◆−うきゃあぁあぁぁあぁっ!−奈月るり (2002/4/25 20:31:57) No.8385
 ┣炎の瞳風の歌〈9〉−奈月るり (2002/4/25 21:58:46) No.8388
 ┃┗次回で、リナとガウリイ達の出会いでしょうか?(はあと)−かお (2002/4/26 01:27:52) No.8390
 ┃ ┗感想ありがとうございます♪−奈月るり (2002/4/26 17:06:24) No.8392
 ┣炎の瞳風の歌〈10〉−奈月るり (2002/4/27 14:44:55) No.8397
 ┃┗Re:炎の瞳風の歌〈10〉−響 (2002/4/27 17:06:45) No.8401
 ┃ ┗コメントありがとうございます♪−奈月るり (2002/4/28 17:01:01) No.8408
 ┣炎の瞳風の歌〈11〉−奈月るり (2002/5/2 19:13:58) No.8453
 ┣炎の瞳風の歌〈12〉−奈月るり (2002/5/5 15:19:04) No.8469
 ┗炎の瞳風の歌〈13〉−奈月るり (2002/5/5 19:08:02) No.8471


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8385うきゃあぁあぁぁあぁっ!奈月るり 2002/4/25 20:31:57



 えーっと……いきなり変なタイトルですみません。

 絶叫(?)の理由は、ツリーが落ちていたことです。

 なんだその程度、ど思う方もいるかもしれませんが、パソコンがフリーズしたり受験生恒例の実力テストなどという諸事情にもまれていた私にとって、久々に見たらツリーが落ちていた、などというのは、死刑宣告にも等しいことだったのです。(←嘘つけえっ!!)

 そんなこんなで大騒ぎの奈月ですが、続きを打ち込みますので、見捨てずに読んでいただけたらなぁ、と思ったりしちゃう今日この頃です。(←何が言いたい)

 それでは、私の記憶が間違っていなければ、続きは〈9〉のハズです。(←過去ログで確かめんかい)

 何故か独り言が多いですが、それでは。


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8388炎の瞳風の歌〈9〉奈月るり 2002/4/25 21:58:46
記事番号8385へのコメント


  (9)

 俺たち四人は、洞窟の中ですさまじい轟音を聞きつけ、その音のした現場へと向かっていた。

 時々洞窟内に反響して聞こえる、剣と剣とがぶつかるような金属音から察するに、それほど音源は遠い場所ではないらしい。小さな爆音も絶えず聞こえるので、何か戦闘でもあっているのだろうか?

『!!?』

 もとから広い洞窟だったが、それがさらに広がって巨大なドーム型の空間にたどり着いたとき、俺たちは驚愕に言葉を失った。

 どぐがあぁあぁぁあぁんっ!

 光球が弾け、いくつもの爆音を再び轟かせる。

 その光球が向けられた先にいたのは――いや。この場合、いたというのが正しい表現であるのかどうか、判断する術を俺は持たなかった。

 それは“闇”だった。

 光すら飲み込まれてしまいそうなほどの、深い漆黒の巨大な塊。

 それは、絶えずアメーバのように、その形を変えてうねっている。そこから絶えずイソギンチャクの触手のような形をとった“闇”がのび、光球を放った人物を捕まえようと奮闘(?)している。

 そして、その“人物”というのは、どこからどう見ても、人間の少女だった。

 緑の髪に同色の瞳を持ったその少女は、いかにもうざったそうな顔でそれらの触手の全てを軽々と避け、隙をついては魔法を繰り出して攻撃へと転じていた。しかし、それが相手に効いている様子は見受けられない。少女の表情から察するに、彼女が本気を出しているようには思えないが……

「……いったい何なんだ……」

 呆然としていた俺たちは、ゼルのかすれた声で我に返った。

 ちょうどその時。

「あー、もうっ!うざったいのよっ!!」

 少女が声を荒げて怒鳴った。



 わたしは、ハッキリ言って不機嫌だった。

 理由は簡単明白。わたしの戦っている相手のことである。

 この闇の塊のようなやつは、わたしたちが管理している時間と魂が廻る力の歪みから生じた魔物だ。よって、普通の方法では倒せない。混沌の力を使ってぷち倒すしかないのだが……今のわたしには、それが出来なかった。いや、出来ないことはないのだが、今の状態で力を使うと……その……反動がひどいのである。だから、あまり使いたくはなかったのだが……

「あー、もうっ!うざったいのよっ!!」

 とうとうわたしの堪忍袋(?)の尾が切れて、右手を掲げると、虚空からわたしの武器――大きな杖を呼び出した。

 そして、勢いよくそれを振り下ろす。

 どぐごがあぁあぁぁあぁんっ!

 杖から発された光波に飲み込まれ、闇は完全に滅びへと突き落とされた。

「ふう。すっきりした」

 清々しい笑顔で杖を虚空に還すわたし。しかし、それも長くはつづかなかった。

 無理な力の使用による罰は、遅かれ早かれ、かならずやってくる。

 そして――

 洞窟に、わたしの絶叫が木霊しまくった。



 ――いだあぁああぁぁいっ!!――

「あ。馬鹿の悲鳴……」

 遠くから反響してきた聞き覚えのある声に、俺とペアを組んでいたウェインがぼそっと呟いた。

 何でわざわざこんな感じに突っかかるかなあ……?

 これが、毎度お馴染みのケンカの原因になるんだよ……

 ――ぴくん――

 はあ、とため息をついた俺の感性に、憶えのある精神波が飛び込んできた。

 確かこいつは……

「思い出した。セイラ様の所に来てた、あの男だ」

 ぽむ、と手を打って、勝手に一人で納得する俺。

 ウェインが訝しげな表情でこっちを見ている。

「どうしたんだよ、フェイシゥ。
 セイラ様の名前なんか出してさ」

「いや。なんか、フィルクの近くに、前セイラ様のとこに来てた男がいるみたいなんだよ。他にも三人ほど」

「ふーん。
 じゃあ、見に行ってみようか」

「そうだな」

 そうして、俺たちはその場所へと向かった。


 ************************************

 今回は、諸事情によりあとがきを割愛させていただきます。

 すみません。


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8390次回で、リナとガウリイ達の出会いでしょうか?(はあと)かお E-mail URL2002/4/26 01:27:52
記事番号8388へのコメント

