◆−あなたの望みは何ですか? 第三十九話−amy (2002/8/12 01:09:57) No.8755 ┣はじめまして〜。−雷甲子 (2002/8/14 09:12:16) No.8775 ┃┗どうも、初めまして!−amy (2002/8/16 12:38:46) No.8795 ┣ご、ご無沙汰してます−鎖夢 (2002/8/15 15:51:40) No.8782 ┃┗お久しぶりです!−amy (2002/8/16 12:44:23) No.8796 ┗あなたの望みは何ですか? 第四十話−amy (2002/8/16 15:39:01) No.8802 ┣続き…v(^ ^−秋茄 (2002/8/16 21:03:00) No.8804 ┃┗こんにちは!−amy (2002/8/18 20:23:18) No.8819 ┗あなたの望みは何ですか? 第四十一話−amy (2002/8/18 21:34:38) No.8823 ┣Re:あなたの望みは何ですか? 第四十一話−空無 (2002/8/19 19:41:38) No.8829 ┃┗どうも初めまして!−amy (2002/8/21 19:15:22) NEW No.8841 ┗きゃあっ(*^▽^*)−鎖夢 (2002/8/22 11:52:18) NEW No.8843
8755 | あなたの望みは何ですか? 第三十九話 | amy E-mail | 2002/8/12 01:09:57 |
随分と長いこと放置していました、、、すみません。 こんな小説を待っていて下さっていた心優しい方、本当に申し訳ありませ んでした。これから続き書きます。 何故だか当初の予定をはるかに上回って超長編になってます。 本当はもっと短く終わる予定だったのに、、、、(ーー;) 本当にこの話が終わるのかどうかさえ危ういです(泣) こんな私ですがこれからも頑張るので、どうか見捨てないでやって下さい ませ、、、、、(土下座) 〜注意〜 これはゼロゼルのシリアスです。 いわゆる「やおい」というか、、、、 、、、今回はその要素がありますし、、、、 そういう系統が苦手な方はお控え下さい。 また、この注意を無視して苦情を言われても、 私は一切責任をとりません。 非難・中傷のメールもどうかご遠慮下さい。 では、どうぞ。 ================================== 胴から下が消えたとはいえ、相手は精神生命体。 死ぬことなどなく、苦しみつつもそこに浮いたまま生き長らえている。 その目の前に、体力も魔力も尽きて倒れ伏す、俺。 まずい、ひどくまずい展開だ。 ラグナ・ブレードを食らってもまだ存在できるということは相当な上級魔 族であるということ。 その目の前に、俺は成す術もなく倒れ付しているのだ。 激しい魔力の消耗で、体は言う事を聞きそうにない。 駄目だ、俺自身にはどうしようもない、、、、ミルガズィア! 我ながら情けないと思いつつも、ミルガズィアに助けを求めようと視線を 走らせる。 すると、少し離れた場所でミルガズィアは他の誰かと対峙していた。 ミルガズィアもこちらを気にしているらしく、ちらりとこちらを見る。 その目が俺の視線とかち合った。 、、、、、どうやら本気でまずい展開のようだ。 ミルガズィアは俺の気付かないうちに現れた敵がいてこちらに来れない。 無論のこと、彼の援護は期待できない。 そして、、、、、 ちらりと目の前を見上げた。 そこには空中に浮かびつつ苦しむ水色の髪の魔族。 こいつが今、苦しんでくれているのは助かるが、、、、、、 こちらも動けない。 魔族がこちらに攻撃を仕掛ける前に自分はここから少しでも距離を取るら なければいけないというのに。 ちっと小さく舌打ちをし、何とかして体を動かそうと腕に力を入れたその 時だった。 ばっ!と音がなりそうな程の勢いで魔族がこちらを睨み付けてくる。 びくり、と自分の体が軽く痙攣したのを自覚した。 魔族が高々と片腕を振り上げた。 その手の平には燃えるように赤い光が強く瞬いている。 一瞬にして、自分がそれに吹き飛ばされて魂の抜け殻と化すのが想像でき た。 死ぬ。 覚悟にも似た感情で、俺はぎゅっと強く目を閉じようとした。 しかし。 しゅんっ! 魔族の空間移動特有の音と共に、目の前に黒い影が出現する。 