◆−Daisy−雫石 彼方 (2002/7/22 23:24:20) No.8707 ┣猫さんっ、素敵ですっvv−白河綜 (2002/7/23 00:34:11) No.8708 ┃┗どうもです〜vv−雫石 彼方 (2002/7/23 23:09:34) No.8711 ┣ねぇぇぇぇぇこぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!(発狂しすぎ)−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2002/7/23 12:12:08) No.8710 ┃┗猫が大好きなんですね(^^)−雫石 彼方 (2002/7/23 23:19:45) No.8712 ┗猫にゃん。〈猫化中〉−三剣葉月 (2002/8/2 20:45:29) No.8731 ┗遅くなってすみません;−雫石 彼方 (2002/8/10 22:42:26) No.8750
8707 | Daisy | 雫石 彼方 E-mail URL | 2002/7/22 23:24:20 |
時々こちらに出没させていただいています、雫石彼方です。 今回もいつも通り、多分ゼルアメだと思います。 ・・・・多分。 というのも、猫さん主役・視点の話だから。ゼルアメ『風味』と言った方がいいのかもしれません・・・。 ちなみに今回も元にしたというか一節をお借りしてる曲がありまして、前回と同じくまた白鳥さんの曲だったりι なんだか私この方の曲しか聴いてないみたいですが、普通に流行りの歌も聴いてるのですよ;でも白鳥さんの曲はインスピレーションを刺激するものが多いので、ついつい話の元にすることが多いんですよね。 ではでは、楽しんでいただければ幸いです。 *************************************** Daisy ぼくは白猫、デージー。 ・・・・・そこ、笑うな。女みたいな名前だって、ぼくだってよくわかってるんだ。 でも、しょうがないだろ?ぼくに名前を付けたロージーは、オスだのメスだの見分けられるような大人じゃなかったんだから。 ロージーは、小さな女の子だった。・・・・・もっと小さなぼくが言うのも何なんだけどさ。だから名前の付け方も単純で、彼女がよく歌っていた歌から取ったことは一目瞭然だった。 それが本当にある歌なのか、彼女が勝手に作った歌なのかはぼくにはわからないけれど。 pretty little Daisy いつだって わがまま ばかり 言ってる pretty little Daisy あなたには わたしが 必要ね いつもどこに行くにも一緒だった。覚束ない足取りで走り回る彼女はとても危なっかしくて、全く手のかかるオヒメサマだったよ。こっちの苦労も知らないで、呑気にいつもの歌を歌う彼女に“それはぼくが言いたいよ”、と何度心の中で思ったことか。 ・・・・・でも、笑うとおひさまみたいにあったかい感じのする女の子だった。 大好き、だったんだ。 ――――でも、ロージーは。 流行り病で、あっけなく死んだ。 まだ5歳だった。 なんでそんなに早く死ぬんだよ。人間のくせに。猫のぼくより先に逝くなんて、おかしいじゃないか。 ・・・・・バカロージー。 それからしばらくは彼女との思い出残る地で過ごしたけれど、思うことがあってぼくは旅に出ることにした。 広い世界のどこかには、ロージーのいる世界と繋がっているところがあるかもしれない。 オヒメサマはとても明るい元気な女の子だったけれど、でも同時にとても寂しがり屋だったから、ぼくが遊びに行けたならどんなに喜ぶだろう。 だからぼくは、旅に出た。 旅に出てから、どれくらい経っただろう。 街中を歩いていたぼくは、ふいにとても懐かしい歌を聞いた。 pretty little Daisy いつだって わがまま ばかり 言ってる pretty little Daisy あなたには わたしが 必要ね ・・・・・ロージー? 