◆−あなたの望みは何ですか? 第三十四話−amy (2002/6/12 19:40:59) No.8587 ┣Re:あなたの望みは何ですか? 第三十四話−なむゆ (2002/6/14 17:03:35) No.8593 ┃┗お久しぶりです♪−amy (2002/6/18 22:44:25) No.8610 ┗あなたの望みは何ですか? 第三十五話−amy (2002/6/21 00:54:49) No.8613 ┣Re:あなたの望みは何ですか? 第三十五話−なむゆ (2002/6/21 20:20:38) No.8615 ┃┗いつもありがとうございます!(嬉)−amy (2002/6/30 14:04:41) No.8646 ┗あなたの望みは何ですか? 第三十六話−amy (2002/6/30 16:53:41) No.8648 ┗あなたの望みは何ですか? 第三十七話−amy (2002/7/7 23:15:03) No.8666 ┗あなたの望みは何ですか? 第三十八話−amy (2002/7/17 00:19:43) No.8700
8587 | あなたの望みは何ですか? 第三十四話 | amy E-mail | 2002/6/12 19:40:59 |
あう〜、、、気が付けばまたツリー沈んでました。 何故、どうしてこの物語りはいつまで経っても終わらないの!? いつも長編でもニ十何話で終わるのに!!(泣) とまあ無計画な筆者が泣いている中、 それでもツリーは落ちるのでした(ちゃんちゃん) では、もう今まで読んでいた方は続きをどうぞ。 初めての方は下の注意を読んで下さい。 〜注意〜 これはゼロゼルのシリアスです。 いわゆる「やおい」というか、、、、 、、、今回はその要素がありますし、、、、 そういう系統が苦手な方はお控え下さい。 また、この注意を無視して苦情を言われても、 私は一切責任をとりません。 非難・中傷のメールもどうかご遠慮下さい。 では、どうぞ。 ================================== 「そんなくだらないことを言うために、 わざわざここに出て来たのか? アメリアがいないのを見計らって?」 嘲笑うかのように言うと、ゼロスは苦笑を深くした。 それは図星であると全身で示しているのと同意義だ。 あまりの馬鹿馬鹿しさに目眩にも似た感覚に一瞬だけ襲われる。 深いため息をついた。 そして俺はゼロスの胸倉を掴み、無理矢理自分の方へ引き寄せる。 そのまま乱暴に自分の唇をゼロスのそれに押し付け、すぐ離した。 驚愕しているゼロスを見て、俺は小さく笑ってしまう。 そして、目を真直ぐ見つめて言ってやった。 「俺はお前が嫌いだよ、ゼロス」 本気で困惑するゼロスを、俺はその時初めて見た。 「ラグナ・ブレード!!」 俺の叫んだ『力ある言葉』によって、手中に虚無の刃が出現する。 賢者の石を使うことで、初めて発動した呪文。 あのリナですら、増幅器なしでは発動させられなかった技。 それをこの手で扱ったことで、初めてその強力さを理解した。 改めて背筋に悪寒が走ったが、それに構わず刃を振るう。 上段に構えていた刃を、ゼロス目掛けて振り下ろした。 ゼロスは咄嗟にアストラル・サイドに逃げ込もうとしている。 (そうはいくか!) 思いきり刃を振り下ろしながらも、少し前へと滑らせた。 空間をも切り裂くこの刃なら、もうゼロスを逃がさない。 それを悟ったのだろう、ゼロスの瞳が大きく見開かれた。 ざどむっっ!!! 「ぐううあああああああああああっっっっ!!!!」 悲鳴。 未だかつて聞いたことのないゼロスの絶叫。 一瞬その絶叫に腕が怯んで力を抜いたが、俺はすぐに刃をさらにゼロスの 身体へと食い込ませた。 ずぶずぶと沈んでいく感覚。 ゼロスの絶叫がますますひどくなった。 、、、、おかしい。 ふと感じる違和感。 何故、、、、、? そう思ったのも束の間、虚無の刃はそのままゼロスの身体を引き裂き、ゼ ロスの左腕を完璧に切断する。 ちぎれたゼロスの左腕は砂のようになって地面に届く前に消えていった。 