それはどう見ても黒いマントを羽織った人間の後ろ姿。 しかもその姿は自分を庇った形で。 どういうことだ? 一瞬のできごとに混乱し、わけもわからぬままさらに上を見上げる。 肩で切りそろえた、黒髪の男。 「、、、、、ゼロス?」 思わず男の名を口に出した瞬間、カッと辺りが赤い光に包まれた。 目を開けているのがやっとという凄まじい光の中、俺はゼロスが杖を振り 上げるのを見た。 俺が切り落とした腕はやはりまだ再生されておらず、残ったもう片方の腕 で杖を振り上げている。 言葉では表現できない奇妙な音の中、杖にピシピシピシッとヒビが入っ た。 比例して、赤い光もどんどん弱まって行く。 何だ?どういうことだ? 何故ここにゼロスがいる? 何故ゼロスが俺の盾になっている? 何故、、、、、、 『何故』という言葉がぐるぐると頭の中を回って行く。 わけも分からぬまま、俺は呆然と動かない体でゼロスの後ろ姿を見上げて いた。 やがて赤い光はすっかり収まり、全体に細かくたくさんのヒビが入った杖 だけが残る。 それも束の間のことで、すぐにミシミシイッ!と音を立てながらバラバラ に砕け散ってしまった。 、、、、、まだ続いてしまいます。 本当に長ったらしくてすみません(ーー;) |
8775 | はじめまして〜。 | 雷甲子 | 2002/8/14 09:12:16 |
記事番号8755へのコメント はじめまして、雷甲子と申します。以前からよませていただいていたのですが レスは初めてです〜よろしくお願いします。 > その手の平には燃えるように赤い光が強く瞬いている。 > 一瞬にして、自分がそれに吹き飛ばされて魂の抜け殻と化すのが想像でき >た。 うわあ!!!ゼルピンチだ!!!ゼロス助けてやってくれ!!!(おい) > 死ぬ。 > 覚悟にも似た感情で、俺はぎゅっと強く目を閉じようとした。 > しかし。 > しゅんっ! > 魔族の空間移動特有の音と共に、目の前に黒い影が出現する。 > それはどう見ても黒いマントを羽織った人間の後ろ姿。 > しかもその姿は自分を庇った形で。 > どういうことだ? > 一瞬のできごとに混乱し、わけもわからぬままさらに上を見上げる。 > 肩で切りそろえた、黒髪の男。 >「、、、、、ゼロス?」 ゼロス!!いやイイタイミングだ!!やっぱり愛のパワー?!!(意味不明) > 思わず男の名を口に出した瞬間、カッと辺りが赤い光に包まれた。 > 目を開けているのがやっとという凄まじい光の中、俺はゼロスが杖を振り >上げるのを見た。 > 俺が切り落とした腕はやはりまだ再生されておらず、残ったもう片方の腕 >で杖を振り上げている。 > 言葉では表現できない奇妙な音の中、杖にピシピシピシッとヒビが入っ >た。 > 比例して、赤い光もどんどん弱まって行く。 > 何だ?どういうことだ? > 何故ここにゼロスがいる? > 何故ゼロスが俺の盾になっている? > 何故、、、、、、 > 『何故』という言葉がぐるぐると頭の中を回って行く。 > わけも分からぬまま、俺は呆然と動かない体でゼロスの後ろ姿を見上げて >いた。 決まってるじゃないかゼル。ゼロスが君を愛してるからだよ☆(爆滅) > やがて赤い光はすっかり収まり、全体に細かくたくさんのヒビが入った杖 >だけが残る。 > それも束の間のことで、すぐにミシミシイッ!と音を立てながらバラバラ >に砕け散ってしまった。 ええ?!!!大丈夫なのか?!!!うわあすごい気になる!!!! >、、、、、まだ続いてしまいます。 >本当に長ったらしくてすみません(ーー;) 長ったらしくなんかないです。次回すっごく楽しみです☆ |
8795 | どうも、初めまして! | amy E-mail | 2002/8/16 12:38:46 |
