◆−Sister Princess−穂波 (2002/6/1 03:37:43) No.8559
 ┣おもしろかったです−秋茄 (2002/6/2 02:38:14) No.8562
 ┃┗よかったです。−穂波 (2002/6/5 00:09:00) No.8570
 ┗はうあっvv−雫石 彼方 (2002/6/2 02:41:36) No.8563
  ┗くくく……(怪笑)−穂波 (2002/6/5 00:30:46) No.8571


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8559Sister Princess穂波 2002/6/1 03:37:43


久しぶりに投稿させて頂きます。
タイトルが全てを物語っているような気もしますが(いや、わかる人にしかわからないのですが)、馬鹿話です。
カッコイイゼルファンの方は、読んでも怒らないで下さい(涙)。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 廊下に伸びる、長い影。
 窓から差し込む光は既に夕暮れの色に変わっていた。
 人気のない校舎、たたずむ影は二つ。
「ずっと……あなたを見てました」
 夕焼けよりも赤い顔をして告げる女子生徒。
 絵に描いたような告白のシーン、しかし受けている側の男子生徒は、端正な顔に何の表情も浮かべていない。
 それに気付かないのか、女生徒はこれ以上ないほど顔を赤くすると、青年に頭を下げた。
「あたしと、お付き合いしてください、ゼルガディス先輩!!」
 青年は、動かない。
 女生徒もまた、頭を下げたまま動けない。
 キーンコーンカーンコーン♪
 二人の間に、いっそ無常なまでに明るくチャイムの音が響いた。
 相変わらずの無表情で、どこか遠くを見ていた青年が、その瞬間ガタンと動いた。
「……しまった!」
「ゼ、ゼルガディス先輩!?」
 驚いた女生徒が彼の名を呼んだが、その時ゼルガディスは既に廊下を爆走し角の向こうに消えようとしていた。
「ゼルガディス先輩〜!!?」
 悲痛な声をあげる女生徒と向かい側の校舎の生徒会室、センベイをかじりながら窓越しに様子を伺っていたリナは、肩をすくめた。
「ありゃ、だめだわ」
「ゼルの奴、チャイム聞いた途端、駆けて行ったもんなぁ」
 緑茶をすすりながら、ガウリイも深く頷く。
「一年女子の中で、五本の指に入るって噂の可愛い子相手だったのに」
「ゼルガディスの噂、知らなかったのかな、あの子」
「いっくら見てくれがそこそこで、成績優秀でも、本人がアレじゃあねぇ」
 パリパリとセンベイをかじる音が、しばらく響く。
 西日が照らす机の上の菓子皿から最後の一枚のセンベイを奪い取ったリナは、ずずーっとお茶をすすって、ポツリと呟いた。
「ゼルのシスコンて、ほとんど病気よね」


