◆−赤と蒼と金と−to-ki (2002/5/21 16:26:18) No.8526
 ┗赤と蒼と金と 2−to-ki (2002/5/21 16:44:30) No.8527
  ┣赤と蒼と金と 3−to-ki (2002/5/21 17:32:53) No.8528
  ┃┣こんにちは!−龍崎星海 (2002/5/21 19:19:38) No.8529
  ┃┣赤はリナさんですかね・・・。−海藤雄馬 (2002/5/21 20:46:50) No.8531
  ┃┗ありがとうございます☆−to-ki (2002/5/23 18:33:06) No.8537
  ┗赤と蒼と金と 4−to-ki (2002/5/23 20:49:57) No.8538
   ┗赤と蒼と金と 5−to-ki (2002/6/1 22:04:56) No.8561
    ┗赤と蒼と金と 6−to-ki (2002/6/3 20:51:06) No.8565
     ┗赤と蒼と金と 7−to-ki (2002/6/3 21:45:20) No.8568


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8526赤と蒼と金とto-ki E-mail 2002/5/21 16:26:18


 はじめまして、トキと申します。
 ロムって間もないのに書かせていただきます(爆)。
 ちなみにガウリナ大好きなんで、それが基本にあります。
 多少長くなってしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします・・・。
 あ、ちなみにタイトルぜんぜん関係ありません(爆)。

********************************************

 ごろっと寝返りをうった。すぐ目の前にはガウリイがいる。
 ・・・こうなることは望んでなかったけどなぁ・・・。
 ガウリイの腕から抜け出し、ベットから出て服を着る。
「眠り」
 着替え終わってから、呪文をかけた。
 目覚めないように。今までのこと、すべて夢だと思わせたかったのかもしれない。
「――得意のくらげで、早く忘れてね?」
 耳元でそっと呟く。
 想像したくなかったが、いつか来ると思っていた別れ。
 その幕を下ろすのは――自分。
「ばいばい」
 そして、あたしは宿を出た。

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8527赤と蒼と金と 2to-ki E-mail 2002/5/21 16:44:30
記事番号8526へのコメント

 外は真っ暗だった。その中で、特に濃い闇の部分に声をかける。
「ゼロス?」
「ハイ☆ なんでしょうか?」
 現れたのはニコ目の獣神官。今までは脅威としか感じなかった力も、なんとも思わない。
「行きましょう」
「いいんですか・・・?」
 何を言っているのか。誘ってきたのはアンタ・・・魔族達だというのに。
「これ以上傍にいれないから、ね」
 ゼロスはあたしの目の前で、柔らかな礼を送った。
「かしこまりました・・・
 リナ=インバース=シャブラニグドゥ様」
「一番最後のは余計だわ。
 あたしはあたしよ」
 たとえこの身が人間でなくなったとしても――
 ゼロスは身を起こし、続けた。
「では、リナ様。参りましょうか。
 我が主・・・獣王様のもとへ――」

  もうあなたの傍にはいられないから――
  ごめんね? ガウリイ。
  でもね、あたしアナタだけは失えないの。
  どこかで生きててくれるだけでいい。
  決して――死なないで。
  今あなたに死なれたら、あたしは世界を壊してしまう。
  罪のない命はもう消せない。
  だから――行くね。あたし。
  ――ばいばい。
                       L

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8528赤と蒼と金と 3to-ki E-mail 2002/5/21 17:32:53
記事番号8527へのコメント

 日が高くなって、目が覚めたら。
 隣にあるはずの温もりがなかった。
「――リナ?」
 声が、震える。
 彼女がいた痕跡は何もなかった。
 あわててベットから飛び起き、扉に向かう。
 その扉の下に、一枚の紙切れがあった。

  もうあなたの傍にはいられないから――
  ごめんね? ガウリイ。
  でもね、あたしアナタだけは失えないの。
  どこかで生きててくれるだけでいい。
  決して――死なないで。
  今アナタに死なれたら、あたしは世界を壊してしまう。
  罪のない命はもう消せない。
  だから――行くね。あたし。
  ――ばいばい。
                  L

 L・・・リナ?
 昨日やっとこの胸に抱いた温もり。
 もうすでに、傍にはない。
 ――なんで傍にいちゃいけないんだ?
 オレにとって生きるっていうのは、リナがいないとできない行為だ。
 光を目にしてしまったら、もう闇が怖くなってしまうから。
 ――どこへ行った?
 どうしてオレを連れて行かない?
 確かにおまえは強いけど。それでもただのオンナノコで。
 オレは手紙を握り締めた。
 確かに、リナはあれ以来――ルークを倒してからおかしかった。
 何かよく考えていて・・・それでも、オレには明るく振る舞っていた。
「ばっか・・・やろ・・・」
 なぜオレを頼ってくれない? 
 オレはそんなに頼りないか?
 
