◆−DAWN 1−ねんねこ (2002/9/3 14:14:27) No.8987 ┣いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっvvパパりんvv−春祭あられ (2002/9/3 15:16:45) No.8989 ┃┗いやぁぁぁぁぁっvvあられちゃんvv−ねんねこ (2002/9/5 09:47:43) No.9011 ┣お噂の♪−九条みすず (2002/9/3 16:44:23) No.8990 ┃┗あれですね☆(何)−ねんねこ (2002/9/5 09:48:43) No.9012 ┣きゃはぁ〜ん♪−覇雷瑛 (2002/9/4 00:39:10) No.8998 ┃┗にょっほ〜んvv−ねんねこ (2002/9/5 09:49:27) No.9013 ┣少年、ナイスだ(笑−宮川しげまさ (2002/9/4 00:58:02) No.8999 ┃┗がんばれ青年、負けるな中年(をひ)−ねんねこ (2002/9/5 09:50:39) No.9014 ┗DAWN 2−ねんねこ (2002/9/5 09:51:57) No.9015 ┣はわわわわっ☆−狩野理佐 (2002/9/5 20:02:45) No.9021 ┗あああっ、おさかなさんっっ(爆)−九条みすず (2002/9/6 13:52:50) No.9027
8987 | DAWN 1 | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/3 14:14:27 |
……えっと……えっと……は、はじめましてです(待て) ああああっ、嘘ですっっ石投げないでっっ(汗) 最近の投稿者さまのお名前を拝見すると『はじめまして』のほうが良いんではないかという気がひしひしとしてきたので……(滝汗) 改めまして。お久しぶりです。もしくははじめまして。ねんねこと申します。 ゼルガディス氏好きのねんねこ、懲りずにまたお話を投稿しに参りました。 スレイヤーズのキャラはゼルとレゾおじーちゃんしか出ていないという相変わらずオリキャラばかり目立つ駄文ですが、楽しんでいただければ幸いです。 それではどうぞ。 ******************************************** いつも浮かべる優しい微笑のまま、だが、いつもとは違う雰囲気で。 『君はどうして魔法を使いたいの?』 ―――彼は静かに問いかけた。 幾度となく訪れようと、広すぎる屋敷の間取りが完全に頭に入ってしまおうと。 ―――相変わらず慣れないな……ここは。 いつでも変わらない印象を持っている自分に対して青年は思わず苦笑した。 聖王都セイルーン・シティ。 後に降魔戦争と呼ばれた北のカタート山脈での水竜王と魔族たちの戦い―――伝承の中の話ではなく、現実に起こったことであるが、もう1千年以上前の昔の話になる―――で赤眼の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥの5つの部下が張り巡らせた結界の内にある半島の中でも発展国として1、2を争う大国の首都。 その街の一等地に建てられた立派な―――青年には立派過ぎる―――屋敷。 この屋敷こそ、古くは500年ほど前から続く世界でも名の知れた神官貴族ヴァレンタイン家の本家だった。代々のヴァレンタイン家当主によって守られてきた屋敷の敷地は中庭もあわせれば、少し都より離れた街の領主の屋敷ほどの広さはある。 年の頃から22、3歳。肩より少し下のさらさらの白髪に赤い瞳。誰が見ても色素欠乏症人種(アルビノ)だとわかる容姿の上、中性的雰囲気を持つ彼―――セルジュ=ラヴィアンは、ヴァレンタイン邸に働く人々に既に知られていた―――仕事合間の家政婦たちの世間話のネタにされていることもしばしばあるほどだ。 面会を希望した人物がいる中庭へと案内されるのにも慣れずにそわそわしながら家政婦の後をついて行けば、綺麗に手入れが行き届いた庭の隅で2人の少年と共に佇んでいる目当ての人物の姿を見つける。 案内はもう十分だと軽く手を挙げて―――本音を言ってしまえば、いる場所さえ教えてもらえれば案内など必要ないのだが、以前、案内を断った際に『家政婦の立場を少しは考えてやれ』などとこっぴどく叱られたために、親切を甘んじて受けている―――みせ、一礼して去っていく若い家政婦を見送れば、セルジュはゆっくりと中庭へと足を踏み入れる。 赤色の花びらが幾重にも重なる綺麗な薔薇。 『いいかい……セルジュ……見ててごらん』 優しいとさえ思える呪の旋律が紡がれれば、人々を魅了するほど美しく咲いていた花は黒ずんだ色になり―――そして、しおれる。 元は薔薇だったそれはゆっくりと彼の手から離れ、ぽとり、と地に落ちた。 「呪文を知りたいのならば、呪文書を見ればいい」 耳の辺りで切りそろえられた漆黒の髪。白い肌。少しばかりコンプレックスだったりする童顔は、実年齢よりもかなり若く見られるため―――便利といえば便利かもしれない。 わざわざラルティーグからセイルーンくんだりまで会いに来た目的の人物―――見た目は自分と同じ20代前半、実年齢は自分よりも一回り上の男は、庭に設置された白い円形テーブルの上に軽く腰をかけ、足を組みながら目の前に立つ2人の子供に言い放つ。 「どんな呪を紡げばどんな効果が得られるか……研究を重ねている人間ならたくさんいる―――研究をまとめた呪文書もね」 言いながら、彼は組んだ足に乗せた分厚い本―――以前、見たことがあった呪文書である―――を指ではじく。 伏せていた目を細く開ければ、眼瞼(まぶた)の奥から翡翠のような綺麗な翠の瞳が覗かせる。 目の前にいる2人の少年の表情を見れば、彼らが自分の言葉に対して困惑していることは容易にわかった。 『彼らに魔術を教えてやれ』 そう少年たちの祖父―――つまりは男の父親に当たるわけだが―――に命じられたのは、つい昨日の夕食の時である。 まさか、魔法の『ま』の字も知らない人間にいきなり簡単な呪文を教えるわけにもいかない。 彼らがいったいどれほど魔法というものに関心があるのか、少しばかり興味もあって、簡単な質問をいくつかすれば―――2人の少年はその質問に答えるどころか困惑した表情で顔を見合わせるばかり。 まあ、だいたいの予想はしていたことだが、ここまで予想通りだとさすがにうんざりしてくる。 「……まあ、呪文書なんて知識を得るためだけの道具(モノ)にしか過ぎないがね。。 君らがどういうつもりで何の魔法を身につけたいと思っているのかは知らないけれど―――」 そこで男の言葉は途切れた。自分に注がれた視線に気づいたらしい―――移動させた視界の片隅に見知った顔を認めて、彼はようやく自分に来客があることを知る。 