記事番号8775へのコメント 雷甲子さんへ >はじめまして、雷甲子と申します。以前からよませていただいていたのですが >レスは初めてです〜よろしくお願いします。 こちらこそどうも初めまして! 以前から読んで下さっていたんですね。 どうもありがとうございます!! 早速レスをば(笑) >> 死ぬ。 >> 覚悟にも似た感情で、俺はぎゅっと強く目を閉じようとした。 >> しかし。 >> しゅんっ! >> 魔族の空間移動特有の音と共に、目の前に黒い影が出現する。 >> それはどう見ても黒いマントを羽織った人間の後ろ姿。 >> しかもその姿は自分を庇った形で。 >> どういうことだ? >> 一瞬のできごとに混乱し、わけもわからぬままさらに上を見上げる。 >> 肩で切りそろえた、黒髪の男。 >>「、、、、、ゼロス?」 > >ゼロス!!いやイイタイミングだ!!やっぱり愛のパワー?!!(意味不明) 愛のパワーでございます! ゼロスの努力の積み重ね、、、、、 それは聞くも涙、語るも涙の、、、、(笑) >> 思わず男の名を口に出した瞬間、カッと辺りが赤い光に包まれた。 >> 目を開けているのがやっとという凄まじい光の中、俺はゼロスが杖を振り >>上げるのを見た。 >> 俺が切り落とした腕はやはりまだ再生されておらず、残ったもう片方の腕 >>で杖を振り上げている。 >> 言葉では表現できない奇妙な音の中、杖にピシピシピシッとヒビが入っ >>た。 >> 比例して、赤い光もどんどん弱まって行く。 >> 何だ?どういうことだ? >> 何故ここにゼロスがいる? >> 何故ゼロスが俺の盾になっている? >> 何故、、、、、、 >> 『何故』という言葉がぐるぐると頭の中を回って行く。 >> わけも分からぬまま、俺は呆然と動かない体でゼロスの後ろ姿を見上げて >>いた。 > >決まってるじゃないかゼル。ゼロスが君を愛してるからだよ☆(爆滅) その通り! でも気付いてくれないゼル。 ゼロス君、なかなか報われません(おい) >ええ?!!!大丈夫なのか?!!!うわあすごい気になる!!!! ふふふ、、、さてどうでしょう。 それは次回まで秘密です(笑) >長ったらしくなんかないです。次回すっごく楽しみです☆ そう言っていただけると本当に救われます。 これからも頑張って投稿していきますので、 どうぞよろしくお願いします!! 短いですが、これにて amyより |
8782 | ご、ご無沙汰してます | 鎖夢 E-mail URL | 2002/8/15 15:51:40 |
記事番号8755へのコメント amyさん、こんにちは。 ず〜っと前に感想書かせていただいた鎖夢です。 わ、忘れ去られちゃってますよね、きっと……。 PC壊れて、ネット落ちしてる間に、随分進んでしまわれたのですね。 でも、やっと続き読めて幸せでしたvvずっとPC使えなかったので……(涙) 読んでる最中、ドキドキしっぱなしでした。 ゼルピンチだし、ゼロスかっこいいしっvv ゼロスがゼル庇って出てきた瞬間、思わず叫びそうになりました(^^;) しかし、杖砕けちゃったのですね。あううう。 あれって、やっぱりゼロスの一部なんでしょうか…。 続き、めちゃめちゃ期待させていただきますvv 余談なのですが、最近ゼロゼルはまり具合がかなり重症になってきて、 今サイトでそのページ作ってます(笑) しかも勢い余って同盟なんてたちあげてしまいました(-_-;) 今日立ち上げたばっかりで、まだ誰もいませんが…(滝汗) ひっそりと活動してますんで、もしよければ遊びに来てくださいませvv http://yokohama.cool.ne.jp/d_project/xelzel/union.htm ですm(__)m |
8796 | お久しぶりです! | amy E-mail | 2002/8/16 12:44:23 |
記事番号8782へのコメント 鎖夢さんへ >amyさん、こんにちは。 >ず〜っと前に感想書かせていただいた鎖夢です。 >わ、忘れ去られちゃってますよね、きっと……。 >PC壊れて、ネット落ちしてる間に、随分進んでしまわれたのですね。 >でも、やっと続き読めて幸せでしたvvずっとPC使えなかったので……(涙) どうもお久しぶりです! 忘れてなんかいませんよ、ちゃんと覚えてます(笑) パソ、壊れてたんですか、直ったようで良かったですね(^▽^) >読んでる最中、ドキドキしっぱなしでした。 >ゼルピンチだし、ゼロスかっこいいしっvv >ゼロスがゼル庇って出てきた瞬間、思わず叫びそうになりました(^^;) >しかし、杖砕けちゃったのですね。あううう。 >あれって、やっぱりゼロスの一部なんでしょうか…。 ゼロスがゼルを助けに来たシーンはどうやら人気があるようです(笑) 皆さんに気に入っていただけて本当に幸いです。 杖、砕けちゃいました(ーー;) はい、そうです。