね。うけ狙いでもなんでもなく果てしなくマジボケかましまして……いやだなぁ、ねんねこさんってば、もう年?みたいな(やめろ)。本気で一度投稿してから、投稿確認画面で気づいて直しましたからね。それでも結局二重投稿して一坪様にご迷惑かけたときはどーしよーかと……(汗) 久しぶりで多大に迷惑かけてたらかなり意味ないです。ねんねこさん。 というわけで、こんな変わり映えのしないメンバーと話ですけど(ここ一番問題だろ)、最後までお付き合いくだされば幸いなのです〜。 ねんねこでした♪ |
8424 | I D - 自己存在証明 - EPISODE:2 | ねんねこ E-mail URL | 2002/4/29 22:27:46 |
記事番号8342へのコメント 「情報を掴んだと思えば―――これで10人目、か」 「弔っているところを見ると目撃者がいる可能性が高いですね―――どうしましょう?」 「決まっている。その目撃者とやらを探し出して殺せ。役人に知らせられたらそれこそ厄介だからな。一刻も早く見つけ出せ」 「仰せのままに」 「まったく……お前は最高の失敗作だったようだな……“イド”……」 「どうだった?」 宿屋から出てきたクラヴィスにもう何度も繰り返した問いを投げかければ、彼はやはりもう何度も繰り返した頭を振る動作をしてみせた。 アイノス・シティは、沿岸諸国連合に位置している。規模的にはそれほど大きいわけではないが、貿易港―――といっても赤眼の魔王配下の部下たちが張り巡らした結界のせいで海岸沿いの都市同士で物流を行っている程度のものだ―――と内陸国を結ぶ街道沿いにある街として、そこそこの繁栄を見せている。 土砂降りの雨の中、いつまでも街道沿いに立ち往生するわけにも、なおかつ持ち主を失って残された馬をそのまま街道に放置していくわけにも行かず、一番馬の扱いに慣れている―――あくまで本人談である―――アスタローシェが御者の代役を務めることで馬車を動かしたはいいが―――問題は街に入ってからだった。 ―――宿屋は動物を嫌うのだ。特に場所もとり、世話が大変である馬は。 たった一晩宿泊するだけでも場所がなければ馬車を置くことはできない。衛生上の問題もある。 もう少し規模が大きい街ならば、馬車での客も受け入れられるような設備が整っている宿屋もあるだろうが、あいにくこの街にあるどの宿屋もそんな気の利いたところはない。 「にょおぅ。早く宿見つけないと濡れうさぎになっちゃうにょぉぉぉ」 「普通のうさぎと濡れうさぎとどう違うのかはわからんが、確かにさっさと見つけないと風邪を引く奴が出てくるな……」 「つーかまず濡れうさぎになれるのかをつっこんでやれよ」 雨で顔に張りついた黒髪をふるふると頭を振ることで引っぺがし、妙に幼い声でウィルフレッドがうめけば、御者席に座り込んでいたゼルガディスがさりげなくツッコミを入れつつも同意する。どこか抜けた会話をする父親と弟にさらにクラヴィスがツッコミを入れたりもしたが、会話の中心は『濡れうさぎ』ではなかったため、3人の会話はそこでぴたりと終わりを告げる。 ちなみにゼルガディスいわく『風邪を引く奴』改めアメリアはといえば、今は馬車の客席の中にいる。客席部分を覆っている布は予想通り雨水を大量に吸い込んで重さを増していたが、かろうじて客席を水浸しにすることだけは防いでいた―――思った以上に防水加工がしっかり施された良い布地を使用しているらしい。 「……この際、全てを役所に白状した方が手っ取り早い気がするのだ……」 ゼルガディスの隣に腰をかけていたアスタローシェがうめくように提案すれば、御者席の横に突っ立っていたウィルフレッドが額を押さえて答える。 「……今、僕の中の天使と悪魔が戦ってるんだから誘惑しないでよ、アストくん」 街道であったこと。つまり奇妙な合成獣(キメラ)―――断定はできないが、おそらくそうであろう―――の少女のことを言えば、馬車は役所の人間に押し付けられる―――もとい、証拠品として押収してもらえるだろう。 確かに馬車を引き取ってもらえれば、すぐにでも宿屋に入れる。雨のせいでずぶ濡れになっている自分たちにとっては一刻も早く宿に入って着替えることができるという選択は実に魅力的な選択肢ではある。 だが、それはこの奇妙な事件に首を突っ込むということを意味しているのだ。 はっきりいってしまえば、できることならこれ以上あの少女と係わり合いになりたくはなかった。理由を挙げろといわれればいろいろなものがあがったりするが、結局はめんどくさいからだ。 人が一人、目の前で殺されているのに人でなしが、と思われるかもしれないが、実はあまりそうでもない―――例えば、目の前で殺人犯が人を殺した。殺された人は自分とまったく係わり合いのない人で、殺人犯は自分の近くを通り過ぎた。じゃあ、自分は命の危険を顧みずにその殺人犯を追うか、という選択を迫られれば極度に正義感の強い人間ならともかく、普通の人間だったならばまず間違いなく『ノー』と答える。 