◆−笑う月(ゼルアメ?)−雨月かぐら (2002/9/17 02:12:28) No.9311
 ┣切ない−蒼井さくや (2002/9/17 10:40:34) No.9314
 ┃┗はじめましてv−雨月かぐら (2002/9/19 22:45:53) NEW No.9389
 ┣Re:笑う月(ゼルアメ?)−奈鈴多乃 (2002/9/17 21:33:50) No.9345
 ┃┗こんばんは〜v−雨月かぐら (2002/9/19 23:19:39) NEW No.9392
 ┗はじめまして−羅琴みつき (2002/9/19 19:48:33) NEW No.9384
  ┗感想ありがとうございま〜すv−雨月かぐら (2002/9/19 23:38:12) NEW No.9393


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9311笑う月(ゼルアメ?)雨月かぐら 2002/9/17 02:12:28


二ヶ月ぶりくらいで投稿させていただきました 雨月かぐらです。
今度投稿する際には必ずやゼルアメでハッピーエンドを!と心に誓っていたのですが、手が勝手にこんなのを書いてしまいました。

ゼルアメ…だとは思うんですが、死にネタ警報発令中です。

お心の寛い方のみ、読んでやって下さい。







【笑う月】



*******************************



 
  
     たとえば その横顔に、束の間の永遠を見る。
     あるはずのない瞬間の 手の届くはずのない幻。
     喪わずにすむのなら 命さえ投げ出していただろう。

     もう二度と 手にすることの叶わない
     輝く 遠い日の 記憶。
 




「貴方は誰?」
 暗い石牢の中で、繋がれた少女は、視線を上げることもなくそう言った。
 澱んだ空気と湿気、そして飢えと苦痛が、彼女を打ちのめしていた。
 萎えた関節は身動きもままならず、少女は、自らを拘束する鉄の鎖が砕かれた後も
 そのままの場所にうずくまった。
「……立てないのか?」
 この都市でおそらく一番厳重な警備がされている牢に、単身で乗り込んできた男の声は、意外に若かった。
 やや間があって、男が膝を付き、覗き込む気配がした。
「すまんが、ここで時間をくってる余裕はないんだ。
 立てないのなら、それでもいい。声だけ、殺していろ」
 次の瞬間、少女の身体は、ふわりと宙に浮かんでいた。
 彼の手が少女を持ち上げ、肩に担ぎ上げたのだ。
 耳元で、シャラン、と金属の打ち合うような不思議な音が聞こえた。
「行くぞ」
 男は立ち上がって、すぐ薄闇の中を走り出した。
 風のように。風になったかのように。カビくさい牢獄の空気が遠ざかっていく。
 時刻は真夜中。月も差し込まない地下牢では、壁に吊されたろうそくの僅かな明かりが、唯一の光源だった。
 足下も覚束ない暗がりを、彼は躊躇うふうもなく、引き絞られた矢のように、真っ直ぐ地上を目指して駈けていく。
 体の触れた部分を通して、硬い皮膚と、その下のしなやかな筋肉の動きが伝わった。
 もの凄いスピードにもかかわらず、男の足取りは猫のように巧みで、ほとんど音というものがしない。
 移動する風のような感覚と、脈動する筋肉の感触、そして、見る間に遠ざかる幾つもの蝋燭の光。
 それはひどく現実感を欠いた 幻想的な光景だった。

 やがて、獄舎の最後の通用口を彼が蹴破り、
 (幸い 鍵が開いていたため、ほとんど音はなかった)
 地上に出ると、青白い月が、二人を照らした。

「……あ…」
 少女は、微かに身体を捩って、冴え冴えとした満月に向かって手を伸ばした。
 それが何年ぶりに見る夜空なのか、少女にはもう思い出せなかった。
 暗い地下牢にあまりに長く閉じこめられていたために、記憶にある月と
 目の前の空に浮かぶ光る円盤とが、果たして同じものなのか、自信が持てない。 
「もう少し、我慢しろ」
 男は少女を腕に抱え直し、小さく風の呪言を唱え始める。
 少女は、そこでようやく、自分を地下から救い出した男を見ることができた。
 白いマントが、まず目に入った。それから、顔の下半分を覆う、同じく白い覆面。
 結局、見えても、状況はたいして変わらない。何者なのかは、分からないままだ。
「……?」
 少女は、何か妙なものを感じて頸を傾げた。
 マントと一体になったフードの下から、男の前髪が覗いている。
 その銀色の髪が、月の光を奇妙な形で反射していた。
 乱反射。蝋燭以外の光は久しぶりだったから、言いきることはできないけれど、
 彼の髪は明らかに、通常の人の髪とは違う光り方をしていた。
 きらきらと、それはまるで精巧な銀細工のように−−−−−−。