「金だよ金、なぁにちっと貸してくれっていってるだけだよ、後で返してやるからさ?」
「あ、あの……ぼ、ぼく……」
「ああ、きこえねぇなぁ?」
 中等部体育館裏、そこにはあまりにもベタ過ぎるような光景が繰り広げられていた。気の弱そうな一年生を、ずうたいばかり育ったような、人相の悪い上級生数人が取り囲み、いわゆるカツアゲを行っているのである。
「ほら、よこせよ!」
「う、うう……」
「お待ちなさい!!」
 半泣きの少年が、学生カバンに手を入れたその瞬間、その場に凛とした声が響き渡った。
「だ、だれだ!? どこにいやがる!!」
 きっちりお約束通りに、あたりをきょろきょろと見渡す学生たち。そのうちのひとりが、はっと目を見開き体育館の屋根を指差した。
「あ、あそこだ!」
 赤々と空を染めながら燃え落ちる夕日を背景に、小柄なシルエットが仁王立ちになっている。
「大勢でたった一人に詰めより、お金をせびるとは言語道断!! たとえ沈む夕日が見逃しても、愛と正義の使者、アメリアの目はごまかせません!! おとなしく天の裁きを受けなさいっ!!!」
 びしぃっと人差し指を突きつけて、宣言する少女。その姿と立っている場所、そしてはたはたと微妙に揺れているプリーツスカートの裾に言葉を失い、カツアゲしていた側どころかされていた少年までもがぽかんと頭上を眺める。
「とぅっ!!」
 少女が体育館の屋根から跳躍する。
 スラリとした脚と、微妙な広がり具合のスカートに目をとられ、彼らはそろって固唾を飲んだ。
(おぉぉぉぉっ!!! あと、あとちょっとぉぉぉ!!!!)
 一枚岩のようにそろって拳を握り締める男子生徒たち。いまこの瞬間、彼らは確かに強い絆に結ばれていた。
 少女がくるくると回転しながら影から抜け出ようとしたその刹那たてられた、ピン、と何かを弾くような音に一体何人が気付いただろうか。
 チュドォォォォン!!
 派手な爆音と共に、学生たちの立っていたあたりに激しい閃光が満ちる。一撃で昏倒した男子生徒のひとりを踏みつけたのは、先ほど女生徒の告白半ばでいきなり爆走したゼルガディスだった。
「……間に合ったようだな」
 ほっと息を吐いた彼は、男子生徒たちの間で顔面から地面にめり込んでいる少女に近寄る。
「ったく、そういう危ない真似はよせって何度言ったら分かるんだ、アメリア」
 ゼルガディスが手にしていたのは、視覚と聴覚を一時的に麻痺させる効果を持つフラッシュ・バン・グレネード。音響閃光弾、特殊閃光音響手榴弾とも呼ばれるそれは、要するに手榴弾の一種である。
 ……致死性こそ無いものの、手榴弾を投げつけた男が「危ない真似はよせ」などと言っても全く説得力は無かったが、倒れていた少女はガバッと起き上がった。土まみれの顔で、ずずいと近寄ってくる。
「ひどいです、兄さん!! 折角いいところだったのに!!」
 論点がひゃくはちじゅう度くらいずれたことを主張するアメリアに、ゼルガディスは肩をすくめてみせる。
「どうしていっつも邪魔するんですか!? わたしが悪を滅ぼすチャンスなのに〜!!」
 少女の主張に構わず、ゼルガディスはカバンからタオルを取り出すと、その顔の土をぐいぐいと拭う。
「む〜む〜!!」
 タオルで顔をふさがれ、アメリアは言葉にならない抗議をする。しかしゼルガディスはマイペースにタオルを動かし、最後に少女の髪についた埃を手で払った。
「そろそろ、帰るぞ」
 アメリアはしばらくむくれて遠ざかる彼の背中を見ていたが、立ち止まったゼルガディスが躊躇いがちに差し伸べた手に悪戯っぽい微笑を浮かべると、彼の腕にじゃれ付いた。
「今日はカレーが食べたいです、こないだ作ってくれたナスと赤ピーマンが入っているやつ美味しかったから、それで手を打ちます」
「……わかった。ただし買い物は付き合えよ」
「はい!」
 仲良く腕を絡ませた影法師がのびる帰り道、彼らは背後で痙攣している男子生徒たちのことは、すっかり忘れ去っているようであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゼルアメ義理兄妹ネタです。
二人の出会いとか色々脳裏にはあるのですが、ひとりで楽しいだけのような(汗笑)。
ええと、ここまで読んでくださりありがとうございました。

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8562おもしろかったです秋茄 2002/6/2 02:38:14
記事番号8559へのコメント

はじめまして、秋茄(しゅうか)というものです!

「Sister Princess」というと、あの、シスプリと言われているの
ですよね!(←題名と絵だけ知っている人)
お話じたいはあまり知らないのですが、(あぅ…)
とってもおもしろかったです!!特に、ゼルの暴走っぷりが(笑)
「ゼルがシスコン!?に、に、にに似合ってる!!」とか
思ってしまった私は、だめゼルファン…!?
でも、ゼルアメ(義理も)兄妹ネタって結構好きです…v
ゼルが兄でアメリアが妹となるともうガッツポーズ(やめ)
なんて、心の中(じゃないですが)で思ってたり…

はじめ告白シーンだったので、おぉ…と思ったら、
いきなりゼル大爆走で、ぅおおぉぉ!!?とワクワク…
リナのセリフを読んで、きっとこれはアメリアのもとに
向かっているに違いない!!と1人盛り上がってました(笑)