しかも相手は普通の人間ではなく、剣も魔法も通じない合成獣(キメラ)の少女である。好き好んで事件に首を突っ込み、あの少女と感動の再会をするつもりは毛頭ない。 ―――とはいっても、身体に張りついてくる服を一刻も早く脱ぎたいという気持ちも強い。 おそらく最終的判断を下さなければならないであろう―――なにしろアスタローシェは別にして自分が最年長者である―――ウィルフレッドが頭を抱えて、発狂したように叫ぶ。 「にゃぁぁぁっ! んもぉぉぉっ! お昼ご飯のデザートに『パンプキン・プティングの生クリーム添え』か『プリン・ア・ラ・モード』かどっちか一つ選ばなくちゃならない時くらい悩むぅぅぅっ!」 『その程度の悩みか。おい』 価値観の違いというべきか―――いやこの場合単に少々ウィルフレッドの感覚がずれているだけだろうが―――へんちくりんな比較対象をあげてくる最年長者にその場にいた息子と相棒が同時に声をハモらせる。 「そんなっ! 君たちにはこの僕の苦悩がわからないにょっ!? いいかい、お昼のデザートというのはね、午後のぢごくのお仕事をするためには欠かせないものでね。この選択に失敗するとその日の仕事に多大に支障が―――」 当然、感覚がずれているために―――いや、一応価値観の違い、ということにしておこう―――ウィルフレッドは呆れた顔をしてくる3人に信じられない、というような顔をして反論しかけ。 「―――え?」 背後で馬のひづめの音が大きく響いたことに気づいて思わず後ろを振り返る。 ウィルフレッドの方を見ていた3人も彼から彼の後ろで止まった―――というか、ウィルフレッドに対して横付けをしたという方が正しいか―――馬車に視線を転じた。自分が乗っている馬車とはまた別の馬車の登場に客席でいつの間にか完全に話題がすりかわっていた会話を呆れ顔で聞き入っていたアメリアも濡れた布を指で少し捲って外を確かめる。 現れた馬車は一見どこかの貴族が所有しているもののようにも見えた―――要するに自分たちがこの街に車で乗ってきた乗合馬車との次元が違うということだが。客席部分も鉄の骨組みに布を覆い被せただけの簡素な作りではなく、雨が降ってもまったく問題ないようなしっかりと安定した丁寧なものであるし、細かい場所に嫌味にならないほどの細工が施してあったりもする。 一応、神官貴族であるヴァレンタイン家にもセイルーンに帰れば馬車はあるが、あまり使われていないためにこれほどまで立派なものではない―――なにしろ、今でこそふらふらあちこちに出歩いていたりするが、息子との間に生じていたいざこざがなくなるまで、ウィルフレッドが外に出るとすればわざわざ馬車を使わずともいける場所だったのだ。 いつ使うかもわからない馬車のために馬を飼うくらいだったら自分の足を使って目的地に行った方がマシだ、というウィルフレッドの考えのおかげで、ヴァレンタイン家の馬車は先代が亡くなってから使われることはなくなった。 閑話休題。 ウィルフレッドを含め一同が呆然として横付けするように止まった馬車を見つめていれば、客席部分から1人の男が顔を出してきた。 40代半ばの身なりの良い男。 一瞬、ウィルフレッドとアスタローシェが目を見開く。 「こんなところで会うとは思わなかった。久しぶりだな―――ウィルフレッド=ヴァレンタイン」 顔を出した男は口元に笑みを浮かべて迷うことなくウィルフレッドに声をかけた―――だが、顔に浮かべるその笑みは知り合いに久方ぶりに会う喜びを表現する、というよりも久方ぶりにあった知り合いを見下して嘲笑している、といった方が正しい笑みで。当然、そんな笑みを向けられて良い気分になれるはずもなく、ウィルフレッドは表情を硬くしてぽつりと呟く。 「……何の用?」 相手をどこか警戒したような口ぶり。 ウィルフレッドの問いに男は嫌な笑みを張り付かせたまま、肩をすくめて見せた。 「先程から様子を伺わせてもらったよ―――」 ずいぶんと暇な奴だ、などと一同が心中で毒づいた―――他人に嘲笑される笑みを浮かべられれば誰だって気分を害す。全員一致で嫌な男だという先入観が生まれたのだろう―――のは、ともかくとして。男はいいながら視線をウィルフレッドから彼らが複雑な理由と共に所有している乗合馬車に移して、言葉を継ぐ。 「―――その馬車を置く場所がなくて困っているのだろう? 昔の“馴染み”だ。助けてやろう」 「……誰だ?」 他人には一切興味を示さない―――どうやら主人と主人の身内以外はどうでもいいらしい―――アスタローシェが珍しく苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていることに気づき、ゼルガディスが小声でぼそりと尋ねる。まるで、男を睨みつけるように見つめながら彼はやはり小声でうめいた。 「……ジーン=マクレガー……ウィルの王立学院時代の……“顔見知り”だ……」 I D - 自己存在証明 - 「……お前の選択にけちをつけるつもりはないが……他に方法はなかったのか?」 