 ふわり、と身体が浮かんだ。
 男の、浮遊の呪文が完成したのだ。
 足の下で、ゆっくりと、少女が幽閉されていた建物が小さくなっていく。
 十年余りの人生の、実に五分の一近くを過ごした土地だった。
 険しい峰に囲まれた、陸の孤島のような天然の城塞。
 そこを離れられる日が来るなど、彼女はこれまで想像したこともなかった。

 少女は、また、視線を上に転じた。
 銀の髪を持つ男が、少女を見下ろしていた。
 その猫のように細い瞳と、少女の深い青の目が合う。
 少女は、彼の膚が、見たこともないような不思議な色をしていることに気付いた。
 微かに覗く目の周りには、更に奇妙な石のような物がくっついている。
「−−−−俺が、怖いか?」
 男は尋ねた。
 少女は、小さく頭を横に振って、彼のマントの端を握りしめた。
「貴方は、誰?」
 少女の問いに、男は低く抑えた声で答えた。
「ゼルガディス・グレイワーズ」
「ゼ…ディ…ガス…?」
「ゼルガディスだ」
「ゼル…ガディ…ス…さん?」
「−−−−−−ああ、それでいい」
 覆面の下で、ゼルガディスは微かにほろ苦い笑みを浮かべた。
「間違ってたらごめんなさい。ゼルガディスさんは、祖父の国に縁の方ですか?」
「何故そう思う?」
 少女は、瞳に僅かな諦念を織り交ぜて言った。
「だって、それ以外で私に興味を持つ人なんて、いないでしょう?」

 少女の祖父母の時代に、大陸で最も古い歴史を持つ王国が滅亡した。
 直接的には、隣国の侵攻が原因だったが、それ以前から
 王権の弱体化や産業の不振など、すでに衰退の傾向はあったのだ。
 永遠に続く国家はないし、絶えることのない王朝もない。
 栄枯盛衰のあたりまえの経過を経て、セイルーンという国は消えた。
 もはやその名を唱える者も居らず、かつての栄華を忍ぶべくもない。
 ただ、古より続く王家の血筋は、細々と永らえていた。
 からくも難を逃れた王族の末裔、その最後の一人が少女だ。
 周辺諸国の尊敬を集めていた王家の血は、占領国にとっては脅威だった。
 それ故、国の名が消えて数十年が経過した後まで、狩られ、幽閉された。
 
「俺じゃない。昔の旅の連れだ」
「連れ?」
「ああ、そいつが、セイルーンの生まれだったんだ。
 国を離れて、ずっと俺の旅に付き合わせちまった。
 死ぬまで祖国のことを思っていた。だが、最期まで帰してやれなかった。
 あんたを連れ出したのは、そいつへの…罪滅ぼし、みたいなもんだ」
「どうして、私を助けることが、その人への罪滅ぼしになるんですか?」
「……血が…」
 ゼルガディスは、少し考えるように言葉を区切った。
「血が繋がってるんだ、あんたとそいつは。
 何十分の一か何百の一か、知らんがな。
 あんたは、その女の親族の子孫にあたるはずだ」
 少女は昔そらで覚えさせられた家系図を、そっと頭の中で辿る。
 夭逝、または出奔したと伝えられる女性は、ここ何代かは思いあたらなかった。
「女の方なんですね…」
「ああ、俺の−−−−妻、だった」
「ゼルガディスさんて、おいくつなんですか?」
「さあな、200を超えた頃から、数えるのが馬鹿らしくなって、それきりだ」
 少女は僅かに目を見開き、会話はそこで途切れた。
 