声の聞こえる方へと、ぼくは走った。途中匂ってきた魚の匂いにも目もくれず、物凄い勢いで吠え掛かってきた大きな犬にも怯むことなく、夢中で走った。 そして。 辿り着いた先、歌っていたのは・・・・・・ロージーじゃなかった。 大人じゃないけど、ロージーよりは全然年上の、女。短い黒い髪に、いつか見た海みたいな色した瞳(め)。白い花――――あれは確か、ぼくと同じ名前の花――――を両手に抱えて、機嫌良さげに歌ってる。 「にゃー(おい、女)」 「ん?わぁ、可愛い猫さん♪何か御用ですか?」 「にゃあにゃあ(その歌を、なんで知ってるんだ?)」 「なんて言ってるのかなぁ・・・・・お腹すいてるの?」 「ニャー!!にゃあにゃにゃあ!!(違う!!なんでその歌を知ってるのかって聞いてるんだ!!)」 「んーーー・・・・・あ!そうか、迷子なんですね!!」 ダメだ、この女・・・・・全然通じない・・・・・。 がっくりしていると、女は更に勘違いをしたまま話を進める。 「わかりました、わたしが一緒にお家を探してあげましょう!そうだ、それには名前がわかった方がいいですね。お名前は何ていうんですか?」 にっこりにこにこ、おひさまみたいに笑う。 ・・・・・ちょっと、ロージーに似てる。 ぼくは気を取り直して、女が抱えてる花を爪を出さないようにしてちょいちょいと前足で突付いてやった。そして、一声。 「にゃあ」 「・・・・・え、この花・・・・・?デージー、ですけど・・・・・あ!猫さんのお名前も“デージー”っていうんですね!?」 「にゃあ」 そうだと答えると、女はまた嬉しそうに笑った。 「デージー、いい名前ですね!!わたしはアメリアっていいます、どうぞよろしく!」 名前を、誉められた。 悪い気は、しなかった。ロージーが付けてくれた名前だから。 あめりあ。 ロージーじゃない、でもロージーと似た笑顔の、変な女。 あの後、ぼくの家を探して街中を探し回った。日が暮れるまで探し回って、でも見つけられなかった。当たり前だ、見つかるはずない。だってぼくの家は、ここにはないんだから。 なのにあいつときたらまるで自分のことみたいにしょんぼりして、泣きそうになってる。 バカだな、ぼくは迷子なんかじゃないってのに。大体、おまえがそんなに落ち込むことないだろ。 もういいから、そう言おうとしたら、誰かがあめりあの名前を呼んだ。 振り向くと、白尽くめの変な奴。すごく怪しい。 でもあめりあは、嬉しそうにそいつの名前らしき言葉(長ったらしくてよくわかんなかったんだ)を叫んでそいつに飛びついた。 その後の会話から推測すると、この二人は一緒に旅してて、なかなか帰ってこないあめりあを心配して白い奴が探しに来たらしい。 ・・・・・見た目ほど、悪い奴じゃないのかもな。 実際、ぼくの家が見つからないと遂に泣き出したあめりあの頭を撫でてから、しゃがんでぼくを覗き込んだその瞳(め)は、優しい色をしていた。 「おいアメリア、こいつ本当に飼い猫なのか?」 「だと思いますけど・・・・・・どうしてですか?」 「飼い猫にしちゃ汚れてる。毛並みも不揃いだし。・・・・・ま、人懐っこいから昔は飼い猫だったのかもしれんが、今は野良なんじゃないか?」 おお、すごいぞおまえ!!ぴったりだ!! 「え・・・・・そうなんですか?」 「にゃあ」 「わあ、すごーい!!そうだって言ってますよ!!ゼルガディスさん、よくわかりましたね!!」 「・・・・・別に」 ぼそっと答えて、そっぽ向く白い奴。 照れ屋なんだな。赤くなってら。 「ほら、これで気は済んだだろう。そろそろ戻るぞ」 「はい、明日はこの先の遺跡に行かなきゃですもんね!!今度こそクレアバイブルの写本、見つかるといいですね!!」 ・・・・・くれあばいぶる? 「にゃあ?(なんだ、それ?)」 「ん?クレアバイブルの写本、ですか?んーーーと・・・・・・あらゆる知識が書いてある、すごーい本のことです!」 