スプリングが利いたベッドに腰をかけて、憮然とアスタローシェがうめく。もともと人間ではない彼にとっては、泥塗れになろうが、雨に降られて濡れようが関係ない。身体も服もすっかり乾いて、ベッドひとつを占領していた。 「僕をいぢめて楽しい? あの宿が最後の望みだったのに、そこが断られちゃったんだよ? あとは役所行きしかなかったんだ。役所行くんだったらこっちの方がまだマシでしょ―――“マクレガー”の世話になるのは……癪に障るけどね」 着替えを済ませ―――手持ちの荷物は馬車に放り込んであったためにかろうじて雨の被害に遭うことは免れた―――灰色(グレイ)のカッターシャツに黒色の細いズボンという比較的ラフな姿で髪に染み込んだ水分をタオルで丁寧に吸い取っているウィルフレッドが困ったような顔をしてみせれば、すでに着替えも済ませたアメリア―――ちなみに白いカーディガンから覗くスカイブルーのワンピースがクラヴィスのお手製だと知って、どうして彼が彼女の服のサイズを事細かに知っているのか疑問に持ったゼルガディスが少々暴れたりしたのだが、それはまた別の話である―――が首を傾げてくる。 「あの人、いったい何なんですか? 知り合い(ウィルフレッドさん)を見下したような態度して……」 「あ、それ。オレも訊きたい」 少女の言葉に同意するようにクラヴィスが手を挙げる。隣で兄が軽く挙手したのを見ていたゼルガディスは目を細めて、視線をはずした。 一度だけ、ちらりと父親の口から聞いたことがある―――ウィルフレッドが王立学院に通っていたころのことを。 「……それは……」 アメリアたちの問いにアスタローシェがわずかに言葉に詰まったような顔をして、ウィルフレッドを見やるが、彼は相棒の困惑した態度とは裏腹にあっさりと肩をすくめて白状した。 「30年前以上にいいようにパシリにされてたんだよ、僕」 王立学院というのはいわば未来の権力者たちの溜まり場だった―――決して入学基準に『実権者の子息でなければならない』というものがあるわけではないのだが、それなりに高い学費を定期的に払い続けることができるのは、やはりそういった人種しかいないのだ。 権力者の子供というのは―――生まれた時からの環境のせいもあって大概の子供が妙にプライドが高い。そして、そのプライドの高さはしばしば、自分よりも能力の高い子供に対して妬みへと変化する。親の機嫌をとるために常に学年首位をキープし、習い事もしていたために付き合いの悪かったウィルフレッドはその妬みの当て場の格好の餌食になった―――という話を以前ゼルガディスは聞いたことがある。 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスはしばし戸惑ったあと、なんとなく上目遣いでぽつりと思い当たった言葉を呟いてみる。 「……それって……専門用語で言う『いぢめ』ってやつか?」 「専門用語じゃなくてもそういうね」 「悪じゃあないですかっ!」 ウィルフレッドが言葉を肯定すれば、座っていた椅子からがばっ、と立ち上がりアメリアが怒鳴るように声をあげる。 「他人を傷つけることを平気な顔をして楽しむっ! それすなわち悪ですっ!」 「僕が受けてたのは今になっちゃあ子供同士のくだらない妬み合いだよ。済んだことだし、今更だからそんなに気にしてないよ」 タオルを肩にかけたまま近くの椅子に座り、テーブルにひじをついて頭を乗せる。瞑目してアメリアの言葉をさらりと返せば、ウィルフレッドは目を薄く開けた。いつもは宝石のように輝く翠の瞳も心なしか疲れを帯びている。 「でもまさかこんなところで出くわすとは思わなかった。どっかの魔道士協会の評議長の息子だとは聞いてたけど、まさかこの街だったなんて……」 知ってたらこの街に来なかった、とでも言いたげなウィルフレッドの声と重なって扉がノックされる音がされた。 入室を許可すれば、入ってきたのは栗色の髪の少女。 年の頃から17、8―――ちょうどアメリアと同い年か1つ下というところか―――といっても、やけに童顔であるアメリアに対して、大人びた顔立ちの少女はどう見てもアメリアよりも年上に見えたが―――腰より少し上まで伸ばされた髪に白い肌。家政婦姿の少女はつい先程までずぶ濡れだった客人たちに恭しく一礼すると用件を切り出してくる。 「お寛ぎのところ申し訳ございません。ヴァレンタイン神官様、ジーン様がお待ちです」 その言葉にウィルフレッド以外の面々が一瞬顔を見合わせた。アスタローシェがクラヴィスに対して目でなにかを合図すれば、ゼルガディスが横から服を引っ張ってくる。少し離れたところにいたアメリアに視線を向ければ、彼女もこくこくと首を縦に振っていて、満場一致の意見にクラヴィスは小さくため息を漏らす。 そんな様子にも気づかずにウィルフレッドは少しだけ憮然とした面持ちで呟く。 「いまさら何を話せって言うんだか……」 「え?」 ウィルフレッドの言葉に少女は怪訝な顔をしたが、誰も彼女の疑問を解く者はいなかった。彼女の問いには敢えて答えずウィルフレッドは椅子から腰を浮かせた。