奈月るりさんは No.8388「炎の瞳風の歌〈9〉」で書きました。
>
こんにちわ♪
奈月さん♪
>
>  (9)
>
> 俺たち四人は、洞窟の中ですさまじい轟音を聞きつけ、その音のした現場へと向かっていた。
ガウリイ・アメリア・シルフィール・アメリアですね(はあと)
>
> 時々洞窟内に反響して聞こえる、剣と剣とがぶつかるような金属音から察するに、それほど音源は遠い場所ではないらしい。小さな爆音も絶えず聞こえるので、何か戦闘でもあっているのだろうか?
とっても大変なことvv(笑)
>
>『!!?』
>
> もとから広い洞窟だったが、それがさらに広がって巨大なドーム型の空間にたどり着いたとき、俺たちは驚愕に言葉を失った。
>
> どぐがあぁあぁぁあぁんっ!
>
> 光球が弾け、いくつもの爆音を再び轟かせる。
>
> その光球が向けられた先にいたのは――いや。この場合、いたというのが正しい表現であるのかどうか、判断する術を俺は持たなかった。
>
> それは“闇”だった。
>
> 光すら飲み込まれてしまいそうなほどの、深い漆黒の巨大な塊。
つまり、混沌♪(はあと)←違います!!!!!(笑)
>
> それは、絶えずアメーバのように、その形を変えてうねっている。そこから絶えずイソギンチャクの触手のような形をとった“闇”がのび、光球を放った人物を捕まえようと奮闘(?)している。
>
> そして、その“人物”というのは、どこからどう見ても、人間の少女だった。
>
> 緑の髪に同色の瞳を持ったその少女は、いかにもうざったそうな顔でそれらの触手の全てを軽々と避け、隙をついては魔法を繰り出して攻撃へと転じていた。しかし、それが相手に効いている様子は見受けられない。少女の表情から察するに、彼女が本気を出しているようには思えないが……
>
>「……いったい何なんだ……」
>
> 呆然としていた俺たちは、ゼルのかすれた声で我に返った。
>
> ちょうどその時。
>
>「あー、もうっ!うざったいのよっ!!」
>
> 少女が声を荒げて怒鳴った。
・・・・ゼル達・・無事なのか!?(かなりまて!・笑)
>
>
>
> わたしは、ハッキリ言って不機嫌だった。
>
> 理由は簡単明白。わたしの戦っている相手のことである。
>
> この闇の塊のようなやつは、わたしたちが管理している時間と魂が廻る力の歪みから生じた魔物だ。よって、普通の方法では倒せない。混沌の力を使ってぷち倒すしかないのだが……今のわたしには、それが出来なかった。いや、出来ないことはないのだが、今の状態で力を使うと……その……反動がひどいのである。だから、あまり使いたくはなかったのだが……
反動が強いと、この場まで壊れるでしょう♪
混沌の一族♪←違いますって(笑い)←近いけど・・違う・・かなぁ・・(笑)
>
>「あー、もうっ!うざったいのよっ!!」
>
> とうとうわたしの堪忍袋(?)の尾が切れて、右手を掲げると、虚空からわたしの武器――大きな杖を呼び出した。
>
> そして、勢いよくそれを振り下ろす。
エル様の大鎌みたいなものですね(はあと)
>
> どぐごがあぁあぁぁあぁんっ!
>
> 杖から発された光波に飲み込まれ、闇は完全に滅びへと突き落とされた。
>
>「ふう。すっきりした」
>
> 清々しい笑顔で杖を虚空に還すわたし。しかし、それも長くはつづかなかった。
>
> 無理な力の使用による罰は、遅かれ早かれ、かならずやってくる。
>
> そして――
>
> 洞窟に、わたしの絶叫が木霊しまくった。
>
>
>
> ――いだあぁああぁぁいっ!!――
・・・・・はいvv
傷薬♪(無理だろ!!・爆!)
>
>「あ。馬鹿の悲鳴……」
>
> 遠くから反響してきた聞き覚えのある声に、俺とペアを組んでいたウェインがぼそっと呟いた。
>
> 何でわざわざこんな感じに突っかかるかなあ……?
>
> これが、毎度お馴染みのケンカの原因になるんだよ……
なんか、とっても仲良しなのでは(はあと)
(当人たちが聞いたら・・怒るぞぉ・・汗)
>
> ――ぴくん――
>
> はあ、とため息をついた俺の感性に、憶えのある精神波が飛び込んできた。
>
> 確かこいつは……
>
>「思い出した。セイラ様の所に来てた、あの男だ」
>
> ぽむ、と手を打って、勝手に一人で納得する俺。
>
> ウェインが訝しげな表情でこっちを見ている。
>
>「どうしたんだよ、フェイシゥ。
> セイラ様の名前なんか出してさ」
>
>「いや。なんか、フィルクの近くに、前セイラ様のとこに来てた男がいるみたいなんだよ。他にも三人ほど」
>
>「ふーん。
> じゃあ、見に行ってみようか」
>
>「そうだな」
>
> そうして、俺たちはその場所へと向かった。
わーいなのです♪
ガウリイ達が、彼らと合流(?)♪
>
>
> ************************************
>
> 今回は、諸事情によりあとがきを割愛させていただきます。
???
時間の都合とかでしょうか?
それとも体調が悪いとか・・・・(汗)
>
> すみません。
わーいvv
続きなのですね(はあと)
ふふふふ(はあと)
レプリカさんとエル様(こらこら・笑)
が出てくるのを待ってますのです♪
さてさて、ガウリイ達の、リナが束縛から解き放たれた存在と知ったときの、
反応は(はあと)
・・・まあ、『リナさんは、リナさんです。たとえ、それが人間でなくても。』
というかと・・・・(確信)
『リナは、リナだろ??リナ以外ではないじゃないか』
『リナが人じゃないからってなんなんだ?』
『リナさん・・やっぱり、普通ではなかったんですね。でも、リナさんはリナさんです』
私の勝手な確信を(笑)←こらこら(笑)
さりげに、シルフィール、棘のあり台詞をまたいってます(笑)
それでは、次回も楽しみにしております(はあと)
では、感想になってない感想まで(はあと)
ではでは♪

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8392感想ありがとうございます♪奈月るり 2002/4/26 17:06:24
記事番号8390へのコメント


>こんにちわ♪
>奈月さん♪

  奈月:はい、こんにちわなのです。
   L:あたしもいるわよ。
レプリカ:私も私も♪
  奈月:乱入しないでください!
   L:いや。ンなこと言われても……
レプリカ:これは、〈9〉あとがきを割愛した奈月の所行でしょ。
  奈月:仕方ないじゃないですかぁ。
     コンセントに手をかけてカウントはじめる母を見たら、とてもじゃない
    けれどあとがきを書く暇なんか……
L&レプリカ:うん。あれは怖かったわ。
  奈月:ですよねえ。