急ぎ俺から離れたゼロスが荒い息をはいてその場にがっくりと膝をつく。 顔が真っ青になっていた。 「、、、、、何故だ?ゼロス」 ぽつりと俺はつぶやく。 ゼロスは脂汗の浮いた額で苦笑しながらこちらを見上げた。 「何故、抵抗しなかった?」 「、、、、、、、」 ゼロスは苦笑したまま答えない。 ゼロスは抵抗しなかった。 アストラル・サイドに逃げようとはしたが、こちらに攻撃を加えて逃げよ うとはしなかった。 虚無の刃がその肩に食い込む間、絶叫するだけで一度もこちらを攻撃しよ うとはしなかった。 単に、痛みで攻撃する余裕がないのかとも思ったが、どうも違う。 こいつは、俺を攻撃できるはずなのにしなかった。 それに気付かないほど、俺は馬鹿じゃない。 「何故だ?」 俺の問いに、ゼロスは小さく笑って返した。 どうやら答える気はないらしい。 ぎりっと奥歯を噛み締める。 ゼロスはこちらを見上げて肩で息をしながらも、微動だにしなかった。 肩から腕をばっさり切られたその傷は塞がりそうにない。 血の滴ることのないその傷口。 俺はゼロスを睨み付けた。 ゼロスは苦笑して返すだけだった。 虚無の刃はすでに手中から消滅している。 互いに互いを見たまま、俺達は動かない。 当たりがしんと静まり返る。 遠くで小さな爆音が聞こえた。 他の魔族達とドラゴン達の争っている音に違い無い。 しばらくそれが続いた。 それでもお互い動かない。 やはり、ゼロスの傷は癒えそうになかった。 傷口が塞がるようにはとてもじゃないが見えない。 その時だった。 ゼロスの背後からゆっくりと人陰が見え始めたのは、、、、 まだ続く(ーー;) |
8593 | Re:あなたの望みは何ですか? 第三十四話 | なむゆ | 2002/6/14 17:03:35 |
記事番号8587へのコメント amyさん、お久しぶりです、読み逃げ魔のなむゆです。 今回もゼルってば、カッコイーvvvそれに大胆だーーvvうきゃーーーーvvv そろそろ本当にクライマックスだ、まだまだ、読みますからねーー。 短いですけど、そろそろさよーならー 追伸 ゼルとゼロスの戦闘シーンかっこよかったです。これからも、応援しています |
8610 | お久しぶりです♪ | amy E-mail | 2002/6/18 22:44:25 |
記事番号8593へのコメント なむゆさんへ >amyさん、お久しぶりです、読み逃げ魔のなむゆです。 こちらこそ、お久しぶりです! 読み逃げ魔だなんて、、、、 私なんかいつも読み逃げ(以下強制省略) >今回もゼルってば、カッコイーvvvそれに大胆だーーvvうきゃーーーー>vvv >そろそろ本当にクライマックスだ、まだまだ、読みますからねーー。 ありがとうございます! いつも消極的な彼を今回は大胆不敵にしてみました♪ たまにはゼロスにもいい目(?)に遭わせてあげないと、、、 >短いですけど、そろそろさよーならー >追伸 ゼルとゼロスの戦闘シーンかっこよかったです。これからも、応援しています 短くたって全然OKです! 感想もらえるだけで凄く嬉しいですからー!!(喜) 戦闘シーン、色々な人に誉めてもらえて嬉しいです! 本人は全然自信ないんですけどね(苦笑) これからも頑張りますので、どうか見捨てないでやって下さいまし。 ではでは amyより |
8613 | あなたの望みは何ですか? 第三十五話 | amy E-mail | 2002/6/21 00:54:49 |
記事番号8587へのコメント ゼロスの背後からゆっくりと現れた人陰。 それは先程ゼロスにやられ、身動きのとれなくなっていたエルフのうちの 一人だった。 エルフは俺とゼロスを見て驚きに瞳を大きく開き、動揺もあらわにその目 を右往左往させる。 やがて警戒心丸出しでゼロスを睨み付けた後、ゆっくりと俺を見た。 その瞳にははっきりと畏怖が込められている。 自分達が束になっても適わなかったゼロス相手に、たった一人で深手を負 わせた俺に恐れをなしているのだろう。 だがすぐにそれを引っ込めた。 俺が人間(キメラではあるが、人間)であることに気付いて、自分が恐れ をなすのはプライドが許さなかったに違い無い。 