「おまえ、略しすぎ」 白い奴が呆れ顔で何か言ったけど、とりあえず置いておいて。 あらゆる知識か・・・・・きっと、食べても食べてもなくならない魚の作り方とか、猫が人間の言葉を喋る方法とか書いてあるんだ。 ・・・・・・じゃあ、ロージーのいる世界に自由に行き来する方法も、書いてあるかな? だとしたら、ぼくもそれを見てみたい。 またねと手を振って歩き出すあめりあと、少し先を行く白い奴。 その後ろをついて行く、ぼく。 「猫さん、ついてきてますね」 「おまえが構いすぎるからだろ。ったく、だからいつも余計なことに首は突っ込むなと・・・・・」 ぶつぶつぶつ、説教してる白い奴。 苦笑しながらそれでも大人しく聞いてる、あめりあ。 その後ろをついて行く、ぼく。 あめりあが振り返って、目が合った。立ち止まって、ぼくの前にしゃがみ込む。 「猫さん、ついてきちゃダメですよ」 くれあばいぶるを、見たいんだ。 「わたし達、旅をしてるんです。とても長い距離を歩くんですよ」 ぼくだって、旅をしてずっと歩いてきた。どこまでだって行けるさ。 「それに、とても危険な旅なんです」 構うもんか。 だって。 ぼくは、ロージーに会うんだ。 だから、連れていってくれよ。 「にゃあ」 海みたいな色した瞳(め)が、一回瞬きした。 手が伸びて頭をそっと撫でられたと思ったら、ぼくと同じ名前の白い花と一緒に、ぼくはあめりあに抱え上げられていた。 「ゼルガディスさん、連れて行っちゃダメですか?」 「ペット連れで旅ができると思うか」 「・・・・・・・・」 「猫の歩幅なんかに合わせて歩いた日にゃ、一生かかったってクレアバイブルの写本は見つからんだろうし」 「・・・・・・・・」 「危険な旅だ。それでも」 「連れていって、あげたいんです。きっと何かあるんですよ」 交錯する、瞳(め)と瞳(め)。 一拍置いて、白い奴が溜息を吐いた。 「・・・・・・勝手にしろ」 あめりあが、ぱぁっと笑った。 ・・・・・やっぱり、ロージーみたいだと思った。 「猫さん、これから一緒に旅ができますね!!」 ああ、良かった。これで、ロージーに一歩、近付いた。 ・・・・・ところで、さっきから気になってたんだけどさ。 ちょいちょい、また前足で花を突付く。 「にゃあ」 さっきも言ったけど、ぼくの名前は“猫さん”じゃなくて、デージーって言うんだぜ。 「これから、よろしくお願いしますね、デージー!!」 ぼくの新しい旅が、始まった。 |
8708 | 猫さんっ、素敵ですっvv | 白河綜 E-mail URL | 2002/7/23 00:34:11 |
記事番号8707へのコメント 雫石 彼方さんは No.8707「Daisy」で書きました。 ああv 雫石さんの新作発見っvv 今回は猫さんの視点なのですねv ああっv かわゆいぞにゃんこ♪(爆) …………すみません、初っぱなから(汗) 歌。 インスピレーションがわく歌と好きな歌、聴いてる歌って、必ずしも一致しませんよね(^^; 私も使いたい歌はあるのですが、書けないのです。その歌だと(爆) う〜む……それでも絶対いつか使ってやると、虎視眈々と機会をうかがってたりしますが(核爆) 猫さん。 ……ていうかデージーさん。 なんだかとっても純粋な心を持つ猫さんなのですね。人間のオトコノコじゃ、どんなに素直でもこうはいきません。 悲しいほど純粋で、哀しいほど愚か。そんな猫さんの目で見る世界は、なんだか絵本を見ているような気分になりました。 ああっv 結局姫のお願いは断れないんですねゼルガディスさあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんっ!!!!(結局行き着くのはココ) …………ではでは。 なにやら暴走しっぱなしのレスになってしまいましたが、これにて。 追伸。 あの企画(爆)の話…………&キリバン、書いてはいるのですが、悲しいかな夏期講習の時期になってしまいまして(汗) お手元に届くのは遅くなってしまうかもです。すみません(汗) それでは。 白河綜でした♪ |