視界を少年たち―――長男ハージェスと次男エドワードに戻して、男は言葉を続ける。 「―――他人の言葉を鵜呑みにしている状態のままならば、僕から教えることは何もない」 そっけない言葉。 だが、紛れもない自分の本音。 「今日はこれまで。僕の言ったことを明日までよく考えるんだね」 ぱたん、と分厚い呪文書を閉じれば、それは終了の合図。 簡単な魔法とまでは言わないが、技術的知識(ノウハウ)くらいは教えてくれるだろうという期待をしていた少年たちは戸惑いの表情のまま、屋敷の中へ戻っていく。 先客が戻っていくのを確認して、セルジュはようやく目的の人物に近づいた。 「相変わらず厳しいねぇ、ウィル兄は」 「再会して開口一番の台詞がそれなの? セルジュ」 ヴァレンタイン家次期当主ウィルフレッド=ヴァレンタイン。 とある事件でセルジュがこの男に助けられたのはもう10年以上前の話だ―――ウィルフレッドに助けられて以来、セルジュは彼のことを兄のように慕って『ウィル兄』などという呼び方をしている。 久方ぶり―――とはいっても最後に会ったのは、つい1ヶ月ほど以前であるが―――の再会の弟分の第一声に、組んだ足を元に戻しつつ、ウィルフレッドは苦笑にも似た笑みを浮かべる。 「本当のことを言っただけ、だろ? 教会に行ってそれなりの“募金”をすれば1日で治癒(リカバリイ)くらいは教えてくれるぞ」 ―――君はどうして魔法を使いたいの? いつか言われた覚えが―――言った覚えが―――ある言葉。 「まあ、ね」 ウィルフレッドは参ったというように両手を軽く挙げて素直に認める。 「ただひたすら呪文を唱えるお馬鹿さんを大量生産させたくないんで、僕」 あの様子を見る限り、どうせ父親マードック―――少年たちにとっては祖父に当たるが―――が、言い出したことをそのまま受け取って行動しているだけであろう。 長男は今年で15歳、次男も14歳になるはずだが、昔からそうだ。 何をするのもマードックの言いなり。彼らが自ら考えて行動したことなど見たことはない。 (……言いなりの部分は僕も同じことだけれど) ウィルフレッドは心中でうめく。自分に対してついた深い溜め息は、どうやらセルジュには少年たちに対してのものだと思ったらしい―――こくこくと首を縦に振りながら、腕を組みつつ同意してくる。 「恐ろしいな。ああいう何も考えてない奴が無意味に強力な呪文を覚えたがるんだよね」 「………………」 弟分の言葉にウィルフレッドはまっすぐとセルジュを見やった。 数秒だけ彼の顔を見つめれば、彼はそのままそっと視線を斜め右下に移動させる―――同時にぼそりと呟かれる言葉。 「セルジュも他人のことは言えないけどね」 「あ……あれはとっくに時効だよ、ウィル兄」 過去にそれなりの心当たりがあるのだろう。わさわさと両腕を振りながら慌てて言い繕り―――はたと自分がその言葉を認めたことを気づいてセルジュはぴたりと動きを止める。恐る恐る見やったウィルフレッドの表情はしてやったりと言わんばかりに意地の悪い笑みが張りついていた。 ―――完全に遊ばれている。 「うん? どうしたの?」 半眼で自分を見てくる相手ににっこりと微笑んで、さらりと言ってのければ、セルジュは半眼を向けたままぶすくれた声を上げる。 「性格悪いぞー、ウィル兄」 「大丈夫。今日に限ったことじゃあないでしょ?」 「……そりゃそうだけど……」 あっさり認められてしまってはそれ以上突っ込むことはできない。 掠れ気味にぽつりと呟いて、セルジュは少年二人が歩いていった方を見やる―――もう姿はとっくに見えなくなっているが。 嘆息して、呟く。 「……でも……あの素直に言うこと聞く精神、クラヴィスにも少し分けてやりたい気分だな」 「はへ? ……クラヴィスくんがどうかしたわけ?」 ぽつりと独り言のように呟いたセルジュにウィルフレッドは首を傾げながら、怪訝そうに眉をひそめた。 [ DAWN ] 『……やられたな。手練の仕業か』 『唯一の救いは2人が生き残ってくれたことだけか―――カナンは残念だったが……』 情報を集めに森を出ていった仲間の訃報を聞いたのは、真夜中、なんとなく寝つけなくて外の空気に当たりに行った帰りだった。 少し開いた扉の隙間から偶然にも聞こえてきた話に思わず立ち止まる。 『生き残った二人もかなりの重症だったんだろう? レゾ様がいたからこそ治せたが、いなかったら今頃は……』 『夜にいきなり宿屋ごと呪文で爆破、か。ひでぇことしやがる……』 酒を飲みつつの会話なのだろう。ぼそぼそとやり取りされる会話を聞きながら、顔を俯かせる。 ―――自然の力に干渉して、意のままに操る能力(まじゅつ)。どうしてそんなものを…… 「どうした?」 その言葉は扉を挟んでではなく、すぐ近くで響いた。 慌てて顔を上げれば、立っていたのは屋敷の中でも比較的よく話をしている男。 「なにかあったのか?」 笑みを浮かべながらも心配げに尋ねてくる男に―――当然だ。本来ならばとっくに寝ているはずの時間に真っ暗闇に近い廊下でぽつんと佇んでいれば誰でも心配するであろう―――翡翠の瞳を持つ少年は首を横に振る。 「別に、なんでもない。おやすみ、アドニスっ!」 言うだけ言って、そのまま自分の部屋へと駆け戻っていく少年のなびく長い漆黒の髪を見送って、男―――アドニスは首を傾げたまま、わずかに開いていた扉のノブに手をかけた。 待つことは嫌いではなかった。 だが退屈ではあった。 「……遅い……」 目の前の部屋に入っていったきり、もう30分近く出てこない待ち人に、ぽつりと文句をもらしてみる―――が、待ち人に届いていないどころか、その文句を聞いている人間すらいない。 屋敷の南側の長い廊下に一人佇んで、少年は小さく溜息をつく。 少しばかり癖のある黒髪に深海のような深い蒼の瞳。年齢は―――10歳ほどか。年相応の顔つきをしてはいるが、身長は同性、同世代の平均よりも僅かに低く―――とは言っても彼の周りに同年代の子供がおらず、比較対象が存在しないために自分は標準的であると思っているらしいが―――小柄な少年。 屋敷の住人の中では、一番最年少であるこの少年の名はゼルガディス=グレイワーズという。 ゼルガディスは壁に身をもたれ、腕組みをした。 さわさわさわさわ…… 風に吹かれ、揺れる木々のこすれる音が静かな廊下に―――僅かに聞こえてくる言葉の応酬は敢えて気にしないことにして―――響き渡る。 ラルティーグ公国に広がる迷路のような森―――迷いの森(ディープ・フォレスト)。 いったん中に入ってしまうと、ある一定の規則―――その規則を知っている人間は限りなく少ない―――知るためには実際に入ってみなければならないからだが。