>(おぉぉぉぉっ!!! あと、あとちょっとぉぉぉ!!!!)
>一枚岩のようにそろって拳を握り締める男子生徒たち。
>いまこの瞬間、彼らは確かに強い絆に結ばれていた。
かなり笑ってしまいました!
なんと正直な!あ、でも私も目をそらす自信はないです…(笑)
というか誰がそらしてたまるものくぁ!(変よ)

> 派手な爆音と共に、学生たちの立っていたあたりに激しい閃光が満ちる。
ゼル――っっ!!?っと心の中で叫んでしまった私
学生がなんというものを持ってるんでしょうっ(へご−っ)

> ……致死性こそ無いものの、手榴弾を投げつけた男が
>「危ない真似はよせ」などと言っても全く説得力は無かったが、
その通り(笑)ゼル常識ぶっ飛んでます!
そんなゼルさんもステキですv(ぉぃ)

最後はほのぼのvさすがゼル、アメリアの機嫌も元通り。
さすが兄さんだなぁ…v…いや、さすがゼルです…!


穂波さんの書かれるゼルアメはとてもステキですvv
ゼルアメすきぃな気分にもっとなります!
↑密かに、過去の小説で読ませていただいてました

はじめましてでこんな、ちょっと暴走気味なコメントですみません(ぅ…
ふはぁ、おもしろかったです(満足)
それでわでわ〜!

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8570よかったです。穂波 2002/6/5 00:09:00
記事番号8562へのコメント

初めまして、秋茄さん。

バカ話読んでくださりありがとうございます。穂波と申します、今後ともよろしくしていただけると嬉しいです。

>「Sister Princess」というと、あの、シスプリと言われているの
>ですよね!(←題名と絵だけ知っている人)
>お話じたいはあまり知らないのですが、(あぅ…)

はい、あたりです。タイトルは、そのシスプリから貰いました(笑)。
シスプリ自体の話は、沢山の妹持ちの兄ちゃんくらいの認識しか私もないのですが……内容よりも好みの妹を見つけろって感じなのかと(笑)。

>とってもおもしろかったです!!特に、ゼルの暴走っぷりが(笑)
そう言っていただけるとほっとします〜。

>「ゼルがシスコン!?に、に、にに似合ってる!!」とか
>思ってしまった私は、だめゼルファン…!?
あはは、私も似合ってると思ってます(笑)。
過保護な兄ちゃん万歳です(笑)。

>でも、ゼルアメ(義理も)兄妹ネタって結構好きです…v
>ゼルが兄でアメリアが妹となるともうガッツポーズ(やめ)
>なんて、心の中(じゃないですが)で思ってたり…
そういや今気付きましたが、本編の中で一度も「義理」だとわかるような文章ってなかったですね(汗)。
兄妹ネタは大好きです。幼馴染というのも美味しいんですが、堂々と世話を焼く大義名分のあるゼルを書くのが楽しいです(笑)。

>はじめ告白シーンだったので、おぉ…と思ったら、
>いきなりゼル大爆走で、ぅおおぉぉ!!?とワクワク…
>リナのセリフを読んで、きっとこれはアメリアのもとに
>向かっているに違いない!!と1人盛り上がってました(笑)
まさにそのとおりの展開です(笑)。
べたべたな展開なんですが、書いてて楽しかったです。

>>(おぉぉぉぉっ!!! あと、あとちょっとぉぉぉ!!!!)
>>一枚岩のようにそろって拳を握り締める男子生徒たち。
>>いまこの瞬間、彼らは確かに強い絆に結ばれていた。
>かなり笑ってしまいました!
>なんと正直な!あ、でも私も目をそらす自信はないです…(笑)
>というか誰がそらしてたまるものくぁ!(変よ)
私もたぶん口を開けて見惚れていると思われます。
だって姫の脚ですし(笑)。
プリーツスカートっていいなぁ(笑)。

>ゼル――っっ!!?っと心の中で叫んでしまった私
>学生がなんというものを持ってるんでしょうっ(へご−っ)
……ねぇ。

>その通り(笑)ゼル常識ぶっ飛んでます!
>そんなゼルさんもステキですv(ぉぃ)
誉められたのなら良しとします(笑)。

>最後はほのぼのvさすがゼル、アメリアの機嫌も元通り。
>さすが兄さんだなぁ…v…いや、さすがゼルです…!
一応最後くらいはほのぼのと。
でも後ろを振り返ると、ぴくぴくしている学生達が……(笑)。

>穂波さんの書かれるゼルアメはとてもステキですvv
>ゼルアメすきぃな気分にもっとなります!
>↑密かに、過去の小説で読ませていただいてました
過去の話まで読んでくださっていたのですね。
嬉しいです、ありがとうございます!