>> 俺たち四人は、洞窟の中ですさまじい轟音を聞きつけ、その音のした現場へと向かっていた。
>ガウリイ・アメリア・シルフィール・アメリアですね(はあと)

  奈月:その通りです。
レプリカ:さて、誰の一人称かわっかるっかなん♪(←ごきげん)
   L:いや、最後まで読めばバレバレ。

>> 少女が声を荒げて怒鳴った。
>・・・・ゼル達・・無事なのか!?(かなりまて!・笑)

  奈月:一人称が続いていれば、無事だってわかりますけどね。
   L:あのバカ女似のフィルクのことだから、きっと一緒に吹っ飛ばしたん
    じゃない?
レプリカ:いや。それやったら死んでる……じゃなくて、滅びてる滅びてる。
  奈月:かってにスレキャラを滅ぼさないで下さい!(←今日はごきげん斜め?)


>反動が強いと、この場まで壊れるでしょう♪
>混沌の一族♪←違いますって(笑い)←近いけど・・違う・・かなぁ・・(笑)

   L:同じようなもんでしょ、実力こそ差があるにしろ、こっちのリナやセイ
    ラと同じような存在だし。
レプリカ:それよりも、洞窟が壊れることの方が重大じゃない?
     フィルクは空間移動できるけど、おまけはそうはいかないでしょ。
  奈月:洞窟は、その程度で壊れるような普通の洞窟じゃないので平気とは思う
    うんですけど(←自信なさげ)……勝手にスレキャラをおまけにしないで
    下さいませんか?(←半分あきらめモード)

>> とうとうわたしの堪忍袋(?)の尾が切れて、右手を掲げると、虚空からわたしの武器――大きな杖を呼び出した。
>エル様の大鎌みたいなものですね(はあと)

  奈月:そうです、そうです。
レプリカ:ナスィアの武器といっしょなのよ。
   L:(ノーコメント)

>> これが、毎度お馴染みのケンカの原因になるんだよ……
>なんか、とっても仲良しなのでは(はあと)
>(当人たちが聞いたら・・怒るぞぉ・・汗)

  奈月:そうですよ。
   L:確か、ちょっと前(←十億年ほど)に、そのことをしてきした、それぞ
    れの兄と妹が、まったく同時にツイン魔力波で吹っ飛ばされてたわねえ。
レプリカ:ツインで?
     なんだ。息もぴったしなんじゃない。

>ガウリイ達が、彼らと合流(?)♪

   L:話の流れからはそうでしょうね。
     そいうか、そうじゃないとあたしが殴る。
レプリカ:やめときなよL。
     あんたじゃ返り討ちが関の山よ。
   L:……………………………………………………(恐ろしい思い出の回想)
  奈月:わ、私、何かしましたか?
L&レプリカ:いいえ、なんにも。

>> 今回は、諸事情によりあとがきを割愛させていただきます。
>???
>時間の都合とかでしょうか?
>それとも体調が悪いとか・・・・(汗)

  奈月:それは、上から十二行目(?)参照です。

>わーいvv
>続きなのですね(はあと)
>ふふふふ(はあと)
>レプリカさんとエル様(こらこら・笑)
>が出てくるのを待ってますのです♪

  奈月:了解しましたです。
     ちゃんと〈11〉辺りで再頂上の予定です♪
   L:いいこと言うじゃないかお♪
レプリカ:かおちゃんありがとね♪
  奈月:お二人に、前々から言おうと思ってたんですが……
L&レプリカ:なに?
  奈月:勝手に人様の名前を呼び捨てやちゃん付けするのはちょっと……
レプリカ:いいじゃん。だからこそ、わ・た・し、なのよ。
   L:あたしが人の名前さんづけするの想像してみれば?
  奈月:……………………………………………

>さてさて、ガウリイ達の、リナが束縛から解き放たれた存在と知ったときの、
>反応は(はあと)
>・・・まあ、『リナさんは、リナさんです。たとえ、それが人間でなくても。』
>というかと・・・・(確信)
>『リナは、リナだろ??リナ以外ではないじゃないか』
>『リナが人じゃないからってなんなんだ?』
>『リナさん・・やっぱり、普通ではなかったんですね。でも、リナさんはリナさんです』
>私の勝手な確信を(笑)←こらこら(笑)
>さりげに、シルフィール、棘のあり台詞をまたいってます(笑)

  奈月:あ、あたってます!!
     かおさん。あなたはいったい何者なのでしょうか。(汗)
   L:いや。ただ単に、この後の展開が簡単に想像できる、何の独創性もない
    駄文って証拠でしょ。

(ぴくんと震えてダッシュで逃げるレプリカ)

  奈月:Lさんの〈11〉での出番は延期――と……
   L:あぁあぁぁあぁあぁぁあぁっ!!!!

>それでは、次回も楽しみにしております(はあと)
>では、感想になってない感想まで(はあと)
>ではでは♪

  奈月:ありがとうございました♪
     いつも感想を頂いて、本当に嬉しく思っています。
     それでわ。

(ぼーぜんと立ちつくすレプリカ。Lはというと……)


 †‡¶‡† おまけ(?) †‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†


 あれは、まだこの連載がはじまる半年前だったわねえ……

 なかなかあたしが活躍する話を思いつかない奈月に業を煮やして、『とっとと話しの内容考えんかあっ!!』って叫びつつ、ハイブロウのスクリューキック三連打を放ったのよ……その後……何故か目の前が真っ暗になってね……

 これは、あくまであたしの予想だけど……多分、あたしはそれを奈月にあっさり避けられて、油断してた隙だらけの背中に、受験生必須の辞書四点セットの連打を受けたんじゃないかと……それも本人は無意識に。

 二度と奈月にだけは、不用心な攻撃はしないって誓ったわね、あの時は……

 一番謎なのは、どうやって混沌たるあたしに、辞書なんかでダメージを与えたかだけど……奈月にまつわる怪奇現象に対しては、やっぱノーコメントに限るわね。

 †‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†‡¶‡†

 以上が、いつも感想を下さるかおさんへの、奈月からのプレゼント(?)でした。(←返品ものだぞ、おい)

 ちなみに、返品は不可ですのご了承下さい。(←こんなのもらっても迷惑だってば)

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8397炎の瞳風の歌〈10〉奈月るり 2002/4/27 14:44:55
記事番号8385へのコメント


  〈10〉

「いったーい!
 もう、なんでこうなるのよ!」

 洞窟内に響き渡る、妹のフィルクの声。

 俺とウェインは、ようやくそこにたどり着いた。

 本当は、空間移動が出来れば楽なんだけど……ここの洞窟は変な風に空間が入り組んでるから、空間を渡るよりも物質界を素直に移動した方が楽なのだ。

 と、俺のとなりにいたはずのウェインの姿がない。フィルクの方に目をやれば、バカにするウェインと、悔しそうに負けじと言い返すフィルクの姿が。

 まあた、やってる。大喧嘩になんなきゃいいんだけどね……

「フェイシゥっ!?」

 驚いたような声が、俺の名前を呼んだ。

 えっと……この声は……

 声のした方向に振り向けば、そこには全身を白一色で統一した、合成獣(キメラ)の男の姿。

「あ。セイラ様のとこにいたやつ」

 ずしゃっ!