 そしてオレは宿を出た。
 リナを、探すために。
 真実を、手に入れるために。

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8529こんにちは!龍崎星海 2002/5/21 19:19:38
記事番号8528へのコメント

どうも、こんにちは。龍崎です。
こちらでもお目に掛かれるとは。
実は、私もこちらで時々投稿させて頂いているんですよ。
それでは、続きを楽しみにしていますので。
これにて。

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8531赤はリナさんですかね・・・。海藤雄馬 E-mail URL2002/5/21 20:46:50
記事番号8528へのコメント


こんにちは、はじめまして、to-kiさん。
小説1の方でぼちぼち出現している海藤雄馬というものです。
題名にひかれて読んでみましたv
ところで、この題名・・・

「赤と蒼と金と」

これをみて!!

赤はリナさん?!
蒼はガウリイさん?!
も、もしや!!金はあの方ではっ?!!
をおおおおおおおおお!!早速読まねば!!

と思ったのです。


リナさんが魔王のお話なのですね。
リナさん、魔王の意思を抑えているんでしょうか・・・・?

そして、そして・・・・
逃げリナ追いガウですか・・・?
逃げるリナさん、追うガウリイさん♪
頑張れガウリイ!!ということで♪(どういうことだ?)

続き楽しみにしてますv
感想になってませんでしたが・・・。
ではでは。

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8537ありがとうございます☆to-ki E-mail 2002/5/23 18:33:06
記事番号8528へのコメント

***龍崎様***
某MLではお世話になってます(礼)。
ええ、本当にロムって結構すぐに投稿しました(爆)。
龍崎さんも投稿なさっているのですか?
それはぜひ探さなければ・・・!
よろしければ、最後までお付き合いください☆

***海藤様***
ええもう、何も考えずにタイトルつけたんでまんまです(笑)。
逃げリナ、追いがう・・・一回書いてみたかったんですよ、これ。
こんなに難しいとは思っていなくって(爆)。
よろしかったら、最後までのお付き合いよろしくお願いします。


っつーか一個一個短すぎ、自分・・・。
もっと考えろよ。

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8538赤と蒼と金と 4to-ki E-mail 2002/5/23 20:49:57
記事番号8527へのコメント

 もうすっかり東からは太陽が昇っている。
 町には市がたち、朝早いにもかかわらず結構賑わっている。
「ねぇ、ゼロス」
 あたしは前を歩く、パシリ魔族に声をかけた。
「何でしょうか?」
 振り向いて聞いてくる、細められた目。
「何でゼラスのところに行くのに、普通の町をあるいてんのよ、あたしたちは!
 ってか大体、どこにいんのよ!?」
 そう。
 昨夜から、空間転移で一瞬でこの町に着いたのはいい。
 だがなぜそっから歩く必要がある!?
 空間転移なら、一瞬でゼラスの前につけるはずだ。
「いやぁ、リナさんと歩くの久しぶりだなぁ、と思って」
「んなことは聞いてないわぁ!」
 すっぱぁん!
 あたしは即ゼロスの頭をはたいた。
 よし、いい音。まだまだ鈍ってなさそうだ。っていうか、昨日も普通にやっていたから鈍るわけないが。
 ゼロスは殴られた頭をさすりながら、
「痛いですよぉ・・・。
 でもリナさん、こういうの好きでしょう?」
 確かに。あたしは市は大好きだ。
 あのお魚さん、焼いたらおいしそうだな、とか、あの野菜とあの仔牛さんのお肉であんなの出来上がりそうだな、とか。
 普段だったら買い込んであたしの料理の腕前を振るっていただろう。
 だが。
「TPOを考えろっ!
 あんたねぇ、あたしがどれだけ悩んで決心したと思ってんのよ!?」
「あ、着きましたよ」
 さらっと流しやがった。
 ほう、あたしをシカトできるほど偉くなったと?
 そう言おうとした瞬間。
「こちらがゼラス様のお屋敷になります」
 ・・・は?
 ゼロスがしめす方向には。
 でっかい屋敷があった。
 ほんとにでかい。
 どれくらいでかいかというと・・・一般的に「城」と呼ばれるものより、一回り小さいくらいである。
「馬鹿でっかい屋敷ねぇ・・・
 で? 何で魔族が人間の住処に屋敷なんか構える必要があるのよ?」
「さあ? 以前お尋ねしたときには、「趣味」の一言で返されましたが」
 しゅみって・・・? いいのか魔族、獣王がそんなんで。
 そうか、だからゼロスも人間くさいんだ・・・。
 基本的に、創造(つくら)れたものは創造主(つくりぬし)に似る。
 親が子に似るもんだと思ってもらっていいだろう。
 ・・・はっ!? ということは、『赤眼の王(完全体)』もこんなんか!?
 気・・・気にしないでおこう・・・。
「ま・・・まぁ、行くわよ?」
 言って、あたしはドアを開けた。