勇敢にも森に入り、そして運良く帰ってこれた者にだけがその規則を理解することができるのだ―――に従って進まない限り、奥に進むことも森から出ることもできないという地元民でも中に入ることを嫌がる森。 彼が暮らしている屋敷は、そんな迷いの森の奥深くに建てられていた。 森の入り口からだいぶ離れたこの場所にどうやって屋敷を建てたのか―――あるいは、どうやって建てられていた屋敷を発見したのかはゼルガディスにはわからなかったが、とにかく彼が祖父に連れられて、この場所で生活するようになってから5年の歳月が流れる。 ―――いつか祖父に預けた自分を迎えに来るであろう両親を待ちながら。 5歳の時に両親と共に暮らしていた街を離れ、ゼルガディスはこの迷いの森の屋敷にやってきた。 ―――もともと、屋敷はゼルガディスが来る前から祖父が使っていたらしい。世間一般には『赤法師』と言う通り名で聖人君主を気取っていた祖父レゾがこの森で決して人々には言えないことをしていることを知ったのは、生活を始めてから2年後の話―――普通の生活している人々には垣間見ることしかできない陰の世界を駆け回っている人物たちがどうして自分と共に屋敷で生活しているのか疑問に思った時だった。 祖父である赤法師レゾは生まれつき盲目であった。 世界が見たい―――眩しい太陽、その光を浴びてきらきらと輝く水、生い茂った緑―――本来ならば当然のように見ることができる―――そんな光景が見たくて、彼は、白魔術の研究に明け暮れた。 諸国を歩き回り、自分と同じ境遇の人間に『奇跡』と言う名の人体実験を施し――― だが、その努力は報われなかった。 彼の目は白魔術、精霊魔術、果ては黒魔術の力を以ってしても開かせることはできなかったのだ。 ―――自分は決して外の世界を見ることはできないのか。 そんな時、耳にした魔力増幅道具(デモン・ブラッド)の噂。 いったんは絶望した彼だったが、次に目をつけたのはふとしたことから手に入れた情報の中に含まれていた過去が残した遺物。 もし、自分の魔力が不足しているせいで魔法が効かなかったのだとしたら。 もし、魔法以上に治癒能力があるものがあるのだとしたら。 レゾは手当たり次第に伝承に残された遺物を探し回るようになった。 だが、世界は広い。 各地に語り継がれ続けた伝承が全て過去に起こったわけではない。 それゆえにレゾは人を集めた―――金さえ払えば、詮索もせず、どんなことでもする裏の稼業に生きる人々を。 ゼルガディスが暮らす屋敷はレゾによって集められた人々の生活場所でもある。 さわさわさわさわ…… 祖父の部屋の前。 ここには人はめったに来ることはない―――なにか報告がある時か、祖父に名指しで呼ばれた時か。 誰も来るはずのない静かな廊下。壁にもたれかかったまま、頭だけを近くの窓の方に向け、外を見やる。 日差しは相変わらず強かったが、それでも真夏ほどひどいものではない。 森を支配していたセミの鳴き声もだいぶ納まってきている。 夏には決して池には近づかなかった友人が昨日久しぶりに池の周りを歩いているのを目撃した。 ―――それらはそろそろ5度目の秋が近づいてくる証拠。 ゼルガディスは寂しそうに呟く。 「……カエルさん……もうクーにプレゼントしてあげらんないじゃんか……」 ―――そんなことを本人を目の前にして言った日には、本気で首を絞められるかもしれないが。 屋敷の近くには、以前、湖がどんなものかと訊いた孫に対してレゾが作り出した大きな水溜りがある。地面に大きな穴を開け、森の中を流れる川の水と地下水を引いたもので、どう見ても湖というよりは池というシロモノなのだが―――ゼルガディスが『クー』と呼ぶ人物―――彼の同世代の唯一の友人である―――は、夏には決してその湖だか池には近づかなかった。 理由はいたって簡単。 夏の間は、彼の嫌いな生き物(カエル)が池に住み着いているからである。 以前、ひょんなことから飼い始めたおたまじゃくしがウシガエルに成長して以来、友人の中では、カエルという生き物は天敵でしかないらしい―――名前を聞くのも嫌なのか、わざわざ飼っていたおたまじゃくしの中で一番気に入っていたものの名前から『タマにょんのママりん』などと呼んでいたりもする。 ―――しばしば殴られるのを覚悟で、池から捕獲しては友人の部屋に放り込んできたりしているのだが、どうやらその楽しみも今年はそろそろ終わりを迎えるらしい。 残念そうに深い溜め息をつく。 さわさわさわさわ…… 静寂に包まれた廊下。かすかに聞こえてくる木々の囁き。そして――― ばだんっ! 「じゃかぁぁぁしいわクソじじいっ! 何度言われよーと嫌なもんは嫌だっ! 以上っ!」 ―――勢いよく扉を蹴り開ける音とあまり上品とはいえない―――別に品位など求めてはいないのだろうが―――少年の罵倒が響いた。 ******************************************** ここまで読んでくださりありがとうございます(ぺこり) もしよろしければ感想などお聞かせくださいませvv ではでは、近いうちにまたお会いしましょう。ねんねこでしたっ! |
8989 | いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっvvパパりんvv | 春祭あられ | 2002/9/3 15:16:45 |
記事番号8987へのコメント こんにちは!!お久しぶりですねんねこさん!! 新作ですね!新作ですわね、ふふふvv 全体的に皆がまだ若かった頃(もち顔は変わってなくともパパりんも)の話なんですね。 しかもカエル事件のしっかり後ですか。 何気にあのギャグ話が強調されてて、シリアスなのに笑っちゃいました。(笑) 先、一体どんな展開になるんだか・・・何が始まるんだかわからないので続きが楽しみです! では、レス一番乗りを密かに狙っていた春祭でした! 短くてごめんなさい!!(汗) |
9011 | いやぁぁぁぁぁっvvあられちゃんvv | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/5 09:47:43 |