 俺のわかりやすくて簡潔なセリフに、何故だか転けるそいつ。音が異様に重いのは、きっと合成獣の身体のせいだろう。そういえば名前知らないなぁ……名乗ってもいないような気がするんだけど、俺って物忘れ激しいし……

「ゼルガディスさん。知り合いなんですか?」

 そいつの傍にいた、黒髪で童顔の少女が、そいつに話しかける。

「俺はフェイシゥっていうんだけど……
 あんたに名前教えてたっけ?そういえば、聞いてもいないような気がするんだよね。
 違ってたらごめん。俺ってけっこう物忘れすからさあ」

 その男を含める四人に向かって、一応自己紹介をして、俺はその男の方に向き直った。

 四人とも気配からして、普通の人間のハズ。

 どうやってここに入ったかは、全然わかんないけど、今まさに、犬猿の仲同士の二人のケンカがはじまろうとしているのだ。ここにいるのは危険すぎる。だから、安全なところに連れて行かなきゃなんないんだけど、目的地があるんなら、そこに連れて行ってあげた方がいいかなぁってね。そのことを聞くためには、やっぱり軽い(?)自己紹介から。

「俺の名前はゼルガディス。お前の名前は、あの後セイラから聞いたんだ」

 そっけなく、そう説明する、えっと……ゼル…が…ディス…だっけ?(←正解!)

 まあ、そういうことにしておこう。

 んや?

 何やらどういうことかと詰め寄られてるぞ、ゼルガディス君。(←笑)

 仕方無しに説明するゼルガディス。

 ふん、ふん。なるほど。

 そうやって、俺と会ったところに話はさしかかり――

 ん?

「そうだったっけ?忘れた……」

 ごすっ!

「いだあぁぁあぁっ!!」

 お、思わず内心を口に出していたらしい。

 思いっ切り頭を岩の拳で殴られた。

 くっそ〜!

 恨みがましい視線をゼルガディスに向けようとして……俺の視線のその先に、『なんでそんな大事なことを黙ってたんだ!』と、責められまくっているそいつの姿があった。

 やったね。ざまみろ。

 そんな個人的満足感もつかの間。

 どぐごがぁあぁぁあぁあぁんっ!!!

 俺の心境メーターを、MAXからマイナスDOWNに突き落とすような、すさまじい爆音が、お約束通りに鳴り響いた。

 またケンカはじめたなあ!二人とも!!

 かなり大きな爆発で、威力も相当のものだったが、ここはその程度で崩壊するような、普通の洞窟じゃあない。小さな岩の破片が、ぱらぱらと落ちてくるぐら……

「いぃいぃぃいぃいぃぃっ!!!??」

 油断しまくっていた俺の目の前に、いつの間にか迫る巨大な岩盤。

「どーいう爆発起こしたんだよ、二人とも!」

 しゃーない。後ろに一般人の人も四人いるし、(なにやら悲鳴がうるさいけど)“力”で吹き飛ばすか……

 そう決めて、俺が構えをとったそのとき。

 ――きいぃぃぃぃぃぃいぃぃん――

 何とも形容しがたい音が鳴り響き、無音のまま、巨大な岩盤はぼろぼろと崩れ去った。

 破片すらこっちに降ってこず、崩壊の音すら立てないということは、おそらく何らかの結界を、誰かが張ってくれたのだろう。

「またケンカをなさっているんですね……お兄さま達は……」

「ま、ケンカするほど仲がいいってな」

 振り向けば、俺の後ろにいたのは……

「セシル、シオン様」

 その二人だった。



 フィルクのすさまじい悲鳴(多分、力を使ったんだろう)を聞きつけた俺がセシルと途中で合流して悲鳴のした場所にたどり着いたとき、すさまじい爆音が鳴り響き、フェイシゥと四人の人間(確かリナの仲間だったと思うが)に巨大な岩盤が降りそそごうとしていた。フェイシゥなら一人でなんとかするだろうが、万一のことを考え、すぐに結界を張り巡らす俺とセシル。結界はセシルのお得意科目だ。岩盤は崩れ去った。

「セシル、シオン様」

 こちらに気づいたフェイシゥが駆け寄ってくる。

 フェイシゥには簡単に声をかけて置いて、俺は呆然としている四人の方に近づいた。とたん、緊張感が四人の間を駆け抜ける。

 俺は、あえて笑わず地のままで言った。

「えっと……
 誰がガウリイでゼルガディスでシルフィールでアメリアなんだ?」

 俺の質問に、驚いたような顔をする四人。しかし……

「俺がゼルガディスだ」

 最初に合成獣の男が名乗ったのをきっかけに、残りの三人も名乗る。

 もう、何があっても驚かないって顔してるな……

 実は、まだ結界の外では爆発が絶えず巻き起こり、ケンカが続いているのだが……ま、ほっておくに限るだろう。

「リナに会わせて欲しい」

 いきなりそう切り出したのは、金髪のガウリイという剣士の男。

「いいよ、別に」

 ずべしゃあぁぁっ!