8711 | どうもです〜vv | 雫石 彼方 E-mail URL | 2002/7/23 23:09:34 |
記事番号8708へのコメント 白河さんこんばんわ〜v レスありがとうございます☆ > 悲しいほど純粋で、哀しいほど愚か。 ああっ、これです!!私がこの話を書きながらなんとなく持っていたイメージを表す言葉は、正にこれなのです!!(><) 決して叶わない夢なのに、純粋すぎる故にそうとは気付かず追い続けるデージー。しかも猫である為に、それを指摘してくれるものもいない。 ほのぼのなフリして、実は何気に切ない話だったりするんです。 > ああっv 結局姫のお願いは断れないんですねゼルガディスさあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんっ!!!!(結局行き着くのはココ) そう、なんとか抵抗を試みるも所詮はゼル。姫のお願いを無下にすることなどできないのです(笑) そんな君が好きさ☆ > あの企画(爆)の話…………&キリバン、書いてはいるのですが、悲しいかな夏期講習の時期になってしまいまして(汗) お手元に届くのは遅くなってしまうかもです。すみません(汗) いえいえ、お気になさらず〜; 書いていただけるだけで本当に幸せですから(^^) それに私の方も、ちょっと母親が骨折しまして仕事だ家事だとおおわらわな状態なので、贈らせていただくの遅くなりそうなんです; なので、白河さんもゆっくりペースでどうぞ〜。 では、お付き合いありがとうございました〜!! |
8710 | ねぇぇぇぇぇこぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!(発狂しすぎ) | ザズルア=ジャズルフィードゥ | 2002/7/23 12:12:08 |
記事番号8707へのコメント こんにちは、ザズルア=ジャズルフィードゥです。 いきなりですが、一言言わせてください。 主役の猫さん可愛すぎ。(爆) 世界で一番猫とゼルアメがだーい好きなあたしにはもろツボでしたvv で、どうでもいい話ですが、4年前にあたしの愛猫がある日いなくなったんです。 その子、人一倍(猫一倍?)人懐っこい子でした。 現実的にはもう死んじゃったかもしれないけど、デージーみたいにいい人のそばにいてくれたらいいなと思えました。 それでは! |
8712 | 猫が大好きなんですね(^^) | 雫石 彼方 E-mail URL | 2002/7/23 23:19:45 |
記事番号8710へのコメント こんばんわ〜、読んでくださってありがとうございますv >主役の猫さん可愛すぎ。(爆) やー、そう言っていただけると嬉しいですv 私オリキャラ作るのとか苦手なんですが、この猫さんは割と上手くできたかなーと自分でも気に入ってたりするんです(^^) >で、どうでもいい話ですが、4年前にあたしの愛猫がある日いなくなったんです。 >その子、人一倍(猫一倍?)人懐っこい子でした。 >現実的にはもう死んじゃったかもしれないけど、デージーみたいにいい人のそばにいてくれたらいいなと思えました。 私は金魚くらいしか生き物は飼ったことがないので、失った時の悲しみとかあんまりピンとこないのですが、よく家族みたいなもんだって言いますし、やっぱり突然いなくなっちゃったりすると物凄く悲しいんでしょうね。 うん、その猫さんも幸せだといいですねv ではでは、レス本当にありがとうございましたっ!! |
8731 | 猫にゃん。〈猫化中〉 | 三剣葉月 | 2002/8/2 20:45:29 |