いくら気が進まないといっても相手は一応困り果てた自分たちを助けてくれた恩人である。その恩人が自分と話がしたいといっているのに、それを無碍にするわけにも行かないだろう。 「いえいえ、こっちのお話。マクレガー氏が何処にいるか案内してくれる―――」 女性限定で使用されるご機嫌取りの微笑みを浮かべながら少女の方に向かえば、その途中で強く腕を掴まれる。そちらに視線を向ければ―――まだ完全に髪が乾ききっていないクラヴィスがいた。 「クラヴィスくん?」 「オレも行く。一応オレも『ヴァレンタイン神官様』なんでね」 怪訝な顔をして息子の名前を呼べば、クラヴィスは淡々と告げてきた。 ウィルフレッドにしろジーン=マクレガーにしろ、どちらももういい大人ではあるが。 息子として、相棒として―――そして旅を共にする仲間として、以前、ひどい目に合わされていた人物と二人っきりで再会させるつもりは毛頭なかった。再会したときのあの表情を見れば、いまだにマクレガーがウィルフレッドに対して良い感情を抱いていないのは一目瞭然である。 珍しく『自分についていく』と―――いつもは『一緒に行きたい』といっても『大人なんだから一人で行け』とあっさり断ってくるのにである―――クラヴィスに、ウィルフレッドはゼルガディス、アメリア、そしてアスタローシェの順番に見やると、なにかを悟ったのか大きく息を吐いて苦笑にも似た笑みを浮かべて見せた。 「しょうがないなぁ……黙って話を聞いてるんだにょ?」 幼い頃は孤立無援でいつも泣いていた自分に、いつのまにかこんなにも心強い味方ができたかと思うと嬉しくなる。 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスはこくんと頷いて父親の腕を放せば、肩にかけっぱなしにしておいたタオルをはずして、ゼルガディスの方に放り投げる。一瞬目があったが―――果てしなく長い付き合いだ。言葉にしなくても互いの言いたいことはすぐにその目から読めた。 2人のヴァレンタイン神官が準備を整えたのを見計らって―――やはり、息子の方も来ると宣言したことは予想外だったらしく、落ち着いた表情にも微かな驚きが見え隠れしていた―――少女は部屋に残る3人に向かって、主人に言われたもう1つの伝言を伝える。 「ジーン様より『屋敷内は自由に入っても良い』との伝言をお預かりしました。良ければ、後ほど屋敷の中をご案内いたしますが……?」 そう言われたものの、別に来たくて来たわけではない―――といえば、どんな魂胆があるにしろ、自分たちを招き入れてくれたマクレガーに失礼かもしれないが―――屋敷の案内など別に必要はない。できれば、このまま待って、雨が止んだと同時にこの屋敷を出て行きたいくらいだった。 「じ、じゃあ、あとでぜひお願いしますね!」 素直には頷けず、ゼルガディスもアスタローシェも黙っていれば、アメリアが慌てて取り繕うように笑みを浮かべて見せる。アメリアの言葉に少女もにっこりと微笑めば、主人(マクレガー)の元へと案内されることを待っているクラヴィスたちに声をかけて部屋を後にする。 最初に少女とウィルフレッドが出れば、最後にクラヴィスが肩越しに振り返ってくる。薄ら笑いすら浮かべながらひらひらと手を振るゼルガディスに小さくうなってそのまま彼は先を行った二人を追いかけるために扉を閉める。 急に静かになった部屋にアメリアが小さくため息をつくのがわかった。 「これで一応は安心ですね。あのマクレガーさんって人もクラヴィスさんがいる前でウィルフレッドさんにちょっかい出してこないでしょうし」 それでも、あの憎たらしい顔でねちねちといびってくるのは容易に予想はつくが。 優越感に浸ったような顔で昔話を展開していくマクレガーに対して、イライラを募らせるウィルフレッドと殴りかかりたい衝動を必死に抑えて、憮然とした表情をしていそうなクラヴィスを頭に思い浮かべて、思わず笑みがこぼれる。なにを勘違いしたのか、自分の台詞におかしい部分があると思ったアメリアが怪訝な顔をしていれば、ゼルガディスは咳払い一つしてベッドを占領しているアスタローシェに目をやる。 「アスト、これからどうするんだ?」 「……我はウィルたちの様子をちと見てくるのだ」 マクレガーにウィルフレッドとの関係を聞かれた時に下手な言い訳ができないために全てを息子壱号であるクラヴィスに委ねたが、それでも彼の心にわだかまる不安は拭いきれないのだろう―――なにせ、彼はマクレガーにいいように小突き回され、かといってそのことを誰にも相談できずに自分の部屋でただ泣いていた当時のウィルフレッドを唯一見ている人物である。 もしかしたら、また似たような目に合わされるかもしれない―――そんな思いが胸に渦巻く。 そんなアスタローシェの心中を察したのか、反論もコメントもつけずにゼルガディスは今度はアメリアの方に視線を向ける。 「お前さんは?」 「ゼルガディスさんはどうするんですか?」 問えば、ゼルガディスはふむ、と小さく呟く。 