荒い息をついたまま、ゼロスはエルフにじっと視線を注いでいた。 俺は何も言わずにゼロスの顔を凝視し続ける。 俺達3人はお互いに距離を保ったまま、沈黙し続けた。 どれだけの時間が過ぎ去ったのかは分からない。 やがてエルフが沈黙に耐えきれなくなったらしく、動き出した。 ゼロスへの強い警戒は怠らないままこちらへと少しずつ近付いてくる。 俺のちょうど5メートル程手前で歩みを止め、俺の目を真直ぐに見つめ た。 「トドメをささないのか?」 その言葉と共に、エルフが右手に持っていた剣がきらりと光を反射した。 力無く握っているのはまだ上手く身体が動かないからなのだろうか。 「、、、、、、、」 一方、俺はそれに沈黙で答えていた。 トドメをさすつもりはある、しかし、今それをする気はない。 何故か、と問われればきっと俺は答えに窮し、俯くのだろう。 それでも。 無言を通し続ける俺に違和感でも感じたのか、エルフは不思議そうにこち らを見た後、疑惑の眼差しを投げかけてきた。 俺はその視線をちらりと見遣り、またゼロスへと戻す。 ゼロスもこちらをちらりと見遣り、小さく苦笑した。 ゼロスはそのままエルフの方へと視線動かし、また苦笑する。 「、、、、、なら、私が代わろう」 俺達を見て、エルフは小さな声で言った。 ちゃき、と右手の剣をゼロスへと構える。 どうやら、その剣には魔力が宿っているらしい。 よくよく見るとうっすらと青を帯びて光っていた。 「、、、、残念ながら」 ぽつり、とゼロスはつぶやいた。 「残念ながら、僕は貴方に殺されるつもりはありませんよ」 俺とエルフがゼロスの言葉が理解できず、思わず眉を寄せたのは同時だっ た。 「それはどういう、、、、」 ぶうおんっっ! エルフの言葉を待たずして、ゼロスの横に大きな穴が出現する。 それは今までに何度もこの目で見た、、、、、 「空間移動?!」 舌打ちと共にエルフが小さな声で叫び、剣を持ってゼロスへと走り寄る。 口の中では人間の言葉たりえない呪文を唱えながら。 しかし。 がしっ。 空間の穴から出て来た細い女の腕がゼロスの首根っこをがしっと掴み、ぐ いっと乱暴に引き上げた。 どう見てもか細い女の腕なのにも関わらず、成人男性の姿をしているゼロ スをいとも簡単に持ち上げ、穴の中に引きずり込んだのだ。 「なっ!?」 驚きの声をあげるエルフを完全に無視して、その穴は一瞬にして閉じてし まった。 驚きのために放心した俺とエルフは、他のエルフとミルガズィアが心配し て見に来るまでの間、ずっと穴があった場所を無言で見つめ続けていた。 まだまだ続いちゃうんです(泣) |
8615 | Re:あなたの望みは何ですか? 第三十五話 | なむゆ | 2002/6/21 20:20:38 |
記事番号8613へのコメント こんにちは、なむゆです。 嗚呼、あの人影は、エルフだったのかー. ゼラス様も、出てきそうだし、この先が気になりますー. でも、あの人ってゼラス様ですか? ちがかったら恥ずかしいカも。 それではそろそろ短いですけど、さようなら。 |
8646 | いつもありがとうございます!(嬉) | amy E-mail | 2002/6/30 14:04:41 |
記事番号8615へのコメント なむゆさんへ >こんにちは、なむゆです。 >嗚呼、あの人影は、エルフだったのかー. >ゼラス様も、出てきそうだし、この先が気になりますー. >でも、あの人ってゼラス様ですか? >ちがかったら恥ずかしいカも。 >それではそろそろ短いですけど、さようなら。 またまた感想、ありがとうございます! 本当に嬉しいです!! はい、実はあの細腕はゼラス様でございます! 大当たり!(ファンファーレの音) しかし残念ながら賞品はございません。 、、、、すみません(ーー;) ではでは、短くて大変申し訳ありませんが、これにて。 amyより |
8648 | あなたの望みは何ですか? 第三十六話 | amy E-mail | 2002/6/30 16:53:41 |