記事番号8707へのコメント 雫石 彼方さんは No.8707「Daisy」で書きました。 > >時々こちらに出没させていただいています、雫石彼方です。 >今回もいつも通り、多分ゼルアメだと思います。 >・・・・多分。 初めまして。だにゃ。 >というのも、猫さん主役・視点の話だから。ゼルアメ『風味』と言った方がいいのかもしれません・・・。 >ちなみに今回も元にしたというか一節をお借りしてる曲がありまして、前回と同じくまた白鳥さんの曲だったりι >なんだか私この方の曲しか聴いてないみたいですが、普通に流行りの歌も聴いてるのですよ;でも白鳥さんの曲はインスピレーションを刺激するものが多いので、ついつい話の元にすることが多いんですよね。 > >ではでは、楽しんでいただければ幸いです。 > > > >*************************************** > > > >Daisy > > > > ぼくは白猫、デージー。 > ・・・・・そこ、笑うな。女みたいな名前だって、ぼくだってよくわかってるんだ。 > でも、しょうがないだろ?ぼくに名前を付けたロージーは、オスだのメスだの見分けられるような大人じゃなかったんだから。 > ロージーは、小さな女の子だった。・・・・・もっと小さなぼくが言うのも何なんだけどさ。だから名前の付け方も単純で、彼女がよく歌っていた歌から取ったことは一目瞭然だった。 〉 > それが本当にある歌なのか、彼女が勝手に作った歌なのかはぼくにはわからないけれど。 > > > pretty little Daisy いつだって > わがまま ばかり 言ってる > pretty little Daisy あなたには > わたしが 必要ね > > > いつもどこに行くにも一緒だった。覚束ない足取りで走り回る彼女はとても危なっかしくて、全く手のかかるオヒメサマだったよ。こっちの苦労も知らないで、呑気にいつもの歌を歌う彼女に“それはぼくが言いたいよ”、と何度心の中で思ったことか。 でも、彼女が、好きだった。のかにゃ。 > > ・・・・・でも、笑うとおひさまみたいにあったかい感じのする女の子だった。 > 大好き、だったんだ。 うらやましいにゃ。好きな人が、居ていいにゃ。 > > > > > > > > > > > > ――――でも、ロージーは。 > 流行り病で、あっけなく死んだ。 > まだ5歳だった。 > なんでそんなに早く死ぬんだよ。人間のくせに。猫のぼくより先に逝くなんて、おかしいじゃないか。 悲にゃしいにゃ。 > ・・・・・バカロージー。 でも、好きだったんにゃら・・ にゃ―――――――――ん。悲にゃしいにゃ > > > > > > > > > > > それからしばらくは彼女との思い出残る地で過ごしたけれど、思うことがあってぼくは旅に出ることにした。 そうだにゃ。旅が1番にゃ。 > 広い世界のどこかには、ロージーのいる世界と繋がっているところがあるかもしれない。 にゃいかも知れないにゃ。 > オヒメサマはとても明るい元気な女の子だったけれど、でも同時にとても寂しがり屋だったから、ぼくが遊びに行けたならどんなに喜ぶだろう。 > だからぼくは、旅に出た。 いい旅に、にゃるといいにゃ。 > > > > > > > > > > 旅に出てから、どれくらい経っただろう。 > 街中を歩いていたぼくは、ふいにとても懐かしい歌を聞いた。 > > > pretty little Daisy いつだって > わがまま ばかり 言ってる > pretty little Daisy あなたには > わたしが 必要ね > > > ・・・・・ロージー? > 声の聞こえる方へと、ぼくは走った。途中匂ってきた魚の匂いにも目もくれず、物凄い勢いで吠え掛かってきた大きな犬にも怯むことなく、夢中で走った。 > そして。 > 辿り着いた先、歌っていたのは・・・・・・ロージーじゃなかった。 > 大人じゃないけど、ロージーよりは全然年上の、女。短い黒い髪に、いつか見た海みたいな色した瞳(め)。白い花――――あれは確か、ぼくと同じ名前の花――――を両手に抱えて、機嫌良さげに歌ってる。 アメリアにゃ。