体の一部です。 きっと痛いんでしょうねえ、、、(おい) >続き、めちゃめちゃ期待させていただきますvv ありがとうございます♪ でもあんまり期待し過ぎるとガッカリしちゃいますよ?(おい) >余談なのですが、最近ゼロゼルはまり具合がかなり重症になってきて、 >今サイトでそのページ作ってます(笑) >しかも勢い余って同盟なんてたちあげてしまいました(-_-;) >今日立ち上げたばっかりで、まだ誰もいませんが…(滝汗) >ひっそりと活動してますんで、もしよければ遊びに来てくださいませvv ゼロゼルの同盟!? 立ち上げたんですか!?(嬉) 行きます!今から行きます! そんでもって登録します!絶対です!はい!(興奮) ゼロゼルがこうして布教していくのが私の夢です!(笑) 本当にありがとうございますううううう!(感激) これから登録に向かわせて頂きますね、でわ! amyより(笑) |
8802 | あなたの望みは何ですか? 第四十話 | amy E-mail | 2002/8/16 15:39:01 |
記事番号8755へのコメント アリシアは走った。 精一杯、力の限り、全速力で。 今までの、そう長くもない人生を振り返ってみても、これ程早く長い距離 を走ったことはなかった。 撒いてきたドラゴン達に捕まらないように、早く、早く。 そのスピードは女性にしては十分過ぎる程に早かったが、それでもアリシ アは思った。 ああ、私は何て足が遅いんだろう。何て体力がないんだろう。 これじゃあ到底ドラゴンの翼に勝てっこないじゃない。 当然だった。 人間の足でドラゴンの翼に勝てるはずもない。 それでもアリシアは思ったのだ。 ドラゴン達の翼に勝たなければいけない、と。 早く行かなきゃ、早く、早く、もっと早く。 氷の大地へ、ゼルガディスさんの所へ。 今は亡き、アメリア様のためにも。 自分の、ためにも。 起伏の多い山の斜面を半ば滑り落ちるかのように下りながら、アリシアは 息を切らせてそれでも走った。 早く、早く、氷の大地へ、早くしないと。 何の理由もなく心を締め上げる不安感を、アリシアは完璧に信用してい た。 祖母に言われたことがある、自分には巫女の資質があると。 自分の直感を何よりも大切になさいと、それはきっと天のお導きなのだか ら、と。 そう、言われた。 そしてその直感が今、最も強く訴えている。 自分は、今、ゼルガディスの元へ行かなければいけない。 アリシアは今、その直感に従っていた。 例え足がもげ落ちることになっても、アリシアは走り続けただろう。 手で這ってでも、ゼルガディスの元へ急いだだろう。 だから。 (急がなきゃ、早くしないと間に合わない!) 何に間に合わないのか、アリシアの直感でもそれは分からなかった。 けれど、それがとても大事まことは分かる。 取り返しの付かないことになるのは、分かる。 ひたすら走り続けて、筋肉はすでに痛みに悲鳴を上げていた。 その時だった。 がごこおん、、、、、 音と共に視界が大きく揺れた。 混乱する頭と共に、そのまま視線が下がって行くのを感じる。 (落ちる、、、、、、っ?!) そう、アリシアは落ちていた。 踏み締めた大地が大きな塊のままもげ、アリシアと共に下へ落下する。 斜面の下は崖になっていた。 下に川は流れていない。 落ちたら、、、、即死。 嫌だ! アリシアは思った。 嫌だ!死んだら間に合わない! 思いとは裏腹に、アリシアの体は重力に従って放物線を描きながら崖の下 へと落下して行く。 地面と御対面するまで後数メートルというその時。 ひゅおおおううっ! 凄まじい風切り音と同時に、金色の物体が目の前を滑空した。 それはアリシアの体を柔らかく受け止めて、勢いのままに空中へと飛翔す る。 思わず瞳を閉じていたアリシアは、そこでやっと瞼を持ち上げた。 目の前には金色の鱗がひしめき合っている。 金色の、鱗? 「大丈夫?」 くぐもった女性の声で問われ、アリシアは全身を硬直させた。 この声は、、、先程の女性ドラゴンの声。 「下ろして!今すぐ!」 大きな声でアリシアは怒鳴った。 全身の筋肉が硬直していて暴れることはできなかったけれど、それでも叫 んだ。 「私は氷の大地へ行くの!ゼルガディスさんに会うの!」 あまりの大声に咽が痛んだけれど、アリシアは気にもとめなかった。 