「なに転けてんだよ?
 俺、なにか変なこと言ったか?」

 もっともな俺の質問に、答える声はない。代わり(?)に。

「い、いいんですか?」

 むちゃくちゃ拍子抜けしたような表情で、アメリアという少女が聞いてくる。

「嘘言ったって仕方ないしな。
 それに、俺とリナの関係は、あくまで仕事仲間だぜ。拘束してるワケでもないのに、あいつに会いたいって言ってやってきた人間を、わざわざ追い返すような理由もないだろ。
 どうやってここに来たかも、だいたい読めるしな」

「すみません。どうやったら、リナさんに会えるんでしょうか?」

「それが本当なら、教えてくれるハズだよな」

 シルフィールという巫女と、ゼルガディスという男が言う。

「別に聞く必要はないんじゃないかな」

『?』

 首をかしげる四人。

「だって、そこにいるし」

 俺の言葉に、四人は一斉に振り向いた。


.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪.。.・:゜≪

  奈月:パンパかぱーん♪
     以外と私の予想以上に早く出た〈10〉でーす。
   L:次回はいよいよ“主役のハズの”リナの登場ね!
  奈月:ぐさっ!
レプリカ:〈11〉で登場するリナちゃんは、四人にいったいどうやって接するの
    かな?
  奈月:当ててくれたら、レプリカさんの絵を描いてあげますよ♪
   L:そんなの描いてどうするのよ?
  奈月:イラストギャラリーに投稿します。
   L:返却されたら?
  奈月:いじけます。(←おいおい)
レプリカ:その前に、このわたしの絵を拒否る人間なんて許さないもん(はあと)
   L:それもそうね。
  奈月:実は、Lさんとリナさんの絵は、もう描き終わっているんですけど、レ
    プリカさんは全くの私のオリキャラなので、セイラさんともども書こうか
    どうかまよってるんです。
     欲しい人(いないと思いますけど)がいれば、レスして下さった上で、
    秘書箱に住所(←決して悪用したり情報を漏らしたりはしません!)を書
    いてくだされば、送ることもできるんですけどね……お好みのキャラを一
    枚添えて。
レプリカ:くれぐれも、直接レスなんかに書いちゃだめよ。
   L:わかってるとは思うけど、悪用されたら大変だからね。
(いつのまにか募集することになっている↑)
  奈月:それでは、そろそろ終わりにしたいと思います。
     では、読んで下さった方、本当にありがとうございました。次もよろし
    くお願いします。


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8401Re:炎の瞳風の歌〈10〉2002/4/27 17:06:45
記事番号8397へのコメント

   こんにちは!下の方で「Illusion Tiara」を書かして頂いている響です。
 やっとこうして奈月さんの作品を読めました。現在落ち込んでいます。
 何故って?それは・・・・
  ・・・・・・・・・あああああっ!私ってばこんな面白い話書く人にあのへっぽこ小説見てもらってたの!?ああもう恥ずかしくって仕方ないです。

 本当に、すっごく面白かったです。・・・・すごい作品に出会うと、「凄い」とか「面白い」って言う月並みな言葉しか出てこないんですね。

 これからがとても楽しみです。
 遅ればせながら、これから、一読者として、応援させていただきます!
              By 響

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8408コメントありがとうございます♪奈月るり 2002/4/28 17:01:01
記事番号8401へのコメント


>   こんにちは!下の方で「Illusion Tiara」を書かして頂いている響です。

 はい!こんにちはなのです。(^^)

> やっとこうして奈月さんの作品を読めました。現在落ち込んでいます。

 えぇっ!!?

> 何故って?それは・・・・

 どきどき……

>  ・・・・・・・・・あああああっ!私ってばこんな面白い話書く人にあのへっぽこ小説見てもらってたの!?ああもう恥ずかしくって仕方ないです。

 全然へっぽこなんかじゃありませんよ!
 それを言うならば、私の方が、最初に決めた設定を最後まで貫き通せないやら、漢字の変換は間違えるやら、しかもそのことに気づいても、なんのお詫びも訂正もしないやら、などという不精者で……(はうぅぅぅぅ)

> 本当に、すっごく面白かったです。・・・・すごい作品に出会うと、「凄い」とか「面白い」って言う月並みな言葉しか出てこないんですね。

 私にはもったいないお言葉、本当にありがとうございます。(感)うるうる。
 でも、響さんが私のお話(?)のことをそう思ってくれたように、私も響さんのおしを読んで、確かにそう感じました。
 そうじゃなきゃ、感想やコメントなんか送りません。
 感想やコメントを送る勇気を、まだ持てていない人の中にも、きっとそう思ってくれているいる人がいるはずです。
 って、なに訳の分からないことを言って、説教みたいなことしてるんでしょうね……本当にされなきゃいけないのは、きっと私の方なのに。
 では、話を戻して。

> これからがとても楽しみです。

 ありがとうございます。(←こればっか)
 私も響さんのお話、楽しみにまってますね。

> 遅ればせながら、これから、一読者として、応援させていただきます!
>              By 響

 お忙しいハズなのに、コメント本当にありがとうございました!
 それでは、続きを書いたときに、また会いましょう。

 奈月でした!


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8453炎の瞳風の歌〈11〉奈月るり 2002/5/2 19:13:58
記事番号8385へのコメント


  〈11〉


「だって、そこにいるし」

『えっ!?』

 俺の言葉に、そろってばっと振り向く四人。そして、その視線の先には、フェイシゥたちと話すリナの姿。

『り……』

「リナっ!」

「リナさん」

 男二人のあげた、リナの名前を呼ぶ声は、女二人の声に圧倒され、リナには(多分)届かなかった。

 やっぱり、いつの時代にも、最後に勝つのは数の暴力と女だよなぁ……

 …哀れ…男性陣……

 と、話を戻して。

「アメリアっ!シルフィールっ!?」

 自分の方に駆け寄る二人に気づき、驚きの声をあげるリナ。

 やっぱり男性陣のほうは、名前すら呼ばれない。もしこれで、後からリナの口から『あ、いたの?』とでも言われれば、今年もっとも不幸な人間ベストテン、にくい込むこと間違い無しである。

「どうしたの、二人とも?」

「どうしたの?じゃないです!リナさん!!」

「そうよ!リナ!!
 わたしたちが、いったいどれだけ心配したか!」

「え?えっ?」

 詰め寄る二人に、リナは思いっきり困惑した表情を、顔に浮かべる。

「リナ!」

 やっと声をかけることが出来た男性のお二方の片方。

「あ。ガウリイ、ゼル」

「おまえなぁ。え?じゃないだろうが」

「…ガウリイまで……
 どうしたのよ?そんなに慌てて」

 そのリナの言葉に、四人はしばし言葉を口に出来なかった。

 これは、リナ本人から聞いたことなのだが、リナは別に、その時正体不明の敵に追われているわけではなかったし、直接会って口でこそ伝えなかったが、ちゃんと手紙という自分の意志を残していた。彼等四人の頭の中には、【リナが消えた=何かやっかいごとに巻き込まれている】の図しかなかっただろうが、解釈の仕方は、他にいくらでもあった。そのことに、今気づいて困惑しているのだ。多分。