記事番号8989へのコメント 春祭あられさんは No.8989「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっvvパパりんvv」で書きました。 >こんにちは!!お久しぶりですねんねこさん!! あられちゃんっ! こんにちは、お久しぶりですっ! 最後にお話したの8月の半ばでしたっけ?(汗) パソコンも相変わらず不調とのことで……完全復活お待ち申し上げてるしだいですー!(>_<) >新作ですね!新作ですわね、ふふふvv >全体的に皆がまだ若かった頃(もち顔は変わってなくともパパりんも)の話なんですね。 新作です!大学入ってからの初めての新作だったりするので(をいこら待てや自分)もしかしなくても5ヶ月近くほったらかしですか、自分?(汗) 若いです!全体的に若いですっ! 少年二人はきっとまだ若気の至りとか言う素敵な言い訳が通じちゃうお年頃ですっ!(爆) >しかもカエル事件のしっかり後ですか。 >何気にあのギャグ話が強調されてて、シリアスなのに笑っちゃいました。(笑) こう……我が家に来た人だけが知っている伝説のタマにょんのママりん事件ですね(笑) 先日、母親と上野動物園に行ったんですが(なにゆえこの年で動物園と思うなかれ・遠い目)その時に両生類のところで噂のタマにょんを見てしまいました。 ……ごめん。やっぱりクーちゃんの感性わかんなかった……っ!(だめじゃん) >先、一体どんな展開になるんだか・・・何が始まるんだかわからないので続きが楽しみです! >では、レス一番乗りを密かに狙っていた春祭でした! >短くてごめんなさい!!(汗) いえいえ、反応くださるだけで嬉しいのですv なにしろ、かなりお久しぶりでしたからねぇ……ちょっと不安だったのです(汗) レス一番乗りですか(笑)獲得おめでとうございますっ!よろしければまたレスしてやってくださいませv ではでは、ねんねこでしたっ! |
8990 | お噂の♪ | 九条みすず | 2002/9/3 16:44:23 |
記事番号8987へのコメント こちらではお久しぶりです!九条です! 数ヶ月ぶりの新作vとのことでどきどきわくわくvv さらにちびゼルとちびクラに若かりしまだ30代のウィルパパなんてvv セルジュくんも一度お話に出てきましたね。ひょろりと出てきただけなのでどんな人か楽しみにしてたんですがアルビノだったんですね。白子くん(待て >「……カエルさん……もうクーにプレゼントしてあげらんないじゃんか……」 プレゼント・・・・!プレゼント・・・・!(爆笑 きっと命がけでクーちゃんのところに持っていったんでしょうね、ゼル。本当にあとで殴られてそうな・・・・頑張れゼル(><) てなところで、続き楽しみにしております。 早くても今週末と聞いていたので驚いた反面とっても嬉しかったです〜♪ では九条でしたー!撤収! |
9012 | あれですね☆(何) | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/5 09:48:43 |
記事番号8990へのコメント 九条みすずさんは No.8990「お噂の♪」で書きました。 >こちらではお久しぶりです!九条です! お久しぶりです、みすずっち(^^) ……なんかメールのやり取りをしているのでとっても客観的に見るととっても笑える会話ですな(爆) ちうわけで、1週間ぶりですっ!(笑) >数ヶ月ぶりの新作vとのことでどきどきわくわくvv >さらにちびゼルとちびクラに若かりしまだ30代のウィルパパなんてvv えきスレ本編だと問答無用で40代ですからねぇ(汗) そのうちゼルもクーちゃんも生まれてない20代編とか書きたいなぁとか企んでたりするんですが……そうすると、出てくるスレキャラがフィルおうぢかレゾおぢいちゃんくらいに限定されるんですよね…… それもまたスリルアップで楽しげなんですが(楽しげって……) >セルジュくんも一度お話に出てきましたね。ひょろりと出てきただけなのでどんな人か楽しみにしてたんですがアルビノだったんですね。白子くん(待て ははは。未完のオリジにもやっぱりちらりとしか出てきてませんでしたしね、彼(爆) ちなみに安井/あしよしさんとは彼の愛称『白子くん』で一致してたりとかします。 ……愛です。これも愛ゆえになんですっ! >>「……カエルさん……もうクーにプレゼントしてあげらんないじゃんか……」 >プレゼント・・・・!プレゼント・・・・!(爆笑 >きっと命がけでクーちゃんのところに持っていったんでしょうね、ゼル。本当にあとで殴られてそうな・・・・頑張れゼル(><) おそらく、クラヴィスがカエルを発見してから怒鳴り込んでくるまでいくらかのタイムラグがあったでしょうから(失神ですか?失神してるんですかっ!?クラヴィスさんっ!)その間に命がけで逃げてみるっていうのも一つの手やもしれませんっ! ……制裁の時間伸ばすだけで結局最後は殴られるんですけど(をひ) >てなところで、続き楽しみにしております。 >早くても今週末と聞いていたので驚いた反面とっても嬉しかったです〜♪ >では九条でしたー!撤収! 終了するのは今週末かも……(いやもっと伸びる可能性も捨てきれ……げふげふごほん) なんとか今週末には終わらせられるといいなぁと淡い期待を持ちつつv ねんねこでしたっ!ほれいけさっさと撤収ぅぅぅぅぅぅぅっ! |
8998 | きゃはぁ〜ん♪ | 覇雷瑛 | 2002/9/4 00:39:10 |
記事番号8987へのコメント ゼルとク−の過去話vvvvでもぱぱりんの方がでばってたと思うのはあたしの気のせいかしら…(笑)? 久しぶりにねこ姐の新作だぁ!!アスト君の出番がこれっぽっちも無かったのはかなしいけどね…★がんばれ、めげるな、石っころ!まだまだ期待してるから頑張ってくださいな☆ |
9013 | にょっほ〜んvv | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/5 09:49:27 |
記事番号8998へのコメント 覇雷瑛さんは No.8998「きゃはぁ〜ん♪」で書きました。 >ゼルとク−の過去話vvvvでもぱぱりんの方がでばってたと思うのはあたしの気のせいかしら…(笑)? 瑛ちゃん、こんにちは〜♪ ゼルやん☆とクーちゃんの過去話っす。パパりんの出番の多さは愛ゆえに……(爆) ―――じゃなくって、彼が今回のキーパーソンなのでv(結局愛ゆえにじゃないか) でも、どっちかというとやっぱりクーちゃんの出番が多いかもです。 ……ゼルは?ねえ、ねんねこさん、ゼルは?←入れられる前に1人ツッコミ。 >久しぶりにねこ姐の新作だぁ!!アスト君の出番がこれっぽっちも無かったのはかなしいけどね…★がんばれ、めげるな、石っころ!まだまだ期待してるから頑張ってくださいな☆ アストくん……ごめん。アストくんね……(遠い目) なんか皆さんにつっこみ入れられましたっ! ごめん、アストっち。次回はなんか主役っぽい役にしてあげるから……っ!(今回すっかり彼の存在忘れてたとは言えない人) なんとか頑張って続き書くので見捨てないでいただけるととっても嬉しいわ(笑) ではでは、ねんねこでしたっ! |
8999 | 少年、ナイスだ(笑 | 宮川しげまさ URL | 2002/9/4 00:58:02 |