「私は元の場所へは戻りません!下ろして!」 「落ち着きなさい」 アリシアの怒鳴り声とは正反対に、ドラゴンは冷静な声でつぶやいた。 「貴方が行っても意味はないわ。足手纏いになるだけ」 冷静なその物言いに、アリシアは腹を立てた。 そう、貴方には分からない。 これは私の直感。 理屈なんてどうでもいい。 私は、行かなければいけない。 もうドラゴンと問答をする気はなかった。 硬直して足が動かないのをうっちゃって、アリシアは腕に体重をかけた。 匍匐前進の要領で体をずりずりと引きずる。 気付いたドラゴンが慌てたように目だけでこちらを振り向いた。 アリシアは気にもせず、そのまま宙に身を踊らせる。 「!」 ドラゴンが大慌てでアリシアを追跡した。 先程と同じ様にアリシアの下で滑空し、すくい上げるように受け止めて大 空に舞う。 アリシアはまた叫んだ。 「下ろして!」 「黙りなさい!」 ピシャッと言ったドラゴンの声に、アリシアは体を震わせた。 そう、相手はドラゴン。 自分には勝てるはずもない生物なのだ。 小さな恐怖が体を震わせた。 しかし、その様子に気付いたドラゴンは先程と打って変わって優しい声を 出す。 「、、、いいでしょう。連れて行ってあげます。 現実を見れば、きっと、諦めもつくわ」 そういう問題じゃないのだとアリシアは思ったが、口には出さなかった。 いや、出せなかった。 ゼルガディスの元へ連れて行ってもらえるのだと理解した瞬間から体の疲 れがどっと押し寄せてきて、アリシアは睡魔に勝てずに眠りこけていた。 ドラゴンはやれやれと苦笑して、約束通り、氷の大地へと進路を変更させ た。 砕けたゼロスの杖はゆるりと蜃気楼のように揺れて、ほどなく空に溶けて 消えてしまった。 呆然とその杖が消えるのを目で見て、俺はゆっくりと視線をゼロスに戻 す。 、、、、、何故だ? またあの問いが脳裏を掠めた。 何故、お前が俺を身を挺してまで守るんだ? 俺はお前のその腕を先程切り落とした張本人なんだぞ? 『貴方が好きです』 昔、ゼロスに言われた言葉が耳元で小さく蘇った。 馬鹿馬鹿しい。 魔族のお前が、そんな人間のような感情、抱くはずもない。 俺のことが『好き』なわけじゃない。 ただ執着していただけだ。 それを言い表わす言葉が見つけられなくて、『好き』と言ったにすぎな いんだろう? ただ、それだけに、、、、、、、すぎない、はずだ。 ゆっくりとその場に崩れ落ちるゼロスを見て、俺はそう思った。 何故? 思っても体は勝ってに動き、倒れ込んだゼロスの肩を掴む。 何故、魔族の側を裏切った? 創造主には絶対の忠誠を誓っているんだろう? 裏切ったら、、、、精神生命体のお前は滅んでしまうのに。 掴んだ肩をこちらへ引き寄せる。 仰向けになったゼロスの、青白い顔が見えた。 何故? 理解できなかった。 少し離れた場所では同じく倒れた女魔族があった。 ゆっくりとそれは砂のようにざらざらと崩れて行き、やがて風に乗って消 えてしまう。 全て消えたのを見届けてから、俺はもう一度ゼロスの顔に視線を落とし た。 「、、、、、、何故?」 言葉にした。 ゼロスがうっすらと目を開く。 小さく笑った。 「何故だ?」 もう一度繰り替えした。 ゼロスは目を閉じて、また微笑んだ。 随分と幸せそうで、まるで魔族じゃないみたいだった。 ゼロスはひどく、満足げに息をついた。 「、、、、僕は、まだ、大丈夫ですよ」 そんなことは聞いていないのに。 そう不満を口にしようとして、すぐに視線を横へ走らせた。 強い殺気。 そこにはまた一匹の魔族がいた。 距離はあるが、魔族にはこんな物質的な距離など意味がないだろう。 その魔族のさらに向こう側には、ミルガズィアと別の魔族の激しい攻防が 繰り広げられていた。 まだ体は満足に動きそうにない。 魔力も当然、回復していなかった。 「ゼルガディスさん、下がって、、、、」 自分もまともに動けないくせに、ゼロスは小さくつぶやいた。 馬鹿じゃないか、こいつ。 俺はそう思った。 いっそのことそう怒鳴ってやりたかったけれど、声が咽に貼り付いていた ので諦める。 ゆっくりと、俺は立ち上がろうとした。 続く |
8804 | 続き…v(^ ^ | 秋茄 | 2002/8/16 21:03:00 |