記事番号8613へのコメント アリシアは不安だった。 ゼルガディスに言われて村びと達を統率し、竜族達に守ってもらう、それ はいい。 けれど、、、、ゼルガディス本人は? 彼は戦地へ自ら乗り込み、戦力の一つとして魔族と混戦の最中にいる。 彼はキメラではあるけれど、一介の人間でしかないのだ。 自分達とは違い、強力な力があるけれど、それだけなのだ。 どんどん不安がアリシアの身体を覆っていく。 彼が死ぬ姿を想像することができなかった。 それも不安で仕方ない。 想像できないそれが、もしも実現してしまったら? 今度はアリシアの背を、悪寒が走り抜けていった。 恐い。 とてつもなく恐い。 思わず周りを見回す。 村びと達は溜まった疲れを癒すため、思い思いの場所で眠りについてい る。 ずいぶんと向こうの方に、人間の姿に変身したドラゴンが3人ほど立って いた。 一人は女性、後の2人は男性である。 アリシアは急にここから出て、ゼルガディスを助けに行きたくなった。 もちろん、自分が行ったところで役に立つどころか足手纏いにしかならな いのは分かっている。 それでも、、、、 アリシアはその場にすっくと立ち上がった。 一気に3人(匹?)の視線がこちらに突き刺さる。 それでもアリシアはひるまなかった。 「、、、、、ゼラス=メタリオムだな、それは」 俺とエルフの話を聞いて、ミルガズィアは断言した。 また遠くの方で爆発音が聞こえる。 しかし、どうやらそれはゼロスが先程大量殺戮を行っていたほどの威力は なかったようで、大した被害はないようだった。 「普段、女の姿をとっている高位魔族、、、、 しかもゼロスをアストラル・サイドに引き込めるほどの魔族は少ない」 ただでさえ、リナ=インバースや我々に倒されている魔族の数は決して少 なくないのだから、とミルガズィアはつぶやいた。 「残っているのは、、、ゼラス=メタリオムとダルフィン」 どがあっ、、、、!! ミルガズィアの言葉に答えるかのごとく、空中で大きな爆発音が響いた。 下へと叩き付けて来る爆風に、たまらず俺とエルフは横薙ぎに吹っ飛ぶ が、ミルガズィアだけはその場で耐え切る。 すぐに収まった爆風に急ぎ俺とエルフは立ち上がった。 がごっ! 立ち上がった瞬間に足元の大地に小さな亀裂が走った。 驚いて足元を見た瞬間、その亀裂の隙間から大量の水が吹き出す。 「!」 驚いて悲鳴をあげる暇もなく、俺とエルフはその水をかぶり、そのまま水 に閉じ込められた。 球体状にまった水が一瞬にして2つできあがり、それぞれに俺とエルフを 閉じ込める。 逃げようと身体を動かすが、どうやっても身体がその球から出られない。 当然ながら呪文も唱えられないし、声も出せない。 呼吸も、できない。 俺と全く同じ事を考えたらしいエルフが水球の中で激しくもがきだした。 (馬鹿がっ、暴れたら息が続かなくなるぞ!) 咄嗟に息を止めて静止していた俺はいい。 だが、今暴れているエルフの呼吸はもう続くまい。 (ちっ!) 心の中で舌打ちをして、俺は腰にさしていた剣を引き抜いた。 短くてすみません、、、、(ーー;) まだ続くんです(泣) |
8666 | あなたの望みは何ですか? 第三十七話 | amy E-mail | 2002/7/7 23:15:03 |
記事番号8648へのコメント まだほんのりと赤味を帯びている刀身が水球の中で閃いた。 後少し、ほんの少しだけ魔力がまだ効いている。 その事実に、俺は少しホッとした。 ちらりと横を見るとエルフがひどく狼狽してこちらを必死に見ている。 少しだけ苦笑して、俺はその剣を思いっきり前へ突き出した。 水中であるためか、それは力いっぱい突き出したにしてはひどく緩慢なス ピードで前へ進んでいった。 やがてそれは水球の外へと到達する。 当然だ。水球の直径はどうやったって自分の腕と剣の長さより短い距離し かない。 切っ先が水球の外へ出たのを見計らって、思いっきり強く剣を縦に薙ぎ 払った。 ずぶっちゃっっっ! 気色の悪い音を立てて、水球に大きく縦の切れ目が入った。 その切れ目から勢い良く水が外へと吹き出し、俺もその流れに乗って外へ 排出される。 