「でもな…アメリアやシルフィールはともかく、お前が消えた夜に顔を合わせていた俺たちにまで何も言わないってのはな……
 てっきり、何かあったとみんな思ってたんだぞ」

「だから、やっかいごとに巻き込まれてるんじゃないっていったのに……」

『………………………………………………』

 一同沈黙。

「手紙書いたの、宿を出た後だったのよね。
 待ち合わせ場所に行く途中に、そのことに気づいて、ちょっと召喚獣に届けてもらったのよ」

『………………………………………………』

 さらに沈黙。

 ちなみに、話題にあきたフェイシゥとセシルは、すっかり忘れ去られているケンカの観戦をしている。

 うーん。

 そろそろ、話題を戻した方がいいかな。

「リナ。そろそろはじめないと、やばいかも」

「え?
 ………………………………………………………………………………………………
 あ゛あ゛ぁあぁぁあぁぁぁっ!
 忘れてたぁ!!」

 疑問の声の後に、ひたすら長い沈黙を挟み、リナは絶叫をあげた。

 マジで忘れてたんだ……

「そうよっ!
 あたしはシオンと仕事中だったのよ!!」

「忘れるなって……」

「ごめん、みんな。
 ちょっと待ってて。
 セシルー!」

 俺のしごくまともな突っ込みを無視して、リナはてきぱきと準備を進める。

 リナに頼まれ、セシルはダッシュでセイラを呼びに行く。

「ちょっと待っててって……」

「リナ?」

「だいじょーぶ。
 ハイスピードで終わらせるから」

 言って、抜き身の剣を構えるリナ。

 小さな声で、特別な呪文の詠唱をはじめるリナ。

 フェイシゥは、四人を自分が張った結界の中に、避難させている。

 やがて、リナの呪文が完成し、呪力を解き放とうとしたその瞬間。

 ぎっ!

 鳥肌の立つような音を立て、ここの空間が軋んだ。

 そのことに気づいたフィルクとウェインが、ケンカを止める。

「変な抵抗しないでよねっ!」

 リナは、かまわず軋む音を発した場所へ、力を解き放つ。

 ぐおぁっ!

 眩いばかりの閃光が、剣をかまえた俺の視界を埋め尽くした。


 −#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−#−


  奈月:やっと〈11〉です〜
   L:やっと予定通りに話を進められないことに気づいた奈月がお送りしま〜す。
レプリカ:それは前からでしょ、L。
     〈11〉で登場出来なかったからってすねないの。
  奈月:笑顔で殺気を放ちまくらないでください……
   L:いや。悪いのあんただし。
  奈月:うぅ……(涙)
レプリカ:あはは♪
  奈月:笑わないで下さい〜(涙)
   L:それじゃあ、次はいよいよ〈12〉。
レプリカ:話の原点は、もともと短編だったのに。
     本当に、短くまとめるの苦手ねぇ♪
  奈月:精進します〜(涙)
   L:なんだかやたらと(涙)が多い奈月のかわりに、今回はあたしがしめさ
     せて頂きます♪
  奈月:えっ!?
レプリカ:それでは次回まで!
   L:さようなら〜♪


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8469炎の瞳風の歌〈12〉奈月るり 2002/5/5 15:19:04
記事番号8385へのコメント


  〈12〉


「セイラさまぁ!」

 どしんっ!

「いたた……」

 声に気づいて振り向いた私に、力の限りぶつかってきたのは、確か洞窟の方で闇なる者たちの始末をしているはずの、セシルさんでした。

「あれ、セシルさん。
 どうかしたんですか?」

「すみません、セイラさま……」

「いいですよ、別に。ケガもしてませんし」

 言って、セシルさんを立ち上がらせる私。

「セイラ。なんか、今、すごい音……って、セシルじゃん。どうかしたわけ?」

 ひょっこりと顔を出すLお姉様。

「えっと、リナさまに頼まれて、セイラさまを呼んでくるようにって」

「じゃあ、“歪み”見つけたんだ」

「いえ。私はただ、頼まれただけなので。
 セイラさま」

 首を横に振り、私の方を向くセシルさん。私はLお姉様の方を向き、視線でLお姉様に行って来ることを伝えると、Lお姉様はうなずき返してくれたので、私はセシルさんの手を取って道案内を頼むと、その場を後にしました。




「レプリカ様、いいですよ」

「うん、わかってる」

 あたしのセリフに、虚空から姿を現すレプリカ様。

 ここは、リナ達がいる洞窟から、紙一枚分ずれたところに存在する空間で、まだ、一定の秩序は定めていないので、自由気ままにあらゆる現象がそこらでおこっている。

「多分、丁度セイラちゃんがつく頃に出てくると思うよ、あいつは」

「まあ、リナやセイラ達の敵じゃないから、大丈夫でしょ」

「まーね♪」

 敬語を使うとなぜかレプリカ様はいじけるので、ため口を使うあたし。

「それより、L」

「なに?」

「さっき、セイラちゃん、視線でLになんか伝えてたよね。
 なんて伝えてきたの?」

「あぁ。行って来ます。みたいなこと。
 多分、レプリカ様の相手を、よろしく頼むみたいな意味なんじゃないの?」

「ふーん。他には?」

「なにも」

 いってあたしは、腕を組むと。

「あたしもてっきり、“あのこと”をお願いしてくるとばかり思ってたから、拍子抜けしちゃって」

「ま、セイラちゃんらしいってことで」

「後は、あたし達でなんとかするとしましょうか」

 そして、あたしとレプリカ様は、その空間から姿を消した。




「《Thou art fall be overthrown!》」

 ばしゅぅっ!

 シオンの放った術で、跡形もなく消え去る闇の霧。

 しかし、次から次へとそれは湧いてくる。

「くそっ!切りがないっ!」

「思ったより、けっこう数が多い……
 どーやらここで、ビンゴみたいね」

「んなこと言ってる場合か!
 どうせ俺たちだけじゃ、歪みは修正できないんだ。セイラが来る前に、少しでも数を減らしとかなきゃな!」

「わかってるわよ!」

 そんな会話が会っている間にも、あたしとシオンは、切りなく湧いて出るそれらを切り伏せ、あるいは術で滅ぼしていく。一瞬でも隙をつくってしまえば、その瞬間に、こいつらの集中攻撃を受けるのは、わかりきったことだった。それならしゃべってなんかいないで、戦いに集中しろという意見もあるが、まあ、それはそれ、これはこれである。

「また数が増えやがった!
 リナっ!いっきに片づけるから、あれ頼む!」

「りょーかい!」

 シオンの頼みに答えて、あたしは精神を集中させる。シオンの方も、大技の準備に入る。

 その隙をついて、そいつらはあたしたちに襲いかかろうとしたが、すぐに強力な呪力結界がはたらいて、それらの全てを拒む。

 そして――

「《時空歪曲封呪(タイムストップ)!!》」

 キィィィィィィィンッ!