記事番号8802へのコメント こんにちわ! ふらりと来て見たら!続きを書かれていたのでさっそく読ませて頂きました! ゼルの前に庇う形で出て来たゼロスに 思わずパソコン画面前で仰け反る秋茄 ど・・・っどきどきですね!!! すごく印象深いシーンですvv 私は根っからのゼルアメ狂なのですが、 ルクミリに続いてゼルゼロにもハマってきました…v 絶対結ばれない切なさとそれでも思いつづけるゼロスが…!!(妄想;) 「貴方が好きです」 という言葉がなんとも切なくて… クライマックスが…近いのでしょうか!? なみにのって、読むスピードも以前以上アップしてきました…! 続きがすごく読みたいです…!! けど終わってしまうのは悲しいです〜…!! でも読みたいです!!(どっちやねん − −) 影ながら応援してます!! 勝手に浸ってるし、走り書きのような文章ですみません…! ではではっ(>ワ<) |
8819 | こんにちは! | amy E-mail | 2002/8/18 20:23:18 |
記事番号8804へのコメント 秋茄さんへ >こんにちわ! >ふらりと来て見たら!続きを書かれていたのでさっそく読ませて頂きました! こんにちは!感想ありがとうございました! 長い間お待たせしてしまってすみません(苦笑) >私は根っからのゼルアメ狂なのですが、 >ルクミリに続いてゼルゼロにもハマってきました…v >絶対結ばれない切なさとそれでも思いつづけるゼロスが…!!(妄想;) >「貴方が好きです」 >という言葉がなんとも切なくて… 私もルクミリ結構好きなんですー! ミリーナが死んじゃった時は涙ものでした、、、、(泣) 絶対結ばれっこないのにそれでも頑張るゼロス君。 果たして彼は報われるのか!?以下次号!(CM風味) >クライマックスが…近いのでしょうか!? >なみにのって、読むスピードも以前以上アップしてきました…! >続きがすごく読みたいです…!! >けど終わってしまうのは悲しいです〜…!! >でも読みたいです!!(どっちやねん − −) >影ながら応援してます!! はい、やっとこさクライマックスに近付きました、、、、 連載始めたのが去年の暮れ、、、もう8ヶ月以上経っています。 こんなに終了の遅い作品、初めてかも、、、、(T_T) 応援、あとがとうございます!!(嬉) >勝手に浸ってるし、走り書きのような文章ですみません…! >ではではっ(>ワ<) いえいえ、本当に嬉しかったです。 これからもどうぞよろしくお願いします! 短いですが、これにて。 ではでは amyより |
8823 | あなたの望みは何ですか? 第四十一話 | amy E-mail | 2002/8/18 21:34:38 |
記事番号8802へのコメント 欲しかったのは何だっただろう。 平穏、幸福、閑静な家、穏やかなる日々、、、、、、、 どれもこれも自分とは懸け離れていて、どうにも上手く想像できない。 具体的に何が欲しかったかと聞かれれば、昔は力が欲しかった。 強くなりたかったのだ、できうるのなら、誰よりも。 その次は人間としての体を求めた。 手の平から滑り落ちた『ごくごく当たり前』の自分の姿を。 自分の姿を大事に思ったことなどなかったのに、失った途端にそれが大切 で大切でたまらなくなった。 早い話がいつも無い物ねだりをしていたということだ。 自分に無いものを欲しいと思い、渇望する。 これは人間として当然のことであったかもしれない。 けれど、、、、、自分は間違えたのだ。 大事な大事な一歩を踏み外して、最初は踏み外したことにすら気付かな かった。 だから、こうなった。 今はもう、自分の元の姿に執着はほとんどない。 全くないと言えば嘘になるが、それでも。 そしてまた、力を望んだ。 堂々回りだ。 意味が無い。 けれどもう、俺は後退する術を忘れてしまったのだ。 何度も何度も振り返り、ひたすらに懐かしむことしかできない。 それがいいことなのか、はたまた悪いことなのか、それすら自身では判断 できない。 結局はそうなんだ。 目を閉じる。 途端に瞼の裏を過る数少ない人々。 アメリア、リナ、ガウリイ、シルフィール、フィリア、ゾルフ、ロディマ ス。 、、、、、、、、、正直に言おう、大切だった。 とてもとても、大事だった。 しかし。 目を開く。 自嘲の笑みはひどく酷薄に口元を歪ませた。 大切であればあるほど、それはこの手をすり抜けて遠く儚く消えてしま う。 