 そこには、やはりというか、なんというか・・・。
 ごくごく普通の屋敷の中で、瘴気の量だけが違っていた。
 瘴気の森よりも、少し強めだ。
 普通の人間が住んでいたら、一週間しないうちに狂うだろう。
「こちらになります」
 ゼロスが案内したのは、応接間だった。
 飾ってある美術品も、成金趣味などなく、一級品ばかりだ。
「お呼びしてまいりますので、少々待っていてください」
 待つことしばし、いや数秒。
「改めて。
 獣王、ゼラス=メタリオムにございます」
 出てきたのは、金髪の美女。
 そう、ルークとの戦いの場・・・サイラーグヘ向かうときにいた、案内役の一人である。
「あぁ、二度目まして。
 リナよ。リナ=インバース」
 まぁ、あれは言わなくってもわかるだろう。
 『赤眼の魔王』の存在は、まだ特定のものにしかわからないだろうが、こいつは仮にも魔王の腹心の一人だ。 
「でも・・・なんで此処に住処をおいてんの?
 アンタ仮にも「獣王」でしょう」
「いや・・・まぁ、演出上」
 なんのだ、なんの。
 そうしているうちに、お茶をもって来るゼロス。
「ほんとにパシリか、あんた」
「・・・言わないでください」
 あたしの突っ込みに涙を流す獣神官。
 出されたお茶を優雅に飲みつつ、ゼラスはあたしに尋ねた。
「で、最初のご命令は?」
「は? 命令? 何にもないけど」
 ・・・・・・・・・・・・
 沈黙が降りる。
 いや、だって、ついこの間まで敵だったし。こいつら。
 はっきし言って仲間意識とか皆無だし。
 それで命令とか・・・あ。
「あたしの邪魔だけはしないでね☆
 それだけね、いまのところ」
 ・・・いまだに固まってるし。
 きいてんのか?
「・・・では、私共の活動は今まで通りでかまわない、と?」
 あ、復活した。
 ン〜・・・
「そうね。あまりにも人間殺してたら、あたしがじきじきに混沌に沈めるけど。
 魔族は百年くらい何にもしてないってのが一番だけど。
 無理強いはしないわよ」
 まぁ、ルークが覚醒したときに起こった異常現象は直すが。
「ゼロスは、今までどおり写本燃やしてって。
 ゼルにはあたしから言っておくから」
「了解しました」
 いつもの笑みを変えずに、淡々と答えるゼロス。
「じゃ、やることあるからもう行くわ。
 ご馳走様、ゼラス」
 あたしはお茶を一気に飲み干し、屋敷を後にした。
 向かう場所は――
 もう一人の「北の魔王」がいる、魔族たちの山。
 カタート山脈へ。

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8561赤と蒼と金と 5to-ki E-mail 2002/6/1 22:04:56
記事番号8538へのコメント

「はぁい、『北の魔王』」
 一瞬後、あたしの前にいたのは。
 カタートで眠る『北の魔王』。
 冷たい氷の中で、千年近く眠っている古えの大魔導師
 ――あなたは・・・私の『欠片』?
「ま、そんなとこね」
 頭に直接響く『彼』の声に、あたしはこたえた。
 ――私を・・・封印からといてくれるんですか?
 期待がこもった声。
「封印をといたら・・・どうするつもり? レイ=マグナス」
 あたしは腕を組み、聞いた。
 ――魔族本来のことをするでしょう?
 つまり――世界の滅びを、ということか。
「そう」
 そしてあたしは、力を込める。
 『彼』を閉ざす、氷に向かって。
「だったら、こうするしかないわよね?」
 そして、赤い闇が氷の中からはじける。
 氷は砕け、『彼』が膝をつく。
 ――な・・・ぜ・・・?
 その闇に喰われながらも、何とか声を絞り出す『彼』。
 赤い闇が、自分を喰らうことが不思議だったのだろう。
 なぜなら、その闇は『赤眼の魔王』――『彼』自身の力でもあるのだから。
 その力で、自分を滅ぼすことはできない・・・はずだった。
 あたしはこぶしを握り締める。
 赤い闇が、彼の中に収縮されるのが『見えた』。
 次の瞬間。
 ――ぐ・・・ああああぁあああぁ!
 『彼』の断末魔の悲鳴・・・
 そして『北の魔王』はいなくなった。
 あまりにもあっけない、『魔王』の最期。
「あなたは滅びを望み、あたしはそれを望まない。
 だから・・・アナタは邪魔者以外の何者でもないでしょ?
 だったら、こうするのが一番じゃない?」
 もう何もいない虚空に向かって声をかける。
 