 あたしの術は、発動した。

 耳障りな悲鳴を上げて、時空が軋む。それと同時に、あたしとシオン以外の全てが、時間と共にその活動を止めた。

「くらえっ!」

 上から聞こえたシオンの声に、シールドを張ってから上方を仰げば、強力な魔力をためた剣を、今まさに振り下ろそうとするシオンの姿が目にはいった。

 あたしは急いでシールドを強化し、耳を塞ぐ。

「《Fall be overthrown thy darkness!》」

 “力ある言葉”が解き放たれ、辺りはすさまじい爆発でおおわれた。




「……出てこないわね」

「……あぁ。
 あの程度で滅びてくれるんだったら、俺たちが呼び出されることなんか、ないはずなんだけどな」

 物音一つしない空間に響く、あたしとシオンの声。

 そのまま、しばらく沈黙が続き。

「取りあえず、セイラが来るまで休憩ってことで。
 どお?」

「賛成だ。
 だったら、《時空歪曲封呪(タイムストップ)》解いた方がいいんじゃないか?」

「……それもそうね……」

 言って、あたしは時空をねじ曲げ束縛していた力を解放した。 時が再び秩序を取り戻し、等しく時を刻みはじめる。

 次の瞬間。

 スカこーんっ!

「ぐはっ!」

 かなり勢いよく吹っ飛んできた自分の剣の鞘に、シオンはまともに頭をどつかれ、よくわからない呻き声をあげた。

 それが飛んできた方向にいたのは――フェイシゥ。

「いったぁ〜
 いきなりなにするんだよ、フェイシゥ」

『それはこっちのセリフだっ!!』

 ずぐっ!

「げほっ!」

 うわっ!いったそ〜。

 あたしは思わず顔をしかめて心の中で呟いた。

 なぜならば、声をハモらせて怒鳴ったフェイシゥ・ウェイン・フィルクの三人のみごとなトリニティ・コンビネーションが、シオンの全身をくまなくとらえたからだ。そして、それがシオンに向かって炸裂した瞬間、なにやらこの世のものとは思えぬ奇妙な音がして、シオンの声とはとてもじゃないが思えない呻きがその口から漏れた。

「いきなり魔力が膨れあがったと思ったら、もう、《Fall be overthrown thy darkness》を使ったあとだなんて!
 もし、まだわたしの力が戻ってなかったら、どうする気だったのよ!
 滅びちゃってたかもしてないのよ!!」

 言いつつ、まだシオンの頭の上から足をどかさないフィルク。

「せめて忠告ぐらいしろっての!」

「いくらシオン様のしたことでも、こればっかりはフィルクとウェインと同じ意見だよ」

 聞こえてなんかいないだろうに、えんえんと炎烈火のごとく怒鳴りつけるウェインと、氷流水のごとく静かに諭すような口調でしゃべるフェイシゥ。

 ハッキリ言って、この三人。とことん怖ひっ!怖すぎるっ!!

 もしこれで、あたしが《時空歪曲封呪(タイムストップ)》を使ったのがばれようものなら……いや…考えるのはよそう……

 とっとと、このたまらない空気の渦から逃げ出すべく、ガウリイ達の方へと向かったあたしに、救いの声は、思わぬ所からかかった。



 *xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜*xX゛゜


  奈月:やっと〈12〉です♪
     でも、新しい話を思いついちゃって、それどころじゃない奈月です。
   L:ちょいまて。
     まじでしゃれになってないわよ、それ。
  奈月:やっぱりですか?
レプリカ:自覚がないだけに、さらに輪をかけて手が着けられないね♪
   L:そうそう♪
  奈月:いや。なんの脈絡もなく語尾に音符をつけられましても。
   L:なによ。いつもよりは、ちゃんと手加減して上げてるじゃない。
レプリカ:ちなみに、手加減の理由は、今回けっこう登場できて、しゃべりまくれ
    たからだよ♪
  奈月:あぁ、それですか。
     実はそこの話、進行予定表には入ってなかったんですけど、このままだ
    と、『エル様を活躍させる会』から除名されかねないので、急遽取り入れ
    となりました。
   L:つまり、あたしの話はおまけだと?
  奈月:いいえ。おまけを入れるほど、余裕なんてありません。
   L:喜んでいいのやら……
レプリカ:でも、ほんとに進行予定表の中身を知ってるわたしとすれば、この話が
    まだ崩壊してないのって、とてもじゃないけど信じられないかも。
     だって、間の話抜きすぎ。
  奈月:ぎっくーんっ!
   L:それもそうよね。
     アメリアがあの親父さんからの言葉に勇気づけられて、王宮を飛び出す
    ところとか、無能な部下Sの依代になってるレイ=マグナスの過去の話と
    か。
     中抜きもいいところって感じ?
  奈月:きゃー!ばらさないでください〜!
     それで外伝とか書くつもりなんですから〜
   L:新しい話の内容が浮かんじゃって、本編どころじゃないのに?
  奈月:…………………………………………
   L:…………………………………………
レプリカ:…………………………………………
  奈月:それでは〈13〉でおあいしましょう!
     読んで下さった方、本当にありがとうございました!
   L:どっかのバカと同じ逃げ方するなぁっ!
レプリカ:なんかよくわかんないけど、取りあえず終わりみたいね。
     この隙に締めちゃえ♪
     それではさようなら〜♪


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8471炎の瞳風の歌〈13〉奈月るり 2002/5/5 19:08:02
記事番号8385へのコメント