自分が関わらなければいいのではないかと、心の片隅で誰かが囁いた。 結局は、それも無意味だったけれども。 ゆっくりと両足に力を入れ、よろよろしながらも膝立ちになる。 少し離れた場所で微かに宙に浮いている魔族から目は離さない。 俺が立ち上がろうといているのを見て、ゼロスは焦ったように片腕を地面 においた。 どうやら片腕だけで体を起こそうとしているらしい。 お互いに無茶をやっているな、と苦笑した。 膝立ちの状態からさらに体を起こそうと、ゆっくりと片足を上げる。 途端にグラリと視界がぶれた。 (駄目か、、、、) 立てないことに悔しさを感じないどころか諦めた吐息が口をついて出る。 咄嗟にゼロスが俺を支えようとして失敗していた。 どざっ 横倒れになって、俺は小さく息を飲む。 側頭部をぶつけた。 大地に耳をぴったりとつけた状態でいると、地鳴りがひどく近く聞こえ た。 どこかでエルフ達が大移動しているに違い無い。 どこか冷静にそんなことを考え、痛みに舌打ちして魔族を睨み上げた。 余裕の笑みを貼り付かせたそれは、きちんと人間の姿をしている。 腰まで伸びた長い黒髪、白く細い顔はどこか頼り無気で、それでも男と分 かる容姿。 無論、魔族に性別などないのだが。 漆黒のローブにも似た服を翻し、その魔族はこちらへ一歩進めた。 たったの、一歩。 到底こちらから手を伸ばしても触れられるはずもない距離で、魔族はこち らへ手の平を翳した。 俺には目もくれず、ゼロスを警戒しながらも、その目はひどく楽し気だ。 「、、、、僕はどうも、、、同僚に嫌われるタチのようでしてね、、、、」 ゼロスがポツリと俺につぶやいた。 今にも「やれやれ」と言いながら両肩をすくめそうなのんきな声だ。 「見れば分かる、、、、、」 俺も小さくつぶやき返した。 魔族の伸ばした手がうっすらと青白く光るのを見つめながら。 ドラゴンの背中の上で、アリシアは目を覚ました。 どうやら自分は眠ってしまっていたらしい。 実際に眠っていたのはものの10分程だが、アリシアには随分長い時間寝 ていたように感じられた。 まだ空を飛翔しているドラゴンに向かって、アリシアは大声を張り上げ る。 そうしなければ凄まじい風切り音で声がかき消されてしまうからだ。 「後どれくらいなんですか!?」 「もう着いているわ。探してるのよ、ミルガズィア様と一緒にいるはずだか ら」 冷静なドラゴンのその声に、微かに焦りが含まれていた。 アリシアはそっと下を盗み見る。 目が眩みそうな程高かった。 レビテーションは使えても、レイ・ウィングは使えないアリシアは、こん なに高い所を飛んだことがなかった。 この辺りで一番高い山の頂上から下を見たって、これ程高くはないだろ う。 そう思った途端に、向こうの方から爆発音が聞こえた。 どおおんっっ! 咄嗟に向いたその方向に火花が散り、黒い雲がもくもくと覆っている。 その巨大な黒雲から、何かがボトリと落ちた。 見ると黒焦げになった中型のドラゴンだった。 「、、、、、現実よ、これがね」 思わずうっ、と呻いて口元を覆ったアリシアに、ドラゴンの女は小さくつ ぶやいた。 どこか諦めた口調だった。 「、、、、、、、、」 思わず黙り込むアリシアをちらりと見て、ドラゴンはまた下を睨む。 ミルガズィアを必死になって探していた。 アリシアからすれば地面にいるどの生き物も黒い小さな点にしか見えな い。 だがしかし。 「、、、、、、いたっ」 ドラゴンが小さく声を上げた。 見えないと承知してはいたが、それでもアリシアは身を乗り出して下を覗 き込む。 やはり見えない。 けれどそこには5つの点があった。 うち2つが何やら激しく動き回っており、3つが一ケ所に固まっている。 目で追うのにも苦労する2つの点は諦め、3つの方を凝視した。 どうやら3つのうちの2つは白と黒の服を着ているように見えた。 白。 「ゼルガディスさん!!」 思わずアリシアは絶叫した。 当然ながら、彼等にこの声は届かない。 「下ろして下さい、ここで、早く!」 ドラゴンに向かって喚くようにアリシアは言った。 ドラゴンは一瞬躊躇った後、少しづつ下降していく。 アリシアの目にも、段々3つの点でしかなかったものが見え始めた。 白がゼルガディス、黒が何故かゼロス、そして、、、、、 「!」 アリシアは声にならない悲鳴をあげた。 もう一人が倒れ伏すゼルガディス達に向かって手の平を伸ばしたのだ。 そしてその手の平は青白く光っている。 「ゼルガディスさん逃げて!」 叫んだが、まだこの距離では声が届かないだろう。 しかし、ドラゴンは気付いた。 慌てたように体を捻り、口を開く。 そのままゼルガディス達を攻撃しようとしている男に向かってレーザー・ ブレスを吐いた。 続く |