 ――あたしは滅びを望まない。
   あたしは『リナ=インバース』だから。
   最期の最後まで、そう在りたいから。
   だから・・・

「滅びを撒くものは・・・あたしが混沌へ沈める」

 大事なものを守るためにも。
 絶対に負けない。
 小さな呟きは、風に乗って・・・消えた。
 あたしは、頬を流れるものに気づかないふりをして。
 カタートを離れた。

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8565赤と蒼と金と 6to-ki 2002/6/3 20:51:06
記事番号8561へのコメント

 ある日の朝。
 もう何年になるか分からない旅の途中。
 いつもどおり起きた朝に、そこら辺にあるような宿屋。
 そんなところだった。
 俺がリナに再会したのは――

「はぁい、ゼルちゃん♪」
「なっ・・・! リナ!?」
 ごくごく当たり前のように、一階の食堂で食事を取っている。
 ―― 一人で。
「どうしたんだ? いきなり。
 旦那はどうした?」
 とりあえず同じテーブルに着き、コーヒーと軽いものを頼む。
 しかしリナは、俺の言った一言をさらっと流し、
「いやね、あんたの旅、ここで終わりにできることができるかも、と思って」
「・・・・・!?」
 それはつまり。
「見つけたわよ。
 元に戻る方法を」
 
「見つけたはいいんだけど・・・なんていうかな? 説明しづらいのよねー」
 町から少し離れた街道沿いの森の中。
 リナが「人目があるところはやだ」とか言い出したため、こんなところに入ってきた。
「・・・どういうことだ?」
「いや、絶対合成獣から人間には戻るのよ?
 だけど・・・その説明が・・・」
 ・・・?
 いやに口ごもるが・・・まぁいい。
「身体が元に戻るなら何でもかまわん
 さっさとしてくれ」
 そういうと、明らかにほっとした表情。
「じゃぁ、目をつぶってくれる?
 いいって言うまで目、あけないでね☆」
 うきうきとした表情で、俺に近づいてくる。
 とりあえず、言うとおりに目を閉じる。
 気配で、リナがどんどん近づいてくるのがわかる。
 ふ・・・と瞼を通して感じた光が消えた。
 きっと、リナが顔の前に手をかざしたのだろう。
「いい?」
「ああ」
 端的に答える。
 すると。
 ぶわああぁぁぁ!
 身体中が温もりに包まれた・・・様な気がした。
 リナが紡ぐ『混沌の言葉』。口の中でいっているため、まったくと言っていいほど聞こえない。
「あれ? ゼルってもとから銀髪?」
「いや、黒かったが?」
 少し戸惑ったような声。
「あー・・・、ごめん、髪だけ銀のままかも・・・」
 温もりが消えた。
「おっけー。もういいよ。目、開けても」
 ゆっくりと。光を見た。
 手を見下ろす。
 それは、見慣れた岩の色ではなく、肌色のもの。
「・・・やっぱり。髪は・・・」
 数歩後ろに下がったりナ。
 彼女の言葉に、俺は手を髪にやる。
 今までのように、針金のような感触ではない。やわらかな・・・。
「ごめんね?」
 ぷつっと一本抜く。それは銀色だった。
「かまわん。俺の第一の目的はかなったんだからな。
 ・・・礼を言う」
 一瞬、礼だったら物(=金)で表せ。とか言われるかと思ったが、そんなことはなかった。
 とても安心したような微笑み。
「・・・それより、何で俺に説明できないんだ?」
 その笑みが凍りつく。だが、それも一瞬のことで。
「ん? いやー、どうせ言ったとしてもあたしにしか使えないと思うし」