記事番号8987へのコメント ねんねこさん、ここでははじめまして。 来ましたね、新作! セルジュとウィル兄の間で今までどんな事があったのか気になります。 意外に、パパりんの友人ってこれまではアストくん以外には出てきてませんよね。 だからとっても気になるのです♪ そして、シリアスな話みたいだな、と思いつつ読み進めていた時の事。 ゼル少年の、とある一言。 >「……カエルさん……もうクーにプレゼントしてあげらんないじゃんか……」 お茶目だぞっ! ゼルガディス少年っ! 今の彼からは想像出来ない言葉ですな(笑 続きに期待しつつ、これにて! |
9014 | がんばれ青年、負けるな中年(をひ) | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/5 09:50:39 |
記事番号8999へのコメント 宮川しげまささんは No.8999「少年、ナイスだ(笑」で書きました。 >ねんねこさん、ここでははじめまして。 ……そうか……ここでははじめましてになるんですね(笑) はじめまして、ねんねこと申します。以後よろしくお願いいたしますv(待て) >来ましたね、新作! >セルジュとウィル兄の間で今までどんな事があったのか気になります。 >意外に、パパりんの友人ってこれまではアストくん以外には出てきてませんよね。 >だからとっても気になるのです♪ セルジュとウィル兄の間ですか? ふふふふふふ、いろいろありましてよ。旦那(爆) ……いま、最初の笑い声変換したら『父父父父父父』とかなってちょっとビビったお年頃(笑) ―――て、そうじゃなくって(汗) セルジュとパパりんの間に何があったかのネタはちゃんとあったりするんです。スレイヤーズのキャラが素敵にレゾさんしか出てこないという素敵な事情のために書くことにちょっと躊躇いを覚えたりする小心者だったりするんですが(苦笑) セルジュさんのキャラが固定化してきたらもしかしたら書くかもしれないです……なにしろ、彼の設定は既にねんねこの中では固まってたりするので(単にねんねこの手が話を書くスピードが頭で考えるスピード追いついていないだけとも言う)人気さえあればいつでも再登場させられますので(笑) パパりんのトモダチ……はたして、アストくんをトモダチといっていいのか本人たちにとっては大いに悩むべきところな気がしないでもないですが(爆) フィルおうぢはどちらかというとトモダチというよりは……なんだろ?茶飲み仲間?(滝汗) なんかお互いの立場を便利に使ってたりしそうですな(汗) >そして、シリアスな話みたいだな、と思いつつ読み進めていた時の事。 >ゼル少年の、とある一言。 > >>「……カエルさん……もうクーにプレゼントしてあげらんないじゃんか……」 > >お茶目だぞっ! ゼルガディス少年っ! >今の彼からは想像出来ない言葉ですな(笑 いやっ!ねんねこ的ゼルだったら十分に考えられる発想だとっ!(爆) 単にでかゼル(でかゼルってなんだでかゼルって)になると、そんなおぞましいことした後にいったいどういう目にあるかがきっちり理解してしないだけで…… ………………………(汗) ま、まるでクーちゃんの恐怖政治の中で育ったようだゼル……(滝汗) 一応、殴った後にお菓子やって慰めてたりしたんですよっ!クーちゃんもっ! ………………?物で釣ったのか……? ………………………………………(激汗) >続きに期待しつつ、これにて! はいっ!ねんねこもこれ以上墓穴掘らないうちに荷物まとめて撤収したいと思いますっ! それでは、ねんねこでしたっ! |
9015 | DAWN 2 | ねんねこ E-mail URL | 2002/9/5 09:51:57 |
記事番号8987へのコメント こんにちは……投稿する時間はまだ『おはようございます』でしょうか。 この文章を書いてる時間にいたっては、『こんばんは』と言うのもはばかれる真夜中だったりするんですが(汗) 世間の人々と少しばかりタイムラグがあるのか、8月はびみょーに(びみょーって……)規則正しい生活送っていたのに、9月に入ってだんだんと夜更かしの時間が長くなってく気が……それでいいのか大学生。後期開始もあと2週間だぞ(汗) ―――というわけで、ねんねこです。続きを引っさげてまいりました。 いつもながらにまた続いてしまったりするんですが、最後までお付き合いくだされば幸いです。 それでは「DAWN 2」張り切ってどうぞっ!(張り切ってどーする。) ************************************************** 『……何をしたの? ウィル兄』 『折れた茎を直してあげようと治癒(リカバリイ)をかけてあげただけだよ』 『今の……本当に治癒(リカバリイ)?』 『……どうしてそう思ったんだい?』 怪訝な顔で尋ねてくる少年に彼は口元に笑みを浮かべながら問い返した。 「リト、入るよ?」 仲間の1人が死亡し、生き残った2人も1人は重症、もう1人も軽傷とは言えない傷を負った――― そんな話がゼルガディスの耳に入ったのは、怪我を負った2人がレゾと共に屋敷に戻った翌朝だった。 とある遺跡の盗掘で、襲われた3人はラルティーグ公国内の小さな村に―――森から約2日の距離である―――滞在していた際に宿泊していた宿屋ごと吹き飛ばされたらしい。たまたまレゾが村の人々に歓迎され―――レゾの聖人君主気取りもたまには役に立つもんだな―――と、これはセルジュの発言だが―――彼らと別行動をとっていたのが幸いし、かろうじて息があった2人は助けることができたらしい。 扉をノックしてゆっくりと開けば、ベッドに上半身を起こしてぼんやりと窓の外を眺めていた男は、扉のところに立つ2人の少年に視線を移してようやく笑みを浮かべた―――その笑みはとても弱々しい笑みだったが。 「よう……どうした? 2人そろって」 「見舞いだよ。あんたが暇してるんじゃないかと思ってね」 ゼルガディスの後ろからひょっこり顔を覗かせて、クラヴィスが答える。 命を落とすことは免れたが、それでもかなりひどい怪我を負った男―――リトは屋敷の中でもセルジュに続いて若く、元は傭兵をしていた腕の立つ男だった。特に剣の腕は確かで、大国の王宮騎士とも引けをとらないだろうとまで言われるほど。 一見すればそこら辺の村に暮らしている好青年風で、しかもどうやら子供が好きだったらしく、暇な時にはよく特にゼルガディスは、遊んでもらったものだった。 手ぶらで見舞いに来るわけにいかず、クラヴィスの手には屋敷の庭に咲いていた野花を挿した花瓶―――といっても中身が空になった小さな小瓶に水を注いだ程度のものだが―――があった。それを適当な場所に置いて、挿した花を生けなおしていれば、手持ち無沙汰のゼルガディスがベッドの近くへ歩いていき―――そして、気づく。 