 その夜の内に、彼等は国境近くの深い森に降り立った。
 ゼルガディスはもの慣れた様子で枝を集め、焚き火を起こした。
「当分は、野宿で我慢して貰う。
 かなり距離は稼いであるが、用心するに越したことはない」
 荷から小さな毛布を取り出し、少女に手渡す。
 それから、手鍋で湯を沸かして、その中に香草を放り込んだ。
 少女は、差し出された香茶を受け取り、静かに目の前の明かりを眺めた。
「これから、私はどうなるんですか?」
 オレンジ色の炎が、ぱちっと音をたててはぜた。
「国境を越えた後、街道に平行して港に向かう。
 海の向こうの世界までは、追っ手もかからんだろう。
 その国で、子供を育てるのが上手い女を知っている。
 あんたを、その女に預けるつもりだ。
 セイルーンの名は捨ててもらうが、代わりに追われることはなくなる。
 その後は、あんたの自由だ」
 少女は大きく息を吐いた。
「……ありがとうございます」
「礼を言う必要はない。言っただろう、これは俺が勝手にやっていることだ」
「でも、おかげで私は自由になれました。
 素性がバレて街から逃れ、お母様と二人で逃げ暮らして。
 あの人たちに捕まり、母様も亡くなって、ずっと一人で−−−−
 もう二度と、外には出られないと思ってたんです。感謝しています。
 ありがとうございました」
 カタカタ、と少女の手の中で、カップが爪に当たって鳴った。
「あれ、やだ……、今頃…驚いてるみたい…ですね。
 ごめんなさい…ちょっと… いっぺんにいろんなことがあったから…
 安心したら、震えが来ちゃったみたいです。
 ごめんなさい…すぐ、…止まりますから…」
 言いながら、少女の身体はますます大きく震えだす。
 しまいには中の香茶が零れそうになって、慌てて地面に置いた。
「やだ…ごめんなさい。なんで…止まらないんだろう……」
 少女は涙声になった。
「…ごめん…なさ…い…………」
 海の色した大きな目から、ぽろぽろと大粒の雫がこぼれ落ちる。
 ゼルガディスは、俯いてしまった少女の黒い髪をみつめた。
 手袋をした手が、一瞬躊躇ってから、そっと少女の頭を撫でた。

「すまん。怖かったんだな」

 少女が慌てもせず、彼を怖れる様子もなかったから、気が付かなかった。
 彼の隣にいる少女は、長い間、たった一人で牢に閉じこめられていた子供だったのだ。
 静かだったのは、他人に生殺与奪の権を握られることに慣れきっていたせい。
 絶望した子供は、権力で右から左へと渡されることを、受け容れ、諦めていた。
 恐怖の感情さえも、ずっと心の中で凍りつかせてきたのだと、
 ゼルガディスは、この時、ようやく理解した。




 泣いていた子供は、やがて、泣きながら眠りについた。
 ゼルガディスの膝に、ちょこんと小さな頭を預け、
 手は、しっかりと彼のマントの端を握っていた。
 ゼルガディスは、少女を起こさないように膝を固定したまま、身体を捻って
 荷物から布をとりだし、涙でよごれた顔をそっと拭ってやった。
 長く日に当たらなかった肌は、透きとおるように白い。
 棒のような手足は、栄養状態が悪いのと、運動が制限されていたためだろう。
 血統の故に過酷な運命を負わされた少女に、ゼルガディスは僅かな憐憫を感じた。
 憐れみなどという感情が、何の役にも立たないことは、身に沁みて知ってはいたが。
「−−−−あまり、似てはいないな。まぁ、これだけ時が経てば、当然か」
 ゼルガディスは、少女のこけた頬を指でなぞった。
「だが、この眼はお前の色だ。この髪も。
 人間の運命に干渉する理由としちゃ、これで十分だろう?」
 見上げる視線の先には、夜空を明るく照らす、青い青い月が浮かんでいた。

  歳月が流れ、思い出が、どれも等価に擦り切れていっても
  胸の中、色褪せず、仕舞い込まれた面影がある。
  耳を寄せその女の最期の息に耳を澄ませた、冷たい月の夜を覚えている。
  喪って、永遠に血を流し続ける真新しい傷。
  狂い出しそうな絶望を越え、凍るような孤独にも馴れて、
  じわじわと、精神すらも人間から離れ、魔の境地に近付いていく。
  けれど、心が凍りつく前に、いつもその夜の記憶が彼をとどめた。
  人として在り続けるように、と。

「それとも、お前は、馬鹿なことをしていると…笑うか?」

  死んでしまった女は、彼のために、国も家族も捨てて旅に出た。
  命の限り共に在り、そして、何も残さずに死んだ。
  合成獣の男との間には、子供をなせるはずもなく、
  人目を避ける旅の途上で、名を残せるわけでもない。
  女は何一つ望まず、幸福だと、最後の瞬間まで笑っていた。

