◆−懺悔(薔薇短編)−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2002/9/21 17:36:09) No.9486
 ┗Re:懺悔(薔薇短編)−ドラマ・スライム (2002/9/25 14:59:31) NEW No.9717
  ┗Re:懺悔(薔薇短編)−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2002/9/25 16:09:39) NEW No.9721


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9486懺悔(薔薇短編)ザズルア=ジャズルフィードゥ 2002/9/21 17:36:09

「あ・・・。」
 宿屋で割り当てられた寝室で、ハールは窓から空を見上げた。
「きれいな満月・・・。そうか、今日は十五夜だっけ・・・。」
 つぶやき、ふと思い出す。憧れの人と初めて会った時のことを。あの日も、こんなきれいな月が昇っていた。
 ふと、ハールの表情が寂しげになる。自分には決して振り向いてくれない、決して思いを知る事のない人を思って。そして、彼の探している人を思って。
「ヴェルタニーア様の思い人さんってあの月みたいに綺麗な人なのかな・・・?」



                                   懺悔



「満月か・・・。」
 夜空を見上げ、ヴェルタニーアはつぶやく。彼の脳裏にはいつ何時でも忘れる事の出来ない人の笑顔が浮かぶ。が、彼は苦虫をかんだような顔になった。
(あれは新月の日だったな・・・。)
 彼は思い出していた。自らの『裏切り』を・・・。



「俺がお前のそばに居るのは、お前が大切だからかもしれんな。」
 月が姿を見せぬ夜、ヴェルタニーアは隣に居る少女――エミリにそう言った。
「えっ・・・。
 な・・・何よ、冗談でしょ。」
「冗談に思えるか?」
「・・・本気なのね。」
 自分の目をまっすぐ見据える少女に、ヴェルタニーアは首を縦に振る。
「それじゃあ、その証拠を見せてよ。」
「証拠?」
「今、ここであたしにキスしてみせて。」
 鋭い眼差しを変えぬまま、エミリはそう言った。
「・・・わかった。」
 頷き、ヴェルタニーアは少女の頬に手を当てる。
 瞳を閉じる少女。ヴェルタニーアは少しずつ彼女に顔を近づける。
 しかし、彼の頭に彼女に良く似た――しかし全く違う――女(ひと)の顔がよぎった。
 彼は少女から顔を離した。口付けをしないままに。
「やっぱり出来ないんじゃない。」
 そんなヴェルタニーアにエミリは厳しい声で言った。
「わかってたよ、アンタがまだ『あの人』を想ってるって。
 それなのにアンタ自身がわかってないなんてバカじゃないの!?」
「エミリ・・・。」
「長い間捜してて疲れたのかもしれないけど、あたしの腕の中で休ませてあげるわけにはいかないの!
 どんなに長い間見つからなくても、どんなに疲れても休んだら負けなのよ!!」
 言って、エミリは立ち上がり歩き出す。
「何処へ行く?」
「レプリカはその剣だけで十分でしょ。
 あたしはね、もうアンタみたいな奴とはもう付き合いきれないわ。さよなら。」
 そう言って、エミリは夜道を歩き出した。
 そんな少女を見送り、ヴェルタニーアはその小さな背中に向かってつぶやいた。
「ありがとな・・・。
 ・・・すまなかった。」



(一度もともに夜を過ごしてなくても、一度も口付けを交わしていなくても、一時だけの気の迷いだとしても、『罪』は非常に重い・・・。)
 夜空を見上げたまま、ヴェルタニーアは一人思う。
「あなたに会えないのは、俺の罪が許されざるべき事だからでしょうか・・・。」
 夜空の満月に向かい、彼はつぶやいた。
 いや、『月の女神』の異名を持つ美しい思い人に対して・・・。





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あとがき

どうも、今回一度も出番がないのにあとがきに無理矢理だされることになりましたスプル=フェアリーマです。
作者は今回あとがきに出現する気がないそうです。
理由は・・・、
1.めんどくさい
2.バイトで疲れた
3.精神的に死にそう
以上のうちからご自由にお選びくださいとのことです。
で、作者はいつになったらちゃんと短編『集』を書く気になるんでしょうね。
前回の詩だってとっくにツリー落ちちゃっていますし・・・。
わたくしの話だって全然書いていないどころか大体しか考えていないらしいですし、ここはしばらくご無沙汰だったフライパンの出番でしょうか?
それでは、またお会いしましょう。
(スプル、フライパンを片手に十五夜の満月の下駆けていく)

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9717Re:懺悔(薔薇短編)ドラマ・スライム 2002/9/25 14:59:31
記事番号9486へのコメント

読ませていただきました。
これからもがんばってください。

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9721Re:懺悔(薔薇短編)ザズルア=ジャズルフィードゥ E-mail 2002/9/25 16:09:39
記事番号9717へのコメント

ドラマ・スライムさんは No.9717「Re:懺悔(薔薇短編)」で書きました。
>
>読ませていただきました。
>これからもがんばってください。
ドラマ・スライムさん、レスありがとうごさいます!
とりあえず、この話の続編(短編じゃなかったのかおい)も今から(ぇ)書くつもりなので、楽しみにしてください!
ドラマ・スライムさんもまたいっぱい面白い話を書いてくださいね!いつも楽しく読んでます!(じゃあレスしろ)
それでは!