8829 | Re:あなたの望みは何ですか? 第四十一話 | 空無 | 2002/8/19 19:41:38 |
記事番号8823へのコメント 始めまして。コメントは始めてなんです(読み逃げ) amyさんのは大好きです。本当に!ゼロゼル少ないですから・・・ 同盟にも出没するほど・・・ 頑張ってください!応援してます! |
8841 | どうも初めまして! | amy E-mail | 2002/8/21 19:15:22 |
記事番号8829へのコメント 空無さんへ >始めまして。コメントは始めてなんです(読み逃げ) こちらこそ初めまして! 今回は初めてのコメントを下さり、本当にありがとうございました! >amyさんのは大好きです。本当に!ゼロゼル少ないですから・・・ ありがとうございます。本当に嬉しいです。 ゼロゼル、、、、少ないですよねえ、、、、、(泣) ゼロゼルが人気あるようで良かったです。 一人場違いかもといつも悩んでいたものでして(苦笑) >同盟にも出没するほど・・・ 頑張ってください!応援してます! 鎖夢さんの同盟の方にもいってらしたんですね! 私も登録させて頂きました! これからも頑張らせて頂きます。 今回の感想、本当にありがとうございました! ではでは amyより |
8843 | きゃあっ(*^▽^*) | 鎖夢 E-mail URL | 2002/8/22 11:52:18 |
記事番号8823へのコメント どーも、鎖夢です。 先日は同盟参加ありがとうございましたm(__)m が、PCクラッシュしちゃって、またまたゼロゼル部屋遅れそうです。 今は親のPCからアクセスしてます(T_T) > 、、、、、、、、、正直に言おう、大切だった。 > とてもとても、大事だった。 > しかし。 > 目を開く。 > 自嘲の笑みはひどく酷薄に口元を歪ませた。 > 大切であればあるほど、それはこの手をすり抜けて遠く儚く消えてしまう。 > 自分が関わらなければいいのではないかと、心の片隅で誰かが囁いた。 > 結局は、それも無意味だったけれども。 ここの一連の文、ゼルが切ないです(>_<) なんとなく聞いてたCDの効果も手伝って、ちょっと泣きそうになりました(をい) 気分的には、ある種ゼルっぽいなぁ〜って曲なんです。 幸せなんて儚くて 色あせて消えてく 原色のReason 過ごす4-Season モノクロに変わっていく Brand-new color Brand-new color Brand-new colorations world 一握りのスマイル 零れ落ちる って歌詞のとこだったんですけど、LaputaってバンドのBrand-new colorって曲です。 バラードなんで、余計になんとなく泣きそうになっちゃいました(ぐすぐす) > 俺には目もくれず、ゼロスを警戒しながらも、その目はひどく楽し気だ。 >「、、、、僕はどうも、、、同僚に嫌われるタチのようでしてね、、、、」 > ゼロスがポツリと俺につぶやいた。 > 今にも「やれやれ」と言いながら両肩をすくめそうなのんきな声だ。 >「見れば分かる、、、、、」 > 俺も小さくつぶやき返した。 なんとなく、ここの会話が嬉しかったです。 この二人っぽい会話ですよねvvこうゆうの大好きです。 あぁぁぁ、でもめちゃくちゃピンチなんですよねっ!? 一難去ってまた一難って、まさしくこれじゃないですかぁっ!? > 慌てたように体を捻り、口を開く。 > そのままゼルガディス達を攻撃しようとしている男に向かってレーザー・ >ブレスを吐いた。 頑張れドラゴン嬢っ!(爆) 何故か彼女がお気に入りになってしまいました。 なんか彼女、面倒見よさそうですよね(笑) 何だか無駄に長くなってしまいましたが、やっぱamyさんのゼロゼル最高です! では、今日はこの辺で〜。続き頑張ってくださいねvv †鎖夢† |