  だから、彼は、その女が存在した証を求めた。
  女の死後、そんなことにはなんの意味もないと分かっていても、
  彼女の属した血統が途絶えることに、耐えられなかった。
  何十年ぶりかで海の彼方から戻り、女の故国の滅亡を知るや、
  すぐにその血筋の消息を求めた。
  最後の王族が死ぬまで牢に繋がれるのだと聞くと、即座に救出を決めていた。
  その女の血を残したかった。
  彼女に与えられなかった、諸々の幸福の代わりに。
  それだけが、彼の、人の世に残した執着だった。

「構わんだろう? 俺の時間は、うんざりするほどある」

 月は答えなかった。
 静かな夜に、炎のたてる微かな音だけが、響いている。
 遙かな昔には、彼はいつも、何かにせき立てられるかのように急いでいた。
 何に怯えていたのかを理解したのは、それよりずっと後のことだ。
 恐怖の正体は、おいていかれることだった。
 恐怖が彼に追いつき、追い越していったとき、彼はもう焦るのをやめた。
 喪った後では、もう何をしても同じだと、気付いてしまったからだ。



「そろそろ、出発するぞ」
 翌朝、二人は日も昇りきらないうちに食事すませ、支度を整えた。
 鬱蒼とした森は昼尚暗く、その上足元も悪い。
「歩けるか?」
 ゼルガディスは、足腰の弱っている少女を気遣って尋ねた。
 長い間最小限の運動しかしていない身体に、耐えられる道ではない。
 追っ手の心配さえなければ、昨夜のように飛んでいってしまいたいところだが、
 真っ昼間に、容易に姿を発見されるような真似は、避けたかった。
 幸い、少女は極端に軽い。抱えて歩いても、さほど負担にはならないだろう。
 体力の消耗を考えれば、最初から歩かせない方がむしろ良いかも知れない。
 だが、少女の答えは意外だった。
「はい、大丈夫です。私、歩けます!」
 思い切り泣いた少女は、眼が少し腫れていたが、表情は昨夜よりずっと明るかった。
「遠慮する必要はないんだぞ」
 痩せた顔を覗き込むと、少女は大きく首を振った。
「いいえ、そういうんじゃ、ありません。
 行けるところまで、歩いてみたいんです。自分の足で。
 一歩も歩けなくなったら、ゼルガディスさんに助けてもらいます。
 でも、まず、自分で歩きたいんです」
 そう言って、晴れやかに胸を張る姿に、ゼルガディスは微苦笑を浮かべる。
「なるほど。あんたは確かにセイルーン王家の末裔、というわけだ」
「え?」
 少女が頸を傾げた。
 打たれても立ち上がる、その力強さを覚えている。
 馬鹿馬鹿しいほどポジティブに、ひたすら前に突き進んでいった女と同じ血が、
 確かにこの少女にも流れている。
「タフなのは、血筋ってことだ。あんたらのパワーに、勝てる奴なんて居ないな。
 歩けるならそうして貰おう。但し、疲れ切る前にちゃんと言うこと。
 いいな?」
「はい!」
 少女は元気よく立ち上がった。切り揃えられた黒髪が、大きく肩の辺りで揺れる。
 真っ直ぐ前を指さして、少女の青い瞳が振り向いた。

「さあ、行きましょう! ゼルガディスさん!」

  一瞬の既視感。
  凛とした横顔から、重なるはずのない面影が、彼を見返す。
  陽の光を浴びて笑う少女に、いってしまった女の姿を見た。
  息を呑む。だが、それは、遠い日の記憶の残滓に過ぎない。
  唐突に、圧倒的な輝きと共に脳裏に蘇り、
  そして手を伸ばす間もなく消えていく。
  永遠に届くことのない幻。
  