「……リト、その腕……」 視線を自分の手元にやったまま、クラヴィスはぴたりと動きを止めた―――それに気づいた者はいなかったが。 屋敷一の剣の使い手の右腕は―――肩から先が木でできていた。 命は取り留めた。だが、爆発によって失われた彼の腕は取り戻せなかった。 ゼルガディスの視線の先にある自分の新しい腕を見もせずに、リトは声を出して軽く笑った後、寂しそうな笑みを浮かべて、答える。 「ん? ああ、仕方ないさ。いくら復活(リザレクション)でも吹っ飛んでなくなっちまった腕まで元通りってワケには……ね」 「……そっか……」 その言葉を言うのにどれほどの勇気が必要だったのだろう。 彼にとって剣は全てだった。 剣士にとって、利き腕がなくなるということは―――死と同じこと。 きっと発狂してしまうほどの絶望と悲しみに襲われただろうに。 ―――どうしてそんなものを人は…… 「……クー?」 「―――え?」 不意に呼ばれて、クラヴィスは我に返った。 驚いた表情で自分を呼んだゼルガディスを見れば、彼は目の前までやってきて心配そうな顔をして見上げている。 「だいじょぶ?」 周りの家族が自分のことを気にも留めてくれなかったセイルーンでの生活。 その生活を思えば、世間を知らないためか、それとも素直なのか―――もしかしたら祖父を反面教師として育ってきたのかもしれない―――ゼルガディスが自分を心配してくれることが嬉しかった―――やはり、気恥ずかしかったりするが。 「あ……うん。だいじょ―――」 照れたようにわずかに目を細めて、言葉を返しかけ―――終わる前に心優しき親友が言葉を付け加えてくる。 「―――頭」 ―――前言撤回。 ゼルガディスは着々と祖父と同じ性格へとなりつつあるらしい。 「お前よか正常だよっ!」 こめかみを引きつらせながら、クラヴィスはゼルガディスの脳天を殴りつけた。 ―――それは、セルジュ=ラヴィアンがセイルーンに向けて屋敷を発つ1週間前の話。 [ DAWN ] 「……く、くー?」 勢いよく蹴り開けられた扉の前で部屋に向かって―――というよりも部屋の中にいた人物に向かって―――怒鳴り声をあげ、肩で息をしている少年にゼルガディスは間の抜けた表情で呟いた。 クー―――もとい。クラヴィス=ヴァレンタイン。 セイルーンに屋敷を構えているヴァレンタイン家の血を引く子供―――ウィルフレッドの末っ子である。 無二の親友であるゼルガディスよりも2歳ばかり年上で面倒見がいいこともあり、数年ほど前から実家を離れてこの迷いの森で生活しているのだ。 腰まである―――なぜか腰より上まで髪は切ってはならないと小さい頃から父親に言い聞かされていたらしい―――長い漆黒の髪に父親譲りの翡翠の瞳。やはり父親と同じくやや童顔気味だが整った顔立ちで、数年もすれば父親のように異性にモテることだろう―――異性に対して甘い顔をするところまで父親に似なければいいのだが―――というのは、屋敷に住む人間たちのもっぱらの心配事だが。 「悪い。遅くなった」 ずいぶんと長い時間待たせてしまった友人の声に、クラヴィスは何事もなかったように軽く右手を挙げて謝罪の言葉を告げる。 「う、うん。それは全然構わないんだけど―――」 半時間も待たされたことに対しての怒りはなかった―――いや、もし、クラヴィスが自分の予想通り普通に扉を開けて出てきたならば、文句や嫌味の一つも飛ばしただろう。それくらいのことを言う権利はあったはずなのだ―――だが、あまりの突拍子もない状況に頭がついていけずにゼルガディスはしどろもどろに言葉を返した。 目の前のクラヴィスも気になるが、それよりも気になることがある。 視線をクラヴィスから少しだけずらし、部屋の奥へと向けて、そのまま言葉を続ける。 「―――いったい何したの? クー」 「んー? 別に大したことしてねぇけど。敢えて言うなら師匠と弟子の爽やかな語らい?」 「爽やかって―――」 友人の問いかけにクラヴィスは軽く挙げていた右手でそのまま髪を掻き上げながらとぼけてみる―――実際には決して『爽やか』な語らいではなかったことは、30分もの間、部屋から響き渡っていた言葉の応酬から容易に判断できるのだが。 ここ数週間―――クラヴィスがレゾに呼び出されることは何度かあったが、今日ほどこの見かけは良いが口はとてつもなく悪い少年が怒鳴り声をあげるのは珍しい。何度も呼び出されるのは同じ内容でのようだが、結局その内容がいったいどういうものかもゼルガディスは何も聞かされていない。 自分だけが除け者にされているような気分に駆られ、ゼルガディスはわずかに顔をしかめて、言葉を返しかけ――― 「―――あ。」 「あ?」 視界の端に映った人物の姿に思わず声を上げれば、クラヴィスも間抜けな顔でそちらを―――自分の背後を―――見やり、あからさまに嫌な顔をする。 視線の先―――部屋からのろのろと出てきたのはつい先程まで一人の少年と壮絶な口論を交わしていた人物。 現代の五賢者。聖人君主。 偉大な者と謳う通り名はいくつもある―――クラヴィスに言わせれば、『単なる孫馬鹿』らしいが―――彼こそ、この屋敷の主であり、ゼルガディスの祖父でもある赤法師レゾである。 どうやら少年との『爽やかな語らい』で精神的疲労が溜まったらしい―――いつも持ち歩いている錫杖も持たず、いつになく疲れきった表情でレゾはうめくように言葉を吐いた。 「……弟子なら弟子らしく師匠の話くらい聞きなさい……クラヴィス」 もともとクラヴィスはゼルガディスのお守りをするために呼ばれたのではなかった―――いや、お守りもここへ来た理由のひとつであるし、簡単には説明しきれない複雑な家庭の事情も理由にはあったのだが―――彼がほんの一握りの人間しか知らないこの屋敷で暮らしているのは、護身術を学ぶためでもあった。レゾという男は恐ろしいことに―――しつこいようだが、彼は生まれつき目が見えないのだ―――魔術だけではなく、武術にも幾分長けているのだ。 もともと弟子などとる性分ではなかったのだが、かつて弟子であったウィルフレッドの息子ということもあり、クラヴィスはゼルガディスと共にレゾの元で体術を学ぶことになった―――まあ、実際にはレゾが何かを教えるということはめったになく、仕事がなく手の空いた屋敷の住人たちが暇つぶしに相手をする、という程度のものであったが。 レゾの言葉にクラヴィスはしばし無表情で師匠を見つめ―――やがて『んべ』とあっかんべーをし――― 「ヤダっぴょーん」 ―――あっさりと拒絶する。 ここ数週間、繰り返した行動。 なぜ、自分の提案したことにここまでの拒否反応を見せるのか―――正直レゾにはわからなかった。 確かに今までにもクラヴィスが自分の言ったことに対して反抗することはしばしばあった―――初めて反抗された時は嫌なところがウィルフレッドに似たと小さな落胆のため息を吐いたものだ、ということは横においておくとして。 