別にこの部屋の中でのんびりごろごろとしていてもいいが、それでは芸がない。 できることなら屋敷を出て、街の図書館にでも出向きたいところだが、ここは宿屋ではなく他人の家だ。いくら自由に使ってもいい、といわれていても何度も出たり入ったりを繰り返すのは失礼に値する。 しばし考えた後、ここが誰の屋敷かを思い出して、ゼルガディスはようやく自分が今できる最大限のことを思いつく。 「あいつの研究室か書庫を探してみるつもりだ―――まあ、性格腐ってようが親の七光りだろうが一応魔道士協会の評議長だからな。それなりの研究も進めているだろうし、もしかしたら俺が求めている情報のヒントくらい見つかるかもしれん」 「じゃあ、お供させてもらってもいいですか?」 実際、アメリアも何もすることがなかったのだろう。別にいては困るような行動ではない―――二つ返事で許可をすれば、アメリアはいつでも行けるという意思表示なのか腰をかけていた椅子からひょい、と立ち上がった。 連れてこられた応接間では、すでにマクレガーが中央に設置されていたソファーに腰をかけていた。ウィルフレッドとクラヴィスが続いて部屋に入ったのを確認すると、家政婦の少女は一礼して扉を閉める。 微かに鳴った扉が閉まる音を合図にして、マクレガーが笑みを浮かべながら扉のところに立ったままの来客を自分の向かいに座ることを勧める。 「……そちらの若人は?」 マクレガーとしてはウィルフレッド1人と話をしようとしていたのだろう。思いがけない付き添いにわずかに眉をひそめれば、ウィルフレッドがぽん、息子の頭に手を載せて淡々と答えてくる。 「3番目のせがれだよ。今は一緒に世界情勢の視察の途中でね」 3番めの息子といっても戸籍上の、という意味だが。ヴァレンタイン家現当主(ウィルフレッド)は3人の息子を妻クリスティーナの間に儲けたことになってはいるが、実際には上2人の息子たちは自分ではなく、自分の義父である男の息子であり、直接の血の関係はない。 だが、今さらそれを説明するのも面倒であるし、神官貴族としての立場やメンツというものもある―――なにより、くだらない義父の野望で犠牲になったのは自分も義息子たちも同じことだ、という理由から戸籍の修正は行わず、そのまま3人兄弟―――実は実子として認められていないゼルガディスをさりげなく養子として申請したために4人兄弟になっていたりするが―――として一生を全うすることになった。 ウィルフレッドの簡易な紹介に、クラヴィスは不本意ながらも、それでも人としての当然の礼儀として立ち上がって頭を下げる。 「クラヴィス=ヴァレンタインです。父が“いろいろとお世話になった”そうで」 さりげない嫌味ももちろん忘れない。真正面から見据えつつの意味ありげな言葉に、だが、マクレガーは平気な顔で笑って見せた。 「いやいや、こちらも君の父上には世話になったものだよ」 そういうと、マクレガーはまじまじとクラヴィスを見てきた。まるで品評でもするかのような嫌らしい眼差しにわずかに顔を引きつらせ、握ったこぶしに力が入るが、ここで目の前の相手を殴り倒したら自分だけではなく、父親の立場も悪化すると言い聞かせて、なんとかこらえる。 「なるほど……こんなに立派なせがれを持つ同年代がいるのだ、歳をとったのも当然だな」 それこそ頭のてっぺんからつま先までじっくりと観察してマクレガーはウィルフレッドに向き直った。 「私なりに心配していたんだ、ウィルフレッド―――学院を卒業してから君は女遊びが激しくなった、という話を聞いてね。 君もあのヴァレンタイン家のご当主候補―――いや、失礼。今はもうご当主だったかな―――だろう。その悪癖が家名に傷をつけるのではないかと我が身のように冷や汗ものだったのだよ。実際、彼は……」 ちらり、とクラヴィスを視界に入れる―――クラヴィスが妾の子供であることはごく近いものにしか知られていない隠蔽された事実であるが、それがどっかから漏れたのだろう―――人間は噂好きな種族だ。自分と少しでも関係のある人間だったならば、噂が流れる可能性は十分にある。 「……君ほどの地位になると、『若気の至り』では済ませられないだろう? どうしているのか心配だったのだが上手くやっているようで安心した」 「……わ―――!」 確かに自分は正妻の子供ではないし、そのことで家族に詰られていたこともある。 それは、妾の子供を堂々と家に連れ込んだウィルフレッドとて同じことだろう。 ただ、自分にもウィルフレッドにも『プライド』というものがある。自分の存在を―――23年間も見捨てずに育ててきた実の息子を―――赤の他人から『若気の至り』などと評されて腹が立たない人間などいやしない。 当然のように怒鳴りかけたクラヴィスを、足を踏みつけることで制すれば、なぜ止めるんだ、とばかりに息子は自分を睨みつけてきた。 (ここで怒鳴ったらこっちの負けだよ、クラヴィス) 怒るのは容易い―――怒鳴って、相手を殴ってしまえばそれで終わりなのだから。 