  〈13〉


 あたしにかかった救いの声。それは――

「リナさん」

 あたしの名前を呼ぶ、セイラの声だった。

「セイラ!」

 虚空から空間を渡って現れたセイラに、急いで駆け寄るあたし。

「リナさま。ちゃんとセイラさまを呼んできました」

「ありがとう、セシル」

「どういたしまして」

「それじゃあセシルさん。なにやらシオンさんが滅びかけているようなので、なんとかして頂けますか?」

「わかりました。お兄さま達を止めれば、シオンさまのことなので、多分大丈夫ですよね」

「はい。それじゃあお願いします」

 にこやかに交わされる、少女達の会話。

 丁寧なのに、ところどころ恐ろしい単語が紛れ込んでいるのは、笑ってごまかそう。いちいち突っ込んでも、多分疲れるだけだから。

「リナさん、“歪み”はどこですか?」

「それがねぇ。実は、シオンが《Fall be overthrown thy darkness》を使ったら、どっかいちゃったみたいで」

「移動いたってことですか?」

「というよりは、一時的に歪みを修正して、カムフラージュしたって感じ」

「厄介ですね……」

 言って、考え込むあたしとセイラ。

「取りあえず、リナさんのお友達をもとの世界にお返しした方が……」

「そうさせてもらうわ。こうなった以上、ちゃんと説明はしないといけないし」

 そうなのである。

 ついさっき、戦闘をしたあとから、なにやら四人の視線がえらく突き刺さるのだ。

 やっぱ、黙ってたこと怒ったかな……

 そんなことを呟きつつ、みんなの方に向かいかけたあたしは、ばっと振り向くと、急いでセイラのとなりに駆け寄った。

「どうやら、そんな暇はないみたいね」

「そうみたいですね。
 結界はちゃんと張ってあるみたいですし、安心して暴れ回りましょう」

「おっけー」

 あたしの返事を聞いたセイラはにっこり微笑むと、銀細工の扇を持った右手を高々と掲げ。

「我がセイラ=ミルラートの名の下に、この場所におけるいかなる武器の使用も許可をします。お互いを支え合い、目標を達するための純粋なる意志に基づいて、力を扱いなさい」

 この瞬間のセイラは、あたしの友人でも十二歳の少女でもなく、ただ純粋に、この場の頂点に立つ指揮者であった。

「よーし」

 あたしは虚空から自分の武器、朱味帯びた刀身の剣を呼び出す。

 見れば、いつのまにやらフィルクやウェイン、フェイシゥに、いつの間にやら復活した(笑)シオンとセシルも、同じように戦闘準備に入っている。

 もしこれで、何も怒らずこの状態が続いた日には、大笑いするしかないのだが、からくもそれは回避された。

 ずぐおぉおぉぉおぉおぉぉ!

 空間が震える音とも、何者かの呻きとも想像つかない振動があたしを襲う。

 やがて、“それ”はゆっくりと姿を現した。

「―――っ!」

 思わず、あたしは口元を手で覆う。見れば、セイラの方も、かなり険しい表情をしていた。

 虹色の毛の塊のそれは、無色のなにやらどろどろした粘膜に被われ、無数の蛇のような頭が突き出していた。その蛇の身体にあたる部分からは、手の代わりなのか、二本ずつ鋭いかぎ爪のついた触手がうねっている。その塊を上下に裂くようにぱっくりと開いた口(?)には、無秩序に鋭い牙が生えていた。ものすごい異臭のおまけ付きである。

 しかし、確かに“この物体”の生理的インパクトや異臭はすさまじいものだったが、今までもっとすごいものと遭遇してきたあたしやセイラにとって、それは顔をしかめるほどのものではなかった。そんなあたしたちが顔をしかめるまでに至った理由は、ただ一つ。精神波動だった。

 眩いまでの光までも、容易く浸食してしまいそうな深い闇その物の精神は、このなかでも特に感受性に優れているあたしやセイラの心の中に滑り込み干渉する。しかし、その程度のことで屈するような柔な神経は、あたしもセイラも持ち合わせていなかった。

「どーやら、こいつが空間の歪みの原因と見て間違いなさそうね」

「はい。それでは、はじめましょう」

 そして、あたしたちは思い思いに地を蹴った。




「随分あっけなかったわねぇ」

「あぁ。見かけ倒しだったな」

 戦いとも呼べないような出来事の後、あたしとシオンは言った。

「みなさんが本気でやりすぎなんですよ」

 セイラがシオンの意見を訂正する。

「まあ、どっちにしろ終わったことにかわりはないんだよね。
 セイラ様。報告書書かなきゃいけないし、もう帰ってもいいかな?」

「はい。かまいませんよ」

 そんなフェイシゥとセイラの会話に、みんなつぎつぎと帰っていく。今から大急ぎで始末しなければいけない、大量の報告書を悪夢のように想像して。

 その場に残ったのは、あたしとガウリイ達の四人のみ。

 おそらく、報告書を書く必要のないシオンとセイラは、気を遣ってくれたのだろう。

 静まりかえった洞窟の中で、あたし達は無言で向き合っていた。




「これで準備は万端♪」

 そのとき、大急ぎで急な私的用事を終えたあたしとレプリカ様は、やっと一息つくことができていた。

 こればっかりは、下っ端にやらせるわけにはいかなかったしねぇ。

「ねえねえL。リナちゃんってば、お友達にどうやって説明するのかな?」

「人間達四人の方の反応も見物よね」

「うん。
 でも、やっぱりセイラちゃんは干渉することはなさそうだね」

「セイラは真面目だからね。
 やっぱりこれは、統率者としては、絶対に取っちゃいけない行動だしね。あたしが仮にやったとしても、みんなあたしを止めることはあきらめるてるから、なんの反動もないだろうけど、セイラには期待があるからね。その反動で、一族大混戦の反乱が起きかねないわ。
 セイラは、そんな危ない橋を渡るほど愚かじゃない。
 でも……」

「それをだまって見過ごすほど、非道でもないもんね♪
 きっと、一番いい方法を見つけて実行するわ。セイラちゃんだもん♪」

 あたしの言葉を、最高の笑顔を浮かべたレプリカ様が継いだ。

 さて。後はあんたの言動しだいよ。リナ。


 ≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜≠〜


  奈月:いっきに投稿してしまった〈13〉です。
     炎〜も、いよいよクライマックス、というか、あと二話で終わりです。
   L:でぇっ!?
     まだ、全然あたしが活躍してないじゃない!
  奈月:ちゃんと二話連続で、しかも一人称で出してあげたじゃないですかぁ!
レプリカ:あはは。
  奈月:笑い事じゃないですぅ(涙)
   L:ま、冗談はさておき。
奈月&レプリカ:冗談だったんだ。
   L:………………………………………
レプリカ:いじけた、いじけた♪
  奈月:それじゃあ、邪魔されない今のうちに……
     それでは、つづきがすぐ出るか時間がかかるのか、全く予想できない奈
    月ですが、残すところ後二話。最後までおつきあいください。
レプリカ:それじゃあ〈14〉でね♪
  奈月:さようなら。

   L:…………………………………………
     って、いつの間にかしまってるぅっ!?