だが、『反抗』されても、『拒絶』されることはなかった。文句を言いつつも、クラヴィスは結局最後は自分の言う通りのことをしてくれたのだから。 だが、今回は反抗ではない―――明らかに『嫌だ』と拒絶されている。 もはや予想ではなく、確信していた通りのクラヴィスの反応にレゾは深く長い息を吐きながら、ぽつりと本音を漏らした。 「なぜそんなに嫌がるんです?」 ―――珍しく祖父が困っている。 こめかみに手を当てて呟く祖父をぼんやりと眺めながらゼルガディスは心中で驚いた。 もともと自分中心に世界を回したがる性格の祖父だ。自分の思い通りにならなければ、無理にでも思い通りにさせてしまう―――果たしてそれが人間的によろしいのかいただけないのかは別として―――祖父はそういう存在だった。 だから、彼の『困りましたね』という言葉は当てにしてはならない―――なにしろ、彼は別に困ってなどいないのだ。魔術でも武術でも彼に敵う者などいない。無理やり力でねじ伏せてでも自分の思い通りにしてしまえばいいのだから。 そんな祖父が他人に対して苦心しているなど少なくとも屋敷(ここ)へ来てからの5年は見たことがほとんどない―――いや、初めて見るのではないか。 「ならば、なぜそんなに強要する? 世の中には使える人間よりも使えない人間の方が圧倒的に多いよ。 使わなくても人として十分な生活ができるのならば―――」 ゼルガディスは視線を隣の親友に移動させた―――自分が知る限り初めて祖父を困らせたクラヴィスに。 彼もまたいつなく真剣な表情をしていた。 レゾに目を向けながら、クラヴィスは言葉を継ぐ。 「―――オレは使わない方を選ぶ」 先程の部屋の中にいた時とは正反対の静かな口調に、まっすぐと自分に向けられてくる何の迷いもない―――澄んだ翠の瞳。 どうしてそう思うのか―――少年の考えは理解できない。 だが、少年が単なる気まぐれで拒絶しているのではなく、真剣に考え、その上での拒絶であることは理解した。 盲目とはいえ、まっすぐ見据えてくる少年の瞳はレゾの心を捉え、彼にわずかながら動揺を与える。 ―――その瞬間。 「行くぞ、ゼル!」 「ふ、ふえ……っ!?」 唐突の呼びかけ。 まったく自分に話が振られるとは思ってもいなくて、油断していたゼルガディスは素っ頓狂な悲鳴を上げる―――そんな彼の腕をひっさらうように掴み、クラヴィスはそのまますばやく駆け出した。 それにつられるように―――もなにもクラヴィスに腕を掴まれているため、ゼルガディスもまた駆け出す。 レゾにできた一瞬の隙を突いて、逃げ出す少年たちに、わずかに反応が遅れたレゾが声を上げる。 「ま、待ちなさい、クラヴィス!」 「待たないっぴょーん」 これ以上話を続けていても水掛け論にしかならないと判断したのか―――実際、クラヴィスにレゾの言うことを受け入れる気がなく、レゾはレゾでクラヴィスの考えが理解できないのならば話がまとまらないだろうが―――レゾの言葉を軽く流して、クラヴィスはゼルガディスを引っ張りながらほぼ全速力に近いスピードで廊下を駆け抜けていく。 なんとかそれについていきながら、ゼルガディスが悲鳴のような声を上げる。 「じーちゃん呼んでるよっ!? クー!」 「ほっとくっぴょーん」 「ねえ、さっきからなんなのその語尾っ!?」 「気にしないでほしいっぴょーん♪」 どたどたと走る足音にまぎれて聞こえてきたケタケタ笑う声――― 静寂を乱す子供たちの騒音はどんどんと遠くなっていき、やがて聞こえなくなる。 そそくさと廊下の角を曲がっていってしまった2人の少年の気配を見送って、レゾは言葉と共に深い溜め息を吐く。 「ああ、もうまったく……あの子は……」 再び静まり返った廊下。 苛立ちとも呆れともとれる赤法師の呟きが静寂の中に響いた。 「魔法を習いたくない?」 規則正しい揺れる車中。 溜め息と共にもらしたセルジュの言葉にウィルフレッドは動かしていた手を休め、眉をひそめた。 再会から一夜明けて―――彼らはラルティーグ公国へと向かうヴァレンタイン家所有の馬車に乗っていた。 もともと、セルジュが1週間ほどかけて迷いの森(ディープ・フォレスト)からセイルーン・シティまで来たのは、ウィルフレッドにレゾからの呼び出しがあることを伝えに行くためだった。 レゾから呼び出しがかかるのは、以前にも何度かあったが、それほど頻繁なものではない。逆にレゾがヴァレンタイン家にやってくるのが多かったりするのだが―――数ヶ月に一度は必ず預かっているクラヴィスとゼルガディスの近況報告をしに来ているのだ。最初は珍しく親切心というものを出したのかとも思っていたのだが、最近になってそれが2人の少年と共に暮らしているという単なる自慢だということに気づいたのは―――気づいたときには一瞬殺意を覚えたが―――また別の話として。 自分の言葉をおうむ返しに問うてきたウィルフレッドにセルジュは窓枠に―――初めてこの馬車に乗った時は『ガラスというものが高価なこの時世、たかだか馬車ごときにその高価なシロモノを使うなんてさすが神官貴族だ』などと彼は感嘆したものだ―――肘をついて、彼の問いを肯定した。 「ああ。まあ、“クラ坊”も12歳になったことだし、そろそろ魔術の基礎くらいは教えてもいいんじゃないか―――て、話になったはいいけど、当の本人が頑なに嫌だって言い張ってねぇ」 好奇心旺盛な子供たちにとって、いつの時代も魔法は興味深いモノの代表である。 家庭にも―――両親の理解や経済力などいろいろな事情も含めて―――よるが、魔法に興味を持つ子供たちは、その知識を手に入れ、能力(ちから)を己が物にするために魔道士協会へと足を運ぶ。世界に散らばる数多の魔道士を繋ぐ同協会は未来を担う魔道士の養成も行っているため―――もちろん、それ相応の授業料は取るわけだが―――集まった魔道士希望の子供たちに魔法の基礎的知識を教えていたりする。 魔法を得ようと協会にやってくる子供の平均年齢が―――ちょうどクラヴィスと同じくらいだったりするのだ。 本来ならば、魔法というものに興味を持っても良い年頃だというのに頑なに拒んでいるらしい息子にウィルフレッドはなんとも表現しづらい表情を浮かべてみせた。いったんは休めた手をまた再び動かしながら、うめくように呟く。 「それはまた……我が息子ながら珍しい子もいたもんだにょ……」 「まあ、理由はわからないわけじゃないんだけどね」 セルジュは窓枠から肘を離すと、小さく溜め息をついて肩をすくめて見せた。 「あの屋敷にいれば、普段は見れない魔術の恐ろしさってのが―――やっぱり見れちゃうから」 『ウィル兄、おれのこと馬鹿にしてない?』 