けれど、それは、自分の思う通りにならなくてかんしゃくを起こす子供と同レベルなのだ。 息子を一瞥しただけで、すぐにマクレガーに目を向ければ、ウィルフレッドは薄ら笑いすら浮かべながらいけしゃあしゃあと言ってやった。 「なにぶん、正妻(クリスティーヌ)とは前当主(ちちおや)に言い渡された政略結婚だったのでね。 僕は自分が一番愛した女性の子供が欲しかったのさ―――『若気の至り』なんて決して思ってはいないよ、クラヴィスも、もう1人の息子(ゼルガディス)も―――まあ、こんな気持ち、浮いた噂を1つも聞かない君に言っても理解してもらえないだろうけど。 君も大変だね、マクレガー。そろそろ真面目に次の世代のことを考えないと父君から預けられたその地位、他人に譲渡することになるんだから」 もっとも、その性格で己の血を引く“後継者”を産んでくれる物好きなどいやしないだろうが―――マクレガーの言葉をモテない男の遠吠えと受け取って暴言にも近い言葉を吐けば、ウィルフレッドはため息をついてソファに深く腰をかけなおした。 「これ以上の見え透いた腹の探り合いはごめんだよ、ジーン=マクレガー。まさか本気で思い出話に花を咲かせようとは思ってたわけじゃないんだろう。用件はなんだ?」 王立学院時代ならば想像もしなかったウィルフレッドの反論。 どんなに不条理な言葉を言われても、反論はおろか、否定することすらできずに唯一の味方になってくれていたフィリオネル―――いや、彼の場合、味方というよりは中立な立場で物事を見ていて、結果、ウィルフレッドを助けていたのだろうが―――に泣きついていたあの弱々しい少年だったとは思えない客人の言葉に、マクレガーは感嘆の溜息すら漏らして、笑みを浮かべた。 「知り合いの神官が僧侶連盟でのお前にてこずっているという話を聞いて半信半疑だったが、どうやら本当だったようだ―――ずいぶんとまあ変わったもんだな、ウィルフレッド」 「君のおかげで、か細かった僕の神経、ずいぶんと太くなったようでね。自己主張くらいはできるようになったんだ」 「ふん……まあ、いい」 自分の予想を裏切るようなウィルフレッドの態度に―――学院を卒業してからまったく会っていなかったのだ、ウィルフレッドがこんなにまで自己主張をするようになったとは思っていなかったのだろう―――面白くなさそうな声を上げてマクレガーはようやく話を切り出した。 「この辺りで多発している事件のことは耳にしているか?」 問われて、ウィルフレッドはクラヴィスと顔を見合わせる。 なにしろ、自分たちがこの街についたのは、つい先程なのだ。馬車で半日かかるほど隣の街と離れていては、噂も届きにくい。いくつかの宿をまわったクラヴィスならほんの少しでも耳にしているかと思ったが、その表情を見れば彼もまったく知らないのだろう。 「……いえ、存じません。何か物騒な事件でも起こったんですか?」 クラヴィスが問えば、マクレガーは深い息を漏らして、足を組む。 「昨今、街の中と外半径5キロ程度のところで変死体が10体ほど発見されている―――変死体といっても身体の一部分が切り足られているといったことはないのだが……心臓を何らかの手口で刺されていたらしい。 だが、心臓を突き刺したという凶器が鋭利な刃物である、と断定するにはあまりにも矛盾点があるために人間の仕業ではないのではないか、と役所の人間たちが考えておってな」 『……………………』 思い当たることが多々あって、親子そろって顔は動かさずに視線だけを合わせる。 心臓を一突きにされた変死体。 鋭利な刃物とは思えない凶器。 人間の仕業ではない。 ―――間違いなく自分たちの目撃したあの事件と一致するではないか。 ウィルフレッドとクラヴィスの間で気まずい雰囲気が流れる中、マクレガーは淡々と話を続けていく。 「私をはじめとするこの街の魔道士協会の多くの人間が合成獣の研究を行っていてな―――ちょうど街道を海に向かっていったところに古代に合成獣の研究が盛んだった場所があってな。そのせいもあって数多くの古文書が残されているので、それの研究に励んでいるわけだが……役所の連中は魔道士協会の研究員の中に犯人がいるのではないか、などと疑っておる」 こういうことはよくあることだ。専門知識外のことなので、役所の人間も魔道士協会がいったい何をしているのか―――しいては魔道士がいったいどのようなことができるのかあまり把握していないのが現実だ。 魔法を使えばなんでもできると思い込んでいる連中は、しばしば魔法を使おうが不可能であることすら魔道士のせいにして無理やり事件解決に運ぶこともある。 人間の仕業ではない、という疑問点が出てきて、なおかつ魔道士協会が人間ならざるものを研究しているのならば、疑われるのは必至だ。 マクレガーはちらりとウィルフレッドを見やった。 「魔道士協会の評議長という私の立場やメンツもある―――ウィルフレッド、この事件の真犯人を捕まえてはもらえぬか?」 まるで、ここからが本題だと言わんばかりに身を乗り出してきたマクレガーにウィルフレッドはゆっくりと向かいの席に腰をかけるその男を見据えた。 |