猫にも、優しいにゃ。 >「にゃー(おい、女)」 >「ん?わぁ、可愛い猫さん♪何か御用ですか?」 >「にゃあにゃあ(その歌を、なんで知ってるんだ?)」 >「なんて言ってるのかなぁ・・・・・お腹すいてるの?」 >「ニャー!!にゃあにゃにゃあ!!(違う!!なんでその歌を知ってるのかって聞いてるんだ!!)」 言葉、違うんにゃ。 >「んーーー・・・・・あ!そうか、迷子なんですね!!」 > ダメだ、この女・・・・・全然通じない・・・・・。 > がっくりしていると、女は更に勘違いをしたまま話を進める。 >「わかりました、わたしが一緒にお家を探してあげましょう!そうだ、それには名前がわかった方がいいですね。お名前は何ていうんですか?」 > にっこりにこにこ、おひさまみたいに笑う。 > ・・・・・ちょっと、ロージーに似てる。 > ぼくは気を取り直して、女が抱えてる花を爪を出さないようにしてちょいちょいと前足で突付いてやった。そして、一声。 >「にゃあ」 >「・・・・・え、この花・・・・・?デージー、ですけど・・・・・あ!猫さんのお名前も“デージー”っていうんですね!?」 良かったにゃ、通じたにゃ。 >「にゃあ」 > そうだと答えると、女はまた嬉しそうに笑った。 >「デージー、いい名前ですね!!わたしはアメリアっていいます、どうぞよろしく!」 > 名前を、誉められた。 > 悪い気は、しなかった。ロージーが付けてくれた名前だから。 うらやましいにゃ。 > > > > > > > > > > あめりあ。 > ロージーじゃない、でもロージーと似た笑顔の、変な女。 でも、いい人にゃ。 > あの後、ぼくの家を探して街中を探し回った。日が暮れるまで探し回って、でも見つけられなかった。当たり前だ、見つかるはずない。だってぼくの家は、ここにはないんだから。 > なのにあいつときたらまるで自分のことみたいにしょんぼりして、泣きそうになってる。 > バカだな、ぼくは迷子なんかじゃないってのに。大体、おまえがそんなに落ち込むことないだろ。 > もういいから、そう言おうとしたら、誰かがあめりあの名前を呼んだ。 > 振り向くと、白尽くめの変な奴。すごく怪しい。 > でもあめりあは、嬉しそうにそいつの名前らしき言葉(長ったらしくてよくわかんなかったんだ)を叫んでそいつに飛びついた。 > その後の会話から推測すると、この二人は一緒に旅してて、なかなか帰ってこないあめりあを心配して白い奴が探しに来たらしい。 ゼリュしゃんだ。〈←ゼルさんだ。と言いたい。〉 > ・・・・・見た目ほど、悪い奴じゃないのかもな。 そうだにゃ。いい人にゃ。 > 実際、ぼくの家が見つからないと遂に泣き出したあめりあの頭を撫でてから、しゃがんでぼくを覗き込んだその瞳(め)は、優しい色をしていた。 >「おいアメリア、こいつ本当に飼い猫なのか?」 >「だと思いますけど・・・・・・どうしてですか?」 >「飼い猫にしちゃ汚れてる。毛並みも不揃いだし。・・・・・ま、人懐っこいから昔は飼い猫だったのかもしれんが、今は野良なんじゃないか?」 しゃしゅがゼリュしゃん。 > おお、すごいぞおまえ!!ぴったりだ!! >「え・・・・・そうなんですか?」 >「にゃあ」 >「わあ、すごーい!!そうだって言ってますよ!!ゼルガディスさん、よくわかりましたね!!」 >「・・・・・別に」 > ぼそっと答えて、そっぽ向く白い奴。 > 照れ屋なんだな。赤くなってら。 照れ屋だにゃ。 >「ほら、これで気は済んだだろう。そろそろ戻るぞ」 >「はい、明日はこの先の遺跡に行かなきゃですもんね!!今度こそクレアバイブルの写本、見つかるといいですね!!」 > ・・・・・くれあばいぶる? >「にゃあ?(なんだ、それ?)」 >「ん?クレアバイブルの写本、ですか?んーーーと・・・・・・あらゆる知識が書いてある、すごーい本のことです!」 >「おまえ、略しすぎ」 > 白い奴が呆れ顔で何か言ったけど、とりあえず置いておいて。 > あらゆる知識か・・・・・きっと、食べても食べてもなくならない魚の作り方とか、猫が人間の言葉を喋る方法とか書いてあるんだ。 そうだといいにゃ。 > ・・・・・・じゃあ、ロージーのいる世界に自由に行き来する方法も、書いてあるかな? > だとしたら、ぼくもそれを見てみたい。 でも、それは、無理だにゃ。 > > > > > > > > > > またねと手を振って歩き出すあめりあと、少し先を行く白い奴。 > その後ろをついて行く、ぼく。 つれって、ほしいにゃ。 >「猫さん、ついてきてますね」 >「おまえが構いすぎるからだろ。ったく、だからいつも余計なことに首は突っ込むなと・・・・・」 > ぶつぶつぶつ、説教してる白い奴。 > 苦笑しながらそれでも大人しく聞いてる、あめりあ。 > その後ろをついて行く、ぼく。 > あめりあが振り返って、目が合った。立ち止まって、ぼくの前にしゃがみ込む。 > >「猫さん、ついてきちゃダメですよ」 行きたいにゃ。 > > くれあばいぶるを、見たいんだ。 見たいにゃ。 > >「わたし達、旅をしてるんです。とても長い距離を歩くんですよ」 > > > ぼくだって、旅をしてずっと歩いてきた。どこまでだって行けるさ。 > > >「それに、とても危険な旅なんです」 > > > 構うもんか。 > だって。 > > > > > > > > > > > > > > > > > ぼくは、ロージーに会うんだ。 ぼくは、アミスに、会うんだ。 > > > > > > > > > > > > > > > > だから、連れていってくれよ。 連れてって、欲しいにゃ。 >「にゃあ」 > > 海みたいな色した瞳(め)が、一回瞬きした。 > 手が伸びて頭をそっと撫でられたと思ったら、ぼくと同じ名前の白い花と一緒に、ぼくはあめりあに抱え上げられていた。 >「ゼルガディスさん、連れて行っちゃダメですか?」 >「ペット連れで旅ができると思うか」 >「・・・・・・・・」 >「猫の歩幅なんかに合わせて歩いた日にゃ、一生かかったってクレアバイブルの写本は見つからんだろうし」 >「・・・・・・・・」 >「危険な旅だ。それでも」 >「連れていって、あげたいんです。きっと何かあるんですよ」 > 交錯する、瞳(め)と瞳(め)。 > 一拍置いて、白い奴が溜息を吐いた。 >「・・・・・・勝手にしろ」 > あめりあが、ぱぁっと笑った。 > ・・・・・やっぱり、ロージーみたいだと思った。 よっかたにゃ。 > > > > > > > > > >「猫さん、これから一緒に旅ができますね!!」 > ああ、良かった。これで、ロージーに一歩、近付いた。 > ・・・・・ところで、さっきから気になってたんだけどさ。 > ちょいちょい、また前足で花を突付く。 >「にゃあ」 > さっきも言ったけど、ぼくの名前は“猫さん”じゃなくて、デージーって言うんだぜ。 うらやましにゃ。 > > > > > > > > > > > > >「これから、よろしくお願いしますね、デージー!!」 > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > ぼくの新しい旅が、始まった。 がんばってにゃ。 僕も、頑張って、アミスを探すにゃ。 > > > 先生も頑張ってにゃ。 |
8750 | 遅くなってすみません; | 雫石 彼方 E-mail URL | 2002/8/10 22:42:26 |
記事番号8731へのコメント はじめまして、こんにちは。 お返事随分遅くなってしまってすみません。 カキコどうもありがとうございましたー。 猫化してのレス、デージーに共鳴していただけたんでしょうか。 どこまでも純粋でどこまでも愚かな白猫デージー、気に入っていただけたのなら嬉しいです。 では、短いですがこの辺で。 また何か投稿させていただいた際には読んでいただければ幸いです。 ありがとうございました。 |