◆−青よりも蒼しもの−蒼井さくや (2002/9/3 00:10:13) No.8985
8985 | 青よりも蒼しもの | 蒼井さくや E-mail | 2002/9/3 00:10:13 |
みなさん。お久しぶりです^^; 忘れてしまったかもしれませんね;; では本編をどうぞっ! ************************************ 黒い下着のみをつけたアメリアは、ゼルに近づいてきた。 「あっ、アメリアッ?!どうしたんだ一体?」 動揺するゼルに対してアメリアは何も言わず近づく。 ソファに座ったゼルを追い詰めるような形で立つアメリアが何か言った。 『聞こえていますか?ゼルガディスさん』 言っている。言葉を… だが、ゼルにはただ「ああぁぁあぁあ?」としか聞こえない。 ゼルは何がなんだかわからない。 とりあえず自分が着ていたシャツをアメリアにかけようとした。 すると、アメリアの身体が光り始めた。 「??」 ゼルはただただ見ていた。 首・左手首・胸・左腰に紅いアミュレット。 白い法衣をまとい、背中からは蒼い翼。 アメリアはまた口を開いた。 「聞こえますか?ゼルガディスさん。」 「?!!アメリア、お前言葉が…」 こちらの言葉・ゼルに分かる言葉を喋ったのだ。 「時間が無いので手短に話します。この島の何処かに私がしていた右手にしていたアミュレットが在るはずです。探してください。そして、私を解放してください。」 一気にそう言うとまた身体が光り、さっきの黒い下着のみになった。 「アメリア…?探す?…アミュレット?…それがあればお前は自分の居場所に帰れるのか?」 ゼルはまだ信じられないのか、問いかけながらアメリアに聞いた。 こくんとアメリアはうなずいた。 それはどんなものだ?とゼルが聞いたら手近にあった広告の裏に簡単に書いた。 「リストバンドみたいなのに、青い石でその中には六母星があると?」 こくんとまたアメリアがうなずいた。 「わかった。探してみよう…さっきこの島と言っていたがこの日本内か?」 そう言うとゼルは、地図を見せた。 アメリアはこくんとうなずくと、さっきの広告の裏に日本を描いて逆さまにし東京あたり、ゼルの今住んでいる近くに六母星を描きそこを指している。 「この辺か…一つ聞くがそれは紅い石じゃないのか?お前がさっきしていたものは紅い石だった。本当に青い石で間違えないんだな?」 アメリアは泣きそうな顔をゼルに向けるがすぐにそらしまた首を縦に振った。 「分かった。なんとか探し出して、お前を帰してやる。安心しろ…」 ゼルはそう言ってアメリアの頭を優しくなでた。 アメリアはとても嬉しそうな顔をして、寝てしまった。 ゼルはその寝顔を見てまた、何かの感覚に囚われた。 『ゼルガディスさん。』 寝言を言っている少女。 森の中の野宿。 本来ならこんなところに居る筈がないのに… 少女の隣に居る青年は少女の顔を覗きこみ… キスをした。 数秒だったが青年はそれだけで十分だった。 ――いずれは離れてしまう運命なんだ… そんな思いが胸に広がる… そんな映像が頭に流れてきてぼんやりしたままの頭でアメリアを見たゼル。 今は隠されている緋色の大きな瞳に引き寄せられるようにゼルは… キスをした。 そのキスも数秒だったがゼルは何故か幸福感で一杯になった。 ――俺達はまた会えた…めぐり合った… そんな言葉が胸のうちから染み出てきた。 ゼルは自分で自分のしたことが少し信じられなかったが、今はその幸福感に浸っていた。 リナと付き合って一年経つが、リナと居てこんな気持ちを持った事は無かった。 ――これが本当の恋か? そう思いながら強烈な眠気に襲われ意識を失ったゼル。 二人仲良く並んで寝ている図はとても微笑ましい…がそれを許さないものが居た。 『ダメですよ、アメリアさん勝手にあんな事言って…僕から逃れようとしたって無駄ですよ・・・』 その声の主は無気味に笑った。 これから起こる運命の糸をあざけ笑うかのように・・・ 続く |