8425 | 激しい視線のバトル……! | 白河綜 E-mail | 2002/4/29 23:34:05 |
記事番号8424へのコメント ねんねこさんは No.8424「I D - 自己存在証明 - EPISODE:2」で書きました。 あらこんな〜ところに続編が♪(うたうな) …………って、ども(汗)。最近オリジナルばっかり書いてて、ここ3週間程連載の続きを書けてません(盛大に待て)、白河綜なのです!! 再び「2」を見に来てみたら続きがvv ふふふふふ♪ 今回のクローズアップキャラはパパりんなのですねvv >「まったく……お前は最高の失敗作だったようだな……“イド”……」 なにやら怪しい感じなのです! “イド”さん…………あの合成獣のお嬢さんのことでしょうか? しっかし悪役(?)さん…………都合の悪い者は皆殺してしまえだなんて、…………あのメンバーを敵に回すなんて無謀ですよ(笑←待て) >「にょおぅ。早く宿見つけないと濡れうさぎになっちゃうにょぉぉぉ」 >「普通のうさぎと濡れうさぎとどう違うのかはわからんが、確かにさっさと見つけないと風邪を引く奴が出てくるな……」 >「つーかまず濡れうさぎになれるのかをつっこんでやれよ」 > 雨で顔に張りついた黒髪をふるふると頭を振ることで引っぺがし、妙に幼い声でウィルフレッドがうめけば、御者席に座り込んでいたゼルガディスがさりげなくツッコミを入れつつも同意する。どこか抜けた会話をする父親と弟にさらにクラヴィスがツッコミを入れたりもしたが、会話の中心は『濡れうさぎ』ではなかったため、3人の会話はそこでぴたりと終わりを告げる。 ナイス・コンビネーションなのです! こういうやりとりを見てると、やっぱり親子なんだなぁって感じがしますね♪ 濡れうさぎ…………可愛いと思います、どっちも(笑) 『水も滴るイイオトコ♪』って奴なのですねっ!? >「にゃぁぁぁっ! んもぉぉぉっ! お昼ご飯のデザートに『パンプキン・プティングの生クリーム添え』か『プリン・ア・ラ・モード』かどっちか一つ選ばなくちゃならない時くらい悩むぅぅぅっ!」 >『その程度の悩みか。おい』 結構切実な悩みのような(笑)。 なんだか、どちらもプリン、というところにパパりんらしさを感じます(何でだ)。しかもどっちもクリームを添えて、甘くするのですねv ダイジョーブですパパりん!! 3時のおやつもあります!!(待て) >「……ジーン=マクレガー……ウィルの王立学院時代の……“顔見知り”だ……」 …………険悪な雰囲気なのです。 とりあえず、アスト君が“彼ら”以外のことで表情を変える……しかも嫌悪感とか、そういったマイナスの感情を表に出すのは珍しいですね。よっぽど嫌なやつなんでしょう(どきぱ)。 …………ていうか、この人がでてきたおかげで、そういえばパパりんは40代だったことを思い出しました…………(苦笑) >「30年前以上にいいようにパシリにされてたんだよ、僕」 …………命知らず(ごいんっ) …………こほん。 えー、失礼いたしました(汗)。 しかし、あのパパりんがいぢめ…………あの逞しい性格は、この時期に形成されたってことなのでしょうか? 全てではなくとも、影響はあったのですよね。 >「お寛ぎのところ申し訳ございません。ヴァレンタイン神官様、ジーン様がお待ちです」 > その言葉にウィルフレッド以外の面々が一瞬顔を見合わせた。アスタローシェがクラヴィスに対して目でなにかを合図すれば、ゼルガディスが横から服を引っ張ってくる。少し離れたところにいたアメリアに視線を向ければ、彼女もこくこくと首を縦に振っていて、満場一致の意見にクラヴィスは小さくため息を漏らす。 >「オレも行く。一応オレも『ヴァレンタイン神官様』なんでね」 > 怪訝な顔をして息子の名前を呼べば、クラヴィスは淡々と告げてきた。 > ウィルフレッドにしろジーン=マクレガーにしろ、どちらももういい大人ではあるが。 > 息子として、相棒として―――そして旅を共にする仲間として、以前、ひどい目に合わされていた人物と二人っきりで再会させるつもりは毛頭なかった。再会したときのあの表情を見れば、いまだにマクレガーがウィルフレッドに対して良い感情を抱いていないのは一目瞭然である。 クーちゃん、パパりんを守るのですねっ!! 前回はアスト君がナイト風だったので、今回はクーちゃんなのですねっy!!?(待て) あああああっv 美しき親子愛なのです!!(激しく待て) いいです。ヴァレンタイン家、最高ですv こういう親子って理想なのです! パパりんは息子を守るだけではなく、ちゃんと自分の弱い面を守って貰い、ちゃんと相手にもよりかかっているのですねvv >「私なりに心配していたんだ、ウィルフレッド―――学院を卒業してから君は女遊びが激しくなった、という話を聞いてね。 > 君もあのヴァレンタイン家のご当主候補―――いや、失礼。今はもうご当主だったかな―――だろう。