強い力で地面に叩き付けられ、少しの間呼吸が止まった。 「、、、げほっごほっ、、、」 口に入ってしまっていた水を吐き出し、むせるように咳きをする。 急いで息を整え、エルフに対して剣を指さして見せる。 あのエルフは魔力を帯びた剣を持っていたはずだ。 だがエルフは首を横に振るばかりで剣を抜こうとしない。 訝しく思ってよく見ると、エルフの腰には鞘しかなかった。 どうやら先程の爆風でどこかへ飛ばされてしまっていたらしい。 こんな間抜けなエルフは初めて見た。 少し呆れて、助けてやろうと剣を構える。 しかし、もう赤い光は消えていた。 魔力が尽きたようだった。 仕方なしに剣を構える。 「アストラル・ヴァイン」 賢者の石で呪文抜きの魔術を発動させる。 再び強く赤い色に発光したそれをエルフのいる水球に向かって構え直 し、、、、、 ばぐんっっ!! 「!?」 音と共に水球が勢い良く破裂した。 大量の水がこちらへ飛んできて、勢い良く流れて行く。 思わず堅く閉じた瞳に、冷たい水が強く体当たりしてくるのが分かった。 生暖かい水と冷たい水がそれぞれにぶつかってきて、ひどく不快にさせ る。 水が全て流れるのを待って瞳を開いた。 、、、、、エルフがいない。 「?」 思わず回りを見渡して、硬直した。 辺りは、、、、血の海。 そこかしこに細かくなった肉片まで、水に浮かんでいる。 ふと時分の足元を見ると、エルフの首が転がっていた。 「!!」 水に混じった大量の血液の匂いとエルフの首の傷口に腹の中のものを吐き 出しそうになった。 思わず片手で口元を押さえる。 手を隠している白い布が、赤く染まっているのが見えた。 これは、、、、、このエルフの、、、、血、、、、、? 思った瞬間、先程より吐き気がひどくなり、溜まらず胃の中身をその場に ぶちまけた。 胃液で咽がひりひりする。 よくよく見ると、自分の白い服は全体全てがうっすらと赤く染まってい た。 先程、生暖かい水だと思っていたのは、、、、血液だったのだ。 水球は破裂すると同時に、エルフの身体もバラバラにして爆発したのだ。 だから、、、、、、、、 視界の隅でちらりと内臓らしき物体が見えてしまい、また吐き気がした。 死体の山には慣れっこだったし、もっとひどい死体を見たこともある。 自分でそれらを作ったことも、、、ある。 だが、覚悟していなかった。 覚悟のない、呆然とした状態でそれを見せつけられて、どうしても吐き気 が止まらない。 気分が悪い。 自分でも青ざめているのが分かる。 吐き出さない様に口を堅く閉ざした。 血まみれの手で自分の口を押さえることができるほど、俺は鈍感ではな かった。 ふらりとその場を立ち上がる。 一度目を閉じて、もう一度開いた。 腹の奥底から赤い色付きの怒りが湧いて来る。 これは戦争だ。 敵を殺すのは当然のことだし、拷問だってするだろう。 だが、、、、、、、 何の意味もないこの虐殺はなんだ? ミルガズィアがやっとこの場へ走ってきていた。 こちらの惨劇を見て大きく瞳を見開いている。 俺はひたりとミルガズィアを見つめ、小さく言った。 「、、、、、、、、、今攻撃してきた魔族を引きずりだしてくれ」 まだまだ何故か続きます(ーー;) |
8700 | あなたの望みは何ですか? 第三十八話 | amy E-mail | 2002/7/17 00:19:43 |
記事番号8666へのコメント ざどんっ! 斬激音の後、レッサー・デーモンの悲鳴じみた咆哮があたりに響いた。 気にすることなく、俺はさらに赤く閃く剣を振るう。 その咆哮すら掻き消えた。 「エルメキア・フレイム!」 呪文を唱えて「力ある言葉」を叫ぶと、賢者の石の効力も手伝って、青く 輝く太い槍状の魔力が一本しか現れないはずなのにも関わらず、数本の魔力が出現する。 それらは一気に回りにいた残りのレッサー・デーモン達を薙ぎ倒した。 ずどおおおんん、、、、、 遠くの方から聞こえてきた爆撃音。 それはどうもミルガズィアと先程俺達を水球に閉じ込めた魔族の攻防によ って繰り広げられた戦闘音のようだった。 俺はその場に未だ数体程残るレッサー・デーモンを無視し、その爆撃音の 方へと足を走らせる。 