>はじめましてでこんな、ちょっと暴走気味なコメントですみません(ぅ…
いえいえ、話がまず暴走していますし(爆)。
楽しくコメント読ませていただきました、とっても嬉しいです。

では、本当にありがとうございました。

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8563はうあっvv雫石 彼方 E-mail URL2002/6/2 02:41:36
記事番号8559へのコメント

お久しぶりです、雫石です。
穂波さんの新作vということで、早速飛びつかせていただきました(^^)
そして兄妹ネタということで、更に悶絶(笑)
兄妹ネタ、大好きなんです!!(><)
しかも、うちのHPで『アメリアをいろんな人の妹にしちゃおう』な企画をそのうちやってみようかな、などと思い立ちまして兄妹ネタをいろいろ考えていた時だったので、タイミングの良さにちょっと嬉しくなってしまいました(^^)

シスコンゼル、最高でしたv告白されてる最中だろうがなんだろうが、他の奴にアメリアのパンツを見せて堪るか!!(笑)という情熱がとても素晴らしいです(←え、違う?)
そしてゼルの告られ現場を観察しながらあーだこーだと好き勝手言っているリナさんとガウリイさんも何気に好きでした(笑)しかもそれが生徒会室というのがまたv(・・・いや、別に意味はないんですがなんとなく嬉しかったんです)

>ゼルアメ義理兄妹ネタです。
>二人の出会いとか色々脳裏にはあるのですが、ひとりで楽しいだけのような(汗笑)。

そんなことないです!!少なくとも穂波さんと私は楽しいです!!(笑)
というわけで二人の出会い話、期待してますね♪(こら)

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8571くくく……(怪笑)穂波 2002/6/5 00:30:46
記事番号8563へのコメント

こんばんは、雫石さん。

なぜか陽気につられてバカ話書いてしまった穂波です(笑)。
感想ありがとうございます、嬉しいです〜。

>兄妹ネタ、大好きなんです!!(><)
わーい、ここにも同志が!

>しかも、うちのHPで『アメリアをいろんな人の妹にしちゃおう』な企画をそのうちやってみようかな、などと思い立ちまして兄妹ネタをいろいろ考えていた時だったので、タイミングの良さにちょっと嬉しくなってしまいました(^^)
それは素晴らしい企画です!
是非是非立ち上げてくださいませ〜楽しみにしています。
健全に仲良しっぽいガウリイ兄とか、ほぼ今のまんまのリナ姉とか、ある意味ゼルに通じる胡散臭さの漂うアルフレッド兄とか今脳裏に浮かびました(笑)。

>シスコンゼル、最高でしたv告白されてる最中だろうがなんだろうが、他の奴にアメリアのパンツを見せて堪るか!!(笑)という情熱がとても素晴らしいです(←え、違う?)
いや……正しいです(爆笑)。
姫のことになると、色々ネジが飛んでいるようです。

>そしてゼルの告られ現場を観察しながらあーだこーだと好き勝手言っているリナさんとガウリイさんも何気に好きでした(笑)しかもそれが生徒会室というのがまたv(・・・いや、別に意味はないんですがなんとなく嬉しかったんです)
当然リナは生徒会長かなぁと思って書いてしまいました。
ガウリイは、運動部部長さんのような役どころでしょうか。
ゼルあたりが副会長で、裏で色々補佐していそうです。

>>二人の出会いとか色々脳裏にはあるのですが、ひとりで楽しいだけのような(汗笑)。
>
>そんなことないです!!少なくとも穂波さんと私は楽しいです!!(笑)
>というわけで二人の出会い話、期待してますね♪(こら)
ありがとうございます、では脳裏から外に出してみます(笑)。
書きあがったら、また読んでいただけると嬉しいです。

では、企画楽しみにしておりますね〜。