その悪癖が家名に傷をつけるのではないかと我が身のように冷や汗ものだったのだよ。実際、彼は……」 > ちらり、とクラヴィスを視界に入れる―――クラヴィスが妾の子供であることはごく近いものにしか知られていない隠蔽された事実であるが、それがどっかから漏れたのだろう―――人間は噂好きな種族だ。自分と少しでも関係のある人間だったならば、噂が流れる可能性は十分にある。 >「……君ほどの地位になると、『若気の至り』では済ませられないだろう? どうしているのか心配だったのだが上手くやっているようで安心した」 …………すみませんねんねこさん。白河ジーンさんの事好きになれそうもないのです(早いって) ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああっ!! なんでこーいう腹の立つこと言うかなこの方はっ!!(リナさん降臨中) > 確かに自分は正妻の子供ではないし、そのことで家族に詰られていたこともある。 > それは、妾の子供を堂々と家に連れ込んだウィルフレッドとて同じことだろう。 > ただ、自分にもウィルフレッドにも『プライド』というものがある。自分の存在を―――23年間も見捨てずに育ててきた実の息子を―――赤の他人から『若気の至り』などと評されて腹が立たない人間などいやしない。 そうだっ!! しかもパパりんの本当の伴侶はシルヴィアさんなんだ〜〜〜〜!! 若気の至りとか言うな〜〜〜〜!!!(暴走←落ち着け、自分) > 当然のように怒鳴りかけたクラヴィスを、足を踏みつけることで制すれば、なぜ止めるんだ、とばかりに息子は自分を睨みつけてきた。 >(ここで怒鳴ったらこっちの負けだよ、クラヴィス) > 怒るのは容易い―――怒鳴って、相手を殴ってしまえばそれで終わりなのだから。 > けれど、それは、自分の思う通りにならなくてかんしゃくを起こす子供と同レベルなのだ。 ……………………………………………………(////; …………反省いたします(汗) >「魔道士協会の評議長という私の立場やメンツもある―――ウィルフレッド、この事件の真犯人を捕まえてはもらえぬか?」 > まるで、ここからが本題だと言わんばかりに身を乗り出してきたマクレガーにウィルフレッドはゆっくりと向かいの席に腰をかけるその男を見据えた。 激しい視線の応酬なのです!! なんていうか…………えっと、巻き込まれること決定なのですね?(笑) あんなに役所にいこうかどうしようかしぶってたのに(笑)。 何にしても、がんばれパパりん&クーちゃんっ!! ジーンさんの嫌みに負けてはいけませんっ!!(違) それではっ! ちっとも感想になっていないよーな気がしまくりなのですが(待てない) 続き、楽しみにしてます! ていうか自分もかかないと(汗) 白河綜でした♪ |
8428 | 器用貧乏だったのね・・・・ | 九条みすず | 2002/4/30 12:10:27 |
記事番号8424へのコメント 今回はまじめにレスしようと試みていたりする……いつも不真面目に書いているような言葉ですが、いつでも素敵に無敵な真面目ですよ、私は……九条みすずです。結局改名せずにそのままでいくらしいです。 先日はどうもでした。お久しぶりに会えたので楽しかったのね。久遠嬢とともに暴走しててごめんなさい。でも楽しかったし……(結局そこか) というわけで、真面目にコメント。 パパりん、器用貧乏だったのね……(泣) いじめられてて、でもそれをバネに成長してったウィルさんは誉めてあげたいです。たくさんそういう人、いるんだろうけど、けどできない人もたくさんいるから。 でも本当にジーンさん嫌いなんだなぁ……ファーストネームじゃ絶対呼んでないところが特に(笑) しょっぱなの会話も気になるし……「イド」の名前が出てきた時点でタイトルが単純なのに複雑に思えてきたし……やっぱりねーさまはタイトルもすっごく凝っててすごいっす(><) ウィルフレッドさんが果たして、マクレガーさんの頼みを受けるかどうかに期待しつつ(即答で拒絶するほうに1万ガルド……て、どこのお金だ)九条でした。 |
8435 | パパりん…♪ | ユウナ | 2002/4/30 19:54:53 |
記事番号8424へのコメント 前回に引き続き、レスさせてもらいます。前回は丁寧なレス返しをありがとうございました。嬉しかったです。 今回はパパりん過去暴かれ回で嬉しいやら切ないやらでした(T_T) パパりん…いつも誰かを幸せにしている笑顔の裏に辛い過去を隠していたのですね… 「どいつもこいつも」をサイトで拝見させてもらってたんですが、パパりん頑張ったんですね。私も苦い経験があったので見習いたいです(>_<) で、今回のポイントはもちろんプリンですね!?私も結構食後のデザートはこだわるタイプなのでパパりんの気持ちよくわかるです〜! クーちゃんも父君の腕を掴んだ辺りが凄く凛々しく見えてどきどきでした。 とりとめのない文で申し訳ありません。それではユウナでした! |