「………どーでもいいが、国境ならお前の指差してるのと逆方向だぞ」
 ゼルガディスはぼそりと呟いた。
「もぅっ!! ゼルガディスさんってば、どーして、びしっときめたところで
 そーゆー茶々入れるんですかっ!!」
「俺は事実を指摘しただけだが」
「うぅぅ〜。分かりました。こっちに行けばいいんですね
 って、あれ、ゼルガディスさん?」
 彼は、何故だか、荷物を置いたまま立ち止まっていた。
「−−−−そういえば」
「はい?」
「あんたの名前を、まだ聞いていなかったな」
 少女はちょっと考えて、それからにっこりと微笑んだ。
「私の名前は、【アメリア】です。
 セイルーンの名はここに置いていくから、これからは、ただの【アメリア】」
 一瞬、ゼルガディスは僅かに目を瞠った。
「ひょっとして、セイルーンでは多い名前なのか?」
「? いいえ。でも、代々の王女にはよくつけられた名前だそうですよ。
 初代は、アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン姫。
 300年ほど前、新大陸に初めて足を踏み入れたという伝説の女性です」
 そう答えた時のゼルガディスの表情を、少女はずっと後まで忘れなかった。
 どうしてそう思ったのか、自分でも分からないけれど、
 その瞬間、この人外の青年が泣き出してしまいそうな気がしたのだ。
 彼はほんの少し目を見開いて、驚いたような顔をしていただけだった。
 だから、そう見えたのは、本当は錯覚だったのかもしれない。
 それでも、【アメリア】は心配になってその人の目を見上げた。
「ゼルガディスさん?」
「……………いや、なんでもない」
 荷を肩に背負って歩き出したゼルガディスは、もとの無表情に戻っていた。
 彼は数歩進んでまた立ち止まり、【アメリア】を振り返った。
「昨夜、あんたは俺に感謝していると云ったな」
「はい。云いました」
「では、【アメリア】姫、恩人としてあんたに一つだけ頼みがある。
 いつか、あんたが海の向こうの国で結婚して娘を生んだら、
 あんたの娘に同じ名前をつけてくれ。
 娘の次は孫に、孫の次はひ孫に、あんたの名前を伝えてくれ。
 できるか?」
 【アメリア】は、大きく頷いた。
 ゼルガディスは、それまで少女が見たこともないくらい 穏やかに微笑んで言った。
「ありがとう」


 その国で、この後、セイルーン王家の生き残りの噂が流れることはなかった。
 正史は、最後の一人の王族は、獄中で病死したと伝る。
 だが、彼女のものとされる墓が空であることは、近隣では公然の秘密とされていた。


「さて、じゃあ出発するぞ、アメリア」
「はい、ゼルガディスさん!」

 背の高い青年と幼さの残る少女の後ろ姿は、緑の森の中に消えていった。





 

      たとえば、その横顔に 束の間の 永遠を見る。

      指の間からすり抜けて 二度とは 戻ることのない
      遠い 輝く日の 記憶を見る。






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9314切ない蒼井さくや 2002/9/17 10:40:34
記事番号9311へのコメント

久しぶりにゼルアメで切なくなった・・・
はじめまして。
novel2で書かせていただいてる蒼井さくやです。
死にネタは私的にとても好きといったら変ですが好きなんです(日本語?)
おまえはほんとにゼルアメ信者か?とといたくなるような・・・
ゼルとアメリアには幸せになってもらいたいもんです。

ひひひひひひひひ孫くらいでしょうかね?
「アメリア」は?
セイルーンの血を残したい(アメリアの血)ゼルがとても切なかったです。
では短いですがこの辺で

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9389はじめましてv雨月かぐら 2002/9/19 22:45:53
記事番号9314へのコメント

>はじめまして。
>novel2で書かせていただいてる蒼井さくやです。
はじめまして。雨月かぐらです。
ご感想、ありがとうございましたv
えーと、たしか以前ゼルガディスが人間に戻ってアメリア以外の女性と結婚する短編を書いてらっしゃった方ですよね。
その節は、思わず握り拳作って“ゼルガディス〜!!根性でアメリアへの気持ちを思い出さんかい、この甲斐性ナシっ!”と猛りまくったものでございます。(いえ 私も前作では逆の配役で同じようなことやってたので ちとイタかったのですが)
あの切ないお話を書かれた方に“切ない”と仰って頂けるなんて、光栄です。
ありがとうございました。
>死にネタは私的にとても好きといったら変ですが好きなんです(日本語?)
私も実は死にネタ大好きなのです。
さすがに あまり多用しちゃいかんよな〜と、浮かんだネタの半分以上はボツにしているのですが…。(と云いつつ、このジャンルですでに死にネタこれで2本目)
今回は、勇気出して書いてみたおかげで同士発見。やったー♪と浮かれております。
>おまえはほんとにゼルアメ信者か?とといたくなるような・・・
>ゼルとアメリアには幸せになってもらいたいもんです。
はい。私も幸せになってもらいたいと思ってます。
で、絶対幸せになってくれるだろうという確信のもと、つい手が勝手に逆パターンを書いてしまったりして。
世の中ままならないものです。(←それで済ませてちゃイカンだろ、自分!)