バラバラになったエルフが脳裏を過った。 「援護に行かせて下さい」 凛とよく通る声。 かつての大国、聖王都セイルーンの女王、アメリア=ウィル=テスラ=セ イルーンと酷似した、それ。 アリシアはその声に強い決意を含ませながら、強く言った。 目の前には人間の姿を模したドラゴン3匹。 攻撃呪文などほとんど知らないこの人間の、年端もいかないこの娘の思い も寄らない度胸に、3匹の竜は少々の驚きをその瞳に浮かべた。 「、、、、行かせるわけにはいかないわ」 アリシアとはまた違った、しかし凛としたその声を上げたのは唯一女性の 姿をしているドラゴンだった。 「我々はミルガズィア様から直々にご命令を与えられた」 言いつつ、流れるような美しい動作でそのドラゴンは腰の剣を抜く。 しゅっと風切り音は鳴りそうな程強い勢いで、その剣はアリシアの頬を薙 いだ。 つっ、、、と一筋の血が頬を流れる。 「貴方達人間の命をゼルガディスという名のキメラが戻って来るまで守り通 すこと、それが我々の仕事」 つぶやいて、ちゃきっと剣の刃をアリシアの首の方向へ向きかえた。 「じゃあ、、、、」 「?」 「じゃあ、、、、こうしてはいるけれど、殺す気はないってことですね?」 アリシアは小さくそうつぶやいて、きっと睨み付けるようにドラゴンを見 つめた。 驚いたように瞳を大きく開くドラゴンを見届けて、アリシアは素早く体を 横に倒し、そのまま倒れた側の足で体を支えてドラゴンの横を通り抜ける。 「!」 反対側にいたドラゴンと剣を突き付けていた女ドラゴンが同時に息を飲 む。 ちょうどアリシアが抜けた側にいたドラゴンがアリシアを止めようと手を 伸ばしたが、それをアリシアは滑るように腰を落として避ける。 そのままスライディングの要領で前へ進んだ。 慌てたように3匹がこちらを振り返り、アリシアを止め損ねたドラゴンが アリシアを追うように一歩踏み出す。 それを視界の端で捕らえて、アリシアは懐から取り出した物を素早く後ろ へ投げた。 不透明な一つの小壜。 勢い良くそれは床に叩き付けられてパアンッと盛大に音を立てつつ割れ た。 硝子の破片に混じって赤い液が床にぶち撒かれ、いきなりぼひゅっ!と小 規模の爆音を立てる。 「っっ!」 爆発によって飛ばされた硝子の破片が自分の方へ飛んでくるのが見えて、 ドラゴンは思わず瞳を閉じる。 その隙に、アリシアは強く床を蹴った。 「ミルガズィア!!」 俺の叫びに、ミルガズィアと水色の髪をした女がこちらを向いた。 女はひどく美しい顔をしていたが、よくよく見ると片頬が鮮やかな碧の鱗 に覆われている。 、、、魔族! 「ラ・ティルト!」 予告なしのラ・ティルトをその魔族に叩き込む、ミルガズィアは素早くそ の場から逃げていた。 一発目のラ・ティルトの効力が失われる前に呪文を唱え出す。 青い柱の光が収まった瞬間、呪文とともに賢者の石で威力を増幅させた ラ・ティルトをお見舞いした。 「ラ・ティルト!!」 こううっ! 通常の何倍もの光と柱の太さに自身が圧倒される。 だが、まだ油断はしなかった。 上手く人間の姿を模せる魔族は高位の証。 すぐさま俺は次の呪文を唱えはじめる。 ミルガズィアがそれを援護するかのようにレーザー・ブレスを吐いた。 女の魔族がそれを避けたのを認めて、俺はすぐに間合いをつめる。 俺の動きに気付いて魔族は空間に逃げようとしたが、そうはいかない。 アストラル・サイドは万能ではないことを証明してやる! 「ラグナ・ブレード!!」 賢者の石で何倍にも威力を増幅されたラグナ・ブレードが大きく唸りを上 げて魔族に降り下ろされた。 ざどむっ! 音と共に魔族の胴が薙がれ、悲鳴にならない悲鳴をあげる。 俺はさらに一歩を踏み出して上段に構え、降り下ろそうとしたが、がくり と視界が落ちる。 「っ!」 限界だった。 何度も強力な魔術を使い、魔力も体力ももたなかったのだ。 手の中の虚無の刃があっという間に消え失せ、体が言うことを聞かないま ま墜落する。 どさり、と胴から下の消えた魔族の目の前に、俺は倒れ込んだ。 まだ、、、まだ続くんです、、、これ(泣) |