 いつもどおりの屈託のない表情。

「これ、結構キャパシティいるのよ。それこそ、天才美少女魔導師のリナ=インバースでないとつかえないくらいの、ね」

 それがなぜか痛々しく見えて。

「さて? これでアメリアのとこいけるんでない?」

 きっと、触れてはいけない。

「きっと待ってると思うよ? あの子も」

 だが、聞かずにはいられなくって。

「・・・旦那は、どうした?」

 こんどこそ。
 リナの動きが凍りついた。 

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8568赤と蒼と金と 7to-ki 2002/6/3 21:45:20
記事番号8565へのコメント

 リナを探して一週間。
 何の手がかりもつかめていない。
 懐に入れた手紙だけ。
 それだけがリナがいた、という証であるかのように。
 そして今日。
 懐かしい顔にあった。

「旦那・・・!?」
 一瞬、誰だか分からなかった。
 銀髪の、結構ハンサムに入るであろう美貌の持ち主。
 どこかで見たことある気がするし・・・この気配は、結構なじみのものだった。
「・・・誰だ?」
 それでも警戒心は隠せない。
 低い声で、答えた。
「ああ、そうか。
 分からないのも無理はないがな」
 くすり、と笑う男。
「俺だよ。ゼルガディスだ」
 ・・・・・・・・・・
「ああ!」
 やっと思い出した。
 そうか、元に戻れたのか・・・。
「・・・よかったな」
 久しぶりの再会に、酒は付き物だろう。
 オレ達は酒場へ直行した。

「どうやって元に戻ったんだ?」
 酒瓶が二、三本転がったころ、オレは話を切り出した。
 リナが、この身体を元に戻すのは大変なのだ、と話してくれたことがある。親切に図解までしてくれたが、そこまでは覚えていない。
 すると、ゼルは少しためらい、呻くように言った。

「――リナだ」

 からん・・・。
 グラスの中で氷がなった。
 夕方になり。騒がしい店の中、その音だけが頭に残った。
「あいつがいきなり現れたんだ・・・三日ほど前。
『アンタのたびを終わらせることができるかも』とか言っていた。
 どこでこの魔法を手に入れたのかは・・・教えてくれなかったがな」
 そこまで言って、一気にグラスをあおった。
 心臓の音が、聞こえる。
 まるで、耳のそばに心臓があるように。
「・・・どこでだ?」
 声は・・・震えていたのかもしれない。
 だが、そんなことにかまってはいられなかった。
「どこでリナに会った!? 三日前!? まだこの近くにいるのか!?」
 思わず声を荒げた。
 店の客は、こちらを見ることもなく騒いでいる。
「いや・・・もういないだろう」
 どこかさめた口調。ゼルはゼルだった。いつでも冷静で・・・客観的にモノを見ることができる。
「『旦那はどうした?』と聞いたとき・・・あいつは言った。
『別れた』って、一言だけな・・・
 ――何があったか・・・聞いてもいいか?」
 何があったか? 
 そんなのオレが聞きたい。
 どうして、オレの前から姿を消した?
 どうして、オレに抱かれた?
 どうして、希望を持たせた!?
 いくらでも。聞きたいことはいくらでもある。
 だが、答えを持っている人間がいない。
「・・・オレもわからない」
 ため息を――吐くように。
 オレは答えた。
 本当に分からないことだらけだ。
 くらげ頭では、考えても分からないようなことが多すぎる。
 多すぎるんだ・・・リナ。
「じゃあ、質問を変えよう。
 俺達と別れてから・・・何があった?」

 そしてオレは話した。
 ゼルはオレのことを知っている。
 ゼルの前で、俺は『保護者』でいる必要が――『くらげ』でいる必要はない。
 だから、オレの知っているすべてのことを――話した。

「そうか・・・」
 すべてを話終わったとき。
 ゼルの第一声はそうだった。
 しばしの無言の後。
「俺は、アメリアに会いにセイルーンへ行く。
 リナのことを知るためだ。
 巫女であるあいつの信託がある。
 まだ・・・諦めるな」


*************************************

困ったときのゼルちゃん頼み(爆)。
ついに出しちゃいましたよ、ゼル・・・。
ゼルとガウで登場させると、シリアスになるかギャグになるかだから・・・(涙)。
トキにとっての二人の区別:
 ガウリイの一人称=オレ
 ゼルの一人称=俺
って言うのを気をつけてみました(笑)。どっちの一人称かはこれで判断してください(爆)。
あ、ちなみにゼルが銀髪のままなのは「トキが黒髪のゼルを想像できないから」です(核爆)。
というか、このガウリイは賢すぎでしょうか・・・? リナの前でだったらきっと「誰だこいつ?」とかって言うんだろうなぁ(笑)。
さて、ついに次回(か、その次)、アメリア登場!
乞うご期待!(笑)