『―――だって、治癒(リカバリイ)は治療の呪文だろ? その魔法をかけて―――』 「……おれだって、時々―――」 1年の大半を迷いの森の屋敷で過ごしている青年は、目を細めて自嘲気味な笑みを浮かべる。 「―――怖くなる―――」 自分がレゾに呼び出された理由と経緯をウィルフレッドは既にセルジュから聞いていた―――死んだカナンや腕を失ったリトのことも。 頭を打って脳震盪を起こしていたもう1人の仲間を含めて、魔術で失ったものは大きい。 ウィルフレッドもまた目を細めて、ぽつりと呟く。 「……そう……だね……」 『治癒(リカバリイ)という呪文はね―――』 『いいかい、セルジュ。治療の呪文でだって―――』 治療の呪文(リカバリイ)でだって人は……――― 「……ところで、1つ訊いても良い?」 会話が途切れ、しばしの沈黙に耐え切れなくなったのか、それとも先程からずっと気になっていたのか――― セルジュは少しばかり顔を近づけておずおずと口を開いてくる。 その態度に疑問を感じ、ウィルフレッドはきょとんとした顔で首を傾げて見せる。 「なに? どうしたにょ?」 「いったいウィル兄、さっきから何してるの?」 指を差されて視線をその指の先に向ければ、あるのは自分の手と握られたハンカチと手の中に納まる程度の―――とはいっても普段は書斎で文鎮として使用しているので、それなりの重さと大きさはある―――石。 いびつな形をして入るものの、底深き澄んだ湖水を思わせる美しい碧色の宝石で中央には双魚宮(パイシーズ)の紋章が刻まれている。 ヴァレンタイン家の家宝として初代神官から500年に渡って受け継がれてきた聖なる石。先代から現当主によって受け継がれることがなかったこの聖石は、今はウィルフレッドが所有していたりする。 そんな石を先程から話を聞きつつハンカチで拭いているウィルフレッドに対してセルジュが疑問を抱くのは無理もなかったのだが。 「ああ、磨いてるんだよ。どうもちゃんと綺麗に光ってくれないから……」 ―――などと、やはり手を動かしながらあっけらかんとウィルフレッドは答えてくる。 が、セルジュには別に聖石のつやがなくなったようには見えなかった。 むしろ、以前見たときよりも輝いて見える―――まあ、それはそうだろう。暇さえあれば、ウィルフレッドは雑巾で石を磨いているのだから。 「……それって単に石っころの“性格”がめっちゃくちゃ悪いだけなんじゃないの?」 遠い過去に埋められた伝説に登場する12の石の1つ―――聖石≪パイシーズ≫には、一握りの人間しか知らない秘密がある。 人間の言葉を理解し、想いを持つ―――意思を―――持っているのだ。 聖石などと呼ばれているとはいえ、たかが宝石に何故そんな能力があるのかはわからない。 だが、この碧の宝石が人の意思を解し、自らも意思を持っている―――石の意思(ことば)は、持ち主であるウィルフレッドにしか届くことはないが―――ことは紛れもない事実であり、ウィルフレッドを兄のように慕うセルジュもその秘密を知る数少ない人間の1人だった―――なぜか『めっちゃくちゃ』の辺りがやけに強調されていた気もするが。 『……………………』 2人はしばし沈黙した。 ウィルフレッドの手にある≪パイシーズ≫に視線を向ければ、光のあたり具合のせいか、それとも見るものの意識のせいか、碧の石がまるで怒っているように見え――― やがて、ウィルフレッドはハンカチと聖石を離し、何かを思いついたようにぽん、と手を打って結論をはじき出す。 「それもそうかもしれないにょ。いやあ納得納得」 「でしょ? あ、ほらここら辺もかなり性格悪そうな雰囲気が……」 「本当だにょ。あ、ちょっとここら辺腹黒そうな感じかにょ?」 「をををををを」 ―――をいこら待てやボケ。 好き勝手なことを口々に言い出す―――しかもしばらくの間、そんな会話で盛り上がる中。 ウィルフレッドは頭のどこかでそんな言葉を聞いた気がした。 ******************************************** ……ちうわけで、大雑把に話を構成する際に完全に頭の端にも組み込まれていなかった(多大に待っとけ)我らが不幸の代名詞・石っころさんはこれにて退場の予感まんまんです(滝汗) うううううう……いったい何人いらっしゃるのか、アストさんファンの皆様、ごめんなさいですっ(汗) 話の途中ではありますが、感想などいただければ嬉しいです(^^) ではでは、また近いうちにお会いしましょう。ねんねこでしたっ! |
9021 | はわわわわっ☆ | 狩野理佐 | 2002/9/5 20:02:45 |
記事番号9015へのコメント はわわわわっ!夏休み明けで気を抜いていればねんねこ様の新作がっ! お久しぶりです。狩野です。相変わらずパソコン欲しいと泣きながらケータイネット中です。 ねんねこ様の新作☆というわけで張り切って楽しませてもらいました。クラヴィスは魔法を使うのを嫌がってたんですねー…なんだか嬉しそうに学んでいたような想像があったので意外でした。 どうしてパパりんは呼び出されたのか、レゾはどうやってクラヴィスを説得するのか目が離せませんね! 続きを楽しみにしています。 |
9027 | あああっ、おさかなさんっっ(爆) | 九条みすず | 2002/9/6 13:52:50 |
記事番号9015へのコメント ども、連続で一番レス乗りを見逃してしまった九条みすずです。 次回こそは一番レスをゲットしたい・・・!と固く心に誓ってみつつ、今回もレスなのです〜 >「それもそうかもしれないにょ。いやあ納得納得」 >「でしょ? あ、ほらここら辺もかなり性格悪そうな雰囲気が……」 >「本当だにょ。あ、ちょっとここら辺腹黒そうな感じかにょ?」 >「をををををを」 > > ―――をいこら待てやボケ。 > > 好き勝手なことを口々に言い出す―――しかもしばらくの間、そんな会話で盛り上がる中。 > ウィルフレッドは頭のどこかでそんな言葉を聞いた気がした。 おさかなさん・・・じゃなかった石っころさんひどい言われようだ(涙 でも笑えました。ああ、パパりんにまでそんなこといわれちゃうなんて不幸の道突っ走りですね☆ > ……ちうわけで、大雑把に話を構成する際に完全に頭の端にも組み込まれていなかった(多大に待っとけ)我らが不幸の代名詞・石っころさんはこれにて退場の予感まんまんです(滝汗) > うううううう……いったい何人いらっしゃるのか、アストさんファンの皆様、ごめんなさいですっ(汗) はいはーい!アストさんふぁんここに一人いまーす!(お前はねー様のキャラはみんな好きだろっっ!) どなたかのレスにもありましたね。次回の主役っぽいアストくん、楽しみにしてますわ(はぁと) 次回も楽しみにしとります。いったいクーちゃんはゼルはパパりんはそしてセルジュはどうなるのかー!楽しみです。 そりでは九条でした。 |