ではでは。
読んでくださってありがとうございました。
蒼井さくやさんの連載作品の方も楽しみにしています。
頑張って下さい。

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9345Re:笑う月(ゼルアメ?)奈鈴多乃 2002/9/17 21:33:50
記事番号9311へのコメント

雨月かぐらさま、こんにちは。
前のときも作品を読ませていただいた奈鈴多乃です。
前と同じく切ない話で・・・はぅ〜(;;)
切ないのが好きな私にはたまらないです。
雨月さまの作品はアンハッピーにもかかわらず、読んでいて重くならないのがとても素敵だと思います。
前のと今回のを読んでみると両方とも「時間」の使い方がうまいなぁ・・・と。
前と今回の作品を読んで、雨月さんの作品に本当にほれ込んでしまいました。
ファンにしてください!(爆)
ではでは、次の作品にも期待してます!

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9392こんばんは〜v雨月かぐら 2002/9/19 23:19:39
記事番号9345へのコメント

こんばんは。雨月かぐらです。
2度目のご感想、ありがとうございました〜!!(感涙)
以前頂いた感想のレスに、“次回は9月”なんてことを自分で書き込んでしまったため、繁忙期の8月中焦りまくっていたのですが、なんとか9月中にあがりました。
奈鈴多乃さんに読んで頂けるかな〜と思いながら投稿したのですよ。
覚えていて下さって、ほんとに嬉しかったです。
ありがとうございました〜v
>雨月さまの作品はアンハッピーにもかかわらず、読んでいて重くならないのがとても素敵だと思います。
ああ、また嬉しいお言葉をv
毎度“切ない”を狙いつつ、隠されたテーマは“状況がキツくても心の持ちようで少しは耐えやすくなるだろう”なので、見事読みとって頂けて、大満足です。
>ファンにしてください!(爆)
え、いや、そんな恐れ多い(汗)……ぃやん、でも嬉しいvvv
“雨月かぐら”の名前でそう仰ってくださった方は 初めてです。
ありがとうございます。(照れ照れ)
今後もこの方向でやってゆくと思いますので、引き続きご覧頂けると幸いです。

ではでは。
ご感想、本当にありがとうございました。


追伸

そういえば、前回のレスで書いた 違うHNで寄稿した小説も読んで頂けましたか?
私以外の方の作品がどれも素晴らしいところですので、ゼルアメ好きの方にはオススメのサイトさんです。
もしまだでしたら、是非ご覧になってみて下さいな。

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9384はじめまして羅琴みつき 2002/9/19 19:48:33
記事番号9311へのコメント

はじめまして、みつきという者です。

ホントに切ない!!だけどそんな雰囲気がすごく好きです。
死にネタも全然OKです!てか好きです!!
ゼルが何だか健気っ感じで……涙を誘いますね(/_;)!

今回初めてかぐらさんのお話を読ませていただきましたが、文体も綺麗で羨ましいです〜!!
またステキなお話読ませてくださいvv


それでは、短いですが、これにて。

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9393感想ありがとうございま〜すv雨月かぐら 2002/9/19 23:38:12
記事番号9384へのコメント

はじめまして。雨月かぐらです。
ご感想、ありがとうございました〜v
>ホントに切ない!!だけどそんな雰囲気がすごく好きです。
日々“切ない”目指して邁進中なのです。気に入って頂けたなら幸いです〜v
>死にネタも全然OKです!てか好きです!!
え?本当ですか。じゃあ、これからは死にネタをてんこ盛りに…というのは冗談ですが。
死にネタって、それだけでキャラクターに思い入れのある人の感情を動かせる 書く側にとっては非常に安易な手法になりかねないんですよね。お嫌いな方もいらっしゃるでしょうし。
多用しないよう心がけつつ、…でも好きだから、また使っちゃうかもしれませんが、その際はどうぞご容赦下さい。
根が死にネタ大好きなんですよ。またでてくる可能性大です。
>ゼルが何だか健気っ感じで……涙を誘いますね(/_;)!
フツーは、うん百年もしたら、そこまでやりませんよね。(笑)
私の個人的な好みで、ゼルガディスには執念深くなってもらいました。
もし仮にこんな未来が待っているとしても、アメリアのことを忘れないで欲しいな〜と。ドリーム突っ走ってますv

ではでは。
ご感想 本当にありがとうございました。
またいつか投稿させて頂くであろう次の話も 読んで頂けると幸いです。
次こそは、ハッピーエンドを!